JP2008159765A - X線検出器の製造方法およびx線検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線検出器の歩留まりや性能の低下を防止し、信頼性の高い安価なX線検出器を提供する。
【解決手段】回路基板17上に酸化インジウムを主成分とするアモルファス状態の導電性物質にてエッチングストッパ層35を形成する。エッチングストッパ層35上でフォトダイオード素子18のアモルファスシリコン層をエッチングする際、エッチングストッパ層35で回路基板17を保護する。エッチング後には、余分なエッチングストッパ層35を回路基板17に影響のない蓚酸を用いて容易に除去できる。
【選択図】図1
【解決手段】回路基板17上に酸化インジウムを主成分とするアモルファス状態の導電性物質にてエッチングストッパ層35を形成する。エッチングストッパ層35上でフォトダイオード素子18のアモルファスシリコン層をエッチングする際、エッチングストッパ層35で回路基板17を保護する。エッチング後には、余分なエッチングストッパ層35を回路基板17に影響のない蓚酸を用いて容易に除去できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、X線を検出するX線検出器の製造方法およびX線検出器に関する。
新世代の診断用X線画像検出器として、アクティブマトリックスを用いた平面形のX線検出器が注目を集めている。このX線検出器にX線を照射することより、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。このX線検出器は、固体検出器であることから、画質性能や安定性の面でも極めて期待が大きく、多くの研究開発が進められている。
実用化の最初の用途として、比較的大きな線量で、静止画像を収集する胸部あるいは一般撮影用に開発され、近年商品化されている。より高性能で、透視線量下で毎秒30フレーム以上のリアルタイム動画を実現させる必要のある循環器、消化器分野への応用に対しても近い将来に商品化が予想される。この動画用途に対しては、S/Nの改善や微小信号のリアルタイム処理技術などが重要な開発項目となっている。
この種のX線検出器には、大きく分けて直接方式と間接方式との二方式がある。直接方式は、X線をa−Seなどの光導電膜により直接電荷信号に変換し、電荷蓄積用のキャパシタに導く方式である。一方、間接方式は、シンチレータ層である蛍光変換膜によりX線を受けて一旦可視光に変換し、可視光をa−SiフォトダイオードやCCDにより信号電荷に変換し、電荷蓄積用のキャパシタに導く方式である。
現在実用化されているX線検出器の多くが間接方式を採用している。従来の間接方式のX線検出器においては、人体などを透過したX線画像をX線検出器に入射し、その画像情報を電気信号に変換する。この際、蛍光変換膜によってX線を可視光に変換し、その可視光を光電変換基板の格子状に形成された画素毎に検出し、二次元的な画像情報の電気信号として出力する。
光電変換基板は、液晶表示装置の製造工程に類似している薄膜トランジスタ(TFT)パネル製造工程により、信号配線および薄膜トランジスタを形成した回路基板を作成し、その回路基板上に入力面からの蛍光を検出するフォトダイオード素子を画素毎に格子状に形成し、そのフォトダイオード素子を下部に配置されている薄膜トランジスタに電気的に接続している。
光電変換基板の画素毎に格子状に形成されるフォトダイオード素子は、一般的にアモルファスシリコン(a−Si)を主成分とし、真性半導体であるi型のアモルファスシリコン層を、リンを添加することにより実現されるn型アモルファスシリコン層と、ホウ素を添加することにより実現されるp型アモルファスシリコン層とにより挟み込んだ構造をしている。一般的には信号配線と薄膜トランジスタを形成した回路基板上にn型アモルファスシリコン層、i型アモルファスシリコン層、p型アモルファスシリコン層をCVD法(気相成長法)により順次積層している。その後、フォトダイオード素子の内部における面内方向への電荷移動による画像の解像度劣化を避けるため、フォトダイオード素子を画素毎に分離し、画素毎に電気的に独立させた後、フォトダイオード素子の上部への電圧供給用の配線を形成している(例えば、特許文献1参照)。
このような工程により製造された光電変換基板上に入力面の蛍光変換膜が形成されている。蛍光変換膜は入射X線を可視光に変換する機能を有する蛍光物質から構成され、蛍光物質の種類としてはGd2O2S:Tb(テルビウム添加硫化酸化ガドリニウム)やCsI:Tl(タリウム添加沃化セシウム)が用いられることが多い。
Gd2O2S:Tbを蛍光物質として用いる場合、粒子状のGd2O2S:Tbを樹脂中に分散した膜を用いる。それに対してCsI:Tlを蛍光物質として用いる場合、真空蒸着法により光電変換基板上にCsI:Tl膜を形成するもので、その際に適切な製造条件をとることで、光電変換基板に対して垂直方向の柱状構造を持つCsI:Tl膜を形成することができる。その柱状構造を持つCsI:Tl入力面は、Gd2O2S:Tbを用いた入力面より入射X線に対する解像度が高く、高性能のX線画像検出器が可能となる。
特開平9−90048号公報(第4頁、図1)
従来技術によるX線検出器では、アモルファスシリコンを主成分とするフォトダイオード素子は、薄膜トランジスタパネル製造工程によって製造される回路基板上に形成されている。フォトダイオード素子の内部で発生した電荷は、フォトダイオード素子の上部に形成されているITO(錫添加酸化インジウム)透明導電膜と、フォトダイオード素子および回路基板間に形成された下部電極とを通して取り出される。下部電極は回路基板の薄膜トランジスタのドレイン端子に接続され、薄膜トランジスタの駆動に応じて電荷が外部に出力される。ここで用いられる下部電極であるが、通常は導電性の確保および薄膜化が容易である金属物質が用いられる。
アモルファスシリコンを主成分とするフォトダイオード素子は、製造工程において回路基板上にCVD法により形成されることが多い。回路基板上の全面に形成されたアモルファスシリコン膜の形成後に、画素単位に分離することで必要な解像度を得ることが可能となる。回路基板上の全面に形成されたアモルファスシリコン膜は画素の領域を残し、隣接する画素間の格子状の領域をエッチング手法により除去することになる。アモルファスシリコン膜は科学的に安定なため、エッチング溶液を用いたウエットエッチングによる除去が極めて困難であり、通常は真空中にてフッ素原子を主成分としたプラズマを用いたドライエッチング手法により削除を行う。
フッ素プラズマを用いたドライエッチングによりアモルファスシリコン膜のエッチングは可能であるが、回路基板にもダメージがあることが知られている。アモルファスシリコン膜のドライエッチング中にアモルファスシリコン膜厚の不均一性があると、アモルファスシリコン膜厚が薄いところではアモルファスシリコン膜が他の領域より先に消滅し、その下部にある下部電極や絶縁性保護膜などの表面もエッチングしてしまうことになる。
アモルファスシリコン膜のドライエッチングに用いるフッ素プラズマであるが、多くの金属や酸化膜、窒化膜に対してもエッチング効果が高いことが知られている。そのため、特に重要である薄膜トランジスタの表面の保護膜として多く用いられている窒化シリコン(SiNx)膜を除去してしまうことは回路基板の性能維持に大きな影響を及ぼす可能性がある。それを避けるためにはアモルファスシリコン膜厚の面内均一性とドライエッチングの面内均一性を向上し、アモルファスシリコン膜のエッチング後に発生する回路基板の表面のダメージを減らすことが求められる。しかし、アモルファスシリコン膜の膜厚均一性とドライエッチングのエッチング速度均一性の向上には限界があり、通常は数%から十数%の範囲であり、それらより良質である均一性の高いプロセスは技術的に困難であるのが現状である。
他の方法としては、アモルファスシリコン膜の下部にフッ素プラズマに対するエッチング耐性の高い金属によるエッチングストッパ層を挿入することが考えられる。フッ素プラズマに対するエッチング耐性のある金属としては、CrやAl、Taなどが考えられる。回路基板の表面にそれら金属によるエッチングストッパ層を全面に形成し、その後、アモルファスシリコン膜も全面に形成し、積層構造を作る。その後、アモルファスシリコン膜をフッ素プラズマによるドライエッチング技術によって格子状に形成するが、アモルファスシリコン膜の下部にはエッチング耐性のある金属によるエッチングストッパ層が回路基板の表面全面に形成されているため、回路基板の表面はフッ素プラズマにさらされることはない。その後、導電性物質で構成されているエッチングストッパ層をアモルファスシリコン膜と同様の格子状にエッチングすることが必要となる。
エッチングストッパ層のエッチングにはドライエッチング技術とウエットエッチング技術が考えられる。
ドライエッチングの場合はエッチングストッパ層がエッチング可能で回路基板の表面にダメージの少ない技術が必要となり、その場合には塩素プラズマによるエッチング技術が考えられる。塩素プラズマを使うことでAlやCrなどからなるエッチングストッパ層のエッチング可能となり、回路基板の表面の保護膜として多く用いられる窒化シリコン膜はエッチングされにくいため、回路基板の表面へのダメージは少ない。しかし、塩素プラズマを用いるドライエッチング技術は、エッチング装置内部への腐食があり、エッチング装置の耐久性や安定性を大きく損ない、プロセスのコストが上昇するという難点がある。
それに対して、エッチングストッパ層のエッチングにウエットエッチング技術を用いる場合、エッチングストッパ層を分解するエッチング溶液を用いることになる。エッチングストッパ層にAlやCrなどの金属を用いた場合には、エッチングストッパ層をエッチングする塩酸などを主成分とするエッチング溶液は入手可能である。また、回路基板の表面の保護膜である窒化シリコン膜はエッチング溶液に対する耐久性があるので、回路基板の表面へのダメージは少ない。しかし、回路基板の表面の保護膜である窒化シリコン膜には微細な穴であるピンホールが多数存在することは避けられず、エッチングストッパ層をエッチングする際に用いる塩酸などのエッチング溶液が窒化シリコン膜のピンホールを通って回路基板の内部に侵入し、回路基板の内部にあって主にAlが用いられる金属配線の腐食とそれによる断線が発生するおそれがある。
このように、従来技術によるX線検出器では、アモルファスシリコンを主成分とするフォトダイオード素子のエッチング時に問題が発生し、製品の歩留まりや性能の低下、また製品価格の上昇などの問題がある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、X線検出器の歩留まりや性能の低下を防止し、信頼性の高い安価なX線検出器の製造方法およびX線検出器を提供することを目的とする。
本発明のX線検出器の製造方法は、回路基板上に光電変換素子および蛍光変換膜が形成されるX線検出器の製造方法であって、前記回路基板上に酸化インジウムを主成分とするアモルファス状態の導電性物質にて保護層を形成し、この保護層上に前記光電変換素子を構成する物質を積層し、前記光電変換素子の形成域を除き前記光電変換素子を構成する物質をエッチングによって除去し、前記光電変換素子の形成域を除き前記保護層を溶液によって分解して除去するものである。
本発明のX線検出器は、光電変換素子が設けられた回路基板と、この回路基板上に設けられX線を可視光に変換する蛍光変換膜とを有するX線検出器であって、前記光電変換素子と前記回路基板との間に、酸化インジウムを主成分とするアモルファス状態の導電性物質にて形成された保護層が介在されているものである。
本発明によれば、回路基板上に酸化インジウムを主成分とするアモルファス状態の導電性物質にて保護層を形成するため、この保護層上で光電変換素子をエッチングして形成する際には保護層がエッチングストッパとして機能して回路基板を保護でき、エッチング後には余分な保護層を回路基板に影響のない溶液を用いても容易に除去でき、したがって、X線検出器の歩留まりや性能の低下を防止し、信頼性の高い安価なX線検出器を提供できる。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図6にX線検出器の分解状態の斜視図を示す。
11はX線検出器で、このX線検出器11は、間接形のX線画像検出器であり、マトリクス状に配列された複数の画素12を有する光電変換基板13、およびこの光電変換基板13の表面に積層形成された入力面である蛍光変換膜14によって構成されている。
光電変換基板13は、ガラス基板15上に回路層16が形成された回路基板17を有し、この回路基板17上に光電変換素子としてのフォトダイオード素子18が各画素毎に形成されている。
そして、蛍光変換膜14中にX線19が入射すると、蛍光変換膜14にてX線19の二次元分布に対応する可視光が発生し、発生した可視光がフォトダイオード素子18に入射して電荷に変換される。
次に、図7にX線検出器を模式的に示す正面図を示す。
薄膜トランジスタ(TFT)21とコンデンサ22とフォトダイオード素子18とは、それぞれ組として格子状に配置され、それぞれの組がX線画像の画素12に対応する。ガラス基板15上には、各薄膜トランジスタ21のゲート電極を接続する複数の制御電極23が行方向に配列され、各薄膜トランジスタ21のドレインを接続する複数の読出電極24が列方向に配列されている。このような回路構成にすることにより、画素12毎の各フォトダイオード素子18にて発生した電荷は、それぞれに接続されている薄膜トランジスタ21のゲート電極がオン状態になるまでそれぞれに接続されたコンデンサ22に保持され、その状態のときに制御電極23を1つだけオン状態にすると、そのオンになった制御電極23に接続された同じ列の薄膜トランジスタ21がオン状態になり、その薄膜トランジスタ21を通じてそれに接続されているコンデンサ22の電荷が読出電極24に流れる。これによって、特定の行に対応する画像情報が外部に出力されることになる。さらに、オンにする制御電極23を順々に変えることにより、全体の画像情報を外部に映像信号として出力することが可能となる。
次に、図1にX線検出器の断面図を示すもので、1つの画素12を示している。
ガラス基板15上に薄膜トランジスタ21のゲート電極27が形成され、このゲート電極27を含むガラス基板15上に絶縁膜28が形成されている。絶縁膜28上には、ゲート電極27に対向して半絶縁膜29が形成されている。半絶縁膜29を含む絶縁膜28上には、薄膜トランジスタ21のソース電極30およびドレイン電極31が形成されているとともに、これらソース電極30およびドレイン電極31上に酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)などの保護膜32が形成されている。ソース電極30およびドレイン電極31には導電性や環境性に優れるAl合金膜やAl/Mo積層膜などが用いられ、絶縁膜28や保護膜32には酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)などの材料が用いられている。これらガラス基板15やこのガラス基板15上に形成された薄膜トランジスタ21などによって回路基板17が構成されている。
なお、この回路基板17の製造方法は、一般的なアクティブ型液晶表示装置と同じ手法により実現可能であり、また材料も同等のものを使用することができる。
薄膜トランジスタ21のドレイン電極31上には、酸化亜鉛を数%添加した酸化インジウム(IZO)を主成分とするアモルファス状態の導電性物質にて保護層としてのエッチングストッパ層35が形成され、このエッチングストッパ層35上にフォトダイオード素子18が形成されている。このフォトダイオード素子18は、アモルファスシリコン(a−Si)を主成分としており、エッチングストッパ層35上に、n型アモルファスシリコン層36、i型アモルファスシリコン層37、p型アモルファスシリコン層38がCVD法によって順次積層され、外部から入射した光子を電荷に変換する機能を有している。このフォトダイオード素子18上には、フォトダイオード素子18への電流供給と外部からの光を透過する機能を有する透明導電膜39がスパッタ蒸着法によって形成されている。フォトダイオード素子18および透明導電膜39は、X線検出器11の画素12の単位で分離した構造を有しており、隣接する画素12間による電気的接続を遮断することにより、解像度の高いX線画像を得ることが可能となっている。
薄膜トランジスタ21、フォトダイオード素子18および透明導電膜39を覆って樹脂や無機絶縁物などで構成される絶縁層42が形成され、この絶縁層42上に透明導電膜39に電気的に接続される主に金属で構成されたバイアス電極43が形成され、絶縁層42およびバイアス電極43を覆って上部保護膜44が形成されている。そして、回路基板17やこの回路基板17上に形成されたフォトダイオード素子18などによって光電変換基板13が構成されている。
次に、X線検出器11の光電変換基板13の製造工程を説明する。
図2には、一般的な液晶表示装置の製造工程により製造された回路基板17を示し、ガラス基板15上に、ゲート電極27、絶縁膜28、半絶縁膜29、ソース電極30、ドレイン電極31および保護膜32を形成している。
図3に示すように、回路基板17の表面全体に、構成材料として酸化亜鉛を例えば5%程度添加した酸化インジウムを用いたエッチングストッパ層35を真空スパッタ蒸着法にて形成する。
このエッチングストッパ層35上に、n型アモルファスシリコン層36、i型アモルファスシリコン層37、p型アモルファスシリコン層38をCVD法によって順次積層形成する。その際、シラン(SiH4)、ジボラン(B2H6)、フォスフィン(PH3)などをプラズマ状態にて分解し、基板表面に各アモルファスシリコン層36,37,38を順番に積層形成する。
各アモルファスシリコン層36,37,38の形成後には、p型アモルファスシリコン層38上に、錫添加酸化インジウム(ITO)や酸化インジウム(IZO)などの透明導電膜39を真空スパッタ蒸着によって形成する。
続いて、図4に示すように、透明導電膜39の表面に感光性樹脂を塗布し、紫外線露光技術により感光性樹脂に格子状パターンを露光する。その後、現像工程を行うことによって、透明導電膜39上に感光性レジスト膜47のパターンを形成する。この状態において、蓚酸を主成分とする溶液中にて透明導電膜39の感光性レジスト膜47で覆われていない箇所をエッチングし、その後、フッ素プラズマを主成分とするドライエッチング技術によってアモルファスシリコン層38,37,36の順番に感光性レジスト膜47で覆われていない箇所をエッチングする。これにより、エッチングストッパ層35の感光性レジスト膜47で覆われていない箇所が露出する。
その後、図5に示すように、蓚酸を主成分とする溶液中にてエッチングストッパ層35の露出した部分を分解して除去し、さらに、感光性レジスト膜47を除去する。
ここで、エッチングストッパ層35の作用について説明する。エッチングストッパ層35の構成材料として酸化亜鉛を5%程度添加した酸化インジウム(IZO)を使用している。酸化インジウム(IZO)の主成分であるインジウムはフッ素との化合物の蒸気圧が低く、フッ素プラズマによるドライエッチング時には表面を蒸気圧の低いインジウムとフッ素の化合物で覆われるため、フッ素プラズマによるドライエッチングに対して耐久性があることが一般的に知られている。そのため、アモルファスシリコン層38,37,36を順番にエッチングするときに、各アモルファスシリコン層38,37,36の膜厚不均一によってエッチングストッパ層35の一部が露出しても、エッチングストッパ層35を構成する酸化インジウム(IZO)はフッ素プラズマによるドライエッチングに耐久性があるため、その下にある保護膜32がフッ素プラズマ中に露出することは無く、回路基板17の表面のダメージを防止することができる。
エッチングストッパ層35を構成する酸化インジウム(IZO)は透明導電膜の一種であり、内部の結晶状態がアモルファス状態であることが知られている。それに対して、類似する成分を持つ錫添加酸化インジウム(ITO)は熱によって結晶化を起こしやすいことが知られている。エッチングストッパ層35の構成材料として錫添加酸化インジウム(ITO)を用いた場合、その後の各アモルファスシリコン層36,37,38の成膜時に必要不可欠な加熱条件(220℃)にて結晶化を起こしてしまう。錫添加酸化インジウム(ITO)も酸化インジウム(IZO)と同様にフッ素プラズマによるドライエッチングに対して耐久性があることが知られているが、結晶化した錫添加酸化インジウム(ITO)はエッチング溶液によるウエットエッチングが困難となることが知られている。そのため、結晶化した錫添加酸化インジウム(ITO)をエッチングするためには、塩酸を主成分としたエッチング溶液を用いることが必要である。その際に、保護膜32や絶縁膜28中に含まれるピンホールや亀裂などからエッチング溶液が進入し、Alを主成分とする金属で構成されているソース電極30およびドレイン電極31や、ゲート電極27などを腐食させ、回路基板17の内部における断線や短絡が発生する可能性が高い。
それに対して、酸化インジウム(IZO)は結晶化しにくいため、酸化インジウム(IZO)を主成分とするエッチングストッパ層35を形成した後に、各アモルファスシリコン層36,37,38を成膜する際の加熱条件(約220℃)においても、酸化インジウム(IZO)はアモルファス状態を保つことができる。そのため、各アモルファスシリコン層38,37,36のドライエッチング後に、蓚酸を主成分とする溶液にてエッチングストッパ層35のエッチングが可能となる。エッチングストッパ層35のエッチング時に使用する蓚酸は、アモルファス状態の酸化インジウム(IZO)を良好にエッチングすることができ、さらにAl表面に対しては不動体膜を形成するため、Alを主成分とするソース電極30およびドレイン電極31や、ゲート電極27を腐食させるおそれは極めて少なく、回路基板17の内部の断線や短絡による製品不良を防止することが可能である。
また、エッチングストッパ層35にフッ素プラズマに対して耐久性のあるAlやCrを用いることも可能であるが、その際にはエッチングストッパ層35のエッチング時には蓚酸以外の塩酸などのエッチング溶液を用いる必要があり、そのエッチング溶液によるソース電極30およびドレイン電極31や、ゲート電極27の腐食の可能性が高くなる。また、塩素プラズマを用いたドライエッチング技術を使用する方法もあるが、専用の高価な設備が必要となり、安価な製品を供給することが難しくなってしまう。
また、エッチングストッパ35の構成材料である酸化インジウム(IZO)に酸化亜鉛を例えば5%程度添加している。これにより、酸化インジウム(IZO)をアモルファス状態にすることがてきるとともに電気的特性を向上できる。
そして、図5に示すようにエッチングストッパ層35の露出した部分を分解して除去するとともに感光性レジスト膜47を除去した後、図1に示すように、樹脂や無機絶縁物からなる絶縁層42を成膜してパターンを形成し、さらに、主に金属で構成されるバイアス電極43を積層し、最後に上部保護膜44を形成することで、光電変換基板13が完成する。
11 X線検出器
14 蛍光変換膜
17 回路基板
18 光電変換素子としてのフォトダイオード素子
35 保護層としてのエッチングストッパ層
14 蛍光変換膜
17 回路基板
18 光電変換素子としてのフォトダイオード素子
35 保護層としてのエッチングストッパ層
Claims (6)
- 回路基板上に光電変換素子および蛍光変換膜が形成されるX線検出器の製造方法であって、
前記回路基板上に酸化インジウムを主成分とするアモルファス状態の導電性物質にて保護層を形成し、
この保護層上に前記光電変換素子を構成する物質を積層し、
前記光電変換素子の形成域を除き前記光電変換素子を構成する物質をエッチングによって除去し、
前記光電変換素子の形成域を除き前記保護層を溶液によって分解して除去する
ことを特徴とするX線検出器の製造方法。 - 保護層を構成する導電性物質には亜鉛を添加する
ことを特徴とする請求項1記載のX線検出器の製造方法。 - 溶液には蓚酸を主成分とする溶液を用いる
ことを特徴とする請求項1または2記載のX線検出器の製造方法。 - 光電変換素子が設けられた回路基板と、この回路基板上に設けられX線を可視光に変換する蛍光変換膜とを有するX線検出器であって、
前記光電変換素子と前記回路基板との間に、酸化インジウムを主成分とするアモルファス状態の導電性物質にて形成された保護層が介在されている
ことを特徴とするX線検出器。 - 保護層を構成する導電性物質には、亜鉛が添加されている
ことを特徴とする請求項4記載のX線検出器。 - 保護層は、蓚酸を主成分とする溶液により分解可能とする
ことを特徴とする請求項4または5記載のX線検出器。
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2006
- 2006-12-22 JP JP2006345811A patent/JP2008159765A/ja not_active Withdrawn
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