JP2008157257A - ターボ分子ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】特定のプロセスによるポンプ内部での副生成物の生成を抑制または阻止したり、運転可能範囲を広く設定できるようにする。
【解決手段】ステータSとロータRを内部に収容するケーシング部14と、ステータSとロータRで構成される翼排気部L及び/または溝排気部Lと、翼排気部L及び/または溝排気部Lの周囲を包囲する内側ケーシング152と、内側ケーシング又は溝排気部Lのステータに取付けられた温度調整機構206,208を有する。
【選択図】図16

Description

本発明は、高速回転するロータにより気体の排気を行うようにしたターボ分子ポンプに関する。
従来のターボ分子ポンプの一例を図25に示す。このターボ分子ポンプは、筒状のポンプケーシング14の内部に、ロータ(回転部)Rとステータ(固定部)Sにより翼排気部L及び溝排気部Lが構成されている。ポンプケーシング14の下部は基部15によって覆われ、これには排気ポート15aが設けられている。ポンプケーシング14の上部には排気すべき装置や配管に接続するためのフランジ14aが設けられている。ステータSは、基部15の中央に立設された固定筒状部16と、翼排気部L及び溝排気部Lの固定側部分とから主に構成されている。
ロータRは、固定筒状部16の内部に挿入された主軸10と、それに取り付けられた回転筒状部12とから構成されている。主軸10と固定筒状部16の間には駆動用モータ18と、その上下に上部ラジアル軸受20及び下部ラジアル軸受22が設けられている。そして、主軸10の下部には、主軸10の下端のターゲットディスク24aと、ステータS側の上下の電磁石24bを有するアキシャル軸受24が配置されている。このような構成によって、ロータRが5軸の能動制御を受けながら高速回転するようになっている。
回転筒状部12の上部外周には、回転翼30が一体に設けられて羽根車を構成し、ポンプケーシング14の内面には、回転翼30と交互に配置される固定翼32が設けられ、これらが、高速回転する回転翼30と静止している固定翼32との相互作用によって排気を行う翼排気部Lを構成している。
さらに、翼排気部Lの下方には溝排気部Lが設けられている。すなわち、回転筒状部12には、外周面にねじ溝34aが形成されたねじ溝部34が固定筒状部16を囲むように設けられ、一方、ステータSには、このねじ溝部34の外周を囲むねじ溝部スペーサ36が配置されている。溝排気部Lは、高速回転するねじ溝部34のねじ溝34aのドラッグ作用によって排気を行う。
このように翼排気部Lの下流側にねじ溝排気部Lを有することで、広い流量範囲に対応可能な広域型ターボ分子ポンプが構成されている。この例では、ねじ溝排気部Lのねじ溝をロータR側に形成した例を示しているが、ねじ溝をステータS側に形成することも行われている。
上記のようなターボ分子ポンプは、以下のように組立てられる。まず、基部15に形成された環状凸部15bにねじ溝部スペーサ36の下面の段差面36aを嵌合させて取り付ける。次に、ロータRを所定の位置に据え、その回転翼30の間に通常半割の固定翼32を両側から組み込み、その上に上下に段差面を有するリング状の固定翼スペーサ38を乗せる。以下、この工程を順次繰り返してロータRを取り囲む固定翼32の積層構造を形成する。
最後に、上からポンプケーシング14を上記の積層構造の周囲に装着し、その下部のフランジ14bをステータSの基部15にボルト等で固定し、ポンプケーシング14の内周面上部の段差面14cで最上段の固定翼スペーサ38を押さえて積層構造及びねじ溝部スペーサ36を固定する。このような構成から分かるように、各固定翼32はその縁部を上下の固定翼スペーサ38により上下から押さえられ、同様にねじ溝部スペーサ36も最下段の固定翼32と固定翼スペーサ38及び基部15の凸部15bに押さえられて周方向に共回りしないように拘束されている。
なお、図示しないが、ねじ溝部スペーサ36のステータSの固定筒状部16に対する固定を確実にするため、ねじ溝部スペーサ36をステータSの固定筒状部16に強固にボルト締結することも行われている。
このようなターボ分子ポンプにおいて、ロータRの偏心等による回転異常やそれに伴うロータR自体、特に回転筒状部12や回転翼30の破壊等が生じる場合がある。この場合、ロータRやその破片が固定翼スペーサ38やねじ溝部スペーサ36と衝突してステータS側にも径方向や円周方向に多大な力が加わることがある。
このような異常な力により、固定翼32やスペーサ36,38の変形のみならず、ポンプケーシング14や固定筒状部16の破損あるいはこれらの接合部の破断、あるいはこれらと外部との接続配管部の破断等を生じる可能性がある。このようなステータS側の破損や破断は、ターボ分子ポンプが用いられている処理装置の全体の真空を破壊し、処理装置自体や処理途中の製品への損害をもたらす他、処理ガスの外部放出を招く事故に繋がりかねない。
本発明は、特定のプロセスによるポンプ内部での副生成物の生成を抑制または阻止したり、運転可能範囲を広く設定できるようにしたターボ分子ポンプを提供することを目的とする。
本発明のターボ分子ポンプは、ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び/または溝排気部と、前記翼排気部及び/または前記溝排気部の周囲を包囲する内側ケーシングと、前記内側ケーシング又は溝排気部のステータに取付けられた温度調整機構を有することを特徴とするターボ分子ポンプである。
内側ケーシングにヒータや水冷配管等を取り付けることにより、局所的に昇温させたい場所や熱を奪いたい場所を任意に設定でき、特定のプロセスによるポンプ内部での副生成物の生成を抑制または阻止したり、運転可能範囲を広く設定することができる。
この発明の他の態様は、ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び/または溝排気部と、前記溝排気部の前記ステータの下端部に備えられた熱源を有することを特徴とするターボ分子ポンプである。
この発明の更に他の態様は、ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び溝排気部と、前記翼排気部の下流側と前記溝排気部の上流側との間に配置される冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプである。
この発明の更に他の態様は、ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び溝排気部と、前記ケーシング部の前記溝排気部に対向する部位に設けられる冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプである。
この発明の更に他の態様は、ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び溝排気部と、前記溝排気部の前記ステータの下部に備えられた熱源と前記翼排気部の下流側と前記溝排気部の上流側との間に配置される冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプである。
この発明の更に他の態様は、ステータとロータを内部収容するケーシング部と、前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び/または溝排気部と、前記溝排気部の前記ロータの下端部に設けた冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプである。
この発明によれば、局所的に昇温させたい場所や熱を奪いたい場所を任意に設定でき、特定のプロセスによるポンプ内部での副生成物の生成を抑制または阻止したり、運転可能範囲を広く設定することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、ターボ分子ポンプの一例を示すものである。図1に示す例では、円筒状の下部内側ケーシング140と上部内側ケーシング141によって内側ケーシング(衝撃吸収構造)142が構成されており、これにより固定翼32及び固定翼スペーサ38が固定されている。
すなわち、上部内側ケーシング141は、固定翼32と固定翼スペーサ38からなる積層構造を収容し、段差面141aによって積層構造を押さえた状態で、下端を下部内側ケーシング140の上端に形成された環状突起部140aに嵌合させて固定されている。下部内側ケーシング140は、ねじ溝部スペーサとしての機能を兼ねており、回転筒状部12のねじ溝部34とともに、溝排気部Lを構成している。
この内側ケーシング142の外径は、ポンプケーシング14の内径より小さく設定され、従って、内側ケーシング142とポンプケーシング14との間に隙間Tを形成している。内側ケーシング142は、その内周面の下端部をステータSの固定筒状部145に形成された円筒状の大径部145aの外周面に嵌合させており、この部分の嵌合のみによって固定されている。従って、固定翼32や下部内側ケーシング(ねじ溝部スペーサ)140に異常トルクが伝わった場合に、内側ケーシング142が共回りして衝撃を吸収し、固定側特にポンプケーシング14に衝撃を与えにくいようになっている。
このように構成したターボ分子ポンプは、フランジ14aを例えば真空処理チャンバに接続して用いられるが、何らかの理由でロータRの回転に異常が起き、あるいはロータRが破損すると、ロータRが固定翼32や下部内側ケーシング140に接触してその回転トルクが内側ケーシング142に伝達される。これにより、内側ケーシング142に大きな力が加えられ、固定翼32の積層構造や内側ケーシング142が部分的に変形して衝撃を吸収する。内側ケーシング142とポンプケーシング14の間に隙間Tが設けられているので、内側ケーシング142の一部が破損又は変形しても、その衝撃がポンプケーシング14に直接に伝達されることがなく、ポンプケーシング14やそれと外部の接続の破壊が防止される。
さらに大きな衝撃が伝達されると、固定側との係合が低度であるので、内側ケーシング142と大径部145aとの間の嵌合が外れ、内側ケーシング142は大径部145aをガイドとして共回りし、これによってさらに衝撃を吸収する。
尚、ここでは内側ケーシング142とポンプケーシング14の間に隙間Tが設けられている例を示したが、衝撃吸収をより積極的に行う観点から、内側ケーシングとポンプケーシングとの間に、図24(a),図24(b)の説明や、後述する図8の説明にあるような比較的柔軟な金属材料、高分子素材、あるいはこれらの複合素材からなる衝撃吸収部材186を介在させる方法も有効である。
ところで、図1の場合、内側ケーシング142は一重構造となっているが、ロータ破片の衝突による衝撃緩和や内側ケーシング自身の強度向上の観点から、図2のように、内側ケーシング142Aを、図1の内側ケーシング142の外側にさらに筒状の第2の内側ケーシング142aを設けた多重(二重以上)構造としても良いのは言うまでもない。
図3は、図1の変形例のターボ分子ポンプを示すものである。この例では、下部内側ケーシング140の内周面と、固定筒状部145の大径部145aの外周面との間に、摩擦低減構造143が介在している。この摩擦低減構造143としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂のような素材自体が低摩擦であるような部材の他、ボールベアリングやころベアリング等の低摩擦構造を用いることもできる。
このターボ分子ポンプでは、下部内側ケーシング140と固定筒状部145の大径部145aとの間に、摩擦低減構造143が設けられているので、これらの間に作用する摩擦力も低減し、大径部145aをガイドとして下部内側ケーシング140が回転し易くなる。従って、内側ケーシング142の衝撃吸収能力が向上し、ロータR破壊時の異常な回転トルクがポンプケーシング14側へ伝達するのをさらに低減させることができる。
図4は、更に他の例のターボ分子ポンプを示すものである。この例では、下部内側ケーシング146が、ロータRのねじ溝部34の外側に配置された外側筒状部146Aと、ねじ溝部34の内側に配置された内側筒状部146Bとがそれらの下方で連結部146Cにより連結されて二重筒状に構成され、回転筒状部12のねじ溝部34はこれらの間を回転するようになっている。内側筒状部146Bの内周面の上部には、内側に向かう突出部148が形成されており、この突出部148の内周面がステータSの固定筒状部147の外周面147aに嵌合されることにより固定されている。
外側筒状部146Aは、ねじ溝部スペーサとしての機能を兼ねており、回転筒状部12のねじ溝部34とともに溝排気部Lを構成している。連結部146Cには、溝排気部Lから排気ポート15aに連通するための連通孔146Dが形成されている。外側筒状部146Aは、図1に示す例と同様に、上部内側ケーシング141と一体になって、ポンプケーシング14との間に隙間を有する内側ケーシング142を構成している。
このように構成されたターボ分子ポンプにおいては、ロータRが破壊した場合でもロータの破片は外方に向かって飛散するので、ねじ溝部34の内側の内側筒状部146Bは変形しにくく、円筒状態を保持することができる。また、内側ケーシング142を固定するための突出部148が、異常トルクを受けやすい上部内側ケーシング141から最も遠い位置にあるために、上部内側ケーシング141が受けた衝撃が途中で吸収されて低減されて伝わるので、突出部148と固定筒状部147の外周面147aの嵌合部の形状も比較的維持される。
従って、内側筒状部146Bと外周面147aの嵌合が外れた後も、内側ケーシング142は全体としてこれらの係合面をガイドとして、外側筒状部146A、上部内側ケーシング141などとともに回転することができ、これにより、ロータR破壊時の異常な回転トルクのポンプケーシング14側への伝達を抑制することができる。
図5は、図4の変形例を示すもので、この変形例では、内側ケーシング142を構成する下部内側ケーシング146として、図4における内側筒状部146Bの代わりに、これより肉薄の円筒状の内側筒状部146Bが設けられて構成されており、この内側筒状部146Bの内周面とステータSの固定筒状部147の外周面147aとの間に、4フッ化エチレン樹脂等の摩擦低減部材184が装着されている。
このターボ分子ポンプでは、内側筒状部146Bと固定筒状部147との間に、摩擦低減部材184が介在しているので、これらの間に作用する摩擦力も低減され、固定筒状部147をガイドとして内側筒状部146Bが外側筒状部146A、上部内側ケーシング141などとともに回転し易くなる。その結果、ロータ破壊時等の異常な回転トルクがポンプケーシング14側へ伝達するのをさらに低減することができる。
図6は、図4の他の変形例を示すものである。この変形例では、内側筒状部146B等をさらに回転し易くするために、図5における摩擦低減部材184の代わりに、摩擦低減構造としてメカニカルベアリング(ボールベアリングやころベアリング等)185が用いられている。
図7は、更に他の例のターボ分子ポンプを示すものである。この例では、下部内側ケーシング150とねじ溝部スペーサ151とが別個に設けられている。すなわち、互いに嵌合して内側ケーシング152を構成する下部内側ケーシング150と上部内側ケーシング153によって固定翼32と固定翼スペーサ38の積層構造及びねじ溝部スペーサ151が固定保持されている。上部内側ケーシング153には、その上端に内方に向かって突出された円環状の押え部153aが形成されている。
外側筒状部150Aおよび上部内側ケーシング153の内周面と、各固定翼スペーサ38およびねじ溝部スペーサ151の外周面との間には、比較的柔軟な金属材料、高分子素材、あるいはこれらの複合素材などからなる衝撃吸収部材186が設けられている。
下部内側ケーシングは、図6の例と同様に、外側筒状部150A及び内側筒状部150Bが、連通孔150Dを有する連結部150Cによって連結されて構成されている。内側筒状部150Bの内周面とステータSの固定筒状部147の外周面147aとの間には、摩擦低減構造(メカニカルベアリング)185が設けられている。
この例では、図6の例の作用に加えて、外側筒状部150A及び上部内側ケーシング153と、各固定翼スペーサ38及びねじ溝部スペーサ151との間にも衝撃吸収部材186が設けられているので、ロータRから各固定翼スペーサ38等に伝達された衝撃力が内側ケーシング152自体に伝達されるのが軽減される。これにより内側ケーシング152の保護機能が向上し、結果的に、上部内側ケーシング153および外側筒状部150Aとポンプケーシング14との間の隙間Tの寸法をより狭くして全体をコンパクトにすることができる。
図8は、図7の衝撃吸収部材186の他の例を示すもので、軸方向に延びる棒状のパイプ189を筒状に連ねたものを、内側ケーシング142と固定翼スペーサ38またはねじ溝部スペーサとの間に配置している。この例の衝撃吸収部材186は、パイプの製作及びターボ分子ポンプの組立が容易であるという利点を有する。衝撃吸収部材186としては、パイプに限ることなく、先述した比較的柔軟な金属材料、高分子素材、あるいはこれらの複合素材を用いて、衝撃を吸収しやすい形状(例えばハニカム構造や単なる球形状の集合体)に構成すればよい。腐食性ガス等を排気することを考慮して、素材自身に耐食性のある材料を選ぶのが良く、また表面にニッケルコーティング等の耐食性表面処理を行うことにより、より低コストで同等の効果を得ることができる。
図9及び図10は、更に他の例のターボ分子ポンプを示すものである。この例では、図7の翼排気部の上流側すなわちターボ分子ポンプの入口に別の衝撃吸収構造154が付加されている。すなわち、主軸10が上方に延長されて延長部10aが形成されているとともに、上部内側ケーシング153の円環状の押え部154aから内方に向かって十字状に延びる断面矩形のステー部154bが形成され、さらに、これらステー部154bの中心部に、リング状の上部内側筒部154cが、微小な隙間tをもって延長部10aを囲むように形成されている。
このターボ分子ポンプでは、図7の例と同様の効果を奏するのに加えて、さらに以下のような効果を奏する。すなわち、別の衝撃吸収構造154を翼排気部Lの上流側に設けており、この位置には回転翼30や固定翼32がないので、これらの破損等に伴う衝突等の影響を受けにくい。従って、押え部154a、ステー部154b、上部内側筒部154cはその形態が維持され、主軸10の延長部10aとの摺動によって内側ケーシング152全体が主軸10を中心に回転して、その衝撃吸収機能を長時間維持することができる。
図11及び図12は、更に他の例のターボ分子ポンプを示すものである。この例では、入口側の衝撃吸収構造154がロータRではなく、ステータS側に固定された軸体のまわりに摩擦低減機構を介して取り付けられている。すなわち、主軸10の上端部は短く形成されており、一方、ポンプケーシング14の内周面上端部には、ベアリング保持部材190が内側に延びて設けられている。
このベアリング保持部材190は、ポンプケーシング14に固定された環状部190aと、この環状部190aから内方に向かって十字状に延びる断面が矩形のステー部190bと、これらステー部190bの中心部に円板状に形成された円板部190cと、この円板部190cから下方に向かって延びる円柱状の軸体190dとを備えている。一方、上部内側ケーシング153の円環状の押え部154aから内方に向かって十字状に延びる四角板状のステー部154bが形成され、さらに、これらステー部154bの中心部に、円筒状の上部内側筒部154cが主軸10の上方に形成されている。軸体190dの外周面と上部内側筒部154cとの間には、メカニカルベアリング(摩擦低減機構)192が設けられている。
このターボ分子ポンプでは、図9の例の場合に比較して、衝撃吸収構造154が、ステータS側に固定された軸体のまわりに摩擦低減機構192を介して取り付けられているので、内側ケーシング152の回転を維持する機能をより一層効果的に維持することができる。
図13は、図7の変形例を示すもので、この例では、内側ケーシング152を構成する下部内側ケーシング150と上部内側ケーシング153の外径が異なるように設定されている。すなわち、下部内側ケーシング150には内側筒状部150Bを設けておらず、下部内側ケーシング150は上部内側ケーシング153より外径が小径になっている。これは、ねじ溝排気部Lの方が翼排気部LよりロータRに負荷される応力が大きくなるので、その径寸法を翼排気部Lより小さくした方が安定になるからである。
図7の場合と同様に、上部内側ケーシング153と翼排気部Lの固定翼スペーサ38の組立体及び下部内側ケーシング150とねじ溝部スペーサ151の間に、この例ではコイル状パイプからなる衝撃吸収部材186がそれぞれ配置されている。
このように設定することにより形成された下部内側ケーシング150とポンプケーシング14の間のスペースに、上下2個のメカニカルベアリング194からなる摩擦低減構造196が設けられている。この摩擦低減構造196は、図7の固定筒状部147側に設けられたメカニカルベアリングよりも大径であり、異常発生時に内側ケーシング152の回転をより安定に維持することができる。このように、下部内側ケーシング150とポンプケーシング14の間のスペースにメカニカルベアリング194を配置することにより、ポンプを大きくすることなく衝撃吸収構造を構成することができる。
この2個のベアリング194は、ロータRが破壊した際、ラジアル方向の大きな衝撃力を受けるため、なるべく軸方向距離を大きくとって、内側ケーシング152が傾かないように保持能力を高めるのが望ましい。そのため、一方を翼排気部Lの吸気口近傍に、他方をねじ溝排気部Lの排気口近傍に配置してもよい。また、ベアリング194を軸方向に3個以上配置してもよい。
メカニカルベアリング194の方式としては、ロータRの破壊の際、軸方向荷重が発生する可能性があるため、ラジアル荷重だけを受ける深溝ボールベアリングやころベアリングの他にアンギュラベアリングの単列または組み合わせの使用が考えられる。腐食性ガス等を排気するポンプにおいてはベアリングの耐食性を確保するためベアリング自身をステンレス鋼で製作するか、耐食性のない材料のベアリングでも表面をニッケルコーティング等の耐食表面処理を行えば良い。
尚、メカニカルベアリング194は、予め組立てられたものではなく、図14のようにポンプケーシング14と内側ケーシング152にベアリングの軌道面195を直接形成し、組立て時にボール195aのみを軌道面に配置する方法もコストダウンの観点から非常に有効である。
この例では、排気ガスの排気側から吸気側への逆流防止や、衝撃吸収構造のメカニカルベアリングの保護のため、翼排気部Lの最上段の固定翼スペーサ38とポンプケーシング(外側ケーシング)14の内面に突出する押え部198との間、及び下部内側ケーシング150とステータとの間にシール部材200が設けられている。シール部材200としてはOリング状またはシート状のフッ素ゴム等が用いられる。
固定翼スペーサ38やねじ溝部スペーサ151は、内側ケーシング142,152が回転する際、ポンプケーシング14やステータSと接触し、回転を阻害する可能性があるため、ポンプケーシング14やステータSと近接・接触する部分の面積を少なくするように、スペーサ38の径方向の肉厚を極力少なくしている。また、一部に壊れやすい構造(円周スリット等)を形成し、異常トルク作用時に軸方向の機械的拘束が確実に外れるようにするのが好ましい。
上記の各例において、内側ケーシング142,152の厚さ及び内側ケーシング142,152とポンプケーシング14との隙間Tは数mm(3mm〜10mm)程度が適当である。また、上部内側ケーシング141,153と下部内側ケーシング140,146,150との接続方法は、図15に示すように、下部内側ケーシング側のフランジ厚さt1を3〜5mm程度と薄くして径方向外側からボルトを入れ込む構造が、ポンプの径方向寸法を小さくすると共にベアリングを配置する際のベアリング間の軸方向寸法を大きくとれる為、非常に有効である。ボルトのサイズとしてはM6〜M10、本数は数本から50本以下が適当である。
上記の各例において、内側ケーシング142,152、固定翼32あるいは固定翼スペーサ38にはロータRの破壊時の衝撃が印加されるため、強度が高く、伸びのあるステンレス鋼やアルミニウム合金が適している。特にコストダウンとポンプの軽量化の点ではアルミニウム合金が有効である。一方、ポンプケーシング14として比強度の高いアルミニウム合金等を使用するとポンプの軽量化を図ることができる。また、固定翼スペーサ38の形状としては固定翼スペーサ自身が衝撃力を緩和できるように、円周状の溝等を形成し、変形しやすいものとするのも有効である。
図16及び図17は、本発明の実施の形態のターボ分子ポンプを示すもので、この実施の形態では、ねじ溝排気部Lの径寸法を翼排気部Lより小さくしたことに対応して、外側のポンプケーシング14自体も、ねじ溝排気部Lに対応する箇所の径寸法を翼排気部Lに対応する箇所より小さくしている。すなわち、ポンプケーシング14は、吸気側ポンプケーシング14Aと、その下方のより小径の排気側ポンプケーシング14Bとから構成されている。下部内側ケーシング150とねじ溝部スペーサ151の間には衝撃吸収部材186が配置されている。下部内側ケーシング150はその外周の上下2ヶ所において、メカニカルベアリング194a,194bによって支持されている。
下部内側ケーシング150の上部フランジ部には伝熱性の良い材料(アルミニウム合金、銅等)からなる伝熱部材202が組み込まれ、これは排気側ポンプケーシング14Bの上部フランジ14dに取り付けられた第2の伝熱部材204に接するように取り付けられている。一方、排気側ポンプケーシング14Bの上部フランジ14d近傍には、冷却水のための水冷配管206を設けている。これにより、翼排気部Lの下流部でロータRが排気ガスを攪拌することによって生成する発熱を、伝熱部材202,204を介して排気側ポンプケーシング14Bに伝え、発散させることができる。従って、発熱を効率よく奪うことができ、ポンプの運転可能範囲(ガス量と圧力の範囲)を広くとることができる。もし、ロータRに異常が生じて内側ケーシング152が回転しようとした場合でも伝熱部材202,204が2つの部材から構成されているため、回転を束縛することはなく、発生トルクを低減できる。
一方、ねじ溝部スペーサ151の下部には、排気ガスに起因する生成物を阻止するための昇温手段としてヒータ208が組み込まれている。排気ガスに起因する生成物が生じやすいねじ溝排気部のねじ溝スペーサ部を昇温するために、ヒータ208を直接取り付け、温度検知機能と組み合わせて温度を調整することにより、生成物を生じないようにすることができる。このように内側ケーシング152や周辺部品にヒータや水冷配管を取り付けたり、伝熱部材を組み込むことにより局所的に昇温させたい場所や熱を奪いたい場所を任意に設定でき、特定のプロセスによるポンプ内部での副生成物を抑制または阻止したり、運転可能範囲を広く設定することができる。
図18及び図19に示すのは、更に他の例のターボ分子ポンプであり、翼排気部Lにおいて固定翼スペーサ38によって構成される積層構造の翼排気部ステータ構造体244がポンプケーシング14と密着していない構造になっている点が、図25の従来のものと異なっている。
翼排気部ステータ構造体244は、複数のリング状の固定翼スペーサ252を固定翼32を挟着した状態で積層して構成され、上下の芯出し及びズレの防止のために、周方向に延びる段差252aを有している。固定翼スペーサ252の外径は、ポンプケーシング14の内径よりも小さくなっており、これにより、翼排気部ステータ構造体244とポンプケーシングの間に、例えば数mm(3mm〜10mm)程度の所定の寸法の隙間Tが形成されている。
各固定翼スペーサ252には、周方向に等間隔に貫通穴262(最上部の固定翼スペーサ252には未貫通穴264a)が形成されており、これにより、翼排気部ステータ構造体244を組立てた時に、軸方向に延びる貫通孔263が形成されるようになっている。そして、この貫通孔263には、翼排気部ステータ構造体244のほぼ全長にわたる長さを有する、この例では中空円筒状の筋部材242が各スペーサを挿通するように装着されている。筋部材242は、中実や任意の形状であってもよいが、中空円筒状のパイプで構成することで、剛性とエネルギー吸収特性を確保しつつ軽量化を図ることができる。また、この例では、筋部材242の外径は貫通孔263の内径とほぼ等しく設定しているが、それより小さくしてもよく、また、外面に溝を付けて貫通孔263内面と部分的に接触するようにしてもよい。
筋部材242は、ターボ分子ポンプの通常の稼動条件で負荷される力では変形することなく翼排気部ステータ構造体244の形状を維持し、かつ、ロータの異常接触による衝撃トルクが作用したときには塑性変形あるいは破断して衝撃エネルギーを吸収するものであることが望ましい。従って、筋部材242の素材、太さ(肉厚)、形状、本数等は、想定される衝撃の大きさに対応して決定される。素材としては、靱性が高くしかも変形しやすいステンレス鋼のようなものが好ましい。また、異なる素材を組み合わせた複合素材であってもよい。
ねじ溝排気部Lは、回転筒状部12のねじ溝部34と、これを取り囲むように配置されたねじ溝部スペーサ256とで構成されており、ねじ溝部スペーサ256は、例えば比較的柔軟な金属材料、高分子素材、あるいはこれらの複合材料などからなる筒状の衝撃吸収部材254を介して筒状の下部内側ケーシング250に取り付けられている。下部内側ケーシング250は、上下2個のメカニカルベアリング(摩擦低減機構)258を介してポンプケーシング14に対して摺動可能に取り付けられている。
下部内側ケーシング250の上部には外側へ張り出すフランジ251が設けられ、これの上面には、上述した翼排気部ステータ構造体244の貫通孔263と対応する位置に同径の凹所264bが設けられている。そして、貫通孔263の下端から突出する筋部材242をそれぞれの凹所264bに挿入することにより、翼排気部ステータ構造体244と下部内側ケーシング250が周方向の相対移動を規制されるように結合され、これにより、ポンプケーシング14とは別体のポンプ部ステータ構造体265が構成されている。
この2個のベアリング258は、ロータRが破壊した際、ポンプ部ステータ構造体265に負荷されるラジアル方向の大きな衝撃力を受ける場合でもポンプ部ステータ構造体265が傾かないように、なるべく軸方向距離を大きくとることにより、衝撃力に対する保持能力を高めるのが望ましい。そのため、一方を翼排気部Lの吸気口近傍に(つまり翼排気部ステータ構造体244の外面に)、他方をねじ溝排気部Lの排気口近傍に配置してもよい。また、ベアリング258を軸方向に3個以上配置してもよい。この例では、ねじ溝排気部Lが翼排気部よりも小径である点を利用して、ベアリング258を収容する空間を形成しているので、ポンプ全体の外径を大きくすることなく、コンパクト性を維持することができる。
メカニカルベアリング258としては、ラジアル荷重だけを受ける深溝ボールベアリングやころベアリングの他に、ロータRの破壊の際に軸方向荷重が発生する可能性があるため、軸方向荷重を受けることができるアンギュラベアリングの単列または組み合わせの使用が考えられる。腐食性ガス等を排気するポンプにおいてはベアリングの耐食性を確保するためベアリング自身をステンレス鋼で製作するか、耐食性のない材料のベアリングでも表面をニッケルコーティング等の耐食表面処理を行えば良い。
このようなポンプ部ステータ構造体265の組立は、基本的に、従来の図25の場合と同様に行われる。すなわち、下部内側ケーシング250の上面に半割の固定翼32を両側から組み込み、その上に固定翼スペーサ252を嵌合させて取り付け、その上面に回転翼30の両側から固定翼32を組み込み、その上に固定翼スペーサ252を嵌合させて取り付ける。以下、この工程を順次繰り返してロータRを取り囲む固定翼32の積層構造を形成する。そして、これをポンプケーシング14の下側から挿入し、さらに、下から基部15を取り付けることにより、ポンプ部ステータ構造体265は、ポンプケーシングの内面に突出する張出し部260と基部15の間で固定される。
この例では、排気ガスの排気側から吸気側への逆流防止や、メカニカルベアリング258の保護のため、最上段の固定翼スペーサ252とポンプケーシング14の張出し部260との間、及び下部内側ケーシング250とステータとの間にシール部材266が設けられている。このシール部材266としては、例えばOリング状またはシート状のフッ素ゴム等が用いられる。
この例において、ポンプ部ステータ構造体265を構成する翼排気部ステータ構造体244(固定翼スペーサ252と固定翼32)及び下部内側ケーシング250には、異常時にロータRの破壊時の衝撃が印加されるため、これらの部材には強度が高く伸びのあるステンレス鋼やアルミニウム合金が適している。特に、コストダウンとポンプの軽量化の点ではアルミニウム合金が有効である。一方、ポンプケーシング14として比強度の高いアルミニウム合金等を使用するとポンプの軽量化を図ることができる。
このように構成したターボ分子ポンプは、フランジ14aを、例えば真空処理チャンバや配管に接続して用いられる。何らかの理由でロータRの回転に異常が起き、あるいはロータRが破壊すると、ロータRが固定翼32やねじ溝部スペーサ256に接触してその回転トルクが翼排気部ステータ構造体244や下部内側ケーシング250つまりポンプ部ステータ構造体265に伝達される。
この時、翼排気部Lにおいては、一部の固定翼スペーサ252に周方向に衝撃が負荷され、これにより筋部材242に衝撃が伝達されて筋部材242が曲げ変形し、あるいは破断する。このように、筋部材242が塑性変形し、あるいは破断することにより衝撃エネルギーを吸収し、ポンプケーシング14への衝撃伝達を防止することができる。翼排気部ステータ構造体244とポンプケーシング14の間に隙間Tが設けられているので、翼排気部ステータ構造体244が多少変形しても、その衝撃がポンプケーシング14に直接に伝達されることがない。従って、ポンプケーシング14自体やポンプケーシング14と外部との接続の破壊が防止される。
これと並行して、あるいは変形の前後に、ポンプ部ステータ構造体265がロータRの回転に伴って共回りする。すなわち、ポンプ部ステータ構造体265とポンプケーシング14との係合はシール部材266を介しての上下からの押えによってなされているだけで比較的緩く、しかも両者の間にメカニカルベアリング258が介装されているので、ポンプ部ステータ構造体265はロータRの回転に伴って共回りし、これによって更に衝撃が吸収される。この時、固定翼スペーサ252とポンプケーシング14の間に隙間Tが設けられているので、ポンプ部ステータ構造体265が共回りしても、その衝撃がポンプケーシング14に直接に伝達されることはない。なお、ねじ溝排気部Lにおいては、ロータRから下部内側ケーシング250へ伝達される衝撃力が衝撃吸収部材254で軽減される。なお、ポンプ部ステータ構造体265の変形と共回りは、上記のように両方が起こる場合と、いずれか一方のみが起きる場合があり、それは、それぞれの場合の想定される衝撃の強度に応じて設定すればよい。
図20は、更に他の例のターボ分子ポンプを示すもので、この例では、固定翼スペーサ252の上下面に嵌合用の段差が設けられていない。従って、固定翼スペーサ252どうしの径方向の位置決めは、筋部材242によってのみなされており、径方向の拘束が弱くなっている。他の構成は、図18及び図19に示す例と同様である。
この例によれば、ロータRの破片が固定翼スペーサ252に衝突した時に、固定翼32が周方向だけでなく径方向にもずれ移動することができる。従って、筋部材242も、周方向と径方向に変形あるいは破断することができ、より大きな衝撃エネルギーを吸収することができる。また、高い加工精度を必要とする嵌合部をなくすことで、固定翼スペーサ252の作製が容易となり、生産性の向上を図ることができる。
図21は、本発明の他の実施の形態を示すもので、図16及び図17の実施の形態と同様に、局所的な温度制御を行って、特定のプロセスによるポンプ内部での副生成物を抑制または阻止したり、ポンプの運転可能範囲を広く設定することができるものである。
図22は、更に他の例のターボ分子ポンプを示すもので、翼排気部Lの動翼の径方向寸法が排気側において小さくなっていることに対応し、ステータ構造体を排気側において二重にしたものである。この図では、ロータを支持するための磁気軸受部及び回転させるためのモータ部の詳細は省略されている。翼排気部ステータ構造体244a,244bは、外側及び内側の固定翼スペーサ252A,252Bに、それぞれ上述した筋部材242を挿通して配置することにより構成されている。内側の固定翼スペーサ252Bも、外側の固定翼スペーサ252Aと同様に、内側に固定翼32を組み込むために2つ以上の分割体から構成する必要がある。この例の組立は、内側の翼排気部ステータ構造体244bを形成した後に、これの外側に固定翼スペーサ252Aから構成される外側の翼排気部ステータ構造体244aを組み込むことにより行われる。下部内側ケーシング250のフランジ上面には、外内の筋部材242a,242bの下端をそれぞれ収容する凹所264bが形成されている。
このような構成により、翼排気部の排気側において気体を攪拌する回転翼の面積が減少するので、気体の撹拌による発熱を抑制することができる。また、翼排気部ステータ構造体244を部分的に二重に構成することにより、その剛性を高めるとともに、衝撃吸収能力をも高めている。
図23は、図22の変形例であり、翼排気部ステータ構造体244a,244b間もしくは翼排気部ステータ構造体244bとポンプケーシング14の間に衝撃吸収部材254a,254bを配置している。この図においても、ロータを支持するための磁気軸受部及び回転させるためのモータ部の詳細は省略されている。衝撃吸収部材254a,254bとしては、異常トルクの発生時に変形してエネルギーを吸収可能な素材からなるコイル状のパイプや筒状のパイプ等が好適である。これにより、全体として衝撃吸収能力をさらに向上させることができる。なお、ポンプ部ステータ構造体265とポンプケーシング14の間に配置する衝撃吸収部材254bには、摺動性の良いものあるいはそのような表面性状を有するものが好ましい。
図24(a)及び図24(b)に示すのは、衝撃吸収部材186の例であり、図24(a)では、比較的剛性の高いステンレス板187と比較的柔らかく衝撃吸収機能の高い鉛板188とを重ねた複合素材として構成されている。これにより、衝撃吸収機能と形状維持機能を併せ持つようにしている。図24(b)では、衝撃吸収部材186が、金属製のパイプをコイル状に巻いて構成されている。
上記では、本発明の種々の構成を翼排気部Lとねじ溝排気部Lを有する広域型ターボ分子ポンプに適用して説明したが、ターボ分子ポンプであれば任意のものに適用することができる。つまり、それぞれの構成の趣旨に従い、本発明の構成を翼排気部Lのみあるいはねじ溝排気部Lのみを有するポンプに採用してもよく、翼排気部Lとねじ溝排気部Lの双方を有する広域型ターボ分子ポンプにおいて一方の排気部のみに本発明の構成を採用しても良いことは勿論である。
ターボ分子ポンプの一例を示す断面図である。 図1の変形例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 図1の他の変形例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプの要部を示す断面図である。 図4の変形例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 図4の他の変形例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 衝撃吸収部材の更に他の例を示す断面図及び斜視図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 図9のターボ分子ポンプの上面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 図11のターボ分子ポンプの上面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 メカニカルベアリングの他の例を示す断面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 本発明の実施の形態のターボ分子ポンプを示す断面図である。 図16のターボ分子ポンプの要部を拡大して示す断面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 図18のX−X線断面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す断面図である。 本発明の他の実施の形態のターボ分子ポンプを示す断面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す部分断面図である。 更に他の例のターボ分子ポンプを示す部分断面図である。 (a)衝撃吸収部材の一つの例を示す断面図であり、(b)衝撃吸収部材の他の例を示す斜視図である。 従来のターボ分子ポンプを示す断面図である。
符号の説明
14 ポンプケーシング
15 基部
30 回転翼
32 固定翼
142,142a,142A,152 内側ケーシング
143 摩擦低減構造
154 衝撃吸収構造
184 摩擦低減部材
186 衝撃吸収部材
192 摩擦低減機構
202,204 伝熱部材
204 伝熱部材
206 水冷配管
208 ヒータ
242,242a,242b 筋部材
244,244a,244b 翼排気部ステータ構造体
254,254a,254b 衝撃吸収部材
265 ポンプ部ステータ構造体
翼排気部
溝排気部
R ロータ
S ステータ
T 隙間
t 隙間

Claims (13)

  1. ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、
    前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び/または溝排気部と、
    前記翼排気部及び/または前記溝排気部の周囲を包囲する内側ケーシングと、
    前記内側ケーシング又は溝排気部のステータに取付けられた温度調整機構を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
  2. ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、
    前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び/または溝排気部と、
    前記溝排気部の前記ステータの下端部に備えられた熱源を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
  3. ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、
    前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び溝排気部と、
    前記翼排気部の下流側と前記溝排気部の上流側との間に配置される冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
  4. 前記ステータの下流側に他の冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項3記載のターボ分子ポンプ。
  5. ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、
    前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び溝排気部と、
    前記ケーシング部の前記溝排気部に対向する部位に設けられる冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
  6. 前記冷却装置は、前記翼排気部の前記ステータ及び/またはロータを冷却することを特徴とする請求項5記載のターボ分子ポンプ。
  7. 前記冷却装置と前記翼排気部の前記ステータとの間に伝熱径路が設けられていることを特徴とする請求項5記載のターボ分子ポンプ。
  8. 前記ステータの下流側に他の冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項5記載のターボ分子ポンプ。
  9. ステータとロータを内部に収容するケーシング部と、
    前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び溝排気部と、
    前記溝排気部の前記ステータの下部に備えられた熱源と
    前記翼排気部の下流側と前記溝排気部の上流側との間に配置される冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
  10. 翼排気部及び/または溝排気部の前記ステータ及び/または前記ロータの周囲を包囲する内側ケーシングを更に有することを特徴とする請求項9記載のターボ分子ポンプ。
  11. 前記内側ケーシングと前記ケーシング部との間に伝熱径路が設けられていることを特徴とする請求項10記載のターボ分子ポンプ。
  12. 前記内側ケーシングと固定翼スペーサとの間に伝熱径路が設けられていることを特徴とする請求項10記載のターボ分子ポンプ。
  13. ステータとロータを内部収容するケーシング部と、
    前記ステータと前記ロータで構成される翼排気部及び/または溝排気部と、
    前記溝排気部の前記ロータの下端部に設けた冷却装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
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