JP2008153019A - 燃料電池セルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属板と膜・電極接合体の電気的接触状態を良好に保持可能な燃料電池セルの製造方法を提供する。
【解決手段】板状の膜・電極接合体と、この膜・電極接合体の両側に配置された第1及び第2の金属板5とを備え、これらの金属板5の周縁領域5aが絶縁層を間に介在させた状態で機械的に封止される燃料電池セルの製造方法において、周縁領域5aに立ち上げ部が形成された第1の金属板、膜・電極接合体、第2の金属板5の順に上下方向にセットされた状態で第1の金属板の周縁領域の立ち曲げ部を内側方向へ倒してカシメ封止する工程と、この工程後、燃料電池セルの全体形状を平面状からアーチ状に加工する工程と、を少なくとも有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、板状の膜・電極接合体と、この膜・電極接合体の両側に配置された第1及び第2の金属板とを備え、これらの金属板の周縁領域が絶縁層を間に介在させた状態で機械的に封止される燃料電池セルの製造方法に関するものである。
かかる燃料電池セルとして、例えば、下記特許文献1に開示される構成のものが知られている。この燃料電池セルは、板状の膜・電極接合体の両側にカソード板、アノード板として夫々機能する第1の金属板、第2の金属板が備えられており、金属板の周縁領域が絶縁層を間に介在させた状態で機械的に封止されている。かかる構成によれば、セル全体として、薄板状に形成できるので薄型化・小型化に寄与することができる。燃料ガスの流路は、金属板の内側に形成される。
一方、上記のような薄型の燃料電池セルを製造する技術として、下記特許文献2に開示される製造方法及び製造設備が知られている。この製造工程によれば、周縁領域に立ち上げ部が形成された第1の金属板、膜・電極接合体、第2の金属板の順に上下方向にセットされた状態で第1の金属板の周縁領域の立ち曲げ部を内側方向へ倒して機械的に封止(カシメ封止)する工程を有しており、部材の変形を抑制しながらも確実に薄型の燃料電池セルを製造可能にしている。
特開2005−332744号公報 特開2006−86041号公報
上記構成を有する燃料電池セルにおいて、電気出力をできるだけ多くとれるようにすることが好ましい。出力を多くとるためには、第1・第2の金属板と膜・電極接合体の接触状態を良好にする必要がある。これにより、接触抵抗を減らし出力効率を高めることができるからである。従って、薄型の燃料電池セルも、上記接触状態を良好にできる構造にすることが好ましい。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、金属板と膜・電極接合体の電機接触状態を良好に保持可能な燃料電池セルの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る燃料電池セルの製造方法は、
板状の膜・電極接合体と、この膜・電極接合体の両側に配置された第1及び第2の金属板とを備え、これらの金属板の周縁領域が絶縁層を間に介在させた状態で機械的に封止される燃料電池セルの製造方法において、
周縁領域に立ち上げ部が形成された第1の金属板、膜・電極接合体、第2の金属板の順に上下方向にセットされた状態で第1の金属板の周縁領域の立ち曲げ部を内側方向へ倒して機械的に封止する工程と、
この工程後、燃料電池セルの全体形状を平面状からアーチ状に加工する工程と、を少なくとも有することを特徴にするものである。
かかる構成による燃料電池セルの製造方法の作用・効果を説明する。製造すべき燃料電池セルは、板状の膜・電極接合体と、その両側に配置される一対の金属板を備えている。その加工工程において、周縁領域に立ち上げ部が形成された第1の金属板(箱型形状を有する)、膜・電極接合体、第2の金属板の順番に上下方向にセットする。そして、第1の金属板の周縁領域を内側方向へ倒すことで、周縁領域が機械的に封止される。また、周縁領域には絶縁層が介在しており、第1の金属板と第2の金属板は絶縁された状態で封止される。この状態で平面状の燃料電池セルが製造される。さらに、この封止工程の後、燃料電池セルの全体形状を平面状からアーチ状に加工する工程を有している。これにより、第1・第2の金属板及び膜・電極接合体がアーチ状に変形され、これにより、金属板と膜・電極接合体の電機接触状態が改善される。その結果、金属板と膜・電極接合体の電機接触状態を良好に保持可能な燃料電池セルの製造方法を提供することができる。
本発明において、第1の金属板は、空気を取り込むための孔が多数形成されたカソード側金属板として機能し、第1の金属板の表面が凸になるようなアーチ状に加工することが好ましい。
この構成によると、空気を取り込むための孔が形成された第1の金属板の表面が凸になるようにアーチ状に加工されているので、空気を取り込みやすい形状にすることができる。
本発明において、第1の金属板の表面には、アーチ形成方向と交差する方向に切り込みが形成されていることが好ましい。かかる切り込みを形成することで、アーチ状に加工しやすくなる。
本発明に係る燃料電池セルの製造方法及び製造設備の好適な実施形態を図面を用いて説明する。まず、製造対象となる燃料電池セルの構成を説明する。図1は、本発明の燃料電池セルのアノード側から見た外観斜視図であり、図2は同じくカソード側から見た外観斜視図である。図3は、図1,2に示す燃料電池セルの一例を示す組み立て斜視図であり、図4は、図1,2に示す燃料電池セルの縦断面図である。図5は、流路溝の形状を示す図である。なお、図3はアーチ状に加工する前の状態で図示している。
本発明の燃料電池セルは、各図に示すように、板状の固体高分子電解質1と、その固体高分子電解質1の一方側に配置されたカソード側電極板2と、他方側に配置されたアノード側電極板3とを備えるものである。更に、カソード側電極板2の外側にカソード側金属板4(第1金属板に相当)が配置され、アノード側電極板3の外側にアノード側金属板5(第2金属板に相当)が配置される。
各金属板4,5の周縁領域4a,5aは、固体高分子電解質1及び電極板2,3を収容した後に、カシメ(プレス曲げ加工に相当)により封止される。また、説明の便宜上、金属板4,5の周縁領域4a,5a以外の領域を中央領域4b,5bと称することにする。
また、燃料電池セルは組み立てられた状態で薄型板状に形成されているおり、略矩形形状になっている。更に、燃料電池セルの全体形状は平面状ではなく、アーチ状に形成される。アーチが形成される方向は短辺方向であり、カソード側金属板4の表面が凸になるようなアーチ状となっている。従って、アノード側金属板5の表面は凹となっている。カソード側金属板4の側が凸になるようにすることで、空気を取り込みやすくしている。
固体高分子電解質1としては、従来の固体高分子膜型電池に用いられるものであれば何れでもよいが、化学的安定性及び導電性の点から、超強酸であるスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換膜が好適に用いられる。このような陽イオン交換膜としては、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられる。その他、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものでもよい。
固体高分子電解質1の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、イオン伝導機能、強度、ハンドリング性などを考慮すると、10〜300μmが使用可能であるが、25〜50μmが好ましい。
電極板2,3は、ガス拡散層としての機能を発揮して、燃料ガスや、酸化ガス及び水蒸気の供給・排出を行なうと同時に、集電の機能を発揮するものが使用できる。電極板2,3としては、同一又は異なるものが使用でき、その基材には電極触媒作用を有する触媒を担持させることが好ましい。触媒は、固体高分子電解質1と接する内面2b,3bに少なくとも担持させるのが好ましい。
電極基材としては、例えば、カーボンペーパー、カーボン繊維不織布などの繊維質カーボン、導電性高分子繊維の集合体などの電導性多孔質材が使用できる。一般に、電極板2,3は、このような電導性多孔質材にフッ素樹脂等の撥水性物質を添加して作製されるものであって、触媒を担持させる場合、白金微粒子などの触媒とフッ素樹脂等の撥水性物質とを混合し、これに溶媒を混合して、ペースト状或いはインク状とした後、これを固体高分子電解質膜と対向すべき電極基材の片面に塗布して形成される。
一般に、電極板2,3や固体高分子電解質1は、燃料電池に供給される還元ガスと酸化ガスに応じた設計がなされる。本発明では、酸化ガスとして空気が用いられると共に、還元ガスとして水素ガスを用いるのが好ましい。また、還元ガスの代わりに、メタノールやジメチルエーテル等を用いることもできる。
例えば、水素ガスと空気を使用する場合、空気が自然供給される側のカソード側電極板2では、酸素と水素イオンの反応が生じて水が生成するため、かかる電極反応に応じた設計をするのが好ましい。特に、低作動温度、高電流密度及び高ガス利用率の運転条件では、特に水が生成する空気極において水蒸気の凝縮による電極多孔体の閉塞(フラッディング)現象が起こりやすい。したがって、長期にわたって燃料電池の安定な特性を得るためには、フラッディング現象が起こらないように電極の撥水性を確保することが有効である。
触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の金属か、又はその酸化物が使用でき、これらの触媒をカーボンブラック等に予め担持させたものも使用できる。
電極板2,3の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、電極反応、強度、ハンドリング性などを考慮すると、50〜500μmが好ましい。電極板2,3と固体高分子電解質1とは、予め接着、融着等を行って積層一体化しておいてもよいが、単に積層配置されているだけでもよい。このような積層体は膜・電極接合体10(Membrane Electrode Assembly:MEA)として入手することもでき、これを使用してもよい。
カソード側電極板2の表面にはカソード側金属板4が配置され、アノード側電極板3の表面にはアノード側金属板5が配置される。アノード側金属板5には燃料の注入口5c及び排出口5dが設けられ、更に本実施形態では、アノード側金属板5に流路溝9(図5参照)が設けられている。
カソード側金属板4には、空気中の酸素を供給するための多数の開口孔4cが設けられている。開口孔4cは、カソード側電極板2が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは何れでもよい。但し、空気中の酸素の供給効率と、カソード側電極板2からの集電効果などを考慮すると、開口孔4cの面積はカソード側電極板2の面積の10〜50%であるのが好ましく、特に20〜40%であるのが好ましい。カソード側金属板4の開口孔4cは、例えば規則的又はランダムに複数の円孔やスリット等を設けたり、または金属メッシュによって開口部を設けてもよい。
金属板4,5としては、電極反応に悪影響がないものであれば何れの金属も使用でき、例えばステンレス板、ニッケル、銅、銅合金などが挙げられる。但し、伸び、重量、弾性率、強度、耐腐食性、プレス加工性、エッチング加工性などの観点から、ステンレス板、ニッケルなどが好ましい。
アノード側金属板5に設けられる流路溝9は、電極板3との接触により水素ガス等の流路が形成できるものであれば何れの平面形状や断面形状でもよい。本実施形態では、注入口5cと排出口5dとを流路溝9により接続しており、その流路溝9は、金属板5の幅方向に沿って周期的に折り返すジグザグ状に形成されている。流路溝9は、幅が太い横方向の溝9aと幅が細い縦方向の溝9bとで構成され、幅方向両側にある横溝9aと横溝9aとを3本の縦溝9bで接続しており、縦溝9bの1本が何らかの原因で封鎖されたとしても、残りの縦溝9bにより流路溝9が完全に封鎖されることを防止している。流路密度、燃料電池セル積層時の積層密度、屈曲性などを考慮して、種々の形態の流路溝9を採用することができ、図5の形態に限定されるものではない。
なお、このような金属板5の流路溝9の一部を電極板3の外面に形成してもよい。電極板3の外面に流路溝を形成する方法としては、加熱プレスや切削などの機械的な方法でもよいが、微細加工を好適に行う上で、レーザ照射によって溝加工を行うことが好ましい。レーザ照射を行う観点からも、電極板2,3の基材としては、繊維質カーボンの集合体が好ましい。
金属板5の流路溝9に連通する注入口5c及び排出口5dは、それぞれ1個又は複数を形成することができる。なお、金属板4,5の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、強度、伸び、重量、弾性率、ハンドリング性などを考慮すると、0.1〜1mmが好ましい。
金属板5に流路溝9を形成する方法としては、金属板に対してプレス加工(打ち出し加工)を行うことで形成することができる。すなわち、図3に示す金属板5において裏面側から打ち出し加工を行うことで、図4,5に示すように金属板5の裏面側に流路溝9を形成することができる。また、打ち出し加工により流路溝9を形成するので、図1に示すように金属板5の表面側には、流路溝9と同じ形状が表れる。流路溝9の断面形状は、略四角形、略台形、略半円形、V字形などが好ましい。
金属板4への開口孔4cの形成、金属板5への注入口5c及び排出口5dの形成についても、プレス加工を利用して行われる。さらに、金属板4,5には、同じくプレス加工(打ち出し加工)を利用して、中央領域4b,5bに凹部が形成される。この凹部は、図4に示すように、膜・電極接合体10を構成する電極板2,3を収容するための凹部である。従って、凹部の面積は、収容される電極板2,3の大きさに応じて加工される。
本発明では、金属板4,5の周縁領域4a,5aは、電気的に絶縁した状態でカシメにより封止(機械的封止の一例)されている。電気的な絶縁は、絶縁シート(絶縁層に相当)を用いて行うが、固体高分子電解質1の周縁部1aを介在させることで行うこともできる。
カソード側金属板4には、図3に示すようにリング状(額縁状)の絶縁シート11が周縁領域4aに配置される。絶縁シート11の外側の縁は金属板4の縁とほぼ同じ大きさに設定され、内側の縁は、多数の開口孔4cが形成される領域(あるいは、電極板2の大きさより少し大きなサイズ)よりも少し大きなサイズに設定される。
アノード側金属板5にも、図1に示すようにリング状(額縁状)の絶縁シート12が周縁領域5aの表裏両面に配置される。この表裏両面の絶縁シート12のサイズは同じである。絶縁シート12の外側の縁は金属板5の縁とほぼ同じ大きさに設定され、内側の縁は、電極板3よりも少し大きなサイズに設定される。
固体高分子電解質1は、電極板2,3の大きさよりも少し大きくなっており、図4に示すように、電極板2,3から露出した状態にある周縁領域1aが、絶縁シート11,12により挟持されるように組み立てられる。
すなわち、本発明では、カシメを行う際、電極板2,3よりも外側の領域にある固体高分子電解質1の周縁領域1aを絶縁シート11,12を介して、周縁領域4a,5aにより挟持した状態とする。このような構造によると、電極板2,3の一方から他方へのガス等の流入を効果的に防止することができる。また、金属板5の表面側にも絶縁シート12が設けられており、カシメ封止した際に、絶縁性能を確実に確保した状態で封止することができる。
絶縁シート11,12としては、シート状の樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー、セラミックスなどが使用できるが、シール性を高める上で、樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーなどが好ましい。絶縁シート11,12は、金属板4,5を所定の形状に加工する前に、直接あるいは粘着剤を介して貼着したり、塗布したりして、予め金属板4,5に一体化しておくことができる。この点については、後述する。
カシメ構造としては、シール性や製造の容易性、厚み等の観点から図4に示すものが好ましい。つまり、一方のカソード側金属板4の周縁領域4aを他方のアノード側金属板5の周縁領域5aより大きくしておき、絶縁シート11,12を介在させつつ、カソード側金属板4の周縁領域4aをアノード側金属板5の周縁領域5aを挟圧するように折り返したカシメ構造が好ましい。このようなカシメ封止を行うための製造方法及び製造設備については、後で詳細に説明する。
燃料電池を構成する場合、図1,2に示すような燃料電池セルを1個又は複数個使用することができるが、固体高分子電解質1、一対の電極板2,3、及び一対の金属板4,5で単位セルを構成し、この単位セルを複数積層したり、同一面に配列して使用することも可能である。このようにすると、ボルト及びナットの締結部品で相互結合して、セル部品に一定の圧力を加えなくても、高出力の燃料電池を提供することができる。
燃料電池として使用の際、金属板5の燃料の注入口5c及び排出口5dには、直接、燃料供給用のパイプを接合することも可能であるが、燃料電池の薄型化を行う上で、厚みが小さく、金属板5の表面に平行なパイプを有するジョイント機構を設けるのが好ましい。
図1には、注入口5cにジョイント用のブース(金属製ピン)5eが金属板5に対して取り付けられている。この取り付けは、カシメや圧入により行うことができる。このピン5eに対して、金属パイプ13を圧入して取り付けることができる。この金属パイプ13に対して更に樹脂性パイプ14挿入することで、ガス供給流路を形成することができる(図4参照)。排出口5dについても、同じ構成を採用している。
燃料電池セルを構成する部材である金属板4,5及び固体高分子電解質1は、矩形状に形成されているが、その四隅はR形状に形成されている。四隅にRをつけることで後述するカシメ封止加工を行い易い形状にしている。
前述のように燃料電池セルの全体がアーチ状に形成されているので、金属板4,5と膜・電極接合体10の電気接触を良好に保持することができる。金属板4,5と膜・電極接合体10は、平面状態で接触させようとすると、部分的に接触していない領域ができてしまう可能性があるが、これらをアーチ状に曲げることで、接触する領域を増やすと共に接触圧力を増大させることができる。これにより、接触抵抗を減らし、電気出力を効率よく取り出すことができる。
<燃料電池セルの製造工程>
次に、図1〜図5で説明した燃料電池セルの製造工程及び製造設備について説明する。図6は、燃料電池セルの製造工程の概略を示す図である。図6に示すように、カソード側金属板4を製造する工程、アノード側金属板5を製造する工程、膜・電極接合体10を製造する工程に分かれており、金属板4,5と膜・電極接合体1が製造された後、これらを用いて燃料電池セルを組み立てる工程が行われる。
まず、カソード側金属板4とアノード側金属板5を製造するための順送金型設備の構成に付いて説明する。図7は、順送金型設備の構成を示す概念図である。この順送金型設備は、カソード側金属板4とアノード側金属板5の両方を加工することができ、そのため7つの金型が搬送経路に沿って配置されている。
各金属板4,5を加工するための原材料として、所定幅を有する長尺状金属板をロールに巻きつけた金属ロールを使用する。この金属ロールから長尺状金属板を引き出して順送金型設備に送り込み、必要な加工が施される。金属板4,5は、同じ幅の長尺状金属板が使用されるが、金属板4については、予め片面に絶縁シート11が付着されているものを使用し、金属板5については、予め両面に絶縁シート12が付着されているものを使用する。
図7に示す7つの金型は、所定間隔で配置されており、アノード側金属板5を製造する場合にのみ使用する金型(第1,2,3,6金型)と、カソード側金属板4を製造する場合にのみ使用する金型(第4,7金型)と、両金属板4,5に対して共通に使用できる金型(第5金型)とを有している。従って、カソード側金属板4の製造を行う場合、第1,2,3,6金型は不作動となるように制御し、アノード側金属板5の製造を行う場合、第4,7金型が不作動になるように制御する金型制御部が設けられる。
以上のように構成すれば、カソード側金属板4とアノード側金属板5とで別々の順送金型設備を設ける必要はないので、設備費を安価にすることができる。
次に、具体的な加工内容について説明する。図8は、カソード側金属板4を順送金型設備により加工していく様子を示す平面図、図9は、アノード側金属板5を順送金型設備により加工していく様子を示す平面図である。図10は、カソード側金属板4を順送金型設備により加工していく様子を示す断面図、図11は、アノード側金属板5を順送金型設備により加工していく様子を示す断面図である。
最初にカソード側金属板4を製造する工程を具体的に説明する。図8において、金属ロールから引き出された長尺状金属板50は、所定幅を有すると共に、所定間隔ごとに位置決め用孔50aが幅方向両側に予め形成されている。また、絶縁シート11も予め所定間隔ごとに貼り付けられている。絶縁シート11を貼り付ける場合は、位置決め用孔50aを基準として貼り付けることができる。長尺状金属板50は、図8の左側から右側へと搬送される。
図8に示すように、まず最初に多数の孔4cをプレス穴あけにより形成する(S1)。この段階での断面形状は図10(b)に示される。これは第4金型により行われる。次に、電極板2を収容するための凹部4g打ち出し加工が行われる(S2)。この段階での断面形状は図10(c)に示される。これは第5金型により行われる。次に、金属板4の外形を打ち抜くための加工が行われる(S3)。この段階での断面形状は図10(d)に示される。これは第7金型により行われる。打ち抜き後の長さがL2で示される。
長尺状金属板50の動きとしては、搬送方向に対して間歇的に移動し、金型による所定の加工が行われると、金型が配列されている所定間隔の分だけ搬送される。金型の動作としては、図8に示すS1,S2,S3の加工は同時に行われる。すなわち、搬送方向の下流側に行くほど加工が進んでいることになる。この点は、アノード側金属板5を加工する場合も同じである。
次にアノード側金属板5を製造する工程を具体的に説明する。図9において、金属ロールから引き出された長尺状金属板51は、所定幅を有すると共に、所定間隔ごとに位置決め用孔51aが幅方向両側に予め形成されている。また、絶縁シート12も予め所定間隔ごとに表裏両面に貼り付けられている。絶縁シート12を貼り付ける場合は、位置決め用孔51aを基準として貼り付けることができる。
図9に示すように、まず最初に流路溝9の打ち出し加工(第1段階)を行う(S11)。これは第1金型により行われる。この第1段階では、流路溝9は完全には形成されておらず、溝深さは浅い状態である。次に、流路溝9の第2段階の打ち出し加工を行う(S12)。これにより、流路溝9の加工が完了する。この段階での断面形状は図11(b)に示される。次に、ブースを取り付ける孔(注入口5c及び排出口5d)を形成するためのプレス穴あけ加工を行う(S13)。これは第3金型により行われる。
次に、電極板3を収容するための凹部5g打ち出し加工が行われる(S14)。この段階での断面形状は図11(c)に示される。これは第5金型により行われる。次に、金属板5の外形を打ち抜くための加工が行われる(S15)。この段階での断面形状は図11(d)に示される。これは第6金型により行われる。打ち抜き後の長さがL1で示される。
図7に示すように、アノード側金属板5の外形を打ち抜きした後に、図4(b)で示すようなブースを取り付ける加工を行う。ブース5eは、注入口5cと排出口5dにカシメにより結合することができる。
また、カソード側金属板4の外形を打ち抜き加工した後に、図12に示すような周縁領域4aを90゜内側に立ち曲げるための絞り加工が行われる。図12(b)に絞り加工を行った後の斜視図を示すが、周縁領域4aの全周に立ち曲げ部が形成される。このような立ち曲げ部を形成することで、カシメ封止加工を行いやすくすることができる。なお、立ち上げ部の角度は正確に90゜でなくてもよく、90゜±5゜であれば問題ない。
<金型構成>
図13は、燃料電池セルの組み立て工程に使用する金型設備を示す外観斜視図である。図14は、金型の断面構成を示す概念図である。この金型の基本的構成は、以下説明する燃料電池セルの組み立て工程で使用する金型のいずれの場合にも適用可能である。加工内容の違いに応じて金型形状が異なることもあるが、基本的な金型構成は図13,14に示す構造とすることができる。
金型設備は、固定側ユニット20と、可動側ユニット30を備えている。固定側ユニット20は、金型として第1下型21と第2下型22を備えている。第1下型21には、付勢機構としてコイルスプリング23が設けられており、第1下型21を上方に向けて付勢する作用を行う。第1下型21は、燃料電池セルのカソード側金属板4の中央領域4bを押圧作用する。第2下型22は、第1下型21を取り囲むように配置され、金属板4の周縁領域4aに対するプレス加工を行う。第2下型22は、平面視で略矩形の環状に形成されている。第2下型22は、上下方向に調整可能な機構(第1調整機構24に相当)を備えている。調整機構24としては、例えば、ボルト・ナットを用いた機構により構成することができる。第1調整機構24により第1下型21の上面と第2下型22の上面の相対的な高さ関係を調整することができる。具体的には、中央領域に位置する第1下型21は周縁領域に位置する第2下型22よりも凹んだ位置にあり、第2下型22の第1下型21に対する突出量h1を調整することができる。
第2下型22には、第2上型を上下方向にガイドするためのガイド軸を挿入するための孔22aが形成されている。
可動側ユニット30は、金型として第1上型31と第2上型32を備えている。第2上型32には、付勢機構としてコイルスプリング33が設けられており、第2上型32を下方に向けて付勢する作用を行う。第1上型31は、燃料電池セルのアノード側金属板5の中央領域5bを押圧作用する。第2上型32は、第1上型31を取り囲むように配置され、金属板5の周縁領域5aに対するプレス加工を行う。第2上型32は、平面視で略矩形の環状に形成されている。第2上型32は、上下方向に調整可能な機構(第2調整機構34に相当)を備えている。調整機構34としては、例えば、ボルト・ナットを用いた機構により構成することができる。第2調整機構34により第1上型31の下面と第2上型32の下面の相対的な高さ関係を調整することができる。具体的には、第2上型32の第1上型31に対する突出量h2を調整することができる。以上のような調整機構24,34を設けることで、プレス加工において、適切な押圧力を作用させることができる。
第2上型32には、第2上型32を上下方向にガイドするためのガイド軸を挿入するための孔32aが形成される。
図14に示すように、操作部40を操作することで、プレス加工を行うことができる。すなわち、操作部40を操作することで可動側ユニット30を下方に移動させる。固定側ユニット20の側に設けられた当接部26と、可動側ユニット30の側に設けられた当接部36とが当接するように構成され、両者の距離Yが可動側ユニット30の移動ストロークに相当する。操作部40は、手動で動かしても良いし、駆動機構により電動で動かしてもよい。
製造設備を用いたプレス加工の工程数は、後述するように大きく分けて4工程有している。下型21,22と上型31,32は、各工程に適した金型が夫々使用されるが、共通で使用できるものがあれば、共通で使用する。各工程において、金型の大きさや形状などは異なっているが、基本的な構成は図14に示す通りである。
なお、プレス加工の種類であるが、打ち抜き加工、絞り加工などが含まれており、本発明として特定の種類の加工に限定されるものではない。
また、図14にはプレス加工の対象としてのワークWを模式的に図示しているが、ワークWの形態はプレス加工の工程により異なるものである。
この金型により燃料電池セルを組み立てていくものであるが、順送金型設備においても使用できる金型構成であるため、その点について説明する。ここでは、金属板4,5に膜・電極接合体10の電極板2,3を収容するための凹部4g,5gを形成する打ち出し加工(絞り加工)、外形の打ち抜き加工に使用した場合について説明する。
この絞り加工は、金属板4,5に150μmの段差を形成するための加工である。図10(c)、図11(c)に夫々の金属板4,5に凹部4g,5gが形成された状態が示されている。この絞り加工により、金属板4,5の周縁領域4a,5aと中央領域4b,5bの境界に近い場所に段差4f,5fが形成される。また、これに伴い、金属板4,5の内側には、凹部4g,5gが形成される。
カソード側金属板4を絞り加工するための金型(第1・第2下型21,22と第1・第2上型31,32)と、アノード側金属板5を絞り加工するための金型は、同じ金型を使用することができる。なお、図10,11では、組み立てられる時の姿勢に合わせて図示しているが、実際に金型にセットされるときの姿勢(上下方向)は、図11に示される金属板5の姿勢でセットされることになる。
絞り加工を行うとき、第2下型22が上から下りてくると、金属板4,5の周縁領域4a,5aにまず当接する。その時点では、まだストッパー(当接部26,36)は当接していないので、第2上型32はさらに下がろうとするが、第2下型22は固定された状態であるので、物理的にこれ以上下がることはできず、スプリング33が圧縮されていくことになる。
一方、中央領域4b,5bに位置する第1上型31は引き続いて下方に下がり、第1上型31の下面が第2上型32の下面よりも更に下がった状態でストッパーが当接して停止する。なお、ストッパーに停止するまでのストロークは、各工程ごとに設定されるものである。これにより、金属板4,5に対する絞り加工が行われ、段差(凹部4g,5g)が形成される。このときの段差寸法としては、例えば0.15mm程度であり、収容される電極板2,3の厚みに対応した凹部4g,5gが形成される。
金属板4,5の打ち抜き加工を行った結果は、図10(d)、図11(d)に示した通りである。アノード側金属板5の打ち抜き寸法とL1と、カソード側金属板4の打ち抜き寸法L2とでは、L2の方が大きくなっているため、打ち抜き工程で使用する金型はアノード側金属板5とカソード側金属板4とで異なる。後述するように、カシメ工程でカソード側金属板4の周縁領域4aをカシメ封止するために、カシメ代が必要となるため、寸法が大きくなっている。この打ち抜き加工における金型の動きは、ストロークYの量は異なって設定されるものの、基本的には、前述の絞り加工と同じ動きをする。
また、図13,14に示す金型は、図12で説明した立ち曲げ部の絞り加工を行うときにも使用することができる。この絞り加工における金型の動きも、前述の絞り加工や打ち抜き加工で説明したのと基本的に同じである。
<製造(燃料電池セルの組み立て)工程>
次に、燃料電池セルを組み立てていくときの具体的な製造工程を説明する。製造工程の概略を図15のフローチャートに示す。まず、順送金型設備により製造された金属板4,5と膜・電極接合体10をセットする。この状態を図16に示す。90゜絞り加工された金属板4の中に、膜・電極接合体10(固体高分子電解質1の両面に電極板2,3が組み立てられたもの)がセットされる。膜・電極接合体10の電極板2が金属板4の凹部4gに収容され、電極板3が金属板5の凹部5gに収容される状態になる。一番上には、金属板5がセットされる。なお、第1上型31には、金属板5にカシメ結合されているブース5eを逃げるための凹部31aと、流路溝9の形成に伴う金属板5の表面の突出部を逃げるための凹部31bが設けられている。
図16の状態にセットしてからカソード側金属板4の外形45゜絞り加工を行う。この時に使用される第2上型32は、図16に示すように水平面に対して45゜の傾斜面32cを備えている。この傾斜面32cを作用させることで、90゜に立ち曲げられた周縁領域4aを一旦45゜に絞り加工する。この時の状態を図17に示す。
操作部40を操作することで、第1・第2上型31,32が下方に降りてくる。第2下型22と第2上型32が当接することで、周縁領域4aが45゜内側に曲げられる。第2上型32が第2下型22に当接した時点では、まだストッパー(当接部26,36)は当接していない状態である(図14参照)。ストッパーの当接が行われるまでは、コイルスプリング33の圧縮工程が進む。一方、第1上型31のほうは、第2上型32と第2下型22が当接した時点では、燃料電池セルの金属板5よりも上方にあり、金属板5には接触していない。そして、ストッパーが当接した状態になると、これ以上第1上型31は下には下がらず、図17に示す状態で停止する。このとき、第1上型31の下面31aが金属板5の上面を押圧(当接)している。これにより、燃料電池セルの中央領域4b,5bが変形するのを抑制することができる。
なお、金属板4の下面と第1下型21の上面とは、当接した状態にはなく、隙間が形成されている状態である。なお、プレスした状態での、第2下型22の上面と第1上型31の垂直方向の隙間寸法Δhは、0.5mm程度に設定される。また、この場合の金属板4,5の厚みは0.3mmである。固体高分子電解質1の厚みは、0.025mmである。従って、隙間寸法Δhは、カシメ封止される燃料電池セルの厚みとほぼ同じ厚みとなっている。これにより、無理な力を燃料電池セルに作用させることなく、効果的に部材の変形を規制することができる。
45゜の角度の設定は、45゜±5゜が好ましく、45゜±1゜がより好ましい。50゜を超えると0゜絞り加工を行う時に、うまく内側に立ち曲げ部が倒れない可能性がある。例えば、座屈のような現象が生じてうまくつぶれない可能性があり、カシメ封止の品質が低下し、ガスリークなどの問題が生じる。また、40゜よりも小さいと、一度に40゜よりも小さくする際にうまく内側に立ち曲げ部が倒れにくくなるので好ましくない。
以上のように45゜の絞り加工が行われた後、カソード側金属板4の外形0゜絞り加工を行う。これにより、カシメ加工が終了する。外形0゜絞り加工で使用する金型は、45゜絞り加工とは異なる金型を使用し、図18に示すように、プレス面32dは水平面に形成される。前工程で45゜に曲げられた周縁領域5aを更に押さえ込んで内側に倒す形になる。これにより、周縁領域4aは水平な状態に180゜折り曲げられた状態になる。これにより、周縁領域4a,5aがカシメにより封止されたことになる。また、周縁領域4aと周縁領域5aの間には、絶縁層として絶縁シート11,12が介在しており、金属板4,5同士の短絡を防止した状態で封止される。
図17に示したのと同様に、第2下型22と第2上型32とが当接した後、ストッパー(当接部26,36)が当接するまでは、コイルスプリング33の圧縮工程が持続される。また、ストッパーが当接した状態で、第1上型31の下面の位置は、図17と同様である。また、第1下型21と金属板4の下面には隙間が開いた状態である。
以上説明したように、カシメ封止を行うための工程が行われる。特に、図12で形成した90゜の立ち曲げ部を内側に倒してつぶす場合に、一度に倒すのではなく、一旦45゜に絞り加工した後に、0゜の絞り加工するようにしており、2段階でカシメ封止を行うようにしている。これを1段階で行おうとすると、立ち曲げ部がうまく倒れるかどうかの保証がなく、封止状態も悪くなるが、前述のように2段階で絞り加工を行うことで、確実に封止することができる。
また、カシメ封止工程では金属板5の中央領域5bを第1上型31に当接させることで、プレス加工を行う時に中央領域5bの変形を規制している。また、金属板4の中央領域4aと第1下型21の間は隙間が形成されるので、押圧力あるいは規制力は作用しない。これにより、中央領域4a,5aに対して無理な力が作用するのを防止しつつ、中央領域4b,5bの変形を効果的に防止することができる。
以上のような工程で製造された燃料電池セルは、平面状の形状を有しており、これを更にアーチ状に加工する。図20は、下型21と上型31の概略構成を示し、図19は、アーチ状に加工した直後の状態を示している。下型21には、周辺押圧部21mと、周辺押圧部21mよりも若干凹部である中央押圧部21nが設けられており、夫々、カソード側金属板4の周縁領域4aと中央領域4bを押圧する。上型31にも周辺押圧部31mと、周辺押圧部31mよりも若干凹部である中央押圧部31nが設けられており、夫々、アノード側金属板5の流路溝9の突出した部分と、カシメ封止により折り曲げられたアノード側金属板4の周縁領域4aを押圧する。
下型21と上型31の各押圧部は、アーチ状に加工するための湾曲形状を有している。これにより、平面状の燃料電池セルをアーチ状にプレス加工することができる。製造されたアーチ状の燃料電池セルは、図1、図2に示した通りである。
アーチ状に加工された燃料電池セルのカシメ封止された部分は、樹脂により封止することが好ましい。カシメ封止される領域は矩形の枠形状であるため、樹脂封止する領域も同じ枠形状となる。樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂などが例としてあげられる。
<使用例>
次に、アーチ状に形成された燃料電池セルの使用例を図22に示す。図22は、燃料電池の外観を示す斜視図であり、燃料電池は本体部60と、本体部60の先端に着脱自在に被せられるキャップ61を備えている。この燃料電池は、電子機器(ノートパソコン、PDA、携帯電話等)に設けられた二次電池の充電用に使用されるものであるが、充電用ではなく主電源として用いられてもよい。
本体部60は、円筒形を有しており、その先端には電源供給端子62が設けられている。この電源供給端子62は、例えば、USB端子が使用される。本体部60の周囲にアーチ状に形成された燃料電池セルSが円周方向に沿って3つ配置されている。本体部60の表面に露出しているのは、カソード側金属板4の方であり、空気を取り込むための開口孔4cも露出している。本体部60の内部には、不図示の水素ガスを発生するための機構が設けられており、発生した水素ガスは、各燃料電池セルS内に供給される。
次に、実際にアーチ状に形成した場合の効果について確認したので以下説明する。まず、燃料電池セルのサイズであるが、長辺方向の長さは36mm、短辺方向の長さは展開した状態(アーチ状に曲げる前の状態)で15mm、角Rは5mm、開口孔1aの大きさはφ2mmである。中央領域4b,5bの周縁領域4a,5aに対する突出量は0.1mm〜0.2mm程度である。燃料電池セルの最大厚みは1.5mmである。アーチ状に形成する場合のアーチの半径は8.5mmである。実験に使用したセルは1個である。
発電に使用した燃料ガスは、水素ガスであり、燃料電池セルへの供給量は、1時間当たり2〜3ccである。
図21は、アーチ状に加工した場合と加工していない場合の電圧出力を比較したグラフである。グラフの横軸は電流密度を示し、縦軸は電圧を示す。このグラフからも分かるように、アーチ状に加工した方が出力が高くなっている。これは、アーチ状に加工することで、膜・電極接合体10と金属板4,5との電気接触状態が良好に保持されているからと考えられる。
<別実施形態>
燃料電池セルの構成は図1,2に示す構造のものに限定されるものではない。例えば、カソード側金属板4は空気を取り込むための開口孔4cを多数有する形状をしているが、カソード側金属板4をアノード側金属板5と同様の形状に形成してもよい。また、カソード側金属板4に形成する開口孔4cの大きさ、個数、形状等は適宜決めることができる。
本実施形態では、アノード側金属板5に形成する流路溝9を2回に分けてプレス加工にしているが、1回もしくは3回以上の段階的加工により形成してもよい。
本実施形態ではカシメ封止工程における金属板の絞り加工は、所定傾斜角度を45゜に設定し、次に0゜絞り加工を行っている。すなわち、2段階でカシメ封止を行うが、これを3段階以上としてもよい。例えば、60゜→30゜→0゜に設定することができる。もちろん、この角度以外でも良い。また、4段階以上の多段階に設定してもよい。
本実施形態の組立工程では、膜・電極接合体10の形に組み立てた後に、金型にセットするようにしているが、金型にセットする際に、カソード側電極板2、固体高分子電解質1、アノード側電極板3の順番に積層する形でセットしてもよい。
本実施形態では、カソード側金属板4の周縁領域4aを折り曲げてカシメ封止しているが、アノード側金属板5の周縁領域5aを折り曲げてカシメ封止してもよい。
本実施形態では、カシメ封止の加工を行なった後、ただちに、アーチ状に加工しているが、アーチ状に加工する前に、更に安全を期すためリング押さえ加工を行ってもよい。この加工は、カシメ封止された周縁領域4a,5aの少し内側の領域をプレスで押圧する工程であり、これにより、封止状態をより確実にすることができる。リング押さえ加工を行なうための金型としては、リング状に形成された突起部を備えさせ、これら突起部を用いて、周縁領域4a,5aのすぐ内側をリング状に押える。これにより、よりカシメ封止を確実にすることができる。
アーチ状に加工する場合のアーチの形状(半径の大きさ、突出高さなど)は、適宜変更することができる。また、アーチの形状は円弧状に限定されるものではなく、楕円形などの二次曲線、そのほかの曲面形状であってもよい。
本実施形態において、金属板4,5の表面に切り込みを入れてもよい。切り込みを入れることでアーチ状に加工しやすくなる。切り込みの方向は、アーチ形状に交差する方向(直交する方向が特に好ましい)、図1の例では長手方向に沿って切り込みを入れることが好ましい。切り込みの深さ、長さ、個数などは適宜決めることができる。切り込みは、金属板4,5の少なくとも一方に入れることが好ましく、両方に入れてもよい。切り込みは、金属板4,5の凸に変形させられる側の表面に形成することが好ましい。切り込み自体は、プレス加工により形成することができるが、他の加工方法で形成してもよい。
本発明に係る燃料電池セルの構成を示す外観斜視図(アノード側) 本発明に係る燃料電池セルの構成を示す外観斜視図(カソード側) 本発明の燃料電池セルの一例を示す組み立て斜視図 本発明の燃料電池セルの一例を示す縦断面図 図3の燃料電池セルの流路溝を示す図 燃料電池セルの製造工程の概略を示す図 順送金型設備の構成を示す概念図 カソード側金属板の製造工程を示す平面図 アノード側金属板の製造工程を示す平面図 カソード側金属板の製造工程を示す断面図 アノード側金属板の製造工程を示す断面図 カソード側金属板の周縁領域に立ち曲げ部の絞り加工を示す図 金型の構成を示す外観斜視図 金型の断面構成を示す概念図 燃料電池セルの組立工程を示すフローチャート 金属板と薄膜電極組成体を金型にセットした状態を示す断面図 カソード側金属板の外形45゜絞り加工を示す概念図 カソード側金属板の外形0゜絞り加工を示す概念図 リング押え加工を示す概念図 リング押え加工を行う金型を示す図 アーチ状に加工した場合の効果を示す実験データ 燃料電池セルの具体的な使用例を示す図
符号の説明
1 固体高分子電解質
1a 周縁部
2 カソード側電極板
3 アノード側電極板
4 カソード側金属板(第2金属板)
4a 周縁領域
4b 中央領域
5 アノード側金属板(第1金属板)
5a 周縁領域
5b 中央領域
5c 注入口
5d 排出口
5e ブース
9 流路溝
10 膜・電極接合体
11,12 絶縁シート
50,51 長尺状金属板
50a,51a 位置決め用孔

Claims (3)

  1. 板状の膜・電極接合体と、この膜・電極接合体の両側に配置された第1及び第2の金属板とを備え、これらの金属板の周縁領域が絶縁層を間に介在させた状態で機械的に封止される燃料電池セルの製造方法において、
    周縁領域に立ち上げ部が形成された第1の金属板、膜・電極接合体、第2の金属板の順に上下方向にセットされた状態で第1の金属板の周縁領域の立ち曲げ部を内側方向へ倒して機械的に封止する工程と、
    この工程後、燃料電池セルの全体形状を平面状からアーチ状に加工する工程と、を少なくとも有する燃料電池セルの製造方法。
  2. 第1の金属板は、空気を取り込むための孔が多数形成されたカソード側金属板として機能し、第1の金属板の表面が凸になるようなアーチ状に加工することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セルの製造方法。
  3. 第1の金属板の表面には、アーチ形成方向と交差する方向に切り込みが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池セルの製造方法。
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