JP2008147109A - 発熱体 - Google Patents

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邦弘 鶴田
Takahito Ishii
隆仁 石井
Keizo Nakajima
啓造 中島
Akihiro Umeda
章広 梅田
Hiroyuki Ogino
弘之 荻野
Katsuhiko Uno
克彦 宇野
Tokuro Karita
督郎 苅田
Masaki Hanada
雅貴 花田
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Abstract

【課題】簡単な製法と品質管理で製造できる生産性を高めた発熱体の提供を目的とする。
【解決手段】発熱体は、基材7の上部に1対以上の電極8、9と、熱可塑性材料と架橋材とカーボンブラックを主成分とする混練物からなる発熱可能な抵抗体10とが形成されており、これらを被覆するようにその上部にさらに、接着性材料12と有機性コート材13の積層物である被覆材11が配置された構成である。接着性材料12は、結晶化度を高めた難溶剤溶解性の硬化剤未使用タイプであり、基材7および有機性コート材13と比較して融点が低く、抵抗体10とは異なる有機材料である。材料組成を最適化しているため、簡単な製法と品質管理で製造でき、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、暖房、乾燥、加熱などの熱源として用いることのできる屈曲性の発熱体に関するものである。
従来、暖房などに使用される発熱体は、ポリエチレンテレフタレート板などの基板1に、共重合ポリエステル材料中に銀粉末を分散した一対の電極材料2、3と、エチレン酢酸ビニル共重合体とカーボンブラックの混練物である抵抗体材料4を形成し、その上部全面をさらに、外装材5で被覆している(例えば特許文献1参照)。外装材5は、この特許文献1の段落番号0079に記載した様に、30μm厚みの熱溶融性材料フィルム6と、50μm厚みのポリエチレンテレフタレート板7で構成されている。熱溶融性材料フィルム6は、基板1と接着することで電極材料2、3や抵抗体材料4への水の浸入を防止し、耐水性を高めている。その構成は、図2に示す通リである。この発熱体とは構造が異なるが、導電性カーボンを混合した4フッ化エチレン樹種からなる抵抗体材料を、ポリエチレンなどの熱溶融性材料フィルムとポリエチレンテレフタレートの積層板で両側から覆う発熱体がある(例えば特許文献2参照)。
特開2005−149877号公報 特開2000−299181号公報
しかしながら、従来の発熱体に用いる外装材5は、熱溶融性材料フィルム5を介して基板1に接着させて、電極材料2、3や抵抗体材料4を被覆しているが、この熱溶融性材料フィルム5は、品質を安定させるために、複雑な材料組成および製法と高度な品質管理を用いて、ポリエチレンテレフタレート板6に形成しなければならない課題があった。
熱溶融性材料フィルム6として一般に用いられる接着剤は、ポリエチレンなどのポリオレフィンやポリスチレンなどの熱可塑性材料や、尿素材料(ユリア材料とも称す)やフェノール材料さらにエステル材料やエポキシ材料などの熱硬化性材料、ポリイソプレンなどの熱可塑性エラストマーである。これらは、有機溶剤で溶解させた溶剤系接着剤タイプや、熱で融かして液化させるホットメルト系接着剤タイプで使用される。
例えば、従来例の、導電性カーボンを混合した4フッ化エチレン樹種からなる抵抗体材料を、ポリエチレンなどの熱溶融性材料フィルムとポリエチレンテレフタレート板の積層で覆う構成は、ただ単にポリエチレンをホットメルトして抵抗体材料を覆うだけでは、多湿環境での耐久信頼性確保が難しい。ポリエチレンは、結晶性の高い材料であるがその表面に結晶化の過程ではじき出された非晶質部分と部分酸化部分が存在しているため、排他性が強くこれが接着を妨げているので化学的接着が期待できない。そのため、長期間にわたる接着の耐久信頼性確保が難しくなり、接着部分からの水の浸入を完全に防止できなくなって、抵抗体材料に電気導通性の水分が付着してその電気抵抗が変化し、加湿耐久信頼性が低下する。
一方、汎用の溶剤系接着剤やホットメルト系接着剤は、接着性とブロッキング性の両立が難しい。そこで、これら接着剤を用いた熱溶融性材料フィルム6は、被着体となるポリエチレンテレフタレート板7に対する接着性と耐ブロッキング性を両立するために、複雑な材料組成および製法と高度な品質管理を必要とする。例えば、接着剤となる熱溶融性材料フィルム6の溶液をポリエチレンテレフタレート板7に塗布し乾燥させてフィルムとし
た従来例は、接着性が強いと、生産工程でロール状に巻取ったときにブロッキングが起こり、フィルムが、一塊の接着ロールとなって使用できなくなる。そこで、耐ブロッキング性を高めるため、熱溶融性材料フィルム6は、ブロッキング防止剤の添加、製造工程中に接着剤表面を離型フィルムでカバーしてロール状に巻取る、などの処理をしてポリエチレンテレフタレート板7に形成している。
これに加えて、熱溶融性材料フィルム6は、抵抗体材料4を被覆しているので、被覆する際に発生する有機溶剤蒸発物やホットメルト液化物が、抵抗体材料4の耐久信頼性に影響する。そこで、その影響を回避するために、熱溶融性材料フィルム6は、抵抗体材料4への影響を回避する特殊材料をさらに添加するという複雑な材料組成とし、複雑な製法で熱溶融性材料フィルム6をポリエチレンテレフタレート板7に形成している。また、製膜した熱溶融性材料フィルム6は、高度な品質管理を用いて選分けていた。
本発明は、前記課題を解決するものであり、熱溶融性材料フィルムの結晶化度と溶剤溶解性の難易度と硬化剤の有無、抵抗体の材質と架橋材の有無を、お互いに明確にして最適化している。そして、簡単な製法と品質管理で製造できる熱溶融性材料フィルムとすることで、生産性と信頼性を高めた発熱体を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の発熱体は、有機材料系の基材に形成した1対以上の電極および発熱可能な有機材料系の抵抗体と、抵抗体と電極の全体を被覆する有機材料系の被覆材とを少なくとも備え、抵抗体は熱可塑性材料と架橋材とカーボンブラックを主成分とする混練物であり、被覆材は接着性材料が有機性コート材と積層されて基材との対向面に形成されており、接着性材料は、結晶化度を高めた難溶剤溶解性の硬化剤未使用タイプであり、基材および有機性コート材と比較して融点が低く、抵抗体とは異なる有機材料であるとしている。
接着性材料は、基材および有機性コート材と比較して融点が低いのでホットメルト接着材となり、加熱してホットメルトすると溶融してすぐに固まって、基材および有機性コート材を良好に接着する。しかも、接着性材料は、結晶化度を高めているため結合力が強く、基材と有機性コート材の接着の長期間にわたる耐久信頼性が確保でき、接着部分から抵抗体への水の浸入を完全に防止して、抵抗体の水分付着による電気抵抗変化を起こらなくし、加湿耐久信頼性を向上させる。しかも、接着性材料は、硬化剤を使用しないので線状の柔らかい非架橋型となっているうえに難溶剤溶解性としているので、耐ブロッキング性に優れておりロール状に巻取ったときにお互いがくっつくことがない。
抵抗体は、熱可塑性材料にカーボンブラックを混合した材料であるので、ホットメルトする際に溶融しても冷却すると元の形状に戻る良好な発熱体となっている。しかも、抵抗体は、さらに架橋材を加えて架橋させた架橋型であるので3次元構造を持ち、この架橋型の3次元構造は、カーボンブラックどうしを強固に接触させてその導電経路が長期的に安定し、優れた耐久信頼性が確保できる。
さて、抵抗体と接着性材料は、ホットメルトされることで接合するが、両者は異なる有機材料であるためお互いが混ざり合うことがない。さらに、接着性材料は硬化剤を使用しないので、ホットメルトする際にその熱溶融液化物が抵抗体に流動しても、抵抗体は、その架橋が妨げられることがなくその温度抵抗特性を良好に長期間維持する。これに加えて、接着性材料は結晶化度を高めているため、ホットメルトする際にその熱溶融液化物が抵抗体に流動すると、抵抗体は、その結晶化度が高められて優れた耐久信頼性を長期間維持する。
結晶性を高めた硬化剤未使用タイプの接着性材料を被覆材に接合する技術と、この被覆材を用いて発熱体を製造する技術は、従来のブロッキング防止剤などを添加して接着性材料を形成する技術と比較して、簡単な製法と品質管理で製造できる。このため、本発明は、簡単な製造技術と品質管理技術を用いることで、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できる。
本発明は、簡単な製法と品質管理で製造できる接着性材料により、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供でき、生産に要する電力量や生産コストが低減する効果がある。
第1の発明の発熱体は、有機材料系の基材と、前記基材に形成した1対以上の電極および前記電極の間に配置される発熱可能な有機材料系の抵抗体と、前記抵抗体と前記電極の全体を被覆する有機材料系の被覆材とを少なくとも備え、前記抵抗体は熱可塑性材料と架橋材とカーボンブラックを主成分とする混練物であり、前記被覆材は接着性材料が有機性コート材と積層されて前記基材との対向面に形成されており、前記接着性材料は、結晶化度を高めた難溶剤溶解性の硬化剤未使用タイプであり、前記基材および有機性コート材と比較して融点が低く、前記抵抗体とは異なる有機材料であるとした。
接着性材料は、基材および有機性コート材と比較して融点が低いのでホットメルト接着材となり、加熱してホットメルトすると溶融してすぐに固まって、基材および有機性コート材を良好に接着する。しかも、接着性材料は、結晶化度を高めているため結合力が強く、基材と有機性コート材の接着の長期間にわたる耐久信頼性が確保でき、接着部分から抵抗体への水の浸入を完全に防止して、抵抗体の水分付着による電気抵抗変化を起こらなくし、加湿耐久信頼性を向上させる。しかも、接着性材料は、硬化剤を使用しないので線状の柔らかい非架橋型となっているうえに難溶剤溶解性としているので、耐ブロッキング性に優れておりロール状に巻取ったときにお互いがくっつくことがない。
抵抗体は、熱可塑性材料にカーボンブラックを混合した材料であるので、ホットメルトする際に溶融しても冷却すると元の形状に戻る良好な発熱体となっている。しかも、抵抗体は、さらに架橋材を加えて架橋させた架橋型であるので3次元構造を持ち、この架橋型の3次元構造は、カーボンブラックどうしを強固に接触させてその導電経路が長期的に安定し、優れた耐久信頼性が確保できる。
さて、抵抗体と接着性材料は、ホットメルトされることで接合するが、両者は異なる有機材料であるためお互いが混ざり合うことがない。さらに、接着性材料は硬化剤を使用しないので、ホットメルトする際にその熱溶融液化物が抵抗体に流動しても、抵抗体は、その架橋が妨げられることがなくその温度抵抗特性を良好に長期間維持する。これに加えて、接着性材料は結晶化度を高めているため、ホットメルトする際にその熱溶融液化物が抵抗体に流動すると、抵抗体は、その結晶化度が高められて優れた耐久信頼性を長期間維持する。
結晶性を高めた硬化剤未使用タイプの接着性材料を被覆材に接合する技術と、この被覆材を用いて発熱体を製造する技術は、従来のブロッキング防止剤などを添加して接着性材料を形成する技術と比較して、簡単な製法と品質管理で製造できる。このため、本発明は、簡単な製造技術と品質管理技術を用いることで、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できる。
第2発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる接着性材料は、基材および有機性コート材より結晶化度が低い同種系有機材料であるとした。接着性材料が、基材および有機性コ
ート材と比較して、結晶化度と融点が共に低い同種系材料の材料であるので、接着性材料と基材および有機性コート材は強固に接着して水分等の浸入を防止し、優れた加湿中耐久信頼性を有する。また、耐ブロッキング性や接着性、製造・検査も極めて優れていた。
第3発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる接着性材料は、ポリエステル樹脂が主成分であるとした。ポリエステル材料は、硬化に際して揮発性物質を発生しないうえに加圧成形を必要としない利点があるため、これを接着性材料として用いた際に、これらが抵抗体へ与える影響を少なくでき、簡単な製膜技術と品質管理技術で耐久信頼性の優れた発熱体を製造できる。これに加えて、ポリエステル材料は、引張り強度や耐水性、耐溶剤性、耐寒性が良好である。そのため、発熱体に何回も大きな加重を掛けた使用、発熱体に何回も水や溶剤をこぼした使用、ー20℃の寒い場所での使用でも、発熱体は良好な耐久信頼性を長期間維持する。さらに、難溶剤溶解性ポリエステル材料は、結晶化度が高い熱可塑性材料となるので、ホットメルトする際に溶けても冷却すると元の形状に戻る特性を有している。そのため、さらに簡単な製造技術と品質管理技術を用いることで、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できる。
第4発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる接着性材料は、その分子量が0.5万〜15万であるポリエステル樹脂を主成分とするとした。この分子量のポリエステル材料は、小さな高分子材料であるため分子が適度な自由性で動くことができ、耐ブロッキング性と接着性がさらに向上し、製造・検査の容易さと優れた加湿中耐久信頼性を有する。
第5の発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる接着性材料は、全多価カルボン酸のうち芳香族ジカルボン酸が25〜75モル%で脂環族ジカルボン酸が残部である、ポリエステル樹脂を主成分とする。
ポリエステル材料は、多価カルボン酸(カルボン酸を多く含む有機酸の総称)成分と、多価アルコール(アルコールを多く含む有機酸の総称)成分の重縮合反応により生成した材料である。芳香族ジカルボン酸は、その量が多いほど耐加水分解性を向上させるが、ガラス転移温度や融点が上昇して高温での接着作業性を必要として製造がやや複雑になる。一方、脂環族ジカルボン酸は、その量が多いとガラス転移温度や融点を低下させて低温で接着作業性を行わせて製造が簡単になるが、逆にその量が低下すると接着性がやや低下する。この発明は、多価カルボン酸の組成を最適化して耐ブロッキング性と接着性をさらに向上させた接着性樹脂材であり、簡単な製造技術と品質管理技術を用いることで、生産性と信頼性を一層高めた発熱体が提供できる。
第6の発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる接着性材料は、全多価カルボン酸のうち、芳香族ジカルボン酸が45〜75モル%で、脂環族ジカルボン酸が45〜5モル%で、脂肪族ジカルボン酸が残部であるポリエステル樹脂を主成分とする。この発明は、多価カルボン酸の組成を最適化して耐ブロッキング性と接着性をさらに向上させた接着性樹脂材であり、簡単な製造技術と品質管理技術を用いることで、生産性と信頼性を一層高めた発熱体が提供できる。
第7の発明の発熱体は、特に第5の発明もしくは第6の発明に用いる接着性材料のポリエステル材料は、多価アルコール成分のうち少なくとも分子量が220以上のポリアルキレングリコールが2〜20モル%であるとした。これは、多価カルボン酸の組成を最適化して耐ブロッキング性と接着性をさらに向上させた接着性樹脂材であり、簡単な製造技術と品質管理技術を用いることで、生産性と信頼性を一層高めた発熱体が提供できる。
第8の発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる基材が、結晶化核剤を用いて結晶化させた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料であるとした。基材をこの材料組
成とすると、接着性材料と親和して各々の特性が向上して、さらに簡単な製造技術と品質管理技術を用いることができ、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できる。
第9の発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる有機性コート材が、結晶化核剤を用いて結晶化させた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料であるとした。有機性コート材をこの材料組成とすると、接着性材料と親和して各々の特性が向上して、さらに簡単な製造技術と品質管理技術を用いることができ、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できる。
第10の発明の発熱体は、特に第1の発明に用いる基材および有機性コート材が、ポリエチレンテレフタレートであるとした。基材および有機性コート材をポリエチレンテレフタレートとすると、接着性材料12と親和して各々の特性が向上して、さらに簡単な製造技術と品質管理技術を用いることができ、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態である発熱体の断面図である。発熱体は、ポリエステル材料系の基材7の上部に、1対以上の電極8、9と、電極8、9の間に配置される発熱可能な有機材料系の抵抗体10が形成されており、電極8、9と抵抗体10を被覆するようにその上部にさらに、有機材料系の被覆材11が積層された構成である。被覆材11は、接着性材料12のフィルムが、抵抗体7は、熱可塑性材料と架橋材とカーボンブラックを主成分とする混練物である。有機材料系の有機性コート材13と積層されて基材7との対向面に形成されている。接着性材料12は、結晶化度を高めた難溶剤溶解性の硬化剤未使用タイプであり、基材7および有機性コート材13と比較して融点が低く、抵抗体7とは異なる有機材料である。なお、接着性材料12は、その膜厚を電極8、9の膜厚より厚くしている。
発熱体の具体例を以下に記載する。まず、電極8、9を、125μm厚みの有機材料系の基材7の片面に形成した。電極8、9は、共重合ポリエステル材料とブロックイソシアネート系硬化材を混合した結合材に、銀とカーボンからなる導電性付与材を分散した導電性銀ペーストであり、印刷乾燥によって10μm厚みとなっている。電極8、9は、主電極とこの主電極から分岐される枝電極から構成されており、枝電極が交互に位置するように配置されている。
次に、有機材料系の抵抗体10を、既に形成された電極8、9の間に配置されるように形成した。抵抗体10は、正抵抗温度特性を有する有機材料系の抵抗体であり、熱可塑性材料と架橋材とカーボンブラックの混練物をペースト化したものを、印刷乾燥により10μm厚みとなっている。
その後、電極8、9の給電部分に、導電性銀ペーストの導電性有機材料を介して、70μm厚みの銅箔からなる導電性端子を積層して乾燥させることで、電極と導電性端子を電気的物理的に接合した。導電性有機材料は、共重合ポリエステル材料とブロックイソシアネート系硬化材を混合した結合材に導電性付与材として銀粉末を分散した材料である。
さらにその上部に、有機材料系の被覆材11を、基材7や電極8、9さらに抵抗体10を被覆するように配置した。被覆材11は、ポリエステル材料を主成分とした20μm厚みフィルムの接着性材料12と、50μm厚みの125μm厚みの有機性コート材13で構成される材料である。被覆材11は、接着性材料12の融点温度以上に温度設定された
ラミネートロールによって、基材7や抵抗体10などの材料と熱融着して積層される。基材7を被覆材11で覆い熱融着して気密構造とすることで、水分などが抵抗体10に付着しその抵抗値を変化させることが起こらない様にした。最後に、熱溶解などの手段により導電性端子に対応する被覆材11の部分に設けた空隙を経由して、給電用リード線を取り付けてその取付け部分を機密シールして完成である。
効果特性は、次の様にして評価した。耐ブロッキング性は、接着性材料12を有機性コート材13に塗布してフィルムとしロール状に巻いた際に、ブロッキング(フィルムが一塊の接着ロールとなって使用できなくなる)が起こらないことを評価した指標である。◎は長期保存でもブロッキングが起こらないので離型紙なしで簡単にロールできる、○は短期間の保存ではブロッキングが起こらないが長期保存を考慮すると離型紙が必要、△は短期間の保存でもブロッキングが起こるため離型紙を介在させて対処したこと、×は不適格を表わす。
接着の強さは、ラミネートにより基材7を被覆材11で覆い熱融着して際の、接着性材料12の接着の強さを評価した指標である。◎は接着が極めて強いので気密シールが優れている、○は接着が強いので気密シールが良好である、△は接着が不充分なので気密シールが不充分であること、×は不適格を表わす。
製造・検査の容易さは、接着性材料12を有機性コート材13に塗布してフィルムとしロール状に巻いて被覆材11を形成する製造工程と、基材7と被覆材11をラミネートして熱融着する工程の、製造し易さと検査の容易さを評価した指標である。◎は製造・検査が極めて容易である、○は製造・検査が容易である、△は製造・検査がやや複雑であること、×は不適格を表わす。
加湿中耐久信頼性は、発熱体の40℃湿度90%雰囲気での耐久信頼性であり、◎は耐久信頼性が充分に優れている、○は耐久信頼性が良好である、△は耐久信頼性がやや不充分であること、×は不適格を表わす。
本発明は、次の材料系を使用した発熱体である。抵抗体10は、熱可塑性材料としてエチレン酢酸ビニル共重合体を、架橋材としてジクミルパーオキサイドを用いて、カーボンブラックと混練した混練物である。接着性材料12は、硬化剤を使用しないタイプの結晶化度を高めた難溶剤溶解性のポリエステル材料であり、融点107℃で分子量3万である。この接着性材料12は、芳香族ジカルボン酸が60モル%で脂環族ジカルボン酸が残部の多価カルボン酸であり、多価アルコールのうち分子量が250以上のポリアルキレングリコールが5%を占める。基材7および有機性コート材13は、融点250℃のポリエチレンテレフタレートで、結晶化核剤を用いて結晶化させた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料であるので、接着性材料12と比較して融点が高い。なお以後、この材料系を使用した発熱体は、特に記載がない限り、実施の形態1と記載する。
比較例1〜7は、抵抗体10および接着性材料12の材質を異ならせた以外は、本発明と同じ材料系である。
(表1)は、本発明の実施例および比較例の効果特性である。
Figure 2008147109
本発明は、比較例1〜7と比較して、耐ブロッキング性や接着性、製造検査簡易性さらに加湿中耐久信頼性が優れていることがわかる。その理由は、次のように考えられる。
接着性材料12は、基材7および有機性コート材13と比較して融点が低いのでホットメルト接着材となり、加熱してホットメルトすると溶融してすぐに固まって、基材7および有機性コート材13を良好に接着する。しかも、接着性材料12は、結晶化度を高めているため結合力が強く、基材7と有機性コート材13の接着の長期間にわたる耐久信頼性が確保でき、接着部分から抵抗体への水の浸入を完全に防止して、抵抗体10の水分付着による電気抵抗変化を起こらなくし、加湿耐久信頼性を向上させる。しかも、接着性材料12は、硬化剤を使用しないので線状の柔らかい非架橋型となっているうえに難溶剤溶解性としているので、耐ブロッキング性に優れておりロール状に巻取ったときにお互いがくっつくことがない。
抵抗体10は、熱可塑性材料にカーボンブラックを混合した材料であるので、ホットメルトする際に溶融しても冷却すると元の形状に戻る良好な発熱体となっているうえに、さらに架橋材を加えて架橋させた架橋型であるので3次元構造を持ち、この架橋型の3次元構造は、カーボンブラックどうしを強固に接触させてその導電経路が長期的に安定し、優れた耐久信頼性が確保できる。
抵抗体10と接着性材料12は、ホットメルトされることで接合するが、両者は異なる有機材料であるためお互いが混ざり合うことがない。さらに、接着性材料12は硬化剤を使用しないので、ホットメルトする際にその熱溶融液化物が抵抗体10に流動しても、抵抗体10は、その架橋が妨げられることがなくその温度抵抗特性を良好に長期間維持する。これに加えて、接着性材料12は結晶化度を高めているため、ホットメルトする際にそ
の熱溶融液化物が抵抗体10に流動すると、抵抗体10は、その結晶化度が高められて優れた耐久信頼性を長期間維持する。
なお、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも同様の効果が得られた。また、基材7や有機性コート材13や接着性材料12は、ポリカーボネート系またはポリアミド系を用いても同様の効果が得られた。
接着性材料12の難溶剤溶解性は、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルの単独またはこれら内の任意の複数種からなる任意の混合比からなる混合溶媒の内のいずれか一種以上に25℃で3%以上溶解しないものをいう(濃度3%で加熱溶解後25℃で24時間保存後に、ゲル化または析出)。なお、実用上は、上記溶媒のいずれか一種以上に5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、最も好ましくは22%溶解しないことが望まれる。また、結晶化度を高めた接着性材料12は、結晶化度が25〜50%の材料をいい、飽和ポリエステル系となっている。
(実施の形態2)
実施例2は、接着性材料12の結晶化度と材質を、基材7および有機性コート材13の結晶化度と材質との関連で検討した内容であり、(表2)はその検討結果である。
Figure 2008147109
第2実施例は、基材7および有機性コート材13として結晶化度70%のポリアミド系のガラス繊維40%ナイロン12を使用し、接着性材料12として結晶化度30%のポリアミドのナイロン66を使用した発熱体であり、これ以外は前述の実施の形態1と同じ材料系である。接着性材料12は、基材7および有機性コート材13と同種系材料としこれらより結晶化度を小さくすることで、親和力を持って両者に強固に接着するになり、水分等の浸入をしっかりと防止して、極めて優れた加湿中耐久信頼性を有するようになった。また、耐ブロッキング性や接着性、製造・検査も極めて優れていた。
参考品は、基材7および有機性コート材13として結晶化度70%のポリアミド系のガラス繊維40%ナイロン12を使用し、接着性材料12として結晶化度25%のポリカーボネートを使用した発熱体であり、これ以外は実施の形態1と同じ材料系である。参考品は、接着性材料12と基材7および有機性コート材13とを異種系材料としているので、
各々の特性は優れるが、第2実施例と比較すると物足りない特性であった。
なお、この結果は、接着性材料12としてポリエステル系やポリカーボネート系を使用した同様の実施例でも同じであり、接着性材料12は、基材7および有機性コート材13より結晶化度が低い同種系有機材料とすると、極めて優れた加湿中耐久信頼性、耐ブロッキング性、接着性、製造・検査、となった。また、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の効果が得られた。
(実施の形態3)
実施例3は、接着性材料12の材質についてさらに詳細に検討した内容であり、(表3)はその検討結果である。検討は、接着性材料12の材質を変化させており、基材7および有機性コート材13はポリエステル系のポリエチレンテレフタレートを使用し、他は実施の形態1と同じ材料系でおこなった。
Figure 2008147109
第3実施例は、接着性材料12としてポリエステル系を使用したものであるため、基材7および有機性コート材13と親和力を持って強固に接着するようになり、水分等の浸入を防止し、極めて優れた加湿中耐久信頼性を有するようになった。また、耐ブロッキング性や接着性、製造・検査も極めて優れていた。
参考品は、接着性材料12としてポリエステル以外の材料としているので、各々の特性は優れるが、第2実施例と比較すると物足りない特性であった。
なお、この結果は、基材7および有機性コート材13としてポリエステル系やポリカーボネート系を使用した同様の実施例でも同じであり、接着性材料12をポリエステル系とすると、極めて優れた加湿中耐久信頼性、耐ブロッキング性、接着性、製造・検査、となった。また、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の効果が得られた。
(実施の形態4)
実施の形態4は、接着性材料12に使用するポリエステル系材料の分子量について検討した内容であり、(表4)は、その検討結果である。検討は、接着性材料12としてポリエステル系を使用しその分子量(重量平均分子量を使用)を変化させ、他は前述の実施の形態1と同じ材料系である発熱体で行なった。
Figure 2008147109
第4実施例は、接着性材料12を分子量が0.5万〜15万であるポリエステル系材料としているため、接着性材料12が、基材7および有機性コート材13と親和力を持って強固に接着するようになり、水分等の浸入を防止し、極めて優れた加湿中耐久信頼性を有するようになった。また、耐ブロッキング性や接着性、製造・検査も極めて優れていた。
参考品は、接着性材料12を分子量が0.5万未満または、15万を超えるとしているため、各々の特性は優れるが、第4実施例と比較すると物足りない。
なお、この結果は、基材7および有機性コート材13としてポリエステル系やポリカーボネート系を使用した同様の実施例でも同じであり、接着性材料12を分子量が0.5〜20万であるポリエステル系とすると、極めて優れた加湿中耐久信頼性、耐ブロッキング性、接着性、製造・検査、となった。また、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の効果が得られた。
(実施の形態5)
実施例5は、接着性材料12に使用するポリエステル材料を構成する全多価カルボン酸の内訳を検討した内容であり、(表5)は、その検討結果である。検討は、接着性材料12としてポリエステル系を使用しその全多価カルボン酸の組成を変化させ、他は前述の実施の形態1と同じ材料系である発熱体で行なった。
Figure 2008147109
第5実施例1〜5は、全多価カルボン酸(芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸)のうち、芳香族ジカルボン酸が25〜75モル%で脂環族ジカルボン酸が残部である多価カルボン酸と、多価アルコールを重縮合反応させたポリエステル材料の接着性材料12を使用した発熱体である。これらは、耐ブロッキング性、接着性、製造・検査の容易さ、加湿中耐久信頼性が優れている。
第5実施例の接着性材料12に用いたポリエステル材料は、多価カルボン酸の組成を適正化して融点が約90〜130℃としているため、結晶性が高まり、耐ブロッキング性と接着性と耐加水分解性が向上している。また、接着性材料12に使用したポリエステル材料の結晶性が高まることにともなって、抵抗体10も結晶性が高まりその耐久信頼性が向上する利点が生じている。さらに、この接着性材料12を形成してこれを被覆材に接合する技術とこの被覆材を用いて発熱体を製造する技術は、簡単な製法と品質管理で製造でき、生産性と信頼性を高めた発熱体が提供できた。
比較例1は、全多価カルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸が75モル%を越えるポリエステル材料の接着性材料12を使用した発熱体である。このポリエステル材料は、耐ブロッキングは良好であるが接着性が不充分であり、しかも約190℃の融点をもっているため製造・検査が複雑となった。比較例2は、全多価カルボン酸のうち、芳香族ジカルボン酸が25モル%未満の接着性材料12を使用した発熱体である。このポリエステル材料を使用した発熱体は、いずれの特性も不充分であった。
なお、この優れた効果は、基材7および有機性コート材13として、ポリアミド系やポリカーボネート系を使用した実施例でも、同様の優れた効果が得られた。さらに、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の優れた効果が得られた。
ポリエステル材料は、多価カルボン酸(カルボン酸を多く含む有機酸の総称)成分と、多価アルコール(アルコールを多く含む有機酸の総称)成分の重縮合反応により生成した材料である。
芳香族ジカルボン酸は、環の中に共役二重結合を含んだ偶数個の炭素原子からなる炭化水素環式物(芳香族炭化水素と称す)に、カルボン酸(COOHで表現される基)が2個付いた化合物である。その量が多いほど耐加水分解性を向上させるが、ガラス転移温度や融点が上昇して高温での接着作業性を必要として製造がやや複雑になる。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6
−ナフタレンジカルボンル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸であり、これを適宜使用した。
脂環族ジカルボン酸は、炭素原子が環状に結合しているがその環の中に二重結合がないかあっても芳香族化合物のように完全に共役していない炭化水素化合物(脂環族炭化水素と称す)に、カルボン酸が2個付いた化合物である。その量が多いとガラス転移温度や融点を低下させて低温で接着作業性を行わせて製造が簡単になるが、逆にその量が低下すると接着性がやや低下する。具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等であり、これを適宜使用した。更に、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはヒドロキシピバリン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸類も必要により使用した。脂環族ジカルボン酸を含むことにより、ポリエステル材料は適度な結晶性を保持することができ、ホットメルト接着剤等に用いる結晶性ポリエステル材料として適正な特性を示す。
脂肪族ジカルボン酸は、脂環族ジカルボン酸のもつ特徴をさらに低下させた特性である。
(実施の形態6)
実施例6は、接着性材料12に使用するポリエステル材料を構成する全多価カルボン酸の内訳をさらに検討した。(表6)は、その検討結果である。検討は、接着性材料12としてポリエステル系を使用しその全多価カルボン酸の組成を変化させ、他は前述の実施の形態1と同じ材料系である発熱体で行なった。実施の形態5と異なる点は、全多価カルボン酸を、芳香族ジカルボン酸と脂環族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の3組成系にしたことである。
Figure 2008147109
第6実施例A〜Gは、全多価カルボン酸(芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸)のうち、芳香族ジカルボン酸が45〜75モル%で脂環族ジカルボン酸が45〜5モル%で脂肪族ジカルボン酸が残部である多価カルボン酸と、多価アルコールを重縮合反応させたポリエステル材料の接着性材料12を使用した発熱体である。
この第6実施例A〜Gで使用するポリエステル材料は、耐ブロッキング性、接着性、製
造・検査の容易さ、加湿中耐久信頼性が優れている。
比較例10は、全多価カルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸が75モル%を越えるポリエステル材料の接着性材料12を使用した発熱体である。このポリエステル材料は、耐ブロッキングや接着性は良好であるが、約190℃の融点をもっているため製造・検査が複雑となった。さらに、被覆材11をラミネートロールによって基材7と熱融着する際に、高温でラミネートロールするため、耐久信頼性が低下していた。
比較例11は、全多価カルボン酸のうち、芳香族ジカルボン酸が45モル%未満の接着性材料12を使用した発熱体である。このポリエステル材料を使用した発熱体は、加湿中耐久信頼性がやや不充分であった。比較例12は、全多価カルボン酸のうち、芳香族ジカルボン酸が45モル%未満で脂肪族ジカルボン酸が45モル%を超えるポリエステル材料の接着性材料12を使用した発熱体である。このポリエステル材料は、いずれの特性も不充分であった。
なお、この優れた効果は、基材7および有機性コート材13として、ポリアミド系やポリカーボネート系を使用した実施例でも、同様の優れた効果が得られた。さらに、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の優れた効果が得られた。
(実施の形態7)
実施例7は、接着性材料12に使用するポリエステル材料のうち、多価アルコールの内、分子量が220以上の物が占める割合について検討した。その結果を、(表7)(表8)に示す。検討は、接着性材料12としてポリエステル系を使用し、その多価アルコールの内、分子量が220以上の物が占める割合を変化させ、他は前述の実施の形態1と同じ材料系である発熱体で行なった。
(表7)は、全多価カルボン酸のうち芳香族ジカルボン酸が75〜25モル%で脂環族ジカルボン酸が残部である組成物において、多価アルコールの分子量を異ならせた実施例である。
Figure 2008147109
芳香族ジカルボン酸が75モル%のグループ6〜9において、第7実施例7〜8は、分子量が220以上の多価アルコールを2〜20モル%使用したものであり、20モル%を超えた比較品6、2モル%未満の比較品9と比べて、耐ブロッキング性が優れている。こ
のことは、芳香族ジカルボン酸が25モル%のグループ10〜13でも同様であり、第7実施例11〜12は、比較品10と13と比べて、接着性、製造検査の簡易性が優れている。
(表8)は、全多価カルボン酸のうち、芳香族ジカルボン酸が45〜75モル%で脂環族ジカルボン酸が45〜5モル%で脂肪族ジカルボン酸が残部である組成物において、多価アルコールの分子量を異ならせた実施例である。
Figure 2008147109
芳香族ジカルボン酸が75モル%系のH〜Kで本発明の効果を説明する。分子量が220以上の多価アルコールを2〜20モル%使用した第7実施例I〜Jは、この多価アルコールが20モル%を超えた比較品H、2モル%未満の比較品Kと比べて接着性や加湿中耐久信頼性が優れている。このことは、芳香族ジカルボン酸が45モル%のグループL〜Oでも同様であり、第7実施例M〜Nは、比較品LとOと比べて接着性や加湿中耐久信頼性が優れている。
多価アルコール成分のうち少なくとも分子量が220以上のポリアルキレングリコールを2〜20モル%とした第7実施例は、20モル%を超える参考品や2モル%未満の参考品と比較して、接着性などが優れていることがわかる。なお、この優れた効果は、基材7および有機性コート材13として、ポリアミド系やポリカーボネート系を使用した実施例でも、同様の優れた効果が得られた。さらに、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の優れた効果が得られた。
多価アルコールについて説明する。多価アルコールの内、分子量が220未満のものは、炭素数2〜10の脂肪族グリコ−ル、炭素数が6〜12の脂環族グリコ−ル、これらのエ−テル結合含有グリコ−ルよりなる。炭素数2〜10の脂肪族グリコ−ルは、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,9−ノナンジオ−ル、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプタン、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオールであり、これを適宜使用した。炭素数6〜12の脂環族グリコ−ルは、1,4−シク
ロヘキサンジメタノ−ル、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAであり、これを適宜使用した。エ−テル結合含有グリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ルである。一方、分子量が220以上の多価アルコールは、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールであり、これらポリアルキレングリコールを適宜使用した。この中で特に、ポリテトラメチレングリコールは、初期接着力と耐加水分解性の観点で好ましく、その分子量は220〜3000であった。
(実施の形態8)
実施の形態8は、基材7の材質について検討した内容であり、(表9)は、その検討結果である。検討は、基材7として、製造履歴が異なる結晶性を高めた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料を使用した以外は、前述の実施の形態1と同じ材料系である発熱体で行なった。
Figure 2008147109
第8実施例は、結晶化核剤を用いて結晶化させた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料を、基材7として使用した発熱体である。この第8実施例は、極めて優れた加湿中耐久信頼性、耐ブロッキング性、接着性、製造・検査の簡易性となった。この理由は、接着性材料12に使用するポリエステル材料と、基材7に使用する芳香族ジカルボン酸を多数有するこの結晶性耐熱ポリエステル材料が、お互いが親和して各々の特性が向上するためと思われる。
なお、この優れた効果は、接着性材料12として、前述のように全多価カルボン酸や多価アルコールの組成を異ならせたポリエステル系組成物、ポリアミド系、ポリカーボネート系を使用しても、同様に得られた。また、有機性コート材13として、ポリアミド系やポリカーボネート系を使用した実施例でも、同様の優れた効果が得られた。さらに、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の優れた効果が得られた。
(実施の形態9)
実施の形態9は、有機性コート材13の材質について検討した内容であり、前述の(表9)は、その検討結果である。検討は、有機性コート材13として、製造履歴が異なる芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料を使用した以外は、前述の実施の形態1と同じ材料系である発熱体で行なった。
第9実施例は、結晶化核剤を用いて結晶化させた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料を、有機性コート材13として使用した発熱体である。この第9実施例は、極めて優れた加湿中耐久信頼性、耐ブロッキング性、接着性、製造・検査の簡易性となった。この理由は、接着性材料12に使用するポリエステル材料と、有機性コート材13に使用する芳香族ジカルボン酸を多数有するこの結晶性耐熱ポリエステル材料が、お互いが親和して各々の特性が向上するためと思われる。
なお、この優れた効果は、接着性材料12として、前述のように全多価カルボン酸や多価アルコールの組成を異ならせたポリエステル系組成物、ポリアミド系、ポリカーボネート系を使用しても、同様に得られた。また、基材7として、ポリアミド系やポリカーボネート系を使用した実施例でも、同様の優れた効果が得られた。さらに、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の優れた効果が得られた。
(実施の形態10)
実施の形態10は、基材7および有機性コート材13の材質について検討した内容であり、(表10)は、その検討結果である。検討は、基材7および有機性コート材13として、材質が異なる芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料を使用した以外は、前述の実施の形態1と同じ材料系である発熱体で行なった。
Figure 2008147109
第10実施例は、ポリエチレンテレフタレート(略称、PET)を基材7および有機性コート材13として使用した発熱体である。この第10実施例は、極めて優れた加湿中耐久信頼性、耐ブロッキング性、接着性、製造・検査の簡易性となった。この理由は、接着性材料12に使用するポリエステル材料と、基材7および有機性コート材13に使用する芳香族ジカルボン酸を多数有するこの結晶性耐熱ポリエステル材料が、お互いが親和して各々の特性が向上するためと思われる。
なお、この優れた効果は、接着性材料12として、前述のように全多価カルボン酸や多価アルコールの組成を異ならせたポリエステル系組成物、ポリアミド系、ポリカーボネート系を使用しても、同様に得られた。また、抵抗体10は、熱可塑性材料をポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンとし、これに架橋剤とカーボンブラックを混練した混練物でも、同様の優れた効果が得られた。
本発明の発熱体は、暖房、乾燥、加熱などの熱源として用いることのできる。
本発明の実施の形態1の発熱体の断面図 従来の発熱体の断面図
符号の説明
7 基材
8、9 電極
10 抵抗体
11 被覆材
12 接着性材料
13 有機性コート材

Claims (10)

  1. 有機材料系の基材と、前記基材に形成した1対以上の電極および前記電極の間に配置される発熱可能な有機材料系の抵抗体と、前記抵抗体と前記電極の全体を被覆する有機材料系の被覆材とを少なくとも備え、前記抵抗体は熱可塑性材料と架橋材とカーボンブラックを主成分とする混練物であり、前記被覆材は接着性材料が有機性コート材と積層されて前記基材との対向面に形成されており、前記接着性材料は、結晶化度を高めた難溶剤溶解性の硬化剤未使用タイプであり、前記基材および有機性コート材と比較して融点が低く、前記抵抗体とは異なる有機材料である発熱体。
  2. 接着性材料は、基材および有機性コート材より結晶化度が低い同種系有機材料である請求項1に記載の発熱体。
  3. 接着性材料は、ポリエステル樹脂が主成分である請求項1に記載の発熱体。
  4. 接着性材料は、その分子量が0.5万〜15万であるポリエステル樹脂を主成分とする請求項1に記載の発熱体。
  5. 接着性材料は、全多価カルボン酸のうち芳香族ジカルボン酸が25〜75モル%で脂環族ジカルボン酸が残部である、ポリエステル樹脂を主成分とする請求項1に記載の発熱体。
  6. 接着性材料は、全多価カルボン酸のうち芳香族ジカルボン酸が45〜75モル%で脂環族ジカルボン酸が45〜5モル%で脂肪族ジカルボン酸が残部である、ポリエステル樹脂を主成分とする請求項1に記載の発熱体。
  7. 接着性材料は、多価アルコール成分のうち、少なくとも分子量が220以上のポリアルキレングリコールが2〜20モル%である、ポリエステル材料を主成分とする請求項5もしくは6に記載の発熱体。
  8. 基材は、結晶化核剤を用いて結晶化させた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料を主成分とする請求項1に記載の発熱体。
  9. 有機性コート材は、結晶化核剤を用いて結晶化させた芳香族ジカルボン酸が主成分のポリエステル系材料を主成分とする請求項1に記載の発熱体。
  10. 基材および有機性コート材が、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする請求項1に記載の発熱体。
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