JP2008140883A - 有機薄膜トランジスタ - Google Patents
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Abstract
ソース/ドレイン電極と有機半導体層の電荷注入障壁を低減させ、かつ界面状態を均一化させることのできる有機薄膜トランジスタの提供。
【解決手段】
ソース/ドレイン電極と有機半導体層との界面に該電極を構成する金属とスルフィド結合した下記式(1)で表される縮合多環芳香族チオールが存在することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【化1】
式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、各々独立に水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、エーテル基、ハロゲン基、ケトン基、エステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、およびこれらの基から構成される誘導基から選ばれる置換基であり、nは0〜5の整数、mは0〜12の整数である。尚、n、mが2以上の場合のR1、R2、R7、R8は各々が独立に上記置換基から選ばれる。
【選択図】なし
Description
しかし、従来、半導体層として使用されているアモルファスシリコン薄膜の製造プロセスは高価な真空装置を必要とし、またフォトリソグラフィーを用いるため数ステップの工程を経る必要があるため、製造コストが高くなってしまう。また、前述のような無機材料を半導体として用いた場合、薄膜トランジスタ(TFT)の製造(成膜)温度は300から400℃以上の高温を必要とするため、プラスティックなどのフレキシブル性、耐衝撃性に富んだ基板上への作製は極めて困難である。
ここで、従来の有機薄膜トランジスタでは、有機半導体材料と良好なオーミックコンタクトを確保するために、仕事関数の大きな、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの貴金属が電極に用いられる。しかし、電極を構成する金属と有機半導体層との電気的あるいは物理的な接触は粗悪であり、半導体層の比抵抗に匹敵するあるいはそれ以上の比抵抗値を示す場合があり、このようなコンタクト抵抗がトランジスタの微細化と高性能化を困難にしている。
一方、特許文献1あるいは特許文献2は、ソース/ドレイン電極と有機半導体層との間に導電性の有機物を備えたトランジスタを開示しているが、それでもコンタクト抵抗が十分であるとは言えない。しかも、金属のソース/ドレイン電極形成した後、前記導電性有機層をパターニングあるいは不純物ドーピングを施す必要があり、プロセス的に簡便とは言い難い。
C. D. Dimitrakopoulos, P. R. L. Malenfant, ADVANCED MATERIALS, 14, 99 (2002)
即ち本発明は、
1、ソース/ドレイン電極と有機半導体層との界面に、該電極を構成する金属とスルフィド結合した記式(1)で表される縮合多環芳香族チオールが存在していることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
2、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極を記載の順に配置してなるトランジスタ用基板の表面を、
(1)1に記載の縮合多環芳香族チオールの溶液で表面処理して製造する事を特徴とする界面コンタクト層の製造工程と、
(2)引き続き、有機半導体の溶液で表面処理して製造する事を特徴とする有機半導体層の製造工程と、
を経て製造されることを特徴とする1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法である。
又、縮合多環芳香族チオールの誘導体からなる界面コンタクト層は、有機半導体溶液を用いて有機半導体層を形成する際の濡れ性を向上せしめ、その結果、有機半導体層と界面コンタクト層との物理的な密着性を向上させ、トランジスタ性能の均一化並びに安定化をも実現せしめ、良好な有機薄膜トランジスタを得ることが可能となる。
本発明の界面コンタクト層を形成する縮合多環芳香族チオールの誘導体は、下記一般式(1)の構造を有するチオールから構成される。
これにより前記ソース/ドレイン電極表面金属と界面コンタクト層分子との電荷移動量は分子構造を変更することで調整可能と考えられるため、界面状態の制御も可能となる。
この界面コンタクト層の効果により仕事関数が増大したソース/ドレイン電極の上に、例えばp型の有機半導体層を形成した場合、ソース/ドレイン電極のフェルミ準位からp型有機半導体分子の最高被占軌道(HOMO)への電荷注入のためのエネルギー障壁が減少され、比較的小さなドレイン電圧で電荷を有機半導体層に注入できるようになる。
尚、界面コンタクト層自体の電気伝導性は低く、ソース/ドレイン電極から有機半導体層への電荷注入はトンネル効果によって引き起こされているため、より有効な界面コンタクト層厚が存在すると考えられ、界面コンタクト層としては、式(1)中、nが0以上5以下、より好ましくは1以上4以下の整数であることが求められ、同様の理由から式(1)中、mが0以上12以下、より好ましくは0以上5以下の整数であることが望ましい。
本発明は、さらに、前記界面コンタクト層でソース/ドレイン電極を被覆したトランジスタ用基板上にさらに有機半導体材料の芳香族系溶媒との溶液を塗布或いは基板を浸漬した後、前記芳香族系溶媒を除去することにより有機半導体層を形成して有機半導体トランジスタとなす。
有機半導体層の形成方法としては、上記のように有機半導体層を溶液プロセスでも形成することが可能である。例えば、スピンコート法、ディップ法、スクリーン印刷、インクジェット法、ブレードコート法、印刷(平版印刷、凸版印刷、凹版印刷など)などの方法をあげることができる。尚、低分子系については、例えば、真空蒸着、分子線エピタキシ法、スパッタリング法、レーザー蒸着法、気相輸送成長法などを挙げることができるが、これらの製法は高分子系への適用が困難であること、そして、用いる装置が複雑となることから、溶液プロセスで形成するほうが好ましい。
本発明で用いることができるトランジスタ用基板は、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極を記載の順に配置したものである。以下、詳説する。
本発明に用いることができるゲート電極を構成する材料としては、クロム、ニッケル、モリブデン、タングステン、金、白金、銀、銅、アルミニウム、パラジウムなどの金属や、これらの金属を用いた合金、ポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化インジウム、インジウム錫酸化物などの無機材料が好ましい。
そして、ソース/ドレイン電極を構成する材料としては、半導体材料とのオーム性接触が可能な金属が好ましい。例えば、輸送キャリアが正孔であるp型有機半導体の場合は、仕事関数の大きな金属が求められ、具体的には金、白金、パラジウムなどが挙げられる。また、輸送キャリアが電子であるn型有機半導体の場合は、仕事関数の小さな金属が必要であり、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。
以上に説明した基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極からなるトランジスタ用基板は、通常の手法によって製造することが可能である。
図1は本発明の実施形態に係る有機薄膜トランジスタの断面図である。
図1において、基板6上には、ゲート電極5が形成されるとともに、ゲート電極5を覆うようにゲート絶縁層4が形成されている。そしてゲート絶縁層4上には、ゲート電極5を間に互いに所定間隔だけ隔てて配置されたソース/ドレイン電極2が形成される。そして、ソース/ドレイン電極2と有機半導体層1との間に配置された界面コンタクト層3が形成されている。
図3は、本発明の有機薄膜トランジスタの構造の一例を示す断面図である。
図4は、本発明の有機薄膜トランジスタの構造の一例を示す断面図である。
以上の図の1〜4は本発明の有機薄膜トランジスタの構造の一例をそれぞれ表す断面図である。このように、本発明で用いることができるトランジスタ用基板は、基本的には、ゲート電極とソースドレイン電極の間にゲート絶縁層が存在し、ソース/ドレイン電極間には、有機半導体層が存在し、かつ、ソース/ドレイン電極と有機半導体層の間に、界面コンタクト層が存在している限りにおいて本発明の範囲となる。
また、電極表面に形成されている界面コンタクト層の分子構造を特定する場合、X線光電子分光分析装置、或いは、オージェ電子分光装置により元素を特定し、TOF−SIMS法などの表面質量分析法を用いることで、界面コンタクト層分子の分子量が推定できる。さらには、電極表面を赤外スペクトル法により芳香族環特有の振動スペクトルやその他の官能基の存在を確認することができ、前記解析結果を総合することで、界面コンタクト層分子の構造を特定することが可能である。
先ず、n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えている)を用意し、その表面にソース/ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。
次に、界面コンタクト層を形成するためのチオールとしてナフタレン−2−メタンチオールを用い、溶媒としてトルエンに約3mMの濃度で溶解させた。該チオール誘導体溶液に前記電極パターンが形成されたシリコン基板を約1時間浸漬させ、その後新鮮なトルエンに浸して超音波洗浄することにより余剰なチオールを除去しソース/ドレイン電極表面に界面コンタクト層を形成した。
窒素雰囲気下において、該ペンタセン溶液を予め200℃に加熱した前記界面コンタクト層を備えた電極パターンを有するシリコン基板上に展開し、溶媒を蒸発することにより有機半導体層であるペンタセン薄膜を形成した。
比較として、界面コンタクト層を備えない電極パターン付き基板上に前記ペンタセン溶液を同様に展開し、ペンタセン溶液を形成したが溶液の濡れ性が悪く液滴端が収縮するために基板上に均一な薄膜が得られなかった。前記のとおり作製した有機薄膜トランジスタの特性を評価したところ(チャネル幅500mm、チャネル長50mm)、界面コンタクト層を有するペンタセン薄膜トランジスタの移動度は平均0.10cm2/Vs、しきい値は−10Vであるのに対し、界面コンタクト層を備えていないペンタセン薄膜トランジスタの移動度は平均で0.03cm2/Vs、しきい値は−19Vであった。
2−ヘキシルペンタセン粉末5mgと1,2,4−トリクロロベンゼン7mgとの混合物を窒素雰囲気下で120〜130℃に加熱して有機半導体溶液を調整した。
窒素雰囲気下において、該2−ヘキシルペンタセン溶液を予め120℃に加熱した後、実施例1に記載と同様の方法で得られる界面コンタクト層を備えた金電極パターンを有するシリコン基板上に該溶液を展開し、溶媒を加熱蒸発させて除去することにより有機半導体層である2−ヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
得られたトランジスタは、実施例1と同様に界面コンタクト層を有した基板上での有機半導体溶液の濡れ性は良好であった。該有機薄膜トランジスタの特性を評価したところ、界面コンタクト層を有したトランジスタの移動度は平均で0.08cm2/Vs、しきい値が平均−8.7Vであった。一方、界面コンタクト層を有さないトランジスタでは、移動度の平均値が0.005cm2/Vs、しきい値の平均が5.4Vであった。2−ヘキシルペンタセン薄膜トランジスタについても界面コンタクト層によりコンタクト抵抗の低減が確認され短チャネルのトランジスタにおいても顕著な移動度の低下は見られなかった。
2 ソース/ドレイン電極
3 界面コンタクト層
4 ゲート絶縁層
5 ゲート電極
6 基板
Claims (2)
- 基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極を記載の順に配置してなるトランジスタ用基板の表面を、
(1)請求項1に記載の縮合多環芳香族チオールの溶液で表面処理して製造する事を特徴とする界面コンタクト層の製造工程と、
(2)引き続き、有機半導体溶液で表面処理して製造する事を特徴とする有機半導体層の製造工程と、
を経て製造されることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
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