JP2008138102A - ポリ乳酸系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract


【課題】
本発明は、ポリ乳酸を改質しつつ、経時変化を抑制し、成形・加工性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明のポリ乳酸系組成物は、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸系ブロック共重合体(B)を含有してなる樹脂組成物であって、かつ、本文で定義される方法により測定される該樹脂組成物の酸価が10〜60[当量/t]であり、かつ、JIS K7210に準拠して測定されるメルトボリュームフローレート(MVR)が5〜20[cm/10min]であることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸を改質しつつ、経時変化を抑制し、成形・加工性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物に関する。
従来から広く用いられている樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどが知られており、各種容器などの様々な成形品に加工され、あらゆる場面で使用されている。ところが、これらの汎用樹脂は石油を原料としているため、埋設しても分解せず、半永久的に地中に残留することとなる。
近年、プラスチックの廃棄物処理の問題や環境問題などから、植物原料で優れた生分解性を有する樹脂に注目が集まっている。これらの樹脂は石油を必要としない素材であり、土中の微生物により分解されることから、環境に対する影響が極めて少ない。
このような生分解性を有する樹脂に、ポリ乳酸やポリヒドロキシ酪酸などがあり、特にポリ乳酸は、これら樹脂の中でもガラス転移温度が最も高く、透明性を有していることなどから、各種成形材料への活用が注目されているものである。
ところがポリ乳酸は、堅くて脆い性質があるなどの理由で、ポリ乳酸単体で従来汎用樹脂の代替として使用することは難しく、そういった性質を補うべく、他樹脂とブレンドした樹脂組成物の開発が行われている。その中で、透明性やポリ乳酸との相溶性が良好なために、ポリアルキレンエーテル類との樹脂組成物に関する研究や特許出願(特許文献1参照)が盛んに行われている。
ところがこれら樹脂組成物は、加工性、取扱い性において、十分な性能を有しているとは言い難く、特殊な用途を除いては分解が早すぎて、汎用樹脂として使用しにくい等の問題点があり、分解の抑制、すなわち経時安定性の向上が課題となっている。
かかる経時安定性については、ポリ乳酸中にモノマー(ラクチド)などに由来する酸成分がポリマー鎖切断に関与しており、ポリ乳酸からなる成形品などの経時安定性を低下させる一因となっていることが知られている(特許文献4,5参照)。
また、ポリ乳酸とポリアルキレンエーテルとの組成物は、ポリアルキレンエーテル成分がブリードアウト(抽出)することがあり、それを抑制する方法も多く開発されており、たとえば、ポリアルキレンエーテルに、ポリ乳酸セグメントを共重合させることで、母体であるポリ乳酸の相溶性を向上させ、ブリードアウトを抑制する技術(特許文献3参照)が知られている。
ところが、これら共重合体をポリ乳酸とブレンドした樹脂組成物は、溶融粘度が低下することがあり、用いるポリアルキレンエーテルの分子量が低い場合などは成形加工が困難なほど著しい粘度低下を引き起こす問題があった。
かかる粘度低下を防止して、粘度が高く、酸価の少ない組成物を得るためには、共重合時に用いる触媒の活性を重合終了時に失活あるいは活性を低減させておく必要があり、触媒失活にリン系化合物を用いる技術(特許文献4,5参照)が知られている。
また、ポリマー中のリン系化合物に注目した場合、目的が全く相違するが、難燃性や熱安定性を付与する目的で、ポリ乳酸中に難燃剤としてリン系化合物を添加する技術(特許文献2,6参照)もある。
しかしこれらは、触媒失活をなされた重合体、合成物や難燃剤をポリマーとのブレンドに用いた場合の粘度や経時劣化に対する探求がなされていない。
特開2003−41142号公報 特開2005−162871号公報 特開2005−146274号公報 特許第3513972号公報 特許第3487388号公報 特開2003−119276号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、ポリ乳酸を改質しつつ、経時変化を抑制し、成形・加工性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のポリ乳酸系組成物は、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸系ブロック共重合体(B)を含有してなる樹脂組成物であって、かつ、後述する方法により測定される該樹脂組成物の酸価が60[当量/t]以下であり、かつ、後述する方法により測定されるメルトボリュームフローレート(MVR)が20[cm/10min]以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来技術では成し得なかった、透明性を保持しつつ、堅さ・脆さを改善し、かつ、経時変化を抑制し、加工性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供する事ができる。また本発明による組成物は、シート及びフィルムなどの包装用途、射出成形体、ラミネーション等の用途に提供する事ができる。
本発明は、前記課題、つまりポリ乳酸を改質しつつ、経時変化を抑制し、成形・加工性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物について、鋭意検討し、該樹脂組成物がポリ乳酸(A)とポリ乳酸系ブロック共重合体(B)とからなる特定な組成物である場合、後述する方法で測定される該樹脂組成物の酸価が60[当量/t]以下であり、かつ、JIS−K7210に準拠して測定されるメルトボリュームフローレート(MVR)が5〜20[cm/10min]であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物とすることで、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
ポリ乳酸は生分解性の樹脂であり、加水分解やバクテリアなどによって分子鎖が切断されることによって、ある期間をおいて分解する。分解の速度はポリ乳酸中の酸末端がひとつの要素となっており、組成物中に酸末端が多く存在すると分子鎖の切断が促進され、早期で物性が低下するといった経時変化をもたらす。
酸末端は中和滴定により測定することが可能であり、酸末端量は酸価と呼ばれ、1t当たりの化学当量[当量/t]という単位で取り扱われる。
本発明においては、ポリマー分子鎖の切断を抑制し、経時変化を抑えるという点から酸価は0〜60[当量/t]の範囲にあることが好ましい。酸価が60[当量/t]を越えると分子鎖の切断が早くなり、経時変化が促進される場合がある。より好ましい範囲は0〜50[当量/t]であり、特に好ましくは0〜30[当量/t]である。また酸価は低ければ低いほど好ましいが、ポリ乳酸自体の有する酸価が10[当量/t]であるため、現実的な酸価の下限は10[当量/t]である。
ポリ乳酸系樹脂組成物中に存在する酸末端は、モノマーとして残留したラクチドが加水分解することによって発生した乳酸起因である場合がある。従って、酸価を減らすためには、残留するモノマー(ラクチド)が加水分解によって乳酸となる前に十分除去しておくことが好ましい。
ラクチドを除去する方法には、溶媒を用いて除去する方法や脱揮によって除去する方法が挙げられるが、生産性が良好な点から脱揮による除去が広く用いられる。また、脱揮による除去の方法は、ラクチドが昇華性を有する点からも有効な手法である。またラクチドの加水分解によって生じる乳酸は、昇華性に乏しいために、脱揮による除去が困難となる。
ポリ乳酸系樹脂組成物を構成する、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸系ブロック共重合体(B)の両方とも未反応モノマー(ラクチド)が十分除去されていることが好ましい。ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)がラクチドの開環重合によって製造される場合には、重合触媒の活性が残っていると、解重合により未反応モノマー(ラクチド)を生成するため、十分活性が低減されていることが好ましい。
ラクチドを重合してポリ乳酸を得るためにラクチドの開環重合触媒を用いると、反応は重合と解重合の平衡反応となる。触媒はその活性化エネルギーを低下させる働きがあるが、脱揮などによりモノマー(ラクチド)が系外に除去された場合、平衡を保とうと解重合が促進され、モノマー(ラクチド)量を平衡値以下に低減することが困難となる場合がある。
従って、触媒の活性を低減させる目的で触媒活性低減剤を添加することが好ましい。触媒活性低減剤により重合触媒の活性が低減して平衡反応の活性化エネルギーが大きくなるため、解重合を抑制することができる。触媒活性低減剤を添加して解重合を抑制させたのちに、脱揮によりモノマー(ラクチド)を除去することで、さらに未反応モノマー(ラクチド)量を低減させることができる。そのため本発明の組成物には、触媒活性低減剤を添加することが好ましい。
ここでいう充分に除去するとは、ポリ乳酸(A)、ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)において、それぞれ10mgをNMRで測定した際、モノマー(ラクチド)由来のピークが出ないことをいう。
また、優れた加工性を有するためには、JIS−K7210に準拠して測定される170℃、荷重2.16kgでのメルトボリュームレート(MVR)が0〜20[cm/10min]であることが好ましい。粘度が20[cm/10min]より大きいと、低粘度すぎるために成形加工が困難となる場合がある。例えば上吹きのインフレーションなどを行う場合には、MVRが0〜10[cm/10min]であればより好適に用いることができる。また粘度に下限はなく、低ければ低いほど好ましいが、現実的には5[cm/10min]未満の値は達成困難である。
一般に、ポリ乳酸にポリ乳酸系ブロック共重合体のような改質目的の共重合体を配合すると粘度が低下しやすくなり、MVRが20[cm/10min]を越えてしまう場合がある。その主な要因は、ポリ乳酸に対して低分子量のポリ乳酸系ブロック共重合体が配合されることである。
したがって、本発明においてポリ乳酸(A)に含有されるポリ乳酸系ブロック共重合体(B)は、8000以上の分子量であることが好ましい。極端に高分子量化すると十分な改質効果が得にくい場合があるため、10,000以上20,000以下がより好適に用いられる。
ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)とは、ポリ乳酸セグメントとポリアルキレンエーテルを共重合成分としたブロック共重合体であり、その共重合成分には、ポリアルキレンエーテル類、グリコール誘導体、ジアルキル酢酸類、ヒドロキシ酪酸類、ε−カプロラクトンなどが挙げられるが、ポリ乳酸に透明性を持たせつつ、柔軟性を付与しようとする場合、ポリアルキレンエーテル類が好ましく用いられ、最も好ましくは、ポリエチレングリコールが好ましい。その際、用いるポリアルキレンエーテルの分子量は5000以上15000以下であることが好ましい。
また、ポリ乳酸との親和性付与や耐ブリード性付与のために、L−ラクチドまたはD−ラクチドを主成分とした分子量1500以上の結晶性を有するポリ乳酸セグメントを有していることが好ましい。ポリ乳酸セグメントはポリ乳酸(A)と共結晶化することで耐ブリードアウト性を発現する。改質効果や成型加工性を向上させるためには、ポリ乳酸セグメントの分子量は1500以上3500以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)は、ラクチドの開環重合触媒によってポリアルキレンエーテルと共重合化させたのち、リン系酸性化合物などの触媒活性低減剤により触媒活性を低減して得られるブロック共重合体であることが好ましい。触媒活性低減剤は、重合反応に使用した重合触媒により変化するが、一般に1つ以上のリン酸またはリン酸エステル類を有する化合物などが挙げられ、リン酸、亜リン酸の単体もしくは、炭素数1以上20以下のアルキル鎖を1つもしくは2つを有するリン酸エステル類が好ましく用いられ、またこれらの混合物も使用することができる。なかでも、ポリマー鎖の切断を抑え、色相も良好で、かつ効率よく触媒と結合することからリン酸化合物が特に好ましい。
また触媒活性低減剤の含有量は、リン原子の量で70〜350ppmの範囲でポリ乳酸系樹脂組成物に含有されていることが好ましい。70ppmを下回ると、触媒の活性が充分に低減されない場合がある。触媒活性が低減されていない場合、本発明の樹脂組成物を加工する際の熱により解重合反応が促進され、分子鎖の切断が生じたり、モノマー(ラクチド)を多量に生成した結果臭気を発生したり、MVRが大きくなったり、酸価の増大を招くことがある。また350ppmを越えると、触媒に対して活性低減剤が過剰傾向となる。触媒活性の低減に関与しなかったリン系酸性化合物は、ラクチドが加水分解した乳酸と同様に酸末端として分子鎖の切断に働くため、酸価の増大や分子量低下によるMVR増大の原因となったり、押出機等で溶融加工する際に加工性が低下する原因となる場合がある。
また、ポリ乳酸(A)も同様に高分子量で高粘度であるほうが好ましく、ラクチドの開環重合または乳酸の脱水縮合により得られる重量平均分子量5万以上のポリ乳酸であることが好ましい。また、ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)は、ポリ乳酸(A)の結晶に、ポリ乳酸セグメントを共結晶化させることで耐ブリードアウト性を発現するため、ポリ乳酸(A)は結晶性を有する方が好ましい。
ポリ乳酸系樹脂組成物は、改質効果や成形加工性の面から、上記特徴をもつポリ乳酸(A)に上記特徴を持つポリ乳酸系ブロック共重合体(B)を15〜60重量%含有した構成であることが好ましい。ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)の含有量が15重量%を下回ると、目的とする改質効果が得られない場合があり、ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)の含有量が60重量%を超えると、粘度低下などにより成型加工性を低下させる場合がある。
該ポリ乳酸(A)と該ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)の混練には、例えば2軸スクリュー押出機、ボールミル、オートクレーブ、重合などに用いる反応釜などの使用が挙げられる。また(A)と(B)は、予め所定分量を計量し、上記混練機中に投入する方法、(B)を反応釜などで合成後に(A)を所定量添加する方法、(A)と(B)を別々の反応釜で重合後にもう一つの釜に両者を投入する方法などが挙げられる。取扱性の良さ、混合比の正確さなどから(A)と(B)は予め所定分量を計量し、上記混練機中に投入する方法が有用である。
成形方法はT字のダイからキャストし、未延伸フィルムを作成した後、フィルムの幅方向(TD)・フィルムの長手方向(MD)を逐次延伸する方法、あるいは、円形のダイから円柱状のフィルムを作成し、内部に空気や窒素などで圧力をかけ、TD・MDを同時に延伸する方法、あるいは、溶融させた本発明のポリ乳酸系樹脂組成物をプレス機でプレスし、未延伸シートを得た後、延伸する方法が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、従来技術では成し得なかった、透明性を保持しつつ、堅さ・脆さを改善し、かつ、経時変化を抑制し、加工性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供する事ができる。また本発明による組成物は、シート及びフィルムなどの包装用途、射出成形体、ラミネーション等の用途に提供する事ができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、フィルム同士の滑りを良くするなどの目的で滑剤や粒子、酸化による着色を防止する目的での酸化防止剤などを用いる事ができる。
以下に実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、物性、評価は以下の方法により測定、評価した。
(1)ポリ乳酸系ブロック共重合体の組成分析
共重合反応の成否は、H−NMR(核磁気共鳴装置)を用いて分析した。ポリ乳酸セグメントとポリエーテルが結合した部分に由来するピークが現れてくるので、共重合しているかどうかの判断とした。
また、ポリ乳酸セグメントの結晶性は、一度本組成物を加熱下で結晶化させた後、適当な温度範囲でDSC(示差走査熱量分析装置)測定を行った際、ポリ乳酸成分に由来する結晶融解熱が観測されるかどうかで判断した。
また本発明の樹脂組成物のポリ乳酸セグメントの数平均分子量、ポリエーテル成分の数平均分子量に関しては、NMRの積分強度とGPCから算出できる。合成に用いるポリエーテルの数平均分子量は既知のものを使用し、ポリ乳酸セグメントを共重合させたサンプルと比較し、ポリ乳酸セグメントの数平均分子量を割り出す事ができる。また、ポリエーテルの数平均分子量が未知の場合でも、組成物全体のGPCを測定し、全体の数平均分子量を測定すれば、NMRより算出されるPLAセグメントの数平均分子量から割り出す事ができる。
Mn[PLA]={72×H(e)×∫(PL)×Mn[E]}/{∫(E)×Mn[e]}
実測値=Mn[PLA]+Mn[E]+6500
ただし、
Mn[PLA]:PLAセグメントの数平均分子量
H(e) :ポリエーテル単位分子当たりのプロトン数
∫(PL) :PLAセグメントの積分強度
Mn[E] :ポリエーテル数平均分子量
∫(E) :ポリエーテルの積分強度
M[e] :ポリエーテルの単位分子量
である。
(2)ポリ乳酸系ブロック共重合体の含有量の測定方法
120℃、2時間の熱処理により結晶化させた樹脂組成物5mgをDSC(示差走査熱量分析装置)で昇温速度20℃/分で−20℃から200℃まで測定し、次にポリ乳酸のDSCも同様に測定する。
その際、ポリ乳酸に由来する融点170℃における結晶融解熱量をそれぞれΔHms、ΔHmとすると、以下の式より算出できる。
含有量(重量%)=ΔHms/ΔHm×100
ただし、
ΔHms=樹脂組成物の結晶融解熱量
ΔHm =ポリ乳酸の結晶融解熱量。
(3)酸価
以下に記す中和滴定法を用いて測定した。
初めにクロロホルムに指示薬を滴下した。そしてこのクロロホルム溶液を、0.02mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定し、その際の滴定量をB(ブランク滴定量(ml))とした。
続いて、樹脂組成物をサンプルとして0.2g秤量し、新たなクロロホルムに溶解後、指示薬を滴下した。そしてこのクロロホルム溶液を、0.02mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定し、その際の滴定量をA(サンプル滴定量(ml))とした。
A、Bの数値から次式を用いて算出した。
[KOHmg/g]={(A−B)×f×1/25×56.11}/W
酸価[当量/t]=[KOHmg/g]×1000/56.11
ただし、
f:エタノール性水酸化カリウム溶液の力価
W:サンプル採取量(g)
(4)MVR(メルトボリュームフローレート)
JIS−K7210に準拠して、170℃、荷重2.16kg(B法)にて測定した(単位[cm/10min])。
(5)P量(リン量)
本発明でいうリン原子の量は蛍光X線FL−Xを用いて測定した。
まず、ポリ乳酸系樹脂組成物6gを板状に溶融成形してサンプル片を作成した。このサンプル片について理学電機社製蛍光X線装置(型番3270)により、蛍光X線の強度を測定した。この値を含有量既知のサンプルで予め作成した検量線を用い、重金属元素量、リン元素量をそれぞれ定量した。
(6)経時安定性
5℃の冷蔵庫にて1ヶ月放置した後の分子量低下および酸価の増加の有無で判断した。
A:分子量低下が10%未満で、酸価の増加が10%未満。
B:分子量低下が10%未満で、酸価の増加が10%以上50%未満。
C:分子量低下が10%以上20%未満で、酸価の増加が10%以上50%未満。
D:分子量低下が20%以上あるいは、酸価の増加が50%以上。
A,B,Cを経時安定性良好、Dを不良と判断した。
分子量測定はサンプルをTHF(テトラヒドロフラン)溶液に1mg/ccとなるようにサンプルを溶解させ、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ)を用いてポリスチレン換算で測定した。機器は島津製作所製LC−10Aシリーズで、溶媒はTHF(高速液体クロマトグラフィ用)、検出器はRI検出器(RID−10A)、カラムは昭和電工社製 Shodex(商標)のKF−806LとKF−804L(各300mm×8mmφ)を直列に並べて使用した。カラム温度は30℃、流速は1.0ml/min(Heによるオンライン脱気方式)。標準に用いたポリスチレンはShodex(商標)製ポリスチレンスタンダードで、Std.No.がS−3850、S−1190、S−205、S−52.4、S−13.9、S−1.31の6種類を用いた。これらを3次式近似にて検量線を引き、測定を行った。
(7)加工性
本発明により得られたポリ乳酸系樹脂組成物を100℃、3時間減圧乾燥したのち、直径30mm、L/D=35、160℃〜190℃に加熱された単軸の押出機から直径20mm、リップ幅1.5mmの円形状のダイより溶融吐出し、上方向にチューブ状で巻き取るインフレーション製膜を行った。
A:容易にチューブを形成することができ、巻取り安定。
B:ポリ乳酸を十分に改質できず、製膜不可。
C:粘度不足により、チューブを形成することができず、巻取り不可。
Aを加工性良好、B,Cを加工性不良と判断した。
〔実施例1〕
L−ラクチド(PURAC社製)とポリエチレングリコール(三洋化成社製、分子量8,300)に触媒を用いて、ブロック共重合体(B)を合成した。合成終了後、触媒失活剤として、リン酸(Aldrich社製)を0.15重量%添加し、攪拌したのち、脱揮によりモノマー(ラクチド)を除去した。
ポリ乳酸(A)(Nature Works社製)85重量%と先に合成したブロック共重合体(B)15重量%をベント付きの2軸押出機を用いて脱揮しながら混練し、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットの酸価、MVR、P量を測定したところ、酸価が10[当量/t]、MVRが5[cm/10min]、P量が71ppmであった。
該ペレットを用いて、上吹きインフレーション製膜を行ったところ加工性は良好であり、得られたフィルムの経時安定性も良好であった。
〔実施例2〕
D−ラクチド(PURAC社製)とポリエチレングリコール(分子量8,300)に触媒を用いて、ブロック共重合体(B)を合成した。合成終了後、触媒失活剤として、リン酸を0.2重量%添加し、攪拌したのち、脱揮によりモノマー(ラクチド)を除去した。
ポリ乳酸(A)70重量%と先に合成したブロック共重合体(B)30重量%をベント付きの2軸押出機を用いて脱揮しながら混練し、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットの酸価、MVR、P量を測定したところ、酸価が18[当量/t]、MVRが7[cm/10min]、P量が140ppmであった。
該ペレットを用いて、上吹きインフレーション製膜を行ったところ製膜性は良好であり、得られたフィルムの経時安定性も良好であった。
〔実施例3〕
L−ラクチドとポリエチレングリコール(分子量8300)に触媒を用いて、ブロック共重合体(B)を合成した。合成終了後、触媒失活剤として、リン酸を0.2重量%添加し、攪拌したのち、脱揮によりモノマー(ラクチド)を除去した。
ポリ乳酸(A)64重量%と先に合成したブロック共重合体(B)36重量%をベント付きの2軸押出機を用いて脱揮しながら混練し、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットの酸価、MVR、P量を測定したところ、酸価が23[当量/t]、MVRが9[cm/10min]、P量が190ppmであった。
該ペレットを用いて、上吹きインフレーション製膜を行ったところ製膜性は良好であり、得られたフィルムの経時安定性も良好であった。
〔実施例4〕
L−ラクチドとポリエチレングリコール(分子量10000)に触媒を用いて、ブロック共重合体(B)を合成した。合成終了後、触媒失活剤として、リン酸を0.15重量%添加し、攪拌したのち、脱揮によりモノマー(ラクチド)を除去した。
ポリ乳酸(A)40重量%と先に合成したブロック共重合体(B)60重量%をベント付きの2軸押出機を用いて脱揮しながら混練し、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットの酸価、MVR、P量を測定したところ、酸価が54[当量/t]、MVRが20[cm/10min]、P量が350ppmであった。
該ペレットを用いて、上吹きインフレーション製膜を行ったところ製膜性は良好であり、得られたフィルムの経時安定性も良好であった。
〔比較例1〕
L−ラクチドとポリエチレングリコール(分子量8,300)に触媒を用いて、ブロック共重合体(B)を合成した。合成終了後、触媒失活剤として、リン酸を0.15重量%添加し、攪拌したのち、脱揮によりモノマー(ラクチド)を除去した。
ポリ乳酸(A)90重量%と先に合成したブロック共重合体(B)10重量%をベント付きの2軸押出機を用いて脱揮しながら混練し、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットの酸価、MVR、P量を測定したところ、酸価が9[当量/t]、MVRが3[cm/10min]、P量が47ppmであった。
該ペレットを用いて、上吹きインフレーション製膜を行ったところ、ポリ乳酸の堅さや脆さが改善できておらず、再三、破れ・破裂が発生した。
〔比較例2〕
L−ラクチドとポリエチレングリコール(分子量10,000)に触媒を用いて、ブロック共重合体(B)を合成した。合成終了後、触媒失活剤として、リン酸を0.2重量%添加し、攪拌したのち、脱揮によりモノマー(ラクチド)を除去した。
ポリ乳酸(A)30重量%と先に合成したブロック共重合体(B)70重量%をベント付きの2軸押出機を用いて脱揮しながら混練し、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットの酸価、MVR、P量を測定したところ、酸価が75[当量/t]、MVRが50[cm/10min]、P量が440ppmであった。
該ペレットを用いて、上吹きインフレーション製膜を行ったところ、粘度が低すぎてバブルを形成できず、製膜不可となった。
実施例および、比較例にて作成した組成物について下記表1に示す。
Figure 2008138102
酸価とP量が好ましい範囲であれば、経時安定性が良好となり、MVRが好ましい範囲であれば、粘度が十分にあり、加工性が良好となる。
ブロック共重合体の含有量が好ましい範囲であれば、ポリ乳酸の改質が十分になされ加工性が良好となる。
比較例では、酸価とP量が好ましい範囲にないので、経時安定性が不良となり、MVRとブロック共重合体の含有量が好ましい範囲にないので加工性が不良となっている。
本発明により与えられる樹脂組成物を使用する事により、ポリ乳酸の堅さ・脆さを改善し、かつ、経時変化を抑制し、加工性に優れた樹脂組成物を提供することができる。特に、シート、フィルムなどの加工に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸(A)とポリ乳酸系ブロック共重合体(B)を含有してなる樹脂組成物であって、かつ、明細書にて定義される方法により測定される該樹脂組成物の酸価が60[当量/t]以下であり、かつ、JIS−K7210に準拠して測定されるメルトボリュームフローレート(MVR)が20[cm/10min]以下であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. 前記ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)が、分子量1500以上のポリ乳酸セグメントを有したポリアルキレンエーテルとのブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 前記ポリ乳酸系樹脂組成物が、前記ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)を15〜60重量%含有してなるものである請求項1または2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. 前記ポリ乳酸系ブロック共重合体(B)が、触媒活性低減剤として、リン系酸性化合物を含有しているものである請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  5. 前記ポリ乳酸系樹脂組成物が、リン原子を70ppm〜350ppmの範囲で含有するものである請求項4に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
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