JP2008137536A - エアバッグ展開方法、エアバッグドア用ティアライン及びエアバッグ装置 - Google Patents

エアバッグ展開方法、エアバッグドア用ティアライン及びエアバッグ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両衝撃時に膨出するエアバッグの展開方向を所望の方向へガイドする。
【解決手段】エアバッグがエアバッグドアを破断開扉させて車両室内へ膨出・展開する際、開扉角度規制手段によりエアバッグドアの開き角度を規制してエアバッグの展開方向をガイドする方法。インストルメントパネル等のエアバッグドア用ティアラインにおいて、1対の扉の境界線に相当するセンターラインの両側端部を、サイドラインとの交差部から更に、エアバッグの展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴って延長させる。この延長部では表皮層のみが破断するティア加工を施す。
【選択図】図4

Description

本発明はエアバッグ展開方法、エアバッグドア用ティアライン及びエアバッグ装置に関する。更に詳しくは本発明は、自動車等の車両が衝撃を受けた際に膨出するエアバッグを簡易なデバイスにより最適な方向へ展開するようにガイドする方法と、このようなガイドが可能であり、更にはエアバッグの膨出・展開時において所望の好適なパターンで破断するエアバッグドア用ティアラインと、このようなエアバッグドア用ティアラインを含んで構成されるエアバッグ装置とに関する。
自動車その他の車両に設けるエアバッグ装置においては、一般的に、ティアラインによって構成されたエアバッグドアに覆われた状態で、エアバッグが車両内装材の適部に収納されている。そして車両が衝撃を受けた際にはエアバッグが膨出し、その膨出圧によりエアバッグドアが破断・開扉され、エアバッグが車両室内へ展開するようになっている。
特開2003−212075号公報 特許文献1には、自動車のインストルメントパネルに設けたエアバッグドア用ティアラインが開示されている。このティアラインは、両開き式のエアバッグドアを構成する1対の扉体に沿った形状に設定された、汎用的な略H字形状のティアラインである。
特開2005−324705号公報 特許文献2には、エアバッグ装置のカバー体において略H字形状のティアラインを形成すると共に、更にH字形状ティアラインの両端部を中心側方向へ折り返して延設させた延設ティアラインを形成している。この延設ティアラインは、エアバッグ装置の作動時に1対の扉予定部の両側の端部が逆反りするように変形することを可能としたものであり、その結果、この文献で言う「近接展開時」のエアバッグ膨出による衝撃や圧力を抑制できる、としている。
ところで、従来のエアバッグ装置においては、衝撃時に膨出するエアバッグの展開方向を、あらためて乗員保護に最適な方向へガイドするための特段のデバイスは、見受けられない。従来のエアバッグ装置では、エアバッグドアはヒンジ動作以外の特別の拘束を受けない状態で開扉するため、膨出したエアバッグは、開扉したエアバッグドアによって干渉されることなく、通常はエアバッグ収納部の壁面に対する略垂直方向へそのまま展開される。
このようなエアバッグ装置では、エアバッグ装置を設定した壁部のロケーションと壁面角度とが保護対象たる乗員に対して好適な空間位置関係にあって、展開したエアバッグが乗員保護に最適な方向へ展開される場合には、問題がない。
しかし、例えばエアバッグ装置をインストルメントパネルに設ける場合、他の各種の取付け部品とのレイアウトの関係、及びインストルメントパネル自体の表面形状の関係から、エアバッグ装置をパネルの上側面あるいはそれに近い部位に設定せざるを得ない場合が多い。このような場合、エアバッグは基本的に上方へ向かって展開されることになり、必ずしも最適な方向へ展開されるとは言えない。
特許文献1に記載のエアバッグにおいても、1対の扉体が線対称に構成されているので、エアバッグ膨出時にはエアバッグが1対の扉体を線対称に押し広げ、両扉体の中間からまっすぐに伸びて展開すると考えられる。特許文献2に記載のエアバッグはティアライン形状に特徴があるとは言え、エアバッグの膨出に対して部分的な展開抑制作用を果たすだけで、エアバッグの展開方向をガイドする作用は認められない。
一方、エアバッグの展開時の袋形状を工夫することで、結果的にエアバッグの展開方向を調整できる可能性も考えられる。しかしこの場合は、エアバッグが変則的な形状となるし、エアバッグの展開方向を大きく変更・制御することも難しい。
自動車のインストルメントパネルに設定されるエアバッグ装置に限らず、例えば自動車その他の車両の天井部、フロントシート後面部、自動車のリアデッキ部等にエアバッグ装置を設ける際にも、上記と同様の見地から、エアバッグの展開方向を最適な方向へガイドしたい場合が、多々予想される。
そこで本発明は、自動車等の車両が衝撃を受けた際に膨出するエアバッグを最適な方向に展開するようにガイドするための簡易な方法及びデバイスを提供することを、解決すべき技術的課題とする。
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、エアバッグが衝撃時に膨出してエアバッグドアを破断開扉させ車両室内へ展開する際、
前記エアバッグドアの開き角度を開扉角度規制手段により規制し、エアバッグドアの開き角度を利用してエアバッグの展開方向をガイドする、エアバッグ展開方法である。
第1発明において「エアバッグドア」とは、車両内装材のエアバッグ収納部においてエアバッグを覆うように形成されており、いわゆる「開き戸式」に構成されたドアを言う。通常は、第2発明で後述するような1対の扉体からなる両開き式ドアであることが多いが、単一の扉体からなる片開き式のドアとすることもあり得る。又、エアバッグを設ける車両内装材の種類としては例えば第4発明で後述するような各種の車両内装材が例示されるが、これらに限定されない。「開扉角度規制手段」としては、第3発明で後述するデバイスが代表的に例示されるが、他にも、例えばエアバッグドアの開扉動作を一定の開き角度において停止させるストッパを適宜な部分に設けるなど、エアバッグドアの開き角度を有効に規制できる限りにおいて任意の他のデバイスも採用できる。又、エアバッグドアの開き角度は限定されないが、より有効なガイド作用を確保するためには、壁面に対して90°以下の開き角度に規制することが好ましい。
第1発明によれば、衝撃時のエアバッグの膨出により破断・開扉したエアバッグドアが、その開き角度を開扉角度規制手段により規制されるため、エアバッグの展開動作がエアバッグドアにより干渉を受け、その展開方向がガイドされる。ガイドされる方向はエアバッグドアの開扉方向とは逆向きの方向であり、エアバッグドアの開き角度が小さい程、上記の方向へガイドされる程度が大きくなる。第1発明により、車両衝撃時に膨出するエアバッグを最適な展開方向へガイドすることができる。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係るエアバッグドアが1対の扉体からなる両開き式ドアである場合において、1対の扉体を前記開扉角度規制手段によって異なる開き角度に規制し、一方又は双方の扉体の開き角度を利用してエアバッグの展開方向をガイドする、エアバッグ展開方法である。
第2発明においては、1対の扉体からなる両開き式ドアにおける一方又は双方の扉体の開き角度を利用してエアバッグの展開方向をガイドすることができるので、より有効なガイド作用を期待できる。
ここで、第1発明及び第2発明の場合の扉体の開き角度を利用したガイド作用を、簡略化した図面により説明する。
図1(a)は単一の扉体からなる片開き式のエアバッグドア1を備えたエアバッグ装置2の断面図である。エアバッグ収納部3には袋状のエアバッグ4が収縮状態で収納されている。車両が衝撃を受けた場合、一定の機構によりガスが充填されたエアバッグ4が急速に膨出し、扉体1を破断・開扉させて、エアバッグ収納部3から外方へ展開しようとする。従来のエアバッグ装置の場合は、図1(b)に一点鎖線で示すように、エアバッグドア1は制約なく開扉動作するので、エアバッグ4はエアバッグドア1によって干渉されることなく、エアバッグ収納部3の表面壁部に対する略垂直方向(矢印A方向)へ、そのまま展開される。しかし、エアバッグドア1の開き角度が、適宜な開扉角度規制手段(図示省略)によって例えば図示の実線で示す状態に規制されると、このエアバッグドア1の干渉により、エアバッグ4の展開方向は矢印B方向へガイドされる。即ち、仮にエアバッグ収納部3の表面壁部が略水平であったとしても、エアバッグ4を所望の傾きをもって斜め上方へ展開させることができる。
図2は、1対の扉体5a、5bからなる両開き式のエアバッグドアを備えたエアバッグ装置6における、車両衝撃時の動作を示す。前記の場合と同様にエアバッグ7が急速に膨出して扉体を破断・開扉させ外方へ展開しようとする場合、1対の扉体5a、5bが第2発明のように異なる開き角度に規制され、例えば、図示のようにいずれも矢印C方向となる開き角度であると、エアバッグ7を一層確実にかつ強い強制力をもって所望の傾き方向(矢印C方向)へ展開させることができる。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係るエアバッグドアがベース層及び表皮層からなる車両内装材に対するティア加工によって形成されている場合において、特定の形態の表皮破断を起こすようにティア加工された表皮層を前記開扉角度規制手段として利用し、エアバッグ膨出時に破断開扉したベース層の開き角度を表皮層の突っ張り抵抗によって規制する、エアバッグ展開方法である。
第3発明において、上記の「特定の形態の表皮破断を起こすティア加工」の内容は、エアバッグ膨出時に破断開扉したベース層の開き角度を表皮層の突っ張り抵抗によって規制することができる限りにおいて、限定されない。その好ましい一例が後述する第6発明である。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る車両内装材が、自動車用のインストルメントパネル、天井材、フロントシート後面材、リアデッキ材又はピラーガーニッシュである、エアバッグ展開方法である。
第4発明に例示されるように、エアバッグ展開方法が適用される車両内装材の種類や部位は任意に選定することができる。
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係る車両内装材が自動車用のインストルメントパネルである場合において、エアバッグの展開方向が助手席搭乗者側(自動車後方側)へガイドされる、エアバッグ展開方法である。
エアバッグ展開方法の特に好ましい適用例の一つが、第5発明のように自動車用のインストルメントパネルへの適用であり、この場合には、エアバッグの展開方向が助手席搭乗者側(自動車後方側、より具体的には、後方側の斜め上方)へガイドされることが好ましい。
(第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、車両内装材のエアバッグ収納部において、車両内装材を構成するベース層と表皮層にティア加工を施すことによりエアバッグドアの1対の扉体に沿う形状に設定されるエアバッグドア用ティアラインであって、
前記1対の扉体の境界線に相当するセンターラインが、1対の扉体の両側端部に相当する両側のサイドラインとの交差部から更に、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴って両側に延長されたセンターライン延長部を備えており、このセンターライン延長部においては表皮層のみが破断するティア加工が施されている、エアバッグドア用ティアラインである。
第6発明の一実施形態とその作用・効果を図3に基づいて説明する。図3(a)はティア加工の状態を示す平面視であり、このティア加工では、エアバッグ膨出時においてベース層及び表皮層が破断するようにティア加工したH字形状のティアライン8と、H字形状の上下端部間(一点鎖線で示すライン)に形成した、ドアヒンジ部を構成するようにティア加工したティアライン9とが形成され、更に、特徴的な点として、H字形状のティアラインにおけるセンターライン10からは、両側のサイドライン11との交差部から両側に延びるセンターライン延長部12が形成されている。センターライン延長部12は膨出時のエアバッグの展開方向をガイドしたい方向(矢印D方向)への一定の屈折角度を伴って延長されており、かつ、表皮層のみが破断するようにティア加工されている。一方、上記した両側のサイドライン11においては、ベース層のみが破断するようにティア加工されている。
このティアラインにおけるエアバッグ膨出時の作用を、図3(a)のX−X線断面図である図3(b)に基づいて説明する。エアバッグ収納部13のエアバッグ(図示省略)が膨出してH字形状のティアライン8を破断させ、ティアライン9により構成されるヒンジ部14を中心として1対の扉体15a、15bを図示の開き角度まで開扉させたとき、センターライン延長部12ではベース層16は破断せず表皮層17のみが破断する。反面、両側のサイドライン11においてはベース層のみが破断するので、表皮層17に関しては、センターライン10とセンターライン延長部12のみが図3(a)に示す屈折を伴う線状に破断する。そのような表皮層17の破断形状の関係で、一方の扉体15aは表皮層17の強い突っ張り抵抗(強い押さえ効果)を受けて図3(b)に示す状態以上に開くことができない。しかし他方の扉体15bは表皮層17の突っ張り抵抗を受けないので、一点鎖線で図示するような十分に大きな開き角度まで開扉する。その結果、1対の扉体15a、15bが前記の図2に示した扉体5a、5bと同じ開扉状態になり、エアバッグの展開方向を矢印D方向へガイドできるのである。
(第7発明)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、前記第6発明に係るエアバッグドア用ティアラインの各部において、エアバッグの膨出時に下記1)〜4)の作用が起こるティア加工を施す、エアバッグドア用ティアラインである。
1)ティアラインにおける1対の扉体のヒンジ部に相当する上下の横ラインにおいては、エアバッグの膨出時にベース層が少なくとも折れ曲がる。
2)ティアラインにおけるセンターラインにおいては、ベース層と表皮層が破断する。
3)ティアラインにおける1対の扉の両側端部に相当する両側のサイドラインにおいては、ベース層は破断するが表皮層は破断しない。
4)センターライン延長部においては、ベース層は破断しないが表皮層が破断する。
エアバッグドア用ティアラインの各部において第7発明のようなティア加工を施すことにより、前記第6発明の作用・効果が確実に達成される。
(第8発明)
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、前記第7発明に係るエアバッグドア用ティアラインがインビジブルに形成される場合において、ティアラインの各部におけるティア加工の内容が下記5)及び6)である、エアバッグドア用ティアラインである。
5)前記横ライン、センターライン及びサイドラインにおいては、(A)少なくとも、ベース層における表皮層付近部分まで達する深さで間欠的に設けた線状カット部を設け、(B)必要により更に、ベース層を通過して表皮層の肉厚部まで達するドットカットであって、前記線状カット部の底部に形成する底部ドットカット、又は線状カット部が設定されていない部分に形成する独立ドットカットを設ける。
6)前記センターライン延長部においては、好適な相互間隔で上記の独立ドットカットのみを設ける。
車両内装材におけるティア加工あるいはその痕跡は、外観上の配慮から、一般的にインビジブル(車室から見て、露見しない)であることが要求されるので、表皮層に対する加工も含めて、ティア加工をベース層側(車両内装材の裏側)から行う必要がある。しかも近年、インストルメントパネル等の車両内装材はベース層を基材層と発泡材層から構成し、かつ、表皮層と発泡材層とを真空成形すると同時にこれらを基材層へ圧着成形するという凹引き真空成形法を用いて製造している。従って、表皮層とベース層とに対するティア加工を別々の工程で行うのは難しい。
第8発明によれば、凹引き真空成形法により製造される車両内装材に対応でき、ティア加工のインビジブル性を確保でき、かつ、第7発明のようなティアラインの要求を確実に実現することができる。より具体的に言えば、エアバッグ膨出時において線状カット部はベース層に破断性能を与え、あるいは少なくともヒンジ部としての折曲がり性能を与えることができる。このような性能の種類や程度は、線状カット部の長さ、設定頻度及びドットカットとの組合わせにより調整できる。又、独立ドットカットのみを設けたティアラインにおいては、エアバッグ膨出時に表皮層のみを破断させることができる。
(第9発明)
上記課題を解決するための本願第9発明の構成は、前記第8発明に係る横ライン、センターライン及びサイドラインに対する前記(A)、(B)のティア加工の形態及び/又は頻度を選択することにより、エアバッグの展開時におけるティアラインの破断動作を下記7)〜9)の順序で起こさせ、もしくは7)の後に8)、9)を同時に起こさせ、これらと併せて10)の作用が確保されるようにした、エアバッグドア用ティアラインである。
7)最初にセンターラインの中央部が破断する。
8)センターライン及びセンターライン延長部が両端に到るまで一気に破断する(センターライン延長部においては表皮層のみの破断)。
9)1対のサイドラインが破断する(ベース層のみの破断)。
10)破断・開扉したエアバッグドア(ベース層)の開き角度が表皮層の突っ張り抵抗によって規制される。
本願発明者の多様な実験によれば、第9発明のようにティアラインの特定部分における表皮層も含めた破断強度を相対的に弱く又は強く設定してティアラインの破断を上記のプロセスで起こさせると、エアバッグの迅速かつ十分な展開モードを確保でき、両側のサイドラインにおけるベース層の破断も確保され、かつ、基材層等もクリアーに破断されて、展開したエアバッグに干渉し得るバリ等も形成されない。その上で、表皮層の突っ張り抵抗によるエアバッグドア(ベース層)の開き角度に対する良好な規制も確保される。
(第10発明)
上記課題を解決するための本願第10発明の構成は、前記第6発明〜第9発明のいずれかに係るエアバッグドア用ティアラインが自動車のインストルメントパネルに形成されるものであって、前記センターライン延長部が助手席搭乗者側(自動車後方側)への屈折角度を伴ってセンターラインの両側へ延長されている、エアバッグドア用ティアラインである。
第10発明によって、前記の第5発明と同様のメリットを確保することができる。
(第11発明)
上記課題を解決するための本願第11発明の構成は、車両内装材に収納されたエアバッグと、このエアバッグを覆う状態で車両内装材に形成された第6発明〜第10発明のいずれかに係るエアバッグドア用ティアラインとを備える、エアバッグ装置である。
第11発明によれば、第6発明〜第10発明の作用・効果を確保したもとで優れたエアバッグ装置を構成することができる。
本願の上記各発明によって、自動車等の車両が衝撃を受けた際に膨出するエアバッグを最適な方向に展開するようにガイドするための簡易な方法及びデバイスが提供され、更にエアバッグ展開時におけるティアラインの理想的な表皮破断パターンが提示され、そのために必要なティアラインの具体的な実施形態が提供される。
次に、本願の第1発明〜第11発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
〔エアバッグ展開方法〕
本発明のエアバッグ展開方法は、上記の第1発明〜第5発明で述べたように、エアバッグが衝撃時に膨出して車両室内へ展開する際、エアバッグドアの開き角度を規制し、その開き角度を利用してエアバッグの展開方向をガイドする方法である。
エアバッグドアの種類、形状等は、「開き戸式」に構成されているかぎりにおいて限定されず、例えば片開き式のものも両開き式のものも含まれる。
エアバッグドアの開き角度の規制は開扉角度規制手段により行うが、開扉角度規制手段としては、表皮層の突っ張り抵抗を利用する方式や、ドアの開きに対するストッパを設定する方式に限らず、合目的的に構成されたものである限りにおいて、任意の構成、作用メカニズムに基づく開扉角度規制手段を採用できる。
エアバッグドアの開き角度の規制はエアバッグドア設定部の壁面に対して90°以下であることが好ましい。90°を超える開き角度で規制しても、エアバッグの展開方向に対する積極的なガイド作用を期待しにくい。より好ましくは45°〜90°の範囲内でエアバッグドアの開き角度を規制する。
エアバッグドアが1対の扉体からなる両開き式ドアである場合においては、一方の扉体によってエアバッグの展開方向をガイドするケースと、双方の扉体の開き角度を利用してエアバッグの展開方向をガイドするケースとが考えられる。前者のケースでは、他一方の扉体は開き角度を特段に規制する必要はなく、あるいは、少なくともエアバッグの展開方向に対するガイド作用を阻害しない開き角度に規制すれば足りる。後者のケースでは、1対の扉体を開扉角度規制手段によって異なる開き角度に規制することが好ましい。
〔車両内装材〕
車両内装材としては、限定はされないが、自動車用のインストルメントパネル、天井材、フロントシート後面材、リアデッキ材又はピラーガーニッシュが好ましく例示される。特に好ましい車両内装材が自動車用インストルメントパネルである。自動車用インストルメントパネルは一般的に表面側(車室側)に位置する表皮層を備えた積層構造体である。とりわけ好ましくは、上記の表皮層とベース層とを備えたインストルメントパネルが例示される。ベース層は、例えばポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる単層の基材層であっても良く、このような基材層を含む積層構造であっても良い。積層構造は、例えば基材層と、発泡ポリプロピレンや発泡ポリウレタン等からなると共に表皮層と接する発泡材層とから構成される。この場合において、基材層と発泡材層との間に接着材層があっても良い。積層構造においては発泡材層に代わる適宜な材料層を備えても良く、基材層と発泡材層に加えて他の材料層を備える場合もあり得る。
ベース層が上記のような積層構造である場合において、「ベース層における表皮層付近部分まで達する深さ」とは、「ベース層において表皮層と接する材料層(例えば上記の発泡材層)の表皮層付近部分まで達する深さ」を意味する。
〔ティアラインの形状〕
本発明において、エアバッグドア用ティアラインの形状は限定されない。前記のセンターライン延長部を形成する実施形態においては、発明の目的に適うセンターライン延長部を形成可能である限りにおいて、エアバッグドア用ティアラインの形状は限定されない。
例えば、前記特許文献に開示されたような、エアバッグドアの1対の扉の境界線に相当するセンターラインと、1対の扉の両側端部に相当する両側のサイドラインとから構成される「H」字形のティアライン形状も含まれるし、更に1対の扉の上下端部に相当する(センターラインと平行な)横方向ラインを備えた「日」字形のティアライン形状も含まれる。要するにエアバッグドアの設定形状に対応して設定されたティアライン形状であれば足りる。
好ましいティアライン形状として、前記センターラインが、両側のサイドラインとの交差部から更に、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴って両側に延長されたセンターライン延長部を備えているティアライン形状を挙げることができる。センターライン延長部の屈折角度と長さ(延長幅)とは、エアバッグドアの開扉に対する表皮層の突っ張り抵抗の効果を規定する要素である。センターライン延長部の屈折角度と長さは必要に応じて最適に設計されるものであって、特段に限定されない。自動車用インストルメントパネルに設けるティアラインの場合、通常、屈折角度は30°〜45°の範囲内、延長幅は100mm以下が、効果的な表皮層の突っ張り効果を得る上で好ましい。センターライン延長部は、センターラインに対して必ずしも直線的に屈折する必要はなく、例えば円弧状に次第に屈折する状態でも構わない。
〔ティア加工のカット形態〕
ティアラインの各部分には、それらのベース層と表皮層の破断強度に相対的な差異付けを行うため、ティア加工のカット形態に複数の選択肢を持たせることができる。以下の第1〜第4のカット形態の内、2つ以上のカット形態を併せ用いることが好ましく、全てのカット形態を併せ用いることが特に好ましい。
第1のカット形態は、ベース層における表皮層付近部分まで達する深さで間欠的に設けた線状カット部である。線状カット部は、その開口部の形状としては、いわゆる長孔状である。長孔の短径はティア加工の手段(例えば、エンドミル)によって規定される場合もあるが、設計上の必要に応じる限りにおいて特段に限定されず、例えば1mmとすることができる。長孔の短径はティアラインの各部において一律である必要はない。
第2のカット形態は、上記の線状カット部の底部に設けたドットカットである。これを「底部ドットカット」とも呼ぶ。ドットカットとは、表皮層の肉厚部まで達する深さに設けた点状の(丸孔状、角孔状等の)カット部である。ドットカットの孔径は限定されないが、例えば、上記の線状カット部の短径と同一に設定しても良い。ドットカットの孔形状や孔径も、ティアラインの各部において一律である必要はない。
第3のカット形態は、間欠的に設けた線状カット部の間欠部分においてベース層から表皮層の肉厚部まで達する深さに設けたドットカットである。これを「間欠部ドットカット」とも呼ぶ。この形態のドットカットについての孔径や孔形状は、第2のカット形態に係るドットカットの場合と同様である。
第4のカット形態は、元々線状カット部が設定されていない部分においてベース層から表皮層の肉厚部まで達する深さに設けたドットカットである。これを「独立ドットカット」とも呼ぶ。この形態のドットカットについての孔径や孔形状も、第2のカット形態に係るドットカットの場合と同様である。
〔ティア加工のカット頻度〕
本発明においては、ティアラインの各部分の破断強度に相対的な差異付けを行うため、ティアラインの各部分におけるティア加工のカット頻度に多様性を持たせることができる。
より具体的には、例えば、線状カット部の長さ(長径)、線状カット部同士の相互間隔(間欠的に設けた線状カット部の間欠部分の幅)、前記の三通りのドットカットにおける相互間隔(ドットカットのピッチ)である。線状カット部の長径は必要に応じて適宜に設計できるが、例えば4mm程度とすることができ、かつティアラインの各部において一律である必要はない。線状カット部同士の相互間隔は必要に応じて適宜に設計できるが、例えば6mm程度とすることができ、かつティアラインの各部において一律である必要はない。
ドットカットの形成、及びその相互間隔の設定は、ティアライン各部の表面破断強度に大きな影響を持つ。そのため、ティアラインの内で相対的に表面破断強度を弱くする必要のない部分にはドットカットを形成せず、表面破断強度を相対的に弱くしたい部分にはドットカットを形成する。前記した「H」字状あるいは「日」の字状のティアラインにおいて、表面破断強度を特に弱くしたい部分、例えば、センターラインの中央部、センターラインにおける両側のサイドラインとの交差部等の特定の部分ではドットカットの相互間隔を小さくすることが好ましい。但し、ドットカットの相互間隔を余りに小さくすると、事実上ドットカット同士が連結したような状態と変わらず、表面破断強度が過剰に弱くなったり、熱歪みの弊害が出たりする恐れがある。そのため、例えばドットカットの孔径が1mmである場合、ドットカットの相互間隔は0.5mm以上、より好ましくは1mmとすることが望ましい。
更に、上記した特定の部分の相互間においても互いに相対的な表面破断強度に差異付けを行いたい場合がある。そのような場合には、とりわけ表面破断強度を弱くしたい部分では線状カット部の底部に設けるドットカットと線状カット部の間欠部分に設けるドットカットとを併用し、それ以外の部分では線状カット部の底部にのみドットカットを設ける、という設計が可能である。
一方、ベース層の破断強度に対する効果に関しては、線状カット部を形成することの影響が大きく、独立ドットカットの影響は相対的に小さい。従って、ティアラインの内、表面破断を確保したいがベース層の破断は避けたいという部分(センターライン延長部)については、線状カット部を設けずに独立ドットカットのみを有することが有効である。逆に、ベース層の破断は確保したいが表面破断を避けたいという部分(例えば、後述の実施例におけるサイドライン)については、線状カット部を確保しつつ、各種のドットカットを設けない(又は少なめに設ける)というティア加工が有効である。
〔ティアラインの好適な破断パターン〕
本発明に係るティアラインの好適な表皮破断パターンは特段に限定されない。
しかしながら、「H」字状あるいは「日」の字状のティアラインにおいて、現在までの実験結果に基づく限り、ティアラインにおけるセンターラインの中央部、センターラインにおける両側のサイドラインとの交差部、及び両側のサイドラインにおける表皮層も含めた破断強度を前記したティア加工の各種の選択により相対的に弱く又は強く設定して、エアバッグの展開時におけるティアラインの表皮破断を下記7)〜9)の順序で起こさせ、もしくは7)の後に8)、9)を同時に起こさせる表皮破断パターンが好適である。そして、結果的に10)の作用が起こる。センターラインと平行な上下の横ラインにおいては、ベース層がヒンジ部として折れ曲がれば良い。
7)最初にセンターラインの中央部が破断する。
8)センターライン及びセンターライン延長部が両端に到るまで一気に破断する(センターライン延長部においては表皮層のみの破断)。
9)1対のサイドラインが破断する(ベース層のみの破断)。
10)破断・開扉したエアバッグドア(ベース層)の開き角度が表皮層の突っ張り抵抗によって規制される。
以上のパターンでエアバッグドアのティアラインを破断させると、表皮の適正な破断が確保されて、エアバッグの迅速かつ十分な展開モードを実現でき、特に、ティアラインにおける両側のサイドラインでのベース層の破断が確保され、更には基材層等がクリアーに破断されて、その破断部におけるバリ等の形成に起因するエアバッグ傷害の恐れがない。このような好適な表皮破断パターンは、以下に述べるエアバッグドア用ティアラインの実施形態において、とりわけ確実に実現することができる。
〔エアバッグドア用ティアラインの好適な実施形態〕
本発明における特に好適なエアバッグドア用ティアラインの実施形態の一つを述べる。この実施形態は、自動車のインストルメントパネルにティア加工を施すことにより、エアバッグドアの1対の扉に沿う形状に設定されるエアバッグドア用ティアラインの形成に関するものである。但し、ティアラインの全体形状、ティアラインの各部におけるティア加工のカット形態とカット頻度の少なくとも一方の選択等に関し、1又は2以上の他の有効な実施形態があり得る。
この実施形態においては、インストルメントパネルはベース層と表皮層からなり、ベース層は、基材層と、上記表皮層に接する発泡材層からなる。
ティアラインとしては、少なくとも、前記1対の扉の境界線に相当するセンターラインと、1対の扉の両側端部に相当する両側のサイドラインとが形成される。前記センターラインは、その両側のサイドラインとの交差部から更に、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴って両側に延長されたセンターライン延長部を有する。センターライン延長部の長さは限定されず、必要に応じて適宜な長さに設計される。
又、センターライン延長部を除くティアラインの全体にわたり、ベース層における表皮層付近部分まで達する深さの線状カット部を間欠的に設ける。加えて、センターラインの中央部、センターラインにおける両側のサイドラインとの交差部付近の部分(センターライン延長部を除く)には、底部ドットカットと間欠部ドットカットの少なくとも一方を設ける。センターライン延長部には、独立ドットカットを設ける。
より具体的には、センターラインにおいて、その中央部、及び、そのサイドラインとの交差部付近の部分(センターライン延長部を除く)には、相互間隔の密な底部ドットカットを設ける。両側のサイドラインにおいては、少なくとも上記の線状カット部を設けるが、底部ドットカット及び間欠部ドットカットは余り設けないか、又は全く設けない。センターライン延長部においては、必要な密度で独立ドットカットを設ける。
ティアラインにおける上記以外の部分でも、設計上で好適な部分には、相互間隔の密でない底部ドットカットや間欠部ドットカットを設けることができる。
次に本発明の一実施例を図4〜図8に基づいて説明する。本発明の技術的範囲は、以下の実施例によって限定されない。
本実施例のエアバッグドア用ティアラインは、自動車の助手席前方のインストルメントパネルにおける、上側面部分に設定される。図4に示すように、ティアライン21は、基本形状として、エアバッグドアの1対の扉の境界線に相当するセンターライン22と、1対の扉の両側端部に相当する両側のサイドライン23と、センターライン22に対して平行に形成された、1対の扉の上下端部に相当する上下の横ライン24とからなる。
又、特徴的なティアライン部分として1対のセンターライン延長部25を備えている。このセンターライン延長部25は、センターライン22が両側のサイドライン23と交差する部分から更に、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向(矢印D方向)への屈折角度を伴って両側に延長されている。
図5〜図8に共通して示すように、本実施例に係るインストルメントパネル26は、裏側面を構成する基材層27と、これに接する比較的厚い発泡材層28と、これに接すると共にインストルメントパネル26の表側(車室側)面を構成する薄い表皮層29からなる積層構造体である。基材層27はポリプロピレン製であり、発泡材層28は発泡ポリプロピレン製であり、表皮層29はポリオレフィン製である。
図4に示すティアライン21の内、センターライン延長部25を除く全ての部分において、基本的なティア加工として、図5(a)及び図5(b)に示すように、発泡材層28における表皮層29付近の部分まで達する深さの線状カット部30を設けている。図5(a)はインストルメントパネル26のティアライン21に沿う断面図であり、図5(b)は図5(a)の図示部分を上方から見た平面視である。
線状カット部30は、図5(b)に示すようにティアライン21に沿って間欠的に形成された長孔状の孔であり、その短径は1mmである。又、図5(a)に示すように、線状カット部30の長径は一律に4mmであり、線状カット部30の形成されていない間欠部31の幅は一律に6mmである。ティアライン21における上下の横ライン24の部分には、図5(a)及び図5(b)に示す基本的なティア加工が施されている。
ここで、図に基づく説明の便宜のために、図4に示すティアライン21の各部分に対して、破線で領域を表示したように、センターライン中央部32、センターライン22からセンターライン延長部25にわたる部分における両側のサイドライン23との交差部分であるセンターライン交差部33、両側のサイドライン23の部分であるサイドライン部34、及びセンターライン22における前記のセンターライン中央部32とセンターライン交差部33との中間部分であるセンターライン側方部35という領域名を与える。センターライン交差部33におけるセンターライン延長部25の部分を除き、これらの各領域には、それらの部分での表皮破断強度に互いに異なる相対的な弱さを付与する目的で、それぞれ図6又は図7に示した付加的なティア加工であるドットカット36を設けている。これらのドットカット36は、その孔径が線状カット部30の短径と同じく1mmであり、従って、例えば同じエンドミルを用いて線状カット部30とドットカット36とを同一工程で連続的に形成することができる。
センターライン側方部35では、図6に示すように、長径4mmである個々の線状カット部30の底部から、表皮層29の肉厚部まで達するドットカット36を各1個ずつ形成している。即ちドットカット36の形成密度が低い。従ってセンターライン側方部35は、ドットカット36を設けたティアライン部分の中では、相対的な表皮破断強度は弱くない。
次に、センターライン中央部32と、センターライン交差部33におけるセンターライン延長部25を除いた部分とにおいては、図7に示すように、長径4mmである個々の線状カット部30の底部から同上のドットカット36を各2個ずつ形成している。前記したように、孔径1mmのドットカット36の特に好ましい相互間隔が1mm程度であることを考えれば、ドットカット36の形成密度が非常に高い。従ってこれらの部分においては、線状カット部30におけるドットカット36の形成密度の高さから、ドットカット36を設けたティアライン部分の中で、相対的な表皮破断強度はかなり弱い。
更に、両側のサイドライン部34においては、「基材層27及び発泡材層28が破断し易く表皮層29は破断しない」という設計上の要求を満たすために、前記の図5(a)に示すような線状カット部30のみが形成され、あるいは、前記の図6に示す場合と同様に、個々の線状カット部30の底部から、表皮層29の肉厚部まで達するドットカット36を各1個ずつ形成している。これらの場合において、線状カット部30は、上記した設計上の要求に応じ、図5において説明した場合とは異なり、その長径を5〜6mm程度に大きく設定し、及び/又は、それらの相互間隔を4〜5mm程度に小さく設定することもできる。
次に、センターライン交差部33の内のセンターライン延長部25の部分では、図8に示すように、上記線状カット部30のようなカット部を形成することなく、適宜な高い密度で基材層27から表皮層29の肉厚部まで達するドットカット36(前記した独立ドットカット)を形成している。従って、センターライン延長部25においては表皮破断強度は弱いが、基材層27及び発泡材層28の破断強度は上記した他の各領域部分に比較して格段に強い。
本実施例では、以上のようにティアライン21を構成するので、エアバッグの展開時において、エアバッグの展開圧力を最初に強く受けるセンターライン中央部32からティアラインの破断が始まり、その勢いで、センターライン22がセンターライン側方部35まで含めて破断する。更に、センターライン22にはセンターライン延長部25を延設しているので、表皮層29に関しては、センターライン22からセンターライン延長部25の先端部までが一気に表皮破断する。
又、両側のサイドライン部34では、ベース層の破断強度がかなり弱いので、基材層27から表皮層29まで含むセンターライン方向の破断動作が、ほぼ同期してこれとは略直角に交差する方向のサイドライン部34における基材層27及び発泡材層28の破断動作へと滑らかに転換されるが、その際にサイドライン部34の表皮層29は破断しない。
即ち、これらの破断の際、ティアライン21におけるセンターライン延長部25以外の部分においては表皮層29と共に基材層27及び発泡材層28の破断を起こすが、センターライン延長部25においては表皮破断のみを起こし、基材層27及び発泡材層28は破断しない。逆に、両側のサイドライン部34では、基材層27及び発泡材層28のみが破断し、表皮層29は破断しない。これらの一連の破断動作の結果、以下の2点の作用・効果が得られる。
第1に、図3(a)、(b)に関して前記した作用・効果が確保される。即ち、エアバッグが膨出してティアライン21を破断させ、エアバッグドアの1対の扉体40,41を開扉させたとき、センターライン延長部25では表皮層27のみが破断するが、両側のサイドライン部34では表皮層27は破断しない。その結果、図3(a)で前記した場合と同様に、センターライン22とセンターライン延長部25のみが表皮破断を起こすという表皮破断形状が確保される。このように、センターライン延長部25における矢印D方向へ屈折した表皮破断形状のため、図4の上方の扉体40は表皮層27の強い突っ張り抵抗(強い押さえ効果)を受けて十分に開くことができないが、一方、図4の下方の扉体41は表皮層27の突っ張り抵抗を受けないので、十分に大きな開き角度まで開扉する。その結果、1対の扉体40,41が前記の図2に示した扉体5a、5bと同じ開扉状態になり、エアバッグの展開方向を矢印D方向(助手席方向)へガイドできるのである。
第2に、上記の第1の前提のもとに、エアバッグドアの1対の扉体40,41がスムースに開き、エアバッグの十分な展開に支障を来たさない。しかも、エアバッグドアがクリアーに破断・開扉されるため、その破断端縁部にバリ等を発生せず、このようなバリ等が展開したエアバッグを傷害する恐れがない。
本発明によって、簡易な手段によりエアバッグの展開方向を所望の方向にガイドすることができ、更には、エアバッグの展開時におけるティアラインの理想的な表皮破断パターンを実現することができる。
エアバッグ展開方法の実施形態の一例を示す図である。
エアバッグ展開方法の実施形態の他の一例を示す図である。
エアバッグドア用ティアラインの好適な実施形態を示す図である。
実施例に係るエアバッグドア用ティアラインを示す図である。
実施例に係るティア加工の形態を示す図である。
実施例に係るティア加工の形態を示す断面図である。
実施例に係るティア加工の形態を示す断面図である。
実施例に係るティア加工の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 エアバッグドア
2 エアバッグ装置
3、13 エアバッグ収納部
4 エアバッグ
5a、5b、15a、15b、40,41 扉体
8、9、21 ティアライン
10、22 センターライン
11、23 サイドライン
12、25 センターライン延長部
16 ベース層
17、29 表皮層
24 横ライン
26 インストルメントパネル
27 基材層
28 発泡材層
30 線状カット部
36 ドットカット

Claims (11)

  1. 車両内装材に収納されたエアバッグが衝撃時に膨出してエアバッグドアを破断開扉させ車両室内へ展開する際、
    前記エアバッグドアの開き角度を開扉角度規制手段により規制し、エアバッグドアの開き角度を利用してエアバッグの展開方向をガイドすることを特徴とするエアバッグ展開方法。
  2. 前記エアバッグドアが1対の扉体からなる両開き式ドアである場合において、1対の扉体を前記開扉角度規制手段によって異なる開き角度に規制し、一方又は双方の扉体の開き角度を利用してエアバッグの展開方向をガイドすることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ展開方法。
  3. 前記エアバッグドアがベース層及び表皮層からなる車両内装材に対するティア加工によって形成されている場合において、特定の形態の表皮破断を起こすようにティア加工された表皮層を前記開扉角度規制手段として利用し、エアバッグ膨出時に破断開扉したベース層の開き角度を表皮層の突っ張り抵抗によって規制することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアバッグ展開方法。
  4. 前記車両内装材が、自動車用のインストルメントパネル、天井材、フロントシート後面材、リアデッキ材又はピラーガーニッシュであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエアバッグ展開方法。
  5. 前記車両内装材が自動車用のインストルメントパネルである場合において、エアバッグの展開方向が助手席搭乗者側(自動車後方側)へガイドされることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエアバッグ展開方法。
  6. 車両内装材のエアバッグ収納部において、車両内装材を構成するベース層と表皮層にティア加工を施すことによりエアバッグドアの1対の扉体に沿う形状に設定されるエアバッグドア用ティアラインであって、
    前記1対の扉体の境界線に相当するセンターラインが、1対の扉体の両側端部に相当する両側のサイドラインとの交差部から更に、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴って両側に延長されたセンターライン延長部を備えており、このセンターライン延長部においては表皮層のみが破断するティア加工が施されていることを特徴とするエアバッグドア用ティアライン。
  7. 前記エアバッグドア用ティアラインの各部において、エアバッグの膨出時に下記1)〜4)の作用が起こるティア加工を施すことを特徴とする請求項6に記載のエアバッグドア用ティアライン。
    1)ティアラインにおける1対の扉体のヒンジ部に相当する上下の横ラインにおいては、エアバッグの膨出時にベース層が少なくとも折れ曲がる。
    2)ティアラインにおけるセンターラインにおいては、ベース層と表皮層が破断する。
    3)ティアラインにおける1対の扉の両側端部に相当する両側のサイドラインにおいては、ベース層は破断するが表皮層は破断しない。
    4)センターライン延長部においては、ベース層は破断しないが表皮層が破断する。
  8. 前記エアバッグドア用ティアラインがインビジブルに形成される場合において、ティアラインの各部におけるティア加工の内容が下記5)及び6)であることを特徴とする請求項7に記載のエアバッグドア用ティアライン。
    5)前記横ライン、センターライン及びサイドラインにおいては、(A)少なくとも、ベース層における表皮層付近部分まで達する深さで間欠的に設けた線状カット部を設け、(B)必要により更に、ベース層を通過して表皮層の肉厚部まで達するドットカットであって、前記線状カット部の底部に形成する底部ドットカット、又は線状カット部が設定されていない部分に形成する独立ドットカットを設ける。
    6)前記センターライン延長部においては、好適な相互間隔で上記の独立ドットカットのみを設ける。
  9. 横ライン、センターライン及びサイドラインに対する前記(A)、(B)のティア加工の形態及び/又は頻度を選択することにより、エアバッグの展開時におけるティアラインの破断動作を下記7)〜9)の順序で起こさせ、もしくは7)の後に8)、9)を同時に起こさせ、これらと併せて10)の作用が確保されるようにしたことを特徴とする請求項8に記載のエアバッグドア用ティアライン。
    7)最初にセンターラインの中央部が破断する。
    8)センターライン及びセンターライン延長部が両端に到るまで一気に破断する(センターライン延長部においては表皮層のみの破断)。
    9)1対のサイドラインが破断する(ベース層のみの破断)。
    10)破断・開扉したエアバッグドア(ベース層)の開き角度が表皮層の突っ張り抵抗によって規制される。
  10. 前記エアバッグドア用ティアラインが自動車のインストルメントパネルに形成されるものであって、前記センターライン延長部が助手席搭乗者側(自動車後方側)への屈折角度を伴ってセンターラインの両側へ延長されていることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載のエアバッグドア用ティアライン。
  11. 車両内装材に収納されたエアバッグと、このエアバッグを覆う状態で車両内装材に形成された請求項6〜請求項10のいずれかに記載のエアバッグドア用ティアラインとを備えることを特徴とするエアバッグ装置。

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