JP2008133133A - 搬送装置、及び、ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
搬送工程前後における湿潤混合物の水分含有量変化率が小さく、後の工程に一定品質の湿潤混合物を供給することができる搬送装置であり、特にハニカム構造体の製造工程に用いた場合に、押出された成形体にクラック、セル切れ等が発生することを防止することができる搬送装置を提供する。
【解決手段】
湿潤混合物を搬送するコンベアが配設された搬送部を備え、搬送前後の上記湿潤混合物の水分含有量変化率が3%以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが種々提案されている。
そして、湿潤混合物を搬送する搬送装置としては、例えば、特許文献1、2に開示されたようなものがある。
また、搬送装置の一部に、湿潤混合物を貯蔵する貯蔵部を設けた場合には、湿潤混合物の搬送装置への投入から次工程への排出までの期間にばらつきが生じることがあった。
このような状況下では、水分含有量を同一に調製した湿潤混合物を搬送装置に投入した場合であっても、径時変化による乾燥、又は、温度及び湿度の変化等の要因によって、搬送装置より排出される湿潤混合物の水分含有量にばらつきが生じることがあり、一定品質の湿潤混合物を後の工程に供給することができないことが問題となっていた。
一方、水分含有量が適正量を超えると、押出された成形体が乾燥するまでに一定の形状を保持することが困難になり、ハニカム焼成体に反りが発生するという不良が生じることがあった。
上記搬送工程において、湿潤混合物を搬送するコンベアが配設された搬送部を備え、搬送前後の上記湿潤混合物の水分含有量変化率が3%以下である搬送装置を用いて、上記湿潤混合物を押出成形機に搬送することを特徴とする。
また、本発明の搬送装置を、例えば、ハニカム構造体の製造工程における押出成形工程前の搬送装置として用いた場合には、適正な水分含有量の湿潤混合物を押出成形機に安定して供給することができるため、押出成形体にクラック、セル切れ等が発生することを防止することができる。
本発明の搬送装置は、湿潤混合物を搬送するコンベアが配設された搬送部を備え、搬送前後の上記湿潤混合物の水分含有量変化率が3%以下であることを特徴とする。
搬送前後の上記湿潤混合物の水分含有量変化率が3%以下であるとは、搬送前後の上記湿潤混合物の水分含有量変化率の絶対値が3%以下であることを意味する。
図1は、本発明の搬送装置の一例を模式的に示す断面図である。
この搬送装置30は、湿潤混合物を投入するための投入口34を有するケーシング33、及び、ベルトコンベア35からなる、湿潤混合物を搬送する搬送部32を備えている。
搬送装置30では、湿式混合機(図示せず)内で調製された湿潤混合物が、投入口34から搬送部32内に投入されると、搬送部32を構成するベルトコンベア35上に堆積することとなる。
そのため、ケーシング33内の湿潤混合物から所定量の水分が蒸発して、ケーシング33内の湿度が一旦高くなると、それ以降はケーシング33内の湿度が高い状態を保持し続けることができる。
このように、ケーシング33内の湿度を常に高い状態に保ちつつ、湿潤混合物をケーシング33内に投入することで、ケーシング33内に存在する湿潤混合物から単位時間あたりに水分が蒸発する速度が低下する為、ケーシング33内で蒸発する水分量が少なくなり、湿潤混合物の乾燥を防止することができる。
上記作用により、湿潤混合物が搬送部32内で乾燥することを防止することができるため、搬送工程前後での水分含有量変化率が3%以下となるように湿潤混合物中の水分を保ちながら、搬送を行うことができる。
なお、搬送工程前後での水分含有量変化率は低いほうが望ましく、できるだけ0%に近いことがより望ましい。
なお、本発明の搬送装置30において、ケーシング33には、箱状部材に蓋が設けられたケーシング及び予め管状に成形されたケーシングをも含むものとする。
この仕切り部材38は、ケーシング33内の空間を仕切ることができ、その仕切られた空間相互間での水分の移動を防止することができる部材である。これにより、湿潤混合物の存在する空間をより狭く区切って、その区切られた空間の湿度を高く保つことができる。
湿潤混合物の存在する空間の湿度を高く保つことで、湿潤混合物から水分が蒸発する量を少なくすることができ、搬送工程前後での水分含有量変化率をさらに小さくすることができる。
湿潤混合物の表面に仕切り部材38の端部が接している状態であれば、仕切り部材38で仕切られた空間相互間での水分の移動は生じないため、湿潤混合物の搬送中に湿潤混合物から水分が蒸発する量を少なくすることができる。
具体的には、フッ素樹脂等の低吸水率の樹脂材料又は金属材料であることが望ましい。
コンベアベルト35aの材質としては特に限定されず、例えば、ゴムや、ウレタン、塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂等が挙げられる。
図1に示す搬送装置30においては、ベルトコンベア35の回転方向により下流側の位置は変化するため、ベルトコンベア35の両端部側に貯蔵部31A、31Bが設けられている。
貯蔵部31Aはその底面に開閉可能な排出口を有しており、この貯蔵部31Aでは、一定量の湿潤混合物を一時的に保管することができるとともに、単位時間当たり一定の量となるようにコントロールしながら湿潤混合物を排出口から次工程の装置、例えば、押出成形機により成形体を作製する工程に供給することができる。
これにより、貯蔵された湿潤混合物の存在する空間を狭く区切ることができるため、貯蔵部31A内に貯蔵された湿潤混合物が乾燥することを防止することができる。搬送装置30を停止しており、湿潤混合物の貯蔵部31Aへの供給が停止している場合などは開閉板37を閉鎖状態にしておくことが湿潤混合物の乾燥を防止するために有効である。
貯蔵部31Bも、貯蔵部31Aと同様、その底面に開閉可能な排出口を有しており、一定量の湿潤混合物を一時的に保管することができるとともに、単位時間当たり一定の量となるようにコントロールしながら湿潤混合物を次工程の装置に供給することができる。
また、貯蔵部31Bは貯蔵部31Aと同様の開閉板37を備えており、貯蔵部31B内での湿潤混合物の乾燥を防止することができる。
このように、搬送装置30は、湿潤混合物を貯蔵部31Aにも、31Bにも搬送、貯蔵することができるため、搬送部32が分配機構を備えていることとなる。
なお、この搬送装置30より2台の押出成形機に振り分けて湿潤混合物を供給する場合、振り分ける量は、ベルトコンベア35の速度や、正回転及び逆回転のそれぞれの駆動時間等を調整することにより選択することができる。また、いずれの貯蔵部にどれだけの量の湿潤混合物を搬送するかは適宜選択すればよい。
また、反対に、湿式混合機での混合が停止して搬送装置30には湿潤混合物が投入されず、次工程の装置に湿潤混合物を供給する必要がある場合にも、押出成形機等の次工程の装置への湿潤混合物の連続的提供が可能である。
しかしながら、本発明の搬送装置の構成は、このような構成に限定されるわけではなく、例えば、以下のような構成を有していてもよい。
図2に示した搬送装置50は、搬送部52と貯蔵部51とを備えた搬送装置であるが、この搬送装置50では、湿潤混合物の搬送経路において、搬送部52より上流側に貯蔵部51を備えている点で、図1に示した搬送装置30と異なる。
すなわち、搬送装置50は、ケーシング53及びベルトコンベア55A、55Bからなる、湿潤混合物を搬送する搬送部52と、湿潤混合物を一時的に保管するための貯蔵部51とから構成されている。
ケーシング53の上面と貯蔵部51の下面に設けられた排出口51a、51bとは連通しており、排出口51a、51bを通じてケーシング53内に湿潤混合物を投入することができるようになっている。
そして、貯蔵部51の開閉板57で分断された下側の部分は、その底面に2箇所の排出口51a、51bを備えており、いずれか一方の排出口からのみ湿潤混合物を排出するための分配機構を備えている。
即ち、排出口51a側と排出口51b側との分岐部分に、軸部材59bが回転可能に取り付けられ、この軸部材59bに板状の切替板59aの一辺が固定されており、切替板59aは、軸部材59bの回転に併せて所定の角度移動可能に構成されている。
なお、湿式混合機からの湿潤混合物の投入が停止している場合は、湿潤混合物の投入口54に開閉板等を設けることにより投入口54を閉鎖し、湿潤混合物の存在する空間を狭く区切ることが湿潤混合物の乾燥を防止するために有効である。
この際、開閉板57の開度を調整することで排出口51a又は51bより排出する湿潤混合物の量を調節することができる。
また、バイブレーター等で振動を与えて少しずつ湿潤混合物を落とすこともでき、振動の強度を調節することで排出口51a又は51bより排出する湿潤混合物の量を制御することもできる。
なお、貯蔵部51では、切替板59aをいずれの排出口51a、51bをも塞がない位置に配設し、排出口51a、51bの両者から同時にケーシング53内に投入してもよい。
このように、搬送装置50では、貯蔵部51が保管機構と分配機構を備えていることとなる。
また、図1及び2の搬送装置は、搬送部又は貯蔵部のいずれかが分配機構を備えていたが、分配機構を備えていなくてもよく、また、両方に分配機構を備えていてもよい。
また、本発明の搬送装置が分配機構を備えている場合、その分配先は、2箇所に限定されず、3箇所以上であってもよい。
図3−1に示すコンベア65は、サン付きコンベアベルト65aとローラ66a、66bとを備え、サン付きコンベアベルト65aには、ベルトの進行方向に対して、略垂直に板状の突起物65bが設けられている。なお、コンベア65を備える搬送部は、図示していないが、図1又は図2に示したものと同様のケーシングを備えている。
サン付きコンベアベルト65aは、その形状を特に限定されるものではない。サンを設けることで搬送経路に傾斜がある場合にも湿潤混合物がサンよりも下方に流れることなく搬送を行うことができる。
また、サン付きコンベアベルト65aの材質としては特に限定されず、例えば、ゴムや、ウレタン、塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂等が挙げられる。
チェーン75aはその形状を特に限定されるものではない。チェーン75aを備えたコンベアとすることにより搬送経路が直線でない場合にもベルトの蛇行がないコンベアととすることができる。
また、バゲットもその形状、材質を特に限定されるものではない。バゲットを設けることで搬送経路に傾きがある場合や、垂直方向への搬送が必要な場合にも湿潤混合物の搬送を行うことができる。
チェーン75aの材質としては特に限定されず、例えば、ゴムや、ウレタン、塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料の他、金属材料が挙げられる。
このような、図3−1(a)及び(b)、図3−2(a)及び(b)に示したコンベアもまた、本発明の搬送装置を構成する搬送部に好適に用いることができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、湿式混合された無機粉末を含む湿潤混合物を押出成形工程に搬送する搬送工程を行った後、押出成形により、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製し、上記ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
上記搬送工程において、湿潤混合物を搬送するコンベアが配設された搬送部を備え、搬送前後の上記湿潤混合物の水分含有量変化率が3%以下である搬送装置を用いて、上記湿潤混合物を押出成形機に搬送することを特徴とする。
また、ハニカム焼成体140は、図7(b)に示すように、長手方向に多数のセル141が並設され、セル141同士を隔てるセル壁143がフィルタとして機能するようになっている。
ここでは、構成材料の主成分が炭化ケイ素のハニカム構造体を製造する場合を例に、無機粉末として炭化ケイ素粉末を使用した場合のハニカム構造体の製造方法について説明する。
勿論、ハニカム構造体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他に、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、ケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等も構成材料として挙げられ、これらのなかでは、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
ハニカム焼成体の気孔径等を調節するためには、焼成温度を調節する必要があるが、無機粉末の粒径を調節することにより、気孔径を調節することができる。
上記バインダの配合量は、通常、無機粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、混合原料粉末に含まれていなくてもよい。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
また、上記湿潤混合物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、ここで湿潤混合物の搬送に、搬送前後の湿潤混合物の水分含有量変化率を3%以下とすることができる搬送装置を用いる。
具体的には、既に説明した本発明の搬送装置を用いることができる。
そのため、湿潤混合物の水分含有量は上記範囲内に制御する必要がある。
そのため、押出成形機に供給する湿潤混合物の水分含有量の実測値が上記範囲内(10〜20重量%)であっても、上記水分含有量の理論値と実測値との乖離が大きいと、押出成形条件が適していないために一定品質の成形体を得られないことがあり、成形体にクラック、セル切れ等が発生する場合や、押し出された成形体が乾燥するまでに一定の形状を保持できない場合がある。
なお、ここで使用する本発明の搬送装置は、貯蔵部において押出成形機の成形能力の1.5〜3倍(重量換算)の湿潤混合物を保管することができることが望ましい。
この理由は明らかではないが、上記湿潤混合物が冷蔵熟成されることとなり、この冷蔵熟成時には、有機バインダが膨潤して、無機粒子(炭化ケイ素粒子)の潤滑性が向上するからであると考えられる。
上記湿潤混合物を一定時間保管する場合、その保管時間は特に限定されないが、望ましい下限が1時間、より望ましい下限が4時間であり、望ましい上限が10時間、より望ましい上限が8時間である。
保管時間が1時間未満では、湿潤混合物の成形性はほとんど向上せず、保管時間が10時間を超えると、湿潤混合物が部分的に乾燥してしまい、逆に成形性が低下してしまうことがあるからである。
なお、湿潤混合物の成形性が向上した場合、押出成形時の成形圧力を小さくすることができ、成形圧力を小さくすることにより、成形不良の発生率を低減することができ、さらには、押出成形機を構成する消耗部品(金型等)の寿命を長期化することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法において、押出成形工程に用いる押出成形機は、特に限定されるものでないが、押出成形機の一例とそれを使用した押出成形方法について、図面を用いて説明する。
この押出成形機220は、内部に撹拌棒(スクリューシャフト)と撹拌羽根(スクリュー羽根)とを備えたスクリューが設けられた、上段スクリュー混合機241及び下段スクリュー混合機261の2段のスクリュー混合機を備えている。
このように、混練を繰り返すことにより、混合が充分に進行し、水分や組成等に関して均一な混合物となってダイス264から連続的に押出され、長手方向に多数のセルが形成された四角柱形状の成形体が連続的に形成される。
また、押出成形の際に、成形体が押し出される速度は、3500〜4500mm/分が望ましい。3500mm/分未満であると、生産効率が落ちてしまうため望ましくなく、一方、4500mm/分を超えると、設計した寸法のハニカム成形体とするのが難しくなるとともに、作製したハニカム成形体に欠陥が発生しやすくなる。
これらの成形条件は、湿潤混合物を調製した際の水分含有量の理論値に応じて、最適な値を設定する必要がある。
次いで、必要に応じて、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
次に、上記封止材ペーストが充填され、乾燥処理がなされたハニカム成形体を、所定の条件で脱脂(例えば、200〜500℃)、焼成(例えば、1400〜2300℃)することにより、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体を製造することができる。
上記ハニカム成形体の脱脂及び焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着されたハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱形状のセラミックブロックを作製する。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO3)3等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH3)2(NO2)2]HNO3、白金濃度4.53重量%)等をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
ここで、成形前の湿潤混合物を搬送、貯蔵する方法等は、上記集合型ハニカム構造体を製造する方法と同様であるため、ここではその説明を省略する。
その後、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、脱脂、焼成を行うことによりセラミックブロックを製造し、必要に応じて、シール材層(コート層)の形成を行うことにより、一体型ハニカム構造体を製造することができる。また、上記一体型ハニカム構造体にも、上述した方法で触媒を担持させてもよい。
また、上述した方法によりハニカム構造体を製造する場合、一連の製造工程を一の製造ラインで行ってもよいが、例えば、搬送装置として分配機構を備えた搬送装置を使用し、湿潤混合物を投入するまでの工程を一の製造ラインで行い、押出成形機を用いて成形体を作製する工程以降の工程を、二以上の複数の製造ラインで行ってもよい。
この場合、上記搬送装置が備える分配機構により、各製造ラインに適時、湿潤混合物を分配して供給することとなる。
なお、搬送工程前後の湿潤混合物の水分含有量変化率とは、混練後の湿潤混合物を搬送装置に投入した際の湿潤混合物の水分含有量(搬送前水分含有量)と、押出成形機に投入される直前の湿潤混合物の水分含有量(搬送後水分含有量)とから得られる湿潤混合物の水分含有量の変化率であり、具体的には、下記の式(1)より得られる。
搬送工程前後の湿潤混合物の水分含有量変化率=(搬送後水分含有量−搬送前水分含有量)/搬送前水分含有量・・・(1)
押出成形機に投入する前に貯蔵部等により湿潤混合物を一時的に保管する場合は、その保管を搬送工程に含めて、押出成形機に投入される直前の湿潤混合物の水分含有量(搬送後水分含有量)を用いて算出する。
また、搬送装置は約20℃の部屋に設置した。
なお、図5は、押出成形時の圧力値を測定する部位を模式的に示す断面図である。
平均粒径10μmのα型炭化ケイ素粉末250kgと、平均粒径0.5μmのα型炭化ケイ素粉末100kgと、有機バインダ(メチルセルロース)と20kgとを混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水60kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と混合粉末とを湿式混合機を用いて混合して湿潤混合物を調製し、水分含有量を測定した。
この搬送装置としては、図1に示すようにケーシング33と4カ所の仕切り部材38を備えているものを使用した。
なお、図1に示した搬送装置30は、分配機構を備えているが、本実施例では、分配機構を使用せず、投入口34から投入した湿潤混合物を、ベルトコンベア35を介して、貯蔵部31Aに搬送した。
なお、投入口34から貯蔵部31Aまでの距離は水平方向に約5mとし、貯蔵部31Aの下部に図4に示す押出成形機220の投入ホッパー231が連結している構造とした。
次に、貯蔵部31A内において、湿潤混合物の保管時間を0.5時間以内として湿潤混合物を保管し、その後貯蔵部31Aの直下に連結された押出成形機220の投入ホッパー231に供給した。
測定した搬送後の湿潤混合物の水分含有量と、先に測定した搬送前の湿潤混合物の水分含有量を比較して、搬送前後での水分含有量の変化率を算出した。
この際、図5に示すようにダイス264の出口から10cm前方に圧力センサ270を配置して押出成形時の圧力値を測定した。
圧力センサとしては共和電業製のステンレス製小型圧力変換器(PGM−500KD)を用いた。
次いで、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことにより、気孔率が40%、平均気孔径が12.5μm、その大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm2、セル壁の厚さが0.25mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を製造した。
上記製造工程を繰り返し行い、ハニカム構造体を10個作製した。
反り量測定用治具としては、成形体の全長とほぼ同じ長さを有する真直な角材において、この角材の両端に同じ厚さの当接部材が配設されており、また、この角材の中央に上記角材の長手方向と垂直にスライド可能なスケールが取り付けられているものを使用した。また、測定時には、上記当接部材を成形体の両端付近に当接し、その後、反り量測定用スケールを成形体側に移動させ、成形体と上記スケールとが接触したときのスケールの移動量を読み取ることにより反り量を測定した。
貯蔵部31A内において湿潤混合物を保管する時間をそれぞれ1、2、3時間とした他は実施例1と同様にして、湿潤混合物を調製し、搬送前後の水分含有量測定、押出成形時の圧力値測定、ハニカム構造体の作製及び評価を行った。その結果を表1に示した。
図1に示す搬送装置であって、仕切り部材38を備えていない搬送装置を用いた他は実施例4と同様にして、湿潤混合物を調製し、搬送前後の水分含有量測定、押出成形時の圧力値測定、ハニカム構造体の作製及び評価を行った。その結果を表1に示した。
搬送工程時に、実施例1で用いた搬送装置と同様の搬送装置であって、ケーシング33及び仕切り部材38を備えていない搬送装置を用いて搬送を行い、貯蔵部31A内において湿潤混合物を保管する時間を変化させた他は実施例1と同様の方法を用いて湿潤混合物を調製し、搬送前後の水分含有量測定、押出成形時の圧力値測定、ハニカム構造体の作製及び評価を行った。その結果を表1に示した。
湿潤混合物調整時の水の配合量を表1に示した量とし、搬送前の湿潤混合物の水分含有量をそれぞれ9.9重量%、20.1重量%とした他は実施例1と同様にして、湿潤混合物を調製し、搬送前後の水分含有量測定、押出成形時の圧力値測定、ハニカム構造体の作製及び評価を行った。その結果を表1に示した。
このことから、搬送前後の水分含有量変化率を3.0%以内にすることで良好な押出条件となり、外観形状不良及び反り不良の発生を防止することができることがわかる。
すなわち、本発明の搬送装置を用いて湿潤混合物を搬送する搬送工程を行うことで湿潤混合物の乾燥によるクラック、セル切れ等の発生を防止することができる。
これに対し、比較例3及び4では、外観形状不良が発生しており、セル壁の表面がぼそぼその状態であり、クラック、部分的な亀裂に加えてセル切れが発生していた。
これらのことから、外観形状不良は、以下のようにして発生するものと考えられる。
はじめに、水分含有量変化率が大きくなる、すなわち乾燥により湿潤混合物の水分含有量が少なくなると、セル壁の表面がぼそぼその状態となる。これは、セラミックス粒子と有機バインダの粉末の結びつきが弱くなるためと考えられる。
さらに水分含有量変化率が大きくなり、湿潤混合物の水分含有量が少なくなると、表面がぼそぼその状態の箇所にクラックが入ったり、孔ができたり、亀裂が入るようになると考えられる。
そして、さらに水分含有量変化率が大きくなり、湿潤混合物の水分含有量がさらに少なくなると、セル切れが発生すると考えられる。
よって、このような搬送工程は搬送工程として不適当なものであることは明らかである。
31A、31B、51 貯蔵部
32、52 搬送部
33、53 ケーシング
35、55A、55B ベルトコンベア
38、58 仕切り部材
65、75 コンベア
130 ハニカム構造体
140 ハニカム焼成体
141 セル
143 セル壁
220 押出成形機
Claims (9)
- 湿潤混合物を搬送するコンベアが配設された搬送部を備え、
搬送前後の前記湿潤混合物の水分含有量変化率が3%以下であることを特徴とする搬送装置。 - 前記湿潤混合物を一時的に保管する為の貯蔵部を備える請求項1に記載の搬送装置。
- 前記搬送部は、ケーシングと前記ケーシング内に配設されたベルトコンベアとから構成されている請求項1又は2に記載の搬送装置。
- 前記ベルトコンベアの下流側端部近傍には、前記ケーシング内を仕切る仕切り部材が配設されている請求項3に記載の搬送装置。
- 湿式混合された無機粉末を含む湿潤混合物を押出成形工程に搬送する搬送工程を行った後、押出成形により、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製し、前記ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
前記搬送工程において、湿潤混合物を搬送するコンベアが配設された搬送部を備え、搬送前後の前記湿潤混合物の水分含有量変化率が3%以下である搬送装置を用いて、前記湿潤混合物を押出成形機に搬送することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。 - 前記搬送装置は、前記湿潤混合物を一時的に保管するための貯蔵部を備えている請求項5に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記搬送部は、ケーシングと前記ケーシング内に配設されたベルトコンベアとから構成されている請求項5又は6に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記ベルトコンベアの下流側端部近傍には、前記ケーシング内を仕切る仕切り部材が配設されている請求項7に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記湿潤混合物の搬送後の水分含有量は、10〜20重量%である請求項5〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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