JP2008126478A - 射出成形用石英スタンパ - Google Patents
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Abstract
スタンパの製法としてマイクロチップの原型の作製を排除し、かつメッキ工程が必要ない製法が求められ、しかもその製法も簡単で工程数が少なく、できたスタンパは検査が容易で耐久性などに優れているものが求められている。
【解決手段】
このような課題を克服するために、石英基板の上に金属薄膜を形成し、その上にフォトレジストを塗布し、つぎにこのフォトレジストに所望の形状の微小流路の反転パターンを露光するとともに現像して石英基板上に微小流路の反転パターンを形成し、露出した金属薄膜をエッチングした後、さらにレジストと石英基板をエッチングして、露出した金属薄膜を除去することなく射出成形用石英スタンパとする。
【選択図】なし
Description
そして、このマイクロ化学チップを構成する材料は、微細な反応流路などを直接正確に形成できる点、および化学的安定性に優れている点などからシリコン製、ガラス製あるいは石英ガラス製のもの、とりわけシリコン製のものが推奨されている。しかし、このマイクロ化学チップは広範囲の分野での適用が期待されていることから、このチップが安価で大量生産ができることが求められているものの、ガラス基板や石英ガラス基板では表面加工の手間を含めて製造するのに時間と費用がかかるという問題があり、また、シリコン基板では材料も高価であり加工に時間がかかるなどの問題がある。
従来、樹脂を射出成形する場合に使用するスタンパ(中子、入れ子)の製造方法として広く知られた方法は、マイクロ化学チップの原版あるいはレプリカをまず製造し、この表面に金属をスッパタリングし、さらに金属をメッキして所定の厚さたとえば0.1mm以上の厚さにしてこれを原版ないしレプリカから剥離してスタンパを製造する方法(たとえば、特許文献1参照。)である。
しかしながら、この方法では、まず、マイクロチップ基板の実物(原版)あるいはこのレプリカをフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、ついでエッチングするという工程を経て製造しなければならないため、この製造に費用と時間がかかるなどの問題が生じる。しかも実際に射出成形で使用するスタンパの厚みは少なくとも0.3mmとしなければならないため、スパッタリングにより原版やレプリカ表面に形成した金属薄膜をこの厚みまでさらにメッキしなければならない。実際このような厚みにまでメッキするとスタンパの裏面の表面に凸状の突起が無数にできることが知られており、この突起除去のため研磨布や砥石により裏面研磨を行わなければならない。しかも研磨の砥(と)石くずによる傷が生じたり、研磨がどうしても均一とならないためにスタンパの厚みむらが生じてしまったり、さらに、射出成形する場合、金型温度が数十℃であるのに対し、溶融樹脂温度は200℃以上となるために、このようなヒートサイクルがスタンパにかかった場合にどうしても伸縮が避けられず、原版のマイクロ流路の寸法などの再現性が悪く、また製品間のバラツキが出てしまうなどの問題がある。このために、寸法の安定などの観点から、ガラスなどを直接マイクロチップの基板として使用する傾向がある。
また別の方法として、金属基板にレジストパターンを形成し、レジストのない部分を金属メッキで埋め、レジストを除去して基板表面に微細なパターンを施した金属板とし、これを金型(スタンパ)として樹脂を加工する方法(たとえば、特許文献2参照。)などが提案されている。しかしながら、この方法では必要となる凹凸の厚みにまでメッキしなければならないことから、表面に凸状の突起が無数にでき、メッキした上面の研磨を行う必要があるとともに、金属基板とメッキ金属の熱膨張の差があるため破断しやすいなどの問題があるため方法としていまいちであり、実用的でない。
より詳しくは、本願発明は、石英基板上に金属材料からなる金属薄膜層を形成する第1の工程、該金属薄膜層上にフォトレジスト材料からなるフォトレジスト層を形成する第2の工程、該フォトレジスト層に所望の形状の微小流路の反転パターンを露光し現像して微小流路の反転レジストパターンを形成し、現像により露出した金属薄膜層をエッチングして石英基板を露出させる第3の工程、レジストパターンのレジストと露出した石英基板を金属薄膜層を残存するようにエッチングする第4の工程を有することを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法、およびこの製造方法によって製造された射出成形用石英スタンパに関するものである。
第1の工程について、
この工程では、石英基板上に金属材料からなる金属薄膜層を形成する操作を行う。
ついで、前処理した石英基板上に既知の方法により金属材料よりなる金属薄膜を形成する。通常よく用いられるのはスパッタリング(スパッタ法)であり、この方法により金属あるいは金属酸化物などの金属材料の薄膜を石英基板上に形成する。スパッタ法は、形成された薄膜の安定性がよいこと、薄膜を量産することができるため量産性が優れていること、および薄膜の品質が優れていることなどの点から、通常使用される方法である。そのほか、たとえば蒸着法、イオンプレーティング法および気相反応法などの既知の方法を利用して薄膜を形成することもできる。
この工程においては、石英基板上に形成された金属薄膜層上にフォトレジスト材料からなるフォトレジスト層を形成する操作を行う。
まず、金属薄膜の上にフォトレジストを塗布して、露光用レジスト付きの石英基板を作製する。
フォトレジストとしては、周知のフォトレジストが使用でき、ポジ型のフォトレジストあるいはネガ型のフォトレジストのいずれのものも使用することができる。露光と現像により、ポジ型のフォトレジストでは露光された部分のレジストが抜けて下地の金属皮膜が露出するが、ネガ型のレジストではその逆となる。一般に、ポジ型フォトレジストは、ネガ型フォトレジストに比べて解像度がよく微細加工に適しているとともにプラズマエッチングに対する耐久性の優れているという利点があり、逆にネガ型フォトレジストはポジ型フォトレジストに比べて密着性がよく薬品に対する耐食性に優れているが現像時に現像液が浸透して膨潤(ぼうじゅん)するため微細加工に不向きとされている。
ここで、フォトレジストは、液状のあるいは溶媒に溶解したフォトレジストを塗布してもよいし、シート状のフォトレジストを貼り付けてもよい。
この液状のあるいは溶媒に溶解したフォトレジストを塗布する方法として、一般にスピンコート法により塗布することが行われている。この方法によれば、基板の上にフォトレジストを滴下し高速回転させて、薄くて均一性のよいフォトレジスト膜を作ることができる。そのほか、ディップコート法、ブレードコート法、ロールコート法などの周知の方法も適用することができる。通常、フォトレジストの膜厚は0.5μm程度で差し支えない。
このように、フォトレジストとして光露光波長や現像条件に合わせて選択し、周知の市販のものを使用することができる。
この工程では、フォトレジスト層に所望の形状の微小流路の反転パターンを露光し現像して微小流路の反転レジストパターンを形成し、現像により露出した金属薄膜層をエッチングして石英基板を露出させる操作を行う。
まず、上述の工程で塗布されたフォトレジストに所望の形状の微小流路の反転パターンを露光するとともに現像して石英基板上に微小流路の反転パターンを形成する。
本願発明では、長中波紫外領域から可視領域の波長のものを使用して、露光を行う。一般に、中波紫外領域(長波紫外線)は280nmないし320nmの波長のものを指し、長波紫外領域(中波紫外線)は320ないし400nmの波長のものを指しているから、長中波紫外領域の波長は、280nmないし400nmであり、また可視領域(可視光線)は380nmないし800nmの波長の範囲である。そこで、本願発明での露光は、長中波紫外線から可視光線を使用して露光を行うことを意味するものである。280nm以下の短波紫外線を使用したり、電子線を使用すると光源装置の価格が非常に高価となること、さらにレジスト膜厚の途中までしか露光が届かず露光がうまくいかないことなどの問題点が生じ、多品種少量生産用のスタンパの製造には向かなくなるからである。レーザーを使用した場合にはレーザー光をパターンに合わせて直接描写することができるので、わざわざパターンマスクを製造する必要がないという利点がある。
ポジ型のレジストの場合には、レジスト層のうち未露光領域はレジストが硬化状態、露光領域のレジストが解重合状態であるので、現像すると解重合状態の部分は除去され、その下の石英基板上の金属薄膜が露出した状態となる。
つぎに、現像により露出した金属薄膜の部分をエッチングして石英基板の表面を露出させる。エッチングの方法としては、まず酸などの薬品を使用してエッチングする方法が挙げられる。薄膜が異種の金属により積層されている場合には、もちろんその金属の種類に応じてエッチング薬剤を複数使用して順番に除去することが必要な場合もある。また別のエッチングする方法は、ドライエッチングにより行うものであり、このドライエッチングする方法は、公知のドライエッチング装置の中から適宜選択してエッチングすればよい。
このようにして現像によってレジストパターンを形成した後、レジストの密着性を向上させるためにポストベーク(熱処理)を行う。通常は現像後のレジストを100℃ないし150℃でポストベークを行うとレジストに残留していた溶媒や現像液が除去され樹脂間の反応が進むなかで下地との密着性がよくなる。またドライエッチングの場合には耐プラズマ性を向上させるために行うものである。
この工程は、レジストパターンのレジストと露出した石英基板を金属薄膜層を残存するようにエッチングする操作を行う。
エッチングは、被加工基板表面にエッチングマスクを施し、そのパターンにしたがって基板材料を選択的に加工するプロセスである。すなわち、レジストおよび金属薄膜層により形成されたパターンに沿って石英基板をエッチングする。この際同時にレジストもエッチングされる。このエッチングの方法としては、周知のドライエッチングまたはウエットエッチング方法を利用することができる。特徴としては、レジストと石英がエッチングされる際に、金属薄膜層はエッチングされにくい方法を利用することである。
ドライエッチングは、真空室内に希薄な反応ガスあるいは反応材料の原料を導入して、ガスやイオン衝突によりエッチング加工するものである。この方法には、イオンビームミリング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチングなどがある。このうち量産性のある異方性ドライエッチングとして広く使われているのが反応性イオンエッチング(RIE)である。たとえば、RFドライエッチング装置の中に入れ、CHF3 +O2 ガスを用いて、石英ガラス基板の表面をエッチングすると、石英ガラス基板とともにレジストマスクもわずかずつエッチングされる。また、エッチング用ガスとしてハロゲン系ガス、例えば塩素系ガス等を用い、プラズマ中に生成されたエッチングガスのイオンをエッチング面にほぼ垂直に入射させてエッチングすることもできる。
エッチングガスは、目的とする幅と深さに応じて適宜公知のエッチングガスを選択すればよい。エッチングガスは、上記したもののほかCF4やSF6なども挙げられる。
本願方法においては、この反応性イオンエッチング(RIE)を使用することが一番好ましい。反応性イオンエッチングにもプラズマ発生法により容量結合型(平行平板型)(CCP−RIE:Capacitive Coupled Plasma−RIE) 、誘導結合型(ICP−RIE:Inductive Coupled Plasma−RIE) 、ECR−RIE(Electron Cyclotron Resonance−RIE) の3種類がある。通常使用されるのは容量結合型(平行平板型)プラズマと誘導結合型プラズマであるが、誘導結合型プラズマのほうがプラズマ密度が高く、エッチング速度は速いものの、エッチングの異方性を制御するのが多少困難な場合がある。
もしドライエッチングであれウエットエッチングであれレジスト膜がエッチングされずに残り除去しなければならない場合には、酸素プラズマアッシング処理などにより除去することが可能である。
マイクロ化学チップにおける微小流路の大きさは、現在のところ、一般的に幅500μm以下、深さ300μm以下が普通であるが、幅300μm以下、深さ150μm以下とすることが、微小空間の短い分子拡散距離および大きな比界面積の効果により効率のよい化学反応を行ううえでより好適である。一方、微小流路以外の機能をもたせる場合の凹凸形状のパターンの大きさは特に制限はない。このようなことから、目的とするマイクロ化学チップで使用される微小流路に応じたスタンパを製造すればよいことになる。
環状ポリオレフィン樹脂は、シクロオレフィンポリマー(COP)ともよばれ、シクロオレフィン類をモノマーとして合成される主鎖に脂環構造を有するポリマーである。このポリマーとしては、たとえば、ノルボルネン系のモノマーを開環メタセシス重合した後、重合体中の二重結合を水素化して得られる開環メタセシス重合体水素化ポリマーなどがあげられる。市販されているものとしては商品名ZEONEX(日本ゼオン(株)社製)などがある。また、COC樹脂(環状オレフィンコポリマー)は、環状オレフィンとオレフィンなどとの共重合体で、たとえばノルボルネンとエチレンとの共重合体があり、市販されているものとしては、たとえば商品名TOPAS5013(ポリプラスチックス(株)社製)などがある。これらの環状ポリオレフィン樹脂は透明性が極めて高いなどの理由から近時注目されている。
マイクロチップも研究のレベルに応じて相当集積されたマイクロチャネルなどの微細構造などが求められるから、どの程度まで微細加工されたスタンパが製造できるのかの評価が必要となる。半導体の分野ではよく高集積化が達成できる指標として、1:1ラインアンドスペース(Line&Space,L/S)がよく使用される。これは等幅の山(ライン)と谷(スペース)が連続したパターンで幅が小さくなるほど半導体の高集積化が達成できる指標となるからである。本願発明では、この最小の線幅と谷幅が1μmから50μmまでの微細パターンの11種類、すなわち最小のラインアンドスペースとして1μmから50μmまでの1:1のラインアンドスペースによりエッチングを行い評価した。解像性は、良好なパターニング形状で、どれほど線幅の狭いラインアンドスペースが描けるかということに依存するからである。
上述の市販の合成石英ガラスを石英基板として使用してスタンパを製造する。まず付着しているほこりなどを洗浄して取り除いた後、スパッタリング装置に装着しクロムと酸化クロムの積層皮膜をこの石英基板上に形成した。ターゲットとしてクロムと酸化クロムの2種類を使用し、まずクロムをスパッタリングにより基板上に薄膜を形成し、つぎに酸化クロムをスパッタリングによりクロム薄膜上に酸化クロム薄膜を積層した。積層した薄膜の厚みは合計0.1μmであった。
ついでこの金属薄膜上にスピンコート法によりフォトレジスト約0.5μmの厚さに塗布した。フォトレジストは、ポジ型レジストとしてノボラックージアゾキノン系フォトレジスト(商品名:THMR−iP3500、東京応化工業(株)社製)を使用した。フォトレジストを塗布した後にレジスト膜から溶剤を蒸発させて下地の金属薄膜との密着性を向上させるためのプリベークを行った。
つぎに、このフォトレジストに波長413nmのレーザーを使用して直接パターンを描画した。このレーザー描画にはMICRONIC社製のOmega6060 Laser描画装置(413nmKrF laser)を用いた。このレーザー描画装置は、EB(電子線)描画と比べ角度や曲線が滑らかに再現でき、描画時間が短いことが特徴である。
パターンは、1μmから50μmまでの11種類の1:1のラインアンドスペースのものを描画した。これは、ライン幅1μmに対してスペース幅1μmであり、すべてのラインアンドスペースは1:1とした。
描画は、縦横1μmの四角形、それに続いて1μmの間隔を置いて幅1μmで長さ2000μmの長方形のパターンを3列、それぞれの間に1μmの間隔を置いて、直径1μmの円形、それに続いて1μmの間隔を置いて幅1μmで長さ2000μmの長方形を描いた。このようにした合計5列のものを一組として、1μmの1:1のラインアンドスペースとなるようなパターンを描いた。
同様にして、2μm:2μm、4μm:4μm、10μm:10μmなどとそれぞれの1:1のラインアンドスペースとなるようなパターンを描いた。合計、11種類のパターンを横1列に1組として4組を解像力テストパターンとして、多数配置した全体パターンを描画した。
本装置を使用した描画方式のパターン最小寸法は、商業的には1.0μmの1:1のラインアンドスペースが公称値であるが、条件により0.8μmの1:1のラインアンドスペースの描画が可能であった。
このようにして複数の露光したものを製造した。
つぎにこれを現像する。現像液は、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)2.38%含有アルカリ水溶液を使用した。現像により、露光した部分がこのアルカリ水溶液に溶解するので、残りの部分が山のようになって残り、フォトレジストが除去された部分は、その下のクロムと酸化クロムの積層薄膜の表面が露出した。
この露出したクロムと酸化クロムの積層薄膜をエッチングにより除去する。エッチングは薬品を使用した。この除去するための専用エッチャントとして、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液に酸化剤等を混合したエッチャントを使用して薄膜を除去した。除去された部分は、薄膜が除去されたことによりその下の石英基板の表面が露出した。このようにして形成されたレジストパターンを100℃以上でポストベーク(熱処理)を行い、耐RIE(反応性イオンエッチング)性マスクパターンを完成させた。
つぎに、上述の形成されたレジストパターン(マスクパターン)を利用して石英基板をエッチングする。このとき同時にマスクパターンのフォトレジストもエッチングされ、その下のクロムと酸化クロムの積層薄膜層の表面が露出する。
マスクパターンが形成された石英基板を反応性イオンエッチング(RIE)の装置に装着しエッチングを行った。この反応性イオンエッチングの装置として容量結合型(平行平板型)(CCP−RIE:Capacitive Coupled Plasma−RIE)および誘導結合型(ICP−RIE:Inductive Coupled Plasma−RIE)の2種類の方式により行った。エッチングは、反応性イオンエッチングのガスとしてCF4およびSF6を使用した。容量結合型(平行平板型)のRIEにより深さ0.6μmおよび0.9μmのそれぞれについてエッチングを、誘導結合型RIEにより深さ1.2μmおよび1.8μmのそれぞれについてエッチングを行った。すなわち、上述の11種類のフォトレジストパターンを有する基板についてそれぞれ0.6μm、0.9μm、1.2μm、1.8μmとなるようにエッチングをしたものを作製した。
この2種類のRIEのうち誘導結合型RIEのほうがプラズマ密度が高くエッチング速度が速いため、この誘導結合型RIEを深いエッチングに使用した。
エッチングした結果は、0.6μm、0.9μm、1.2μmのいずれも良好なエッチングが得られた。ただ完全な垂直壁ではなく微小な順テーパ形状の壁であった。このうち溝幅が1μmの場合でエッチング深さが1.8μmのものは、エッチング速度が速い誘導結合型RIEを用いたものであるために側壁部と加工底面部に多少乱れが生じていたので、溝幅が1μmと狭くかつアスペクト比を1.8以上とするエッチングの場合には、プラズマ密度が高い誘導結合型RIEによるもののときは異方性を制御することが必ずしも容易ではなく、通常の条件ではこのように多少乱れが生じるので、工夫をこらす必要がある。
このようにエッチングしたものは、レジストがエッチングにより除去されているが、この下のクロムと酸化クロムの積層された金属薄膜層は、そのまま残っていた。
上述のエッチングした各種のスタンパを用いてポリメチルメタクリレート樹脂およびCOC樹脂の射出成形を行った。石英基板上の上述の11種類の1:1のラインアンドスペースのもので深さ0.6μm、0.9μmおよび1.2μmのスタンパを使用したものは、基板どおりの寸法で、平坦できれいな表面の射出成形体を得ることができた。しかし、深さ1.8μmのスタンパで成形したものは、全般的に平坦できれいな表面の射出成形体であったが、1μmの1:1のラインアンドスペースの部分は、基板どおりの寸法で転写されず、深さ1.8μmのうちのおおむね70%ぐらいしか溶融樹脂が入り込まず、これに伴い転写されたライン部分の高さが不足していた。このため、スタンパが非常に緻密なパターンを形成できるのにもかかわらず、樹脂の成形技術が追いついていないことを示している。このように、現在の時点では、幅が1μmの1:1のラインアンドスペースの場合には深さが1.5μmの程度のものが、現在の樹脂と成形技術のレベルからみた転写の限度であると思われる。もちろん樹脂と成形技術のレベルが向上すれば、深さ2.0μm以上であっても転写可能となるから、マイクロ化学チップの集積度なども飛躍的に向上することになる。
なお、これらの結果は、従来のフォトマスク用検査装置による検査と目視検査を併用して検査を行うとともに、操作型電子顕微鏡と原子間力顕微鏡を用いて形成されたマスクパターンや射出成形したものを詳細に分析したものである。
また別に、本願方法により形成したスタンパを用いて幅20μm、深さ2μmの微小流路を有するマイクロチップ基板をポリメチルメタクリレート樹脂およびCOC樹脂を用いてそれぞれ射出成形して製造した。一方、エッチングしていない石英基板を用いて射出成形した樹脂板をそれぞれ蓋体として接合した。接合方法は、両接合面に真空紫外線を照射しついでそれぞれの樹脂の塑性変形温度以下の加熱条件下で加圧して接合するものである。この方法は、本出願人による特開2006−187730号公報に記載され公知である。このような方法により製造したマイクロ化学チップの蓋体にあらかじめ穿設したアクセスホールより微小流路に一端からエタノールを入れ他端から吸液したが、マイクロ流路パターンは圧損なく保持されていた。
Claims (10)
- 石英基板上に金属材料からなる金属薄膜層を形成する第1の工程、該金属薄膜層上にフォトレジスト材料からなるフォトレジスト層を形成する第2の工程、該フォトレジスト層に所望の形状の微小流路の反転パターンを露光し現像して微小流路の反転レジストパターンを形成し、現像により露出した金属薄膜層をエッチングして石英基板を露出させる第3の工程、レジストパターンのレジストと露出した石英基板を金属薄膜層を残存するようにエッチングする第4の工程を有することを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法において、第4の工程のエッチングの方法がドライエッチングであることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項2に記載の製造方法において、ドライエッチングが反応性イオンエッチング であることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法において、第4の工程のエッチングの方法がウェットエッチングであることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法において、第1の工程の金属薄膜層が金属および金属酸化物よりなる群から選ばれた一種または二種以上で構成されたものであることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項5に記載の製造方法において、第1の工程の金属薄膜層が金属および金属酸化物よりなる群から選択される二種以上の材料の積層体であることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項5または請求項6に記載の製造方法において、金属薄膜がクロムおよび酸化クロムで構成されたものであることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法において、第3の工程の光露光が長中波紫外線または可視光線であることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法において、長中波紫外線または可視光線がレーザー光であることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
- 請求項1ないし9に記載の製造方法により製造された射出成形用石英スタンパ。
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