JP2008124178A - レーザ光源装置及びそのレーザ光源装置を備えた画像表示装置 - Google Patents

レーザ光源装置及びそのレーザ光源装置を備えた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度変化などが生じても出力光のパワー低下を効率よく抑えて光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置、および利用効率が向上した画像表示装置を提供する。
【解決手段】レーザ光源装置31は、第1波長の光を射出する光源311と、第1の波長の光を選択的に反射して光源の方に向かわせる多層膜ミラー315と、光源と多層膜ミラーとの間に形成された第1光路O1上に、バンドパスフィルタ312と、偏光ビームスプリッタ313と、第1の波長の光を第2波長に変換する波長変換素子314と、分離ミラー316を備え、多層膜ミラーで反射され光源の方に向かう過程で波長変換素子で変換された第2の波長の光を、偏光ビームスプリッタと反射ミラー320とで第2光路O2上に取り出して射出する。また、バンドパスフィルタは、分離ミラーで分離された光の出力を測定するレーザ出力測定部317の出力信号に基づいて傾斜角度θを変位する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を射出するレーザ光源装置、及びそのレーザ光源装置を備えた画像表示装置に関する。
近年、光通信、光応用測定、光表示などのオプトエレクトロニクス分野において、レーザ光源装置が広く使用されている。
こうしたレーザ光源装置としては、基本波レーザの波長をそのまま利用するものと、基本波レーザの波長を変換して利用するものとがある。後者のレーザ光源装置において、基本波レーザの波長の変換を行う素子として、第2次高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)素子が知られている。
ここで、SHGの変換効率は一般的に数%程度であるため、SHG素子によって変換された光のパワーは、基本波レーザ光源の出力光のパワーに比べてかなり小さくなってしまう。
そこで、出力光のパワー低下を抑える構成として、特許文献1のようなレーザ光源装置が提案されている。このレーザ光源装置では、内部共振タイプのレーザ光源から射出され、SHG素子を通過した光を、波長が変換された第1のSHG光と、残余基本波光とに分離する。そして、残余基本波光を、再度SHG素子に通すことによって、波長が変換された第2のSHG光を取り出す。第2のSHG光は、第1のSHG光と偏光方向が90°異なる偏光に変換された状態で、第1のSHG光と合成される。特許文献1のレーザ光源装置では、このようにして、第1のSHG光と第2のSHG光の合成光を出力光として利用することにより、出力光のパワー低下を抑えている。
また、SHGは、温度変化によりレーザ光源の発振波長が変動する。あるいは、SHGの変換波長の許容幅に対して、レーザ光源から射出される光の発振波長幅が広いために波長変換されない波長域の光が多く、変換効率が低いという課題が残る。
そこで、波長幅の狭いレーザ光を出力光として安定して供給するために、レーザ光源から射出されたレーザ光を共振させる外部共振器内にフォトポリマ体積ホログラムを備え、フォトポリマ体積ホログラムがレーザ光源から射出された光を回折して共振器内の光学系に入射させるとともに、所定の波長のレーザ光を選択的に透過して外部に射出する外部共振型レーザ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭59−128525号公報 特開2001−284718号公報
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ光源装置では、残余基本波光を、再度SHG素子に通すことによって波長が変換された第2のSHG光を利用することはできるものの、再度SHG素子を通過しても波長が変換されなかった残余基本波光を利用することができない。よって、光の利用効率が劇的に向上することは無い。また、このような残余基本波光を、そのまま基本波レーザ光源へ戻すと、基本波レーザ光源のパワーが低下したり、不安定になってしまったりする恐れがあるため、残余基本波光を光源へ戻さないようにする構成が必須となる。よって、光学系が大型化してしまう可能性がある。また、光路の長さが大きくなったり、光学要素を通過する回数が増えてしまったりするため、光の損失が発生してしまう可能性もある。つまり、特許文献1に記載のレーザ光源装置では、出力光のパワー低下をある程度抑えつつ、安定した出力を得ることは可能であるが、光の利用効率はそれ程上がらない。
一方、特許文献2に記載の外部共振型レーザ装置に用いられるフォトポリマ体積ホログラムは、例えば、樹脂中に屈折率の異なる干渉パターンが層状に多数形成され、発振波長のレーザ光を狭帯域化して反射する素子であり、非常に高価である。よって、レーザ装置を簡素に構成できるとはいえ、製造コストが嵩むという課題を有する。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、かつ温度変化などが生じても出力が安定したレーザ光源装置を提供することを目的とする。また、かかるレーザ光源装置の利用により、光の利用効率が向上した画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係るレーザ光源装置は、第1の波長の光を射出する光源と、前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長の光とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されたバンドパスフィルタと、前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、を備え、前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、前記ミラー手段から射出された前記第2の波長の光の一部を分離する分離ミラーと、前記分離ミラーによって分離された前記第2の波長の光の出力を測定するレーザ出力測定部と、をさらに備え、前記ミラー手段は、前記第1の波長の光を80%以上反射し、前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有する誘電体多層膜が設けられた多層膜ミラーよりなり、前記バンドパスフィルタは、前記レーザ出力測定部の出力信号に基づいて前記第1光路に対する傾斜角度が変位する角度調節が行われることを特徴とする。
かかる構成によれば、光源とミラー手段としての多層膜ミラーとによって構成された共振構造中に波長変換素子を設け、多層膜ミラーによって反射されて光源へ向かう過程で波長変換素子によって変換された第2の波長の光を、折り返し手段によって第2光路に取り出して利用することにより、出力光のパワー低下を効率よく低減することが可能である。また、バンドパスフィルタは、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が設けられていることで、バンドパスフィルタを透過する光が狭帯域化され、常に一定波長のレーザ光を、レーザ光源装置から出射することができる。
さらに、バンドパスフィルタは、レーザ光の出力を測定するレーザ出力測定部の出力信号に基づいて第1光路に対する傾斜角度が変位する角度調節が行われることで、温度変動などで光源から射出される第1の波長の光の波長が変化した場合であっても、波長変換素子の変換波長に合わせることができる。さらにまた、多層膜ミラーは第1の波長の光を80%以上反射し、第2の波長のレーザ光を80%以上透過する特性を有することで、光源の発振光を共振構造の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって変換された第2の波長の光を効率良く取り出すことができる。
すなわち、本発明によれば、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置を得ることが可能となる。
本発明に係るレーザ光源装置は、第1の波長の光を射出する光源と、前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長の光とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されたバンドパスフィルタと、前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、を備え、前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、前記ミラー手段から射出された前記第2の波長の光の一部を分離する分離ミラーと、前記分離ミラーによって分離された前記第2の波長の光の出力を測定するレーザ出力測定部と、をさらに備え、前記ミラー手段は、前記波長変換素子の出射側の端面に設けられた前記第1の波長の光を80%以上反射し、前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有する誘電体多層膜よりなり、前記バンドパスフィルタは、前記レーザ出力測定部の出力信号に基づいて前記第1光路に対する傾斜角度が変位する角度調節が行われることを特徴とする。
かかる構成によれば、光源と波長変換素子の出射側の端面に設けられたミラー手段としての誘電体多層膜によって共振構造を構成し、誘電体多層膜によって反射されて光源へ向かう過程で波長変換素子によって変換された第2の波長の光を、折り返し手段によって第2光路に取り出して利用することにより、出力光のパワー低下を効率よく低減することが可能となるとともに、誘電体多層膜が、波長変換素子の出射側の表面に形成されていることにより、構成部品点数を低減し、低コスト化および小型化したレーザ光源装置が得られる。また、バンドパスフィルタは、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が設けられていることで、バンドパスフィルタを透過する光が狭帯域化され、常に一定波長のレーザ光を、レーザ光源装置から出射することができる。
さらに、バンドパスフィルタは、レーザ光の出力を測定するレーザ出力測定部の出力信号に基づいて第1光路に対する傾斜角度が変位する角度調節が行われることで、温度変動などで光源から射出される第1の波長の光の波長が変化した場合であっても、波長変換素子の変換波長に合わせることができる。さらにまた、誘電体多層膜が、第1の波長の光を80%以上反射し、第2の波長の光を80%以上透過する特性を有することで、光源の発振光を共振構造の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって変換された第2の波長の光を効率良く取り出すことができる。
すなわち、本発明によれば、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置を得ることが可能となる。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記多層膜ミラーは、前記波長変換素子と前記分離ミラーとの間に配置され、前記バンドパスフィルタは、前記光源と前記折り返し手段との間に配置された構成とすることが好ましい。または、前記波長変換素子と前記分離ミラーとの間に、前記波長変換素子側から順に、前記バンドパスフィルタと、前記多層膜ミラーと、が配置された構成とすることが好ましい。
かかる構成によれば、光源とミラー手段としての多層膜ミラーとの間に形成された第1光路上に、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が設けられたバンドパスフィルタが配置されることによって、バンドパスフィルタを透過する光が狭帯域化され、常に一定波長のレーザ光を、レーザ光源装置から出射することができる。また、バンドパスフィルタは、光源と折り返し手段との間、または波長変換素子と分離ミラーとの間に配置することが可能であり、レーザ光源装置における光路設計の自由度が増す。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記バンドパス多層膜は、前記第2の波長に対して80%以上の透過率を有し、高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層され、前記第1の波長をλとおいて、光学膜厚が光の射出側から順に、0.236λH、0.355λL、0.207λH、0.203λL、(0.25λH、0.25λL)n、0.5λH、(0.25λL、0.25λH)n、0.266λL、0.255λH、0.248λL、0.301λH、0.631λLであることが好ましい。但し、nは3から10の範囲の値であり、括弧内の層を繰り返し積層する繰り返し数を示す。
かかる構成によれば、バンドパス多層膜が前記のように高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層されて形成されることにより、第1の波長近傍でバンドパス特性を有し、光源から射出された第1の波長の光を狭帯域化することができる。これにより、波長変換素子における波長変換の変換効率を向上することができる。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記折り返し手段は、前記第1の波長の光を透過し、前記第2の波長の光を反射する選択性反射膜が設けられた偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタより入射する前記第2の波長の光を、前記第1のレーザ光の進行方向と略同じ方向へ向けて全反射する反射膜が設けられた反射ミラーと、から構成されるのが好ましい。
かかる構成によれば、折り返し手段が選択性反射膜が設けられた偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタより入射する第2の波長の光を、第1のレーザ光の進行方向と略同じ方向へ向けて全反射する反射膜が設けられた反射ミラーとで構成されることで、ミラー手段によって反射されて光源へ向かう過程で波長変換素子によって波長が変換された第2の波長の光を、第2光路に容易に取り出して利用することができる。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とは、略平行であることが好ましい。
本発明に係るレーザ光源装置は、レンズ、フィルター、ミラー、回折格子、プリズム、光変調素子など、他の光学デバイスと組み合わせて利用される可能性が高いが、このような光学デバイスの多くは、入射光の角度に依存して特性が変化したり、出力結果が変化してしまったりする。そこで、第1のレーザ光と、第2のレーザ光とを略平行とすれば、レーザ光源装置の後に配置される光学デバイスの設計や配置が容易となる。したがって、かかる構成によれば、特に、本発明に係るレーザ光源装置を、画像表示装置等に応用した場合に、光学設計の自由度が非常に高まるという効果がある。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記波長変換素子の、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とに直交する線と平行な方向の幅をW1とし、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光との間の距離をW2としたとき、W2>W1であることが好ましい。
かかる構成により、第1光路と折り返し手段との相対位置が多少ずれたとしても、第2光路が波長変換素子によって遮られることが無い。よって、光路変換素子の位置合わせが比較的容易となる。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記光源は、アレイ化された複数の発光部を備えることが好ましい。
本発明では、このようにアレイ化された光源を用いたとしても、レーザ光源装置の構成要素(バンドパスフィルタ、波長変換素子、分離ミラーや折り返し手段など)の光入射面や光射出面の面積を、アレイに対応した面積に拡張すれば良いだけである。このように、本発明では、光源がアレイ化されたとしても、装置の過度な大型化を招くことが無く、簡単な構成で対応することが可能である。すなわち、本発明では、光源がアレイ化されたとしても、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置を得ることが可能となる効果をそのまま保持しつつ、アレイ化による光量の増加を、効果的に出力光のパワーアップに繋げることが可能である。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記波長変換素子は、擬似位相整合型の波長変換素子であることが好ましい。
擬似位相整合型の波長変換素子は、他のタイプの波長変換素子よりも変換効率が高いため、本発明の効果をより高めることが可能である。
本発明に係る画像表示装置は、上述したようなレーザ光源装置と、前記レーザ光源装置から射出されたレーザ光を画像情報に応じて変調する光変調素子と、を備えたことを特徴とする。
かかる画像表示装置は、上述したようなレーザ光源装置を用いているため、レーザ光の利用効率を向上させることが可能である。
以下、本発明における実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図である。
レーザ光源装置31は、光源311、バンドパスフィルタ312、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子314、ミラーとしての多層膜ミラー315、分離ミラー316、レーザ出力測定部317、制御部318、回転機構319、反射ミラー320、を備えている。これらのうち、バンドパスフィルタ312、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子314、多層膜ミラー315および分離ミラー316は、光源311と多層膜ミラー315との間に形成された第1光路O1上に、光源311側からこの順に設けられている。
光源311は、第1の波長の光を射出する。
図2は光源311の構造を模式的に示す断面図である。図2に示した光源311は、いわゆる面発光半導体レーザであり、例えば半導体ウエハより少なくともなる基板400と、基板400上に形成され、反射ミラーとしての機能を有するミラー層311Aと、ミラー層311Aの表面に積層されるレーザ媒体311Bとを有する。
ミラー層311Aは、基板400上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成された、高屈折率の誘電体と低屈折率の誘電体の積層体によって構成されている。ミラー層311Aを構成する各層の厚さ、各層の材料、層の数は、光源311から射出される光の波長(第1の波長)に対して最適化され、反射光が干渉し強め合う条件に設定されている。
レーザ媒体311Bは、ミラー層311Aの面上に形成されている。このレーザ媒体311Bは、図示しない電通手段が接続されており、電通手段から所定量の電流が流されると、第1の波長の光を射出する。また、レーザ媒体311Bは、ミラー層311Aと、図1に示した多層膜ミラー315との間で、第1の波長の光が共振することにより、特定の波長(第1の波長)の光を増幅させる。すなわち、ミラー層311Aや、後述する多層膜ミラー315により反射された光は、レーザ媒体311Bにより新たに射出される光と共振して増幅され、レーザ媒体311Bの端面(光射出面)からミラー層311Aや基板400に略直交する方向に射出される。
バンドパスフィルタ312は、図1に示すように、光源311と多層膜ミラー315との間に形成された第1光路O1上に、光源311に対向して配置され、第1の波長近傍でバンドパス特性を有する。それは、光源311から射出される第1の波長の光のうち、設定された特定波長の光のみを選択的に透過し、それ以外の波長の光を反射する。すなわち、光源311より射出される光を狭帯域化する機能を有する。なお、バンドパスフィルタ312を選択的に透過する光の特定波長は、第1の波長における半値幅が略0.5nmの光である。
また、バンドパスフィルタ312は、後述する回転機構319により、光源311の光射出面(第1光路O1に略直交する面)に対する傾斜角度θ、すなわち、第1光路O1に対する傾斜角度が変位可能に構成されている。
このバンドパスフィルタ312は、ガラス基板312Aの一方の面(入射面)にバンドパス多層膜312Bと、他方の面(射出面)に光の反射を防止するための反射防止(AR:anti-reflective)膜312Cとを備え、バンドパス多層膜312Bが形成された面を光源311側にして配置されている。このバンドパス多層膜312Bによって、上述したバンドパスフィルタ312の機能がもたらされる。
なお、バンドパスフィルタ312は、AR膜312Cが形成された面を光源311側に向けて配置されてもよい。
バンドパス多層膜312Bの膜構成は、高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層され、発振波長をλとおいて、光学膜厚が光の射出側、すなわちガラス基板312A側から順に、0.236λH、0.355λL、0.207λH、0.203λL、(0.25λH、0.25λL)n、0.5λH、(0.25λL、0.25λH)n、0.266λL、0.255λH、0.248λL、0.301λH、0.631λLとしたものである。但し、nは3から10の範囲の値であり、括弧内の層を繰り返し積層する繰り返し数を示す。
高屈折率層Hの材料としては、使用する波長領域において透明で、環境にやさしいTa25、Nb25、Ti02、Zr02などの物質の内から1種類が選択され、低屈折率層Lの材料としては、同様に、環境にやさしいSiO2、MgF2などの物質の内から1種類が選択される。
図3は、このように形成されたバンドパス多層膜312Bの分光透過率特性の一例を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を示し、縦軸は透過率(%)を示す。なお、この分光透過率特性は、光源311から射出される光の波長(第1の波長)が1064nm近傍である場合を示す。
図3に示すように、バンドパス多層膜312Bは、第1の波長近傍でバンドパス特性を有する。また、第2の波長の光に対して略80%以上の透過率を有し、特に、波長532nmの緑色光近傍の光に対して100%に近い透過率を有する。
偏光ビームスプリッタ313は、ガラス基板313Aの一方の面に選択性反射膜313Bを有し、他方の面に光の反射を防止するための反射防止(AR:anti-reflective)膜313Cが設けられている。この偏光ビームスプリッタ313は、第1の波長の光を透過し、後述する波長変換素子314によって変換された第2の波長の光を反射ミラー320の方に向かって反射する機能を有する。
偏光ビームスプリッタ313は、第1光路O1上のバンドパスフィルタ312と波長変換素子314との間に、第1光路O1に対して略45°傾斜する角度に配置されている。
なお、偏光ビームスプリッタ313は、反射効率を考慮すると、選択性反射膜313Bが設けられた面を波長変換素子314側にして配置したが、AR膜313Cが設けられた面を波長変換素子314側にして配置しても良い。また、AR膜313Cは、偏光ビームスプリッタ313の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することも可能である。
波長変換素子314は、入射した光の波長を略半分の波長(第2の波長)の光に変換する。波長変換素子314は、図1に示すように、光源311と多層膜ミラー315との間に形成された第1光路O1上の、偏光ビームスプリッタ313と多層膜ミラー315の間に設けられている。
図4は波長変換素子314の構造を模式的に示す断面図である。波長変換素子314は、例えば四角柱形状をなし、波長変換部314Aと、波長変換部314Aの光源311側の面(入射側端面)にAR膜314Bと、波長変換部314Aの多層膜ミラー315側の面(射出側端面)にAR膜314Cとを備えている。
波長変換部314Aは、入射した光の第2高調波を生成する第2次高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)素子である。波長変換部314Aは、周期的な分極反転構造を備えており、擬似位相整合(QPM:Quasi Phase Matching)による波長変換によって、入射した光の波長を略半分の波長(第2の波長)の光に変換する。例えば、光源311から射出される光の波長(第1の波長)が1064nm(近赤外)である場合、波長変換部314Aは、これを半分の波長(第2の波長)532nmに変換して、緑色の光を生成する。但し、波長変換部314Aの波長変換効率は、一般的に30〜40%程度である。つまり、光源311から射出された光のすべてが、第2の波長の光に変換されるわけではない。
周期的な分極反転構造は、例えばニオブ酸リチウム(LN:LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LT:LiTaO3)などの無機非線形光学材料の結晶基板内部に形成されている。具体的には、周期的な分極反転構造は、このような結晶基板内部に、光源311から射出された光に対して略直交する方向に、相互に分極方向が反転した2つの領域314Aa,314Abを、所定の間隔で交互に多数形成した構成となっている。これら2つの領域314Aa,314Abのピッチは、入射光の波長と結晶基板の屈折率分散とを考慮して、適宜決定される。
なお、一般に半導体レーザから発振されるレーザ光は、利得帯域の中で複数の縦モードが発振し、温度の変動などの影響によりそれらの波長が変化する。すなわち、波長変換素子314において変換される光の波長の許容幅は0.3nm程度であり、使用環境温度の変化に対して、0.1nm/℃程度変動する。
AR膜314B,314Cは、例えば単層または多層より少なくともなる誘電体膜であり、第1の波長の光および第2の波長の光の双方を例えば98%以上の透過率で透過させる。なお、AR膜314B,314Cは、レーザ光が波長変換素子314に入射したり、射出されたりする際のレーザ光の損失を低減する特性を有するが、波長変換素子314の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することも可能である。つまり、波長変換素子314を、波長変換部314Aのみで構成することも可能である。
多層膜ミラー315は、図1に示すように、第1光路O1上の波長変換素子314の射出端面に対向して配置され、第1の波長の光を選択的に反射して光源311の方に向かわせ、それ以外の波長(第2の波長を含む)の光を透過する機能を有する。多層膜ミラー315は、第1の波長の光を選択的に反射することで、増幅する光の波長を狭帯域化する機能も担っている。
多層膜ミラー315は、透明部材としてのガラス基板315Aの一方の面(入射面)に誘電体多層膜315Bが設けられ、他方の面(射出面)に光の反射を防止するための反射防止膜315Cが形成されている。多層膜ミラー315は、誘電体多層膜315Bを波長変換素子314側に向けて配置されている。
また、誘電体多層膜315Bは、例えばCVDによって形成することが可能であり、多層膜を構成する各層の厚さ、各層の材料、層の数は、求められる特性に応じて最適化される。この誘電体多層膜315Bによって、上述した多層膜ミラー315の機能がもたらされる。この誘電体多層膜315Bの第2波長の光に対する透過率、および第1波長の光に対する反射率は、高ければ高いほど良く、80%以上が望ましい。
また、透明部材としてのガラス基板315Aは、ガラス基板315Aを透過する第2の波長のレーザ光に対して80%以上の透過率を有し、第1の波長の光に対しては20%以下の透過率を有する素材よりなる。これにより、多層膜ミラー315を透過する第2の波長の光の損失を低減することが可能となる。
なお、AR膜315Cは、多層膜ミラー315の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することも可能である。つまり、多層膜ミラー315を、ガラス基板315Aと誘電体多層膜315Bのみで構成することも可能である。
分離ミラー316は、図1に示すように、多層膜ミラー315の射出側に対向して配置され、多層膜ミラー315から射出される第2の波長の光の一部、例えばレーザ出力の0.5%程度を反射し、レーザ出力測定部317に向かう方に分離する機能を有する。
この分離ミラー316は、ガラス基板316Aの一方の面に誘電体多層膜より少なくともなる分離膜316Bが設けられ、分離膜316Bを多層膜ミラー315側にして、第1光路O1に沿う方向に、例えば略45°傾斜して配置されている。分離膜316Bを構成する多層膜の各層の厚さ、各層の材料、層の数は、求められる特性に応じて最適化される。なお、分離ミラー316は、ガラス基板316Aの他方の面にAR膜を設けてもよい。
レーザ出力測定部317は、いずれも図示しない受光センサーと測定回路を有し、分離ミラー316から入射する分離光を受光して電気信号に変換し、信号処理によってレーザ光出力の測定値を求める。受光センサーとしては、半導体フォトダイオードなどを用いることができる。
レーザ出力測定部317で得られたレーザ出力測定値の出力信号は、制御部318に送出される。
制御部318は、CPU、RAMおよびROMなどを備えたマイクロコンピュータで構成され、レーザ出力測定部317から入力したレーザ出力測定値の出力信号に基づいて回転機構319の制御を行う。
回転機構319は、図1に示すように、制御部318から入力する制御信号に基づいて、バンドパスフィルタ312の第1光路O1に対する傾斜角度θが変位する角度調節が行われる。
傾斜角度θは、光源311の光射出面(第1光路O1に略直交する面)に対する傾斜角度である。すなわち、第1光路O1に対する傾斜角度である。この傾斜角度θが調節されることによりバンドパスフィルタ312を透過するレーザ光(第1の波長)のピーク波長が調整される。傾斜角度θの角度調節は、各種回転モータや、アクチュエータまたはピエゾ素子のてこの原理を利用した回転運動を用い、例えば、バンドパスフィルタ312の略中心点RCを回転中心として、図中に矢印αで示すように回動して行われる。
反射ミラー320は、偏光ビームスプリッタ313から反射された反射光ILを全反射する機能を有する。
反射ミラー320は、ガラス基板320Aの一方の面に反射膜320Bを有し、他方の面にAR膜320Cが設けられている。この反射ミラー320は、反射膜320Bが設けられた面を偏光ビームスプリッタ313側にして、第1光路O1に対して偏光ビームスプリッタ313と面対称となる位置に配置されている。
反射膜320Bは、偏光ビームスプリッタ313に設けられた選択性反射膜313Bと同様、誘電体多層膜によって構成することが可能である。このとき、反射膜320Bを構成する誘電体多層膜は、選択性反射膜313Bと異なる誘電体多層膜でも良いが、同じ誘電体多層膜でも良い。また、反射膜320Bはアルミニウム、クロム、銀などの金属膜によって構成しても良い。
一般的に、誘電体多層膜の方が、金属膜に比べて耐熱性に優れている。また、誘電体多層膜は、これを構成する各層の厚さ、各層の材料、層の数の最適化により、特定波長の光に対する反射率を高めることが可能であり、レーザ光のように波長帯域が狭く、指向性の高い光を効率よく反射するにも適している。一方、金属膜は、コスト面において誘電体多層膜よりも有利である。
なお、反射ミラー320は、反射効率を考慮して反射膜320Bが設けられた面を偏光ビームスプリッタ313側にして配置したが、AR膜320Cが設けられた面を偏光ビームスプリッタ313側にして配置しても良い。また、AR膜320Cは、反射ミラー320の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することも可能である。
次に、レーザ光源装置31から出力光が得られるまでの過程について、図1、図2、図4を参照して説明する。
光源311は、レーザ媒体311Bに電流が流されると、第1の波長の光を射出する。光源311から射出された第1の波長の光は、バンドパスフィルタ312に入射する。
バンドパスフィルタ312では、バンドパス多層膜312Bにおいて、第1の波長の光のうち波長幅が略0.5nm程度の光が透過されるとともに、それ以外の波長幅の光が反射される。すなわち、入射する第1の波長の光の狭帯域化が行われる。
バンドパスフィルタ312において反射された第1の波長の光は、光源311に向けて射出される。
光源311に向けて射出された第1の波長の光は、光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。このように、バンドパスフィルタ312において反射された第1の波長の光は、光源311とバンドパスフィルタ312との間を往復することにより、レーザ媒体311Bにて新たに発振される光と共振して増幅される。
一方、バンドパスフィルタ312のバンドパス多層膜312Bを透過した第1の波長の光は、偏光ビームスプリッタ313に向けて射出される。そして、偏光ビームスプリッタ313を透過して、波長変換素子314に入射する。
波長変換素子314では、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長が、半分の波長(第2の波長)に変換され、多層膜ミラー315に向けて射出する。
多層膜ミラー315では、波長変換素子314から射出された光のうち第2の波長に変換された光は、誘電体多層膜315Bを透過して、分離ミラー316に向かって射出される。一方、波長変換素子314から射出された光のうち、第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)は、誘電体多層膜315Bによって反射され、光源311の方に向かう。
そして、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bを透過して、分離ミラー316に向かって射出された第2の波長の光は、分離ミラー316の分離膜316Bにおいて、入射した第2の波長のうちレーザ出力の0.5%程度の光が分離される。分離された光は、分岐光L3としてレーザ出力測定部317に向かって反射される。それ以外の第2の波長の光は、分離ミラー316の分離膜316Bを透過して、第1のレーザ光LS1(出力光)として分離ミラー316(レーザ光源装置31)から射出される。なお、分離膜316Bによって分離された分岐光L3は、バンドパスフィルタ312の傾斜角度θを調節するために利用される。この傾斜角度θの調節については後述する。
一方、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bによって反射され、光源311の方に向かう第1の波長の光は、光源311の方へ向かう過程で再び波長変換素子314を通過する。波長変換素子314を通過する際に、そのうちの一部の光が第2の波長に変換される。
そして、波長変換素子314を通過した光は、偏光ビームスプリッタ313に入射する。
偏光ビームスプリッタ313では、選択性反射膜313Bに入射した光のうち、第1の波長の光は、選択性反射膜313Bを透過する。そして、選択性反射膜313Bを透過した第1の波長の光は、光源311に向けて射出される。
さらに、この光は光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。このように、第1の波長の光は、光源311と多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bとの間に形成された第1光路O1を往復することにより、レーザ媒体311Bにて新たに発振される光と共振して増幅される。すなわち、レーザ光源装置31は、光源311のミラー層311Aと多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bとの間に形成された共振構造を備えている。
一方、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bよって反射されて光源311の方へ向かう過程で波長変換素子314によって第2の波長に変換された光は、偏光ビームスプリッタ313の選択性反射膜313Bによって反射される。偏光ビームスプリッタ313で反射された反射光ILは、反射ミラー320の方に向かう。
そして、反射光ILは、反射ミラー320に入射して、反射膜320Bによって第1のレーザ光LS1の進行方向と略平行な方向に反射される。さらに、反射膜320Bによって反射された光は、第2のレーザ光LS2(出力光)として、レーザ光源装置31から射出される。
つまり、偏光ビームスプリッタ313および反射ミラー320は、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bよって反射されて光源311の方へ向かう過程で第2の波長に変換された光を、第1光路O1とは異なる第2光路O2へ取り出す機能を備えている。この偏光ビームスプリッタ313と、反射ミラー320と、で折り返し手段が構成されている。
なお、図1において、L1は、光源311から射出され、波長変換素子314によって第2の波長の光に変換され、多層膜ミラー315を透過して分離ミラー316から第1のレーザ光LS1として射出される光を示している。第1光路O1は、光源311から射出され、波長変換素子314によって第2の波長に変換されること無く射出され、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bよって反射されて、光源311に向かう過程においても第2の波長に変換されず、偏光ビームスプリッタ313およびバンドパス多層膜312Bを透過して光源311に戻る光を示しており、このような光によって第1光路O1が形成されると考えることができる。
また、L2は、光源311から射出され、波長変換素子314によって第2の波長に変換されること無く射出され、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bよって反射されて、光源311に向かう過程において、波長変換素子314によって第2の波長に変換されて、偏光ビームスプリッタ313へ入射する光を示している。
さらに、図1では、L1、O1、L2を異なる位置に示しているが、これらは説明の便宜上、異なる位置に示されているだけであり、本来は同じ位置に存在する。このことについては、以後の各実施形態において説明するレーザ光源装置の概略構成を示す模式図においても同様である。
次にバンドパスフィルタ312の傾斜角度θの調節について説明する。
一般に半導体レーザ(光源311)から発振されるレーザ光は、利得帯域の中で複数の縦モードが発振し、温度の変動などの影響によりそれらの波長が変化する。また、波長変換素子314においても波長変換されるレーザ光の波長は、温度の変動に対して、0.1nm/℃程度変化する。
バンドパスフィルタ312の傾斜角度θの変位による角度調節は、こうした温度の変動に対応し、安定したレーザ光を得る目的で行われる。
バンドパスフィルタ312の傾斜角度θの調節は、分離ミラー316の分離膜316Bにおいて分離され、レーザ出力測定部317に入射した分岐光L3に基づいて行われる。
レーザ出力測定部317では、分岐光L3を受光センサーが受光して電気信号に変換し、その電気信号に基づいて測定回路においてレーザ光出力の測定値が求められる。
そして、レーザ出力測定部317で得られたレーザ出力測定値の出力信号は、制御部318に送出される。
制御部318では、ROMに格納されたレーザ出力と傾斜角度θによる波長のシフト特性に基づいた制御プログラムが実行され、レーザ出力測定部317で得られたレーザ出力測定値の出力信号に対応した傾斜角度θに変位させる制御信号が回転機構319に出力される。
回転機構319では、制御部318から入力した制御信号に基づいて、アクチュエータが作動し、略中心点RCを回転中心としてバンドパスフィルタ312が所定量回転して、所定の傾斜角度θに変位する角度調節が行われる。
なお、レーザ出力測定部317の測定時間の間隔、および回転機構319の作動頻度は、使用環境などを考慮して、適宜決定される。
図5は、傾斜角度θの変位による透過波長のシフト特性を表すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を示し、縦軸に透過率(%)を示す。なお、図5は、光源311から射出される光の設定波長が1064nmの場合を示す。
図5中に示す曲線aは、バンドパスフィルタ312の傾斜角度θが0°における透過率曲線であり、同様に曲線bは傾斜角度θが1°、曲線cは2°、曲線dは3°、曲線eは4°、曲線fは5°における透過率曲線である。
図5において、バンドパスフィルタ312の傾斜角度θが0°から5°に向かって大きくなるに従って、バンドパスフィルタ312を透過する光のピーク波長が小さく(周波数を大きく)なる方向にシフト(移行)する。
なお、バンドパスフィルタ312の傾斜角度θの調節は、光源311の光射出面に対して右傾斜あるいは左傾斜のどちらの方向であってもよい。
最後に、第1のレーザ光LS1と第2のレーザ光LS2との間の距離と、波長変換素子314の幅との関係について、図1を参照しながら説明する。図1において、W1は、波長変換素子314の第1のレーザ光LS1と第2のレーザ光LS2とに直交する線(図示せず)と平行な方向の幅を示している。W2は、第1のレーザ光LS1と第2のレーザ光LS2との間の距離を示している。本実施形態のレーザ光源装置31は、W2>W1の関係となるように構成されている。
本実施形態に係るレーザ光源装置31は、以下の効果を奏する。
(1)バンドパスフィルタ312が、レーザ出力測定部317の出力信号に基づいて第1光路O1に対する傾斜角度θが変位する角度調節が行われることにより、温度変動などで光源311から射出される光の波長が変化した場合であっても、波長変換素子314の変換波長に合わせることができる。すなわち、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置31を得ることが可能となる。
(2)光源311と多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bとの間に構成された共振構造の内部に波長変換素子314を設けているため、波長変換素子314において第2の波長に変換されなかった光が、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bによって反射されて光源311の方へ向かう過程で第2の波長に変換された光を、折り返し手段(偏光ビームスプリッタ313および反射ミラー320)によって第2光路O2に取り出して、第2のレーザ光LS2として利用することにより、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率を高めることができる。
(3)多層膜ミラー315は第1の波長の光を80%以上反射し、第2の波長の光を80%以上透過する特性を有することで、光源311の発振光を共振構造の内部に閉じ込めながら、波長変換素子314によって変換された第2の波長の光を効率良く取り出すことができる。
(4)バンドパスフィルタ312に設けられたバンドパス多層膜312Bが、前述のように高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層されて形成されることにより、第1の波長近傍でバンドパス特性を有し、光源311から射出された第1の波長の光を狭帯域化することができる。よって、波長変換素子314における波長変換の変換効率を向上することができる。
(5)波長変換素子314が、擬似位相整合型の波長変換素子であり、他のタイプの波長変換素子よりも変換効率が高いため、(1)〜(3)の効果をより高めることが可能である。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係るレーザ光源装置41の概略構成を示す模式図である。
第2実施形態のレーザ光源装置41は、バンドパスフィルタ312の配置位置だけが第1実施形態のレーザ光源装置31と異なっており、それ以外は、前記第1実施形態と同様である。したがって、図6において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、レーザ光源装置41から出力光が得られるまでの過程、およびバンドパスフィルタ312の傾斜角度θの調節についても同様であり、その詳細な説明も省略または簡略化する。
図6において、レーザ光源装置41は、光源311、バンドパスフィルタ312、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子314、ミラーとしての多層膜ミラー315、分離ミラー316、レーザ出力測定部317、制御部318、回転機構319、反射ミラー320を備えている。これらのうち、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子314、バンドパスフィルタ312、多層膜ミラー315および分離ミラー316は、光源311と多層膜ミラー315との間に形成された第1光路O1上および第1光路O1に沿う方向に、光源311側からこの順に設けられている。
次に、レーザ光源装置41から出力光が得られるまでの過程について、図6を参照して説明する。
光源311は、第1の波長の光を射出する。光源311から射出された第1の波長の光は、偏光ビームスプリッタ313に向けて射出される。そして、偏光ビームスプリッタ313を透過して、波長変換素子314に入射する。
波長変換素子314では、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長が、半分の波長(第2の波長)に変換され、バンドパスフィルタ312に向けて射出する。
波長変換素子314から射出された光は、バンドパスフィルタ312に入射する。
バンドパスフィルタ312では、バンドパス多層膜312Bにおいて、入射する光のうち波長幅が略0.5nm程度の光が透過されるとともに、それ以外の波長幅の光が反射される。すなわち、入射する光の狭帯域化が行われる。
そして、バンドパスフィルタ312を通過した光は、多層膜ミラー315に向かって射出され、多層膜ミラー315に入射する。
多層膜ミラー315では、バンドパスフィルタ312から射出された光のうち、波長変換素子314において変換された第2の波長の光は、誘電体多層膜315Bを透過して、分離ミラー316に向かって射出される。一方、バンドパスフィルタ312から射出された光のうち、波長変換素子314において第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)は、誘電体多層膜315Bによって反射され、光源311の方に向かう。
そして、多層膜ミラー315から分離ミラー316に向かって射出された第2の波長の光は、分離ミラー316の分離膜316Bにおいて、入射した第2の波長の光のうちレーザ出力の0.5%程度の光が分離される。分離された光は、分岐光L3としてレーザ出力測定部317に向かって反射され、それ以外の第2の波長の光は、分離ミラー316を透過して、第1のレーザ光LS1として分離ミラー316(レーザ光源装置41)から射出される。
一方、多層膜ミラー315の誘電体多層膜315Bによって反射され、光源311の方に向かう第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)は、バンドパスフィルタ312を透過して、バンドパスフィルタ312のバンドパス多層膜312Bにおいて反射された光とともに、再び波長変換素子314を通過する。波長変換素子314を通過する際に、そのうちの一部の光が第2の波長に変換され、波長変換素子314から偏光ビームスプリッタ313の方へ射出される。
そして、偏光ビームスプリッタ313に入射した光は、入射した光のうち第1の波長の光は、選択性反射膜313Bを透過する。そして、選択性反射膜313Bを透過した第1の波長の光は、光源311に向けて射出される。
以降の折り返し手段(偏光ビームスプリッタ313および反射ミラー320)によって第2のレーザ光LS2(出力光)が得られるまでの過程、および分離ミラー316において分離された分岐光L3に基づくバンドパスフィルタ312の傾斜角度θの調節については、第1実施形態のレーザ光源装置31と同様である。
以上に示した第2実施形態のレーザ光源装置41によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図である。
第3実施形態のレーザ光源装置51は、第1実施形態のレーザ光源装置31における多層膜ミラー315に代えて、波長変換素子414の射出側端面に誘電体多層膜を設けた以外は、前記第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、レーザ光源装置51から出力光が得られるまでの過程、およびバンドパスフィルタ312の傾斜角度θの調節についても同様であり、その詳細な説明も省略または簡略化する。
図7において、レーザ光源装置51は、光源311、バンドパスフィルタ312、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子414、分離ミラー316、レーザ出力測定部317、制御部318、回転機構319、反射ミラー320を備えている。これらのうち、バンドパスフィルタ312、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子414、分離ミラー316は、光源311と後述する波長変換素子414の射出側端面に設けられたミラー手段としての誘電体多層膜414Cとの間に形成された第1光路O1上および第1光路O1に沿う方向に、光源311側からこの順に設けられている。
波長変換素子414は四角柱形状を成し、波長変換部414Aと、波長変換部414Aの光源311側の面(入射側端面)に反射防止膜414Bと、波長変換部414Aの分離ミラー316側の面(射出側端面)に誘電体多層膜414Cとを備えている。なお、誘電体多層膜414Cの膜構成は、第1実施形態および第2実施形態における多層膜ミラー315に設けられた誘電体多層膜315Bと同じである。
次に、レーザ光源装置51から出力光が得られるまでの過程について、図7を参照して説明する。
光源311から射出された第1の波長の光は、バンドパスフィルタ312に入射して、バンドパス多層膜312Bにおいて、第1の波長の光のうち波長幅が略0.5nm程度のレーザ光が透過されるとともに、それ以外の波長幅のレーザ光が反射される。すなわち、入射する第1の波長の光の狭帯域化が行われる。
バンドパスフィルタ312において反射された第1の波長の光は、光源311に向けて射出されて光源311に戻り、ミラー層311A(図2参照)によって反射され、再び光源311から射出される。
一方、バンドパスフィルタ312のバンドパス多層膜312Bを透過した第1の波長の光は、偏光ビームスプリッタ313に向けて射出される。そして、偏光ビームスプリッタ313を透過して、波長変換素子414に入射する。
波長変換素子414では、波長変換部414Aにおいて入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長が、半分の波長(第2の波長)に変換される。そして、第2の波長に変換されたレーザ光は、誘電体多層膜414Cを透過して、分離ミラー316に向かって射出され、第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)は、誘電体多層膜414Cによって反射され、光源311の方に向かう。
そして、分離ミラー316に向かって射出された第2の波長に変換された光は、分離ミラー316の分離膜316Bにおいて、分離ミラー316に入射した第2の波長の光のうちレーザ出力の0.5%程度の光が分離される。分離された光は、分岐光L3としてレーザ出力測定部317に向かって反射される。それ以外の第2の波長の光は、分離ミラー316の分離膜316Bを透過して、第1のレーザ光LS1として分離ミラー316(レーザ光源装置51)から射出される。
一方、波長変換素子414の誘電体多層膜414Cによって反射され、光源311の方に向かう第1の波長の光は、光源311の方へ向かう過程で再び波長変換素子414を通過する。波長変換素子414を通過する際に、そのうちの一部の光が第2の波長に変換される。そして、波長変換素子414を通過した光は、偏光ビームスプリッタ313に入射する。
偏光ビームスプリッタ313では、入射した光のうち第2の波長に変換された光は、選択性反射膜313Bによって反射され反射ミラー320の方に向かい、第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)は、選択性反射膜313Bを透過して、バンドパスフィルタ312の方に向かう。
そして、選択性反射膜313Bによって反射され、反射ミラー320の方に向かう反射光ILは、反射ミラー320に入射する。そして、反射ミラー320では、反射膜320Bによって第1のレーザ光LS1の進行方向と略平行な方向へ向けて反射される。さらに、反射膜320Bによって反射された光は、第2のレーザ光LS2(出力光)として、レーザ光源装置51から射出される。
一方、偏光ビームスプリッタ313の選択性反射膜313Bを透過した第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)は、バンドパスフィルタ312を透過して、光源311に戻る。さらに、この光は光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。このように、第1の波長の光は、光源311と波長変換素子414の誘電体多層膜414Cとの間を往復することにより、レーザ媒体311Bにて新たに発振される光と共振して増幅される。すなわち、レーザ光源装置51は、光源311のミラー層311Aと波長変換素子414の誘電体多層膜414Cとの間に形成された共振構造を備えている。
なお、分離ミラー316において分離された分岐光L3に基づくバンドパスフィルタ312の傾斜角度θの調節については、第1実施形態のレーザ光源装置31と同様である。
第3実施形態のレーザ光源装置51によれば、第1実施形態の上記効果(1)〜(5)に加え、以下の効果を奏することができる。
誘電体多層膜414Cが、波長変換素子414の出射側の端面に設けられていることにより、構成部品点数を低減し、レーザ光源装置の低コスト化および小型化に寄与することができる。
[実施形態の変形例]
本発明は前述の第1実施形態および第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。以下に変形例として挙げられているような形態であっても、前述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
偏光ビームスプリッタ313は、第1光路O1上に、第1光路O1に対して略45°傾斜する角度に配置された場合で説明したが、45°に限定されない。その場合には、偏光ビームスプリッタ313の傾斜角度に対応して、反射ミラー320を、偏光ビームスプリッタ313において反射された反射光ILを第1のレーザ光LS1の進行方向と略平行な方向へ向けて反射するように配置すればよい。
同様に、分離ミラー316は、第1光路O1に沿う方向に対して略45°傾斜して配置された場合で説明したが、45°に限定されない。
また、光源311としては、面発光型半導体レーザ以外に、いわゆる端面発光型半導体レーザまたは半導体励起固体レーザを用いることができる。なお、端面発光型半導体レーザを用いる場合には、光源311と波長変換素子314,414との間に、光源311から射出された光を平行化するためのレンズを設けることが好ましい。
さらに、光源311は、アレイ化された複数の発光部を備えたものとすることができる。図8(A)および図8(B)は、いずれも発光部がアレイ化された光源を示す模式図である。図8(A)の光源321では、複数の発光部322が一列に並んでいる。また、図8(B)の光源323では、複数の発光部322が2列に並んでいる。なお、発光部の数や、列の数は、図8(A)や(B)に示したものには限らない。上述したレーザ光源装置31,41,51では、このように発光部がアレイ化された光源を用いたとしても、バンドパスフィルタ312、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子314,414、多層膜ミラー315、分離ミラー316、反射ミラー320、などの光入射面および射出面の面積を、アレイに対応した面積に拡張すれば良いだけである。
このように、上述したレーザ光源装置31,41,51では、光源311がアレイ化されたとしても、装置の過度な大型化を招くことが無く、簡単な構成で対応することが可能である。よって、上述したレーザ光源装置31,41,51では、光源311がアレイ化されたとしても、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置を得ることが可能となる効果をそのまま保持しつつ、アレイ化による光量の増加を、効果的に出力光のパワーアップに繋げることが可能である。
さらにまた、波長変換素子314,414を構成する非線形光学材料としては、先にLN(LiNbO3)や、LT(LiTaO3)を例示したが、これ以外にもKNbO3、BNN(Ba2NaNb515)、KTP(KTiOPO4)、KTA(KTiOAsO4)、BBO(β−BaB24)、LBO(LiB37)などの無機非線形光学材料を利用してもよい。また、メタニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、カルコン、ジシアノビニルアニソール、3,5−ジメチル−1−(4−ニトロフェニル)ピラゾール、N−メトキシメチル−4−ニトロアニリンなどの低分子有機材料や、ポールドポリマなどの有機非線形光学材料を用いてもよい。
また、波長変換素子314,414として、上述したSHG素子に変えて、第3次高調波発生素子を用いても良い。
[レーザ光源装置の応用例]
以上に述べたようなレーザ光源装置31,41,51を画像表示装置等に応用することにより、これらの装置における光の利用効率を向上させることが可能である。以下画像表示装置への応用例について説明する。
第1実施形態に係るレーザ光源装置31を応用した画像表示装置の一例として、プロジェクタ3の構成について説明する。図9は、プロジェクタ3の光学系の概略を示す模式図である。
図9において、プロジェクタ3は、レーザ光源装置31、光変調装置としての液晶パネル32、入射側偏光板331および射出側偏光板332、クロスダイクロイックプリズム34、投射レンズ35などを備えている。なお、液晶パネル32と、その光入射側に設けられた入射側偏光板331および光射出側に設けられた射出側偏光板332によって液晶ライトバルブ33が構成される。
レーザ光源装置31は、赤色レーザ光を射出する赤色光用光源装置31Rと、青色レーザ光を射出する青色光用光源装置31Bと、緑色レーザ光を射出する緑色光用光源装置31Gを備えている。これらのレーザ光源装置31(31R,G,B)は、それぞれクロスダイクロイックプリズム34の側面三方にそれぞれ対向するように配置されている。図9では、クロスダイクロイックプリズム34を挟んで、赤色光用光源装置31Rと青色光用光源装置31Bとが互いに対向し、投射レンズ35と緑色光用光源装置31Gが互いに対向しているが、これらの位置は、適宜入れ替えることが可能である。
液晶パネル32は、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いたものである。レーザ光源装置31から射出された色光は、入射側偏光板331を介して液晶パネル32に入射する。液晶パネル32に入射した光は、画像情報に応じて変調されて、液晶パネル32から射出される。液晶パネル32によって変調された光のうち、特定の直線偏光だけが、射出側偏光板332を透過して、クロスダイクロイックプリズム34に向かう。
なお、レーザ光源装置31から射出される光は、偏光方向が良く揃った光であるため、原理上は、入射側偏光板331を省略することも可能である。しかしながら、実際は、レーザ光源装置31から射出された光をそのまま照明光として利用する場合は少なく、レーザ光源装置31から射出された光を照明光に適した光に加工するための光学要素(例えば、回折格子、レンズ、ロッドインテグレータ等)が、レーザ光源装置31と液晶パネル32との間に設けられることが多い。そして、このような光学要素を透過することにより、偏光に多少の乱れが生じる可能性もある。偏光が乱れた光を液晶パネル32にそのまま入射させると、投射画像のコントラストが低下したり、投射画像に色むらが生じたりする可能性もある。そこで、液晶パネル32の入射側に入射側偏光板331を設けて、液晶パネル32に入射する偏光の方向を揃えるようにすれば、投射画像のコントラストの低下や、色むらの発生を低減することができ、より質の高い画像を得ることが可能となる。
クロスダイクロイックプリズム34は、各液晶パネル32によって変調された各色光を合成して、カラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム34は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなしている。そして、これら4つの直角プリズムの界面には、2種類の誘電体多層膜がX字状に設けられている。これら誘電体多層膜は、互いに対向する各液晶パネル32から射出された各色光を反射し、投射レンズ35に対向する液晶パネル32から射出された色光を透過する。このようにして、各液晶パネル32にて変調された各色光が合成されて、カラー画像が形成される。
投射レンズ35は、複数のレンズが組み合わされた組レンズとして構成される。この投射レンズ35は、カラー画像を拡大投射する。
以上のように構成されたプロジェクタ3は、レーザ光源装置31を用いているため、光の利用効率が向上したプロジェクタを得ることができる。
なお、この応用例では、第1実施形態に係るレーザ光源装置31(31R,31G,31B)を用いているが、これらのうち一部もしくは全部を、他の実施形態に係るレーザ光源装置41,51に置き換えても良い。
さらに、レーザ光源装置31(31R,G,B)のうち、一部を、基本波レーザの波長をそのまま利用するレーザ光源装置に置き換えても良い。
この応用例では、光変調素子を3つ用いたプロジェクタの例について説明したが、第1実施形態〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51は、光変調装置を1つ、2つ、あるいは4つ以上用いたプロジェクタにも適用することができる。
また、この応用例では、透過型のプロジェクタについて説明したが、第1実施形態〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、光変調素子が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、光変調素子が光を反射するタイプであることを意味している。
また、光変調素子は液晶パネル32に限られず、例えばマイクロミラーを用いたデバイスであっても良い。
さらに、プロジェクタとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行うフロントタイプと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行うリアタイプとがあるが、第1実施形態〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51は、いずれのタイプにも適用可能である。
さらにまた、この応用例では、レーザ光源装置31を応用した画像表示装置の一例として、画像を拡大投射する投射レンズ35を備えたプロジェクタを紹介しているが、第1実施形態〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51は、投射レンズ35を用いない画像表示装置等にも応用可能である。
第1実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図。 光源の構造を模式的に示す断面図。 バンドパス多層膜の分光透過率特性の一例を示すグラフ。 波長変換素子の構造を模式的に示す断面図。 バンドパスフィルタの傾斜角度の変位による透過波長のシフト特性を表すグラフ。 第2実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図。 第3実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図。 発光部がアレイ化された光源を示す模式図。 プロジェクタの光学系の概略を示す模式図。
符号の説明
3…画像表示装置としてのプロジェクタ、31,41,51…レーザ光源装置、31B…青色光用光源装置、31G…緑色光用光源装置、31R…赤色光用光源装置、32…液晶パネル、33…液晶ライトバルブ、34…クロスダイクロイックプリズム、35…投射レンズ、311,321,323…光源、322…発光部、311A…ミラー層、311B…レーザ媒体、312…バンドパスフィルタ、312B…バンドパス多層膜、313…偏光ビームスプリッタ、313B…選択性反射膜、314,414…波長変換素子、314A,414A…波長変換部、315…多層膜ミラー、314B,414C…誘電体多層膜、316…分離ミラー、316B…分離膜、317…レーザ出力測定部、318…制御部、319…回転機構、320…反射ミラー、320B…反射膜、400…基板。

Claims (11)

  1. 第1の波長の光を射出する光源と、
    前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、
    前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に、
    入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、
    前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されたバンドパスフィルタと、
    前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、
    を備え、
    前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、
    前記ミラー手段から射出された前記第2の波長の光の一部を分離する分離ミラーと、
    前記分離ミラーによって分離された前記第2の波長の光の出力を測定するレーザ出力測定部と、をさらに備え、
    前記ミラー手段は、前記第1の波長の光を80%以上反射し、前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有する誘電体多層膜が設けられた多層膜ミラーよりなり、
    前記バンドパスフィルタは、前記レーザ出力測定部の出力信号に基づいて前記第1光路に対する傾斜角度が変位する角度調節が行われることを特徴とするレーザ光源装置。
  2. 第1の波長の光を射出する光源と、
    前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、
    前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に、
    入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、
    前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されたバンドパスフィルタと、
    前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、
    を備え、
    前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、
    前記ミラー手段から射出された前記第2の波長の光の一部を分離する分離ミラーと、
    前記分離ミラーによって分離された前記第2の波長の光の出力を測定するレーザ出力測定部と、をさらに備え、
    前記ミラー手段は、前記波長変換素子の出射側の端面に設けられた前記第1の波長の光を80%以上反射し、前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有する誘電体多層膜よりなり、
    前記バンドパスフィルタは、前記レーザ出力測定部の出力信号に基づいて前記第1光路に対する傾斜角度が変位する角度調節が行われることを特徴とするレーザ光源装置。
  3. 請求項1に記載のレーザ光源装置において、
    前記多層膜ミラーは、前記波長変換素子と前記分離ミラーとの間に配置され、
    前記バンドパスフィルタは、前記光源と前記折り返し手段との間に配置されていることを特徴とするレーザ光源装置。
  4. 請求項1に記載のレーザ光源装置において、
    前記波長変換素子と前記分離ミラーとの間に、前記波長変換素子側から順に、前記バンドパスフィルタと、前記多層膜ミラーと、が配置されたことを特徴とするレーザ光源装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記バンドパス多層膜は、前記第2の波長に対して80%以上の透過率を有し、高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層され、前記第1の波長をλとおいて、光学膜厚が光の射出側から順に、0.236λH、0.355λL、0.207λH、0.203λL、(0.25λH、0.25λL)n、0.5λH、(0.25λL、0.25λH)n、0.266λL、0.255λH、0.248λL、0.301λH、0.631λLであることを特徴とするレーザ光源装置。但し、nは3から10の範囲の値であり、括弧内の層を繰り返し積層する繰り返し数を示す。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記折り返し手段は、
    前記第1の波長の光を透過し、前記第2の波長の光を反射する選択性反射膜が設けられた偏光ビームスプリッタと、
    前記偏光ビームスプリッタより入射する前記第2の波長の光を、前記第1のレーザ光の進行方向と略同じ方向へ向けて全反射する反射膜が設けられた反射ミラーと、
    から構成されたことを特徴とするレーザ光源装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とは、略平行であることを特徴とするレーザ光源装置。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記波長変換素子の、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とに直交する線と平行な方向の幅をW1とし、
    前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光との間の距離をW2としたとき、
    W2>W1であることを特徴とするレーザ光源装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記光源は、アレイ化された複数の発光部を備えることを特徴とするレーザ光源装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記波長変換素子は、擬似位相整合型の波長変換素子であることを特徴とするレーザ光源装置。
  11. 請求項1乃至10の何れか一項に記載のレーザ光源装置と、
    前記レーザ光源装置から射出されたレーザ光を画像情報に応じて変調する光変調素子と、
    を備える画像表示装置。
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