以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号または類似符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明による実施の形態である監視装置1の模式的斜視図である。図1(a)中、監視対象領域としての監視領域50がベッド6の上面に設定されている。さらに、図1(b)に示すように、ベッド6上には、監視対象物としての就寝者2が横たわって存在している。また、就寝者2の上には、さらに寝具3がかけられており、就寝者2の一部と、ベッド6の一部とを覆っている。即ち就寝者2がベッド6上に存在している(在床している)場合には、監視装置1は、寝具3の上面を監視している。また寝具3を使用しない場合には、監視装置1は、就寝者2の胴体部そのものを監視する。監視領域50については、図2を参照して後で説明する。
一方、図1(a)に示すように、天井4には、監視領域50内の就寝者2までの距離と相関関係を有する変量としての距離情報を検出するセンサとしての距離センサ11が設置されている。本実施の形態では、距離センサ11は、複数である。距離情報は、本実施の形態では、距離そのものである距離値、または距離値に相当する出力値である。以下、これらを単に距離という。以下、距離で実施の形態を説明する。
また、複数の距離センサ11は、筐体10を介して、天井4に設置することが好ましい。このようにすることで、複数の距離センサ11を1つずつ天井4に設置しなくても済むので、設置が簡便である。筐体10には、複数の距離センサ11が、それぞれ複数の対象点5(測距点)に対応して設置される。言い換えれば、距離センサ11は、対象点5に対応する数が設置され、さらに、それぞれが対応する対象点5に向けて設置される。対象点5については、図3を参照して後で説明する。また本実施の形態では、筐体10(距離センサ11)は、天井4に設置されているが、壁が存在する場合は、壁でもよく、設置場所は監視装置の目的や仕様等により適宜決めてよい。
また、図2に示すように、筐体10は、移動可能な、スタンド7に設置してもよい。このようにすることで、複数の距離センサ11の設置が容易になり、例えば、病院等で必要なときに必要な場所に設置できるので、簡便である。
図3の模式的平面図を参照して、対象点5の配置例について説明する。対象点5は、監視領域50内に複数配置されている。また対象点5は、監視領域50に2列以上配置することが好ましい。図3(a)は、複数の距離センサ11に対応する複数の対象点51a〜54cが、それぞれ隣合う対象点51a〜54cと重ならないように配置されている場合を示している。
この場合には、例えば図示のように、複数の対象点5は、監視領域50内に、ベッド6の外周部付近に対象点51a、51b、51c、54a、54b、54cが、ベッド6の中央部付近に対象点52a、52b、52c、53a、53b、53c(以下これらを区別しないときは単に対象点5という)が、お互いに重ならないように配置されている。また図示のように、対象点5は、碁盤目状に配置するとよい。複数の対象点5は、ベッド6上(寝具3下)の就寝者2のおよそ腹部、胸部、背部、および肩部が就寝中に取り得る位置を網羅する範囲に配置するいことが好ましい。配置する数は、本実施の形態では、図中4行3列(以下4×3と表す)であるが、監視する場所、就寝者2などの条件により適宜決めてよく、例えば3×3、4×4、あるいは2×2でもよい。
また、このように配置すると、比較的少ない数の距離センサでも、監視領域50を広くとることができるので、効率がよい。即ち、必要な範囲の監視領域50を比較的少数の距離センサ11で監視できるので、小型で高効率な監視装置1(図1参照)とすることができる。また、距離センサ11に、後述のような光束を照射することにより距離を測定する照射型センサを使用した場合でも、隣接する対象点5に対応する距離センサ11は、後述のように同時に照射しないように制御する必要がなく、監視装置1をより簡単な構成とすることができる。
また図3(b)の配置例に示すように、隣合う対象点5が重なっていてもよい。このようにすると、監視領域50内の死角を少なくすることができるので、より精度の高い監視に有効である。このとき、距離センサ11に例えば光を照射して距離を測定する照射型センサを用いた場合には、重なり合う対象点5に対応する距離センサ11が同時に照射しないように制御する必要がある。これは、複数の距離センサ11から同時に例えば照射光を照射した場合に、本来受光しなければならない照射光に他の距離センサ11から照射された照射光が混入し、互いに影響を受けてしまうことで、距離の測定が困難になるためである。
また、距離センサ11を、後述のように投光する光束の波長をセンサ毎に異なるようにし、併せて、コーティングを施す等の手段により後述の受光レンズ37aに投光するビーム光に対応した透過波長帯域を通過させるようにした場合には、隣合う対象点5が重なっていても同時に照射しないように制御する必要がない。また、距離センサ11を、照射する光束の光源を、各距離センサ11毎に異なる一定の周波数で点滅させ、併せて、その周波数のみの信号を後述の電気的バンドパスフィルタを備えるようにした場合には、隣合う対象点5が重なっていても同時に照射しないように制御する必要がない。
図4を参照して、監視装置1の構成の一例を説明する。監視装置1は、複数の距離センサ11が設置された筐体10と、制御装置20とを含んで構成される。制御装置20は、典型的にはパソコンやマイコンである。そして複数の距離センサ11は、制御装置20に接続されており、距離を制御装置20に出力するように構成されている。また距離は、それぞれの距離センサ11から時系列的に取得するように構成するとよい。また、図中距離センサ11と制御装置20とは、別体として示してあるが、一体として構成してもよい。また距離センサ11は、筐体10に4×3で設置されている。
また典型的には、距離センサ11は筐体10に並列的に設置されるが、図5の模式図に示す筐体10’ように、筐体10にカーブをつけてもよい。この場合、距離センサ11は、このカーブに沿うように設置する。このような筐体10’を用いることで、小型化しても広い監視領域50を容易に確保することができる。また、筐体10’は、小型でも、隣合う対象点5が重ならないように距離センサ11を設置することが容易に行なえるので、装置の小型化を図ることができる。
ここで、距離センサ11についてさらに説明する。使用する距離センサ11としては、赤外線照射型の距離センサ、超音波センサ、電磁波パルス距離センサ、パッシブ型光学距離センサ等がある。このうち赤外線照射型の距離センサ、超音波センサ、電磁波パルス距離センサは照射型センサである。また使用する距離センサ11は、上記のように、例えばオートフォーカスカメラに用いるような比較的単純で安価なものを用いることが好ましい。このような距離センサ11を用いることで、監視装置1を単純で安価に構成できる。本実施の形態では、赤外線照射型の距離センサを用いた場合で説明する。
以下、図6を参照して、赤外線照射型の距離センサについて説明する。ここで、距離センサ11の実施例としての赤外線照射型の距離センサ30(以下赤外線距離センサ30という)について説明する。赤外線距離センサ30は、いわゆるアクティブ型光学センサである。また、赤外線距離センサ30には、複数の受光領域に分割されたフォトディテクタ(以下多分割PDという)を用いたものと、位置検出素子(以下PSDという)を用いたものがある。以下、多分割PDを用いたものを赤外線距離センサ30a、PSDを用いたものを赤外線距離センサ30bとして説明する。また、これらを特に区別しないときには単に赤外線距離センサ30という。
まず図6のブロック図に示すように、多分割PDを用いた赤外線距離センサ30aは、就寝者2に光束を照射する光照射手段としての赤外光照射部31aと、赤外線受光部32aと、赤外線距離センサ30a全体を制御するセンサ制御部33aを含んで構成されている。またセンサ制御部33aは、制御装置20の制御部21内(図4参照)に備えるようにしてもよい。
赤外光照射部31aには、赤外LED34aと照射レンズ35aとが備えられており、赤外LED34aから照射された赤外光の光束(以下適宜ビームという)は照射レンズ35aを介して細い平行光束として就寝者2に照射される。ここで平行光束とは、実質的に平行であればよく、平行に近い光束も含む。また赤外線受光部32aは、赤外光照射部31aにより就寝者2上に生成される光照射パターンの像を結像する結像光学系としての受光レンズ37aと、受光レンズ37aによる結像位置近傍に配置され、結像した光照射パターンの像による結像パターン光を受光する複数の受光領域に分割された受光面としての多分割PD38を有している。ここでは、多分割PD38の分割数は2分割として説明する(以下これを2分割PD38という)。
さらに、赤外線距離センサ30aは、各受光領域からの信号を受信し、この受信した信号に基づき各受光領域に入射する結像パターン光の強度を相互に比較し、就寝者2までの距離に対応する結像パターンの結像位置情報出力するように構成された位置情報出力装置としての位置情報出力部39aを有している。位置情報出力部39aは、センサ制御部33a内に備えられている。ここでは、光束は例えばビーム光であり、光束による光照射パターンはビーム光スポットである。そして結像パターン光は、就寝者2上に生成されたビーム光スポットの就寝者2からの反射光の内、2分割PD38に入射する光であり、結像パターンは、受光レンズ37aにより結像された就寝者2上に生成されたビーム光スポットの像である。即ちここでは結像パターンは、略円形の像である。
ここで図7、8を参照して、2分割PD38について説明する。図7に示すように、2分割PD38は、2つの受光領域38a、38bに分割され、基板38c上に並列に置かれている。また分割方向は、距離変化による結像パターンの移動方向(図中左右方向)におよそ垂直な方向とする。言いかえれば、分割された受光領域38a、38bが距離変化による結像パターンの移動方向に沿って並ぶように分割される。
受光領域38a、38bは、就寝者2で反射して受光レンズ37aにより結像された結像パターン光が受光領域38a、38b上にまたがって結像することで、それぞれの受光領域に電流が発生する。
そして図8に示すように、受光領域38a、38bには、それぞれにI―V変換アンプ39dが接続されている。受光領域38a、38bでそれぞれに発生した電流の電流値は、それぞれI―V変換アンプ39dにより電圧値に変換され、比較回路39cに入力される。比較回路39cは、これらの比を取ることにより、結像パターンの結像位置情報即ち距離を算出する。なお、I―V変換アンプ39d、比較回路39cは、共に位置情報出力部39a内に備えられている。また2分割PD38の場合には、2分割PD38の受光面積は、略円形である結像パターンの直径(パターン径)よりも2分割PD38の受光面積が大きくなるように設定するとよい。このようにすることで、対象物の距離が変化することでパターン径が大きくなっても、結像パターンが2分割PD38上から欠けてしまうことがなく、安定かつ正確に距離を測定できる。
ここで、2分割PD38は、結像パターン光の光量(強度)に比例して電流を発生するので、受光領域38a、38bから出力されI―V変換アンプ39dにより変換された電圧値は、基本的に受光領域38a、38bにそれぞれ結像した結像パターンの面積とみることができる。即ち、電圧値の比は、受光領域38a、38bにそれぞれ結像した結像パターンの面積比とみなせる。この面積比は、対象物の距離の変化により結像パターンが移動することで変化する。即ち面積比を結像パターンの位置相当値とみることができる。これにより、面積比即ち電圧値の比を結像パターンの結像位置情報即ち距離として用いることができる。
ここで図9に、面積比と対象物距離の関係の一例を示す。ここでは、受光領域38a上の結像パターンを領域A、受光領域38bの結像パターンの領域Bとする。基線長は、照射レンズ35aと受光レンズ37aとの光軸間距離、ビーム光径は、照射レンズ35aより照射されるビーム光の直径、センサ設置高さは、受光レンズ37aから監視領域50(ベッド6上面)までの距離、焦点距離は、受光レンズ37aの焦点距離、像距離は、受光レンズ37aから2分割PD38の結像面までの距離である。2分割PDは、受光領域が4mm×4mm×2個のものを用いる。
また、以上では多分割PD38の分割数は2分割として説明したが、2分割以上としてもよい。また多分割PDは、分割されていないPDを並べて配置したものでもよい。
図10、11に示すように、ここでは、多分割PD38の分割数を4分割として説明する(以下これを4分割PD38’という)。図10に示すように、この場合には、2分割と同様に、4分割PD38’は、4つの受光領域38d、38e、38f、38gに分割され、基板38c上に並列に置かれている。4分割PD38’は、就寝者2で反射して受光レンズ37aにより結像された結像パターン光が4分割PD38’上に結像することで、それぞれの受光領域に電流が発生する。
そして図11に示すように、受光領域38d、38e、38f、38gには、それぞれにI―V変換アンプ39dが接続されている。それぞれの受光領域に発生した電流の電流値は、それぞれI―V変換アンプ39dにより電圧値に変換され、比較回路39cに入力される。比較回路39cは、これらを比較することで、結像パターンの結像位置情報即ち距離を算出する。なお、比較回路39cでの比較は、受光領域38d、38e、38f、38gのうち出力が大きい2つの受光領域の比を取ることにより、結像パターンの結像位置情報を算出するようにするとよい。
受光面38の分割数は、10分割以下とするのがよい。好ましくは4分割以下、最も好ましくは2分割である。分割数を制限することにより、I―V変換アンプ39d等の付属機器数を徒に増やすことなく、簡単な構造とすることができる。
また図10に示すように、2分割より分割数の多い多分割PD38を用いた場合には、結像パターンが大きく動いて2つの受光領域からはずれるような場合、即ち測定している対象の距離が大きく変化するような場合でも、他の2つの受光領域により結像パターンの結像位置情報を算出できる。
さらに、2分割より分割数の多い多分割PD38の場合には、1つの受光領域の距離変化による結像パターンの移動方向(図中左右方向)の幅は、パターン径よりも小さくなるように設定するとよい。これは、結像パターンが少なくとも2つの受光領域にまたがらずに1つの受光領域内に入ってしまうことで、結像パターンが移動しても電圧値の比が変化しない状況が発生しないようにするためである。即ち、このようにすることで、結像パターンが移動しても電圧値の比が変化しない状況を無くすことができ、安定かつ正確に距離を測定できる。また、受光レンズ37aにテレセントリック光学系のものを用いてもよい。この場合には、対象物の距離が変化してもパターン径が一定であることで、結像パターンの移動だけで電圧値の比が変化するので、計算を単純化することができる。テレセントリック光学系とは、絞りが対物レンズの焦点の1つにおかれている望遠鏡光学系である。また、2分割PD38を用いる場合でも上記のように受光レンズ37aにテレセントリック光学系のものを用いて構成してもよい。
以下2分割PD38を用いる場合で説明する。
図6に戻って、赤外線距離センサ30aについてさらに説明する。受光レンズ37aは、照射されたビーム光の波長帯域の光のみを透過させるコーティングが施されている。従って、外乱光の影響が少なく位置検出をすることができる。また以上では光束は細い平行光束としたが、これは実質的に平行光束であればよく、ある程度拡散あるいは収束した光束であってもよい。この場合は、2分割PD38上の結像パターンの大きさが適当であって、結像パターンの結像位置情報の検出に差支えない程度であればよい。
また赤外線距離センサ30aは、赤外光照射部31aが投光するビーム光の波長をセンサ毎に異なるようにしてもよい。この場合には、併せて、前述の受光レンズ37aに施されたコーティングの透過波長帯域も、投光するビーム光に対応した透過波長帯域になるようにする。これにより、図3(b)で説明した隣合うビーム光が重なる場合であっても、隣のセンサのビーム光の影響を受けることが無く、同時に照射しないように制御する必要がないので監視装置を単純化できる。また赤外線距離センサ30aは、赤外LED34a(光源)を一定の周波数で点滅させ、赤外光受光部32aにその周波数のみの信号を通過させる電気的バンドパスフィルタを備えるようにしてもよい。これにより、外乱光の影響を低減することができる。また、この変調周波数をセンサ毎に変えることにより、図3(b)で説明したビーム光が重なる場合でも隣のセンサのビーム光の影響を受けることが無くなる。これにより、ビーム光が重なる場合であっても同時に照射しないように制御する必要がなく監視装置を単純化できる。さらに、赤外LED34aの照射のタイミングに同期させて赤外光受光部32aのアンプの極性を切換える同期検波を行っても好適である。
赤外線距離センサ30aは、照射するビーム光に、赤外線を用いることで、人間には見えず、不快感を与えることがない。また赤外線距離センサ30aは、後述のPSDを用いた赤外線距離センサ30bのPSD部分を単に2分割PD38に置き換えたものであってもよい。
このように、赤外線距離センサ30aは、2分割PD38を用いることで、回路構成を単純化できるので、安価で、単純な監視装置とすることができる。また、特に分割数を2分割で構成することで、回路構成を大幅に単純化できるので、安価で、単純な監視装置とすることができる。
赤外線距離センサ30aのセンサ制御部33aは、結像パターンの結像位置情報を検出する際に、外乱光と区別するために、変調を行う。変調は、例えば周期的にビーム光の発光(照射)停止を繰り返し行なうような動作である。この場合、ビーム光の発光停止は、例えば光源を発光停止してもよいし、遮光板やスリットを回転させることにより、発光停止をするようにしてもよい。さらに変調は、上述に加え、外乱光の強さにより、ビーム光の出力も変化させるようにしてもよい。そしてセンサ制御部33aは、ビーム光を照射している時の2分割PD38の出力値からビーム光を照射していない時の2分割PD38の出力値を差し引いた出力値を算出する。またセンサ制御部33aは、信頼性を確保するために、このような動作を複数回行ない、その平均出力値を結像パターンの結像位置情報(以下測距信号という)とする。センサ制御部33aは、測距信号の値である測距信号値xを距離として制御装置20へ出力する。
図12の模式図に示すように、対象とする就寝者2までの距離値Aは、この測距信号値xに基づいて、三角法を用いて次式で算出することができる。
A = f ×w/(x−b) ………(1)
fは、赤外光受光部32aの受光レンズ37aを単一レンズとしたときそのレンズの焦点距離、wは、赤外LED34aと2分割PD38との間の距離、言い換えれば、照射レンズ35aと受光レンズ37aの光軸間の距離(基線長)、bはPD38の受光素子の配置に依存するバイアス値を示す。またここでの焦点距離は、一般に用いられている組み合わせレンズを使用する場合は、その組み合わせレンズの焦点距離とする。上述のような距離値Aを算出する場合には、制御装置20の制御部21により距離値Aの算出を行うとよい。
また以上では、赤外線距離センサ30aは、距離として測距信号値xを出力する場合について説明したが、距離として上述の方法で算出された距離値Aそのものを出力するように構成してもよい。
次に図13のブロック図を参照して、PSDを用いた赤外線距離センサ30bについて説明する。赤外線距離センサ30bは、就寝者2に光束を照射する光照射手段としての赤外光照射部31b、赤外光受光部32b、赤外線距離センサ30b全体を制御するセンサ制御部33bを含んで構成されている。またセンサ制御部33bは、制御装置20の制御部21内(図4参照)に備えるようにしてもよい。
赤外光照射部31bには、赤外LED34bと照射レンズ35bとが備えられており、赤外LED34bから照射された赤外光の光束は照射レンズ35bを介して細い平行光束のビーム光として就寝者2に照射される。赤外光受光部32bは、赤外光照射部31bにより就寝者2上に生成される光照射パターンの像を結像する結像光学系としての受光レンズ37bと、受光レンズ37bによる結像位置近傍に配置され、結像した光照射パターンの像による結像パターン光を受光する受光手段としての1次元のPSD36とを有している。さらに、赤外線距離センサ30bは、PSD36上に結像される結像パターン光の結像位置に基づいて、就寝者2までの距離に対応する結像パターンの結像位置情報を出力するように構成された位置情報出力装置としての位置情報出力部39bを有している。位置情報出力部39bは、センサ制御部33b内に備えられている。ここでは、赤外光照射部31aと同様に、光束はビーム光であり、光束による光照射パターンはビーム光スポットである。そして結像パターンはビーム光スポットの像として説明する。
受光レンズ37bは、照射された波長帯域の光のみを透過させるコーティングが施されている。従って、外乱光の影響が少なく位置検出をすることができる。また以上では光束は細い平行光束としたが、これは実質的に平行光束であればよく、ある程度拡散あるいは収束した光束であってもよい。この場合は、後述のPSD36上のパターン光の大きさが適当であって、重心位置の補足に差支えない程度であればよい。
図14を参照して、PSD36についてさらに説明する。図14(a)は、模式的平面図であり、図14(b)は、模式的正面断面図である。図14(a)に示すように、PSD36は、結像パターンよりも大きい受光面積を有しており、また距離変化による結像パターンの移動方向(図中左右方向)に、必要な測距範囲内で、結像パターンの移動により結像パターンがはみ出さない程度の長さを有している。
また図14(b)に示すように、PSD36は、平板状のシリコンの結像パターン光を受光する側の表面にP層36a、P層36aと反対側の表面にN層36b、そしてP層36aとN層36bとの中間にあるI層36cから構成されている。PSD36に結像された結像パターンは、光電に変換され、光電流としてP層36aの両端に付けられた電極36dからそれぞれ分割出力されるように構成されている。
赤外線距離センサ30bは、PSD36の両端から出力される光電流の出力信号を位置情報出力部39bにより演算することにより結像パターンの結像位置情報として結像パターンの重心位置を出力するので、後述のように、就寝者2までの距離を測定することができる。また、照射されるビーム光は、赤外線であるので人間には見えず、不快感を与えることがない。
赤外線距離センサ30bのセンサ制御部33bは、PSD36により結像パターンの重心位置を検出する際に、外乱光と区別するために、変調を行う。変調は、前述の赤外線距離センサ30aで説明した変調と同様な動作である。センサ制御部33bは、信頼性を確保するために、変調動作を複数回行ない、その平均出力値を結像パターンの結像位置情報である重心補足信号(以下測距信号という)とする。センサ制御部33は、測距信号の値である測距信号値xを距離として制御装置20へ出力する。また、対象とする就寝者2までの距離値Aは、図12で説明した方法と同様にして、この測距信号値xに基づいて、三角法を用いて算出することができる。また、赤外線距離センサ30aと同様に、赤外線距離センサ30bは、距離として測距信号値xを出力する場合について説明したが、距離として距離値Aそのものを出力するように構成してもよい。
このように、赤外線距離センサ30bは、PSD36を用いることで、単純に構成できるので、安価で、単純な監視装置とすることができる。
各々の赤外線距離センサ30から出力される測距信号値xは、前述のように変調されているが、それでも僅かに外乱光の影響が残っており、変動をしている。この変動を吸収するために、時系列的に取得した測距信号値xを平均して、その時点のデータとする。このデータは、測距信号値xから算出した距離値Aの平均値でもよいし、後で説明する距離値Aから算出した高さH1の平均値である高さH2や奥行L1の平均値である奥行L2でもよい。平均のとり方は、色々と考えられるが、予め一定の時間間隔を定め、その間のデータを平均化してもよいし、予め、平均化する個数を定め、時系列的に移動平均値を算出する方法でもよい。前者の場合には、データ数が少なくて済み、大まかな状態把握に適する。後者の場合には、データ数は多少多くなるが、細かい挙動を追うことができる。
以上のように、監視装置1の距離センサ11として、上述のいずれの距離センサを用いても、就寝者2の距離を取得できる。即ち就寝者2の距離を測定できる。以下、赤外線距離センサ30を距離センサ11として説明する。
図4に戻って、さらに監視装置1を説明する。制御装置20は、制御部21を備えている。制御部21は、監視装置1全体を制御している。また複数の距離センサ11は制御部21に接続され、制御されている。制御部21には、記憶部24が接続されており、算出された情報等のデータが記憶できる。さらに、記憶部24内には、距離センサ11から出力された距離を時系列で保存する距離保存部25が備えられている。ここでの距離保存部25に時系列的に保存された距離は、監視時点の過去の時点の距離であればよく、例えば1コマ分だけ前に取得された距離であってもよい。
また制御部21には、監視装置1を操作するための情報を入力する入力装置27、監視装置1で処理された結果を出力する出力装置28が接続されている。入力装置27は例えばタッチパネル、キーボードあるいはマウスであり、出力装置28は例えばディスプレイやプリンタである。本図では、入力装置27、出力装置28は制御装置20に外付けするものとして図示されているが、内蔵されていてもよい。また、入力装置27は、例えば監視の開始や解除を行なえるスイッチ、出力装置28は、例えば動作インジケータとしてのLEDとしてもよい。このようにすると、監視装置1を単純に構成できる。
さらに、監視装置1は、警報を発する警報手段としての警報装置40を備える。警報装置40は、制御部21に接続されている。警報装置40は、後述の判断部23から送信される警報信号を受信することで警報を発するように構成されている。即ち、警報装置40は、例えば判断部23により就寝者2が危険な状態にあると判断された際に警報を発するように構成される。また、警報装置40は、監視装置1の故障等の異常が発生した場合にも警報を発するように構成してもよい。このようにすることで、就寝者2が危険な状態にあることを第三者に逸早く知らせることができるので、危険な状態に迅速に対応できる。即ち、監視装置1は、監視の信頼性を高めることができる。本図では、警報装置40は、外付けとして図示してあるが内蔵としてもよい。
また、制御装置20は、警報装置40が警報を発した場合に、インターフェイス29を介して、警報を発した旨を外部に通報するように構成するとよい。外部とは、例えば監視装置1を管理している場所、個人宅の場合には例えば居間、あるいは消防署である。また通報は、例えば音声、文字、記号、室内照明を含む光の強弱又は、振動などによるものである。またインターフェイス29は、一般電話回線、ISDN回線、PHS回線、または、携帯電話回線などの通信回線に対して接続する機能を備えている。また、個人宅では、居間や他の寝室等の別の部屋への通報は、無線や電力線通信を介して行なうと良い。さらに制御装置20は、音声出力機能を備えるようにし、インターフェイス29を介して、第三者に就寝者が危険な状態にあることを音声で通報するようにしてもよい。
制御装置20は、監視領域50内または、監視領域50とその近辺に存在する就寝者2を検知する存在検知手段としての人感センサ41を備えている。人感センサ41は、例えば熱線により人体の存在を検知できる焦電センサ、超音波を用いて存在を検知する超音波センサ、画像処理による動きセンサ等を用いることができる。人感センサ41には、焦電センサを用いることが好ましい。焦電センサを用いることで、監視装置1を小型で安価に構成できる。人感センサ41は、検出レベルの絶対値では環境変化と就寝者2の存在の有無による変化との区別がつきにくいため、検出レベルの変動を捉える動きセンサとして動作する。
人感センサ41は、筐体10に設置することが好ましい。このようにすると、監視装置1の設置作業が容易になる。また、監視装置1の小型化もできる。また人感センサ41の取り付け位置は、上記に限られるものではなく、監視領域50内または、監視領域50とその近辺に存在する就寝者2を検知できる位置であればどこでもよい。
監視装置1は、さらに人感センサ41を備えることで、例えば人感センサ41により、監視領域50内または、監視領域50とその近辺に就寝者2の存在を検出できない場合に、監視装置1の電源を切ることができるので、節電できる。言い換えれば、即ち必要なときに監視装置1の電源を入れることができ、節電できる。また、就寝者2の動きが距離センサ11で検出されないとき、就寝者2が存在しないのか、存在しているのか、動きがないのかを判断する助けとなる。
同様に、就寝者2が存在しているか否かを検出する装置として感圧センサ43を設置してもよい。感圧センサ43は、例えば荷重センサまたは圧力センサである。感圧センサ43は、ベッド6の就寝者2の荷重がかかる位置、例えば就寝者2の上半身側のベッド6上あるいは、上半身側のベッド6の脚部(矩形のベッド6の四隅にある)等の位置に配置するとよい。この場合には、感圧センサ43からの出力を利用することにより、例えば在床、離床の判断の信頼性が増す。
さらに、制御部21内には、距離センサ11から出力される距離に基づいて距離関連値を演算する演算装置としての演算部22と、演算された距離関連値に基づいて就寝者2の形状変化の有無を判断する判断装置としての判断部23とを備えている。
ここで、演算部22により演算された距離関連値は、距離の時間変化又はこの時間変化の絶対値である。なお本実施の形態では、距離関連値は、距離の時間変化の絶対値の場合で説明する。また、就寝者2の形状変化は、例えば連続的形状変化である。さらに、連続的形状変化は、周期的変化である。また周期的変化は、例えば就寝者2の呼吸である。
距離に基づいて時間変化を演算するとは、距離センサ11から一定時間間隔で距離を取得することにより、監視時点の過去の時点に取得された距離と監視時点に取得された距離との差分を取ることにより、過去所定期間内の距離変化量を得ることである。言い換えれば、距離センサ11より取得された距離と、距離保存部25に時系列的に保存された距離との差を取ることにより、過去所定期間内の距離変化量を得ることである。また、距離に基づいて時間変化を演算するとは、距離センサ11から一定時間間隔で距離を取得することにより、過去所定期間内に得られた距離の最大値と距離の最小値との差(Max−Min)をとることにより、過去所定期間内の距離変化量を得ることであってもよい。ここで、前者は、周期的変化の検出に適している。後者は、後述の就寝者2の呼吸か、体動か、起きあがりかを判断する場合に適している。以下、後者の距離変化量を用いる場合で説明するが、前者の距離変化量を用いてもよく、さらに、前者と後者との両方の距離変化量を用いるようにしてもよい。この場合には、後述の判断部23により、それぞれの距離変化量を選択して用いるようにする。なお、周期的変化の検出は、必ずしも距離の差分を使うを使う必要はなく、時系列的に取得した距離から周波数解析等の手段により検出することも可能である。
ここで、距離センサ11から距離を取得する時間間隔は、例えば0.1〜3秒程度、好ましくは、0.1〜0.5秒程度とするとよい。但し、取得した距離にランダムノイズがのっているような場合には、より短い時間間隔で取得して、平均化またはフィルタリングの処理を行なうことが有効である。また、ここでの所定期間は、30秒程度、さらに好ましくは10〜20秒程度に設定するとよいが、さらに短い時間、例えば3秒程度に設定してもよい。所定期間を長めに設定した場合には、後述の判断部23による就寝者2の起きあがりの判断に有効である。所定期間を短めに設定した場合は、同様に就寝者2の体動の判断に有効である。
また、演算部22は、第1の所定期間と、第1の所定期間より短い期間の第2の所定期間とを設定し、第1の所定期間の距離変化量と第2の所定期間の距離変化量との両方を得るようにするとよい。この場合には、上記と同様に、第1の所定期間を30秒程度、さらに好ましくは10〜20秒程度に設定し、第2の所定期間を1〜10秒程度、さらに好ましくは3〜6秒程度に設定する。このようにすることで、判断部23による判断をより正確に行うことができる。また、以上では、所定期間は時間として説明したが、取得した距離の数(例えば10コマ分)としてもよい。また、時間変化の演算は、距離センサ11毎に行なう。即ち、距離センサ11毎に距離変化量を得る。
演算部22により、距離に基づく時間変化を演算することで得られた距離変化量は、時間方向に並べることで波形パターンを形成する。
図15に、時間変化が形成する波形パターンの例を示す。図示は、就寝者2の正常な動き、例えば図中左側から、着床、安静、寝返り、安静、起きあがり、離床の動きに対応する波形パターンである。また図示は、所定期間を15秒程度に設定した場合を示している。
以上では、距離関連値は、距離の時間変化特にこの時間変化の絶対値として説明したが、基準位置からの距離そのものとしてもよい。この場合には、距離に基づいて距離関連値を演算するとは、一定時間間隔で、基準位置からの距離を求めることである。そして求められた距離は、時間方向に並べられる。ここで、基準位置は、例えば、ベッド6上面であるが、標準的な体型の就寝者2の胸部又は腹部上面の位置として予め設定されるものであってもよい。基準位置は、距離センサ11から基準位置までの距離として、距離保存部25内に保存するとよい。このようにすると、後述の判断部23による起き上がりの判断が容易に行なえる。
このようにして、演算部22による演算により、距離関連値は、波形パターンを形成する。
図16に、距離関連値が形成する波形パターンの例を示す。この例は基準位置を標準的な体型の就寝者2の胸部上面の位置に設定した場合である。図示は、図15と同様な就寝者2の正常な動きに対応する波形パターンである。
以下、図15を適宜参照して、距離関連値は、距離の時間変化の場合で説明する。
また、演算部22は、距離センサ11の出力から過去一定回数取得した、または過去一定期間内に取得した距離の移動平均値、または期間平均値を算出するように構成してもよい。またこの場合には、演算部22により距離の時間変化を演算する際に、算出された距離の移動平均値、または期間平均値を、距離センサ11から出力された距離と同様に扱うものとする。言い換えれば、演算部22は、この移動平均値、または期間平均値に基づいて距離の時間変化を演算する。さらにこの移動平均値、期間平均値は、距離センサ11で算出するように構成してもよい。言い換えれば、距離センサ11は、測定した距離の移動平均値、または期間平均値を算出し、この算出結果を距離として出力するように構成してもよい。このようにすることで、ランダムノイズや窓から差し込む日光のちらつきなどによる突発的なノイズが軽減でき、ピーク位置の誤判定やゼロクロス位置(符号が反転する交点)の誤判断を軽減することができる。
さらに、演算部22は、距離センサ11から出力される距離のうち、所定の範囲にある距離を入力するように構成してもよい。これは、例えばバンドパスフィルタ、ローパスフィルタにより容易に実施できる。このようにすることで、例えば後述の第1の閾値Th1xを低めに設定することができ、後述の判断部23による就寝者2の形状変化の有無の判断をより正確に行うことができる。
判断部23について説明する。判断部23には、第1の閾値Th1x、第1の閾値Th1xより大きい値である第2の閾値Th2x、第2の閾値Th2xより大きい値である第3の閾値Th3xが設定されている。第1の閾値Th1xは、0.1〜3mm程度、さらに好ましくは0.1〜0.5mm程度の距離変化量に相当する値である。第2の閾値Th2xは、3〜20mm程度、さらに好ましくは5〜10mm程度の距離変化量に相当する値である。第3の閾値Th3xは、300〜700mm程度、好ましくは400〜600mm程度、さらに好ましくは450〜550mm程度の距離変化量に相当する値である。また、各閾値は、対象点5毎即ち距離センサ11毎に変えて設定してもよい。このようにすることで、監視装置1は、距離センサ11毎に適切な上記各閾値を設定でき、判断精度を向上できる。
また、図16のように基準位置を設定した場合には、各閾値は、第1の閾値Th1xが、基準位置から0.1〜3mm程度、さらに好ましくは0.1〜0.5mm程度の距離に相当する値である。第2の閾値Th2xが、基準位置から3〜20mm程度、さらに好ましくは5〜10mm程度の距離に相当する値である。第3の閾値Th3xが、基準位置から300〜700mm程度、好ましくは400〜600mm程度、さらに好ましくは450〜550mm程度の距離に相当する値である。なお、この場合に、第1の閾値Th1x、第2の閾値Th2xについては、光束が就寝者2上に入射した位置により、基準位置の補正が必要となるが、第3の閾値Th3xについては常に一定の基準位置(例えばベッド6上面)でよく、非常に使い易い。
判断部23は、距離の時間変化が、第1の閾値Th1x以上であって、第2の閾値Th2x以下のとき、就寝者2に第1の形状変化があったと判断するように構成されている。また、判断部23は、距離の時間変化が、第2の閾値Th2xより大きく、第3の閾値Th3x以下のとき、就寝者2に第1の形状変化とは異なる第2の形状変化があったと判断するように構成されている。第1の形状変化は、本実施の形態では、就寝者2の呼吸、異常呼吸、痙攣等を含む小さな体動である。これは、例えば図15中、153又は154の状態である。第2の形状変化は、本実施の形態では、就寝者2の寝返り等の大きな体動である。これは、例えば図15中、155の状態である。
また、判断部23は、距離の時間変化の周期的変化を検出したときに第3の形状変化があったと判断するように構成されている。また、この判断は、第1の形状変化があると判断している状態が継続している間に行なうことが好ましい。第3の形状変化は、本実施の形態では、就寝者2の正常呼吸、周期的変化をする異常呼吸を含む呼吸である。これは、例えば図15では、154の状態である。なお、図15に示す例では、所定期間を15秒程度にとっているので、呼吸は周期的変化として現れていない。
また判断部23は、上記周期的変化の周期、振幅を評価して、第3の形状変化があったと判断するように構成することが好ましい。周期的変化の周期、振幅を評価するとは、例えば同期性を調べることである。即ち、判断部23は、上記周期的変化と規定の変化との同期性を調べ、同期しているときに第3の形状変化があったと判断する。規定の変化とは、例えば図17を参照して後で説明する正常呼吸や異常呼吸の波形パターンである。このようにすることで、就寝者2の呼吸の有無の判断精度を向上させることができ、また、制御部21による演算の量を低減することができる。
同期性を調べるとは、高速フーリエ変換演算等を用いて距離の時間変化の周期(周波数)の解析を行い、対象とする周期範囲(例えば呼吸の周期範囲)に存在するこの周期のスペクトルのピークが、一定以上の先鋭度であるかを評価することである。ピークの先鋭度は、対象とする周期範囲内での各スペクトルのパワーの総和または平均値に対する距離の時間変化の周期のパワーの比で評価できる。
判断部23は、検出された周期的変化に基づき、周期的変化の周期を監視するように構成されている。周期的変化の周期を監視するとは、例えば就寝者2の単位時間当たり呼吸数を監視することである。
判断部23は、距離の時間変化が、第3の閾値Th3xを越えたとき、就寝者2に第4の形状変化があったと判断するように構成される。第4の形状変化は、本実施の形態では、第2の形状変化よりさらに大きい就寝者2の動き、例えば起きあがり等の動きである。例えば図15では、152の状態である。
また、判断部23は、距離の時間変化が第3の閾値Th3xを越えたのちに、第1の所定時間内に就寝者2の形状変化を検出できないとき、就寝者2が監視領域50の外に出たと判断するように構成されている。これは、例えば図15中右側、152の状態から151の状態に移行した場合である。第1の所定時間は、例えば10〜60秒程度である。このとき、さらに、152の状態から151の状態に移行した後、一定時間人感センサ41が就寝者2の存在を検出し、その後存在を検出できなくなったときに、就寝者2が監視領域50の外に出たと判断するようにしてもよい。このように、判断部23は、人感センサ41による就寝者2の存在の有無の検出と組み合わせて判断するようにしてもよい。
また、判断部23は、距離の時間変化が第3の閾値Th3xを越える際に、ベッド6の外周部の対象点51a、51b、51c、54a、54b、54c(図3参照)に対応する距離センサ11から得られた距離の時間変化が、ベッド6の中央部の対象点52a、52b、52c、53a、53b、53c(図3参照)に対応する距離センサ11から得られた距離の時間変化よりも変化が大きいときに、就寝者2が監視領域50の外に出たと判断するようにしてもよい。このようにすると、例えば時間に関係無く、離床を判断できる。これは、就寝者2が離床する際には、基本的にベッド6の外周部分での動きが、中央部分よりも大きくなるからである。また、このようにすることで、ベッド6から就寝者2が離床するときに比較的時間がかかる場合でも、離床を判断できる。
また判断部23は、就寝者2の形状変化があると判断した状態が第2の所定時間継続したときに、就寝者2が監視領域50内にあると判断するように構成される。即ち、就寝者2はベッド6に在床していると判断する。これは、例えば図15中左側、151の状態から152、153、154、155のいずれかの状態に移行し、この状態が第2の所定時間継続した場合である。第2の所定時間は、例えば30秒〜60秒程度とする。継続する状態は、上記の1つであってもよいし、複数の状態が順次生じてもよい。
また、上記の判断部23による離床、在床の判断は、人感センサ41による就寝者2の存在の検出を条件としてもよい。これは、図15中、156の状態である。
判断部23は、距離の時間変化が、第1の閾値Th1xより小さいとき就寝者2に形状変化が無いと判断するように構成され、就寝者2が監視領域50内にあると判断した後、さらに形状変化が無いと判断した状態が第3の所定時間継続したとき、就寝者2が危険な状態であると判断するように構成されている。なお、本実施の形態では、第1の閾値Th1xを設定しているのは、信号のノイズを除去するためである。
これは、就寝者2が離床したと判断していないのにも拘らず、形状変化が無いと判断している状態が継続しているので、例えば就寝者2の呼吸が停止している、または就寝者2がベッド6から転落していると推測できるためである。また、図15では、例えば154の状態から152の状態を経ずに151の状態に移行した場合である。また、第3の所定時間継続したときとしたのは、就寝者2が正常な場合でも短時間呼吸が停止することがあるためである。第3の所定時間は、例えば60秒程度とする。
判断部23は、第2の形状変化があると判断した状態が第4の所定時間継続したとき、就寝者2が危険な状態であると判断するように構成されている。これは、就寝者2の大きな体動が短時間ではなく、継続している場合、就寝者2が何らかの理由で苦しんで暴れているような状況が推測できるためである。図15では、155の状態が第4の所定時間継続した場合である。この判断は、例えば就寝者2が苦しんでいる暴れているときに警報を出すためのものである。第4の所定時間は、例えば60秒程度とする。
判断部23は、ベッド6の外周部の対象点51a、51b、51c、54a、54b、54c(図3参照)で第2の形状変化があったと判断したのち、形状変化が無かったと判断したとき、就寝者2がベッド6から転落したと判断するように構成してもよい。
また、判断部23は、就寝者2が監視領域50の外に出たと判断したときに、就寝者2が危険な状態であると判断するように構成してもよい。即ち、就寝者2が離床したと判断したときに危険な状態であると判断するように構成する。これは、監視装置1を、例えば病院や介護施設に設置した場合に、安静の必要がある就寝者2の勝手な離床、あるいは徘徊を判断するためである。また、監視装置1を個人宅(一般家庭)に設置した場合で、上記の判断が不要であれば、上記の判断部23による判断は行わないようにするとよい。
また、判断部23は、就寝者2の呼吸数が規定の範囲にないときに、就寝者2が危険な状態であると判断するようにするとよい。ここでの規定の範囲は、例えば1分間に10〜25程度とする。
また判断部23は、就寝者2の呼吸があったと判断しているときに、例えば、短時間に波形パターンの持つ周期が乱れたとき、又は波形パターンの持つ周期が急激に変化したときには、就寝者2が危険な状態にあると判断するようにするとよい。これは、例えば、自然気胸、気管支喘息などの肺疾患、うっ血性心不全などの心疾患、または、脳出血などの脳血管疾患であると推測できるためである。
さらに、判断部23は、就寝者2が危険な状態であると判断した際に、警報装置40に警報信号を送信するように構成されている。
以上で説明した判断部23による就寝者2の形状変化の有無の判断は、複数の距離センサ11にそれぞれ対応する距離の時間変化から総合的に形状変化の有無の判断を行うようにすることが好ましいが、例えば、特に対象点5の指定が必要ない場合には、複数の距離センサ11のうち、1つの距離センサ11を選択し、その距離の時間変化に基づいて形状変化の有無の判断を行ってもよい。
複数の距離センサ11のうち、1つの距離センサ11を選択する場合には、例えば、複数の距離センサ11の中から過去の直近の一定時間における距離の時間変化が最大の距離センサ11を選択し、選択された距離センサ11に対応する距離の時間変化に基づいて、就寝者2の形状変化の有無を判断するようにするとよい。この場合には、距離センサ11を選択する方法として、就寝者2の過去数回程度の呼吸周期(数秒から10数秒程度)の間で最も距離の時間変化の変動の大きい距離センサ11を選択する方法が有効である。これは複数の距離センサ11のそれぞれに対応する対象点5の位置によって、対象点5に対応する距離の時間変化に反映される就寝者2の形状変化の反映のされ方が異なる。このため、判断部23は、第3の形状変化(呼吸)のような微小な変化を検出するためには、それを的確に反映している距離の時間変化に対応する距離センサ11を選択することが有効であるからである。
また、時間変化の大きい距離センサ11を1つないし複数選択して、選択した距離センサ11毎にそれぞれ周波数解析を行ない、周波数スペクトルのピークが最も明瞭になっている距離センサ11の時間変化を選択してもよい。
このように選択した距離センサ11は、就寝者2の第2の形状変化、例えば寝返りを打ったりして動くことにより変わる可能性があるが、このような場合には、安静状態になってから数秒程度で、最も距離の時間変化の変動の大きい距離センサ11が再び選択され、例えば就寝者2の呼吸が検出されるようになる。この場合、距離の時間変化が形成する波形パターンの1周期が1呼吸に対応することになる。なお、呼吸の検出には、全ての距離センサ11から取得した距離に対応する全ての時間変化の総和を用いてもよい。この場合には、位相の異なるものも加えられるため、変化が相殺されてしまう場合もあるが、上述の最大の時間変化と比較して、変化が大きい方を採用するようにするとよい。あるいは、周波数スペクトルを比較して、ピークが明瞭な方を採用すればよい。
さらに判断部23は、複数の距離センサ11に対応する各々の距離の時間変化より、就寝者2が、移動しているのかを判断することもできる。この場合には、各対象点5の距離の時間変化の推移から判断する。例えば、外周部の対象点51a、51b、51c(図3参照)で距離の時間変化が大きく変動したのち、中央部の対象点52a、52b、52c(図3参照)で距離の時間変化が大きく変動した場合には、就寝者2がベッド6の外周部から中央部に移動していると判断できる。さらに、上記のような変動の時間差から移動速度を算出することも可能である。
図17を参照して、正常および異常な呼吸の波形パターンの例を説明する。正常呼吸の波形パターンは、図17(a)に示したような、サインカーブ(sin)のような波形パターンである。異常な呼吸の波形パターンは、例えば、チェーン−ストークス(Cheyne−Stokes)呼吸、中枢性過換気、失調性呼吸、カスマウル(Kussmul)の大呼吸など、生理学的に体内に障害が発生している場合に生じると考えられている呼吸の波形パターンである。以上に挙げた異常な呼吸の波形パターンは、例であり、これに限られるものではない。
また、監視装置1は、記憶部24内に、上記のような、就寝者2の正常な呼吸の波形パターン及び異常な呼吸の波形パターンを保存する呼吸パターン保存部26を備えてもよい。このようにすると、就寝者2の呼吸がどのような波形パターンに属するかを容易に判断できる。さらに、呼吸パターン保存部26には、痙攣している状態の波形パターンを記憶部24に保存しておくとよい。このようにすると、判断部23は、第1の形状変化があったと判断した際に、就寝者2が痙攣している状態と検出することもできる。
図17(b)に、Cheyne−Stokes呼吸の波形パターンを、図17(c)に中枢性過換気の呼吸の波形パターンを、図17(d)に失調性呼吸の波形パターンをそれぞれ示す。
さらに図18に、上記の異常な呼吸の波形パターンが発生した場合の、病名または疾患箇所について示す。
判断部23は、上記それぞれの呼吸の波形パターンの周期(周波数)、出現回数、深浅が異なることを利用して、距離の時間変化の波形パターンが、上記いずれの呼吸の波形パターンに属するかを判別する。さらに、判断部23は、距離の時間変化が、上記異常な呼吸の波形パターンに属すると判定したときに、就寝者2が危険な状態にあると判断する。また、この判断結果を、制御部21により出力装置28から出力するようにしてもよい。出力される内容は、検出された就寝者2の呼吸数や動きの頻度、異常な呼吸パターンの名称やその呼吸の原因となると考えられる病名、疾患器官、疾患箇所などである。
また以上では、距離センサ11は、複数の場合で説明したが、1個であってもよく、その場合には、監視装置1を単純化でき、小型化できる。また監視装置1は、処理する距離センサ11からの出力の数が減少するので高速処理ができる。
また、監視装置1は、距離センサ11の他に、感圧センサ43(図4参照)を併用することで、感圧センサ43からの出力を利用することにより、例えば在床、離床の判断の信頼性が増す。
以上のような本実施の形態によれば、就寝者2の呼吸を確実に検出することができるだけでなく、例えば在床、離床、呼吸停止などの就寝者2の変化を判断することができる。しかも、カメラを用いた画像処理を使用していないので、心理的に違和感もない上に、簡易な装置で高速処理が可能である。さらに、就寝者2が危険な状態にあると判断したときに、警報を発するので、迅速な救急対応が可能である。これは、監視装置1を高齢者や病人を対象に使用する場合には非常に有利である。