JP2008106723A - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多重放電に際してその多重放電に十分なエネルギを点火コイルの一次側に供給し、しかも点火プラグにおける点火放電を安定化させる。
【解決手段】点火コイル21の一次側コイル21aの一端には昇圧回路14とコンデンサ15とが接続され、他端にはIGBT22が接続されている。二次側コイル21bには点火プラグ23が接続されている。IGBT22を繰り返しオン/オフすることにより昇圧回路14やコンデンサ16から一次側コイル21aに断続的に電流が流れ、それにより二次側コイル21bに二次電流が繰り返し発生して多重放電が実施される。昇圧回路14は、並列接続されてなる複数の昇圧コイルと該複数の昇圧コイルの通電を各々オン/オフするMOSFETとを有するものであり、点火制御回路30は各昇圧コイルに流れる総和電流に基づいてMOSFETのオン/オフを制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】点火コイル21の一次側コイル21aの一端には昇圧回路14とコンデンサ15とが接続され、他端にはIGBT22が接続されている。二次側コイル21bには点火プラグ23が接続されている。IGBT22を繰り返しオン/オフすることにより昇圧回路14やコンデンサ16から一次側コイル21aに断続的に電流が流れ、それにより二次側コイル21bに二次電流が繰り返し発生して多重放電が実施される。昇圧回路14は、並列接続されてなる複数の昇圧コイルと該複数の昇圧コイルの通電を各々オン/オフするMOSFETとを有するものであり、点火制御回路30は各昇圧コイルに流れる総和電流に基づいてMOSFETのオン/オフを制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関の点火制御装置にかかり、特に1回の燃焼行程内で点火プラグに点火放電を複数回生じさせる多重放電技術に関する。
火花点火式の内燃機関にあっては、点火コイル等からなる点火装置の駆動によって点火プラグに点火放電が生じ、その点火放電により、燃焼室に導入された燃料が燃焼に供される。ここで、燃料の燃焼状態を良好なものにするべく1回の燃焼行程内で点火プラグに点火放電を複数回生じさせる、いわゆる多重放電技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、容量放電型点火装置と多重放電点火装置とを組み合わせた点火装置が示されている。すなわち、バッテリとエネルギ蓄積コイルと第1のスイッチング素子とを直列に接続するとともに、エネルギ蓄積コイルと逆流防止手段と点火コイルの一次側コイルと第2のスイッチング素子とを直列に接続している。また、エネルギ蓄積コイルには逆流防止手段を介してコンデンサを接続し、点火コイルの二次側コイルには点火プラグを接続している。そしてかかる構成において、エネルギ蓄積コイル及びコンデンサの放電により、点火コイルの一次側コイルを通電して点火プラグに初回の点火放電を生じさせる。またその後、第1及び第2のスイッチング素子を一定周期で交互にオン/オフし、第2のスイッチング素子のオフ時にエネルギ蓄積コイルを充電した後、第1のスイッチング素子をオフしてエネルギ蓄積コイルのエネルギによりコンデンサを充電する。これにより、多重放電期間において点火コイルの二次側コイルに正逆両方向に電流を流し、点火プラグに点火放電を繰り返し生じさせて多重放電を実施している。
特許第2811781号公報
ところで、近年のエンジンにおいては、燃焼状態を改善するために筒内ガス流速を早める等の改良が行われる場合がある。かかる場合、上記特許文献1を含め既存の多重放電点火システムでは、点火プラグ周辺のガス流速が大きいことに起因して多重放電の途中で点火放電が消失するおそれが生じる。その対策として、一次側コイルに接続される電源系にDCDCコンバータ等の昇圧回路を設ける構成が考えられる。しかしながら、昇圧回路では個体差や経時変化等によりコイルインダクタンス等にばらつきが生じ、その結果点火コイルの一次側コイルに供給されるエネルギに過不足が生じると考えられる。一次側コイルへの供給エネルギに過不足が生じると、それが原因で点火プラグにおける火花放電が不安定になる等の問題が生じるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多重放電に際してその多重放電に十分なエネルギを点火コイルの一次側に供給し、しかも点火プラグにおける点火放電を安定化させることができる内燃機関の点火制御装置を提供することである。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
本発明における内燃機関の点火制御装置は、点火コイルの一次側コイルに、電源電圧を昇圧する昇圧回路と点火用スイッチング素子とを接続するとともに、同点火コイルの二次側コイルに点火プラグを接続し、前記点火用スイッチング素子を繰り返しオン/オフすることにより前記昇圧回路から前記一次側コイルに断続的に電流を流し、それにより前記二次側コイルに二次電流を繰り返し発生させて多重放電を実施するものである。そして、請求項1に記載の発明では、前記昇圧回路に、並列接続されてなる複数の昇圧素子と該複数の昇圧素子の通電を各々オン/オフする昇圧用スイッチング素子とを設けており、前記複数の昇圧素子に流れる総和電流に基づいて前記昇圧用スイッチング素子のオン/オフを制御する。
要するに、点火プラグによる点火に際し安定した火花放電を生じさせるには、一次側コイルに対して高レベルの電気エネルギを供給する必要があり、その一手段としてDCDCコンバータ等からなる昇圧回路が用いられる。また、昇圧回路として複数の昇圧素子を並列接続した構成が用いられ、複数の昇圧素子を用いることで供給エネルギを増大させることができる。ここで、複数の昇圧素子を用いた構成では、個体差や経時変化等により各昇圧素子の特性が相違すると、各昇圧素子をいずれも同じ時間だけ昇圧動作させたとしても個々に昇圧レベルが相違する。すると、一次側コイルに供給される電気エネルギの過不足が生じる。このとき、供給エネルギが過少であると点火プラグでの点火放電が不安定になり、供給エネルギが過多であると無駄なエネルギ消費が生じる。この点本発明では、複数の昇圧素子に流れる総和電流に基づいて昇圧用スイッチング素子のオン/オフを制御するため、仮に複数の昇圧素子に特性のばらつきが生じていても、それに関係なく供給エネルギの過不足が解消される。以上により、多重放電に際してその多重放電に十分なエネルギを点火コイルの一次側に供給し、しかも点火プラグにおける点火放電を安定化させることができる。
請求項2に記載の発明では、前記複数の昇圧素子は、多重放電が行われる期間中、同時に通電がオン/オフされるものとしている。この場合、複数の昇圧素子が同時にオンされることで、昇圧回路において十分量の総和電流が流れ、所望とする電気エネルギの供給が可能となる。
請求項3に記載の発明では、複数の昇圧素子の電流経路を統合してその統合部分に電流検出用素子を設けている。そして、昇圧制御手段は、前記電流検出用素子による電流検出結果に基づいて前記総和電流を算出する。この場合、複数の昇圧素子の電流経路を統合し、その統合部分で電流検出を行うことにより、昇圧素子のばらつきに関係なく総和電流を適正に検出できる。また、複数の昇圧素子について個々に通電電流を検出する場合に比べて、検出回路の簡素化を実現することができる。
請求項4に記載の発明では、複数の昇圧素子に流れる総和電流が所定のしきい値に達した時に前記昇圧用スイッチング素子をオフに制御する(すなわち、昇圧素子の通電を遮断する)。この場合、昇圧回路から供給されるエネルギ量を適正に管理でき、常に十分な供給エネルギが確保できる。
請求項5に記載の発明では、昇圧回路と一次側コイルとの中間点に、点火用エネルギを蓄えるためのコンデンサを接続し、一次側コイルの非通電時に昇圧回路からの給電によりコンデンサを充電する一方、一次側コイルの通電時にコンデンサから一次側コイルに対して放電を行わせるように構成した。本構成によれば、一次側コイルの通電に際し、コンデンサに蓄えられた点火用エネルギにより一次側コイルに大電流を流すことができ、それに伴い二次側コイルに十分な大きさの二次側高電圧を発生させることができる。また、一次側コイルが非通電になるたびにコンデンサに対して再充電が行われるため、多重放電の実施時にコンデンサの点火用エネルギを繰り返し使うことができる。なお本構成は、いわゆる容量放電型点火回路(CDI回路)を組み合わせた構成に相当する。
請求項6に記載の発明では、電源装置に、エネルギ蓄積コイルとエネルギ蓄積用スイッチング素子との直列回路を接続し、多重放電に際し、前記点火用スイッチング素子と前記エネルギ蓄積用スイッチング素子とを、一方がオンの時に他方がオフとなるようにして交互にオン/オフさせるように構成した。本構成によれば、多重放電の実施時にエネルギ蓄積コイルの充放電を繰り返し行うことができ、一次側コイルへの供給エネルギを十分に確保できる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、内燃機関である車載ガソリンエンジンを対象として点火制御システムを構築するものとしており、当該制御システムにおいては電子制御システム(以下、ECUという)からの点火指令に基づき点火プラグに放電火花を生じさせることととしている。先ずは、図1を用いて点火制御システムの概略構成を説明する。
図1において、直流電源であるバッテリ11には、エネルギ蓄積コイル12とIGBT13との直列回路が接続されるとともに、エネルギ蓄積コイル12と並列に昇圧回路14が接続されている。エネルギ蓄積コイル12はIGBT13がオンされることにより通電され、その通電時に電気エネルギが蓄えられる。昇圧回路14はDCDCコンバータ等により構成され、複数の昇圧素子(昇圧コイル)を繰り返しオン/オフすることによりバッテリ電圧(電源電圧)を例えば数10〜100V程度に昇圧する。ただし、昇圧回路14の詳細については後述する。
また、エネルギ蓄積コイル12とIGBT13との間にはダイオード15を介して容量放電用のコンデンサ16が接続されている。コンデンサ16は昇圧回路14にも接続されている。かかる場合、コンデンサ16は、エネルギ蓄積コイル12に蓄えられた電気エネルギ及び昇圧回路14からの供給エネルギ(出力電流)により充電される。
点火コイル21は、一次側コイル21aと二次側コイル21bとよりなり、エンジンの気筒ごとに設けられている。一次側コイル21aの一端には昇圧回路14とコンデンサ16との中間点が接続され、他端にはIGBT22が接続されている。このIGBT22がオン/オフされることにより、エネルギ蓄積コイル12や昇圧回路14、コンデンサ16から一次側コイル21aに電気エネルギが断続的に供給され、一次側コイル21aに一次側電流I1が流れる。また、二次側コイル21bの一端には点火プラグ23が接続され、他端には電流検出用の抵抗24が接続されている。一次側コイル21aの通電時にはその通電に伴い二次側コイル21bに二次側電流I2が流れ、点火コイル21からの放電エネルギの供給(高電圧の印加)によって点火プラグ23に点火放電が発生する。ここでは、コンデンサ16の充電電圧をVc、IGBT13に流れる通電電流をIe、昇圧回路14の出力電流をIout、一次側コイル21aに流れる一次側電流をI1(バッテリ11等の電源系から一次側コイル21aに流れる向きを正とする)、二次側コイル21bに流れる二次側電流をI2(二次側コイル21bから点火プラグ23に流れる向きを正とする)、としている。
点火コイル21及びIGBT22はエンジンの気筒数分設けられるのに対し、エネルギ蓄積コイル12や昇圧回路14、コンデンサ16等からなる電源系回路は各気筒共通で1つのみ設けられている。
ECU20は、周知の通りCPU、RAM、ROM等からなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することによってエンジンの各種運転状態を制御する。ECU20は、点火時期制御においてエンジン回転速度やアクセル操作量など、エンジン運転状態を表す運転状態情報を取得し、その運転状態情報に基づいて最適な点火時期を算出する。そして、その点火時期に応じて点火信号IGtを生成し、点火制御回路30に出力する。また、本点火制御システムでは、燃焼状態を良好なものにするために1回の燃焼行程内で点火プラグ23に点火放電を複数回生じさせる多重放電制御を実施する。このため、ECU20は、運転状態情報に基づいて多重放電期間を算出するとともにその多重放電期間を規定する多重期間信号IGwを生成し、点火制御回路30に出力する。
点火制御回路30は、ECU20より入力した点火信号IGt及び多重期間信号IGwに基づいて、IGBT13,22をそれぞれオン/オフをさせるための駆動信号IG1,IG2を出力する。詳しくは、点火信号IGtに従い、駆動信号IG1,IG2を出力してIGBT13,22をそれぞれオン/オフし、点火時期にて点火放電を生じさせる。その後、多重期間信号IGwによる多重放電期間の間、IGBT13,22を、一方がオンの時に他方がオフとなるようにして繰り返しオン/オフし、点火放電を繰り返し生じさせる。
ところで、エンジンの燃焼改善等を目的として、エンジン燃焼室(筒内)にて気流(スワール流、タンブル流等)を発生させる技術があり、こうして筒内気流を発生させる場合には、点火プラグ23近傍のガス流速が大きくなり、それが原因で点火放電が弱まり、場合によっては点火放電が消失するおそれがある。そこで本実施の形態では、多重放電時における点火放電の消失等を抑制すべく、二次側電流I2を逐次モニタするとともに、その二次側電流I2(絶対値)が「放電維持電流Ik」よりも小さくならないようIGBT13,22をオン/オフ制御することとしている。
ここで、放電維持電流Ikは、都度の筒内ガス流速に応じて設定されるのが望ましく、具体的には、筒内ガス流速に相関するエンジン運転情報(エンジン回転速度など)に基づいて設定される。つまり、筒内ガス流速はエンジン回転速度が大きいほど大きくなると考えられ、筒内ガス流速が大きくなることで点火放電の消失のおそれが生じる。故に、エンジン回転速度が大きいほど、放電維持電流Ikを大きくする。その他、スワール流、タンブル流等の制御パラメータである空燃比のリーン度合いに基づいて放電維持電流Ikが設定されても良い。この場合、空燃比のリーン度合いが大きいほど、放電維持電流Ikを大きくする。
次に、多重放電を実施する際の点火動作の概要について、図2のタイムチャートを用いて説明する。図2では、点火時期としてタイミングt11において初回の点火放電を生じさせ、多重放電期間としてタイミングt11〜t14の期間で放電を繰り返し生じさせている。なお本例では、一次側コイル21aの通電期間(IGBT22のオン期間)が二次側電流I2に基づいて制御され、エネルギ蓄積コイル12及びコンデンサ16の充電期間(IGBT13のオン期間)が一定時間で制御されるようになっている。
先ず点火時期前のタイミングt10において点火信号IGtがHレベルに立ち上げられると、それを受けてIGBT13がオンされ、IGBT13に通電電流Ieが流れてエネルギ蓄積コイル12が充電される。そして、点火時期であるタイミングt11において点火信号IGtがLレベルに立ち下げられると、IGBT13がオフされるとともにIGBT22がオンされる。これにより、エネルギ蓄積コイル12、昇圧回路14及びコンデンサ16から一次側コイル21aに電気エネルギが同時に供給され、二次側コイル21bに高電圧が誘起される。これに伴い点火プラグ23に点火放電が発生し、負の向きに二次側電流I2が流れる。
また、タイミングt11では多重期間信号IGwがHレベルに立ち上げられており、その多重期間信号IGwがHレベルとなる多重放電期間において昇圧回路14にて昇圧動作が行われる。これにより、昇圧回路14から数10A程度の出力電流Ioutが流れ、これが一次側コイル21aやコンデンサ16に供給される。IGBT22がオンされている期間においては、昇圧回路14から供給される出力電流Ioutにより一次側電流I1が図示の如く流れ、点火プラグ23に点火放電が発生し続ける。二次側電流I2は、点火プラグ23における点火放電によって電気エネルギが消費され、図示の如く次第に小さくなる。
タイミングt11以降、IGBT13,22が交互にオン/オフされ、点火プラグ23において点火放電が繰り返し発せられる。かかる場合、二次側電流I2(絶対値)が放電維持電流Ikまで低下したタイミングt12において、IGBT13がオンされるとともにIGBT22がオフされる。これにより、タイミングt12〜t13の期間では、エネルギ蓄積コイル12が再充電されるとともに、二次側コイル21bに逆起電力による二次側電流I2が流れる。また、同タイミングt12〜t13の期間では、昇圧回路14から供給される出力電流Ioutによりコンデンサ16が図示の如く充電される。
その後、タイミングt12から所定時間(一定時間)αが経過したタイミングt13では、IGBT13がオフされるとともにIGBT22がオンされる。これにより、エネルギ蓄積コイル12、昇圧回路14及びコンデンサ16から一次側コイル21aに電気エネルギが再び供給され、点火プラグ23に点火放電が生じる。
以後、多重期間信号IGwがLレベルに立ち下げられるまで、IGBT13,22のオン/オフ切替が繰り返し行われ、点火プラグ23に点火放電が繰り返し生じる。すなわち、一次側コイル21aの通電開始後(IGBT22のオン後)、二次側電流I2(絶対値)が放電維持電流Ikまで低下したタイミングで一次側コイル21aの通電が終了され(IGBT22がオフされ)、その後、所定時間αだけIGBT13がオン、IGBT22がオフされる。
タイミングt14において多重期間信号IGwがLレベルに立ち下げられると、その後、所定時間βだけ昇圧回路14の昇圧動作が継続して行われ、これによりコンデンサ16が所定電圧まで充電される。つまり、多重放電期間の経過後にはコンデンサ充電期間が設けられている。
上述したとおり、多重放電では、昇圧回路14から供給される出力電流Iout(電気エネルギ)により、一次側コイル21aの通電やコンデンサ16の充電が行われるが、その昇圧回路14の出力電流Ioutにばらつきが生じると、一次側コイル21aの通電量やコンデンサ16の充電量にばらつきが生じる。そしてこれにより、一次側コイル21aでエネルギの過不足が生じ、それが原因で点火プラグ23における火花放電が不安定になる等の問題が生じるおそれがある。
以下、昇圧回路14に関する構成及び作用を詳しく説明する。図3は昇圧回路の回路構成図であり、(a)は本実施形態における昇圧回路14の構成例を、(b)は比較のために従来の昇圧回路50の構成例を示す。
図3(a)に示すように、昇圧回路14は、それぞれ並列接続された複数の昇圧コイル41を有しており、それら各昇圧コイル41の一端にバッテリ11が接続されている。各昇圧コイル41の他端にはそれぞれMOSFET42のドレイン端子が接続されており、各MOSFET42のソース端子はいずれも電流検出用の抵抗43に接続されている。つまり、複数の昇圧コイル41の電流経路が統合されてその統合部分に抵抗43が設けられている。
また、MOSFET42のゲート端子は1つに統合され、各ゲート端子にはゲート電圧Vgが印加される。ゲート電圧Vgは点火制御回路30から出力される昇圧制御信号であり、点火制御回路30からHレベルのゲート電圧Vgが出力されることで、複数のMOSFET42が同時にオンされ、バッテリ11から各昇圧コイル41への通電が行われる。MOSFET42がオンされた時、各MOSFET42には通電電流Is1,Is2,…Isnが流れ、抵抗43によって、通電電流Is1〜Isnを全て足し合わせた総和電流I0が検出される。その総和電流I0の検出値は電流検出信号として点火制御回路30に出力される。点火制御回路30では、電流検出信号(総和電流I0)が所定のしきい値に達するたびにゲート電圧Vgをオフし、その後所定時間が経過した時にゲート電圧Vgを再度オンする。こうして、各MOSFET42が繰り返しオン/オフされる。
昇圧コイル41とMOSFET42のドレイン端子との間には、逆流防止用のダイオード44が接続されており、このダイオード44を通じて一次側コイル21aやコンデンサ16に対して出力電流Ioutが供給される。
一方、図3(b)に示すように、従来構成の昇圧回路50は、複数の昇圧コイル51と、それら各昇圧コイル51に接続されたMOSFET52とを有する構成については前記(a)と同じであり、各MOSFET52が点火制御回路30により同時にオン/オフされる構成も同じである。また、昇圧コイル51とMOSFET52のドレイン端子との間に逆流防止用のダイオード54が接続され、このダイオード54を通じて一次側コイル21a等に対して出力電流Ioutが供給される構成も同じである。
そして、1つのMOSFET52についてそのソース端子に電流検出用の抵抗53が接続されている構成が相違している。かかる場合、MOSFET52がオンされた時、各MOSFET52には通電電流Is1,Is2,…Isnが流れ、抵抗53によって通電電流Is1が検出される。点火制御回路30では、電流検出信号(通電電流Is1)が所定のしきい値に達するたびにゲート電圧Vgをオフし、その後所定時間が経過した時にゲート電圧Vgを再度オンする。こうして、各MOSFET52が繰り返しオン/オフされる。
図4(a)は、図3(a)の昇圧回路14の動作説明のためのタイムチャートであり、図4(b)は、図3(b)の昇圧回路50の動作説明のためのタイムチャートである。なお図4では、説明の便宜上、昇圧コイル41,51をそれぞれ2つのみ設けた場合について例示している。
先に従来技術である図4(b)では、コイル通電電流Is1が検出され、そのコイル通電電流Is1が所定のしきい値電流(例えば10A)に達する都度ゲート電圧Vgがオフされる。つまり、1系統の電流検出値に基づいて全系統のMOSFET52のオン/オフが制御されている。この場合、複数の昇圧コイル51は個々に個体差や経時変化等に起因するインダクタンスのばらつきを有しており、そのインダクタンスのばらつきによりコイルごとの通電電流に差が生じる。具体的には、図示のとおり、コイル通電電流Is1についてはしきい値電流(10A)に達しているが、コイル通電電流Is2についてはしきい値電流(10A)に達していないという事態が生じる。すると、各昇圧コイル51の総和電流が当該昇圧回路50としての所望の出力電流値(例えば20A)に足りず、多重放電に際し、点火放電が途中で消失するおそれが生じる。
なお、図示の事例以外に、コイル通電電流Is1がしきい値電流(10A)に達した時に、コイル通電電流Is2がしきい値電流(10A)よりも大きくなっていることも考えられる。かかる場合には、供給エネルギが過多となり、無駄にエネルギが消費される。
これに対し、図4(a)では、各昇圧コイル41の総和電流I0が検出されるため、上記のとおり各昇圧コイル41でインダクタンスがばらついていても、昇圧回路14の出力電流Ioutが所望の出力電流値(例えば20A)に足りないといった不都合は生じない。したがって、多重放電に際し、点火放電が途中で消失するおそれもない。また、昇圧回路14の出力電流Ioutが過剰となり、無駄にエネルギが消費されることも抑制される。
以上詳述した実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
昇圧回路14を、複数の昇圧コイル41を備え、かつその複数の昇圧コイル41をMOSFET42により同時にオン/オフする構成としたため、昇圧回路14において十分量の出力電流Ioutを流すことができる。したがって、一次側コイル21aやコンデンサ16に対して高レベルの電気エネルギを供給することが可能となり、点火プラグ23による点火に際し安定した火花放電を生じさせることができる。
また特に、昇圧回路14において、複数の昇圧コイル41に流れる総和電流に基づいてMOSFET42のオン/オフを制御するようにしたため、仮に各昇圧コイル41においてインダクタンスのばらつきが生じていても、それに関係なく供給エネルギの過不足を解消することができる。以上により、多重放電に際してその多重放電に十分なエネルギを点火コイル21の一次側に供給し、しかも点火プラグ23における点火放電を安定化させることができる。その結果、エンジンの燃焼状態を良好なものにすることができる。
各昇圧コイル41の電流経路を統合した部分に電流検出用の抵抗43を設け、その抵抗43による電流検出結果に基づいて昇圧回路14の総和電流を算出する構成としたため、昇圧コイル41のばらつきに関係なく総和電流を適正に検出できる。また、各昇圧コイル41について個々に通電電流を検出する場合に比べて、検出回路の簡素化を実現することができる。
点火制御回路30における昇圧回路14の昇圧制御として、複数の昇圧コイル41に流れる総和電流が所定のしきい値に達した都度MOSFET42をオフに制御する構成としたため、昇圧回路14から供給されるエネルギ量を適正に管理でき、常に十分な供給エネルギが確保できる。
点火用エネルギを蓄えるコンデンサ16を設け、一次側コイル21aの非通電時に昇圧回路14からの給電によりコンデンサ16を充電する一方、一次側コイル21aの通電時にコンデンサ16から一次側コイル21aに対して放電を行わせるように構成したため、一次側コイル21aの通電に際し、コンデンサ16に蓄えられた点火用エネルギにより一次側コイル21aに大電流を流すことができ、それに伴い二次側コイル21bに十分な大きさの二次側高電圧を発生させることができる。また、一次側コイル21aが非通電になるたびにコンデンサ16に対して再充電が行われるため、多重放電の実施時にコンデンサ16の点火用エネルギを繰り返し使うことができる。
さらに、電源系にエネルギ蓄積コイル12を設け、多重放電に際し、エネルギ蓄積コイル12の充放電を繰り返し行わせるようにしたため、本構成によっても一次側コイル21aへの供給エネルギを十分に確保でき、点火放電の安定化に寄与できる。
また、多重放電に際し、点火コイル21の二次側コイル21bに流れる二次側電流I2を検出し、その検出値(絶対値)が放電維持電流Ikに達する時にIGBT13,22のオン/オフを切り替えるようにした。これにより、筒内ガス流速が大きい場合であっても、多重放電の途中で点火放電が消失するといった不都合が抑制できる。
筒内ガス流速に相関するエンジン運転情報に基づいて放電維持電流Ikを可変設定するようにしたため、エンジン回転速度などに応じて筒内ガス流速が大きくなったとしても点火放電に必要な二次側電流I2を好適に確保することができる。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されても良い。
上記実施形態では、多重放電に際し、一次側コイル21aの通電開始後(IGBT22のオン後)、負の向きに流れる二次側電流I2(絶対値)が放電維持電流Ikまで低下したタイミングで一次側コイル21aの通電を終了し(IGBT22をオフし)、その後、所定時間αだけIGBT13をオン、IGBT22をオフとしたが(図2参照)、これを変更する。例えば、負の向きに流れる二次側電流I2に加え、正の向きに流れる二次側電流I2をモニタし、正負いずれの二次側電流I2についても放電維持電流Ikをしきい値としてIGBT13,22のオン/オフを制御するようにしても良い。また、二次側電流I2に基づいてIGBT13,22のオン/オフを制御する構成に代えて、所定時間が経過するたびにIGBT13,22のオン/オフを切り替える構成とすることも可能である。
上記実施形態では、昇圧回路14において昇圧素子群として複数の昇圧コイル41を設けたが、これに代えて複数の昇圧トランスを設ける構成であっても良い。かかる場合、各昇圧トランスの一次側に昇圧用スイッチング素子(MOSFET)を接続してその通電をオン/オフするとともに、二次側に流れる電流の総和(総和電流)を昇圧回路の出力電流として一次側コイル等に供給する構成とする。本構成においても、前記同様、昇圧回路において、複数の昇圧トランスに流れる総和電流に基づいて昇圧用スイッチング素子(MOSFET)のオン/オフを制御することにより、エネルギの過不足を抑制し、点火プラグにおける点火放電を安定化させることができる。
上記実施形態では、昇圧回路14において、逆流防止手段として昇圧コイル41とMOSFET42のドレイン端子との間にダイオード44を設けたが、これを変更し、逆流防止手段として、ダイオード以外の素子、例えばMOSFETを使用することも可能である。
上記実施形態では、電源系の構成として、バッテリ11にエネルギ蓄積コイル12と昇圧回路14とを並列に接続したが、このうちエネルギ蓄積コイル12を省略することも可能である。
11…電源装置としてのバッテリ、12…エネルギ蓄積コイル、13…エネルギ蓄積用スイッチング素子としてのIGBT、14…昇圧回路、16…コンデンサ、21…点火コイル、21a…一次側コイル、21b…二次側コイル、22…点火用スイッチング素子としてのIGBT、23…点火プラグ、20…ECU、30…昇圧制御手段としての点火制御回路、41…昇圧素子としての昇圧コイル、42…昇圧用スイッチング素子としてのMOSFET、43…電流検出用素子としての抵抗。
Claims (6)
- 一次側コイルと二次側コイルとにより点火コイルを構成し、前記一次側コイルに、電源電圧を昇圧する昇圧回路と点火用スイッチング素子とを接続するとともに、前記二次側コイルに点火プラグを接続し、前記点火用スイッチング素子を繰り返しオン/オフすることにより前記昇圧回路から前記一次側コイルに断続的に電流を流し、それにより前記二次側コイルに二次電流を繰り返し発生させて多重放電を実施する内燃機関点火制御装置において、
前記昇圧回路は、並列接続されてなる複数の昇圧素子と該複数の昇圧素子の通電を各々オン/オフする昇圧用スイッチング素子とを有するものであり、
前記複数の昇圧素子に流れる総和電流を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出した総和電流に基づいて前記昇圧用スイッチング素子のオン/オフを制御する昇圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。 - 前記複数の昇圧素子は、多重放電が行われる期間中、同時に通電がオン/オフされるものである請求項1に記載の内燃機関の点火制御装置。
- 前記複数の昇圧素子の電流経路を統合してその統合部分に前記検出手段として電流検出用素子を設け、
前記昇圧制御手段は、前記電流検出用素子による電流検出結果に基づいて前記総和電流を算出する請求項1又は2に記載の内燃機関の点火制御装置。 - 前記昇圧制御手段は、前記複数の昇圧素子に流れる総和電流が所定のしきい値に達した時に前記昇圧用スイッチング素子をオフに制御する請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の点火制御装置。
- 前記昇圧回路と前記一次側コイルとの中間点に、点火用エネルギを蓄えるためのコンデンサを接続し、前記一次側コイルの非通電時に前記昇圧回路からの給電により前記コンデンサを充電する一方、前記一次側コイルの通電時に前記コンデンサから一次側コイルに対して放電を行わせるように構成した請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関の点火制御装置。
- 電源装置に、エネルギ蓄積コイルとエネルギ蓄積用スイッチング素子との直列回路を接続し、
多重放電に際し、前記点火用スイッチング素子と前記エネルギ蓄積用スイッチング素子とを、一方がオンの時に他方がオフとなるようにして交互にオン/オフさせるように構成した請求項1乃至5のいずれかに記載の内燃機関の点火制御装置。
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JP2015200256A (ja) * | 2014-04-10 | 2015-11-12 | 株式会社デンソー | 点火装置 |
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-
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- 2006-10-27 JP JP2006292549A patent/JP2008106723A/ja active Pending
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