JP2008089206A - 空気調和機の吹出口構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】水平フラップがスムーズに回動する範囲を拡大することができる空気調和機の吹出口構造を提供する。
【解決手段】この空気調和機の吹出口構造は、モータの駆動により横軸16周りに回動する風向調整用の水平フラップ15を備え、この水平フラップ15に重心位置調整用のウエイト部25を設けて、水平フラップ15の吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲R3内において水平フラップ15の重心による回転モーメントが水平フラップ15の同一回動方向に作用するように設定している。このため、水平フラップ15の回動可能範囲全般に亘って、水平フラップ15の重心による回転モーメントが作用する方向が反転することがなく、水平フラップ15の回動をスムーズに行うことができる。
【選択図】図4
【解決手段】この空気調和機の吹出口構造は、モータの駆動により横軸16周りに回動する風向調整用の水平フラップ15を備え、この水平フラップ15に重心位置調整用のウエイト部25を設けて、水平フラップ15の吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲R3内において水平フラップ15の重心による回転モーメントが水平フラップ15の同一回動方向に作用するように設定している。このため、水平フラップ15の回動可能範囲全般に亘って、水平フラップ15の重心による回転モーメントが作用する方向が反転することがなく、水平フラップ15の回動をスムーズに行うことができる。
【選択図】図4
Description
この発明は、吹出口から吹き出す空気の風向を調整するための水平フラップを備えた空気調和機の吹出口構造に関する。
空気調和機として、ケーシング内に熱交換器と送風ファンとを備え、送風ファンにより吸込口から熱交換器を介して吸い込んだ空気を吹出口から吹き出し、水平フラップのスイング動作によって吹き出し空気の風向を調整するようにしたものがある。この種の空気調和機においては、従来より水平フラップのスイング動作が安定しないといった問題が指摘されている。
図8は、従来の空気調和機の吹出口構造を示している。水平フラップ1は、駆動モータの駆動により横軸2周りにスイング回動して、ケーシング3に形成した吹出口4からの吹き出し空気の風向を変えるようになっている。この水平フラップ1のスイング動作に際して、水平フラップ1のスイング範囲R1内において、水平フラップ1の重心位置が点C1から点C2の範囲内で往復移動して、横軸2の中心O1とそれを通る垂線V1とを含む平面を水平フラップ1の重心が横切る。このとき、水平フラップ1と駆動モータの出力軸とを連結するギア機構部分にバックラッシュ(backlash)があり、水平フラップ1のスイング動作がスムーズに行われない。すなわち、水平フラップ1の重心位置が点C1から垂線V1までの範囲で移動するとき、水平フラップ1に回動方向と同一方向に回転モーメントが働くが、水平フラップ1の重心位置が垂線V1から点C2までの範囲で移動するとき、水平フラップ1に回動方向と逆方向に回転モーメントが働き、回転モーメントの作用する方向が切り換わる点で、上述のバックラッシュにより水平フラップ1の動きが一旦止まるのである。
この水平フラップ1のスイング動作をスムーズに行うためには、ギア機構部分を精密に調整して遊びを小さくするか、または、要所要所にダンパ効果を有する部材(例えばクッション材)を使用することが考えられるが、精密加工を必要としたり、駆動モータの回転トルクを大きくしたりする必要があり、コストアップを招くといった不具合がある。また、駆動モータのディテントトルクを増大することも考えられるが、この場合、モータサイズの変更や減速比増加等によって、モータ内のバックラッシュが増加することになり、水平フラップ1のスイング動作がかえって不安定になることがある。さらに、水平フラップ1を複数枚化して、回転モーメントを抑えることも考えられるが、クランク機構等の付加により、コストアップを招いたり、外観形状にも制約を受けることになる。さらにまた、スプリングを設けて反力を打ち消すことも考えられるが、この場合も構成部品が増加して、コストアップを招くことなる。
そこで、本出願人は、上記の各種不具合を解消しながらも、水平フラップのスイング動作をスムーズに行うことができる空気調和機の吹出口構造を提案している。(特許文献1参照。)
図9は、特許文献1に記載の空気調和機の吹出口構造を示している。この吹出口構造では、水平フラップ1のスイング範囲R2内において、水平フラップ1の重心による回転モーメントが水平フラップ1の同一回動方向に作用するように構成してある。すなわち、水平フラップ1のスイング動作に際して、水平フラップ1の重心位置は、横軸2の中心O2とそれを通る垂線V2とを含む平面より図中右側の点C3から点C4の範囲内で往復移動して、水平フラップ1の重心による回転モーメントは、常に時計回りの方向に作用する。このように、水平フラップ1の重心による回転モーメントが水平フラップ1の同一回動方向にのみ作用するので、スイング動作中、水平フラップ1の重心による回転モーメントが作用する方向が反転することがない。したがって、例えギア機構部分にバックラッシュがあっても、水平フラップ1のスイング動作の上死点および下死点以外で水平フラップ1の動きが一旦停止するような不連続動作が生じることがなく、水平フラップ1のスイング動作が安定するようになっている。なお、図8及び図9において、点Cは、水平フラップ1が吹出口全閉位置のときの重心位置を示している。
しかしながら、特許文献1に記載の吹出口構造においては、水平フラップ1のスイング動作を安定させることができても、水平フラップ1が吹出口全閉位置からスイング動作時の上死点まで回動するまでの間、またスイング動作時の上死点から吹出口全閉位置へ回動するまでの間に、水平フラップ1の動きが一旦停止して安定しないといった問題があった。すなわち、水平フラップ1の吹出口全閉位置とスイング動作時の上死点との間の回動範囲内において、水平フラップ1の重心位置が点Cから点C3の範囲内で往復移動して、横軸2の中心O2とそれを通る垂線V2とを含む平面を水平フラップ1の重心が横切る。これにより、水平フラップ1の重心による回転モーメントが作用する方向が反転することになって、上述のバックラッシュにより水平フラップ1の動きが一旦停止するような不連続動作が生じて、水平フラップ1の回動が不安定になっていた。このため、水平フラップ1がスムーズに回動する範囲が全体的に狭くなっていて、水平フラップ1のスイング動作を安定させるためには、限られた範囲内において水平フラップのスイング範囲を設定しなければならなかった。
この発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、水平フラップがスムーズに回動する範囲の拡大を可能として、水平フラップのスイング動作時の回動範囲を拡げ、さらには水平フラップの回動可能範囲全般に亘って、水平フラップの回動をスムーズに行うことができる空気調和機の吹出口構造を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の空気調和機の吹出口構造は、モータの駆動により横軸16周りに回動する風向調整用の水平フラップ15を備え、上記水平フラップ15に、その重心位置を調整するためのウエイト部25を設けたことを特徴とする。
具体的に、上記ウエイト部25は、上記水平フラップ15の一部を厚肉にした厚肉部からなる。また、この厚肉部25に、吹出口14からの空気の吹き出し方向に沿って通気用溝30・・を形成している。そして、上記水平フラップ15のスイング動作時の回動範囲内や上記水平フラップ15の吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲R3内において、上記水平フラップ15の重心による回転モーメントが上記水平フラップ15の同一回動方向に作用するようにしている。
この発明の空気調和機の吹出口構造においては、水平フラップに設けたウエイト部の位置や重さを適宜設定することで、水平フラップの重心位置を任意に調整して、水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用する範囲、すなわち、水平フラップがスムーズに回動する範囲を拡大することが可能となる。したがって、水平フラップのスイング動作時の回動範囲内において、水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するように設定する場合には、水平フラップのスイング動作を安定させることができるとともに、そのスイング範囲を広く確保することができる。また、水平フラップの吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲内において、水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するように設定する場合には、従来のようなスイング動作中だけでなく、水平フラップの回動可能範囲全般に亘って、水平フラップの回動をスムーズに行うことができる。
また、水平フラップに形成した厚肉部をウエイト部とすることで、錘等の専用部材を設けることなく、極めて簡単な構造によって水平フラップの回動動作を低コストで安定させることができる。
さらに、水平フラップのウエイト部に通気用溝を形成することで、厚肉部を設けたことによる吹出口からの吹き出し空気の風量低下を抑制することができる。しかも、厚肉部がリブ形状化して、厚肉部を設けたことによる水平フラップの捻れや歪みを抑制して、水平フラップの成形性を高めることができる。
この発明の一実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る空気調和機は、図1に示すように、ケーシング10内に熱交換器11と送風ファン12とを備え、送風ファン12により吸込口13から吸い込んだ空気を、熱交換器11を通過させることにより冷却または加熱して、ケーシング10の下部前面側に形成した横長の吹出口14から吹き出すようになっている。そして、ケーシング10の吹出口14に沿って横長の水平フラップ15が設けられ、この水平フラップ15を駆動モータの駆動により横軸16周りに上下方向に回動させることで、水平フラップ15をスイング動作させて吹き出し空気の風向を調整するようになっている。
水平フラップ15は、図2及び図3に示すように、帯板状の羽根板20と、この羽根板20の内面側一端に設けられた軸連結部21と、羽根部20の内面側他端及び内面側略中央に設けられた軸受け部22、22とを備えている。
そして、軸連結部21には、駆動モータの出力軸にギア機構等の駆動伝達機構を介して連動連結された回転駆動軸が嵌合され、軸受け部22、22には、ケーシング10に設けられた支持軸が挿通される。そして、回転駆動軸及び支持軸は、同一直線上に配されて横軸16を構成している。駆動モータを駆動させると、駆動伝達機構を介して回転駆動軸が回転し、この回転力が軸連結部21を介して水平フラップ15に伝達されて、水平フラップ15が横軸16周りに回動するようになっている。
この水平フラップ15における羽根板20には、水平フラップ15の重心位置を調整するためのウエイト部25が設けられている。このウエイト部25は、羽根板20の横軸16に略平行な端部である前端部を、その長手方向(左右方向)の略全長に亘って厚肉にした厚肉部からなる。
この厚肉部25は、羽根板20の内面側において膨らんだ状態となっている。なお、内面側とは、水平フラップ15が吹出口全閉位置のときに、ケーシング10の内部に位置する側を意味している。従って、空気調和機の外観形状の一部を構成する羽根板20の外面側は、厚肉部25を設けていない従前の羽根板の外面側と同様に略フラットな形状となっており、厚肉部25を設けたからといって、空気調和機の外観形状が変化することはない。また、厚肉部25は、なだらかな山形に形成されており、吹出口14から空気が吹き出す際の風損を抑えている。
このように、水平フラップ15における羽根板20の前端部を厚肉にして、羽根板20の前端部の質量を増大させることで、これまでは羽根板20の短手方向(前後方向)略中央にあった水平フラップ15の重心位置を、羽根板20の前端部側へ大幅にずらして、水平フラップ15のスイング動作時の回動範囲を含む吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲内において、水平フラップ15の重心による回転モーメントが水平フラップ15の同一回動方向に作用するようにして、水平フラップ15がスムーズに回動する範囲を従来のものと比べて大幅に拡大している。
上記構成の空気調和機の吹出口構造において、図4に示すように、冷暖房運転時、水平フラップ15は横軸16を中心として、吹出口全閉位置(図4の実線で示す位置)から回動限界位置(図4の2点鎖線で示す位置)までの回動可能範囲R3内で回動する。このとき、水平フラップ15の重心位置は、横軸16の中心O3とそれを通る垂線V3とを含む平面より図中左側において往復移動する。したがって、上記水平フラップ15の重心による回転モーメントは、常に反時計回りの方向に作用する。このように、水平フラップ15の回動可能範囲R3内において、水平フラップ15の重心による回転モーメントが水平フラップ15の同一回動方向にのみ作用するので、水平フラップ15のスイング動作中だけでなく、水平フラップ15が吹出口全閉位置からスイング動作時の上死点まで回動するまでの間、またスイング動作時の上死点から吹出口全閉位置へ回動するまでの間にも、水平フラップ15の重心による回転モーメントが作用する方向が反転することがない。なお、図5の2点鎖線で示す位置は、水平フラップ15の重心による回転モーメントが作用する方向が反転する位置を示しているが、この位置まで水平フラップ15が回動することはない。
これにより、例えギア機構部分等にバックラッシュがあっても、水平フラップ15のスイング動作の上死点および下死点以外で水平フラップ15の動きが一旦停止するような不連続動作が生じることがなく、水平フラップ15の回動可能範囲R3の全般に亘って水平フラップ15の回動をスムーズに行うことができる。しかも、水平フラップ15の回動可能範囲R3といった広い範囲内で、水平フラップ15のスイング動作時の回動範囲を設定することができる。
したがって、駆動伝達機構の精密調整の必要がなく、またクッション材やクランク機構、スプリング等の別部材を使用することなく、さらにはモーターサイズを大きくする必要もなく、単一の水平フラップ15に厚肉部25を設けてその重心位置を調整するだけの簡単な構造でありながら、水平フラップの回動をスムーズに行うことができる空気調和機の吹出口構造を低コストで実現することができる。
図6及び図7は、水平フラップ15の変形例を示している。この水平フラップ15においては、羽根板20の横軸16に略平行な端部である後端部に、ウエイト部25としての厚肉部が設けられている。そして、厚肉部25の内面側において、吹出口14からの空気の吹き出し方向すなわち羽根板20の短手方向に沿った複数の通気用溝30・・が、羽根板20の長手方向に間隔をあけて形成されている。
このように、厚肉部25に複数の通気用溝30・・を形成することで、厚肉部25を設けたことによる吹出口14からの吹き出し空気の風量低下を抑制することができ、しかも羽根板20の厚肉部25がリブ形状化して、厚肉部25を設けたことによる羽根板20の捻れや歪みを抑制して、水平フラップ15の成形性を高めることができる。なお、この通気用溝30・・付きの厚肉部25は、羽根板20の後端部に限らず、例えば前端部に設けるようにしても良い。さらに、通気用溝30・・は、吹出口14からの空気の吹き出し方向に沿って形成されていれば良く、例えば図6及び図7に示すように通気用溝30・・を等ピッチで形成するだけでなく、ランダムピッチで形成するといったように、図6及び図7に示す形態のみに限られるものではない。
そして、この水平フラップ15を用いた吹出口構造においては、水平フラップ15の重心位置を、羽根板20の後端部側へ大幅にずらして、水平フラップ15の吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲内において、水平フラップ15の重心による回転モーメントが常に時計回りの方向に作用するようになっている。なお、その他の構成及び作用効果は、上述した図2及び図3に示す水平フラップ15を用いた吹出口構造と同様である。
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、この発明の空気調和機は、室内空気を吸い込んで冷暖房、除湿を行うものだけに限らず、室内空気中に含まれる塵埃を捕捉する空気清浄機能のみを有するものであっても良い。
また、上記実施形態においては、水平フラップの吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲内において、水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するように設定していたが、水平フラップのスイング動作時の回動範囲内においてのみ、水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するように設定しても良い。
さらに、水平フラップに設けるウエイト部としては、上記のような厚肉部に限らず、例えば羽根板に取り付けた錘であったり、羽根板の端部を他の部分よりも重い素材によって成形することで構成しても良い。
14・・吹出口、15・・水平フラップ、16・・横軸、25・・ウエイト部、30・・通気用溝、R3・・回動可能範囲
Claims (5)
- モータの駆動により横軸(16)周りに回動する風向調整用の水平フラップ(15)を備え、上記水平フラップ(15)に、その重心位置を調整するためのウエイト部(25)を設けたことを特徴とする空気調和機の吹出口構造。
- 上記ウエイト部(25)は、上記水平フラップ(15)の一部を厚肉にした厚肉部からなる請求項1記載の空気調和機の吹出口構造。
- 上記厚肉部(25)に、吹出口(14)からの空気の吹き出し方向に沿って通気用溝(30)・・を形成した請求項1又は2記載の空気調和機の吹出口構造。
- 上記水平フラップ(15)のスイング動作時の回動範囲内において、上記水平フラップ(15)の重心による回転モーメントが上記水平フラップ(15)の同一回動方向に作用するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機の吹出口構造。
- 上記水平フラップ(15)の吹出口全閉位置を起点とする回動可能範囲(R3)内において、上記水平フラップ(15)の重心による回転モーメントが上記水平フラップ(15)の同一回動方向に作用するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機の吹出口構造。
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JP2006267788A JP2008089206A (ja) | 2006-09-29 | 2006-09-29 | 空気調和機の吹出口構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010032132A (ja) * | 2008-07-29 | 2010-02-12 | Daikin Ind Ltd | 空気調和装置 |
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2006
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