JP2008088047A - ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】一般的な熔融法によって安定に取得できる、屈折率(nd)が1.41〜1.47、かつ、アッベ数(νd)が90〜100である極低屈折率極低分散弗燐酸ガラスを提供する。
【解決手段】ガラス原料組成物にSi及び/又はBを0.005〜0.2元素質量%未満含有させ、P、Al、Ca、Sr、Ba、Y、F、Oの構成元素比率を調整することによって、所望の屈折率及びアッベ数を実現しつつ、熔融状態からの冷却過程におけるガラス内部の失透(結晶)発生を効果的に抑制することにより、極低屈折率極低分散弗燐酸ガラスを安定に取得する。
【選択図】なし

Description

本発明は、屈折率(nd)が1.41〜1.47、かつ、アッベ数(νd)が90〜100である極低屈折率極低分散ガラス、このガラスを利用して得られるレンズ、プリズムなどの光学素子に関し、特に、ガラス製造時に問題となる、熔融状態から冷却した際に発生する失透(結晶)を効果的に抑制する原料組成物に関し、高精度な色収差特性が要求されるカメラやプロジェクタに代表される光学機器の投影レンズやプリズムに好適なガラス素材とそれらから作製される光学素子及び光学機器に関する。
低屈折率低分散光学材料は、光の波長による屈折率の変化(分散)が小さい特徴があり、高精度な色収差特性が要求される光学機器のレンズやプリズムに好適であり、古くは結晶性材料のフッ化カルシウム結晶(CaF)が用いられていたが、均質で大型の結晶を製造することが難しく、結晶の加工にも細心の注意を払う必要があり、近年は結晶材料と比べて加工性及び化学的耐久性に優れるガラス材料が多用されている。ガラス材料としては、様々なガラス組成物及び調合組成物が特許文献1〜3に開示されている。
ガラス材料で低屈折率低分散特性を実現するためには、ガラス中へ酸素イオン以外のアニオン成分(代表例としては弗素成分)を大量に導入する必要があるが、弗素成分を大量に含むガラスは耐失透性が劣るため、ガラス融液を冷却する過程で失透が生じてしまい、安定かつ大量に均質なガラス材料を得ることが難しく、経済的な生産活動を妨げる要因の一つであった。
特許文献1及び3において、ガラスの耐失透性に関する改善検討が行われているが、それらにおいては、ガラス成形温度付近で1〜2時間程度保温するという短時間における失透性の改善しか考慮されておらず、経済性が高い連続熔融成形生産方式に適用可能な長時間の耐失透性についての考慮は、十分であるとは言えなかった。
特許文献4には、失透及び脈理の形成を抑制する目的のフッ化物リン酸塩光学ガラスの製造方法が開示されているが、ガラス融液の鋳込み温度が高いまま大型のガラス材料を取得しようとすると、低粘性領域での成形となるため、ガラス流量を厳密に制御できず、その結果、ガラス融液の流れによるすじ状の不均一部分(脈理)が生じる懸念があるばかりでなく、熱伝導率が小さいというガラス状物質の特性により、ガラス内部は表面に比べると冷却されにくく、その結果、失透が生じる温度にさらされる時間は長くなってしまい、ガラス内部に失透が発生する懸念があるため、十分改善されたとは言えなかった。
特開昭60−210545号公報 特開昭63−144141号公報 特開平06−191876号公報 特開平09−142875号公報
本発明の目的は、このような従来技術の事情のもと、一般的な熔融法によって安定に取得できる、屈折率(nd)が1.41〜1.47、かつ、アッベ数(νd)が90〜100である極低屈折率極低分散弗燐酸ガラスを提供することにある。
本発明者らは、前記目標を達成するために鋭意試験研究を重ねた結果、ガラス原料組成物にSi及び/又はBを0.005〜0.2元素質量%未満含有させ、P、Al、Ca、Sr、Ba、Y、F、Oの構成成分比率を調整することによって、所望の屈折率及びアッベ数を実現しつつ、熔融状態からの冷却過程におけるガラス内部の失透(結晶)発生を効果的に抑制することによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明をなすに至った。その構成を以下に示す。
(構成1)
元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを0.1〜5.0%、Alを1.0〜20.0%、Fを30.0〜60.0%、Oを1.0〜20.0%を含有し、かつCa、Sr、Baのうち1種以上を必須に含有し、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラス。
(構成2)
元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを0.1〜5.0%、Alを1.0〜20.0%、Caを3.0〜20.0%、Srを1.0〜20.0%、Baを1.0〜20.0%、Fを30.0〜60.0%、Oを1.0〜20.0%、Mgを0〜10.0%、Yを0〜10.0%含有し、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラス。
(構成3)
元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを1.0〜5.0%、Alを8.0〜18.0%、Caを3.0〜18.0%、Srを3.0〜19.0%、Baを3.0〜18.0%、Fを32.0〜58.0%、Oを1.0〜18.0%、Mgを0.3〜8.0%及びYを0.1〜8.0%、並びにLaを0〜5.0%及び/又はGdを0〜5.0%及び/又はLiを0〜3.0%及び/又はNaを0〜3.0%及び/又はKを0〜3.0%含有し、屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラス。
(構成4)
構成1〜3のいずれか一項に記載のガラスであって、元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fが0.15〜0.40の範囲であるガラス。
(構成5)
構成1〜3のいずれか一項に記載のガラスであって、元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fが0.20〜0.35、かつ、元素質量%比Ba/Srが0.6〜1.0の範囲であるガラス。
(構成6)
屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラスであって、
酸化物以外の原料から導入されるSi及び/又はB、
燐酸化合物原料から導入されるP、
燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるAl、Mg、Ca、Sr及びBa
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるY、La、Gd、Li、Na及びK
を含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラス。
(構成7)
ガラス原料の総質量を基準として、元素質量%で、
酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBをを0.005〜0.2%未満、
燐酸化合物原料から導入されるPを1.0〜5.0%、
燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるAlを3.0〜20.0%、
燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるMgを0.0〜5.0%、
燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるCaを3.0〜20.0%、
燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるSrを3.0〜20.0%、
燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるBaを3.0〜20.0%、
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるYを0.01〜8.0%未満、
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるLaを0.0〜5.0%、
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるGdを0.0〜5.0%、
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるLiを0.0〜3.0%、
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるNaを0.0〜3.0%、
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるKを0.0〜3.0%、
フッ化物を必須に含有する原料から導入されるFを35〜65%、
塩化物原料から導入されるClを0.0〜3.0%、
臭化物原料から導入されるBrを0.0〜5.0%、
ヨウ化物原料から導入されるIを0.0〜5.0%、
燐酸化合物原料及び酸化物原料から導入されるOを0.1〜10%
含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られる構成6に記載のガラス。
(構成8)
元素質量%で、
酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満、
燐酸化合物原料から導入されるPを1.0〜5.0%、
燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるAlを8.0〜18.0%、
燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるMgを0.3〜3.0%、
燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるCaを7.0〜15.0%、
燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるSrを11.0〜18.0%、
燐酸化合物料及び/又はフッ化物原料から導入されるBaを5.0〜15.0%、
ただし、質量% 和(Sr+Ba)は、20.0〜35.0%、
フッ化物原料から導入されるYを0.5〜6%未満、
フッ化物原料から導入されるLaを0.0〜4.0%、
フッ化物原料から導入されるGdを0.0〜4.0%、
フッ化物原料から導入されるLiを0.0〜2.0%、
フッ化物原料から導入されるNaを0.0〜2.0%、
フッ化物原料から導入されるKを0.0〜1.0%、
フッ化物原料から導入されるFを40〜55%、
塩化物原料から導入されるClを0.0〜1.0%、
臭化物原料から導入されるBrを0.0〜1.0%、
ヨウ化物原料から導入されるIを0.0〜1.0%、
燐酸化合物原料及び酸化物原料から導入されるOを0.5〜8%
含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られる構成6または7に記載のガラス。
(構成9)
ガラス原料の総質量を基準として、 質量%で、
Al(POを2.0〜10.0%、
AlFを20〜35%、
CaFを15〜25%、
SrFを15〜28%、
BaFを5〜20%、
YFを0.1〜10.0%
含有するガラス原料組成物であり、かつ、元素質量%で、酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を溶融することにより得られる、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラス。
(構成10)
ガラス原料の総質量を基準として、 質量%で、
Al(POを2.0〜10.0%、
AlFを20〜35%、
CaFを15〜25%、
SrFを15〜28%、
BaFを5〜20%、
YFを0.1〜10.0%
含有するガラス原料組成物であり、かつ、元素質量%で、酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を溶融することにより得られる構成1〜8のいずれか一項に記載のガラス。
(構成11)
ガラス原料の総質量を基準として、質量%で、
Al(POを2.5〜10.0%、
AlFを22〜33%、
MgFを1〜7.0%、
CaFを16〜24%、
但し、質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)は、0.77未満
SrFを15.5〜27%、
BaFを6〜18%、
YFを0.5〜9.0%、
含有するガラス原料組成物であり、かつ、元素質量%で、酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られる構成9又は10に記載のガラス。
(構成12)
構成1〜11のいずれか一項に記載のガラスであって、SiO、B、Ba(PO、BaCl、LiF、NaF、KF、LiPF、NaPF、KPFを含有しないことを特徴とするガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラス。
(構成13)
ガラス原料の総質量を基準として、質量%で、
Al(POを2.5〜10.0%、
AlFを22〜33%、
MgFを1〜7.0%、
CaFを16〜24%、
但し、質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)は、0.73未満
SrFを15.5〜27%、
BaFを6〜18%未満、
YFを0.5〜9.0%、
NaSiFを0.0〜3.0%
SiFを0.0〜3.0%
但し、質量和(NaSiF+KSiF)は、0.01〜5.0%
KHFを0.1〜3.0%
NHF・HFを0.0〜1.0%
含有し、SiO、B、Ba(PO、BaCl、LiF、NaF、KF、LiPF、NaPF、KPFを含有しないことを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラスであって、屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラス。
(構成14)
構成6〜13のいずれか一項に記載のガラスであって、ガラス原料の総質量を基準とした元素質量%で、(Si+B+P+Al)/Fが0.20〜0.40の範囲に調整されることを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラス。
(構成15)
構成6〜13のいずれか一項に記載のガラスであって、ガラス原料の総質量を基準とした元素質量%で、(Si+B+P+Al)/Fが0.27〜0.30、かつ、Ba/Srが0.6〜1.0の範囲に調整されることを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラス。
(構成16)
構成1〜15のいずれか一項に記載のガラスであって、1000℃にて熔融した状態から690℃へ冷却した後、690℃で60時間保温しても、ガラス内部に失透(結晶)が発生しないことを特徴とするガラス。
(構成17)
構成1〜16のいずれか一項に記載のガラスであって、DTA測定における昇温過程での失透消失温度(Tm)と降温過程での発熱開始温度から算出される失透温度(Tx)の差が15℃以上であることを特徴とする光学ガラス。
(構成18)
構成1〜17のいずれか一項に記載のガラスであって、日本光学硝子工業会規格JOGIS06-1999「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」により測定するガラスの耐酸性が級1〜3であることを特徴とするガラス。
(構成19)
構成1〜18のいずれか一項に記載のガラスを母材とするレンズ・プリズム等の光学素子。
(構成20)
構成1〜19のいずれか一項に記載のガラスをリヒートプレス加工して作成するレンズ・プリズム等の光学素子。
(構成21)
構成1〜20のいずれか一項に記載のガラスで作成した光学素子および光学基板材料を使用するカメラ・プロジェクタなどの光学機器。
本発明の構成1〜3の光学ガラスについて説明する。構成1〜5において、各成分の元素質量%表記は、原料を熔融し最終的に製造されたガラス中に含有される各成分を、元素ごとに質量%表示したものである。
構成1のガラスは、元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを0.1〜5.0%、Alを1.0〜20.0%、Fを30.0〜60.0%、Oを1.0〜20.0%を含有し、かつCa、Sr、Baのうち1種以上を必須に含有し、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有することを特徴とする。
低屈折率かつ低分散特性を実現するためには、大量のFをガラス成分に導入する必要があり、そのガラス骨格をP、Al、F、Oで形成するために、これらは必須の構成元素である。また、P、Al、F、Oが少なすぎると、ガラス骨格形成元素の総和に対して、ガラス修飾元素の総和が多くなりすぎ、安定なガラス骨格を形成しにくくなる。
個々の元素の効果と好ましい含有量について、説明する。Pは、ガラスの機械的特性を向上する効果があり、切断や研磨などの加工時において割れにくくする効果が得られる成分である。Pが少なすぎると、安定なガラス骨格を形成しにくくなるばかりでなく、前述の効果を十分得にくくなるため、好ましくは、0.1%以上、より好ましくは、0.5%以上、最も好ましくは、1.0%以上である。その一方で、Pが多すぎるとガラス骨格は安定化するが、屈折率及び分散が大きくなりやすくなり、所望の低屈折率低分散特性を実現しにくくなるため、好ましくは5.0%以下、より好ましくは4.8%以下、最も好ましくは4.5%以下である。
Alは、本発明のガラスにおいて、主要なガラス骨格形成成分であり、ガラスの機械的特性の向上効果のほかに、ガラスの平均線膨張係数(α)を小さくし、ガラスの化学的耐久性を向上させる効果を得やすくなる。Alが少なすぎると、安定なガラス骨格を形成しにくくなるばかりでなく、前述の効果を十分得にくくなるため、好ましくは1.0%以上、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは8.0%以上である。その一方で、Alが多すぎると、逆にガラスが割れやすくなるばかりでなく、融液からの冷却過程において、失透が生じやすくなるため、好ましくは20.0%以下、より好ましくは19.0%以下、最も好ましくは18.0%以下である。
Fは、本発明のガラスにおいて、ガラス骨格形成成分であるほかに、屈折率および分散を小さくする効果がある。Fが少なすぎると、屈折率と分散が大きくなりやすく、所望の光学特性を実現しにくくなるため、好ましくは30.0%以上、より好ましくは32.0%以上、最も好ましくは35.0%以上である。その一方で、Fが多すぎると、ガラス内のイオン結合性が増し、融液からの冷却過程においてイオン結合性結晶の失透が生じやすくなるため、好ましくは60.0%以下、より好ましくは58.0%以下、最も好ましくは55.0%以下である。
Oは、本発明のガラスにおいて、ガラス骨格形成成分であり、ガラスの機械的特性を向上させる効果と屈折率を調整する効果がある。Oが少なすぎると、前述の効果を十分得にくくなるため、好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.2%以上、最も好ましくは1.5%以上である。その一方で、Oが多すぎると、所望の屈折率を実現しにくくなるばかりでなく、ガラス内の共有結合性が増し、融液からの冷却過程において融点が高い酸化物結晶の失透が生じやすくなるため、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%以下、最も好ましくは15.0%以下である。
所望の低屈折率低分散特性を実現しつつ、そのガラスを安定に取得するために、上記ガラス骨格形成成分のほかに、Ca、Sr、Baのうち1種以上をガラス修飾成分として含有することが好ましい。ガラス修飾成分は、ガラス構成成分の多成分化による耐失透性の向上効果と屈折率及び分散を調整する効果が得られやすく、その効果が得られる元素は、Ca、Sr、Baに限定されるものではないが、本発明の低屈折率低分散ガラスを安定に取得するためには、Ca、Sr、Baのような比較的大きなイオン半径の陽イオン元素を導入することが有効である。好ましくは、Ca、Sr、Baのうち1種以上、より好ましくは、Ca、Sr、Baのうち2種以上、最も好ましくは、Ca、Sr、Baを必須に含有することである。
Si及び/又はBをガラス原料組成物に含有することは、熔融状態からの冷却過程におけるガラス内部の失透(結晶)発生を抑制するために重要かつ不可欠な要素である。低屈折率かつ低分散特性を実現するためには、大量のFをガラス成分に導入する必要があり、このようなガラスの分子間結合は、共有結合性よりもイオン結合性が強い。構成成分種類と構成比率においては、ガラス融液を冷却する過程において、ガラス状態を保つより熱力学的に安定なイオン性結晶状態に変化しやすくなる。それゆえ、このような場合、ガラス構成成分を調整することで、所望の低屈折率低分散という特性を実現しつつ、ガラスの耐失透性を向上させることには大きな困難を伴う。前述した必須構成成分はP、Alを除き、イオン半径が比較的大きい元素が多く、比較的イオン半径が小さいSi及び/又はBを適度にガラスに導入することによって、主要な構成成分のガラス構造を著しく変形させること無く、ガラス状態から結晶状態への変化を効果的に阻害することが可能となる。この効果を十分得るためには、ガラス原料組成物にSi及び/又はBを合計量で、0.005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.008%以上、最も好ましくは0.01%以上である。その一方で、ガラス原料組成物に大量にSi及び/又はBを含有させ過ぎると、Si及び/又はBは共有結合性が強いため、共有結合性の結晶が析出しやすくなるばかりでなく、低屈折率低分散特性を実現しにくくなる。好ましくは、0.2%未満、より好ましくは、0.195%以下、最も好ましくは、0.19%以下である。
なお、Si及び/又はBの導入量は、ガラス原料組成物に含まれる量として表記している。Si及び/又はBはガラス融液からの冷却過程における失透発生を抑制するために導入されるものである。一般的な熔融法でガラスを取得する場合、さまざまなガラス原料を秤量・調合・混合し、それらを高温の熔解炉に投入しガラス化反応させ、ガラス融液を清澄、攪拌、均質化したのち、冷却固化する。ガラス原料は、所望のガラス構成元素の酸化物、炭酸化合物、硝酸化合物、硫酸化合物、燐酸化合物、ハロゲン化物、水酸化物等、多種多様に選択することが可能であり、それらのガラス化反応は、複雑かつ組み合わせが無限であるため、一義的には決まらず、最終的に得られるガラス中に存在する元素の配位数やイオン半径、イオン価数も一義的ではないため、元素にて表記した。
屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラスは、このガラス単独でレンズを作成した場合でも、光線波長の変化に対する屈折率の変化(分散)が小さく、特にカメラなどの可視光領域の光を利用する光学機器に有用であるが、高屈折率高分散ガラスと組み合わせる光学設計において、コンパクトかつ色収差の少ない高精度な光学機器を実現できるため、産業上非常に有用な材料である。
構成2のガラスは、元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを0.1〜5.0%、Alを1.0〜20.0%、Caを1.0〜20.0%、Srを1.0〜20.0%、Baを1.0〜20.0%、Fを30.0〜60.0%、Oを1.0〜20.0%、Mgを0〜10.0%、Yを0〜10.0%含有し、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有することを特徴とする。
構成1と重複する構成要素については、既に説明したとおりであるため、割愛する。
Caは、ガラス修飾成分の中でも、特に低分散特性を実現しつつ、ガラスの化学的耐久性を高める効果がある有用な成分である。その効果を十分得るために、好ましくは1.0%以上、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは5.0%以上を含有することが望ましい。その一方、過度に添加すると、主要ガラス骨格成分であるFとイオン結合性の結晶物を生じやすくなるため、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%以下、最も好ましくは、15.0%以下を含有する。
Srは、ガラス修飾成分の中で、屈折率を調整する効果があり、そのほかの2価元素(特に、アルカリ土類元素)と共存させるとガラスの耐失透性が向上する効果が得られる有用な成分である。その効果を十分得るために、好ましくは1.0%以上、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは8.0%以上含有することが望ましい。その一方、過度に添加すると、屈折率が高くなりすぎ、所望の低屈折率低分散特性を実現しにくくなるばかりでなく、ガラスの耐失透性が悪化するため、好ましくは20.0%以下、より好ましくは19.0%以下、最も好ましくは18.0%以下を含有する。
Baは、ガラス修飾成分の中で、屈折率を調整する効果があり、ガラスの耐失透性を向上させる効果が得られる有用な成分である。その効果を十分得るためには、好ましくは1.0%以上、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは5.0%以上含有することが好ましい。その一方、過度に添加すると、屈折率が高くなりすぎるばかりでなく、得られるガラスの比重が大きくなり、化学的耐久性が悪化しやすくなるため、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%以下、最も好ましくは15.0%以下を含有する。
Mgは、ガラス修飾成分として機能し、屈折率を調整する効果、および、化学的耐久性を向上させる効果が得られやすいため、任意に含有させることが可能である。含有しなくても、本発明のガラスを得ることは可能であるが、所望の屈折率を実現しつつ、化学的耐久性を向上させたい場合には、0.3%以上を含有することがより好ましく、0.5%以上含有させることがさらに好ましい。その一方、過度に添加すると、ガラスの耐失透性が著しく悪化しやすくなるため、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、最も好ましくは5.0%以下とする。
Yは、3価のガラス修飾成分であり、屈折率を調整する効果、および、ガラスの耐失透性を向上させる効果が得られるため、任意に含有させることが可能である。含有しなくても、本発明のガラスを得ることは可能であるが、所望の屈折率を実現しつつ、耐失透性を向上させたい場合には、0.1%以上を含有することがより好ましい。その一方、過度に添加すると、ガラスの屈折率が必要以上に高くなりやすくなるため、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、最も好ましくは6.0%以下を上限とすることが望ましい。
前記構成3のガラスは、元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを1.0〜5.0%、Alを8.0〜18.0%、Caを5.0〜15.0%、Srを8.0〜18.0%、Baを5.0〜15.0%、Fを35.0〜55.0%、Oを1.0〜15.0%、Mgを0.3〜5.0%及びYを0.1〜8.0%、並びにLaを0〜5.0%及び/又はGdを0〜5.0%及び/又はLiを0〜3.0%及び/又はNaを0〜3.0%及び/又はKを0〜3.0%含有し、屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有することを特徴とする。
屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラスは、市場から容易に調達できる市販の高屈折率高分散ガラスと組み合わせてコンパクトかつ色収差の少ない高精度な光学系を設計することが可能であるため、産業上で特に有用な材料である。
この屈折率及びアッベ数を持つガラスを安定に取得するため、構成2に記載した構成成分の種類と構成比率をさらに好ましい範囲としたものが、構成3である。重複する構成要素に関する説明は、割愛する。
La及びGdは、3価のガラス修飾成分としてYと同様の効果が得られやすいため、任意に添加することが可能である。しかし、過度に添加すると、ガラスの屈折率が高くなりやすいため、それぞれ5.0%以下、より好ましくは4.5%以下、最も好ましくは4.0%以下とする。
Li、Na及びKは、1価のガラス修飾成分であり、適量を添加することにより、ガラス構成成分の多成分化による耐失透性が向上する効果が得られやすいため、任意に添加することが可能である。しかし、1価のガラス修飾成分は、ガラス骨格を形成するFと結びついてイオン結合性結晶となりやすいため、それぞれ3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、最も好ましくは2.0%以下とする。
上記構成1〜3のガラスを得るための好ましいガラス原料形態については後述するが、本明細書の記載事項に限定されるものではない。
Tiを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、AgおよびMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独または複合して少量含有した場合でも着色してしまい、可視域の特定の波長に吸収を生じさせるため、可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。さらに、Pb、Th、Cd、Tl、As、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされるため、環境上の影響を重視する場合には実質的に含まないことが好ましい。
構成4に示した、元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fは、ガラスの耐失透性を判断する指標の一つであり、0.15〜0.40の範囲とすることが好ましい。この元素質量%比の分子のうち、Si、Bの各元素は、段落〔0017〕で説明したとおり、少量の添加によってガラスの耐失透性を向上させる成分である。また、P、Alの各元素は、ガラス骨格を形成する元素(陽イオン成分)であり、ガラス融液の粘性を高め、耐失透性を向上させる成分である。一方、分母のFは、ガラス融液の粘性を低くする作用があり、多すぎると失透性を悪化させやすくなる。この比が小さすぎると、ガラス融液の粘性が低く、ガラス物品の成形が困難になりやすくなるばかりでなく、耐失透性が悪化しやすくなるため、生産性が悪くなりやすい。一方で、この比が大きすぎると、ガラス骨格中のF量が相対的に少なすぎてしまうため、耐失透性が悪化しやすくなったり、所望の光学恒数(特に低分散特性)が実現しにくくなる。そのため、好ましくは、0.40以下、より好ましくは0.37未満、最も好ましくは、0.35以下とし、好ましくは0.15より大きく、より好ましくは0.18より大きく、最も好ましくは0.20以上とする。
構成5に示すように、(Si+B+P+Al)/Fが所定の範囲内にあり、かつ、元素質量%比Ba/Srを0.6〜1.0の範囲とすることにより、さらに耐失透性向上効果が得られやすくなる。このBa/Sr比が小さすぎると、耐失透性向上効果が得られやすいBaの相対比率が小さすぎることを意味し、ガラスの耐失透性が悪化しやすくなるため、好ましくは0.6以上、より好ましくは、0.62以上、最も好ましくは0.65以上とする。一方で、この比が大きすぎると、屈折率が所望の値より大きくなりやすくなるため、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.98以下、最も好ましくは0.95以下とする。
次に本発明の構成6〜8の光学ガラスについて説明する。構成6〜8において各成分の元素質量%表記は、熔融前の原料に含まれる各成分を、元素ごとに質量%で表示したものである。
前記構成6は、屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラスを安定に得るための、ガラス原料及びガラス構成成分に関する要素である。ガラス構成成分についての役割及び効果は、既に説明しているため、割愛する。そして構成7は、構成6のより好ましい態様であり、構成8は、構成7のより好ましい態様である。
熔融法にてガラスを取得する場合、ガラス原料組成物は化学変化であるガラス化反応を経て、ガラス融液を形成するが、ガラス化反応をスムーズに進行させるためにガラス原料の形態や組み合わせを考慮することが重要である。
酸化物原料は一般的に融点が高く、ガラス原料組成物全体のガラス化反応において、終盤までガラス原料が残りやすい傾向があり、ガラス化反応温度、すなわち、ガラス原料の熔融温度が低すぎると、酸化物原料が熔け残ってしまうことがある。熔け残りを防ぐためには、ガラス原料の熔融温度を高くするか熔融時間を長時間にすれば良いと考えられるが、本発明における低屈折率低分散ガラスには、揮発性が高いFを大量に含有させる必要があるため、これらの対処法は好ましくない。よって、本発明のガラスを得るためのガラス原料組成物に酸化物原料を大量に用いることは好ましくない。
Siを導入するために最も安価かつ容易に入手できる原料形態は、酸化物(代表例としてはSiO)であるが、本発明においては、ガラス化反応の初期からSiをガラス中に導入することが重要であるため、酸化物原料以外のガラス原料でSiを導入することが好ましい。
Bの酸化物であるBは、不安定な化合物であり吸湿性が高いため、保管や管理において、注意を要し、安定な生産活動を阻害するため、酸化物以外のガラス原料でBを導入することが好ましい。
原料中に含有されるSi及び/又はBは、その合計量が、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.195%以下、最も好ましくは0.19%以下を上限とし、好ましくは0.005%、より好ましくは0.008%、最も好ましくは0.01%を下限とする。
燐酸複合塩は、本発明のガラスに必要不可欠なPの供給源であるため、ガラス原料として必須に用いる。燐酸複合塩は、酸化物原料に比べると融点が低く、ガラス化反応が低温で進行しやすい傾向があるため、本発明のガラスを得るためのガラス原料として用いることが好ましい。酸化物原料及び/又は燐酸化合物原料は、本発明のガラスに必要不可欠なOの供給源であるため、ガラス原料として用いることが必要であるが、過度に用いると、所望量以上のOがガラス中に導入される点に留意することが必要である。なお、一般的な炭酸化合物、硝酸化合物、硫酸化合物、水酸化物等のガラス原料をOの供給源として用いることも可能である。しかし、これらの原料は、ガラス化反応の際に分解してガス成分(例えば、炭酸化合物の場合は、炭酸ガス)を放出するため、過度に用いると、ガラス融液が発泡して熔解坩堝からこぼれたり、放出ガス成分が泡となって融液表面に浮上して消失する(泡がはじける)際に、ガラス融液中のF成分の揮発を促進する傾向があるので、これらの化合物原料を用いる場合は、少量(ガラス原料の総質量%で5.0%未満)とすることが望ましい。
なお原料中に含有されるPは好ましくは5.0%、より好ましくは4.9%、最も好ましくは4.8%を上限とし、好ましくは1.0%、より好ましくは1.1%、最も好ましくは1.2%を下限とする。
フッ化物原料は、本発明のガラスに必要不可欠なFの供給源であるため、必須のガラス原料として用いる。
構成7は、構成6のより好ましい態様であり、構成8は、構成7のより好ましい態様である。なお、構成7及び構成8に記載のガラス原料から導入されるガラス構成成分についての役割及び効果、原料形態については前述の構成1〜5と同じである。
Al、Mg、Ca、Sr、Baの各元素成分は、燐酸複合塩及び/又はフッ化物原料を必須として導入することが好ましい。Alを導入するための燐酸複合塩としては、Al(PO、AlPOなど、Alを導入するためのフッ化物原料としては、AlFが好ましい。アルカリ土類金属元素(R“=Mg、Ca、Sr、Ba)を導入するための燐酸複合塩としては、R“(PO、R“など、アルカリ土類金属元素(R“=Mg、Ca、Sr、Ba)を導入するためのフッ化物原料としては、R“Fが好ましい。
原料に含有されるAlは好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%を上限とし、好ましくは3.0%、より好ましくは8.0%を下限とする。
原料に含有されるMgは好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%を上限とする。またMgは含有しなくても差し支えないが、0.3%以上含有することが好ましい。
原料に含有されるCaは好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%を上限とし、好ましくは3.0%、より好ましくは7.0%を下限とする。
原料に含有されるSrは好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%を上限とし、好ましくは3.0%、より好ましくは11.0%を下限とする。
原料に含有されるBaは好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%を上限とし、好ましくは3.0%、より好ましくは5.0%を下限とする。
またSr+Baの和は20.0%〜35.0%の範囲であることが好ましく、22.0〜33.0%の範囲であることが好ましい。
Y、La、Gdの各元素成分は、フッ化物原料を必須として導入することが好ましい。燐酸複合塩での導入も可能であるが(例えば、メタ燐酸化合物)、これらの化合物は入手し難く、また高額であるため、本発明のガラスを安定かつ経済的に取得する場合は、フッ化物原料(YF、LaF、GdF)を必須として導入することが、より好ましい。
原料に含有されるYは好ましくは8.0%、より好ましくは6.0%、最も好ましくは4.0%未満を上限とし好ましくは0.01%、より好ましくは0.5%を下限とする。
原料に含有されるLaは好ましくは5.0%、より好ましくは4.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。
原料に含有されるGdは好ましくは5.0%、より好ましくは4.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。
アルカリ金属元素(R=Li、Na、K)の各元素成分は、本発明に必要不可欠なFを大量にガラスへ供給するために、フッ化物原料を必須として導入することが好ましい。これらのフッ化物として、RFの形態ではR−Fのイオン結合性が強すぎて、ガラス化反応がスムーズに進行しないため、RSiFやRAlFなどの複合的なフッ化物で導入することが好ましい。RPO、RPO、RHPOなどの燐酸化合物(水和物も含む)で導入する場合は、これらの原料から導入されるP及びOが所定の量となるように考慮する。
原料に含有されるLiは好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
原料に含有されるNaは好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
原料に含有されるKは好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
なお、原料に含有されるFは好ましくは65%、より好ましくは55%を上限とし、好ましくは35%、より好ましくは40%を下限とする。
塩化物原料から導入されるCl、臭化物原料から導入されるBr、ヨウ化物原料から導入されるIの各元素成分は、Fの一部と置換してガラス中に導入されることによって、多成分化による耐失透性向上効果や、これらのガラス原料を適量用いることで、ガラス化反応の促進やガラス中の脱泡効果が得られるため、任意に用いることが可能である。しかし、塩化物原料から導入されるClは3.0%、臭化物原料から導入されるBr及びヨウ化物原料から導入されるIは、それぞれ5.0%より多くガラス中に導入すると、イオン半径が大きいこれらの元素が大量にガラス中に導入され、ガラス構造を不安定化させるため、ガラスの耐失透性が著しく悪化する。より好ましい上限値は、全ての元素成分とも1.0%である。
さらに、原料中に含まれるOは好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%を上限とし、好ましくは0.1%、より好ましくは0.5%を下限とする。
構成7及び構成8に記載されている元素質量%の限定範囲とするようにガラス原料組成物を調整することにより、構成1〜6に記載されている低屈折率低分散ガラスを一般的な熔融法によって安定に取得することが可能となる。
次に本発明の構成9〜13のガラスについて説明する。構成9〜13において各成分の質量%表記は、熔融前の原料に含まれる各成分を、化合物ごとに質量%で表示したものである。
構成9及び構成10は、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラスを得るために、好適な原料組成物により示したものである。この段落では、「ガラス原料の総質量を基準とした質量%」を、単に「%」と表記する。
Al(POは、Al、P及びOをガラス中に導入するために有用な原料であり、安定なガラス形成を促進し、得られるガラスの機械的強度及び化学的耐久性を高める効果がある。少なすぎると、この効果を十分得られにくいため、好ましくは2.0%以上、より好ましくは2.5%以上、最も好ましくは3.0%以上含有させる。一方、過度に用いると、ガラスの屈折率及び分散が増大し、所望の光学恒数を実現し難くなるため、好ましくは10.0%以下、より好ましくは9.5%以下、最も好ましくは、9.0%以下とする。
AlFは、Al及びFをガラス中に導入するために有用な原料であり、ガラス化反応の促進、安定なガラス形成の促進効果があるほかに、得られるガラスの屈折率と分散を小さくする効果がある。少なすぎると、所望の光学恒数を実現し難くなるため、好ましくは20%以上、より好ましくは22%以上、最も好ましくは25%以上含有させる。一方、過度に用いると、ガラスの耐失透性が悪化するため、好ましくは35%以下、より好ましくは33%以下、最も好ましくは30%以下とする。
CaFは、Ca及びFをガラス中に導入するために有用な原料であり、得られるガラスの分散と比重を小さくする効果と安定なガラス形成を促進する効果が得られる。少なすぎると、その効果が十分得られにくいため、好ましくは15%以上、より好ましくは16%以上、最も好ましくは18%以上含有させる。一方、過度に用いると、ガラスの耐失透性が悪化するため、好ましくは25%以下、より好ましくは24%以下、最も好ましくは22%以下とする。
SrFは、Sr及びFをガラス中に導入するために有用な原料であり、得られるガラスの屈折率を調整する効果と安定なガラス形成を促進する効果が得られる。少なすぎると、その効果が十分得られにくいため、好ましくは15%以上、より好ましくは15.5%以上、最も好ましくは16%以上含有させる。一方、過度に用いると、所望の光学恒数を実現しにくくなり、ガラスの耐失透性が悪化するため、好ましくは28%以下、より好ましくは27%以下、最も好ましくは25%以下とする。
BaFは、Ba及びFをガラス中に導入するために有用な原料であり、得られるガラスの屈折率を調整する効果と安定なガラス形成を促進する効果が得られる。少なすぎると、その効果が十分得られにくいため、好ましくは5%以上、より好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上含有させる。一方、過度に用いると、得られるガラスの屈折率が高くなりすぎるばかりでなく、ガラス比重が重くなり、ガラスの化学的耐久性が悪化するため、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、最も好ましくは15%以下とする。
YFは、Y及びFをガラス中に導入するために有用な原料であり、得られるガラスの屈折率を調整する効果と安定なガラス形成を促進する効果が得られる。少なすぎると、その効果が十分得られにくいため、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上、最も好ましくは1.0%以上含有させる。一方、過度に用いると、得られるガラスの屈折率が高くなりやすくなるため、好ましくは10%以下、より好ましくは9%以下、最も好ましくは8%以下とする。
酸化物を除く原料から導入されるSiを0.005〜0.2元素質量%未満の範囲で原料に含有させることが、熔融状態からの冷却過程におけるガラス内部の失透(結晶)発生を抑制するために重要かつ不可欠な要素であることは、前述のとおりである。
構成11は、構成9及び構成10の中でもより好適な原料組成物の構成を具体的に示したものである。この段落では、「ガラス原料の総質量を基準とした質量%」を、単に「%」と表記し、構成9及び構成10と重複する要素の説明については割愛する。
MgFは、Mg及びFをガラス中に導入するために有用な原料であり、得られるガラスの屈折率を調整する効果とガラスの化学的耐久性を向上させる効果が得られる。少なすぎると、化学的耐久性を高める効果が十分得難くなるため、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上、最も好ましくは2%以上含有させる。一方、過度に用いるとガラスの耐失透性が悪化するため、好ましくは7%以下、より好ましくは6.5%以下、最も好ましくは6%以下とする。
また、質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)を、0.77未満とすることにより、得られるガラスの耐失透性がさらに向上させることが可能となる。この質量%比の分子であるMgFとCaFは、大量に含有すると失透性を悪化させる傾向が強い原料であり、一方、分母のAl(POとAlFは、安定なガラス形成を促進し、ガラスの耐失透性を向上させる効果が高い原料であるため、この比が小さいほど、得られるガラスの耐失透性が優れることを意味する。この質量%比は、好ましくは、0.77未満、より好ましくは、0.73未満、最も好ましくは、0.72以下である。この質量%比が0.5以下となると、ガラスの耐失透性が優れても、所望の光学恒数を実現しにくくなる。
構成12は、構成1〜11に記載のガラスを安定かつ経済的に取得するための、原料形態に関する記述である。
SiO及びBは酸化物であるため、前述のとおり、スムーズなガラス化反応を阻害しやすい原料形態である。これらをガラスに導入する場合は、フッ化物あるいは燐酸化合物など、酸化物以外の原料を用いることが望ましい。なお、Bの水和物(HBOなど)を原料に用いることは、ガラス化反応において水分(HO)を発生してFの揮発を促すため、好ましくない。
Ba(PO及びBaClは、特にガラス化反応の際に、一般的なガラス熔解設備の材質であるPtなどの白金族と合金を作りやすい原料形態である。Baは白金族イオンの中でも特にPtと合金を作りやすく、特に燐酸化合物をガラス原料に用いた場合に、合金事故が発生しやすい。本発明のガラスを、熔解設備を損傷することなく安定に取得するためには、この原料形態を用いるのは好ましくない。また、BaClから導入されるClは、熔解設備のPtを侵しやすく、ガラス中へPtイオンを大量に溶出させやすい。特に450nm以下の短波長領域にPtイオンの吸収が生じ、ガラスの光線透過性が悪化しやすいので、好ましくない。
LiF、NaF及びKFの原料形態では、R−Fのイオン結合性が強すぎて、ガラス化反応がスムーズに進行し難いだけでなく、ガラス化反応の際に、熔解器具のPtをイオン化してガラス中に大量に溶出させやすいため、特に450nm以下の短波長領域にPtイオンの吸収が生じやすく、ガラスの光線透過性が悪化しやすいので、好ましくない。
LiPF、NaPF、KPFは、ガラス化反応の際に、熔解器具のPtをイオン化してガラス中に大量に溶出させやすいため、特に450nm以下の短波長領域にPtイオンの吸収が生じやすく、ガラスの光線透過性が悪化しやすいので、好ましくない。加えて、これらのアルカリ金属複合物は、入手が困難な原料であり比較的高価なため、本発明のガラスを経済的に取得するためには、用いないことが望ましい。
構成13は、本発明のガラスを安定かつ経済的に取得するためのさらに具体的な要件である。これまでの説明と重複する要素については、説明を割愛する。
NaSiFは、ガラス中にNa、Si、Fを導入することができる成分であり、本発明において必要不可欠なSiを導入するために好適な原料である。また、KSiFは、ガラス中にK、Si、Fを導入することができる成分であり、本発明において必要不可欠なSiを導入するために好適な原料である。これらをそれぞれ単独で3.0%以上用いると、過剰なFがガラス中に導入され、ガラスの耐失透性が悪化しやすいばかりでなく、Na及びKがガラス中に過剰に導入されることによって化学的耐久性が悪化しやすいため、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.8%以下、最も好ましくは2.5%以下とする。
ガラス中にSiを導入するためには、どちらかのガラス原料ひとつを用いても良いし、両方複合させて用いても良いため、質量和(NaSiF+KSiF)は、少なくとも0.01%以上が必要であり、好ましくは0.03%以上、最も好ましくは0.05%以上である。一方、これらの合計量が、5.0%を超えると、過剰なFがガラス中に導入され、ガラスの耐失透性が悪化しやすいばかりでなく、Na及びKがガラス中に過剰に導入されることによって化学的耐久性が悪化する(→可能なら“悪化しやすい“に変更)ため、好ましい上限は5.0%以下、より好ましくは4.0%以下、最も好ましくは3.0%以下とする。
KHFは、ガラス融液の脱泡効果と還元傾向が強いガラス融液を中性方向に向けるための酸性化剤としての効果が得られるため、有用なガラス原料である。ガラス融液の還元傾向が強まると、ガラス中のBaやPが、白金族金属で構成される熔解設備と反応しPtイオンをガラス中に溶出させやすく、ひどい場合には、白金族金属と合金を形成して合金部分からガラスが流出するという合金事故が生じる可能性も高まる。0.1%未満では、これらの効果が十分得られないため、好ましくは、0.1%以上、より好ましくは、0.13%以上、最も好ましくは、0.15%以上とする。一方で、過度にガラス原料に用いると、放出されるHFガスが増大し、ガラス中のFの揮発量を増大させやすいため、好ましくは、3.0%以下、より好ましくは、2.8%以下、最も好ましくは2.5%以下とする。
NHF・HFは、KHFと同様にガラス融液の脱泡効果と還元傾向が強いガラス融液を中性方向に向けるための酸性化剤としての効果が得られるため、任意に添加することが可能である。しかし、HFガスの導入量がKHFに比べると多いため、その上限は、1.0%とすることが好ましい。
構成14は、構成6〜13のいずれか一項に記載のガラスの中でも、ガラス融液を冷却する過程での耐失透性をさらに向上させるための、好ましい範囲を限定する用件である。ガラス原料組成物(熔融前の原料)の状態で、元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fを0.20〜0.40の割合に調整することにより、構成1〜5に記載したガラスを得やすくなる。この比が小さすぎると、過度のF成分がガラスに導入されやすくなるため、ガラス融液の粘性が低く、ガラス物品の成形が困難になりやすくなるばかりでなく、耐失透性が悪化しやすくなるため、生産性が悪くなりやすい。一方で、この比が大きすぎると、ガラス化反応及び熔融中のF成分の揮発によって、ガラス骨格中のF量が相対的に少なくなりすぎてしまうため、耐失透性が悪化しやすくなったり、所望の光学恒数(特に低分散特性)が実現しにくくなる。そのため、好ましくは、0.40、より好ましくは0.35以下、最も好ましくは、0.30以下とし、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.27以上とする。
構成15は、請求項6〜13のいずれか一項に記載のガラスの中でも、ガラス融液を冷却する過程での耐失透性をさらに向上させるための、最も好ましい範囲を限定する用件である。(Si+B+P+Al)/Fが所定の範囲内にあり、かつ、元素質量%比Ba/Srを0.6〜1.0の範囲とすることにより、さらに耐失透性向上効果が得られやすくなる。このBa/Sr比が小さすぎると、耐失透性向上効果が得られやすいBaの相対比率が小さすぎることを意味し、ガラスの耐失透性が悪化しやすくなるため、好ましくは0.6以上、より好ましくは、0.62以上、最も好ましくは0.65以上とする。一方で、この比が大きすぎると、屈折率が所望の値より大きくなりやすくなるため、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.98以下、最も好ましくは0.95以下とする。
構成16は、構成1〜15のいずれか一つのガラスの中で、ガラス融液を冷却する過程で失透が生じにくいことを特徴とする要件である。
経済性が高い連続熔融成形生産方式にてガラスを取得する場合、流出ガラスの対流によるすじ状の不均一部分(脈理)の発生を抑制するため、ガラス融液を低温にして粘性が高い状態で成形する。ガラスの耐失透性が劣るガラス組成物の場合は、ガラス融液を低温にした時点で、ガラス内に結晶が発生してしまう。また、ガラス融液からの結晶発生は、温度因子のみならず、時間因子にも影響を受け、長時間低温で保温していると、時間因子によってガラス融液から結晶が発生してしまう。このようなガラスは、長時間(少なくとも数日)の連続成形していると、熔解設備内で結晶が発生し、得られる固化ガラス内にその結晶が混入して異物の無い均質なガラスが得られなかったり、結晶が熔解設備内に滞留し、流出ガラスの流れに影響を及ぼして、得られるガラスに不均一部分(脈理)を生じさせることがある。上記のような現象が生じる懸念がある場合、経済性の高い連続熔融成形生産方式では、安定にガラスを取得できないため、別の生産性の悪い方式を取らねばならず、経済性に劣る。
1000℃は、ガラス融液から結晶が発生する温度より十分高い温度であり、60時間保温する690℃は、構成1〜15のガラスの成形温度に近い温度である。この評価方法で、ガラス内部に結晶が生じないことが確認できれば、経済性の高い連続熔融成形生産方式を適用し、安定してガラスを取得しやすくなる。
構成17は、ガラスの失透性を示差熱測定(DTA)によって評価したものである。ガラスには、融点は存在しないが、ガラスを昇温するとある温度以上では結晶(失透)が発生し、さらに昇温することで発生した結晶(失透)が熔融する。この失透消失(熔融)温度をTmと表記し、DTA曲線では吸熱ピークとして検出される。一方、結晶(失透)が十分熔融したのちにガラス融液を冷却すると、結晶(失透)発生に伴う発熱がDTA曲線に観測される。この発熱開始温度、すなわち、結晶(失透)析出開始温度をTx(毎分あたりの降温速度)と表記する。ガラス融液を冷却する過程(DTA降温過程)で、観測される発熱開始温度は、ガラス融液の冷却速度に依存する。液体状態から急速に冷却するほど、液体状態から結晶(失透)は発生しにくくなるため、降温速度が大きいほど発熱開始温度はより低温に観測される。異なる降温速度にて発熱開始温度を測定し、それらを降温速度0℃/分へ外挿した値を「失透温度(Tx)」と表記する。
(Tm−Tx)が大きいほど、融液からの冷却過程において結晶(失透)が発生しにくいことを意味し、この数値を15℃以上とすることによって、低温までガラスの温度を下げても結晶(失透)が発生しにくいので、成形時のガラス粘性を高めやすくなり、流出ガラスの対流によるすじ状の不均一部分(脈理)の発生を効果的に抑制しやすくなる。安定かつ経済的に所望の低屈折率低分散ガラスを生産するためには、(Tm−Tx)は、18℃以上であることがより好ましく、最も好ましくは20℃以上である。
構成18は、構成1〜17のいずれか一つのガラスの化学的耐久性に関する要件である。
日本光学硝子工業会規格JOGIS06-1999「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」により測定するガラスの耐酸性が級1〜3であることを特徴とする。
ガラスをレンズやプリズムに加工する際、水、研磨剤、洗浄剤に曝される。このとき、耐酸性が悪い材料では、ガラス成分が溶出しやすいため、研磨面の仕上がりが悪くなりやすく、清浄で平滑な研磨面を得るために、多大の労力をかけなければならず、不経済となるため、ガラスの耐酸性は、3級以上であることが好ましい。
構成18〜21に記載のように、前記構成1〜17に記載のガラスは、レンズ・プリズムなどの光学素子を作製するための母材として有用であり、その光学素子をカメラやプロジェクタに利用することにより、高精度な色収差特性を実現することができる。
本発明のガラスを母材としてレンズやプリズムを作製する手法の代表例として、構成20に、リヒートプレス加工を挙げたが、この製法に限定されることは無く、たとえば、モールドプレス加工などの技術を用いて、光学素子を作製することが可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
表1〜表4に、一般的な熔融法によって安定に取得できる、屈折率(nd)が1.41〜1.47、かつ、アッベ数(νd)が90〜100である極低屈折率極低分散弗燐酸ガラスを得るための好適な実施例(No.1〜28)のガラス原料構成元素組成、元素質量%比(Si+B+P+Al)/F、及び、Ba/Sr比、屈折率(nd)、アッべ数(νd)、保温テスト結果、(Tm−Tx)値を示す。なお、各実施例のガラス原料質量%及び質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)を、表5〜8に記載した。すなわち表5〜8の各実施例は、表1〜4の対応する実施例と同一の組成物の表記法を変えたものである。
また、表9に公知の光学ガラスの比較例(No.A〜E)のガラス組成及び各種物性値を示す。ここで、比較例Aは、特開平10−212133号公報の実施例6、比較例B及びCは、特開昭63−14141号公報の実施例3及び実施例5、比較例D及びEは、特開平06−1919876号公報の実施例2及び実施例7であり、表中の屈折率(nd)、アッべ数(νd)はそれぞれの公報記載値である。比較例は、ガラス原料組成を意味するものと解釈し、比較例Aについては、モル%表記を質量%表記に変換し、それぞれの公報記載の手順にてガラス原料を熔融し、ガラスを得た。
なお、比較例(No.A〜E)のガラス原料質量%及び質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)を表10に示す。
得られた光学ガラスについて、屈折率(nd)、アッべ数(νd)、保温テストの評価結果、粉末法耐酸性を以下のようにして測定した。
(1)屈折率(nd)及びアッべ数(νd)
徐冷降温速度を−25℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
(2)保温テスト評価
得られたガラスを5mm以下の大きさに破砕して容量50ccの白金坩堝に入れ、アルミナ製のフタをして1000℃の電気炉内へ投入し、1時間保温する。続いて、電気炉を約100℃/時(1000℃から690℃へ3時間)の割合で降温し、690℃の電気炉内で60時間保温した後、白金坩堝を炉外へ取り出してフタを外し、明るい光源の下でガラス内部を目視観察し、失透(結晶)が認められないものを「○」、失透(結晶)が発生していたものを「×」として表記した。
(3)失透消失温度(Tm)及び失透温度(Tx)の差 Tm−Tx
得られたガラスを粒度425〜600μmに破砕し、粉砕したガラス試料を約200mg量り取り、アルミナ製のDTA坩堝にいれ、昇温速度10℃/分で800℃へ加熱する過程で検出される示差熱曲線の吸熱ピークの中で、最高温の吸熱ピーク温度を失透消失温度Tmとする。800℃まで達した後、降温速度5℃/分で300℃へ冷却する過程で検出される示唆熱曲線の最も高温での発熱開始温度Tx(−5)と、同様に800℃まで達した後、降温速度10℃/分で300℃へ冷却する過程で検出される示唆熱曲線の最も高温での発熱開始温度Tx(−10)をそれぞれ各2回測定し、それらの値から、降温速度0℃/分へ外挿した温度を失透温度(Tx)と定義し、差分(Tm−Tx)を算出する。
実施例1および比較例DのTm−Txを表11に示し、また発熱開始温度と降温速度の関係を図1に示す。
(4)粉末法耐酸性
耐酸性(級)は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」JOGIS06−1999に基づき、得られたガラスを粒度425〜600μmに破砕し、破砕したガラス試料を比重グラムとり、白金かごの中に入れ、白金かごを10mmol/l(=0.01N)硝酸水溶液が入った石英ガラス製丸底フラスコに入れて、沸騰水浴中で60分間処理した後、処理後のガラス試料の減量率(%)を算出して、減量率が0.20%未満の場合を級1、減量率が0.20〜0.35%未満の場合を級2、減量率が0.35〜0.65%未満の場合を級3としたものであり、級の数が小さいほど、ガラスの耐水性が優れていることを意味する。
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表1〜8に記載の本発明の実施例のガラスは、本明細書で説明した通常の光学ガラス原料を用いて、所定の割合で秤量・混合した後、白金或いはアルミナなどの耐火物でフタができる機構の白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で900〜1050℃の温度範囲で3〜4時間熔融し、攪拌均質化した後、電気炉内で2〜3時間かけて680℃に下げ、金型などに鋳込み、徐冷することにより得られた。
表1〜8に示したとおり、本発明の好ましい実施例では、いずれも所望の光学恒数を実現しつつ、保温テストにてガラス内部に失透が確認されなかったため、連続生産に好適な耐失透性を有するガラスであることが分かった。また、粉末法耐酸性は、実施例の全てが、3級であった。さらに、実施例1、6〜20、22〜25、27、28においては、元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fが0.27〜0.30であり、かつ、元素質量%比Ba/Srが0.6以上であるため、(Tm−Tx)が20℃以上であり、一方、表9に示した比較例A及びDは、光学恒数は実現したものの、ガラス原料にSi及び/又はBを含有しておらず、かつ、ガラス原料の総質量を基準とした元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fが0.27よりも小さく、かつ、ガラス原料の総質量を基準とした質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)が0.77よりも大きいため、ガラス素地の耐失透性が乏しく、690℃における60時間保温テストにて、ガラス内部に失透発生が確認された。また、比較例B及びCは、ガラス原料にSi及び/又はBを含有しておらず、かつ、ガラス原料の総質量を基準とした元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fが0.30よりも大きく、ガラス素地の耐失透性が乏しいため、比較例Bについては透明なガラスが得られず(内部に結晶が発生し白濁した)、比較例Cでは、690℃における60時間保温テストにて、ガラス内部に失透発生が確認された。比較例Cは、そればかりでなく、ガラス中のBaが多いため、粉末法耐酸性が4級であった。比較例Eは、ガラス原料にSi及び/又はBを含有しておらず、ガラス原料の総質量を基準とした元素質量%比(Si+B+P+Al)/F、Ba/Sr比、ガラス原料の総質量を基準とした質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)のそれぞれが好ましい範囲から若干外れているが、690℃における60時間保温テストでは、ガラス内部に失透発生は認められなかった。しかし、690℃におけるガラス粘性が非常に低く、この温度では、流出ガラスの対流によるすじ状の不均一部分(脈理)が発生しやすく、高均質な光学ガラスが取得しにくいと考えられる。DTA測定による(Tm−Tx)を測定したところ、その値は6℃であり、成形時のガラス粘性を十分には高めにくいと考えられ、安定かつ経済的に所望の光学ガラスが得られにくいと考えられる。
また、表1〜8に記載した実施例のガラスを、冷間加工或いはリヒートプレス加工したところ、ガラス内部に失透発生などの問題は生じず、安定に様々なレンズやプリズム形状に加工できた。また、ガラスの軟化温度が比較的低い実施例のガラスについて、精密モールドプレス成型加工を実施したところ、良好なレンズを取得することが可能であった。
上述のように作製したレンズやプリズムをカメラやプロジェクタに搭載させ、結像特性を確認したところ、特に可視領域における色収差の小さい光学系を実現することが可能であった。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。
本発明によれば、高精度な色収差特性が要求されるカメラやプロジェクタに代表される光学機器の投影レンズやプリズムに好適なガラス素材である、屈折率(nd)が1.41〜1.47、かつ、アッベ数(νd)が90〜100である極低屈折率極低分散ガラスを、ガラス製造時に問題となる、熔融状態から冷却した際に発生する失透(結晶)を効果的に抑制して、安定に取得することができ、この光学ガラスを使用して、高精度なカメラなどの撮像機器及びプロジェクタなどの画像投影(再生)機器のレンズやプリズムを安定に作成できる。
実施例1および比較例Dについての発熱開始温度と降温速度の関係を示すグラフである。

Claims (21)

  1. 元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを0.1〜5.0%、Alを1.0〜20.0%、Fを30.0〜60.0%、Oを1.0〜20.0%を含有し、かつCa、Sr、Baのうち1種以上を必須に含有し、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラス。
  2. 元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを0.1〜5.0%、Alを1.0〜20.0%、Caを3.0〜20.0%、Srを1.0〜20.0%、Baを1.0〜20.0%、Fを30.0〜60.0%、Oを1.0〜20.0%、Mgを0〜10.0%、Yを0〜10.0%含有し、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラス。
  3. 元素質量%で、Si及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラスであって、Pを1.0〜5.0%、Alを8.0〜18.0%、Caを3.0〜18.0%、Srを3.0〜19.0%、Baを3.0〜18.0%、Fを32.0〜58.0%、Oを1.0〜18.0%、Mgを0.3〜8.0%及びYを0.1〜8.0%、並びにLaを0〜5.0%及び/又はGdを0〜5.0%及び/又はLiを0〜3.0%及び/又はNaを0〜3.0%及び/又はKを0〜3.0%含有し、屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラス。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラスであって、元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fが0.15〜0.40の範囲であるガラス。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラスであって、元素質量%比(Si+B+P+Al)/Fが0.20〜0.35、かつ、元素質量%比Ba/Srが0.6〜1.0の範囲であるガラス。
  6. 屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラスであって、
    酸化物以外の原料から導入されるSi及び/又はB、
    燐酸化合物原料から導入されるP、
    燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるAl、Mg、Ca、Sr及びBa
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるY、La、Gd、Li、Na及びK
    を含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラス。
  7. ガラス原料の総質量を基準として、元素質量%で、
    酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満、
    燐酸化合物原料から導入されるPを1.0〜5.0%、
    燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるAlを3.0〜20.0%、
    燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるMgを0.0〜5.0%、
    燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるCaを3.0〜20.0%、
    燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるSrを3.0〜20.0%、
    燐酸化合物及び/又はフッ化物を必須に含有する原料から導入されるBaを3.0〜20.0%、
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるYを0.01〜8.0%未満、
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるLaを0.0〜5.0%、
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるGdを0.0〜5.0%、
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるLiを0.0〜3.0%、
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるNaを0.0〜3.0%、
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるKを0.0〜3.0%、
    フッ化物を必須に含有する原料から導入されるFを35〜65%、
    塩化物原料から導入されるClを0.0〜3.0%、
    臭化物原料から導入されるBrを0.0〜5.0%、
    ヨウ化物原料から導入されるIを0.0〜5.0%、
    燐酸化合物原料及び酸化物原料から導入されるOを0.1〜10%
    含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られる請求項6に記載のガラス。
  8. 元素質量%で、
    酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満、
    燐酸化合物原料から導入されるPを1.0〜5.0%、
    燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるAlを8.0〜18.0%、
    燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるMgを0.3〜3.0%、
    燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるCaを7.0〜15.0%、
    燐酸化合物原料及び/又はフッ化物原料から導入されるSrを11.0〜18.0%、
    燐酸化合物料及び/又はフッ化物原料から導入されるBaを5.0〜15.0%、
    ただし、質量% 和(Sr+Ba)は、20.0〜35.0%、
    フッ化物原料から導入されるYを0.5〜6%未満、
    フッ化物原料から導入されるLaを0.0〜4.0%、
    フッ化物原料から導入されるGdを0.0〜4.0%、
    フッ化物原料から導入されるLiを0.0〜2.0%、
    フッ化物原料から導入されるNaを0.0〜2.0%、
    フッ化物原料から導入されるKを0.0〜1.0%、
    フッ化物原料から導入されるFを40〜55%、
    塩化物原料から導入されるClを0.0〜1.0%、
    臭化物原料から導入されるBrを0.0〜1.0%、
    ヨウ化物原料から導入されるIを0.0〜1.0%、
    燐酸化合物原料及び酸化物原料から導入されるOを0.5〜8%
    含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られる請求項6または7に記載のガラス。
  9. ガラス原料の総質量を基準として、質量%で、
    Al(POを2.0〜10.0%、
    AlFを20〜35%、
    CaFを15〜25%、
    SrFを15〜28%、
    BaFを5〜20%、
    YFを0.1〜10.0%
    含有するガラス原料組成物であり、かつ、元素質量%で、酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を溶融することにより得られる、屈折率(nd)が1.41〜1.47、アッベ数(νd)が90〜100の範囲の光学恒数を有するガラス。
  10. ガラス原料の総質量を基準として、質量%で、
    Al(POを2.0〜10.0%、
    AlFを20〜35%、
    CaFを15〜25%、
    SrFを15〜28%、
    BaFを5〜20%、
    YFを0.1〜10.0%
    含有するガラス原料組成物であり、かつ、元素質量%で、酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有するガラス原料組成物を溶融することにより得られる請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス。
  11. ガラス原料の総質量を基準として、質量%で、
    Al(POを2.5〜10.0%、
    AlFを22〜33%、
    MgFを1〜7.0%、
    CaFを16〜24%、
    但し、質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)は、0.77未満
    SrFを15.5〜27%、
    BaFを6〜18%、
    YFを0.5〜9.0%、
    含有するガラス原料組成物であり、かつ、元素質量%で、酸化物を除く原料から導入されるSi及び/又はBを0.005〜0.2%未満含有することを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られる請求項9又は10に記載のガラス。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスであって、SiO、B、Ba(PO、BaCl、LiF、NaF、KF、LiPF、NaPF、KPFを含有しないことを特徴とするガラス原料組成物を熔融することにより得られるガラス。
  13. ガラス原料の総質量を基準として、質量%で、
    Al(POを2.5〜10.0%、
    AlFを22〜33%、
    MgFを1〜7.0%、
    CaFを16〜24%、
    但し、質量%比(MgF+CaF)/(Al(PO+AlF)は、0.73未満
    SrFを15.5〜27%、
    BaFを6〜18%未満、
    YFを0.5〜9.0%、
    NaSiFを0.0〜3.0%
    SiFを0.0〜3.0%
    但し、質量和(NaSiF+KSiF)は、0.01〜5.0%
    KHFを0.1〜3.0%
    NHF・HFを0.0〜1.0%
    含有し、SiO、B、Ba(PO、BaCl、LiF、NaF、KF、LiPF、NaPF、KPFを含有しないことを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラスであって、屈折率(nd)が1.42〜1.46、アッベ数(νd)が92〜98の範囲の光学恒数を有するガラス。
  14. 請求項6〜13のいずれか一項に記載のガラスであって、ガラス原料の総質量を基準とした元素質量%で、(Si+B+P+Al)/Fが0.20〜0.40の範囲に調整されることを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラス。
  15. 請求項6〜13のいずれか一項に記載のガラスであって、ガラス原料の総質量を基準とした元素質量%で、(Si+B+P+Al)/Fが0.27〜0.30、かつ、Ba/Srが0.6〜1.0の範囲に調整されることを特徴とするガラス原料組成物を溶融することにより得られるガラス。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のガラスであって、1000℃にて熔融した状態から690℃へ冷却した後、690℃で60時間保温しても、ガラス内部に失透(結晶)が発生しないことを特徴とするガラス。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載のガラスであって、DTA測定における昇温過程での失透消失温度(Tm)と降温過程での発熱開始温度から算出される失透温度(Tx)の差が15℃以上であることを特徴とする光学ガラス。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載のガラスであって、日本光学硝子工業会規格JOGIS06-1999「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」により測定するガラスの耐酸性が級1〜3であることを特徴とするガラス。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のガラスを母材とするレンズ・プリズム等の光学素子。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項に記載のガラスをリヒートプレス加工して作成するレンズ・プリズム等の光学素子。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載のガラスで作成した光学素子および光学基板材料を使用するカメラ・プロジェクタなどの光学機器。
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