JP2008086292A - γ−アミノ酪酸含有食品素材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、遊離グルタミン酸を多く含有しかつビタミンやミネラルなどの健康成分を豊富に含む天然素材である海苔を原料として、この天然原料から産生されるGABAを豊富に含むGABA含有食品素材を得ようとするものである。
【解決手段】海苔にγ−アミノ酪酸産生能を有する乳酸菌を作用させることを特徴とするγ−アミノ酪酸含有食品素材の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】海苔にγ−アミノ酪酸産生能を有する乳酸菌を作用させることを特徴とするγ−アミノ酪酸含有食品素材の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
この発明は、γ−アミノ酪酸(以下「GABA」という。)を含有する食品素材の製造方法に関するものである。
GABAは、中枢神経における抑制系の神経伝達物質として、血圧上昇抑制や利尿、抗不安、脳の代謝能亢進などの生理活性を有することが知られている。近年の健康意識の高まりとともに、このような生理活性を利用した様々な健康志向のGABA含有食品の開発が行われている。
例えば、茶葉を嫌気発酵させたギャバロン茶や、玄米を発芽させてなる発芽玄米など素材中のGABA含有量を高めた商品が知られている。また、最近では食品素材そのものGABA含有量を高めるだけでなく、積極的にGABAを添加した菓子、飲料などの多種多様の商品が市販されている。
このようなGABAの製法としては、グルタミン酸を予め有している素材や、グルタミン酸またはその塩を添加した各種食品素材に、GABA産生微生物やグルタミン酸デカルボキシラーゼ酵素(GAD)を作用させグルタミン酸をGABAに変換して、これを豊化させる方法が一般的に行われている。
例えば、成熟トマト処理物にグルタミン酸脱炭酸酵素を作用させて、成熟トマト処理物中に含まれるグルタミン酸の一部をγ−アミノ酪酸にする方法が公知である(例えば特許文献1)。また、グルタミン酸含量200mg%以上の糖化醪に乳酸菌を接取して乳酸発酵を24〜48時間行った後、得られた乳酸発酵液を用いてアルコール発酵及び酢酸発酵を順次行ってGABA含有量が60mg%以上の食酢を製造する方法が公知である(例えば特許文献2)。また、果汁又は野菜搾汁液にγ−アミノ酪酸生成能を有する乳酸菌を添加する飲料の製造方法が公知である(例えば特許文献3)。また、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を蒸した大豆に含有させた培地にグルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養するγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法が公知である(特許文献4)。また、乳製品をプロテアーゼ処理し、次いでグルタミン酸デカルボキシラーゼ産生能を有する乳酸菌及び/又はビフィドバクテリウム属細菌を接種して培養するγ−アミノ酪酸含有発酵乳の製造方法が公知である(特許文献5)。
特開平3−224467号公報(特許請求の範囲1)
特開2005−13146公報(特許請求の範囲,請求項1)
特開2006−25669号公報(特許請求の範囲,請求項1)
特開2004−187501号公報(特許請求の範囲,請求項1)
特開2001−120179号公報(特許請求の範囲,請求項1)
しかしながら、特許文献1ないし3のように、グルタミン酸を予め有している素材にGABA産生微生物の乳酸菌やグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)酵素を作用させて、素材中のグルタミン酸をGABAに変換するものは、素材中のグルタミン酸量が不足しているために、GABAの含有量を十分に豊化することは出来なかった。そこで特許文献4または5のように、素材へのグルタミン酸添加や、予め素材を構成する蛋白質を酵素で加水分解してグルタミン酸を豊化させてから、これにGAD酵素や乳酸菌を作用させる方法が提案されているが、これは自然指向の消費者には必ずしも満足感を与えていないのが実状であった。
即ち、グルタミン豊化のためにグルタミン酸の添加は化学製品の添加である。また、素材のグルタミン豊化のために素材を構成する蛋白質を予め酵素で加水分解する方法は、グルタミン酸を人工的に遊離する化学処理に基づくものでいずれも自然志向の消費者に抵抗感があって好適な方法ということはできない。
この発明は、上記のような問題を解消しようとして、遊離グルタミン酸を多く含有しかつビタミンやミネラルなどの健康成分を豊富に含む海苔を素材として、天然素材から産生されるGABAを豊富に含むGABA含有食品素材を得ようとするものである。
この発明は、海苔にγ−アミノ酪酸産生能を有する乳酸菌を作用させることを特徴とするγ−アミノ酪酸含有食品素材の製造方法(請求項1)、前記海苔が、グルタミン酸またはグルタミン酸塩を含むものである請求項1記載のγ−アミノ酪酸含有素材の製造方法(請求項2)、前記海苔が、蛋白質分解酵素で処理されたものである請求項1記載のγ−アミノ酪酸含有素材の製造方法(請求項3)及び前記乳酸菌を作用させる海苔培地が、pH4.0〜5.5に調整されたものである請求項1記載のγ−アミノ酪酸含有食品素材の製造方法(請求項4)である。
この発明によれば、グルタミン酸を豊富に含む天然の食品素材を原料として、高濃度のGABAを含有する食品素材を簡便な方法で製造することができる。そして、このGABA含有の食品素材は、天然の食品素材に含まれる遊離グルタミン酸を主に利用し、これを変換して得られたものであるから、天然・健康志向によく合致したGABAとすることができる。
この発明は、海苔にγ−アミノ酪酸産生能を有する乳酸菌を作用させてγ−アミノ酪酸含有食品素材を製造するものである。海苔は俗に海の野菜といわれるようにビタミンやミネラル、植物繊維など様々な栄養成分を含む健康食品として知られている。こうした海苔の栄養成分の中でも海苔の旨味呈成分であるグルタミン酸をみると、海苔乾物中には産地や採取時期により異なるが、乾物100g当たりグルタミン酸として4200mg(五訂増補食品成分表)が含まれているだけでなく、その中の遊離のグルタミン酸に限ってみても、最大1840mg、最低でも320mg、平均でも837mgが存在することが報告されている(「食品の遊離アミノ酸含有量表」第2版社団法人日本栄養・食糧学会作成)。
この遊離グルタミン酸の含有量は、他の遊離グルタミン酸が多い食品素材、例えばニンニク約500mg、ナメコ約400mg、マイタケ約250mg、脱脂粉乳約500mgと比較しても高い値を示しており、海苔の健康感と相まってGABA原料としての必要条件を備えているものである。
この発明は、このようなグルタミン酸を多く含む海苔を利用するものであるが、その対象とする海苔は、板状に加工した乾海苔だけでなく加工前の海苔原藻、焼海苔など、その形態や加工度を問わずさまざまな海苔を使用することができる。特に、海苔を焼処理や裁断加工する際に、脆い性状のため擦れ合って大量に発生する海苔微粉末の経済的な利用が可能である。いずれにしても、GABA高含有食品素材を天然素材から得ることを目的とするときは遊離グルタミン酸含有量の高い海苔を使用することが有利である。
しかし、海苔のグルタミン酸含有量は、一般に高級・高価な海苔ほど多く含まれており、これをGABAの原料とするにはコスト的に難しい場合がある。安価な低級品を原料として用いるとGABAの含有量も低下する。そこで、安価な低級品を原料として用いても所定のGABA含有量を維持するようにするため、予め海苔培地中にグルタミン酸やその塩類を添加することや、乳酸菌の接種前に海苔の蛋白質を酵素で分解して基質としてのグルタミン酸を増加させておくことが好ましい。
こうしたグルタミン酸およびその塩類としては、グルタミン酸ナトリウムやグルタミン酸カリウムなどがあげられ、添加量としては海苔重量の30重量%以下が好ましい。30重量%を超える添加は、発酵条件によっては培地中にグルタミン酸が残存するようになり、味覚上好ましいものではない。また、海苔の蛋白質を分解する酵素としては、海苔のタンパク質を分解しグルタミン酸を遊離させるもので、かつ食品として風味を害するペプチドなどを産生しないものであればその種類を問わない。これらは、例えばエンドペプチターゼである糸状菌由来のプロテアーゼなどがあげられる。前者のグルタミン酸などの添加と後者の蛋白質分解の両者を併用して、海苔培地中のグルタミンを豊化させることも可能である。
さらに、この発明では、乳酸菌発酵が進行するにつれて海苔培地のpH上昇がみられ、それに伴い独特の磯くさい臭気を発するものであった。これを防止するためにこの発明では、海苔培地を予め有機酸などでpH4〜5.5に調整した酸性海苔培地で発酵させるようにすることができる。こうした酸性領域で海苔を発酵させると、グルタミン酸をほぼGABAに変換終了しても、海苔由来の磯様臭気の発生を抑制することができる。
こうした海苔培地にGABA産性能を有する乳酸菌を接種するものであるが、その乳酸菌としてはGADの生産菌で、食品として害のないものであれば特に制限されない。例えば、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)に属する乳酸菌などがあげられる。
これらのGADを有する乳酸菌は発酵食品に存在し、特に漬物などにはかなりの確立で存在し分離することができる。分離した菌のGABA変換能力は菌種によって異なるため、グルタミン酸を含む培地で分離菌を培養し、変換効率を液体クロマトグラフイ(HPLC)で調べることで目的にかなう乳酸菌を選抜することができる。本発明での海苔由来のGABA含有食品素材を得る操作を順をおって説明すると次の通りである。
まず、培地の調整であるが、密閉容器に培地となる海苔を入れ、さらに加水して流動性のあるスラリー状とする。原料の海苔は、その性状に関係なく撹拌するだけで容易にスラリー状培地とすることができるため、次の工程の乳酸菌の接種時には容易に接種菌を培地に分散することができる。この場合の加水量は、海苔1重量部に対して水7〜15重量部とすることが好ましい。こうした操作を行う発酵容器としては、専用のジャー、フラスコ、耐熱性を有する袋状の容器などであるが、雑菌の汚染を防ぐため密閉できるものであればその種類を問わない。
低品位の海苔を用いた場合などでは、海苔由来のグルタミン酸含量が少なく、目的とするGABA濃度が得られないことがある。この場合は、スラリー状培地にグルタミン酸又はその塩類を加えるか、或いは蛋白質分解酵素を加えて酵素処理を行い、基質となるグルタミン酸を増加させるようにすることができる。特に、酸性化下で作用するプロテアーゼを使用して予めグルタミン酸を豊化させる方法を採用した場合は有機酸の添加が必須となる。そのpH調整剤としては食品として問題のないクエン酸や乳酸、酢酸などの有機酸の使用が望ましい。
この酵素反応を行う際には、スラリー状培地をpH5.5以下の酸性に調整するか、80℃以上に加熱して殺菌するなどして、酵素処理中に雑菌が増殖するのを防ぐ処置をとることが好ましい。酵素反応が終了した培地は酵素を失活させるための加熱処理を行うことが必要である。また、接種する乳酸菌の至適pHによっては、培地調整時に有機酸、または有機酸とその塩を所定量添加して、発酵を良好なようにすることが必要である。
酵素処理でグルタミン酸を遊離させる処理を行わない場合には、海苔培地中の雑菌の増殖を抑えながら発酵を進めるため培地を滅菌処理する。その滅菌操作としては培地中に蒸気を吹き込む方法や、培養容器自体をオートクレーブなどで加熱する方法で達成できるので、これらを適宜選択して採用すればよい。
次いで、GABA産生能を有する乳酸菌を接種するが、ここで接種する菌数が多いほど培養時間が短縮でき、また雑菌の汚染に対しても有効であるためにその接種量を多くすることが好ましい。そのために、ここに接種する乳酸菌は予め前培養したものを用いることが望ましい。前培養には35℃で24〜48時間が必要である。また、前培養培地は、乳酸菌が増殖できるものであれば特に限定されないが、本培養と同じ培地を用いれば風味の点で好ましい。
さらに前培養した乳酸菌を滅菌した海苔培地に接種して本培養を行う。ここで用いる乳酸菌として、例えばラクトバチルス・ブレビスを用いると、GABA産生速度が培地のpHに依存し、酸性域のpH4〜5.5であれば良好な産性能を示すため、予め有機酸などでpH調整しておくことが好ましい。また、発酵温度は25〜40℃、発酵時間は24〜72時間である。この培養は静置、撹拌のいずれでもよいが、嫌気的条件で発酵を行うことが好ましい。
次に、GABA変換能を有するラクトバチルス・ブレビスを表1に示すpHとなるように、クエン酸で段階的に調整した海苔培地に接種して培養したときの、GABA産生量(培地を遠心分離して得られたエキス100g当たりのGABAのmg量)とpHの関係を図1に示した。培養条件は30℃、48時間として行った。培地は、表1に示す培地をレトルトパウチに充填し、120℃、30分の加圧加熱で減菌したもので、これに乳酸菌を接種した。図1に示すように至適培養pHは4.33〜4.49である。
また、上記と同じ海苔培地でpHを4.33に調整して、段階的に培養温度を変えたときの、GABA産生量(上記と同様)と培養温度との関係を図2に示した。図2に示すように至適培養温度は36℃である。
さらに、上記と同じ海苔培地でpHを4.33に調整して、段階的に培養時間を変えたときの、GABA産生量(上記と同様)と培養時間との関係を図3に示した。図2に示すように至適培養時間は72時間である。
このようにして得られた乳酸発酵を終えた海苔培地には、海苔原料のグルタミン酸濃度に応じたGABAを含むものであった。これは目的とする最終製品に応じて発酵エキスを遠心分離してエキスとして得ることが可能である。また、この発酵培地をそのまま凍結乾燥などで処理することでGABAを含有する乾燥発酵海苔を得ることができる。
(実施例1)
乾海苔12gに水88gを加えてミキサーでホモジナイズした後、120℃、30分間加熱して減菌海苔ペーストを調整した。この海苔ペーストにGABA産生能を有する乳酸菌(Lactobacillus brevis)を接種して25℃、4日間培養した。培養後遠心分離して上澄みを分取し、海苔発酵エキス(1)とした。
乾海苔12gに水88gを加えてミキサーでホモジナイズした後、120℃、30分間加熱して減菌海苔ペーストを調整した。この海苔ペーストにGABA産生能を有する乳酸菌(Lactobacillus brevis)を接種して25℃、4日間培養した。培養後遠心分離して上澄みを分取し、海苔発酵エキス(1)とした。
対象として、乳酸菌を接種しないで25℃、4日間保管した滅菌海苔ペーストを遠心分離して海苔エキス(1)を調整した。得られた海苔発酵エキス(1)および海苔エキス(1)のpH、グルタミン酸含量、GABA含量を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定し、その結果を表2に示した。
表2に示すように、海苔にGABA産生乳酸菌を作用させることにより、海苔に含まれるグルタミン酸を変換発酵させてGABAを含有する食品素材を得ることができる。
(実施例2)
焼海苔を粉砕して調整した海苔パウダー300g、水2200g、グルタミン酸ナトリウム(MGS)25gを混合し、MGS添加海苔ペーストを調整した。これをアルミパウチに200g充填し、120℃、30分間滅菌処理を行った。得られたMGS添加海苔ペーストにGABA産生能を有する乳酸菌(Lactobacillus brevis)を接種し、25℃、2日間培養した。培養後遠心分離して上澄み液を分取し、海苔発酵エキス(2)とした。
焼海苔を粉砕して調整した海苔パウダー300g、水2200g、グルタミン酸ナトリウム(MGS)25gを混合し、MGS添加海苔ペーストを調整した。これをアルミパウチに200g充填し、120℃、30分間滅菌処理を行った。得られたMGS添加海苔ペーストにGABA産生能を有する乳酸菌(Lactobacillus brevis)を接種し、25℃、2日間培養した。培養後遠心分離して上澄み液を分取し、海苔発酵エキス(2)とした。
比較例として、乳酸菌を接種せずに25℃、2日間保管した滅菌海苔ペーストを遠心分離して海苔エキス(2)を調整した。得られた海苔発酵エキス(2)および海苔エキス(2)のpH、グルタミン酸含量、GABA含量をHPLCで測定し、その結果を表3に示した。
表3に示すように、得られた海苔発酵エキス(2)は、実施例1の海苔発酵エキス(1)と同じように、GABA含量が高く、MSGの添加によりGABAの生成量を増大させることができた。
(実施例3)
水200g、クエン酸2g、焼海苔を粉砕して調整した海苔パウダー24gを加熱混合し、80℃、10分間保持したのち50℃に冷却した。これをプロテアーゼ(HBI社製:オリエンターゼ20A(商標))0.1gを少量の水に溶解して添加した。これをさらに全体が226gになるように加水して歩留調整し、50℃で24時間保持した。これを120℃、30分間加熱滅菌したのち、20%クエン酸ナトリウム溶液でpH4.3に調整して酵素処理海苔ペーストとした。
水200g、クエン酸2g、焼海苔を粉砕して調整した海苔パウダー24gを加熱混合し、80℃、10分間保持したのち50℃に冷却した。これをプロテアーゼ(HBI社製:オリエンターゼ20A(商標))0.1gを少量の水に溶解して添加した。これをさらに全体が226gになるように加水して歩留調整し、50℃で24時間保持した。これを120℃、30分間加熱滅菌したのち、20%クエン酸ナトリウム溶液でpH4.3に調整して酵素処理海苔ペーストとした。
これにGABA産生能を有する乳酸菌(Lactobacillus brevis)を接種し、35℃、3日間静置培養したのち、80℃、10分間加熱して乳酸菌を滅菌して培養を終了した。さらに、遠心分離して上澄み液を分取し、海苔発酵エキス(3)とした。比較例として、乳酸菌を接種せず35℃、3日間保管した酵素処理海苔ペーストを遠心分離して海苔エキス(3)を調整した。
表4で示した通り、酵素処理海苔ペーストを用いてもGABAの生成が可能であり、酵素処理を行わない実施例1の海苔発酵エキス(1)より高濃度のGABAを含有するエキスが得られた。また、比較例の海苔エキス(3)はGABAが生成しておらず、プロテアーゼによる酵素処理中にはGABAが生成していないことが確認された。これらにより、海苔を酵素処理した後にGABA産生乳酸菌を作用させることにより、酵素処理しないものと比べ高い濃度のGABAを有する食品素材の製造が可能であることが確認された。
(実施例4)
水2500g、クエン酸25g、焼海苔を粉砕して調整した海苔パウダー300gを、5Lジャーファーメンターにて混合しながら80℃になるまで加熱した。80℃に達した後10分間保持し、50℃に冷却した。これにプロテアーゼ(HBI社製:オリエンターゼ20A(商標))2.5gを水100gに溶解して添加し、50℃で24時間保持した。次いで、MSG50gを水100gに溶解して添加し、オートクレーブで120℃、30分間加熱滅菌して、MSG添加酵素処理海苔ペーストとした。
水2500g、クエン酸25g、焼海苔を粉砕して調整した海苔パウダー300gを、5Lジャーファーメンターにて混合しながら80℃になるまで加熱した。80℃に達した後10分間保持し、50℃に冷却した。これにプロテアーゼ(HBI社製:オリエンターゼ20A(商標))2.5gを水100gに溶解して添加し、50℃で24時間保持した。次いで、MSG50gを水100gに溶解して添加し、オートクレーブで120℃、30分間加熱滅菌して、MSG添加酵素処理海苔ペーストとした。
これにGABA産生能を有する乳酸菌(Lactobacillus brevis)を接種し、35℃、3日間軽く撹拌しながら培養した。その後、80℃、10分間の加熱処理で乳酸菌を滅菌して培養を終了した。さらに、遠心分離して上澄み液を分取し、海苔発酵エキス(4)とした。
表5で示した通り、酵素処理海苔ペーストにMSGを添加することにより、高濃度のGABAを含有する海苔発酵エキスを得ることが出来る。また、この海苔発酵エキスは臭気がまったく感じなかった。
Claims (4)
- 海苔にγ−アミノ酪酸産生能を有する乳酸菌を作用させることを特徴とするγ−アミノ酪酸含有食品素材の製造方法。
- 前記海苔が、グルタミン酸またはグルタミン酸塩を含むものである請求項1記載のγ−アミノ酪酸含有素材の製造方法。
- 前記海苔が、蛋白質分解酵素で処理されたものである請求項1記載のγ−アミノ酪酸含有素材の製造方法。
- 前記乳酸菌を作用させる海苔培地が、pH4.0〜5.5に調整されたものである請求項1記載のγ−アミノ酪酸含有食品素材の製造方法。
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