JP2008081324A - αアルミナ成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度で細孔容積が大きく、かつ大形状で複雑な形状のαアルミナ成形体を簡単に得ることができるαアルミナ成形体の製造方法を提供することである。
【解決手段】少なくとも部分的に再水和性を有するアルミナ粉に表面を再水和抑制剤で被覆する処理を施した後、成形助剤および水と混合して成形し、次いで、得られた成形体に前記再水和抑制剤の再水和抑制能を減じさせる処理を施した後、該成形体を湿潤雰囲気中または水中で保持して再水和させ、該再水和させた成形体を焼成してαアルミナ成形体を製造する方法であって、前記成形助剤および水と混合して成形する際において、さらにαアルミナ繊維を添加することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば各種触媒、各種薬品、食品残渣処理用微生物等の担持用担体や、吸着材、充填材等として好適に用いられるαアルミナ成形体の製造方法に関する。
従来から、αアルミナは、各種触媒、各種薬品、食品残渣処理用微生物等の担持用担体や、吸着材、充填材等として利用されている。例えば各種担体等として利用する場合には、通常、多孔質の成形体として用いることが多く、多くの担持成分を担持させる上で、細孔容積は大きいのが望ましい(例えば、特許文献1,2参照)。他方、例えば触媒担体や吸着剤等として固定床設備で利用する場合には、触媒の抜き取り時や充填時等に起きる圧壊を防ぐ上で、高強度であるのが望ましい。つまり、触媒担体等の用途においては、高強度で細孔容積が大きいαアルミナ成形体が要望されている(例えば、特許文献3参照)。
また、αアルミナ成形体を各種用途に用いる場合には、通常、その形状は用途に応じて設計される。例えば水蒸気改質触媒のように、反応雰囲気が高温高圧であり、かつ原料ガスが大量に流れるプロセスにおいては、圧力損失の低減と活性向上の上で、直径15〜25mm程度の大粒径リング等の大形状で特殊な形状の触媒が用いられる(例えば、非特許文献1参照)。このように、用途によっては大形状で複雑な形状が要望されることがあった。
αアルミナ成形体の製造方法としては、例えば以下の(a),(b)の方法が知られている。
(a)αアルミナ粉末にアルミナゾルやシリカゾル等の無機結合剤等を混合して成形した後、1000〜1600℃の高温で焼成、焼結して、強度の高いαアルミナ成形体を得る方法(例えば、特許文献4参照)。
(b)ギブサイト結晶水酸化アルミニウムを仮焼することにより得られる少なくとも部分的に再水和性を有するアルミナ粉(水硬性アルミナ)を成形し、該成形体を特定の条件で再水和した後、焼成してαアルミナ成形体を製造する方法(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、上記(a)の方法では、必ずしも十分な強度のαアルミナ成形体を得ることはできない。また、上記(b)の方法では、例えば押出し成形により、大形状でリング状や筒状のような複雑な形状の成形体を得ようとする場合には、再水和アルミナに水を混合してから成形品を得るまでの一連の過程(混合、混練、押出し、切断など)に時間がかかる。このため、一連の過程の間に再水和アルミナと水との再水和反応が進行してしまい、成形中に硬化物が生じて安定的に成形することはできない。
一方、遷移アルミナ成形体の製造方法として、再水和性アルミナを再水和抑制剤で部分的または完全に被覆して成形する方法がある(例えば、特許文献6参照)。この方法を利用して得られた遷移アルミナ成形体をさらに高温で焼成すると、αアルミナ成形体を得ることができる。
しかしながら、上記方法で得られるαアルミナ成形体は、強度が不充分なものであった。具体的には、例えば外径15mmφ、内径7mmφ程度の大径リング成形体を調製し、通常の昇温条件である200℃/時程度の昇温速度で昇温して焼成した場合には、亀裂や割れが生じ、収率よくαアルミナ成形体を得ることができない。
特開昭54−89988号公報 特開平2−43952号公報 特表平11−509777号公報 特開平5−329368号公報 特開2003−48768号公報 特開昭55−129149号公報 PETROTECH、P125-128、第25巻第2号(2002)
本発明の課題は、高強度で細孔容積が大きく、かつ大形状で複雑な形状のαアルミナ成形体を簡単に得ることができるαアルミナ成形体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、再水和性を有するアルミナ粉を成形するにあたり、予め該アルミナ粉の表面を再水和抑制剤で被覆すると、押出し成形や射出成形等で成形した場合にもアルミナ粉と水との再水和反応により硬化物が生じたりするのを回避して簡単に成形可能となり、さらに成形原料にαアルミナ繊維を添加すると、成形体を焼成する際に生じる割れの発生を抑制できると共に、焼結を促進することができ、その結果、高強度で細孔容積が大きく、かつ大形状で複雑な形状のαアルミナ成形体を簡単に得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のαアルミナ成形体の製造方法は、少なくとも部分的に再水和性を有するアルミナ粉に表面を再水和抑制剤で被覆する処理を施した後、成形助剤および水と混合して成形し、次いで、得られた成形体に前記再水和抑制剤の再水和抑制能を減じさせる処理を施した後、該成形体を湿潤雰囲気中または水中で保持して再水和させ、該再水和させた成形体を焼成してαアルミナ成形体を製造する方法であって、前記成形助剤および水と混合して成形する際において、さらにαアルミナ繊維を添加することを特徴とする。
成形体を焼成する際に生じる割れの発生を確実に抑制して焼結を促進させる上で、前記αアルミナ繊維を、再水和抑制剤で表面を被覆したアルミナ粉100重量部に対して1〜20重量部の割合で添加するのが好ましい。
本発明によれば、高強度で細孔容積が大きいαアルミナ成形体を、押出し成形や射出成形等によって形成される大形状かつ複雑な形状であっても簡単に得ることができるという効果がある。
本発明のαアルミナ成形体の製造方法は、下記(1)〜(5)の工程を含んでいる。すなわち、
(1)少なくとも部分的に再水和性を有するアルミナ粉に表面を再水和抑制剤で被覆する処理を施す工程(再水和抑制能付与工程)、
(2)前記再水和抑制能付与工程の後、再水和抑制剤で被覆されたアルミナ粉をアルミナ繊維、成形助剤および水と混合して成形する工程(成形工程)、
(3)前記成形工程で得られた成形体に、前記再水和抑制剤の再水和抑制能を減じさせる処理を施す工程(再水和抑制能低減工程)、
(4)前記再水和抑制能低減工程後、得られた成形体を湿潤雰囲気中または水中に保持して再水和させる工程(再水和工程)、
(5)前記再水和工程で再水和させた成形体を焼成する工程(焼成工程)、
である。以下、各工程について説明する。
(1)再水和抑制能付与工程
本発明においては、少なくとも部分的に再水和性を有するアルミナ粉(以下「再水和性アルミナ粉」と称することもある)を原料とする。再水和性を有するアルミナとは、水酸化アルミニウムを熱分解してなる遷移アルミナ(Al23として表される多形を有するアルミナのうち、α形以外の全てのアルミナ)中、例えばχ,ρ−アルミナおよび無定形アルミナ等の再水和可能なアルミナを意味する。
前記再水和性アルミナ粉は、例えばギブサイト結晶水酸化アルミニウムを瞬間仮焼することにより得ることができる。詳しくは、ギブサイト結晶水酸化アルミニウムとは、工業的にはバイヤー工程から得られる三水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等である。瞬間仮焼は、代表的には、焼成雰囲気温度が500〜1200℃、線速度が5〜50m/秒の気流中に同伴させて、接触時間0.1〜10秒間の条件で、灼熱減量3〜10重量%まで焼成することにより実施できる。気流中で焼成された粉末は、通常、サイクロン、バクフィルター、電気集塵機等の公知の方法で気流より分離、回収すればよい。そして、分離、回収と同時に、あるいはその後に冷却することによって、再水和性アルミナ粉を得る。なお、原料とする再水和性アルミナ粉としては、一般に市販されている水硬性アルミナを使用してもよい。
原料とする再水和性アルミナ粉の物性等は、特に制限されないが、灼熱減量は3〜10重量%、BET比表面積は100m2/g以上であることが好ましい。また、結晶形主成分は、χ,ρ−アルミナであるのがよい。
前記再水和性アルミナ粉には、その表面を再水和抑制剤で被覆する処理を施す。これにより、後の成形工程において押出し成形や射出成形等いかなる成形を実施した場合にも、アルミナ粉と水との再水和反応により硬化物が生じたりするのを回避することができ、大形状でかつリング状や筒状のような複雑な形状の成形体であっても容易に製造することができるのである。
前記再水和抑制剤としては、例えば押出し成形や射出成形等の際に、水と再水和性アルミナ粉との再水和反応を抑制し、成形不能になることを回避することができるものであればよく、成形後に簡単にその抑制効果を減じることができる物質がよい。例えば、成形時の温度では水への溶解度が低く、再水和性アルミナ粉の表面を成形中被い続けることができ、成形終了後には加温することで溶解度が上昇し、再水和性アルミナ粉から溶出するような物質がよい。具体的には、例えばカプロン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、サリチル酸、無水マレイン酸、リノール酸等の脂肪酸およびその塩類、セルロース、アルギン酸等の天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の合成高分子、流動パラフィン等のパラフィン類等が挙げられる。
前記再水和性アルミナ粉の表面を再水和抑制剤で被覆する処理は、具体的には、再水和抑制剤を再水和性アルミナ粉に直接添加して混合する方法や、再水和抑制剤を適当な溶媒に分散または溶解させて得られた溶液またはスラリーの中に再水和性アルミナ粉を浸漬させた後、溶媒を揮発させる方法、等によって行うことができる。なお、この被覆処理においては、再水和性アルミナ粉の表面の少なくとも一部が部分的に被覆されてもよいし、再水和性アルミナ粉の表面の全てが被覆されていてもよい。
(2)成形工程
前記再水和抑制能付与工程の後、再水和抑制剤で被覆された再水和性アルミナ粉に、αアルミナ繊維、成形助剤および水を混合して成形する。
本発明では、上記のように成形原料にαアルミナ繊維を添加するので、成形体を焼成する際に生じる割れの発生を抑制でき、かつ焼結を促進することが可能になる。この理由としては、以下の理由が推察される。すなわち、大形状で複雑な形状の成形体を高温に昇温する際には、成形体中の熱の伝わり方に差が生じる。このため、熱膨張係数や焼結速度に差が生じて成形体中に応力分布が発生し、成形体中に微細な亀裂が発生して割れる。
ここで、成形原料にαアルミナ繊維を添加していると、応力で生じた微細な亀裂の伝播が前記αアルミナ繊維によって抑制される。したがって、昇温過程で割れの発生を抑制することができる。さらに、αアルミナ繊維が遷移アルミナからαアルミナへの転移を促進する核として機能することにより焼結が促進され、その結果、高強度のαアルミナ成形体が得られる。
一方、αアルミナ繊維以外の無機繊維を成形原料に添加しても、昇温過程での割れを抑制することは可能である。例えば、一般的なセラミック繊維であるアルミナシリケート系繊維を用いると、昇温過程での割れを抑制して成形体を得ることができる。しかし、アルミナ以外の不純物としてシリカ質を含むので、シリカ質を嫌う触媒用途には使用できない。また、遷移アルミナからαアルミナへの転移が抑制されて比表面積が低くなる。
前記αアルミナ繊維とは、αアルミナが主成分である繊維を意味する。該αアルミナ繊維は、通常、アルミナの含有量が95重量%以上、好ましくは97重量%以上であるのがよい。該αアルミナ繊維の形状としては、平均長さが約30〜300μm、平均直径が約1〜20μm、アスペクト比(長さ/直径)が1.5〜200であるのが好ましい。このようなαアルミナ繊維の具体例としては、例えば電気化学工業(株)社製の商品名「アルセンB−100」等が挙げられる。
前記αアルミナ繊維は、再水和抑制剤で表面を被覆したアルミナ粉100重量部に対して1〜20重量部の割合で添加するのが好ましい。これにより、成形体を焼成する際に生じる割れの発生を確実に抑制して焼結を促進させることができる。これに対し、αアルミナ繊維の添加量が1重量部より少ないと、αアルミナ繊維を添加することにより得られる効果が十分でないおそれがあり、20重量部より多いと、繊維が絡み合い成形体中の分散が悪くなり、成形ダイ目詰まりの原因となり、安定生産できなくなるおそれがあるので好ましくない。
前記成形助剤としては、特に制限されないが、例えばメチルセルロース等のセルロース類、ビニルアルコール類、ワックス類等の有機結合剤;潤滑剤;等が挙げられる。また、例えば有機結合剤を用いる場合には、粉末の状態で用いてもよいし、予め水などに分散または溶解させた状態で用いてもよい。
再水和性アルミナ粉に、前記αアルミナ繊維および成形助剤と共に水を混合するに際しては、前記再水和抑制剤として溶解度や融点を利用したものを用いた場合には、押出し成形や射出成形時の溶解度上昇や温度上昇を避けるため、冷水または氷水を使用するのがよい。
成形方法は、特に制限されるわけではないが、大形状でかつリング状ないしは筒状のような複雑な形状であっても容易に製造できるという本発明の効果を活用するうえでは、押出し成形や射出成形など、工業的に大形状かつ複雑な形状を形成するのに適した成形方法を採用するのが望ましい。押出し成形や射出成形を行う場合には、再水和抑制剤で覆われた再水和性アルミナ粉は、αアルミナ繊維、成形助剤および水と混合された後、混練され粘土状材料とされて成形に供される。
成形される形状としては、特に制限はなく、例えば球状、円柱状、リング状、筒状、板状、ハニカム状、塊状など、いかなる形状であってもよいが、前述と同様、本発明の効果を活用する上で、大形状でかつ複雑な形状であるのが望ましい。具体的には、前記大形状としては、外形が10mm以上、好ましくは10〜100mm程度であるのがよい。また、複雑な形状としては、例えばリング状や筒状のほか、複数の貫通孔を有する形状(例えばスポークリング状、レッシングリング状、パーティションリング状等)等が挙げられる。なお、球状に成形する場合には、押出し成形後、例えばマルメライザー等で球状化するようにしてもよい。
成形に際しては、得られるαアルミナ成形体の細孔構造や強度を損なわない範囲で、混合する水の中に他の無機化合物を添加することもできる。他の無機化合物としては、例えば再水和性を有さないアルミナ(例えばαアルミナ)、アルミニウム塩、シリカ、粘土、タルク、ベントナイト、ゼオライト、コーディエライト、チタニア、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、ジルコニア、ムライト、シリカアルミナ等が挙げられる。ただし、無機化合物として酸化物以外の塩を用いる場合には、該塩は後の焼成工程で分解して酸化物になりうるものでなければならない。
(3)再水和抑制能低減工程
前記成形工程で得られた成形体には、前記再水和抑制剤の再水和抑制能を減じさせる処理を施す。これにより、後の再水和工程で充分に再水和できるようになり、その結果、最終的に得られるαアルミナ成形体の機械的強度を向上させることができる。ここで、再水和抑制能を減じさせるとは、成形体を構成する再水和性アルミナ粉の表面を被覆している再水和抑制剤の少なくとも一部を、該成形体からとり除くことを意味する。つまり、成形体中の再水和抑制剤が少しでも低減されればよく、必ずしも成形体中から再水和抑制剤を完全にとり除くことを要するものではない。
再水和抑制能を減じさせる処理は、用いた再水和抑制剤の性質に応じた方法を適宜採用すればよく、特に限定はされないが、再水和性アルミナ粉自体の再水和性を損なわせない方法が望ましい。具体的には、例えば再水和抑制剤として水に不溶な物質を使用した場合には、水以外の溶媒で溶出させるようにすればよい。再水和抑制剤として、低温で水への溶解度が低く、温度を上げれば溶解度が上がる物質を使用した場合には、温水で溶出させるようにすればよい。再水和抑制剤として、脂肪酸のように低温では固体であるが温度が上がると溶融する物質を使用した場合には、温度を上げて溶出させるようにすればよい。また、溶出させる際には、温水に浸すことで溶出を加速させることもできる。
(4)再水和工程
前記再水和抑制能低減工程後、再水和抑制能を減じさせた成形体を再水和させる。これにより、成形体を構成する再水和性のアルミナは、実質的に完全に再水和してベーマイト結晶水酸化アルミニウムになる。その結果、最終的に得られるαアルミナ成形体の機械的強度を向上させることができる。
再水和は、成形体を湿潤雰囲気中または水中に保持することにより実施できる。ここで、湿潤雰囲気中とは、具体的には、水蒸気中もしくは水蒸気含有ガス中を意味する。
再水和の際の保持温度としては、110〜250℃、好ましくは150〜200℃であるのがよい。これに対し、再水和の際の保持温度が110℃未満であると、得られるαアルミナ成形体の強度が不充分となるおそれがあり、250℃を超えると、細孔容積が低下するおそれがあると共に、実際に250℃以上の温度で保持するには高価な耐圧設備等が必要となり経済的に不利となる。
再水和の際の保持時間は、保持温度などに応じて設定すればよく、特に制限はないが、一般に、10分間〜1週間、好ましくは1時間〜10時間、より好ましくは1時間〜5時間とするのがよい。
なお、再水和処理に先立って、予備焼成をしてもよい。これにより、再水和処理の効果が増大し、得られるαアルミナ成形体の強度をより向上させることができる。
(5)焼成工程
前記再水和工程で再水和させた成形体には、該成形体中の付着水分や結晶水を除いてαアルミナ化(以下「α化」と称する)させるために、焼成を施す。焼成温度は、得ようとする成形体製品の目標α化度や比表面積等に応じて適宜選択すればよく、特に制限されないが、通常、1200℃以上、好ましくは1300〜1400℃とするのがよい。焼成の際の時間は、焼成温度などに応じて設定すればよく、特に制限はないが、一般に、1時間〜5時間、好ましくは1時間〜3時間とするのがよい。焼成の方法は、特に制限はなく、例えば燃焼ガス、電気ヒーター等による間接加熱、赤外線加熱等の公知の方法により実施すればよい。なお、焼成工程に先立って、自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の公知の乾燥方法で予め付着水分を除去しておくこともできる。
本発明のαアルミナ成形体の製造方法においては、必要に応じて、種々の添加物を添加することができる。例えば、得られたαアルミナ成形体を触媒担体として用いる場合であれば、αアルミナ成形体の強度や細孔構造に影響を与えない範囲で、あらかじめ、貴金属等の触媒成分の前駆体(例えば、塩化白金酸など)を成形工程や再水和工程後などに添加しておくことができる。また、得られるαアルミナ成形体の細孔制御のために、強度が著しく低下しない範囲で、焼失有機物を添加しておくこともできる。これらの添加物を用いる場合、再水和抑制能付与工程の前後いずれに添加してもよい。
本発明のαアルミナ成形体の製造方法においては、上記(1)〜(5)の工程のほかに、例えばNa2O分を除去する目的で、再水和工程を行った後に成形体を水または温水に接触させて洗浄するなど、通常行われている公知の処理を適宜実施することができる。
以上のような本発明の製造方法により得られたαアルミナ成形体は、割れや亀裂がなく大形状で複雑な形状であり、通常、BET比表面積が0.1〜10m2/gであり、細孔容積が0.20cm3/g以上であり、耐圧強度が10daN/cm2以上である。前記耐圧強度とは、単位断面積あたりの破壊強度(daN/cm2)を意味するものであり、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。
本発明のαアルミナ成形体の製造方法によって得られた成形体は、各種触媒、各種薬品、食品残渣処理用微生物等の担持用担体や、吸着材、充填材などの用途において好ましく用いられるものである。とりわけ、触媒の中でも、水素製造用改質触媒、エチレンオキシド製造用触媒等の触媒の担体として特に有用である。また、本発明のαアルミナ成形体の使用形態は、特に限定されず、例えばそのままの形態で充填剤として使用することもできるし、貴金属等を担持させて触媒として使用することもできる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において示す各物性値(結晶形、BET比表面積、耐圧強度および細孔容積)の測定方法は、以下に示す通りである。
(結晶形の測定方法)
理学電機社製の粉末X線回折装置を用いて測定した。
(BET比表面積の測定方法)
マウンテック社製の比表面積測定装置を用いて測定した。
(耐圧強度の測定方法)
試料とするリング状のαアルミナ成形体について、外径a、内径b、長さcをマイクロメーターで測定し、さらに硬度試験機(アイコウエンジニアリング社製の「MODEL1307」)により径方向に加圧したときの破壊強度F(daN)を測定し、得られた値を下記式(I)に当てはめて、耐圧強度(daN/cm2)を算出した。なお、耐圧強度は、10個のリング状αアルミナ成形体の平均値で求めた。
Figure 2008081324
(細孔容積の測定方法)
カンタクローム社製のポロシメーター(オートスキャン33型)を用いてHg圧入法にて測定した。
再水和性を有するアルミナ(住友化学(株)社製の商品名「水硬性アルミナBK−112」)100重量部に再水和抑制剤としてステアリン酸2重量部を加え、振動ミルで1.5時間混合して、上記アルミナの表面を再水和抑制剤(ステアリン酸)で被覆した。アルミナ表面がステアリン酸で被覆されていることは、得られた混合粉を約5gとり、水50mLおよびシリコンオイル50mLが入っている100mLビーカーに仕込み、300rpmで1分間攪拌後、1分間静置したときに、粉末がシリコンオイル中に分散していることによって確認した。
次に、再水和抑制剤で被覆された上記アルミナ100重量部に、αアルミナ繊維(電気化学工業(株)社製の商品名「アルセンB−100」、繊維の平均長さ:30〜150μm、繊維の平均直径:3μm)6重量部、成形助剤としてメチルセルロース4重量部および氷水30重量部を混合し、混練機で混練した。ついで、混練物をスクリュー型押出し機に投入し、押出し後に切断して外径15mmφ、内径7mmφ、長さ15mmのリング状の成形体を得た。
次に、得られた成形体を80℃の温水に24時間浸漬することにより、該成形体に含まれる再水和抑制剤(ステアリン酸)を溶出させて再水和抑制能を減じさせた。浸漬後、温水の表面に白濁が認められたことから、成形体からステアリン酸が溶出し、その再水和抑制能が低減されたことを確認した。
次いで、浸漬した後の成形体を水切りし、ガラス製ビーカーに入れてステンレス製オートクレーブに仕込み、さらに該オートクレーブには別に水を仕込み、その後、150℃まで昇温し、同温度で飽和水蒸気中に8時間保持することにより再水和処理を施した。
次に、再水和処理が施された成形体をアルミナ製坩堝に約200g仕込み、電気炉に入れ、1300℃まで200℃/時で昇温した後、2時間保持することにより焼成した。得られた焼成品に割れは観察されず、その結晶形を調べたところα型であり、αアルミナ成形体が得られたことがわかった。このαアルミナ成形体の物性を表1に示す。
[比較例1]
αアルミナ繊維を添加しない以外は、上記実施例1と同様にしてαアルミナ成形体を得た。その結果、得られたαアルミナ成形体には、割れが観察された。このため、耐圧強度を測定することはできなかった。
[比較例2]
αアルミナ繊維に代えて、セラミック繊維(サンゴバン・テイエム社製の商品名「RFC400SL」、SiO2含有量:53重量%、繊維の平均長さ:100〜400μm、繊維の平均直径:2〜4μm)を用いた以外は、上記実施例1と同様にしてαアルミナ成形体を得た。
得られた焼成品に割れは観察されず、その結晶形を調べたところα型であり、αアルミナ成形体が得られたことがわかった。このαアルミナ成形体の物性を表1に示す。
Figure 2008081324
表1から明らかなように、実施例1の成形体は、割れが発生せず、耐圧強度が高く、しかも細孔容積も充分に大きいことがわかる。この結果から、高強度で細孔容積が大きく、かつ大形状で複雑な形状のαアルミナ成形体を得ることができたと言える。
一方、αアルミナ繊維を添加しなかった比較例1の成形体では、割れが生じた。また、αアルミナ繊維に代えてセラミック繊維を添加した比較例2の成形体では、割れは発生しなかったものの、BET比表面積、耐圧強度および細孔容積の結果が、実施例1の成形体よりも劣る結果を示した。

Claims (2)

  1. 少なくとも部分的に再水和性を有するアルミナ粉に表面を再水和抑制剤で被覆する処理を施した後、成形助剤および水と混合して成形し、次いで、得られた成形体に前記再水和抑制剤の再水和抑制能を減じさせる処理を施した後、該成形体を湿潤雰囲気中または水中で保持して再水和させ、該再水和させた成形体を焼成してαアルミナ成形体を製造する方法であって、
    前記成形助剤および水と混合して成形する際において、さらにαアルミナ繊維を添加することを特徴とするαアルミナ成形体の製造方法。
  2. 前記αアルミナ繊維を、再水和抑制剤で表面を被覆したアルミナ粉100重量部に対して1〜20重量部の割合で添加する請求項1記載のαアルミナ成形体の製造方法。
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