JP2008077958A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インキのはじき等がなく膜厚均一性に優れたな膜形成を行うことで、欠陥やムラのない有機EL素子の製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板上に隔壁パターンを形成する工程と、上記隔壁で囲まれた領域に凸版印刷法により正孔輸送インキを転写して層を形成する工程とを少なくとも有し、該正孔輸送インキの表面張力が40mN/m以下である有機EL素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL素子の製造方法に関し、さらに詳しくは、凸版印刷方式により正孔輸送層が形成される有機EL素子において、はじきやムラの無い各画素で均一な発光をする有機EL素子の製造方法に関する。
有機発光デバイスは、二つの対向する電極の間に正孔輸送材料からなる正孔輸送層及び有機発光材料からなる有機発光層が形成される。ここではこれらの層を合わせて有機発光層と呼ぶことにする。有機発光デバイスはこれらの有機発光層に電流を流すことで発光させるものであるが、効率よく発光させるには有機発光層の膜厚が重要であり、100nm程度の薄膜にする必要がある。さらに、これをディスプレイパネル化するには高精細にパターニングする必要がある。
有機発光層を形成する正孔輸送材料及び有機発光材料には、低分子材料と高分子材料が有り、一般に低分子材料は真空蒸着法等により薄膜形成し、このときに微細パターンのマスクを用いてパターニングするが、この方法では基板が大型化すればするほどパターニング精度が出にくいという問題がある。また、真空中で成膜するためにスループットが悪いという問題がある。
そこで、最近では高分子材料を溶剤に溶かして塗工液にし、これをウェットコーティング法で薄膜形成する方法が試みられるようになってきている。高分子材料の塗液を用いてウェットコーティング法で有機発光層を含む有機発光媒体層を形成する場合の層構成は、陽極側から正孔輸送層、有機発光層と積層する二層構成が一般的である。このとき、有機発光層はカラーパネル化するために赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの発光色をもつ有機発光材料を溶剤中に溶解または安定して分散してなる有機発光インキを用いて塗り分ける必要がある。
一方、正孔輸送層はパターニングせずに、有機ELディスプレイパネルの画像形成に関わる部分全体に全面塗布、いわゆるベタ塗りする方法が一般的であり、スピンコート法やダイコート法といったコーティング法を用いて形成されてきた。これは、正孔輸送層の膜厚は一般に100nm以下の薄膜であり、層の横方向へ流れる電流よりも厚み方向へ流れる電流のほうが圧倒的に流れやすく、よって電極がパターニングされていれば、電流の画素の外へのリークは非常に少ないといわれていたためである。
しかしながら、上記塗布方法では画素毎のパターニングが不要であったとしても、封止のための接着剤が塗布される場所や、ドライバチップの実装場所にも膜が形成されてしまうため、成膜後に正孔輸送層の不要部の拭き取り・除去の工程が必要であった。
したがって、有機発光層だけでなく電荷輸送層も画素電極上にのみにパターン形成することは工程短縮やコスト削減を狙う上では非常に需要であった。
正孔輸送層を形成する正孔輸送材料は(3、4−ポリエチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)といった高分子材料からなる。正孔輸送材料を溶媒に溶解または安定して分散させ正孔輸送インキとするには、高分子材料の溶解性の問題と、薄膜を作る必要性の両方の問題から濃度を2%前後と低くする必要がある。
濃度が2%前後の低粘度の正孔輸送インキをパターン形成する際にはインキの広がりを
防止するため隔壁が必要となる。これは、画素電極間にある絶縁層の高さを大きくし、隔壁として使用することで解決される。隔壁で仕切られた画素電極内に正孔輸送インキを形成させる方法としては、インクジェット法などが考えられる。
インクジェット法ではインクジェットノズルからインキを被印刷部位に複数回滴下する方式であり、ノズルと被印刷基板に距離があり、インキは自身の重力でのみ隔壁内の被印刷部位に広がる。したがって、インクジェット法では隔壁に囲まれた被印刷部位全てにインキを転写することが難しく、特に画素電極の縁部においては印刷抜けが発生しやすいという問題がある。
インクジェット法において印刷抜けが発生しないようにする方法も考案されているが、そのためには十分にインクを開口部に盛る必要があるが、隔壁よりインクがあふれ出すことを防ぐために隔壁に撥水処理をする必要があり工程が増えてしまうという問題点がある。撥水性のある隔壁に滴下されたインクは山盛り状態になるが、このことは画素内の膜厚均一性が悪いことにつながるため、ディスプレイパネルの均一性や安定性の面で問題がある。
上記のように表示品位の良いフルカラーパネルを作製するためには各層の効果的なパターン形成方法が不可欠となるが、工業的に有益なものとするためには薄膜形成方法が安価で簡単なものである必要がある。
一方、凸版印刷法においては凸版の凸部を被印刷部位に押し付けるため、版による押し付けと隔壁により形成された空間を凸版が埋めることにより、インキは隔壁で囲まれた画素内を横方向に強く押し広げられる。したがって、画素電極の縁部における印刷抜けが発生しにくい。又、凸版印刷は簡便であり、インクジェット方式等と比較してスループットがよいという長所を有する。したがって、正孔輸送インキから正孔輸送層を形成するに当り、凸版印刷法は好適である。
凸版印刷法とは広義には画線部が凸形状をしている版すなわち凸版を用いる全ての印刷法を言うが、本発明で述べる凸版印刷法とはゴム版または樹脂版からなる凸版を用いる印刷方式を示すこととする。又、印刷業界ではゴム凸版を用いるものをフレキソ印刷といい、樹脂凸版を用いるものを樹脂凸版印刷と区別して呼んでいるが、本発明では両者を特に区別せず、凸版印刷法と呼ぶこととする。凸版印刷方式で用いられるゴム版や樹脂版は、現在は感光性のゴム版や樹脂版が主に用いられているが、凸版の材質も多様化し、感光性ゴム版と感光性樹脂版の区別も不明確になってきており、本発明ではこの区別も特に設けず、両者とも感光性樹脂凸版と呼ぶことにする。
しかし、凸版印刷法で欠陥やムラの無い均一な正孔輸送層を形成し良好な有機ELディスプレイを得るためには、凸版印刷法で転写されるインキ量は少量であることから、一旦基板上に転写されたインキが隔壁などからはじかれることがない様に充分濡れ性の良いインキ組成とすることが必要であった。
また印刷版に対する正孔輸送層インキの濡れ性も重要であるが、良好な印刷をするためには濡れ過ぎることも不適切であり適度な範囲に調整することが重要であった。
特許文献1によれば界面活性剤を添加することにより表面張力を低下させることが出来、その結果ピンホールやハジキのない膜が得られるとのことであるが、多くの場合界面活性剤は成膜後も膜表面に残存し、その上に膜を積層する場合に膜同士の密着性が弱くなることや、薄膜の積層からなる有機EL素子においては素子特性や寿命に悪影響を与えることが指摘されているため使用すべきではない。
表面張力を下げる別の方法としてはメタノールやエタノール、2−プロパノール等の添加することによる表面張力低下が良く実施されている。しかし上記アルコール類は水溶性インキに容易に溶けるがウェット膜形成後はアルコール成分が水より先に速やかに蒸発してしまい、このため乾燥状態が膜内で不均一になってしまいムラの発生原因となっていた。
以下に公知の文献を記す。
特開2005−5020号公報
本発明では、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは隔壁で区切られた画素内に凸版印刷法によりインキを転写して正孔輸送層を形成する方法において、インキのはじき等がなく均一な膜形成を行うことで、欠陥やムラのない有機EL素子の製造方法を提供することである。
ところで本発明者の検討によれば、正孔輸送インキの表面張力を下げることにより、さらには適切な有機溶剤を適切な分量だけ添加した正孔輸送インキを用いることにより、良好なパターン形成が可能な正孔輸送インキを得ることができた。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、請求項1に係る発明として透明基板上に隔壁パターンを形成する工程と、該隔壁で囲まれた領域に凸版印刷法により正孔輸送インキを転写して正孔輸送層を形成する工程とを少なくとも有する有機EL素子の製造方法において、該正孔輸送インキが水溶性インキであって、少なくとも1種類以上の水に対して20体積%以上の比率で混合可能であり、かつ20℃での蒸気圧が3kPa以下であり、かつ沸点が200℃以下である有機溶剤を含んでなり、該有機溶剤の合計添加量が1〜50体積%であり、該正孔輸送インキの表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする有機EL素子の製造方法とした。
また請求項2に係る発明としては、正孔輸送層転写後に減圧乾燥工程を含むことを特徴とする請求項1記載の有機EL素子の製造方法とした。
また請求項3に係る発明としては、正孔輸送インキの凸版印刷法で用いる感光性樹脂凸版に対する接触角が10°以上50°以下であることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子の製造方法とした。
凸版印刷法によりインキを転写して正孔輸送層を形成する工程を含む有機EL素子の製造方法において、インキのはじき等がなく均一な正孔輸送層形成を行うことで、欠陥やムラのない有機EL素子を得ることが出来た。
本発明の実施形態を、パッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルを作成する場合を例に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の有機ELディスプレイパネル断面の模式図を図1に示す。
有機ELディスプレイパネルにおける有機EL素子は透光性基板1上に形成される。透
光性基板1としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチック製のフィルムを用いれば、巻取りにより高分子EL素子の製造が可能となり、安価にディスプレイパネルを提供できる。そのプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、これらのフィルムは水蒸気バリア性、酸素バリア性を示す酸化ケイ素といった金属酸化物、窒化ケイ素といった酸化窒化物やポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物からなるバリア層が必要に応じて設けられる。
透光性基板の上には陽極としてパターニングされた画素電極2が設けられる。画素電極2の材料としては、ITO(インジウム錫複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム複合酸化物等の透明電極材料が使用できる。なお、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性があることなどからITOが好ましい。ITOはスパッタ法により透光性基板上に形成されフォトリソ法によりパターニングされライン状の画素電極2となる。
ライン状の画素電極2を形成後、隣接する画素電極の間に感光性材料を用いて、フォトリソグラフィー法により隔壁3が形成される。さらに詳しくは、感光性樹脂組成物を基板に塗布する工程と、パターン露光、現像、焼成して隔壁パターンを形成する工程と、該隔壁パターンに光照射等を施して親水化させる工程と、を少なくとも有する。
隔壁を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁が十分な絶縁性を有さない場合には隔壁を通じて隣り合う画素電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるがこれに限定するものではない。また、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。
隔壁3を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いて塗布される。
次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像方法により隔壁部のパターンを形成できる。
また焼成に関してはオーブン、ホットプレート等での従来公知の方法により焼成を行うことができる。
前記該隔壁パターンに光照射を施して親水化させる工程では、基板の上面から紫外線等を照射して隔壁部および陽極部分を親水化させる。照射する光としては、一般に親水化処理等の紫外線洗浄に用いられる紫外線が好ましく、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等による紫外線照射処理が好ましい。尚、本工程は正孔輸送層4を形成する直前に行われることが好ましい。
本発明における隔壁3は、厚みが0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。隔壁3を隣接する画素電極間に設けることによって、各画素電極上に印刷された正孔輸送インキの広がりを抑え、また透明導電膜端部からのショート発生を防ぐことが出来る。隔壁が低すぎるとショートの防止効果が得られないことがあり注意が必要である。
また、例えばパッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルにおいて、画素電極の間に隔壁3を設けた場合、隔壁を直行して陰極層を形成することになる。このように隔壁をまたぐ形で陰極層を形成する場合、隔壁3が高すぎると陰極層の断線が起こっ
てしまい表示不良となる。隔壁3の高さが5.0μmを超えると陰極の断線がおきやすくなってしまう。
隔壁3形成後、正孔輸送層4を形成する。本発明では正孔輸送層4を形成する正孔輸送インキとして水溶性系であって表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。さらに好ましくは35mN/m以下である。表面張力が40mN/mより大きい場合、正孔輸送インキが基板上でピンホールやハジキを発生するためである。
上記のように表面張力を40mN/m以下とする方法としては、少なくとも1種類以上の水以外の溶剤の添加による方法が好ましい。界面活性剤の使用は製膜時にはムラの無い膜を作成することが容易になるが、乾燥後も正孔輸送層膜上界面活性剤が残ってしまい、そのため積層される層との密着性不良や特性・寿命の低下の原因となるためである。
また正孔輸送インキに添加される溶剤としては、少なくとも水に対して20体積%以上の比率で混合可能であり、該有機溶剤の20℃での蒸気圧が3kPa以下であることが望ましい。蒸気圧が3kPaより大きい場合、水溶性の正孔輸送インキを基板上に形成した時に、溶媒である水より先に溶剤分のみ先に蒸発してしまい、塗膜が乾燥ムラを発生することになるためで問題である。また、該正孔輸送インキに添加される有機溶剤の沸点は200℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは180℃以下である。沸点が200℃より高い場合、該有機溶剤を十分揮発させるために200℃以上の加熱が必要となり、正孔輸送材料が熱劣化を起こし素子特性の劣化につながるためである。また、加熱が不十分な場合には溶剤が膜中に残ってしまうことになるが、残留溶剤は特性悪化・寿命低下につながり問題である。
上記の様な条件を満足する溶剤としては、1−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチルセロソルブ、酢酸メチルセロソルブ、ジグライム、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、2−アミノエタノール、乳酸エチル等が挙げられるがこれに限定するものではない。
これらの水に対して20体積%以上の比率で混合可能であり、かつ20℃での蒸気圧が3kPa以下であり、かつ沸点が200℃以下である有機溶剤はインキに対して添加量が1〜50体積%であることが好ましい。1体積%未満では溶剤添加による表面張力低下の効果が十分期待できないためであり、50%より多い添加量では正孔輸送材料がインキ中で凝集したりする危険が高くなるためである。
正孔輸送インキに添加し、正孔輸送材料を溶解または分散させる溶媒としては、上記であげた溶剤以外に例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール系、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、セロソルブ系、カルビトール系、等の溶媒などが挙げられる。
上記のような正孔輸送インキとしては導電率や正孔輸送性の点からポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が特にこのましい。この材料は溶媒に溶解または分散させ、正孔輸送材料インキとなり、本発明の凸版印刷方法を用いて形成される。なお、形成される正孔輸送層の体積抵抗率は発光効率の点から1x106 Ω・cm以下のものが好ましい。
正孔輸送インキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収
剤等が添加されても良いが選定には素子特性や寿命が悪くならない様、十分な調査が必要である。
図2に正孔輸送材料からなる正孔輸送インキを、画素電極、隔壁が形成された被印刷基板上に凸版印刷法によりパターン印刷する際の凸版印刷装置の概略図に示した。本製造装置はインクタンク10とインキチャンバー12とアニロックスロール14と凸版が設けられた版16がマウントされた版胴18を有している。インクタンク10には溶剤で希釈された有機発光インキが収容されており、インキチャンバー12にはインクタンク10より正孔輸送インキが送り込まれるようになっている。アニロックスロール14はインキチャンバー12のインキ供給部に対して回転可能に設けられている。
アニロックスロール14の回転に伴い、アニロックスロール表面に供給された正孔輸送インキのインキ層14aは均一な膜厚に形成される。このインキ層はアニロックスロールに近接して回転駆動される版胴18にマウントされた版16の凸部に転移する。平台20には、透明電極および隔壁が形成された被印刷基板24が版16の凸部による印刷位置にまで図示していない搬送手段によって搬送されるようになっている。そして、版16の凸部にあるインキは被印刷基板24に対して印刷され、必要に応じて乾燥工程を経て被印刷基板上に正孔輸送層が形成される。
なお、今回凸版に使用した感光性樹脂凸版は水現像タイプのものを使用した。感光性樹脂版には、露光した樹脂版を現像する際に用いる現像液が有機溶剤である溶剤現像タイプのものと現像液が水である水現像タイプのものがある。溶剤現像タイプのものは水系のインキに耐性を示し、水現像タイプのものは有機溶剤系のインキに耐性を示す傾向があるが、この限りではなく正孔輸送インキに耐性を持ったものであればいずれの樹脂凸版も用いることができる。
ここで作製された樹脂凸版と正孔輸送インキの接触角は10°以上50°以下であることが好ましい。樹脂凸版と正孔輸送インキの接触角は正孔輸送インキの表面張力だけで決まるものではなく、樹脂凸版との組み合わせにより変化するが、一般にインキ表面張力を下げると接触角は下がる傾向がある。ここで樹脂凸版と正孔輸送インキの接触角が10°より低いと正孔輸送インキが樹脂凸版上で凹部まで濡れ広がってしまう部分が発生するなど、印刷不良の原因となってしまい好ましくない。また接触角が50°より高くなると、アニロックスロールから樹脂凸版にインキが転写された際に樹脂凸版上での正孔輸送インキが塗れ広がらないため、基板転写後にモアレ模様が見えたり、ピンホールが発生したりするため好ましくない。
上記により隔壁3形成した基板1に前述の凸版印刷法により正孔輸送インキを印刷して正孔輸送層4を形成し、正孔輸送層4を焼成したのち次の工程に進む。
ここで、凸版印刷法により正孔輸送層を形成した後すみやかに減圧乾燥を行うことが好ましい。減圧乾燥により速やかに溶媒分が蒸発し、乾燥ムラ等が発生しないためである。減圧乾燥工程が無い場合、室温や湿度の影響や気流の影響により乾燥状態が面内で微妙に変化することなどが原因になり、乾燥ムラが発生する場合があるためである。
正孔輸送層の焼成温度は正孔輸送層がPEDOT/PSSの場合、130℃〜230℃で10分〜60分間加熱することが好ましい。ここで焼成温度が130℃未満では正孔輸送層の焼成条件としては低く、正孔輸送層からの水分の蒸発不足などの問題が懸念される。水分が隔壁中に残ると発光材料が水分により汚染劣化されてしまうためである。また230℃以上では温度が高すぎるために正孔輸送層が熱劣化してしまう危険がある。また時間が10分以下では短いために焼成不足となるし、60分以上では生産性が劣るため好ましくない。
正孔輸送層4形成後、有機発光層を形成する。有機発光層は電流を通すことにより発光する層であり、有機発光層を形成する有機発光材料は、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’―ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系、ポリフェニレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられる。
これらの有機発光材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の単独またはこれらの混合溶媒が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶剤が有機発光材料の溶解性の面から好適である。又、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されても良い。
有機発光層の形成方法としては、本発明の凸版印刷法の他にインクジェット法や凹版オフセット印刷法、凸版反転オフセット印刷法等によりパターン形成することが可能である。なお、本発明の凸版印刷法を用いる場合は、有機発光インキに適した樹脂凸版を使用することが出来、中でも水現像タイプの感光性樹脂凸版が好適である。
有機発光層5形成後、陰極層6を画素電極のラインパターンと直交するラインパターンで形成される。陰極層6の材料としては、有機発光層の発光特性に応じたものを使用でき、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、アルミニウムなどの金属単体やこれらと金、銀などの安定な金属との合金などが挙げられる。また、インジウム、亜鉛、錫などの導電性酸化物を用いることもできる。陰極層の形成方法としてはマスクを用いた真空蒸着法による形成方法が挙げられる。
なお、本発明の有機EL素子では陽極である画素電極と陰極層の間に陽極層側から正孔輸送層と有機発光層を積層した構成であるが、陽極層と陰極層の間において正孔輸送層、有機発光層以外に正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層といった層を必要に応じ選択した積層構造をとることが出来る。また、これらの層を形成する際には発光層と同様の形成方法が使用できる。
最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップ7と接着剤8を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを得ることが出来る。また、透光性基板が可撓性を有する場合は封止剤と可撓性フィルムを用いて封止を行っても良い。
本発明の実施例について述べる。対角1.8インチサイズのガラス基板の上にスパッタ法を用いてITO(インジウム−錫酸化物)薄膜を形成し、フォトリソ法と酸溶液によるエッチングでITO膜をパターニングして、画素電極を形成した。画素電極のラインパターンは、線幅136μm、スペース30μmでラインが約32mm角の中に192ライン形成されるパターンとした。
次に隔壁を以下のように形成した。画素電極を形成したガラス基板上にポジ型感光性ポリイミド 東レ社製フォトニース DL−1000を全面スピンコートした。スピンコートの条件を150rpmで5秒間回転させた後500rpmで20秒間回転させ1回コー
ティングとし、隔壁の高さを1.5μmとした。全面に塗布した感光性材料に対し、フォトリソグラフィー法により露光、現像を行い画素電極の間にラインパターンを有する隔壁を形成した。この後隔壁を230℃30分でオーブンにて焼成を行った。オーク製作所製
UV/O3洗浄装置にて3分間紫外線照射を行った。
次に、正孔輸送インキとしてバイトロンCH−8000 60体積%、超純水 20体積%、1−プロパノール 20体積%を混合、調液しインキとした。1−プロパノールは単体では20℃での蒸気圧1.87kPa、沸点97.2℃、表面張力23.7mN/m、水和性は自由に混合するという性質を持っている。このPEDOT水溶液を用い粘度を測定したところ17.5mPa・s、表面張力は32.2mN/mであった。また、このとき正孔輸送インキと樹脂凸版の接触角は23°であった。上記のインキを用いて凸版印刷法にて隔壁間に正孔輸送層を形成した。尚、印刷前の基板に前処理としてオーク製作所製 UV/O3洗浄装置にて3分間紫外線照射を行った。印刷後、30℃で減圧乾燥を5分間行い、その後200℃30分大気中で正孔輸送層の焼成を行い正孔輸送層を形成した。このときの正孔輸送層の膜厚は50nmとなった。形成された正孔輸送層に対し、パターニング状態の確認を行った。
次に、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキを用い、隔壁に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて有機発光層を凸版印刷法で印刷を行った。印刷、乾燥後の有機発光層の膜厚は80nmとなった。
その上にCa、Alからなる陰極層を画素電極のラインパターンと直交するようなラインパターンで抵抗加熱蒸着法によりマスク蒸着して形成した。最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップと接着剤を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを作製した。
得られた有機ELディスプレイパネルの表示部の周辺部には各画素電極に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極側の取り出し電極があり、これらを電源に接続することにより、得られた有機ELディスプレイパネルの点灯表示確認を行い、発光状態のチェック及び初期輝度が半減する寿命の測定を行った。
正孔輸送インキとしてバイトロンCH−8000 60体積%、超純水 20体積%、ブチルセロソルブ 20体積%を混合、調液しインキとした以外は実施例1と同様に作製した。尚、ブチルセロソルブは単体では20℃での蒸気圧0.8kPa、沸点170.2℃、表面張力27.4mN/m、水和性は自由に混合するという性質を持っている。このPEDOT水溶液を用い粘度を測定したところ19.1mPa・s、表面張力は27.9mN/mであった。また、このとき正孔輸送インキと樹脂凸版の接触角は19°であった。
本例は、比較のための例1である。
正孔輸送インキとしてバイトロンCH−8000 60体積%、超純水 20体積%、エタノール 20体積%を混合、調液しインキとした以外は実施例1と同様に作製した。尚、エタノールは単体では20℃での蒸気圧5.9kPa、沸点78.3℃、表面張力22.5mN/m、水和性は自由に混合するという性質を持っている。このPEDOT水溶液を用い粘度を測定したところ17.5mPa・s、表面張力は33.4mN/mであった。また、このとき正孔輸送インキと樹脂凸版の接触角は22°であった。
本例は、比較のための例2である。
正孔輸送インキとしてバイトロンCH−8000 60体積%、超純水 20体積%、グリセリン 20体積%を混合、調液しインキとした以外は実施例1と同様に作製した。尚、グリセリンは単体では20℃での蒸気圧0.0003kPa、沸点290.0℃、表面張力63.3mN/m、水和性は自由に混合するという性質を持っている。このPEDOT水溶液を用いたところ表面張力は67.9mN/mであった。また、このとき正孔輸送インキと樹脂凸版の接触角は35°であった。
本例は、比較のための例3である。
正孔輸送インキとしてバイトロンCH−8000 45体積%、1−プロパノール 55体積%を混合、調液しインキとした以外は実施例1と同様に作製した。このPEDOT水溶液を用い粘度を測定したところ21.1mPa・s、表面張力は25.3mN/mであった。また、このとき正孔輸送インキと樹脂凸版の接触角は21°であった。
実施例1、2及び比較例1、2、3での正孔輸送層のパターン形状の評価結果と、作製した有機EL素子の表示状態および寿命の評価結果を表1に示す。
評価方法としては正孔輸送層のパターン形状を目視検査で確認を行いハジキ等の確認を行った。また得られた有機EL素子を発光させ、ムラの観察及び初期輝度が半減する寿命の測定を行った。
Figure 2008077958
本発明にかかる有機ELパネルにおける有機EL素子の例の構造の模式図である。 本発明における凸版印刷装置の概略図である。
符号の説明
1:透光性基板
2:画素電極
3:隔壁
4:正孔輸送層
5:有機発光層
6:陰極層
7:ガラスキャップ
8:接着剤
10:インクタンク
12:インキチャンバー
14:アニロックスロール
14a:インキ層
16:版
18:版胴
20:平台
24:被印刷基板

Claims (3)

  1. 透明基板上に隔壁パターンを形成する工程と、該隔壁で囲まれた領域に凸版印刷法により正孔輸送インキを転写して正孔輸送層を形成する工程とを少なくとも有する有機EL素子の製造方法において、該正孔輸送インキが水溶性インキであって、少なくとも1種類以上の水に対して20体積%以上の比率で混合可能であり、かつ20℃での蒸気圧が3kPa以下であり、かつ沸点が200℃以下である有機溶剤を含んでなり、該有機溶剤の合計添加量が1〜50体積%であり、該正孔輸送インキの表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 正孔輸送層転写後に減圧乾燥工程を含むことを特徴とする請求項1記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 正孔輸送インキの凸版印刷法で用いる感光性樹脂凸版に対する接触角が10°以上50°以下であることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子の製造方法。
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