JP2006286241A - 有機elディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
有機ELディスプレイパネルにおいて、隔壁で仕切られた画素電極である被印刷部位に対して有機発光材料を溶剤に溶解または安定に分散させてなる有機発光インキを印刷する際に有機発光インキが隣の画素電極に広がることによる混色を防ぎ、かつ、陰極層の断線による表示不良のない高精細な有機ELディスプレイパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明により、画素電極の間に高さが0.5μm以上、5μm以下の絶縁層を形成すること、有機発光材料を溶剤に溶解または安定に分散させてなる有機発光インキを凸版印刷法により絶縁層で仕切られた画素電極に印刷し有機発光層を形成することにより、画素内での混色や陰極層の断線による表示不良の無い高精細な有機ELディスプレイを得ることができた。
【選択図】図1
有機ELディスプレイパネルにおいて、隔壁で仕切られた画素電極である被印刷部位に対して有機発光材料を溶剤に溶解または安定に分散させてなる有機発光インキを印刷する際に有機発光インキが隣の画素電極に広がることによる混色を防ぎ、かつ、陰極層の断線による表示不良のない高精細な有機ELディスプレイパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明により、画素電極の間に高さが0.5μm以上、5μm以下の絶縁層を形成すること、有機発光材料を溶剤に溶解または安定に分散させてなる有機発光インキを凸版印刷法により絶縁層で仕切られた画素電極に印刷し有機発光層を形成することにより、画素内での混色や陰極層の断線による表示不良の無い高精細な有機ELディスプレイを得ることができた。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機発光層が高分子材料からなる有機EL素子および有機ELディスプレイパネルとその製造方法に関し、特に有機発光層を印刷法によって形成する有機EL素子および有機ELディスプレイパネルとその製造方法に関する。
有機EL素子は、ふたつの対向する電極の間に有機発光材料からなる有機発光層が形成され、有機発光層に電流を流すことで発光させるものであるが、効率よく発光させるには有機発光層の膜厚が重要であり、100nm程度の薄膜にする必要がある。さらに、これをディスプレイパネル化するには高精細にパターニングする必要がある。
有機発光層を形成する有機発光材料には、低分子材料と高分子材料があり、一般に低分子材料は真空蒸着法等により薄膜形成し、このときに微細パターンのマスクを用いてパターニングするが、この方法では基板が大型化すればするほどパターニング精度が出難いという問題がある。また、真空中で成膜するためにスループットが悪いという問題がある。
そこで、最近では高分子材料を溶剤に溶かして塗工液にし、これをウェットコーティング法で薄膜形成する方法が試みられるようになってきている。薄膜形成するためのウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、突出コート法、ディップコート法等があるが、高精細にパターニングしたりRGB3色に塗り分けしたりするためには、これらのウェットコーティング法では難しく、塗り分け・パターニングを得意とする印刷法による薄膜形成が最も有効であると考えられる。
高分子の有機発光材料を溶媒に溶解または分散させて有機発光インキとした場合、有機発光材料の溶解性から濃度を1%前後とする必要があった。有機発光インキを印刷する方法としては、弾性を有するゴムブランケットを用いるオフセット印刷法(特許文献1)や同じく弾性を有するゴム版や樹脂版を用いる凸版印刷法(特許文献2)、またその他にインクジェット法(特許文献3)などが提案されている。
オフセット印刷法は画線が形成されている版にインキを付け、そのインキを弾性をもつ平滑なブランケットに転移させ、さらにブランケットから被印刷基板にインキを転写することで印刷する方式であるが、被印刷基板に転写する前のブランケット上にあるインキは半乾燥状態にあり、半乾燥状態のインキパターンが被印刷基板に転写印刷される。ただし、オフセット印刷法に用いられるブランケットは有機発光インキに用いられる芳香族有機溶剤に対して膨潤や変形を起こしやすいという問題がある。
これに対し、凸版印刷法やインクジェット法にて被印刷基板上に有機発光層を形成する場合、濃度が1%前後の有機発光インキがそのままの状態で被印刷基板に転写される。有機発光インキをRGB三色に塗りわけする場合、有機発光インキが隣の画素電極まで広がってしまい、画素電極内において混色が生じてしまう。したがって、特許文献2、3では有機発光インキの広がりをを抑えるために、画素電極間に隔壁が設けること、隔壁によって仕切られた画素電極内に有機発光インキを印刷することが提案されている。
インクジェット法はインクジェットノズルから有機発光インキを被印刷部位に複数回滴下し有機発光層を形成する方式であり、ノズルと被印刷基板に距離があり、インキは自身の重量でのみ隔壁で仕切られた画素電極である被印刷部位に広がる。したがって、インクジェット法では隔壁縁部において被印刷部位全面にインキが印刷されないインキハジキが発生しやすいという問題があった。
一方、凸版印刷法では凸版の有機発光インキのある凸部を被印刷部位に接触させるため、版による押しつけと隔壁により形成された空間を凸版が埋めることにより、インキは隔壁で囲まれた画素内を全面に広げられる。したがって、凸版印刷法ではインクハジキが発生しにくいという利点を有する。
凸版印刷法とは広義には画線部が凸形状をしている版すなわち凸版を用いるすべての印刷法をいうが、本発明で述べる凸版印刷法とはゴム版または樹脂版からなる凸版を用いる印刷方式を示すこととする。また、印刷業界ではゴム凸版を用いるものをフレキソ印刷といい、樹脂凸版を用いるものを樹脂凸版印刷と区別して呼んでいるが、本発明では両者を特に区別せず、凸版印刷法と呼ぶこととする。凸版印刷法で用いられるゴム版や樹脂版は、現在は感光性のゴム版や樹脂版が主に用いられるが、凸版の材質も多様化し、感光性ゴム版と感光性樹脂版の区別も不明確になってきており、本発明ではこの区別も特に設けず、両者とも感光性樹脂凸版と呼ぶこととする。
感光性樹脂凸版とは、画線部にのみ光が透過するマスクを利用して感光性樹脂を露光し画線部を硬化させ、未硬化部分を溶剤等で洗い流すことで凸部を形成された凸版であるが、主に溶剤で洗い出す溶剤現像タイプと水で洗い出す水現像タイプのものがあり、それぞれ版材が疎水性成分を主成分とするか、親水性成分を主成分とするかで異なる。主成分が疎水性成分である溶剤現像タイプの感光性樹脂凸版は芳香族有機溶剤に対する耐性がなく、有機EL印刷用の版材としては不適切である。これに対し、主成分が親水性成分である水現像タイプの感光性樹脂凸版は、芳香族有機溶剤に対する耐性が高く、有機EL印刷用の版材として好適である。
一方、例えばパッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイにおいて、透光性基板上にライン状のパターンの画素電極が形成されており、その画素電極間に絶縁層を形成した場合、陰極層は絶縁層のラインパターンを垂直に横切る形でラインパターンを形成する必要がある。このように、金属または合金からなる陰極層を隔壁をまたぐようにして形成した場合には隔壁によって陰極が断線してしまい、パネル化した際に表示不良が発生するという問題があった。
特開2001−93668号公報
特開2001−155858号公報
特開2002−305077号公報
以上より本発明では、有機ELディスプレイパネルにおいて、隔壁で仕切られた画素電極である被印刷部位に対して有機発光材料を溶剤に溶解または安定に分散させてなる有機発光インキを印刷する際に有機発光インキが隣の画素電極に広がることによる混色を防ぎ、かつ、陰極層の断線による表示不良のない高精細な有機ELディスプレイパネルの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は少なくとも画素電極と陰極と有機発光層を含む有機発光媒体層からなり、両電極から有機発光層に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機ELディスプレイパネルにおいて、透光性基板上のパターニングされた画素電極の間に高さが0.5μm以上5μm以下の絶縁層を形成し、有機発光材料を溶剤に溶解または分散させた有機発光インキを用いて凸版印刷法により絶縁層によって仕切られた画素電極に印刷を行ない有機発光層を形成したことを特徴とする有機ELディスプレイパネルの製造方法とした。
また、請求項2に係る発明は少なくとも画素電極と陰極と有機発光層を含む有機発光媒体層からなり、両電極から有機発光層に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機ELディスプレイパネルにおいて、透光性基板上のパターニングされた画素電極の間に高さが0.5μm以上5μm以下の絶縁層を形成し、有機発光材料を溶剤に溶解または分散させた有機発光インキを用いて凸版印刷法により絶縁層によって仕切られた画素電極に印刷を行ない有機発光層を形成したことを特徴とする有機ELディスプレイパネルの製造方法とした。
また、請求項3に係る発明は少なくとも画素電極と陰極と有機発光層を含む有機発光媒体層からなり、両電極から有機発光層に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機ELディスプレイパネルにおいて、透光性基板上のパターニングされた画素電極の間に高さが0.5μm以上5μm以下の絶縁層を形成し、有機発光材料を溶剤に溶解または分散させた有機発光インキを用いて凸版印刷法により絶縁層によって仕切られた画素電極に印刷を行ない有機発光層を形成したことを特徴とする有機ELディスプレイパネルの製造方法とした。
本発明により、画素電極の間に高さが0.5μm以上、5μm以下の絶縁層を形成すること、有機発光材料を溶剤に溶解または安定に分散させてなる有機発光インキを凸版印刷法により絶縁層で仕切られた画素電極に印刷し有機発光層を形成することにより、画素内での混色や陰極層の断線による表示不良の無い高精細な有機ELディスプレイを得ることができた。
さらに、隔壁の高さを1.0μm以上1.8μm以下とすることにより、低濃度の有機発光インキや膜厚の大きい有機発光層を形成する際にも画素内での混色が無く、また、絶縁層の膜厚ムラの無い高精細な有機ELディスプレイを低コストで得ることができた。
本発明の実施形態を、パッシブマトリックス型のディスプレイパネルを作成する場合を例に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の有機ELディスプレイパネル断面の模式図を図1に示す。
有機ELディスプレイパネルにおける有機EL素子は透光性基板上に形成される。透光性基板11としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチック製のフィルムを用いれば、巻き取りにより高分子EL素子の製造が可能となり、安価にディスプレイパネルを提供できる。そのプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、これらのフィルムは水蒸気バリア性、酸素バリア性を示す酸化ケイ素といった金属酸化物、窒化ケイ素といった酸化窒化物や、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物からなるバリア層が必要に応じて設けられる。
透光性基板の上には陽極としてパターニングされた画素電極2が設けられる。画素電極2の材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、亜鉛アルミニウム複合酸化物等の透明電極材料が使用できる。なお、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性があることなどからITOが好ましい。ITOはスパッタ法により透光性基板上に形成され、フォトリソ法によりパターニングされライン状の画素電極2となる。
ライン状の画素電極2を形成後、隣接する画素電極の間に感光性材料を用いて、フォトリソ法により絶縁層3が形成される。
絶縁層を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。絶縁層が絶縁性を有さない場合には絶縁層を通じで隣り合うが電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系といったものが挙げられる。また、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を含有させてもよい。
絶縁層3を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布方法を用いて塗布され、露光、現像工程によりパターニングされる。スピンコーターを使用した場合、1回の塗布では所望の膜厚の塗布膜を得られないことがあるが、その場合は同様の作業を複数回繰り返せばよい。
本発明における絶縁層3は、厚みが0.5μmから5μmの範囲にあることが望ましく、1.0μmから1.8μmの範囲にあればさらに好ましい。絶縁層が低すぎると線幅の広がりを防止できずに隣接する画素に混入してしまう。逆に、絶縁層が高すぎると絶縁層に直交して形成する陰極層の断線が起こってしまい表示不良となる。すなわち、絶縁層の高さは0.5μm以上あれば有機発光インキの広がりによる混色を防止する効果でき、5μm以下であれば陰極の断線を防止できる。
ただし、線幅の広がりを防止できる絶縁層の高さは、一つの画素ライン上に供給されるインキ量と画素ラインの幅によって変わる。有機ELディスプレーパネルの絶縁層で仕切られた画素電極ラインの幅が80μmから200μmであり、所望の有機発光層の膜厚が50nmから100nmであって、有機発光材料の濃度が1%の有機発光インキを用いて有機発光層を形成する場合、好ましい絶縁層の高さは0.5μm以上となるが、これらの条件が変われば必要な絶縁層の高さも変化する。
したがって、有機発光材料の濃度が先程の半分である0.5%の有機発光インキを用いる場合や、所望の有機発光層の膜厚が先程の2倍の場合では、好ましい絶縁層の高さは1.0μm以上となる。また、絶縁層の高さを2μm以上とすると、スピンコート法では一回のコーティングでは塗膜に膜厚のムラが生じやすく、また、1回の露光、現像ではパターン形成が不十分となる。よって、2回以上繰り返してコーティングによる塗膜形成、露光、現像工程を行なわなくてはいけないため、コスト高となる。よって本発明において、さらに好ましい絶縁層の高さは1.0μm以上1.8μm以下となる。
絶縁層3形成後、正孔輸送層4を形成する。正孔輸送層4を形成する正孔輸送材料としてはポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等が挙げられる。これらの材料は溶媒に溶解または分散させ、スピンコーター等を用いた各種塗布方法や本発明の凸版印刷方法を用いて形成される。
正孔輸送層4形成後、有機発光層5を形成する。有機発光層は電流を通すことにより発光する層であり、有機発光層を形成する有機発光材料は、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられる。
これらの有機発光材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の単独またはこれらの混合溶媒が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶剤が有機発光材料の溶解性の面から好適である。また、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
図2に有機発光材料からなる有機発光インキを、画素電極、絶縁層、正孔輸送層が形成された被印刷基板上にパターン印刷する際の凸版印刷装置の概略図に示した。本製造装置はインクタンク10とインキチャンバー12とアニロックスロール14と凸版が設けられた版16がマウントされた版銅18を有している。インクタンク10には、溶剤で希釈された有機発光インキが収容されており、インキチャンバー12にはインクタンク10より有機発光インキが送り込まれるようになっている。アニックスロール14はインキチャンバー12のインキ供給部に接して回転可能に支持されている。
アニックスロール14の回転に伴い、アニックスロール表面に供給された有機発光インキのインキ層14aは均一な膜厚に形成される。このインキ層のインキはアニックスロールに近接して回転駆動される版胴18にマウントされた版16の凸部に転移する。平台20には、透明電極および正孔輸送層が形成された基板が版16の凸部による印刷位置にまで図示していない搬送手段によって搬送されるようになっている。そして、版16の凸部にあるインキは被印刷基板に対して印刷され、必要に応じて乾燥工程を経て被印刷基板上に有機発光層が形成される。
有機発光層5形成後、陰極層6を画素電極のラインパターンと直交するラインパターンで形成される。陰極層6の材料としては、有機発光層の発光特性に応じたものを使用でき、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、アルミニウムなどの金属単体やこれらと金、銀などの安定な金属との合金などが挙げられる。また、インジウム、亜鉛、錫などの導電性酸化物を用いることもできる。陰極層の形成方法としてはマスクを用いた真空蒸着法やスパッタリング法による形成方法が挙げられる。
なお、本発明の有機EL素子では陽極である画素電極と陰極層の間に陽極層側から正孔輸送層と有機発光層を積層した構成であるが、陽極層と陰極層の間において有機発光層以外に正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層を必要に応じ選択した積層構造をとることができる。
なお、正孔輸送層や正孔注入層、電子ブロック層とは、正孔輸送性及び/若しくは電子ブロック性を有する材料を有する層であり、それぞれ陽極層から有機発光層への正孔注入の障壁を下げる、陽極層から注入された正孔を陰極層の方向へ進める、正孔を通しながらも電子が陽極層の方向へ進行するのを妨げる役割を担う層である。正孔ブロック層、電子輸送層とは電子輸送性及び/若しくは正孔ブロック性を有する材料を有する層であり、それぞれ陰極層から注入された電子を陽極層の方向へ進める。電子を通しながらも正孔が陰極層の方向へ進行するのを妨げる役割を担う層である。
最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップ7と接着剤8を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを得ることができる。また、透光性基板が可撓性を有する場合は封止剤と可撓性フィルムを用いて封止をおこなう。
本発明の実施例について述べる。対角1.8インチサイズのガラス基板の上にスパッタ法を用いてITO(インジウム−錫酸化物)薄膜を形成し、フォトリソ法と酸溶液によるエッチングでITO膜をパターニングして、画素電極を形成した。画素電極のラインパターンは、線幅136μm、スペース30μmでラインが約32mm角の中に192ライン形成されるパターンとした。
次に絶縁層を以下のように形成した。画素電極を形成したガラス基板上にアクリル系のフォトレジスト材料を全面スピンコートした。スピンコートの条件を150rpmで5秒間回転させた後1000rpmで20秒間回転させ1回コーティングとし、絶縁層の高さを0.5μmとした。全面に塗布したフォトレジスト材料に対し、フォトリソ法により画素電極の間にラインパターン有する絶縁層を形成した。
その上に正孔輸送層としてPEDOTから成る高分子膜をスピンコート法で形成した。さらに、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキを用い、絶縁層に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンに合わせて有機発光層を凸版印刷法で印刷をおこなった。このとき150線/インチのアニロックスロールおよび水現像タイプの感光性樹脂版を使用した。印刷、乾燥後の有機発光層の膜厚は80nmとなった。また、乾燥後、有機発光層のラインパターン形状の観察を行なった。
その上にAl、Caからなる陰極層を画素電極のラインパターンと直交するようなラインパターンで抵抗加熱方式による真空蒸着法によりマスク蒸着して形成した。最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップと接着剤を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを得た。得られた有機ELディスプレイパネルの表示部の周縁部には各画素電極に接続されている陽極側の取出し電極と、陰極側の取出し電極があり、これらを電源に接続することにより、得られた有機ELディスプレイパネルの点灯表示確認をおこない、陰極の断線の有無による表示不良のチェックを行なった。
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒間回転させた後、300rpmで20秒間回転させ2回コーティングとし、絶縁層の高さを5μmとした。その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒回転させた後、800rpmで20秒回転させ1回コーティングとし、絶縁層の高さを1.0μmとした。また、発光層印刷におけるアニロックロールを200線/インチのものを使用することで、有機発光層の膜厚を160nmとした。その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒回転させた後、400rpmで20秒回転させ1回コーティングとし、絶縁層の高さを1.8μmとした。また、発光層印刷におけるアニロックロールを200線/インチのものを使用することで、有機発光層の膜厚を160nmとした。その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
(比較例1)
絶縁層を設けずに、その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
絶縁層を設けずに、その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
(比較例2)
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒間回転させた後、1200rpmで20秒間回転させ1回コーティングとし、絶縁層の高さを0.3μmとした。その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒間回転させた後、1200rpmで20秒間回転させ1回コーティングとし、絶縁層の高さを0.3μmとした。その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
(比較例3)
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒間回転させた後、300rpmで20秒間回転させ3回コーティングとし、絶縁層の高さを7.5μmとした。その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒間回転させた後、300rpmで20秒間回転させ3回コーティングとし、絶縁層の高さを7.5μmとした。その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
(比較例4)
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒間回転させた後、1000rpmで20秒間回転させる条件とし、1回コーティングすることで絶縁層の高さを0.5μmにし、また、発光層印刷におけるアニロックロールを200線/インチのものを用いることで、発光層の膜厚を160nmにし、その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
絶縁層を形成するときのスピンコート条件を、150rpmで5秒間回転させた後、1000rpmで20秒間回転させる条件とし、1回コーティングすることで絶縁層の高さを0.5μmにし、また、発光層印刷におけるアニロックロールを200線/インチのものを用いることで、発光層の膜厚を160nmにし、その他は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを作成した。
実施例1、2、3、4および比較例1、2、3、4での有機発光層のラインパターン形状の評価結果と、作製した有機ELディスプレイの表示状態の評価結果を表1に示す。
以上より、実施例1、2、3、4で印刷した有機発光層は、いずれも画素電極上に精度良く形成されており、ディスプレイの表示状態も良好であった。一方、比較例1、比較例2および比較例4では、隣接する画素電極へのインキのはみ出しがみられた。また、比較例3ではディスプレイの発光不良が確認され、ディスプレイパネルを詳細に観察した結果、陰極の断線が観察された。
したがって、絶縁層の高さとしては、濃度1%の有機発光インキを用いて有機発光層の膜厚を80nm程度にする場合は、比較例2と実施例1からわかるとおり、絶縁層の高さが0.5μmで有機発光インキの隣接する画素電極への侵入を防止できることが確認された。
さらに比較例4と比較例3から、発光層の膜厚を実施例1の2倍の160nmとした場合には、絶縁層の高さが1.0μmで有機発光インキの隣接する画素電極への侵入を防止できることが確認された。
また、実施例2と比較例3から、絶縁層高さが5μmでは陰極の断線起こらないが、7.5μmでは陰極の断線生じてしまうことが確認された。ただし、実施例2と比較例3では絶縁層の高さにムラが確認された。なお、その他の実施例および比較例では絶縁層の高さにムラは確認されなかった。
1:透光性基板
2:画素電極
3:絶縁層
4:正孔輸送層
5:有機発光層
6:陰極層
7:ガラスキャップ
8:接着剤
10:インクタンク
12:インキチャンバー
14:アニロックスロール
14a:インキ層
16:版
18:版銅
20:平台
24:被印刷基板
2:画素電極
3:絶縁層
4:正孔輸送層
5:有機発光層
6:陰極層
7:ガラスキャップ
8:接着剤
10:インクタンク
12:インキチャンバー
14:アニロックスロール
14a:インキ層
16:版
18:版銅
20:平台
24:被印刷基板
Claims (3)
- 少なくとも画素電極と陰極と有機発光層を含む有機発光媒体層からなり、両電極から有機発光層に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機ELディスプレイパネルにおいて、透光性基板上のパターニングされた画素電極の間に高さが0.5μm以上5μm以下の絶縁層を形成し、有機発光材料を溶剤に溶解または分散させた有機発光インキを用いて凸版印刷法により絶縁層によって仕切られた画素電極に印刷を行ない有機発光層を形成したことを特徴とする有機ELディスプレイパネルの製造方法。
- 前記絶縁層の高さが1μm以上1.8μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により有機発光層が形成されたことを特徴とする有機ELディスプレイパネル。
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JP2009078501A (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-16 | Toppan Printing Co Ltd | 凸版印刷によるパターン形成方法、および有機機能性素子の製造方法 |
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Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003243163A (ja) * | 2002-02-14 | 2003-08-29 | Sharp Corp | 有機ledディスプレイとその製造方法 |
-
2005
- 2005-03-31 JP JP2005101265A patent/JP2006286241A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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