JP2008075633A - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モデル関数すなわち自着火予測モデルを利用して、各パラメータの検出値や推定値から筒内未燃ガスの自着火を予測し、ノッキングが生じないように点火時期を制御する装置において、エンジン回転数を考慮することによって、モデル関数の学習の精度を向上する。
【解決手段】エンジンの運転状態に基づいて筒内未燃ガス温度の推定値を算出し、算出された筒内未燃ガス温度に基づいて、回転数領域ごとにモデル関数を補正する。モデル関数の補正を回転数領域ごとに行うので、モデル関数の学習の精度を向上することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、内燃機関の燃焼制御装置に関し、特にノッキングを予測するためのモデル関数を用いるものに関する。
内燃機関の筒内圧、筒内未燃ガス温度、当量比などのパラメータと、筒内未燃部の自着火(ノッキング)の発生との関係を、一般式として求める試みは種々行われている(例えば、非特許文献1)。このような一般式をモデル関数すなわち自着火予測モデルとして、各パラメータの検出値や推定値から筒内未燃ガスの自着火を予測し、ノッキングが生じないように点火時期を制御する方法も試みられている(例えば、特許文献1)。
他方、特許文献2は、ノッキングが生じないように点火時期を制御する装置において、点火時期の学習による補正を、回転数および負荷により特定される運転領域ごとに行う方法を開示している。この方法では、運転領域全体についての補正を行った後に、個々の運転領域についての補正を行っている。しかしながら、この方法はマップ上に設定された点火時期の目標値を補正するフィードバック制御であって、自着火を予測するためのモデル関数を補正するものではないため、ノッキングの発生を検知してから回避制御を行う点でノッキングの回避が効果的でなく、また点火時期の設定のために膨大な実験を行う必要があり開発コストの増大を招く。
特開2004-332584号公報 特公平6−50102号公報 "Correlation of autoignition phenomena in internal combustion engines and rapid compression machines" J. C. Livengood and P. C. Wo, Fifth Symposium (international) on Combustion, Reinhold Publishing Corporation (1955)
本発明者らは、様々な運転条件において筒内未燃部を自着火させる実験を行ったところ、筒内未燃部の自着火のタイミングが、エンジン回転数の影響を強く受けることを発見した。
本発明は、このような新知見に基づいてなされたものであり、その目的は、エンジン回転数を考慮することによって、モデル関数の学習の精度を向上することにある。
本発明の第1の態様は、筒内未燃ガス温度または筒内未燃ガス温度に相関のある物理量をパラメータとして含むモデル関数に基づいて未燃ガスの自着火発生時期を予測する予測手段と、当該予測手段により予測された自着火発生時期に基づいて、自着火が生じないように燃焼を制御する燃焼制御手段と、を備えた内燃機関の燃焼制御装置であって、内燃機関の運転状態に基づいて筒内未燃ガス温度または筒内未燃ガス温度に相関のある物理量の推定値を算出する温度推定手段と、算出された前記推定値に基づいて、前記内燃機関の回転数領域ごとに前記モデル関数を補正する学習処理手段と、を更に備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置である。
本発明では、温度推定手段が運転状態に基づいて筒内未燃ガス温度または筒内未燃ガス温度に相関のある物理量の推定値を算出し、算出された推定値に基づいて、学習処理手段が回転数領域ごとにモデル関数を補正する。このように本発明では、モデル関数の補正を回転数領域ごとに行うので、モデル関数の学習の精度を向上することができる。本発明におけるモデル関数は、エンジンの運転状態を示すパラメータと未燃ガスの自着火発生時期との関係を定めたものであり、数値計算モデルのほかマップを含む。
本発明におけるモデル関数は、好適には筒内圧をパラメータとして更に含む。
本発明における予測手段は、好適には、未燃ガスの着火遅れ時間の逆数を積分することで自着火発生時期を予測する。
本発明における学習処理手段は、好適には、ある回転数領域において所定の高温側基準値以上の筒内未燃ガス温度の推定値と、所定の低温側基準値以下の前記推定値とが推定された場合に、当該回転数領域についてのモデル関数の補正を許容する。この場合には、少ない学習回数で良好な精度を得ることができ、学習を迅速化できる。
本発明では、前記高温側基準値および前記低温側基準値のうち少なくとも一方を、過去の運転履歴に基づいて設定する設定手段を更に備えるのが好適である。この場合には、過去の運転履歴に基づいて適正な基準値を設定できる。この場合には更に、設定手段は、過去の運転履歴における筒内未燃ガス温度または筒内未燃ガス温度に相関のある物理量の最大値と最小値とに基づいて前記設定を行うのが好適である。
本発明の好適な実施形態につき、以下に説明する。図1において、本発明の第1実施形態に係るエンジン1は、筒内直噴式の4気筒ガソリンエンジンであって、シリンダブロック1aの内部にシリンダ2が形成され、その中にピストン3が摺動可能に挿入されている。
ピストン3はコンロッド4によりクランクシャフト5に連結されている。ピストン3は燃費や燃焼効率を高めるために、バルブリセスに代えてピストンヘッド3aの中央に凹部3bが設けられている。シリンダヘッド6は全気筒に共通とされており、その内部には気筒ごとに、吸気ポート7および排気ポート8が形成され、また吸気弁9および排気弁10が、図示しないバルブスプリングを介してセットされている。吸気ポート7には燃料噴射弁12が設けられ、吸気ポート7からその上流側のエアフローメータ14まで延びる吸気マニホールドを含む吸気通路13の一部には、スロットルアクチュエータ15aによって制御されるスロットル弁(吸気絞り弁)15が設けられている。
吸排気弁9,10を駆動するカムシャフト9a,10aには、バルブタイミング可変機構(Variable Valve Timing system;以下VVTという)11が設けられている。VVT11は、クランクシャフト5の回転に対するカムシャフト9a,10aの回転の位相を変化させて、吸排気弁9,10の開閉タイミングを連続的に変更するための機構であり、油圧によって駆動される。
エンジンの排気経路には、触媒装置31が設けられている。触媒装置31は例えば、白金、ロジウム、パラジウム等の触媒成分とセリウムやランタン等の添加物とを担持した三元触媒であり、排ガス中のCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)およびNOx(窒素酸化物)を浄化する。点火プラグ33は、不図示のイグニッションコイルに接続されており、且つ燃焼室34の頂面に設置されている。
電子制御ユニット(以下ECUという)30は、その詳細は図示しないが、各種演算処理を行うCPU、制御プログラムや各制御変数の初期値などを格納したROM、制御プログラムやデータを一時的に保持するRAM、入出力ポート、A/DおよびD/A変換器ならびに記憶装置等を含んで構成されている。
ECU30には、各種センサ類からの各出力信号が入力される。そのようなセンサ類は、上述したエアフローメータ14、運転者によって操作されるアクセルペダル16に関連して設けられたアクセル開度センサ16a、クランクシャフト5の一部に対向して設けられたクランク角センサ17、吸気通路13内に設けられた吸気温センサ18、排気マニホールドに設けられたA/F(空燃比)センサ20、シリンダブロック1aに設置され冷却水温を検出する水温センサ21、図示しない駆動輪に隣接して設けられた車速センサ22、およびエンジンの燃焼室に設けられた筒内圧センサ23を含む。
ECU30からの制御信号によって、前述のVVT11、燃料噴射弁12、スロットル弁15、点火プラグ33等が制御されるようになっている。燃料タンク32からの燃料は、図示しない燃料ポンプによって加圧され、燃料噴射弁12へ供給される。
図2に示されるように、燃焼室34内の混合気が、火炎面35を境界として既燃部36と未燃部37とに分割されると仮定した場合に、燃焼の進行に伴う既燃部36の発熱・膨張によって未燃部37が圧縮される。この未燃部37の圧縮によって、火炎の進行が完了する前に自着火が発生する状態が、ノッキングと考えられる。
本実施形態では、ECU30において、モデル関数(以下、ノックモデルという)である数式(1)に基づいて未燃ガスの自着火発生時期を予測し、予測された自着火発生時期に基づいて、自着火が生じないように燃焼を制御する燃焼制御処理が行われる。数式(1)は、自着火遅れ時間τの逆数の積分値が1に達した場合に自着火が発生することを示している(Livengood-Wu積分)。この自着火遅れ時間τは、数式(2)によって算出する。
Figure 2008075633
Figure 2008075633
数式(2)においてPは筒内圧、Φは当量比、Tuは筒内未燃ガス温度、f(RON)はオクタン価RONの影響を反映するための所定の関数、A,B,C,Eaは適合値である。適合値A,B,C,Eaは定数であって、それぞれの初期値が実験的に決定されており、且つエンジンの運転状態に基づいて後述のとおり補正される。
上記数式(1)の左辺すなわち自着火遅れ時間τの逆数1/τの積分値は、例えば図3のように推移し、これが1に達した時点(クランク角)が、自着火タイミングClgw[degATDC]である。
しかしながら、自着火タイミングClgwが到来しても、自着火に至れるだけの所定の未燃燃料量が存在していない場合には、自着火は生じない。この未燃燃料量は燃焼割合から求めることができるため、図4に示されるように或る基準燃焼割合(判定値)と燃焼割合とを比較することによって、自着火に至れるだけの所定の未燃燃料量に達する時点(クランク角)である基準燃焼割合到達タイミングCbr1[degATDC]を算出することができる。そしてECU30では、この所定の未燃燃料量が存在している場合にのみノッキングが発生するものと判定する。
すなわちECU30では、図5に示されるように、筒内圧から推定される燃焼割合に基づいて、漸減してゆく未燃燃料量が自着火限界に達する時点(クランク角)、すなわち基準燃焼割合到達タイミングCbr1を、所定の限界予測関数によって算出し、他方、ノックモデルである数式(1)によって自着火タイミングClgwを算出する。そしてECU30では、Clgw<Cbr1の場合、すなわち自着火に至れるだけの所定の未燃燃料量が存在する状態で、自着火タイミングが到来した場合に、ノッキングが発生するものと判定(予測)する。そして、ノッキングが発生しないような点火時期を演算により決定し、この点火時期によって点火を行うことによって、ノックモデルに基づく運転を定常的に行う。なお、本実施形態におけるノック関数(ノックモデル)は、エンジンの運転状態を示す物理量とノッキングが発生するタイミングとの関係を示す条件式(数値計算モデル)としたが、本発明におけるモデル関数はマップであってもよい。
以上のとおり構成された本実施形態におけるノックモデル補正処理について、図6に従って説明する。図6の処理ルーチンは、エンジンの運転中において所定時間ごとに繰返し実行される。まず、ECU30は、エンジンの運転条件を取得する(S10)。ここでの運転条件は、筒内圧センサ23によって検出される筒内圧、クランク角センサ17によって検出されるエンジン回転数、エアフローメータ14によって検出される負荷、およびVVT11に対しECU30によって指令されるバルブタイミングを含む。ECU30はまた、検出された運転条件を記憶装置の所定の領域に、運転履歴として格納する。
次にECU30は、所定のノック学習条件が成立しているかを判定する(S20)。ここでのノック学習条件は、ノック学習を許容するための条件であり、例えば始動直後でないこと、油温および水温が所定範囲内であること、および急加速中などの過渡運転状態でないことをAND条件で用いる。ノック学習条件が成立していない場合には、処理がリターンされる。
ノック学習条件が成立している場合には、ECU30は記憶装置に格納されている過去の運転パターンを参照する(S30)。ここにいう過去の運転パターンは、過去の所定期間内に取得された回転数、負荷および未燃ガスピーク温度であり、このうち過去の所定期間内に使用した実績のある回転数および負荷は、図7において実線で示される。
次に、ECU30は過去の書的期間内に取得された未燃ガスピーク温度および回転数に基づいて、学習許容領域を設定する(S40)。ここにいう学習許容領域は、後述する学習処理を許容する運転領域であり、回転数および未燃ガスピーク温度からなる領域内に、回転数領域ごとに設定される。具体的には、図8に示される各回転数領域A,B,Cのそれぞれにおける未燃ガスピーク温度の最大値から一定値低温側に、下限値としての高負荷基準値Ath1,Bth1,Cth1が設定され、また、負荷の下限値(ノッキングが生じた負荷の下限値)から一定値高温側に、上限値としての低負荷基準値Ath2,Bth2,Cth2が設定される。このようにして、学習処理を許容する運転領域である学習許容領域A1,A2,B1,B2,C1,C2が、各回転数領域A〜Dについて設定される。
なお、本発明者らの実験によれば、図9に示されるように、同一回転数・空気量においては、ノッキングが発生する運転条件下での未燃ガス温度の最大値(未燃ガスピーク温度)は、負荷が高いときほど小さくなる。すなわち、負荷と未燃ガスピーク温度とは関連しており、負荷が大であるほど、未燃ガスピーク温度は漸減する。
次に、ECU30は、先にステップS10で取得した運転条件に基づいて、現在エンジンが学習許容領域A1,A2,B1,B2,C1,C2のいずれかで運転しているかを判定する(S50)。肯定の場合には、次にノッキングが発生しているかを判定する(S60)。この判断は筒内圧センサ23の検出値に基づいて、例えば所定のしきい値との比較によって行われる。ノッキングが発生している場合には、ECU30はノックデータを記憶装置に記憶する(S70)。ここでのノックデータは、運転条件(回転数、負荷、バルブタイミング)のほか、筒内状態量(筒内圧、筒内未燃ガス温度、燃焼割合)を含む。なお、筒内未燃ガス温度と燃焼割合は、筒内圧センサ23の検出値に基づいて算出される。
次にECU30は、ノックモデルの学習が可能かを判定する(S80)。ここでは、各回転数領域A,B,C,Dについて、高温側および低温側の両学習許容領域におけるノックデータが取得されているかが判定される。すなわち、本実施形態では2つのノックデータが揃っていることを条件として、各回転数領域についての学習が許容される。図8の例においては、回転数領域Bでは2つのノックデータが揃っているため学習が許容されるが、回転数領域A,Cでは2つのノックデータが揃っていないため、学習が許容されない。
ステップS60またはS80において否定の場合には、ECUは、学習許容領域での進角量を決定する(S110)。ここでは、ステップS60で学習許容領域内におけるノッキングが発生していない場合には、その学習許容領域についての進角量を増大する。また、ステップS80で学習許容領域内におけるノックは発生したが2つのノックデータが揃っていない場合には、ノックデータが必要ないので、点火時期を遅角側に戻すために、その学習許容領域内における進角量をゼロとする。
ステップS50で否定の場合、すなわち学習許容領域で運転していない場合には、学習許容領域外でノッキングが発生しているかが判定される(S120)。この判定は筒内圧センサ23の検出値に基づいて、例えば所定のしきい値との比較によって行われる。ノッキングが発生している場合には、運転条件全体(つまり、全回転数領域)のノック点火時期を遅角側に(例えば2°)暫定的に補正する(S130)。なお、ここでの暫定的な補正はノッキングが発生している回転数領域のみについて行ってもよい。
そして、ステップS80において、ある回転数領域について2つのノックデータが揃っている場合には、当該回転数領域についてのノックモデルの同定が行われる(S90)。ここでのノックモデルの同定は、図10に示されるように、燃焼割合から推定される自着火タイミング(燃焼割合が所定の基準値を上回るタイミング)Cbr2と、自着火予測式から推定される自着火タイミングClgwとの差分(Clgw−Cbr2)が0になるように、自着火予測式中の係数の一つである適合値Eaを調整するものである。ここでの一処理サイクルあたりの調整量は一定値でもよく、また差分(Clgw−Cbr2)に応じて予め定められた可変値としてもよい。
最後にECU30は、調整された適合値Eaによって、当該回転数領域についてノックモデルを更新して(S100)本ルーチンを抜ける。以上の処理の結果、本実施形態におけるノックモデルは回転数領域ごとに補正されることになる。
以上のとおり、本実施形態では、エンジン1の運転状態に基づいて筒内未燃ガス温度の推定値を算出し、算出された筒内未燃ガス温度に基づいて、回転数領域ごとにノックモデルを補正する。このように本発明では、ノックモデルの補正を回転数領域ごとに行うので、ノックモデルの学習の精度を向上することができる。
また本実施形態では、ノックモデルが筒内圧をパラメータとして更に含み、かつ未燃ガスの着火遅れ時間の逆数を積分することで自着火発生時期を予測することとしたので、簡易な構成で本発明に所期の効果を得ることができる。
また本実施形態では、ある回転数領域において所定の高温側基準値以上の筒内未燃ガス温度の推定値と、所定の低温側基準値以下の前記推定値とが推定された場合に、当該回転数領域についてのノックモデルの補正を許容することとしたので、少ない学習回数で良好な精度を得ることができ、学習を迅速化できる。
また本実施形態では、高温側基準値Ath1〜Cth1および低温側基準値Ath2〜Cth2を、過去の運転履歴に基づいて設定するので、過去の運転履歴を反映した適正な基準値を設定できる。この場合には過去の筒内未燃ガス温度の履歴に基づいて設定を行うので、簡易な構成で本発明に所期の効果を得ることができる。なお、過去の運転履歴に基づいて設定するのは高温側基準値および低温側基準値のうち一方であってもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本発明者らの実験によれば、図11に示されるように、同一回転数・空気量においては、ノッキングが発生する運転条件下での未燃ガスピーク温度は、オーバーラップ量が大きいときほど小さくなる。すなわち、オーバーラップ量が大であるほど、未燃ガス温度の最大値(未燃ガスピーク温度)は漸減し、より低い未燃ガス温度でノッキングが生じるようになる。第2実施形態はこの性質を利用するものである。具体的には、第2実施形態は、エンジンの運転条件がノック学習運転条件の近傍である場合に、バルブタイミングを変化させ、高負荷ではオーバーラップを大きくし、低負荷ではオーバーラップを小さくすることで、ノックデータ間の未燃ガスピーク温度の違い(差)を増大させ、ノックモデルの学習を促進するものである。第2実施形態は制御処理において第1実施形態と異なるのみであるため、その機械的構成についての説明は省略する。
第2実施形態における処理について説明する。図12に示されるように、第2実施形態における処理は、上述した第1実施形態における処理のステップS50とステップS120との間に、新たにステップS140〜S170を挿入したものに相当する。このため、第1実施形態と同様の処理ステップについては、同一の符号を付してその詳細の説明を省略する。
ステップS50で否定の場合、すなわち学習許容領域で運転していない場合には、ECU30は、運転状態が学習許容領域の近傍であるかを判定する(S140)。この判定は、現在の運転状態が属する回転数領域において、負荷が学習許容領域から所定範囲内かによって行われる。否定の場合には処理はステップS120に移行する。肯定の場合、すなわち運転状態が学習許容領域の近傍である場合には、次にECU30は、現在の負荷が学習許容領域よりも高負荷側かを判定する(S150)。
そしてECU30はVVT11を制御してバルブタイミングを変更することで、現在の負荷が学習許容領域よりも高負荷側の場合はバルブオーバーラップ量を増大させ(S160)、低負荷側の場合はバルブオーバーラップ量を減少させて(S170)、処理を一旦リターンさせる。これらの処理の結果、オーバーラップ量が増大されることによって未燃ガス温度は減少し、オーバーラップ量が減少されることによって未燃ガス温度は増大することになる。
これらステップS140〜S170の処理は、運転条件(S10)が学習許容領域内になるまで(S50)繰返し実行され、学習許容領域内になると、ステップS60〜S110の処理が上記第1実施形態と同様に行われることになる。
以上のとおり、本実施形態では、ある回転数領域において学習許容領域外であって近傍の所定範囲内の筒内未燃ガス温度が推定された場合に、推定値が学習許容領域内になるように、バルブオーバーラップ量を変更する。したがって、ノックモデルの学習を促進することができる。
なお、第2実施形態ではバルブタイミングを変化させることでバルブオーバーラップ量を変更したが、可変バルブリフト機構を備えるエンジンの場合には、バルブリフト量を変化させることによってバルブオーバーラップ量を変更してもよい。
また、第2実施形態では、バルブオーバーラップ量の変更によって運転条件が学習許容領域内になるように運転状態を制御したが、これに代えて、あるいはこれに加えて、エンジン回転数、および/または充填効率を変更することによって、運転条件が学習許容領域内になるように運転状態を制御してもよい。すなわち、図12のルーチンにおけるステップS150において肯定の場合に、エンジン回転数の減少、および/または充填効率の増大を行い、またS150において否定の場合に、エンジン回転数の増大、および/または充填効率の減少を行ってもよい。エンジン回転数の変更は、これを補償するように変速比を変更できる無段変速機を有するエンジンにおいて特に好適である。充填効率の変更は、バルブタイミングの変更によって行うほか、例えば可変トランペット式や切替バルブ式の吸気管長可変機構(可変吸気システム)の制御によって行うことができ、吸気管長可変機構による場合には吸気管長の変化によって、吸気管内の圧力波の影響が制御されて吸気圧が変動し、これによって充填効率を変更することができる。
なお、上記各実施形態では、エンジンの運転状態を示すパラメータと未燃ガスの自着火発生時期との関係を定めたモデル関数として数値計算モデルを用いたが、本発明におけるモデル関数はマップであってもよい。また、上記各実施形態ではノックモデルが筒内未燃ガス温度をパラメータとして含むこととしたが、本発明におけるモデル関数は、筒内未燃ガス温度に代えて、筒内未燃ガス温度に相関のある物理量、例えば筒内圧をパラメータとして含んでもよい。断熱圧縮を仮定した場合に、筒内圧は筒内未燃ガス温度に相関するとみなすことができるので、筒内圧をパラメータとして用いることによっても本発明に所期の効果を得ることができる。
また、上記各実施形態では本発明を4サイクルガソリンエンジンに適用した例について説明したが、本発明はガソリン以外の液体燃料や気体燃料をエネルギ源とするエンジン、あるいは所謂ポート噴射式エンジン等の他の形式の内燃機関について適用することも可能であって、いずれも本発明の範疇に属するものである。
本発明の第1実施形態を示す概略構成図である。 燃焼室における既燃部および未燃部を概念的に示す平面図である。 自着火遅れ時間の逆数の積分値1/τの推移を示すタイミング図である。 燃焼割合の推移を示すタイミング図である。 ノックモデルを用いた定常運転の概念図である。 第1実施形態におけるノックモデル補正処理を示すフロー図である。 過去の運転パターンの一例を示すグラフである。 学習許容領域の設定例を示すグラフである。 ノッキングが発生する運転条件下での負荷と未燃ガスピーク温度との関係を示すグラフである。 第1実施形態におけるノックモデルの学習の手順を示す概念図である。 ノッキングが発生する運転条件下でのオーバーラップ量と未燃ガスピーク温度との関係を示すグラフである。 第2実施形態におけるノックモデル補正処理を示すフロー図である。
符号の説明
1 エンジン
23 筒内圧センサ
30 ECU
34 燃焼室

Claims (7)

  1. 筒内未燃ガス温度または筒内未燃ガス温度に相関のある物理量をパラメータとして含むモデル関数に基づいて未燃ガスの自着火発生時期を予測する予測手段と、当該予測手段により予測された自着火発生時期に基づいて、自着火が生じないように燃焼を制御する燃焼制御手段と、を備えた内燃機関の燃焼制御装置であって、
    内燃機関の運転状態に基づいて筒内未燃ガス温度または筒内未燃ガス温度に相関のある物理量の推定値を算出する温度推定手段と、
    算出された前記推定値に基づいて、前記内燃機関の回転数領域ごとに前記モデル関数を補正する学習処理手段と、
    を更に備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記モデル関数は、筒内圧をパラメータとして更に含むことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記予測手段は、未燃ガスの着火遅れ時間の逆数を積分することで自着火発生時期を予測することを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記学習処理手段は、ある回転数領域において所定の高温側基準値以上の前記推定値と、所定の低温側基準値以下の前記推定値とが推定された場合に、当該回転数領域についてのモデル関数の補正を許容することを特徴とする制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記高温側基準値および前記低温側基準値のうち少なくとも一方を、過去の運転履歴に基づいて設定する設定手段を更に備えたことを特徴とする制御装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記設定手段は、当該回転数領域における過去の筒内未燃ガス温度または筒内未燃ガス温度に相関のある物理量の最大値または最小値に基づいて前記設定を行うことを特徴とする制御装置。
  7. 請求項4ないし6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置であって、
    前記燃焼制御手段は、ある回転数領域において前記学習処理手段による補正を許容する領域の外側の前記推定値が推定された場合に、前記推定値が補正を許容する領域内になるように、バルブオーバーラップ量、機関回転数、または充填効率のうちの少なくともいずれかを変更することを特徴とする制御装置。
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CN111980821A (zh) * 2020-08-20 2020-11-24 联合汽车电子有限公司 超级爆震控制***及方法
EP3951153A1 (en) * 2020-07-01 2022-02-09 Mazda Motor Corporation Method for predicting combustion state of engine

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