JP2008073115A - X線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】デュアルエナジーサブトラクション法による撮影では同一撮影位置について管電圧を変えて撮影される2枚の画像の時間間隔をできるだけ短くするために、2回の撮影はフィラメント電流値を変えずに行われるが、低管電圧撮影側の撮影は許容値よりかなり小さい管電流でしか行われないため撮影時間が長くなり、動きのある部位については運動のボケにより画質が低下した画像しか得られない。
【解決手段】3極X線管11を用いて、フィラメント電流を低管電圧撮影時に許容最大電流を流す電流値に設定し、高管電圧撮影時にはグリッド電圧制御部10によりグリッド9に負の電圧を印加して、高管電圧に対する許容最大電流以下になるように制御し、低管電圧撮影時にはグリッド9に印加する電圧を0にして低管電圧に対する許容最大電流を流すようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】3極X線管11を用いて、フィラメント電流を低管電圧撮影時に許容最大電流を流す電流値に設定し、高管電圧撮影時にはグリッド電圧制御部10によりグリッド9に負の電圧を印加して、高管電圧に対する許容最大電流以下になるように制御し、低管電圧撮影時にはグリッド9に印加する電圧を0にして低管電圧に対する許容最大電流を流すようにする。
【選択図】 図1
Description
デュアルエナジーサブトラクション方式を用いたX線撮影に使用されるX線撮影装置に関する。
X線撮影法の一つであるデジタルサブトラクション法の中に、同一撮影位置で管電圧を変えて線質の異なるX線による2枚の画像を撮影し、それぞれの画像の濃度値に適当な係数を掛けて対応する画素ごとに引算を行うことにより、撮影画像の中から例えばX線吸収の大きい骨等を消去した画像や、逆にX線吸収の小さい軟組織等を消去した画像を得るデュアルエナジーサブトラクション法と呼ばれるものがある。この方法による撮影について図3〜図5を用いて説明する。図5はこの方法による撮影に通常用いられるX線撮影装置の構成例を示す図であり、図3および図4はいずれもこの方法による撮影の動作のタイミングを示す図であり、いずれも(a)が管電圧印加のタイミングを、(b)がその結果流れる管電流のタイミングを示している。
デュアルエナジーサブトラクション法による撮影では、上述したように同一撮影位置について管電圧を変えて2枚の画像を撮影する。そのために図5において操作者(図示しない)が操作パネル8から2種類の管電圧、ここでは140KVと60KV、を入力すると、例えばマイクロコンピュータ等により構成されるX線制御部7はあらかじめ記憶しているX線管1の定格表からそれぞれの管電圧に対して許容される最大管電流値(ここでは仮に200mAおよび630mAとする)を読み出し、さらにあらかじめ記憶しているX線管1の陰極2のフィラメント2Aのエミッション特性表から、それぞれの管電圧に対して前記管電流を流すために必要なフィラメント電流値(ここでは仮に4.2Aおよび4.9Aとする)を読み出して別途記憶しておく。
以下図3に示すタイムチャートに従って撮影動作を説明する。操作者が被検者(図示しない)をX線管1に対向配置されたX線受光部(図示しない)の前に配置して、操作パネル8に付随するハンドスイッチ(図示しない)を操作すると、X線制御部7は事前に記憶しておいた140KVに対するフィラメント電流値4.2Aを陰極2のフィラメント2Aに流すようにフィラメント加熱制御部5に指示する。この電流によりフィラメント2Aが加熱され、その温度が安定するまでの時間が経過すると、X線制御部7は管電圧制御部4を経由してX線管1の陽極3と陰極2の間に140KVの電圧を印加する。これによりX線管1から被検者にX線が照射され、透過したX線がX線受光部に入射する。そして例えばX線受光部の前面等に配置された自動露出用検出器(図示しない)からの出力を受ける自動露出制御部6により、画像が適正濃度に達したとき、ここでは管電圧印加開始からth秒後に、X線制御部7に信号が送られ、X線制御部7は管電圧の印加を停止する。
その後X線制御部7は60KVに対するフィラメント電流値4.9Aを陰極2のフィラメント2Aに流すようにフィラメント加熱制御部5に指示する。これによりそれまで4.2Aで加熱されていたフィラメント2Aは4.9Aで加熱されるが、フィラメントの熱慣性のためその温度が安定するまでには通常秒オーダーの時間が必要であり、そのためX線制御部7は60KVの管電圧による2回目の撮影を、あらかじめ設定された、この時間より長い時間であるtd秒経過後に行う。すなわちX線制御部7はフィラメント加熱制御部5を経由してフィラメント2Aに流す電流を4.2Aから4.9Aに切り替えてtd秒経過後に管電圧制御部4を経由してX線管1の陽極3と陰極2の間に60KVの電圧を印加する。今回の撮影についても画像が適正濃度に達したとき、すなわち管電圧印加後tl秒後に、自動露出制御部6からX線制御部7に信号が送られ、X線制御部7は管電圧の印加を停止する。以上のような動作により、管電圧を変えて線質の異なるX線による2枚の画像を撮影することができるが、2回の撮影の間には上述のようにフィラメントの熱慣性に起因する秒オーダーの待ち時間td秒が必要である。そのため動きのある部位を撮影すると2枚の画像にずれが生じ、以後の画像処理で引算を行うとアーチファクトが発生するという不都合がある。
そのため現実的には図4のタイムチャートに示すように2回の撮影の間隔を極力短くする方法が用いられている。具体的には1回目の撮影は上述の方法とまったく同じであるが、2回目の撮影はフィラメント電流値が1回目と同じ4.2Aのままで行われる。この結果フィラメントの熱慣性に起因する秒オーダーの待ち時間td秒が不要となり、極めて短い時間td1秒後に2回目の撮影を行うことができる。ただし2回目の撮影については、本来なら管電圧60KVに対して許容される最大管電流値である630mAを流すためにフィラメント電流値を4.9Aにすべきところを4.2Aのままにしているため管電流はたとえば130mAしか流ない。その結果2回目の画像が適正濃度に達するのに要する時間は、管電圧60KV、管電流630mAで撮影した場合のtl秒に比べて数倍長いtl1秒になる。
なお上述のようにデュアルエナジーサブトラクション法においては2回の撮影の間隔を極力短くすることが望ましいので、その間のフィラメント電流値の切換により生じる待ち時間を短くする方法について述べたが、類似の問題に対する考え方として、たとえば特許文献1に示すように消化管の診断等において、透視から撮影に切り替えるときのフィラメント電流値の変更により生じる待ち時間を短縮する方法等が考案されている。
特開平5−314935号公報
背景技術の項において、デュアルエナジーサブトラクション法による撮影で同一撮影位置について管電圧を変えて撮影される2枚の画像の時間間隔をできるだけ短くするために、2回の撮影をフィラメント電流値を変えずに行った結果、低管電圧撮影時の撮影時間が長くなることについて述べたが、この結果動きのある部位については運動のボケにより画質が低下した画像しか得られず、当然2枚の画像の引算を行って得られる画像についても画質が低下することになる。本発明は管電圧を変えて撮影される2枚の画像の撮影間隔をできるだけ短くするとともに、2回の撮影のいずれについてもできるだけ短時間で撮影することができるX線撮影装置を提供するためのものである。
請求項1記載の発明は上記の目的を達成するために、異なる管電圧による2回の撮影で得られるX線画像を減算処理するX線撮影装置において、陽極と陰極に加えてグリッドを有する3極X線管と、グリッド電圧を前記グリッドに印加することにより前記3極X線管の管電流値を制御するグリッド電圧制御手段と、前記陰極を構成するフィラメントに前記2回の撮影のいずれにおいても前記異なる管電圧のうちの低管電圧に対する前記3極X線管の許容最大管電流を与える電流値以下の電流を供給するフィラメント加熱手段と、高管電圧による撮影時には管電流が前記高管電圧に対する許容最大管電流値以下になる電圧になるように前記グリッド電圧制御手段を制御する制御手段を備えたX線撮影装置を提供する。
請求項2記載の発明は上記の目的を達成するために、異なる管電圧による2回の撮影で得られるX線画像を減算処理するデュアルエナジーサブトラクション方式のX線撮影を行うX線撮影装置において、陽極と陰極に加えてグリッドを有する3極X線管と、前記3極X線管の前記グリッドが前記陰極に対して負または同電位になるグリッド電圧を印加することにより前記3極X線管の管電流値を制御するグリッド電圧制御手段と、前記陰極を構成するフィラメントに前記2回の撮影のいずれにおいても前記異なる管電圧のうちの低管電圧に対する前記3極X線管の許容最大管電流を与える電流値以下の電流を供給するフィラメント加熱手段と、前記グリッド電圧制御手段により、高管電圧による撮影時には管電流が前記高管電圧に対する許容最大管電流値以下になる負電圧を前記グリッドに印加し、前記低管電圧による撮影時には前記グリッドが前記陰極と同電位になるように制御する制御手段を備えたX線撮影装置を提供する。
本発明によりデュアルエナジーサブトラクション法による撮影で同一撮影位置について管電圧を変えて2枚の画像の撮影を行うとき、フィラメント電流値を切り替えてもそのことに起因する撮影の待ち時間をなくすことができるので、動きのある部位を撮影しても2枚の画像に位置ずれが生じることがなく、また低管電圧撮影時の画像に運動のボケによる画質の低下が生じることもなくなるので、2枚の画像の引算を行って得られるサブトラクション画像についても、2枚の画像の位置ずれによるアーチファクトの発生および低管電圧撮影時の画像の運動のボケによる画質の低下をなくすことができる。
本発明の実施例について図1および図2を用いて説明する。図1は本発明によるX線撮影装置の構成例を示すブロック図であり、図2は撮影の動作を示すタイムチャートである。そして図2において(a)は管電圧印加のタイミングを、(b)はその結果管電流が流れるタイミングを示している。本発明においては図1に示すようにX線管11は陽極3と陰極2のほかにグリッド9を備えた3極管として構成されており、陰極2とグリッド9の間にグリッド電圧制御部10から負の電圧を印加することにより、陽極3と陰極2の間を流れる管電流値を制御することができる。そしてグリッド9が陰極2と同電位のときX線管11は通常の2極管と同じ動作をする。
操作者(図示しない)が操作パネル8から2種類の管電圧、ここでは140KVと60KV、を入力すると、例えばマイクロコンピュータ等により構成されるX線制御部7はあらかじめ記憶しているX線管11の定格表から低い方の管電圧である60KVに対して許容される最大管電流値(ここでは仮に630mAとする)を読み出し、さらにあらかじめ記憶しているX線管11のエミッション特性表から、グリッド電圧が0Vのとき管電圧60KVに対して管電流630mAを流すために必要なフィラメント電流値(ここでは仮に4.9Aとする)を読み出して別途記憶しておく。さらにX線制御部7はX線管11の定格表から高い方の管電圧である140KVに対して許容される最大管電流値(ここでは仮に200mAとする)を読み出し、同じくあらかじめ記憶しているX線管11のグリッド特性表から、管電圧が140KVでフィラメント電流が4.9Aのとき管電流が200mAになるグリッド電圧(ここでは仮に−300Vとする)を読み出して別途記憶しておく。
操作者が被検者(図示しない)をX線管11に対向配置されたX線受光部(図示しない)の前に配置して、操作パネル8に付随するハンドスイッチ(図示しない)を操作すると、X線制御部7は事前に記憶しておいた60KVに対して許容される最大管電流値630mAを流すために必要なフィラメント電流値4.9Aを陰極2のフィラメント2Aに流すようにフィラメント加熱制御部5に指示するとともに、同じく事前に記憶しておいた管電圧が140KVでフィラメント電流が4.9Aのとき管電流が200mAになるグリッド電圧である−300Vをグリッド9に印加するようにグリッド電圧制御部10に指示する。
これにより4.9Aの電流でフィラメント2Aが加熱され、その温度が安定するまでの時間が経過すると、X線制御部7は管電圧制御部4を経由してX線管11の陽極3と陰極2の間に140KVの電圧を印加する。これによりX線管11に200mAの管電流が流れて被検者にX線が照射され、被検者を透過したX線がX線受光部に入射する。そして例えばX線受光部の前面等に配置された自動露出用検出器(図示しない)からの出力を受けて動作する自動露出制御部6により、画像が適正濃度に達したとき、すなわち管電圧印加開始からth秒後に、X線制御部7に信号が送られX線制御部7は管電圧の印加を停止する。その後X線制御部7はフィラメント電流値を変更することなく、X線管11のグリッド電圧を0Vに切り替えるようグリッド電圧制御部10に指示する。この切り替えに要する時間は極めて短いので、X線制御部7は140KVの管電圧の印加を停止してからtd1秒後に、60KVの管電圧を印加して630mAの管電流を流し2回目の撮影を開始することができる。そして画像が適正濃度に達したとき、すなわち管電圧印加開始からtl秒後に、自動露出制御部6からX線制御部7に信号が送られX線制御部7は管電圧の印加を停止する。
この結果1回目と2回目の撮影の間隔td1秒は図3に示すtd秒に比べて極めて短くなるので、被写体の動きによる2枚の画像の位置ずれを無視しうる程度に小さくできるとともに、2枚の画像のどちらもX線管11の定格的に許容される最大管電流により最短時間、すなわち1回目がth秒、2回目がtl秒で撮影されるので、動きのある部位についても運動のボケによる画質の低下を極めて小さくすることができる。このため2枚の画像の引算を行って得られるサブトラクション画像についても、2枚の画像の位置ずれによるアーチファクトの発生および低管電圧撮影時の画像の運動のボケによる画質の低下をなくすことができる。
上記の実施例では低管電圧による撮影時の撮影時間を最短にするために、2回の撮影のいずれにおいても、フィラメントに低管電圧に対する3極X線管の許容最大管電流を与える電流を流すようにしたが、フィラメント電流については必ずしもこの電流値にこだわるものではなく、これより小さくても類似の効果を得られる電流範囲が存在する。
上記の実施例では高管電圧による撮影時の撮影時間を最短にするために、高管電圧による撮影時にはグリッドに管電流が前記高管電圧に対する許容最大管電流値になる負電圧を印加したが、グリッドに印加する電圧については必ずしもこの電圧にこだわるものではなく、これより絶対値的に小さい負電圧であっても類似の効果を得られる電圧範囲が存在する。
上記の実施例では同一撮影位置についての2回の撮影を、はじめに高い管電圧により行い、その後低い管電圧によって行ったが、この順番は逆でもよい。
上記の実施例では静止画としてのサブトラクション像を得るために、二つの異なる管電圧による撮影を1回づつ行う例について説明したが、これを1対の撮影として複数回繰り返し行うことにより得られる複数対の画像から、動画としてのサブトラクション像を得る場合にも本発明は有効である。
デュアルエナジーサブトラクション方式を用いたX線撮影に使用されるX線撮影装置に関する。
1:X線管
2:陰極
2A:フィラメント
3:陽極
4:管電圧制御部
5:フィラメント加熱制御部
6:自動露出制御部
7:X線制御部
8:操作パネル
9:グリッド
10:グリッド電圧制御部
11:X線管
2:陰極
2A:フィラメント
3:陽極
4:管電圧制御部
5:フィラメント加熱制御部
6:自動露出制御部
7:X線制御部
8:操作パネル
9:グリッド
10:グリッド電圧制御部
11:X線管
Claims (2)
- 異なる管電圧による2回の撮影で得られるX線画像を減算処理するX線撮影装置において、陽極と陰極に加えてグリッドを有する3極X線管と、グリッド電圧を前記グリッドに印加することにより前記3極X線管の管電流値を制御するグリッド電圧制御手段と、前記陰極を構成するフィラメントに前記2回の撮影のいずれにおいても前記異なる管電圧のうちの低管電圧に対する前記3極X線管の許容最大管電流を与える電流値以下の電流を供給するフィラメント加熱手段と、高管電圧による撮影時には管電流が前記高管電圧に対する許容最大管電流値以下になる電圧になるように前記グリッド電圧制御手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
- 異なる管電圧による2回の撮影で得られるX線画像を減算処理するデュアルエナジーサブトラクション方式のX線撮影を行うX線撮影装置において、陽極と陰極に加えてグリッドを有する3極X線管と、前記3極X線管の前記グリッドが前記陰極に対して負または同電位になるグリッド電圧を印加することにより前記3極X線管の管電流値を制御するグリッド電圧制御手段と、前記陰極を構成するフィラメントに前記2回の撮影のいずれにおいても前記異なる管電圧のうちの低管電圧に対する前記3極X線管の許容最大管電流を与える電流値以下の電流を供給するフィラメント加熱手段と、前記グリッド電圧制御手段により、高管電圧による撮影時には管電流が前記高管電圧に対する許容最大管電流値以下になる負電圧を前記グリッドに印加し、前記低管電圧による撮影時には前記グリッドが前記陰極と同電位になるように制御する制御手段を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
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Legal Events
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