JP2008069850A - 変速機の同期装置 - Google Patents

Abstract

【課題】遊転時のシンクロナイザーリングとギヤコーンの間の摺動抵抗を低減することができる変速機の同期装置を提供すること。
【解決手段】不図示の駆動軸に連結されるクラッチハブ１と、クラッチハブにスプラインを介して滑合するスリーブ４と、スリーブと対向して駆動軸に遊嵌されスリーブと係合可能なギヤピース２と、ギヤピースとクラッチハブの間に配置されてクラッチハブに連結され駆動軸上を移動してギヤピースのギヤコーン５と摺動可能なシンクロナイザーリング３とを有し、変速時、シンクロナイザーリングがギヤピースのギヤコーンと摺動することにより、ギヤピースと駆動軸の回転を同期させる装置であって、回転方向に互いに対向して係合するようかつ軸方向に摺動可能に形成された少なくとも一対の斜面１ａ，３ａを、クラッチハブとシンクロナイザーリングの相対回転を誘起する回転駆動力により、両者が接近する方向に相対摺動するように形成する。
【選択図】図４

Description

本発明は、同期装置に関し、特に、変速機の同期装置に関する。

図１は、従来例に係る変速機の同期装置の基本構成を示す断面図である。図２（Ａ）は、図１に示した同期装置においてシンクロナイザーリングとクラッチハブの連結部を模式的に示す部分拡大図であり、図２（Ｂ）は図２（Ａ）の矢視ａからの平面図である。

図１を参照すると、従来例に係る変速機の同期装置は、不図示の駆動軸に連結されるクラッチハブ１と、クラッチハブ１にスプラインを介して滑合するスリーブ４と、スリーブ４と対向するよう前記駆動軸に遊嵌されスリーブ４と係合可能なギヤピース２と、ギヤピース２とクラッチハブ１の間に配置されてクラッチハブ１に連結され前記駆動軸上を移動してギヤピース２のギヤコーン５と摺動可能なシンクロナイザーリング３と、を有し、変速時、スリーブ４の移動に伴ってシンクロナイザーリング３がギヤピース２のギヤコーン５と摺動することによりギヤピース２と前記駆動軸の回転を同期させる。

クラッチハブ１上、シンクロナイザーリング３と連結する部分には、前記駆動軸の軸方向に平行な第１の平行面１１ａが形成され、一方、シンクロナイザーリング３上、クラッチハブ１と連結する部分には、前記駆動軸の軸方向に平行で第１の平行面１１ａと回転方向にクリアランスをもって対向しかつ当接可能な第２の平行面１３ａが形成されている。

第１の平行面１１ａと第２の平行面１３ａが互いに当接することによって、シンクロナイザーリング３は回転方向に関してクラッチハブ１側に位置決めされて連結される。

図２（Ａ）及び図２（Ｂ）を参照すると、従来例に係る変速機の同期装置においては、クラッチハブ１とギヤコーン５が相対的に回転している際、すなわち、シンクロナイザーリング３の遊転時、シンクロナイザーリング３とギヤコーン５が接触して摺動抵抗が発生する。この摺動抵抗が変速機の効率低下の原因となっている。

本発明は、シンクロナイザーリングの遊転時、シンクロナイザーリングとギヤコーンの間の摺動抵抗を低減することができる変速機の同期装置を提供することを目的とする。

本発明は、第１の視点において、駆動軸に連結されたクラッチハブと、前記クラッチハブにスプラインを介して滑合するスリーブと、前記スリーブと対向するよう前記駆動軸に遊嵌され前記スリーブと係合可能なギヤピースと、前記ギヤピースと前記クラッチハブの間に配置されて該クラッチハブに連結され前記駆動軸上を移動して前記ギヤピースと摺動可能なシンクロナイザーリングと、を有し、変速時、前記スリーブの移動に伴って前記シンクロナイザーリングが前記ギヤピースのギヤコーンと摺動することにより前記ギヤピースと前記駆動軸の回転を同期させる変速機の同期装置であって、回転方向に互いに対向して係合するようかつ軸方向に摺動可能に形成された少なくとも一対の斜面であって、前記クラッチハブと前記シンクロナイザーリングの相対回転を誘起する回転駆動力により、両者が接近する方向に相対摺動するように形成された斜面と、を有する、ことを特徴とする変速機の同期装置を提供する。

クラッチハブとギヤコーンの間に相対回転がある際、シンクロナイザーリングとギヤコーンの間の摩擦作用によって、シンクロナイザーリングに回転力が働き、シンクロナイザーリングは遊転する。本発明の変速機の同期装置によれば、上記したシンクロナイザーリングの遊転時、一対の斜面が互いに当接すると、シンクロナイザーリングには、ギヤピース側から離間して、クラッチハブ側に吸い込まれる方向に作用する反力が働く。この結果、シンクロナイザーリングと、ギヤピースのギヤコーンとの間の摺動抵抗が低減され、変速機の効率が向上する。なお、図２（Ｂ）に示した従来例においては、第１の平行面１１ａと第２の平行面１３ａは、駆動軸の軸方向に平行な面であるので、両者が当接しても、シンクロナイザーリングの回転方向に沿った力が発生しても、上記方向に作用する反力は発生しない。

本発明の好ましい実施の形態において、前記一対の斜面は、前記クラッチハブにおいて、前記シンクロナイザーリングと連結する部分に形成され、前記シンクロナイザーリング側に向うにつれて該駆動軸の軸線に対し所定角度で交差する方向に延在する第１の斜面と、前記シンクロナイザーリングにおいて、前記クラッチハブと連結する部分に形成され、前記クラッチハブ側に向うにつれて該駆動軸の軸線から開く方向に延在し、前記クラッチハブ上の前記第１の斜面と回転方向に対向して当接可能な第２の斜面と、を有する。

本発明の好ましい実施の形態において、前記第１の斜面と前記第２の斜面は、少なくとも、前記ギヤピースの遊転時、互いに当接して、前記シンクロナイザーリングを前記ギヤピース側から離れて前記クラッチハブ側に移動させる反力を発生する。

本発明の好ましい実施の形態においては、前記クラッチハブが前記シンクロナイザーリングと対向する部分に該シンクロナイザーリングに向って開口する凹部が形成され、前記シンクロナイザーリングが前記クラッチハブと対向する部分に該凹部内に進入する凸部が形成され、前記凹部の幅は開口側に向って狭くされ、前記凸部の幅は先端側に向って広くされ、前記第１の斜面は前記凹部の内壁に形成され、前記第２の斜面は前記凸部の側壁に形成されている。

以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図３（Ａ）は、図１に示した変速機に適用可能な本発明の一実施例に係る同期装置の断面図であり、図３（Ｂ）は図３（Ａ）の矢視ａからの平面図である。

図１、図３（Ａ）及び図３（Ｂ）を参照すると、本発明の一実施例に係る変速機の同期装置は、不図示の駆動軸に連結されるクラッチハブ１と、クラッチハブ１にスプラインを介して滑合するスリーブ４と、スリーブ４と対向するよう前記駆動軸に遊嵌されスリーブ４と係合可能なギヤピース２と、ギヤピース２とクラッチハブ１の間に配置されてクラッチハブ１に連結され前記駆動軸上を移動してギヤピース２のギヤコーン５と摺動可能なシンクロナイザーリング３と、を有し、変速時、スリーブ４の移動に伴ってシンクロナイザーリング３がギヤピース２のギヤコーン５と摺動することにより、ギヤピース２と前記駆動軸の回転を同期させる。

この同期装置は、回転方向に互いに対向して係合するようかつ軸方向に摺動可能に形成された少なくとも一対の斜面１ａ，３ａであって、クラッチハブ１とシンクロナイザーリング３の相対回転を誘起する回転駆動力により、両者が接近する方向に相対摺動するように形成された斜面１ａ，３ａを有している。

クラッチハブ１において、シンクロナイザーリング３と連結する部分には、シンクロナイザーリング３側に向うにつれて前記駆動軸の軸線に対し所定角度で交差する方向に向って延在する第１の斜面１ａが形成されている。一方、シンクロナイザーリング３において、クラッチハブ１と連結する部分には、クラッチハブ１側に向うにつれて前記駆動軸の軸線から開く方向に向って延在し、第１の斜面１ａと当接可能な第２の斜面３ａが形成されている。第１の斜面１ａと第２の斜面３ａは、回転方向にクリアランスをもって対向しかつ当接可能である。第１の斜面１ａと第２の斜面３ａが互いに当接することによって、シンクロナイザーリング３は回転方向に関してクラッチハブ１側に位置決めされて連結される。

クラッチハブ１がシンクロナイザーリング３と対向ないし連結する部分（連結部６）には、シンクロナイザーリング３に向って開口する凹部７が形成されている。シンクロナイザーリング３がクラッチハブ１と対向ないし連結する部分（連結部６）には、凹部７内に進入する凸部８が形成されている。凹部７の幅は開口側に向って狭くされ、凸部８の幅は先端側に向って広くされている。第１の斜面１ａは凹部７の内壁に形成され、第２の斜面３ａは凸部８の側壁に形成されている。Ｔは凹部７と凸部８の基面同士の距離、ｔは凹部７の底面と凸部８の先端面の距離である。

次に、以上説明した本発明の一実施例に係る変速機の同期装置の動作を説明する。

図４（Ａ）及び（Ｂ）は、図３（Ａ）に示した同期装置においてシンクロナイザーリングとクラッチハブの連結部の動作を模式的に示す図であって、（Ｂ）は（Ａ）の矢視ａからの平面図である。

図４（Ａ）及び図４（Ｂ）を参照すると、図３（Ａ）に示したクラッチハブ１とギヤコーン５の間に相対回転がある際、（１）シンクロナイザーリング３とギヤコーン５の間の摩擦作用によって、（２）シンクロナイザーリング３に回転力が働き、シンクロナイザーリング３は遊転する。本発明の一実施例に係る変速機の同期装置によれば、第１の斜面１ａと第２の斜面３ａは、クラッチハブ１側を向いて対向し当接するよう形成されている。（３），（４）よって、上記したシンクロナイザーリング３の遊転時、第１の斜面１ａと第２の斜面３ａが互いに当接すると、シンクロナイザーリング３には、ギヤコーン５側から離間して、クラッチハブ１側に吸い込まれる方向に作用する反力が働き、シンクロナイザーリング３はクラッチハブ１側に移動する（Ｔ_１→Ｔ_２、ｔ_１→ｔ_２（ｔ_１＞ｔ_２））。この結果、シンクロナイザーリング３とギヤコーン５の間の摺動抵抗が低減され、変速機の効率が向上する。

本発明は、車両用等の変速機、特に、スリーブが手動操作される手動変速機に好適に適用される。

従来例に係る変速機の同期装置を示す断面図である。 （Ａ）は、図１に示した同期装置においてシンクロナイザーリングとクラッチハブの連結部を模式的に示す部分拡大図であり、（Ｂ）は（Ａ）の矢視ａからの平面図であり、（Ａ）の動作図である。 （Ａ）は、図１に示した変速機に適用可能な本発明の一実施例に係る同期装置の断面図であり、（Ｂ）は（Ａ）の矢視ａからの平面図である。 （Ａ）及び（Ｂ）は、図３（Ａ）に示した同期装置においてシンクロナイザーリングとクラッチハブの連結部の動作を模式的に示す図であって、（Ｂ）は（Ａ）の矢視ａからの平面図である。

符号の説明

１ クラッチハブ
１ａ 第１の斜面
２ ギヤピース
３ シンクロナイザーリング
３ａ 第２の斜面
４ スリーブ
５ ギヤコーン
６ シンクロナイザーリングとクラッチハブの連結部
７ 凹部
８ 凸部
Ｔ，Ｔ_１，Ｔ_２ 凹部と凸部の基面同士の距離
ｔ，ｔ_１，ｔ_２ 凹部底面と凸部先端面の距離

Claims (4)

1. 駆動軸に連結されたクラッチハブと、前記クラッチハブにスプラインを介して滑合するスリーブと、前記スリーブと対向するよう前記駆動軸に遊嵌され前記スリーブと係合可能なギヤピースと、前記ギヤピースと前記クラッチハブの間に配置されて該クラッチハブに連結され前記駆動軸上を移動して前記ギヤピースと摺動可能なシンクロナイザーリングと、を有し、変速時、前記スリーブの移動に伴って前記シンクロナイザーリングが前記ギヤピースのギヤコーンと摺動することにより、前記ギヤピースと前記駆動軸の回転を同期させる変速機の同期装置であって、
   回転方向に互いに対向して係合するようかつ軸方向に摺動可能に形成された少なくとも一対の斜面であって、前記クラッチハブと前記シンクロナイザーリングの相対回転を誘起する回転駆動力により、両者が接近する方向に相対摺動するように形成された斜面と、
   を有する、ことを特徴とする変速機の同期装置。
2. 前記一対の斜面は、
   前記クラッチハブにおいて、前記シンクロナイザーリングと連結する部分に形成され、前記シンクロナイザーリング側に向うにつれて該駆動軸の軸線に対し所定角度で交差する方向に延在する第１の斜面と、
   前記シンクロナイザーリングにおいて、前記クラッチハブと連結する部分に形成され、前記クラッチハブ側に向うにつれて該駆動軸の軸線から開く方向に延在し、前記クラッチハブ上の前記第１の斜面と回転方向に対向して当接可能な第２の斜面と、
   を有する、ことを特徴とする請求項１記載の変速機の同期装置。
3. 前記第１の斜面と前記第２の斜面は、少なくとも、前記ギヤピースの遊転時、互いに当接して、前記シンクロナイザーリングを前記ギヤピース側から離れて前記クラッチハブ側に移動させる反力を発生することを特徴とする請求項１又は２記載の変速機の同期装置。
4. 前記クラッチハブが前記シンクロナイザーリングと対向する部分に該シンクロナイザーリングに向って開口する凹部が形成され、
   前記シンクロナイザーリングが前記クラッチハブと対向する部分に該凹部内に進入する凸部が形成され、
   前記凹部の幅は開口側に向って狭くされ、前記凸部の幅は先端側に向って広くされ、
   前記第１の斜面は前記凹部の内壁に形成され、前記第２の斜面は前記凸部の側壁に形成される、ことを特徴とする請求項１〜３のいずれか一記載の変速機の同期装置。

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