JP2008059700A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】可視情報を鮮やかな色で描画できると共に、描画された可視情報に十分なコントラストが得られ、視認性を良好にすることができる光記録媒体を提供する。
【解決手段】光記録媒体10は、第1基板16と、該第1基板16上に形成され、且つ、第1基板16の端面から照射される光によりデジタル情報が記録されるデジタル情報記録層18と、第1基板とは反対側に配された第2基板22のレーベル面側から照射される光により可視情報が記録される可視情報記録層24とを有する。可視情報記録層24は、レーザ光の波長での反射率が8%以上であり、可視情報記録層24に可視情報を記録しない状態での可視情報記録層24の色座標をL*、a*、b*で表したとき、30≦L*≦70を満足する。
【選択図】図1
【解決手段】光記録媒体10は、第1基板16と、該第1基板16上に形成され、且つ、第1基板16の端面から照射される光によりデジタル情報が記録されるデジタル情報記録層18と、第1基板とは反対側に配された第2基板22のレーベル面側から照射される光により可視情報が記録される可視情報記録層24とを有する。可視情報記録層24は、レーザ光の波長での反射率が8%以上であり、可視情報記録層24に可視情報を記録しない状態での可視情報記録層24の色座標をL*、a*、b*で表したとき、30≦L*≦70を満足する。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザ光により情報の記録再生が可能な光記録媒体に関し、特に、レーザ光により描画も可能な光記録媒体に関する。
DVD−R型等の光記録媒体については、そのレーベル面(記録時又は再生時に、レーザ光を照射する側とは反対側の面)に、インク受容層(印刷層)を設けた光記録媒体が実用化されている。ユーザは、インクジェットプリンタ等を用いてこの印刷層上に写真や絵を印刷することが可能である。
一方、インクジェットプリントでは、画像を形成するためにインクジェットプリンタ等を新たに用意することため、ユーザにはコスト的に負担となってしまう。また、光記録媒体に情報を記録した後、インクジェットプリンタ等に光記録媒体を移して画像を形成することは、手間がかかる作業である。さらに、複数の光記録媒体に情報を記録して画像を形成する場合、その手間が非常に煩雑に感じられてしまう。
そこで、従来では、情報記録(ピット情報)が記録される情報記録層とは反対側の面に、可視情報を記録することができる可視情報記録層を有する光記録媒体が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の光記録媒体は、前記可視情報記録層が色素を主成分とするものであって、450〜650nmの光波長の範囲内に極大吸収を有し、350〜450nm、600〜700nm、及び750〜850nmのうちの少なくともいずれかの波長帯域のレーザ光に対して0.05以上の吸光度を有する。
しかしながら、上述した特許文献1に記載の光記録媒体は、可視情報記録層におけるレーザ光の反射率が低すぎて、レーザ光をフォーカシングできない場合や、描画された可視情報に十分なコントラストが得られない、反射光量が大きすぎるため描画内容が見づらい場合がある、等の問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、可視情報を鮮やかな色で描画できると共に、描画された可視情報に十分なコントラストが得られ、視認性を良好にすることができる光記録媒体を提供することを目的とする。
本発明に係る光記録媒体は、レーザ光の照射によって可視情報が記録される可視情報記録層を具備した光記録媒体において、前記可視情報記録層は、前記レーザ光の波長での反射率が8%以上であり、前記可視情報記録層に対して前記可視情報を記録しない状態での前記可視情報記録層の色座標をL*、a*、b*で表したとき、30≦L*≦70を満足することを特徴とする。
先ず、レーザ光の波長での反射率が8%以上であるため、レーザ光を可視情報記録層に容易にフォーカスさせることができ、フォーカスサーボをかけながら可視情報を可視情報記録層に描画させることができる。
また、前記可視情報記録層に対して前記可視情報を記録しない状態での前記可視情報記録層の明度L*を、L*≦70にしたので、可視情報記録層に可視情報を描画した後の描画部分と未描画部分との明るさの差が明瞭となる。これは、コントラストの向上につながる。なお、L*>70では、可視情報を描画する前の状態でも明るすぎるため、可視情報を描画した後における描画部分と未描画部分との明るさの差がほとんどなくなり、実使用環境においても、反射する光量が多すぎるため、見づらくなる。
このように、本発明においては、可視情報を鮮やかな色で描画できると共に、描画された可視情報に十分なコントラストが得られ、視認性を良好にすることができる。
そして、本発明において、前記可視情報記録層は、前記レーザ光の波長での反射率が10%以上、50%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、12%以上、40%以下である。
また、本発明において、前記a*及びb*は、0<a*、0<b*を満足するようにしてもよいし、あるいは、a*≦0、0<b*を満足するようにしてもよい。
本発明において、前記a*及びb*は、0<a*、b*≦0を満足するようにしてもよいし、あるいは、a*≦0、b*≦0を満足するようにしてもよい。
本発明において、前記レーザ光の波長は600〜700nmとしてもよい。
また、本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(1)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(1):
一般式(1)中、X1及びX2は炭素又はへテロ原子であり、5又は6員環を形成する。両末端は同一でも異なってもよい。R1は水素又は1価の置換基である。Ytはt価のカチオンである。
本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(2)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(2):
一般式(2)中、X3は酸性核を有する原子団である。
本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(3)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(3):
一般式(3)中、X4は酸性核を有する原子団である。
本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(4)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(4):
一般式(4)中、R3は炭素数6〜20の炭化水素基又はフェロセンを含有する置換基である。α位が好ましく、置換基は3以上が好ましい。
本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(1)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(5):
一般式(5)中、R4は炭素数10以下の炭化水素基、R5は炭素又はへテロ原子であり、置換基を有していてもよい。R6は炭化水素基又はへテロ環基である。R6が2以上あるときは、環を形成してもよい。Z-はアニオンである。
本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(6)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(6):
一般式(6)中、R7は炭素数10以下の炭化水素基、R8は炭素又はへテロ原子であり、置換基を有していてもよい。R9は炭化水素基又はへテロ環基である。R9が2以上あるときは、環を形成してもよい。Z-はアニオンである。
本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(7)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(7):
一般式(7)中、B1、B2、B3は炭素原子又は窒素原子である。R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表し、R22、R23は互いに結合し、5員ないし7員の複素環を形成していてもよい。Aは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表す。nは、0、1、2又は3を表す。nが2以上のとき、複数存在するR25及びR26は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(8)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(8):
一般式(8)中、R31〜R35は一価の置換基、好ましくは炭素数10以下のアルキル基である。Z-はアニオンである。
また、本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(1)で表される色素化合物と、下記一般式(2)で表される色素化合物と、下記一般式(3)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。
一般式(1):
一般式(1)中、X1及びX2は炭素又はへテロ原子であり、5又は6員環を形成する。両末端は同一でも異なってもよい。R1は水素又は1価の置換基である。Ytはt価のカチオンである。
一般式(2):
一般式(2)中、X3は酸性核を有する原子団である。
一般式(3):
一般式(3)中、X4は酸性核を有する原子団である。
この場合、前記一般式(1)で表される色素化合物の配合率をEa、前記一般式(2)で表される色素化合物の配合率をEb、前記一般式(3)で表される色素化合物の配合率をEcとしたとき、
Ea=20〜45%
Eb=30〜45%
Ec=20〜35%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが55〜150nmであることが好ましい。
Ea=20〜45%
Eb=30〜45%
Ec=20〜35%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが55〜150nmであることが好ましい。
また、本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(4)で表される色素化合物と、下記一般式(5)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。
一般式(4):
一般式(4)中、R3は炭素数6〜20の炭化水素基又はフェロセンを含有する置換基である。α位が好ましく、置換基は3以上が好ましい。
一般式(5):
一般式(5)中、R4は炭素数10以下の炭化水素基、R5は炭素又はへテロ原子であり、置換基を有していてもよい。R6は炭化水素基又はへテロ環基である。R6が2以上あるときは、環を形成してもよい。Z-はアニオンである。
この場合、前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(5)で表される色素化合物の配合率をEeとしたとき、
Ed=60〜80%
Ee=20〜40%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが90〜100nmであることが好ましい。
Ed=60〜80%
Ee=20〜40%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが90〜100nmであることが好ましい。
また、本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(4)で表される色素化合物と、下記一般式(5)で表される色素化合物と、下記一般式(6)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。
一般式(4):
一般式(4)中、R3は炭素数6〜20の炭化水素基又はフェロセンを含有する置換基である。α位が好ましく、置換基は3以上が好ましい。
一般式(5):
一般式(5)中、R4は炭素数10以下の炭化水素基、R5は炭素又はへテロ原子であり、置換基を有していてもよい。R6は炭化水素基又はへテロ環基である。R6が2以上あるときは、環を形成してもよい。Z-はアニオンである。
一般式(6):
一般式(6)中、R7は炭素数10以下の炭化水素基、R8は炭素又はへテロ原子であり、置換基を有していてもよい。R9は炭化水素基又はへテロ環基である。R9が2以上あるときは、環を形成してもよい。Z-はアニオンである。
この場合、前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(5)で表される色素化合物の配合率をEe、前記一般式(6)で表される色素化合物の配合率をEfとしたとき、
Ed=60〜80%
Ee=2〜8%
Ef=20〜30%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが120〜130nmであることが好ましい。
Ed=60〜80%
Ee=2〜8%
Ef=20〜30%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが120〜130nmであることが好ましい。
また、本発明において、前記可視情報記録層は、下記一般式(4)で表される色素化合物と、下記一般式(7)で表される色素化合物と、下記一般式(8)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。
一般式(4):
一般式(4)中、R3は炭素数6〜20の炭化水素基又はフェロセンを含有する置換基である。α位が好ましく、置換基は3以上が好ましい。
一般式(7):
一般式(7)中、B1、B2、B3は炭素原子又は窒素原子である。R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表し、R22、R23は互いに結合し、5員ないし7員の複素環を形成していてもよい。Aは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表す。nは、0、1、2又は3を表す。nが2以上のとき、複数存在するR25及びR26は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(8):
一般式(8)中、R31〜R35は一価の置換基、好ましくは炭素数10以下のアルキル基である。Z-はアニオンである。
この場合、前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(7)で表される色素化合物の配合率をEg、前記一般式(8)で表される色素化合物の配合率をEhとしたとき、
Ed=50〜70%
Eg=10〜30%
Eh=10〜30%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが100〜120nmであることが好ましい。
Ed=50〜70%
Eg=10〜30%
Eh=10〜30%
であることが好ましい。さらに、前記可視情報記録層の厚みが100〜120nmであることが好ましい。
以上説明したように、本発明に係る光記録媒体によれば、可視情報を鮮やかな色で描画できると共に、描画された可視情報に十分なコントラストが得られ、視認性を良好にすることができる。
以下、本発明に係る光記録媒体の実施の形態例を図1〜図26を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る光記録媒体10は、図1に示すように、第1積層体12と第2積層体14とを有する。
第1積層体12は、透明性の第1基板16と、該第1基板16上に形成されたデジタル情報記録層18と、該デジタル情報記録層18上に形成された第1反射層20とを有する。第2積層体14は、透明性の第2基板22と、該第2基板22上に形成された可視情報記録層24と、該可視情報記録層24上に形成された第2反射層26とを有する。そして、第1積層体12及び第2積層体14が、第1反射層20と第2反射層26とが対向するように、接着層28を介して貼り合わされている。
デジタル情報記録層18は、例えば第1基板16側から照射されたレーザ光によってデータ(ピット情報)の記録及び/又は再生が可能となっている。
可視情報記録層24は、例えば第2基板22側から照射されたレーザ光によって可視情報が記録できるようになっている。
さらに、この光記録媒体10は、第2基板22の表面(可視情報記録層24が形成される側の表面)の一部にプリピット領域30が割り当てられ、該プリピット領域30に1以上のプリピット32、好ましくは複数のプリピット32が形成されている。
プリピット32の組み合わせにて示される情報としては、光記録媒体10に関する各種情報が考えられ、例えば、当該光記録媒体10が可視情報記録層24を有する光記録媒体であるかどうかの識別情報や、可視情報記録層24に可視情報(画像等)を描画する際のレーザ光の出力に関する情報やスポット径に関する情報、描画すべき可視情報の階調に関する情報等である。従って、プリピット32を検出することによって、当該光記録媒体10が可視情報記録層24を有する光記録媒体10であるかを容易に検出することができ、また、可視情報記録層24に可視情報を描画する際に、最適なレーザ出力にて描画することができ、しかも、可視情報を高い描画特性をもって記録することができる。なお、プリピット32の組み合わせにて示される情報としては、その他に製造者情報等が挙げられる。
第2基板22の表面中、プリピット領域30の割り当て位置としては、特に制限されない。例えば図3の第1の変形例に係る光記録媒体10aに示すように、プリピット領域30を、可視情報記録層24が形成されている領域(可視情報記録層形成領域34)よりも内周側にあってもよい。プリピット領域30が内周側にあることで、プリピット32が色素化合物で埋まらないため、プリピット32からの戻り光を検出しやすいという利点がある。ただ、プリピット領域30に可視情報記録層24を形成しないようにするためには、プリピット領域30の最外周と可視情報記録層形成領域34の最内周との間に、ある程度のマージンが必要となる。
もちろん、可視情報記録層形成領域34をできるだけ広く確保するという観点から、図1に示すように、プリピット領域30と可視情報記録層形成領域34とが一部重なっていてもよい。すなわち、プリピット32上に可視情報記録層24の少なくとも一部が形成されていてもよい。この場合には、可視情報記録層24の形成位置を比較的自由に設定できることから、製造工程における歩留まりが向上する。
図1や図3に示すように、プリピット領域30を第2基板22の内周側に設ける場合は、第2基板22の中心より半径21〜24mmの範囲に設けることが好ましい。
図2に示すように、プリピット32の平均深さhpは100〜400nmとする。100〜400nmとすることで、プリピット32からの戻り光を電気信号に変換した後の信号(戻り光信号と記す)の信号振幅が大きくなり、戻り光信号の読み取り精度を高くすることができる。
ここで、プリピット32の平均深さhpについてより詳しく説明すると、プリピット領域30が可視情報記録層形成領域34よりも内周側にある場合には、プリピットの平均深さhpは100〜250nmであることが好ましく、100〜170nmであることがさらに好ましい。なお、この場合には、後述するようにプリピット領域30上に可視情報記録層24が形成されている場合に比較して信号特性が優れていることから、プリピット32の形状設計の自由度を向上させることができる。
一方、プリピット32上に可視情報記録層24の少なくとも一部が形成されている場合には、プリピット32の平均深さhpは150〜400nmであることが好ましく、150〜350nmであることがより好ましく、200〜330nmであることがさらに好ましく、230〜330nmであることがよりさらに好ましく、230〜300nmであることが特に好ましい。プリピット32上に可視情報記録層24が形成されている場合には、レーザの戻り光が色素の影響を受けるため、上記の範囲が信号の読み取り精度を高くするという観点からは好ましい。
プリピット32の半径方向の平均半値幅Wは200〜500nmであることが好ましく、250〜450nmであることがより好ましく、390〜440nmであることがさらに好ましい。200〜500nmとすることで、戻り光信号に重畳されるトラック間方向のクロストークが小さく、検出するに十分な信号振幅を得ることができる。なお、プリピット32の周方向の長さ(半値幅)は、記録する情報によるため、適宜設定される。
また、プリピット32の凸部32A上の可視情報記録層24の平均厚みh1と、プリピット32の凹部32B上の可視情報記録層24の平均厚みh2との比(h1/h2)は、0.1〜0.9であり、プリピット32の凹部32B上の可視情報記録層24の窪みの深さ(hp+h1−h2)が70〜250nmであることが好ましい。
「h1/h2」及び「hp+h1−h2」が上記範囲にあることで、可視情報記録層24の第2反射層26が形成される面が、レーザ光を読み取るのに適度な凹凸を有することになり、良好な再生信号を得ることができる。「h1/h2」のより好ましい範囲は、0.2〜0.8である。「hp+h1−h2」は、より好ましくは100〜200nmであり、さらに好ましくは120〜180nmであり、特に好ましくは130〜170nmである。
また、図2に示すように、可視情報記録層24に沿って第2反射層26が形成されていることが好ましく、プリピット32の凸部32A上の第2反射層26の平均厚みt1と、プリピット32の凹部32B上の第2反射層26の平均厚みt2との比(t1/t2)は、0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1であることがより好ましい。
なお、上記hp、h1及びh2等は、AFMや透過スペクトル又はエリプソメータから求めることができる。また、他の方法として、完成した光記録媒体10の断面をSEM等により観察することで求めることができる。
なお、プリピットの形状の測定には、AFM装置SPI3800N/SPA500(セイコーインスツル株式会社製)及び探針NCH−10V(日本ビーコ株式会社製)を用いることができる。
上記のようなプリピット32を有する第2基板22は、以下に示すスタンパを使用して製造することができる。スタンパは、上述したプリピット32を形成するための凹凸が設けられている。当該凹凸のうちの凸部の平均高さは150〜400nmであることが好ましい。スタンパを使用することで、上述した光記録媒体を効率よく製造することができる。
スタンパを作製する工程としては、通常のCD−ROMを製造するためのスタンパを作製するのとほぼ同様の工程を採用することができる。具体的には、ガラス原盤上にフォトレジストを成膜し、現像等を行い、ニッケル等の金属をスパッタし、電鋳処理することでスタンパを作製することができる。
上述した光記録媒体10の構成としては、レーザ光の照射により可視情報の描画が可能な可視情報記録層24と、1以上のプリピット32を有するプリピット領域30とを具備した構成であれば特に限定されない。すなわち、読出し専用型、追記型、書換え可能型等のいずれとすることもできる。なかでも、追記型であることが好ましい。また、記録形式としては、相変化型、光磁気型、色素型等、特に制限されない。なかでも、色素型であることが好ましい。
特に、図1に示す光記録媒体10は、第1基板16上にデジタル情報記録層18を有し、第2基板22上に可視情報記録層24を有し、これらが貼り合わされた構成であることから、例えばDVD(DVDの他、DVD−RやDVD−RW、HD DVD等を含む)の構成に適用することが好ましい。
光記録媒体10の層構成としては、図1に示す層構成のほか、例えば、以下の構成が挙げられる。
(1)第1の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、デジタル情報記録層18、第1反射層20、接着層28を順次形成し、接着層28上に、可視情報記録層24を有する第2基板22を貼り合わせる構成である。
(2)第2の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、デジタル情報記録層18、第1反射層20、保護層、接着層28を順次形成し、接着層28上に、可視情報記録層24を有する第2基板22を貼り合わせる構成である。
(3)第3の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、デジタル情報記録層18、第1反射層20、第1保護層、接着層28、第2保護層を順次形成し、該第2保護層上に、可視情報記録層24を有する第2基板22が形成されている構成である。
(4)第4の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、デジタル情報記録層18、第1反射層20、第1保護層、接着層28、第2保護層、第3保護層を順次形成し、該第3保護層上に、可視情報記録層24を有する第2基板22が形成されている構成である。
(5)第5の層構成は、第1基板16上に、デジタル情報記録層18、第1反射層20、接着層28、第2反射層26を順次形成し、該第2反射層26上に、可視情報記録層24を有する第2基板22が形成されている構成である。この層構成は図1とほぼ同じになる。
(6)第6の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、デジタル情報記録層18、第1反射層20、第1保護層を順次形成し、一方、第2基板22上に可視情報記録層24、第2反射層26、第2保護層を順次形成し、接着層28を介して第1保護層及び第2保護層を貼り合わせる構成である。
なお、図1に示す層構成、並びに上記(1)〜(6)の層構成は単なる例示であり、これらの層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよい。また、一部(可視情報記録層24を除く)を省略してもかまわない。さらに、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
以下、図1に記載の層構成を例に、光記録媒体10の各層とその形成方法について説明する。
(デジタル情報記録層18)
デジタル情報記録層18は、記録及び再生に使用されるレーザ光により情報の記録及び再生が行われる層である。特に、デジタル情報等の符号情報(コード化情報)が記録される。デジタル情報記録層18としては、色素記録層でも相変化型記録層でもよいが、色素記録層が好ましい。
デジタル情報記録層18は、記録及び再生に使用されるレーザ光により情報の記録及び再生が行われる層である。特に、デジタル情報等の符号情報(コード化情報)が記録される。デジタル情報記録層18としては、色素記録層でも相変化型記録層でもよいが、色素記録層が好ましい。
色素記録層(デジタル情報記録層18)に含有される色素の具体例としては、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、トリアゾール化合物(ベンゾトリアゾール化合物を含む)、トリアジン化合物、メロシアニン化合物、アミノブタジエン化合物、桂皮酸化合物、ベンゾオキサゾール化合物、ピロメテン化合物、スクアリリウム化合物等が挙げられる。なお、これらは配位中心に金属原子を持っていてもよい。
また、特開平4−74690号公報、同8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素を用いることも可能である。
上記化合物の中では、光記録媒体10が「CD−R」の場合、シアニン色素、アゾ色素、フタロシアニン色素が好ましく、「DVDーR」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素(Ni、Co錯体を含む)、ピロメテン化合物が好ましく、「ブルーレイディスク及びHD DVD」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物が好ましい。
また、「CD−R」の場合、シアニン色素、アゾ色素、フタロシアニン色素がさらに好ましく、「DVD−R」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素(Ni、Co錯体を含む)がさらに好ましく、「ブルーレイディスク及びHD DVD」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、フタロシアニン色素がさらに好ましい。
デジタル情報記録層18は、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製する。次いでこの塗布液を基板上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
デジタル情報記録層18の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、又は溶剤塗布等の方法によって行うことができるが、溶剤塗布が好ましい。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等、各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子を挙げることができる。
デジタル情報記録層18の材料として結合剤を併用する場合、結合剤の使用量は、一般に色素の質量の0.01倍量〜50倍量の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量の範囲にある。
前記溶剤塗布の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。デジタル情報記録層18は単層でも重層でもよい。デジタル情報記録層18の層厚は一般に10〜500nmの範囲にあり、好ましくは15〜300nmの範囲にあり、より好ましくは20〜150nmの範囲にある。
デジタル情報記録層18には、該デジタル情報記録層18の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に、一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号、同59−31194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同68−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、及び同6−26028号等の各公報、ドイツ特許第350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、通常、色素の質量の0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、さらに好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
相変化型のデジタル情報記録層18を構成する材料の具体例としては、Sb−Te合金、Ge−Sb−Te合金、Pd−Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−Te合金、Pd−Nb−Ge−Sb−Te合金、Pt−Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−Sb−Te合金、In−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金、Ag−V−In−Sb−Te合金、Ag−Ge−In−Sb−Te合金、等が挙げられる。なかでも、多数回の書き換えが可能であることから、Ge−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金が好ましい。相変化型のデジタル情報記録層18の層厚としては、10〜50nmとすることが好ましく、15〜30nmとすることがより好ましい。
以上の相変化型のデジタル情報記録層18は、スパッタ法、真空蒸着法等の気相薄膜堆積法等によって形成することができる。
(第1基板16、第2基板22)
光記録媒体10の第1基板16及び第2基板22は、従来の光記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。なお、ここでは、第2基板22のうち、可視情報記録層24が形成される面にプリピット32が形成されている。
光記録媒体10の第1基板16及び第2基板22は、従来の光記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。なお、ここでは、第2基板22のうち、可視情報記録層24が形成される面にプリピット32が形成されている。
第1基板16及び第2基板22の材料としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン及びポリエステル等を挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。なお、これらの材料はフィルム状として又は剛性のある基板として使うことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び価格等の点からポリカーボネートが好ましい。
第2基板22は、上述したスタンパを用いて可視情報記録層24が形成される側にプリピット32を有する基板を作製する工程を経て製造される。プリピット32の深さに相当する凸部32Aの高さは、フォトレジストの膜厚を調整することで制御することができる。
第1基板16及び第2基板22の厚さは、0.1〜1.2mmとすることが好ましく、0.2〜1.1mmとすることがより好ましく、0.5〜1.1mmであることがさらに好ましい。0.5〜1.1mmであることで、例えばDVD−R及びDVD+RのドライブやDVDレコーダに搭載されているレーザ光での描画が可能になる。また、第1基板16には基本的にグルーブもしくはトラッキング用のサーボ信号が形成されていることが好ましく、第2基板22にはそのような溝もしくはトラッキング用のサーボ信号が形成された基板を用いてもよい。第1基板16のグルーブのトラックピッチは、280〜900nmの範囲にとすることが好ましく、300〜800nmの範囲とすることがより好ましい。また、グルーブの深さ(溝深さ)は、15〜200nmの範囲とすることが好ましく、25〜180nmの範囲とすることがより好ましい。
可視情報記録層24に高精彩な可視情報を記録するには、第2基板22にもトラッキング用のグルーブ(溝)を設けてもよい。この場合、グルーブのトラックピッチは、記録用のレーザ光の強度分布の観点から、0.3〜200μmの範囲にとすることが好ましく、0.6〜100μmの範囲とすることがより好ましく、0.7〜50μmとすることがさらに好ましい。
また、可視情報の記録時にトラッキングをかけて、且つ、レーザ光を入射する側の基板厚さが0.6mmの場合において、溝の深さは、50〜250nmとすることが好ましく、80〜200nmとすることがより好ましく、100〜180nmとすることがさらに好ましい。溝の幅は、100〜600nmとすることが好ましく、200〜500nmとすることがより好ましく、250〜450nmとすることがさらに好ましい。なお、溝形状は、レーザ光の波長、NA、基板厚等でその最適範囲が異なることがある。
第1基板16の表面(グルーブが形成された面(ROMの場合はピットが形成された面)側)には、平面性の改善、接着力の向上、及びデジタル情報記録層18の変質防止の目的で、下塗層が設けられてもよい。
下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;及びシランカップリング剤等の表面改質剤等を挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。
下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
一方、可視情報記録層24に描画された可視情報において、鏡面反射光による周囲の映りこみを防止するには、第2基板22に粗面化処理を施すことが好ましい。
第2基板22への粗面化処理方法としては、種々の方法があり特に限定はされないが、下記のような第1粗面化処理〜第5粗面化処理のいずれかを適用することが好ましい。
(1)第1粗面化処理は、第2基板22が接触する一方の面に、粗面化処理が施されたスタンパを用いて、第2基板22の可視情報記録層24が形成される側の面を粗面化するものである。具体的には、先ず、第2基板22を作製する際に使用するスタンパに粗面化処理を施す。当該粗面化処理の方法としては、例えば、サンドブラストといったブラスト処理等を行い、所望の粗さとしておく。また、第5粗面化処理で説明するような化学処理を施してもよい。そして、このスタンパを粗面化面が第2基板22の樹脂材料に接触するように、金型に設置し、公知の方法により成型することで、一方の面のみが粗面化された第2基板22が作製される。なお、上記「所望の粗さ」としては、例えば、当該粗面化された面の10点平均粗さ(Rz)が0.3〜5μmであって、且つ、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が、10〜500μmとすることが好ましい。
(2)第2の粗面化処理は、成型後に第2基板22が接触する一方の面に粗面化処理が施された成型金型を用いて、第2基板22の可視情報記録層24が形成される側の面を粗面化するものである。具体的には、第2基板22の成型用金型で、その一方の主面に粗面化処理を施す。当該粗面化処理の方法としては、上記第1粗面化処理の場合と同様であり、当該金型を用い、公知の方法により成型することで、一方の面のみが粗面化された第2の基板22が作製される。
(3)第3粗面化処理は、第2基板22を作製した後、可視情報記録層24が形成される側の面に微粒子を分散した樹脂を塗布し、樹脂を硬化させて、第2基板22の可視情報記録層24が形成される側の面を粗面化するものである。上記樹脂としては、アクリレート系紫外線硬化樹脂、エポキシ系、イソシアネート系熱硬化性樹脂等を使用することができる。
また、微粒子は、SiO2、Al2O3等の無機微粒子やポリカーボネート、アクリル系の樹脂粒子等を使用することができる。微粒子の体積平均粒径は、0.3〜200μmであることが好ましく、0.6〜100μmであることがより好ましい。当該微粒子の粒径と添加量を調整することで、粗面化面を所望の粗さとすることができる。
(4)第4粗面化処理は、第2基板22を作製した後、可視情報記録層24が形成される側の面に機械加工処理を施して、第2基板22の可視情報記録層24が形成される側の面を粗面化するものである。機械加工処理としては、種々の処理が適用できるが、サンドブラストといったブラスト処理を適用することが好ましい。
(5)第5粗面化処理は、第2基板22を作製した後、可視情報記録層24が形成される側の面に化学処理を施して、第2基板22の可視情報記録層24が形成される側の面を粗面化するものである。化学処理としては、成型後の第2基板22の一方の面に溶剤を塗布したり、スプレーで噴霧する等してエッチングする処理を適用することができる。当該溶剤としては、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤が好ましく、それ以外に、硝酸、塩酸、硫酸といった酸性溶剤等を挙げることができる。上記のような酸性溶剤の規定度を調整したり、塗布時間を調整することで、所望の粗さとすることができる。
(第1反射層20、第2反射層26)
情報の再生時における反射率の向上の目的で、デジタル情報記録層18、可視情報記録層24に隣接して第1反射層20、第2反射層26が設けられる。第1反射層20及び第2反射層26の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは2種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Ag、Alあるいはそれらの合金である。第1反射層20及び第2反射層26は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより、デジタル情報記録層18及び可視情報記録層24の上に形成することができる。第1反射層20及び第2反射層26の層厚は、10〜300nmの範囲にあり、50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
情報の再生時における反射率の向上の目的で、デジタル情報記録層18、可視情報記録層24に隣接して第1反射層20、第2反射層26が設けられる。第1反射層20及び第2反射層26の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは2種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Ag、Alあるいはそれらの合金である。第1反射層20及び第2反射層26は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより、デジタル情報記録層18及び可視情報記録層24の上に形成することができる。第1反射層20及び第2反射層26の層厚は、10〜300nmの範囲にあり、50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
(接着層28)
接着層28は、図1における第1積層体12と第2積層体14とを接着するための層であり、第1反射層20と第2反射層26との間に位置する。接着層28に使用される接着剤としては、公知の紫外線硬化樹脂等を使用することができる。
接着層28は、図1における第1積層体12と第2積層体14とを接着するための層であり、第1反射層20と第2反射層26との間に位置する。接着層28に使用される接着剤としては、公知の紫外線硬化樹脂等を使用することができる。
(可視情報記録層24)
光記録媒体10は、上述したように、デジタル情報記録層18とは反対側の面に可視情報記録層24を有する。可視情報記録層24には、文字、図形、絵柄等、ユーザが所望する可視情報(可視情報)が記録される。可視情報記録層24に記録される可視情報とは、視覚的に認識可能な画像を意味し、文字(列)、絵柄、図形等あらゆる視認可能な情報を含む。可視情報としては、文字、図形、絵柄等、ユーザが所望する可視情報が含まれ、具体的には、ディスクのタイトル、内容情報、内容のサムネール、関連した絵柄、デザイン的な絵柄、著作権情報、記録日時、記録方法、記録フォーマット、バーコード等が挙げられる。
光記録媒体10は、上述したように、デジタル情報記録層18とは反対側の面に可視情報記録層24を有する。可視情報記録層24には、文字、図形、絵柄等、ユーザが所望する可視情報(可視情報)が記録される。可視情報記録層24に記録される可視情報とは、視覚的に認識可能な画像を意味し、文字(列)、絵柄、図形等あらゆる視認可能な情報を含む。可視情報としては、文字、図形、絵柄等、ユーザが所望する可視情報が含まれ、具体的には、ディスクのタイトル、内容情報、内容のサムネール、関連した絵柄、デザイン的な絵柄、著作権情報、記録日時、記録方法、記録フォーマット、バーコード等が挙げられる。
また、文字情報としては、使用可能者指定情報、使用期間指定情報、使用可能回数指定情報、レンタル情報、分解能指定情報、レイヤー指定情報、ユーザ指定情報、著作権者情報、著作権番号情報、製造者情報、製造日情報、販売日情報、販売店又は販売者情報、使用セット番号情報、地域指定情報、言語指定情報、用途指定情報、製品使用者情報、使用番号情報等が挙げられる。
可視情報記録層24は、レーザ光の照射により、文字、画像、絵柄等の画像情報を視認可能に記録できればよい。レーザ光の照射によって可視情報を明瞭に形成できることを考慮すると、可視情報記録層24は、色素化合物を含有することが好ましい。そして、その構成材料としては、上述したデジタル情報記録層18において説明した色素を好適に用いることができる。この場合、コスト等を考慮して、可視情報記録層24は色素化合物を含有する塗布液を用いてスピンコートにより形成されていることが好ましい。
また、光記録媒体10においては、上述したデジタル情報記録層18の構成成分(色素又は相変化記録材料)と可視情報記録層24の構成成分とを同じにしても、異ならせてもよいが、デジタル情報記録層18と可視情報記録層24とでそれぞれ要求される特性が相違するため、構成成分は異ならせることが好ましい。具体的には、デジタル情報記録層18の構成成分は記録・再生特性に優れるものとし、可視情報記録層24の構成成分は記録される可視情報のコントラストが高くなるものとすることが好ましい。特に、色素を用いる場合、可視情報記録層24には、記録される可視情報のコントラスト向上の観点から、上述した色素の中でも特に、シアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体、オキソノール色素を用いることが好ましい。
また、ロイコ系の染料も使用することができる。具体的には、クリスタルバイオレットラクトン;3,3−ビス(1−エチル2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等のフタリド化合物;3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ベンジルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−メチルプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のフルオラン化合物;等が好ましい。
可視情報記録層24は、上述した色素を溶剤に溶解して塗布液を調製し、該塗布液を塗布することによって形成することができる。溶剤としては既述のデジタル情報記録層18の塗布液の調製に使用する溶剤と同じ溶剤を使用することができる。その他の添加剤、塗布方法等は、上述した情報記録層の場合と同様である。
可視情報記録層24の層厚としては、0.01〜2μmとすることが好ましく、0.05〜1μmとすることがより好ましく、0.1〜0.5μmとすることがさらに好ましい。
特に、本実施の形態に係る光記録媒体10においては、可視情報記録層24は、レーザ光の波長での反射率が8%以上であり、可視情報記録層24に対して可視情報を記録しない状態での可視情報記録層24の色座標をL*、a*、b*で表したとき、30≦L*≦70を満足することを特徴としている。
色座標L*a*b*の範囲は、表1に示すように、L*が0(黒)〜100(白)、a*が−60(緑)〜+60(赤)、b*が−60(青)〜+60(黄)である。
また、座標L*a*b*で表される8象限のL*a*b*の値は下記表2のとおりである。
先ず、レーザ光の波長での反射率が8%以上であるため、レーザ光を可視情報記録層24に容易にフォーカスさせることができ、フォーカスサーボをかけながら可視情報を可視情報記録層24に描画させることができる。
また、可視情報記録層24に対して可視情報を記録しない状態での可視情報記録層24の明度L*を、L*≦70にしたので、可視情報記録層24に可視情報を描画した後の描画部分と未描画部分との明るさの差が明瞭となる。これは、コントラストの向上につながる。なお、L*>70では、可視情報を描画する前の状態でも明るすぎるため、可視情報を描画した後における描画部分と未描画部分との明るさの差がほとんどなくなり、実使用環境においても、反射する光量が多すぎるため、見づらくなる。
このように、本実施の形態に係る光記録媒体10においては、可視情報を鮮やかな色で描画できると共に、描画された可視情報に十分なコントラストが得られ、視認性を良好にすることができる。
そして、好ましい態様としては、可視情報記録層24は、レーザ光の波長での反射率が10%以上、50%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、12%以上、40%以下である。
また、a*及びb*は、0<a*、0<b*を満足するようにしてもよいし、a*≦0、0<b*を満足するようにしてもよい。あるいは、0<a*、b*≦0を満足するようにしてもよいし、a*≦0、b*≦0を満足するようにしてもよい。
可視情報記録層24は、下記一般式(1)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(1):
一般式(1)中、X1及びX2は炭素又はへテロ原子であり、5又は6員環を形成する。両末端は同一でも異なってもよい。R1は水素又は1価の置換基である。Ytはt価のカチオンである。
可視情報記録層24は、下記一般式(2)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(2):
一般式(2)中、X3は酸性核を有する原子団である。
可視情報記録層24は、下記一般式(3)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(3):
一般式(3)中、X4は酸性核を有する原子団である。
可視情報記録層24は、下記一般式(4)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(4):
一般式(4)中、R3は炭素数6〜20の炭化水素基又はフェロセンを含有する置換基である。α位が好ましく、置換基は3以上が好ましい。
可視情報記録層24は、下記一般式(1)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(5):
一般式(5)中、R4は炭素数10以下の炭化水素基、R5は炭素又はへテロ原子であり、置換基を有していてもよい。R6は炭化水素基又はへテロ環基である。R6が2以上あるときは、環を形成してもよい。Z-はアニオンである。
可視情報記録層24は、下記一般式(6)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(6):
一般式(6)中、R7は炭素数10以下の炭化水素基、R8は炭素又はへテロ原子であり、置換基を有していてもよい。R9は炭化水素基又はへテロ環基である。R9が2以上あるときは、環を形成してもよい。Z-はアニオンである。
可視情報記録層24は、下記一般式(7)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(7):
一般式(7)中、B1、B2、B3は炭素原子又は窒素原子である。R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表し、R22、R23は互いに結合し、5員ないし7員の複素環を形成していてもよい。Aは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表す。nは、0、1、2又は3を表す。nが2以上のとき、複数存在するR25及びR26は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
可視情報記録層24は、下記一般式(8)で表される色素化合物を有するようにしてもよい。
一般式(8):
一般式(8)中、R31〜R35は一価の置換基、好ましくは炭素数10以下のアルキル基である。Z-はアニオンである。
可視情報記録層24は、上述した一般式(1)で表される色素化合物と、上述した一般式(2)で表される色素化合物と、上述した一般式(3)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。この場合、前記一般式(1)で表される色素化合物の配合率をEa、前記一般式(2)で表される色素化合物の配合率をEb、前記一般式(3)で表される色素化合物の配合率をEcとしたとき、
Ea=20〜45%
Eb=30〜45%
Ec=20〜35%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが55〜150nmであることが好ましい。
Ea=20〜45%
Eb=30〜45%
Ec=20〜35%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが55〜150nmであることが好ましい。
また、可視情報記録層24は、上述した一般式(4)で表される色素化合物と、上述した一般式(5)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。この場合、前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(5)で表される色素化合物の配合率をEeとしたとき、
Ed=60〜80%
Ee=20〜40%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが90〜100nmであることが好ましい。
Ed=60〜80%
Ee=20〜40%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが90〜100nmであることが好ましい。
また、可視情報記録層24は、上述した一般式(4)で表される色素化合物と、上述した一般式(5)で表される色素化合物と、上述した一般式(6)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。この場合、前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(5)で表される色素化合物の配合率をEe、前記一般式(6)で表される色素化合物の配合率をEfとしたとき、
Ed=60〜80%
Ee=2〜8%
Ef=20〜30%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが120〜130nmであることが好ましい。
Ed=60〜80%
Ee=2〜8%
Ef=20〜30%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが120〜130nmであることが好ましい。
また、可視情報記録層24は、上述した一般式(4)で表される色素化合物と、上述した一般式(7)で表される色素化合物と、上述した一般式(8)で表される色素化合物とを有するようにしてもよい。この場合、前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(7)で表される色素化合物の配合率をEg、前記一般式(8)で表される色素化合物の配合率をEhとしたとき、
Ed=50〜70%
Eg=10〜30%
Eh=10〜30%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが100〜120nmであることが好ましい。
Ed=50〜70%
Eg=10〜30%
Eh=10〜30%
であることが好ましい。さらに、可視情報記録層24の厚みが100〜120nmであることが好ましい。
なお、可視情報記録層24は、レーザ光が略同一の軌跡に複数回照射されて可視情報が記録される層であり、プリピット32にレーザ光を照射した後の戻り光を検出して可視情報の記録が行われる態様、あるいは、可視情報記録層24が、レーザ光が光記録媒体10の半径方向に遥動し且つ略同一の軌跡に複数回照射されて可視情報が記録される層であり、プリピット32にレーザ光を照射した後の戻り光を検出して可視情報の記録が行われる態様であることが好ましい。
このようにすることで、可視情報の描画が可能な光記録媒体10であることをドライブやレコーダにおいて認識させることができる。また、複数回照射することで、描画画像のコントラストを向上させることができる。
以下に、図1では図示しないが、好ましい態様において形成される保護層について説明する。
(保護層)
第1反射層20やデジタル情報記録層18等を物理的及び化学的に保護する目的で保護層が設けられてもよい。
第1反射層20やデジタル情報記録層18等を物理的及び化学的に保護する目的で保護層が設けられてもよい。
保護層に用いられる材料の例としては、ZnS、ZnS−SiO2、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si3N4等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、この塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによっても形成することができる。これらの塗布液中には、さらに帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層の層厚は一般には0.1μm〜1mmの範囲にある。
なお、光記録媒体10は、第1基板16にレーザ光により再生可能な情報が記録された記録部(ピット)を有する、いわゆる再生専用型の光記録媒体に適用することができるのは既述の通りである。
光記録媒体10の変形例として、図4及び図5の構成を挙げることができる。なお、図5では、デジタル情報記録層18(図1参照)を省略して示す。
図4及び図5に示す第2の変形例に係る光記録媒体10bは、上述した光記録媒体10とほぼ同様の構成を有するが、第2基板22の主面の内周側に印刷領域36が形成されている点で異なる。また、プリピット領域30は、可視情報記録層形成領域34とは重なっておらず、第2基板22の外周側から内周側に向かって、可視情報記録層形成領域34、プリピット領域30、印刷領域36が配置された形態なっている。
印刷領域36には、例えば、製品名やメーカー名等が印刷される。印刷方法としては、スクリーン印刷が挙げられる。印刷領域36を第2基板22の最内周側に形成することで、光記録媒体10bの最内周側が遮蔽され、ユーザの視覚効果を高めることができる。
ここで、光記録媒体10bの中心から印刷領域36、プリピット領域30及び可視情報記録層形成領域34までの半径方向の距離について説明する。
先ず、光記録媒体10bの中心から印刷領域36の内周端までの距離r0は、8〜21mmであることが好ましく、光記録媒体10bの中心から印刷領域36の外周端までの距離r1は、21〜23mm(但し、r0<r1)であることが好ましい。
光記録媒体10bの中心からプリピット領域30の内周端までの距離r2は、19〜22mmであることが好ましく、光記録媒体10bの中心からプリピット領域30の外周端までの距離r3は、22〜25mm(但し、r2<r3)であることが好ましい。
また、光記録媒体10bの中心から可視情報記録層形成領域34の内周端までの距離r4は、22〜25mmであることが好ましく、光記録媒体10bの中心から可視情報記録層形成領域34の外周端までの距離r5は、光記録媒体10bの最外周に対応する(但し、r4<r5)。
[情報記録方法]
上述した光記録媒体10(各種変形例を含む)の可視情報記録層24への画像記録は、具体的には、光記録媒体10と、少なくとも該光記録媒体10の可視情報記録層24への可視情報(画像)の記録が可能な記録装置とを用いて行う。
上述した光記録媒体10(各種変形例を含む)の可視情報記録層24への画像記録は、具体的には、光記録媒体10と、少なくとも該光記録媒体10の可視情報記録層24への可視情報(画像)の記録が可能な記録装置とを用いて行う。
例えば光記録媒体10において、可視情報記録層24への可視情報(画像)の記録、及びデジタル情報記録層18へのピット情報の記録は、両層への記録機能を有する1つの光記録媒体ドライブ(記録装置)で行うことができる。このように1つの光記録媒体ドライブを使用する場合、可視情報記録層24及びデジタル情報記録層18のいずれか一方の層への記録を行った後、裏返して他方の層に記録を行うことができる。可視情報記録層24への可視情報(画像)の記録をする機能を有する光記録媒体ドライブとしては、例えば、特開2002−203321号公報、特開2003−203348号公報、特開2003−242750号公報等に記載されている。
特に、本実施の形態では、プリピット32を検出することによって、当該光記録媒体10が可視情報記録層24を有する光記録媒体10であるかを容易に検出することができ、また、プリピット32に含まれる情報に基づいて、可視情報記録層24に可視情報(画像)を描画する際のレーザ出力を最適な出力に設定することができ、しかも、可視情報(画像)を高い描画特性をもって記録することができる。
上述した特定のプリピット32を有する光記録媒体10は、CD用途(レーザ波長700nm〜800nm)、DVD用途(レーザ波長600nm〜700nm)、HD DVDやブルーレイ用途(レーザ波長380nm〜450nm)の光記録媒体ドライブのいずれにも使用できる。これらの光記録媒体ドライブにおいては、上述のように光記録媒体10が特定のプリピット32を有することから、光記録媒体10の信号検出を円滑に行うことができる。上述した各種用途の中でも、特定のプリピット32を有する光記録媒体10は、DVD用途の光記録媒体ドライブに使用されることが好ましい。特定のプリピット32の場合には、レーザ波長が600nm〜700nmであっても十分に信号を検出することができることから、可視情報(画像)の記録を円滑に行うことができる。
[情報記録装置100の構成]
図6は、本実施の形態に係る光記録媒体に情報を記録するための情報記録装置100の構成を示すブロック図である。
図6は、本実施の形態に係る光記録媒体に情報を記録するための情報記録装置100の構成を示すブロック図である。
この情報記録装置100は、図6に示すように、ホストパーソナルコンピュータ(PC)148に接続されており、光ピックアップ106と、スピンドルモータ104と、RF(Radio Frequency)アンプ150と、サーボ回路152と、デコーダ154と、制御部102と、エンコーダ156と、ストラテジ回路158と、レーザドライバ160と、レーザパワー制御回路162と、周波数発生器164と、ステッピングモータ165と、モータドライバ166と、モータコントローラ168と、PLL(Phase Locked Loop)回路170と、FIFO(First In FirstOut)メモリ172と、駆動パルス生成部174と、バッファメモリ176とを備えている。
スピンドルモータ104は、データを記録する対象となる光記録媒体10を回転駆動するモータであり、サーボ回路152によりその回転数が制御される。この情報記録装置100では、例えばCAV(Constant Angular Velocity)方式で記録等を実施するようになっているので、スピンドルモータ104は制御部102等からの指示で設定された一定の角速度で回転するようになっている。
光ピックアップ106は、スピンドルモータ104によって回転させられる光記録媒体10に対してレーザ光Lを照射するユニットであり、その構成を図20に示す。
図7に示すように、光ピックアップ106は、レーザ光Lを出射するレーザダイオード178と、回折格子180と、レーザ光Lを光記録媒体10の面に集光する光学系182と、反射光を受光する受光素子184とを備えている。
光ピックアップ106において、レーザダイオード178は、レーザドライバ160(図6参照)から駆動電流が供給されることにより該駆動電流に応じた強度のレーザ光Lを出射する。光ピックアップ106は、レーザダイオード178より出射されたレーザ光Lを回折格子180により主ビームと先行ビームと後行ビームに分離し、この3つのレーザビームを偏光ビームスプリッタ186、コリメータレンズ188、1/4波長板190、対物レンズ192を経て、光記録媒体10の面に集光させる。
そして、光記録媒体10の面で反射された3つのレーザビームを、再び対物レンズ192、1/4波長板190、コリメータレンズ188を透過させて、偏光ビームスプリッタ186で反射させ、シリンドリカルレンズ194を経て、受光素子184に入射させるようになっている。受光素子184は受光した信号をRFアンプ150(図6参照)に出力し、該受光信号がRFアンプ150を介して制御部102やサーボ回路152に供給されるようになっている。
対物レンズ192は、フォーカスアクチュエータ196及びトラッキングアクチュエータ198に保持されて、レーザ光Lの光軸方向及び光記録媒体10の径方向に移動できるようになっている。フォーカスアクチュエータ196及びトラッキングアクチュエータ198の各々は、サーボ回路152(図6参照)から供給されるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に応じて対物レンズ192を光軸方向及び径方向に移動させる。なお、サーボ回路152は、受光素子184及びRFアンプ150を介して供給される受光信号に基づいてフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成し、上記のように対物レンズ192を移動させることで、フォーカス制御及びトラッキング制御を行う。
また、光ピックアップ106には、図示しないフロントモニタダイオードを有しており、レーザダイオード178がレーザ光Lを出射しているときに、当該レーザ光Lを受光したフロントモニタダイオードに電流が生じ、当該電流が光ピックアップ106から図6に示すレーザパワー制御回路162に供給されるようになっている。
RFアンプ150は光ピックアップ106から供給された例えばEFM(Eight to Fourteen Modulation)変調されたRF信号を増幅し、増幅後のRF信号をサーボ回路152及びデコーダ154にRF信号を出力する。デコーダ154は、再生時にはRFアンプ150から供給されるEFM変調されたRF信号をEFM復調して再生データを生成する。
サーボ回路152には、制御部102からの指示信号、周波数発生器164から供給されるスピンドルモータ104の回転数に応じた周波数のFGパルス信号、及びRFアンプ150からのRF信号が供給される。サーボ回路152は、これらの供給される信号に基づいて、スピンドルモータ104の回転制御及び光ピックアップ106のフォーカス制御、トラッキング制御を行う。光記録媒体10の記録面(デジタル情報記録層18)に情報を記録する際や、光記録媒体10の可視情報記録層24(図1参照)に可視情報を形成する場合のスピンドルモータ104の駆動方式としては、光記録媒体10を角速度一定で駆動する方式(CAV:Constant Angular Velocity)や、一定の記録線速度となるように光記録媒体Dを回転駆動する方式(CLV:Constant Linear Velocity)のいずれを用いるようにしてもよい。この情報記録装置100では、例えばCAV方式を採用しており、サーボ回路152はスピンドルモータ104を制御部102によって指示された一定の角速度で回転駆動させる。
バッファメモリ176は、ホストPC148から供給される、光記録媒体10のデジタル情報記録層18に記録すべき情報(記録データDw)及び光記録媒体10の可視情報記録層24に形成すべき可視情報に対応した情報(画像データDg)を蓄積する。そして、バッファメモリ176に蓄積された記録データDwはエンコーダ156に出力され、画像データDgは制御部102に出力される。
エンコーダ156は、バッファメモリ176から供給される記録データDwをEFM変調し、ストラテジ回路158に出力する。ストラテジ回路158は、エンコーダ156から供給されたEFM信号に対して時間軸補正処理等を行い、レーザドライバ160に出力する。
レーザドライバ160は、ストラテジ回路158から供給される記録データDwに応じて変調された信号と、レーザパワー制御回路162の制御に従って光ピックアップ106のレーザダイオード178(図7参照)を駆動する。
レーザパワー制御回路162は、光ピックアップ106のレーザダイオード178(図7参照)から照射されるレーザパワーを制御するものである。具体的には、レーザパワー制御回路162は、制御部102によって指示される最適なレーザパワーの目標値と一致する値のレーザ光Lが光ピックアップ106から出射されるようにレーザドライバ160を制御する。ここで行われるレーザパワー制御回路162によるレーザパワー制御は、光ピックアップ106のフロントモニタダイオードから供給される電流値を用い、目標となる強度のレーザ光Lが光ピックアップ106から出射されるように制御するフィードバック制御である。
FIFOメモリ172には、ホストPC148から供給されバッファメモリ176に蓄積された画像データDgが制御部102を介して供給され順次蓄積される。ここで、FIFOメモリ172に蓄積される画像データDg、すなわちホストPC148から当該情報記録装置100に供給される画像データDgは以下のような情報を含んでいる。この画像データDgは、円盤状の光記録媒体10の可視情報記録層24に可視情報を形成するためのデータであり、図8に示すように、光記録媒体10の中心Doを中心とした多数の同心円上のn個の各座標(図中黒点で示す)毎にその階調度(濃淡)を示す情報が記述されている。当該画像データDgは、これらの各座標の階調度を示す情報が最内周側の円に属する座標点P11、P12・・・P1n、その1つ外周側の円に属する座標P21、P22・・・P2n、さらにその1つ外周側の円に属する座標といった順序で最外周の円の座標Pmnまでの各々座標点の階調度を示す情報が記述されたデータであり、FIFOメモリ172には、このような極座標上の各座標の階調度を示す情報が上記のような順序で供給されることになる。
なお、図8は、各座標の位置関係を明瞭に示すために模式的に示す図であり、実際の各座標は図示したものよりも密に配置されることになる。また、ホストPC148において、一般的に使用されるビットマップ形式等で光記録媒体10の感光面に形成する画像データを作成した場合には、当該ビットマップデータを上記のような極座標形式のデータに変換し、変換後の画像データをホストPC148から情報記録装置100に送信するようにすればよい。
上記のように供給される画像データDgに基づいて、光記録媒体10の可視情報記録層24に対して可視情報を形成する際、FIFOメモリ172には、PLL回路170から画像記録用のクロック信号が供給されるようになっている。FIFOメモリ172は、この画像記録用のクロック信号のクロックパルスが供給される毎に、最も先に蓄積された一つの座標の階調度を示す情報を駆動パルス生成部174に出力するようになっている。
駆動パルス生成部174は、光ピックアップ106から照射するレーザ光Lの照射タイミング等を制御する駆動パルスを生成する。ここで、駆動パルス生成部174は、FIFOメモリ172から供給される各座標毎の階調度を示す情報に応じたパルス幅の駆動パルスを生成する。例えば、ある座標の階調度が比較的大きい場合(濃度が大きい場合)には、図9Aに示すように、記録レベル(第2強度:可視情報記録層24の光学特性が変化する強度)のパルス幅を大きくした駆動パルスを生成し、一方、階調度が比較的小さい座標については、図9Bに示すように、記録レベルのパルス幅を小さくした駆動パルスを生成する。
ここで、記録レベルとは、そのレベルのレーザパワーを光記録媒体10の可視情報記録層24に照射した際に、可視情報記録層24の光学特性に変化が生じ、反射率が明らかに変化するパワーレベルであり、上記のような駆動パルスがレーザドライバ160に供給された場合、そのパルス幅に応じた時間だけ記録レベルのレーザ光Lが光ピックアップ106から照射される。
従って、階調度が大きい場合には、記録レベルの幅が長いレーザ光Lが照射され、光記録媒体10の可視情報記録層24の単位領域中のより大きな領域において反射率が変化することになり、この結果、ユーザ等はこの領域が濃度の濃い領域であると視覚的に認識することになる。この実施の形態では、このように単位領域(単位長さ)あたりの反射率変化させる領域の長さを可変することにより、画像データDgに示される階調度を表現するようにしている。なお、サーボレベル(第1強度)とは、そのレベルのレーザパワーを光記録媒体10の可視情報記録層に照射した際に、可視情報記録層24の光学特性がほとんど変化しないパワーレベルであり、反射率を変化させる必要がない領域に対しては記録レベルのレーザ光Lを照射せずに当該サーボレベルのレーザ光Lを照射すればよい。
また、駆動パルス生成部174は、上記のような各座標毎の階調度を示す情報に従った駆動パルスを生成するとともに、レーザパワー制御回路162によるレーザパワー制御や、サーボ回路152によるフォーカス制御及びトラッキング制御を実施するために必要がある場合には、各々上記階調度を示す情報に拘わらず、非常に短い期間の記録レベルのパルスを挿入したり、サーボレベルのパルスを挿入する。
例えば、図10Aに示すように、画像データDg中のある座標の階調度に従って可視情報を表現するために、期間T1にわたって記録レベルのレーザ光Lを照射する必要がある場合であって、該期間T1がレーザパワーを制御するための所定のサーボ周期STよりも長い場合には、記録レベルのパルスを生成した時点からサーボ周期STが経過した時点で、短い時間tのサーボレベルを有するサーボ用オフパルス(SSP1)を挿入する。
一方、図10Bに示すように、画像データDg中のある座標の階調度に従って可視情報を表現するために、サーボ周期ST以上の期間にわたってサーボレベルのレーザ光Lを照射する必要がある場合には、サーボレベルのパルスが生成されてからサーボ周期ST経過後に、短い時間tの記録レベルを有するサーボ用オンパルス(SSP2)を挿入する。
上述したようにレーザパワー制御回路162によるレーザパワー制御は、光ピックアップ106のレーザダイオード178(図7参照)から照射されるレーザ光Lを受光したフロントモニタダイオードから供給される電流(照射レーザ光の強度に応じた値の電流)に基づいて実施されることになる。より具体的には、図11に示すように、レーザパワー制御回路162は、上記のようなフロントモニタダイオード200によって受光されるレーザ光Lの強度に応じた値をサンプルホールドする(S201、S202)。
そして、記録レベルのレーザ光Lを照射しているとき、すなわち、記録レベルの駆動パルス(図9A〜図10B参照)が生成されているときにサンプルホールドした結果(サンプル値)と、制御部102から供給される記録レベルの目標値とを比較し、サンプル値が目標値となるようにレーザパワー制御を行う(S203)。
また、サーボレベルのレーザ光Lを照射しているとき、すなわち、サーボレベルの駆動パルス(図9A〜図10B参照)が生成されているときにサンプルホールドした結果(サンプル値)と、制御部102から供給されるサーボレベルの目標値とを比較し、サンプル値が目標値となるようにレーザパワー制御を行う(S204)。
従って、記録レベルもしくはサーボレベルのパルスが所定のサーボ周期ST(サンプル周期)より長い時間継続して出力されない場合には、画像データDgの内容に拘わらず上記のようにサーボ用オフパルスSSP1、サーボ用オンパルスSSP2を強制的に挿入し、上記のような各々のレベル毎にレーザパワー制御ができるようにしているのである。
また、上述したようにサーボ用オフパルスSSP1を挿入するのは、レーザパワーを制御するためだけではなく、サーボ回路152によるフォーカス制御やトラッキング制御を行うためにも実施されている。すなわち、トラッキング制御及びフォーカス制御は、光ピックアップ106の受光素子184(図7参照)によって受光されたRF信号、つまり、レーザダイオード178が出射したレーザ光Lの光記録媒体10からの戻り光(反射光)に基づいて行われる。
ここで、図12に、レーザ光Lを照射した際に、受光素子184によって受光される信号の一例を示す。図12に示すように、記録レベルのレーザ光Lを照射した際の反射光は、レーザ光Lの立ち上がり時におけるピーク部分K1、その後、レベルが一定になる肩部分K2の要素を含んでおり、図12中、斜線で示す部分が可視情報記録層24の画像形成のために用いられたエネルギーであると考えられる。
そして、このような可視情報記録層24の画像形成に用いられるエネルギーは常に安定した値となるとは限らず、種々の状況に応じて変動することが考えられる。従って、図12中、斜線部分の形状はその都度変動することが考えられ、つまり、記録レベルのレーザ光Lの反射光は、ノイズ等が多く安定した反射光が得られるとは限らず、この反射光を用いると、正確なフォーカス制御及びトラッキング制御の妨げとなってしまうおそれがある。従って、上述したように記録レベルのレーザ光Lが継続して長時間照射された場合には、サーボレベルのレーザ光Lの反射光を得ることができず、正確なフォーカス制御及びトラッキング制御が行えなくなるおそれがある。
そこで、上述したようにサーボ用オフパルスSSP1を挿入することにより、サーボレベルのレーザ光Lの反射光を周期的に取得できるようにし、該取得した反射光に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する。光記録媒体10の可視情報記録層24に可視情報を形成する際には、デジタル情報記録層18に対して情報記録する場合と異なり、予め形成されたプリグルーブ(案内溝)等に沿ってトレースするといった必要がない。従って、本実施の形態では、トラッキング制御の目標値は、固定値(一定のオフセット電圧を設定しておく)としている。なお、このような制御方法は、可視情報記録層24に可視情報を形成する場合のみならず、デジタル情報記録層18に可視情報を形成する場合にも適用できる。すなわち、レーザ光Lを照射したときに、反射率だけでなく発色も変化する材質をデジタル情報記録層18に用いれば、可視情報記録層24と同様に、デジタル情報記録層18にも可視情報を形成させることが可能である。このように、デジタル情報記録層18に可視情報を形成させると、可視情報を形成した部分には当然ながら本来のデータ記録はできなくなるので、データ記録をする領域と可視情報を形成させる領域とを予め分けておくのが好ましい。
なお、上記のように、サーボ用オフパルスSSP1やサーボ用オフパルスSSP2を挿入する時間は、レーザパワー制御、トラッキング制御及びフォーカス制御といった各種サーボの実行に支障をきたさない範囲で最小の時間とすることが好ましく、挿入時間を短くすることで、形成される可視情報にほとんど影響を与えることなく、上記のような各種サーボを行うことができる。
図6に戻り、PLL回路170は、周波数発生器164から供給されるスピンドルモータ104の回転速度に応じた周波数のFGパルス信号を逓倍し、後述する可視情報の形成のために用いられるクロック信号を出力する。周波数発生器164は、スピンドルモータ104のモータドライバにより得られる逆起電流を利用してスピンドル回転数に応じた周波数のFGパルス信号を出力する。
例えば、図13Aに示すように、周波数発生器164が、スピンドルモータ104が1回転、すなわち、光記録媒体10が1回転している間に、8個のFGパルスを生成するものである場合に、図13Bに示すように、PLL回路170は当該FGパルスを逓倍したクロック信号(例えばFGパルス信号の5倍の周波数、光記録媒体10が1回転中にHレベルのパルスが40個)を出力する、つまり、スピンドルモータ104によって回転させられる光記録媒体10の回転速度に応じた周波数のクロック信号を出力する。このように、FGパルス信号を逓倍したクロック信号がPLL回路170からFIFOメモリ172に出力され、該クロック信号に1周期毎、つまり、ある一定角度分だけ光記録媒体10が回転する毎に1つの座標の階調度を示すデータがFIFOメモリ172から駆動パルス生成部174に出力される。なお、上記のようにPLL回路33を用いてFGパルスを逓倍したクロック信号を生成するようにしてもよいが、スピンドルモータ104として、回転駆動能力が十分に安定しているモータを用いた場合には、PLL回路170に代えて水晶発振器を設け、上記のようなFGパルスを逓倍したクロック信号、すなわち光記録媒体10の回転速度に応じた周波数のクロック信号を生成するようにしてもよい。
ステッピングモータ165は、光ピックアップ106を当該光記録媒体10にセットされた光記録媒体10の径方向に移動させるためのモータである。モータドライバ166は、モータコントローラ168から供給されるパルス信号に応じた量だけステッピングモータ165を回転駆動する。モータコントローラ168は、制御部102から指示される光ピックアップ106の径方向への移動方向及び移動量を含む移動開始指示に従って、移動量や移動方向に応じたパルス信号を生成し、モータドライバ166に出力する。ステッピングモータ165が光ピックアップ106を光記録媒体10の径方向に移動させること、及び光記録媒体10をスピンドルモータ104が光記録媒体10を回転させることにより、光ピックアップ106のレーザ光の照射位置を光記録媒体10の様々な位置に移動させることができ、これらの構成要素が照射位置調整手段を構成しているのである。
制御部102は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成されており、ROMに格納されたプログラムに従って当該情報記録装置100の装置各部を制御し、光記録媒体10のデジタル情報記録層18に対する記録処理及び光記録媒体10の可視情報記録層24に対する画像形成処理を中枢的に制御するように構成されている。
[情報記録装置100の動作]
次に、上述した情報記録装置100の動作について説明する。
次に、上述した情報記録装置100の動作について説明する。
上述したように、この情報記録装置100は、光記録媒体10の情報記録層に対してホストPC148から供給された音楽データ等の記録データDwを記録することが可能であるとともに、光記録媒体10の可視情報記録層24に対してホストPC148から供給される画像データDpに対応した可視情報を形成することができるように構成されている。
以下、情報記録及び可視情報形成といった処理を行うことが可能な情報記録装置100の動作について図14〜図22を参照しながら説明する。
先ず、情報記録装置100に光記録媒体10がセットされると、制御部102は光ピックアップ106等を制御し、セットされた光記録媒体10の光ピックアップ106と対向する面がどのようなフォーマットの光記録媒体であるかを検出する(ステップSa1)。例えば、DVD−Rの場合はランドプリピット信号やプリレコード信号、DVD+Rの場合はADIP(Address in Pregroove)の有無を検出する。これらの情報が記録されていない場合には、光記録媒体10として認識されない。
ここで、セットされた光記録媒体10から、例えば、DVD−Rの場合はランドプリピット信号やプリレコード信号、DVD+Rの場合はADIPが検出された場合には、デジタル情報記録層18が光ピックアップ106と対向するように光記録媒体10がセットされていると判断し、制御部102はデジタル情報記録層18に対してホストPC148から供給される記録データDwを記録するための制御を行う(ステップSa2)。ここで行われる記録データDwを記録するための制御は、従来の光記録媒体記録装置(DVD−RやDVD+R)と同様であるため、その説明を省略する。
一方、セットされた光記録媒体10の最内周部分にレーザ光を照射して得られる戻り光に基づいて、可視情報の描画可能な光記録媒体10であることを示すプリピット信号が検出された場合には、可視情報記録層24が光ピックアップ106と対向するように光記録媒体10がセットされていると判断し、制御部102はセットされた光記録媒体10のディスクIDを取得することができるか否かを判断する(ステップSa3)。なお、光記録媒体10のディスクIDは、プリピット信号の中に含めることができる。
また、例えば図16に示すように、ディスクIDをコード化した情報に対応する可視情報を光記録媒体10の可視情報記録層24側の最外周部分の円周に沿って記述しておいてもよい。図16の例では、最外周部分の円周に沿って上記コード(ディスクIDをコード化した情報)に応じた長さの反射領域202aと非反射領域202bとを形成することにより、ディスクIDを光記録媒体10の可視情報記録層24に記述している。制御部102は、光記録媒体10の最外周の円周に沿って光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置をトレースすることにより、その反射光からディスクIDを取得することができる。
従って、図14に示すように、ディスクIDを取得できない場合は、当該光記録媒体10は可視情報記録層24を有しない一般的な光記録媒体(CD−R、DVD−R等)であると判別することができる。この場合、制御部102は可視情報の形成が不可能な光記録媒体であると判断し(ステップSa4)、その旨をユーザに通知等するための処理を行う。
一方、光記録媒体10からディスクIDを取得することができた場合には、ホストPC148から画像データDgを含む画像形成指示があるまで待機する(ステップSa5)。そして、ステップSa5において、画像形成指示があった場合に、制御部102は、光記録媒体10の可視情報記録層24に可視情報を形成するための初期化制御を行う(ステップSa6)。より具体的には、制御部102は、所定の角速度でスピンドルモータ104を回転するようにサーボ回路152を制御し、光ピックアップ106を光記録媒体10の径方向の最内周側の初期位置に移動させるための指示をモータコントローラ168に送出し、ステッピングモータ165を駆動する。
また、画像形成のための初期化制御において、制御部102は、デジタル情報記録層18に対して情報記録を行う際のビームスポット径よりも大きいビームスポット径のレーザ光Lが光記録媒体10の可視情報記録層24に照射されるように、フォーカス制御の目標値をサーボ回路152に対して指示することもできる。
レーザ光Lのビームスポット径を可変にするフォーカス制御についてより具体的に説明する。
上述したようにサーボ回路152によるフォーカス制御は、光ピックアップ106の受光素子184から出力される信号に基づいて行われる。光記録媒体10のデジタル情報記録層18に対する情報記録時には、図17に示す受光素子184の4つのエリア184a、184b、184c、184dの中心に円形の戻り光(図17の円形204a参照)が受光されるように、サーボ回路152がフォーカスアクチュエータ196(図7参照)を駆動する。すなわち、エリア184a、184b、184c、184dの各々の受光量をFa、Fb、Fc、Fdとした場合に、(Fa+Fc)−(Fb+Fd)=0となるようにフォーカスアクチュエータ196を駆動するのである。
一方、光記録媒体10の可視情報記録層24に対して可視情報を形成する場合には、上述したようにデジタル情報記録層18に対する情報記録時よりも径の大きいレーザ光Lが可視情報記録層24に照射されるように、フォーカス制御が行われる。図17に示す受光素子184に受光される戻り光の形状が楕円形状(図17の楕円204b及び204c参照)である場合には、そのレーザ光Lのスポットサイズは上述した円形204aの場合よりも大きいので、サーボ回路152は、このような楕円形状(図17の楕円204b及び204c参照)の戻り光が受光素子184に受光されるように、フォーカスアクチュエータ196を駆動する。すなわち、(Fa+Fc)−(Fb+Fd)=M(Mは0ではない)を満たすように、フォーカスアクチュエータ196を駆動する。従って、サーボ回路13はビームスポット制御手段を構成することになる。
上述した可視情報の形成のための初期化制御において制御部102がM(0ではない)をサーボ回路152に指示設定することで、デジタル情報記録層18に対する情報記録時よりも大きいスポット径のレーザ光Lを光記録媒体10の可視情報記録層24に照射することができる。このように、光記録媒体10の可視情報記録層24に対する可視情報を形成するときに、デジタル情報記録層18に対する情報記録時よりも大きいスポット径のレーザ光Lを照射することで以下のような効果を得ることができる。
すなわち、本実施の形態では、可視情報を形成する際にも、デジタル情報記録層18に情報記録を行う際と同様に、光記録媒体10を回転させながらレーザ光Lを照射している。従って、レーザ光Lのビームスポット径を大きくすることで、より短時間で光記録媒体10の可視情報記録層24の全領域に対して可視情報を形成することができる。
この理由について、図18A及び図18Bを参照しながら説明する。図18A及び図18Bに模式的に示すように、照射するレーザ光Lのビームスポット径BSが小さい場合(図18A参照)と大きい場合(図18B参照)とを比較すると、光記録媒体10を1回転させたときに、画像形成の対象となる領域の面積がビームスポット径BSが大きい時の方が大きくなる。このため、ビームスポット径BSが小さい場合には全領域を画像形成の対象とするために、より多く光記録媒体10を回転させなければならず(図18A及び図18Bの例では、大きい場合は4回転、小さい場合は6回転)、画像形成のために多くの時間を要することになる。以上のような理由から、この情報記録装置100では、可視情報を形成する際に情報記録時よりも大きいスポット径のレーザ光Lが照射されるようにしている。
また、画像形成のための初期化制御において、制御部102は、取得したディスクIDに応じた記録レベル及びサーボレベルのレーザ光Lが光ピックアップ106から出射されるように、各々のレベルの目標値をレーザパワー制御回路162に指示する。
すなわち、制御部102のROMには、複数種類のディスクID毎に、記録レベル及びサーボレベルとして設定すべき目標値が記憶されており、制御部102は、取得されたディスクIDに対応する記録レベル及びサーボレベルの目標値を読み出し、これらの目標値をレーザパワー制御回路162に指示する。
このように、ディスクIDに応じてパワーの目標値を設定するのは、以下の理由に基づく。
すなわち、光記録媒体10の種類によって、可視情報記録層24の色素の特性が異なることが考えられ、色素の特性が異なる場合、どの程度のパワーのレーザ光Lを照射すれば反射率が変化するといった光学特性も当然異なることになる。このため、ある光記録媒体10の可視情報記録層24に対しては、ある記録レベルのレーザ光Lを照射することにより、その照射領域の反射率を十分変化させることができた場合にも、他の光記録媒体10の可視情報記録層24に対して同じ記録レベルのレーザ光Lを照射させた場合に、その照射領域の反射率を変化させることができるとは限らない。従って、本実施の形態では、上記のように種々のディスクID毎に対応する光記録媒体毎に、予め正確な画像形成が行えるような記録レベル及びサーボレベルの目標値を実験により求めておく。
そして、求めた目標値を各々のディスクIDに対応付けて、すなわち、テーブル化してROMに格納しておくことにより、上記のような種々の光記録媒体10の可視情報記録層の特性に応じて最適なパワー制御を行うことができるようにしている。
上述のような初期化制御が制御部102によって行われると、その後、光記録媒体10の可視情報記録層24に可視情報を形成するための処理が行われることになる。
すなわち、図15に示すように、先ず、制御部102は、ホストPC148からバッファメモリ176を介して供給された画像データDgをFIFOメモリ172に転送する(ステップSa7)。そして、制御部102は、周波数発生器164から供給されるFGパルス信号から、スピンドルモータ104によって回転している光記録媒体10の所定の基準位置が、光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置を通過したか否かを判断する(ステップSa8)。
ここで、図19〜図21を参照しながら所定の基準位置、及びレーザ光Lの照射位置がその位置を通過したか否かの検出方法について説明する。
図19に示すように、周波数発生器164は、スピンドルモータ104が1回転する間、つまり、光記録媒体10が1回転する間に所定個(図19の例では8個)のFGパルスを出力する。従って、制御部102は、周波数発生器164から供給されるFGパルスのいずれか1つを基準パルスとし、その立ち上がりタイミングと同期させた基準位置検出用パルスを出力する。その後は、基準位置検出パルスから1回転分の個数目(図19の例では8個目)のFGパルスの立ち上がりタイミングと同期させて基準位置検出用パルスを出力する。このようにして、基準位置検出用パルス信号を生成する。
このような基準位置検出用パルスを生成することで、当該基準位置検出用パルスが生成された時点が、光記録媒体10の基準位置を光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置が通過したタイミングであるとして認識させることができる。
すなわち、図20に示すように、最初の基準位置検出用パルスを生成したタイミングにおける光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置が、図20中、太線(参照符号206で示す線:光ピックアップ106は径方向に移動可能であるため、照射位置が取り得る位置は線で表される)で示す位置であるとすると、その1回転後に生成される基準位置検出用パルスが生成された時点にも当然光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置は、図20中、太線で示す位置にある。
このように、最初に基準位置検出用パルスを生成したタイミングでレーザ光Lの照射位置が属する径方向の線が基準位置となり、制御部102は、上記のように、光記録媒体10が1回転する毎に生成される基準位置検出用パルスに基づいて、レーザ光Lの照射位置が光記録媒体10の基準位置を通過したことを検出することができる。
なお、図20中、一点鎖線(参照符号208で示す線)は、ある基準位置検出用パルスが生成されてから、次の基準位置検出用パルスが生成されるまでにレーザ光Lの照射位置の移動軌跡の一例を示す。
上述した基準位置検出用パルスに基づき、レーザ光は光記録媒体10上の略同一の軌跡を複数回照射する。この略同一の軌跡とは光記録媒体10の回転に伴う、略同心円状の軌跡である。なお、このとき光ピックアップ106は光記録媒体10の半径方向に揺動していることが好ましい。揺動することで、レーザ光の照射面積が増大し、可視情報の記録面積を増大させることができる。また略同一の軌跡を照射させる際の回転数は要求されるコントラストにより異なるが、例えば、最小時間にて描画を行う場合には7〜8回転である。なお、本実施の形態に係る描画方法としては、特開2002−203321号公報に開示されているレーザ光が光記録媒体10上の略同一の軌跡を複数回照射し、且つレーザ光が揺動する方法が好ましい。
ここで、光ピックアップ106の揺動の周波数を「スイング周波数」、光ピックアップ106の揺動の幅(両端の距離)をスイング幅、レーザ光が略同一の軌跡を複数回照射することを「オーバーライト」と定義したとき、スイング周波数としては、例えば200Hz、スイング幅としては、例えば50μm、オーバーライトの回数としては、例えば8回等が挙げられる。
図15に示すように、ホストPC148から画像形成指示を受けた後、以上のような手法で光記録媒体10の基準位置がレーザ光Lの照射位置を通過したことを検出すると、制御部102は、回転数を示す変数Rに1をインクリメントした後(ステップSa9)、Rが奇数であるか否かを判別する(ステップSa10)。
ここで、画像形成指示を受けた後、最初に基準位置を通過したことを検出した際には、R=0(初期値)+1=1であり、この場合、ステップSa10において、Rは奇数であると判別されることになる。このように、Rが奇数であると判別した場合、制御部102は、光ピックアップ106から光記録媒体10の可視情報記録層24にレーザ光Lを照射して可視情報を形成するための制御を行う(ステップSa11)。より具体的には、制御部102は、上記の基準位置検出用パルスを受け取った時点から、PLL回路170から出力されるクロック信号に同期してFIFOメモリ172から画像データDgを順次出力するように、各部を制御する。この制御により、図21に示すように、FIFOメモリ172は、PLL回路170からクロック信号が供給される毎に、1つの座標の階調度を示す情報を駆動パルス生成部174に出力する。駆動パルス生成部174は当該情報に示される階調度に従ったパルス幅の駆動パルスを生成してレーザドライバ160に出力する。この結果、光ピックアップ106は、各座標の階調度に応じた時間だけ、記録レベルのレーザ光Lを光記録媒体10の可視情報記録層24に照射し、その照射領域の反射率が変化することにより、図22に模式的に示すような可視情報を形成することができる。
図22に模式的に示すように、光記録媒体10はスピンドルモータ104によって回転させられているため、光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置はクロック信号の1周期(パルスの立ち上がりタイミングから次のパルスの立ち上がりタイミングまでの期間)中に、図22中、Cで示す領域分だけ円周に沿って移動することになる。この領域Cをレーザ光Lの照射位置が通過する間に、記録レベルのレーザ光Lを照射すべき時間を、階調度に応じて変化させることで、図22に示すように、領域C毎に異なる階調度に応じて異なる面積の反射率を変化させることができる。このように、各座標の階調度に応じて各々の領域Cを通過するときの記録レベルのレーザ光Lの照射時間を制御することにより、画像データDgに応じた可視情報を光記録媒体10の可視情報記録層24に形成することができる。
以上のように、画像データDgに応じて制御されるレーザ光Lの照射によって、可視情報の形成を実行するための制御を実行すると、制御部102の処理は、図15のステップSa7に戻り、バッファメモリ176から供給された画像データDgをFIFOメモリ172に転送する。そして、光記録媒体10の基準位置を光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置が通過したか否かを検出し、基準位置を通過したことが検出された場合、変数Rに1をインクリメントする。この結果、変数Rが偶数となった場合には、制御部102は上記のようなレーザ光の照射制御による可視情報形成を停止させるように、装置各部を制御する(ステップSa12)。より具体的には、FIFOメモリ172に対して、PLL回路170から供給されるクロック信号に同期して各座標の階調度を示す情報を駆動パルス生成部174に出力しないよう制御する。つまり、制御部102は、光記録媒体10の可視情報記録層24に対して記録レベルのレーザ光Lを照射して可視情報を形成した後、次に光記録媒体10が1回転している間は可視情報記録層24の反射率を変化させるためのレーザ光Lの照射を行わないように制御する。
このように、可視情報形成のためのレーザ光Lの照射を停止させると、制御部102は、モータコントローラ168に対して所定量だけ光ピックアップ106を径方向の外周側に移動させるよう指示し(ステップSa13)、該指示に応じてモータコントローラ168がモータドライバ166を介してステッピングモータ165を駆動し、これにより、光ピックアップ106が所定量だけ外周側に移動させられる。
ここで、光ピックアップ106を光記録媒体10の径方向に移動させる所定量は、上述したように、光ピックアップ106から照射されるビームスポット径BS(図18A及び図18B参照)に応じて適宜決定すればよい。すなわち、円盤状の光記録媒体10の可視情報記録層24に可視情報を形成する際には、光ピックアップ106のレーザ光Lの照射位置を光記録媒体10の面上ほぼ隙間なく移動させることが、より高品位の画像形成を実現するために必要となる。
従って、上記のような径方向への光ピックアップ106の単位移動量を、光記録媒体10に照射されるレーザ光Lのビームスポット径BSとほぼ同じ長さとすれば、光記録媒体10の面上に、ほぼ隙間なくレーザ光Lを照射することができ、より高品位な画像形成が可能となる。
なお、可視情報記録層24の性質等の種々の要因によって、照射したビームスポット径BSよりも大きい領域が発色するケースもあり、このようなケースでは、その発色領域の幅を考慮し、隣り合う発色領域が重ならないよう単位移動量を決めるようにすればよい。本実施の形態では、ビームスポット径BSをデジタル情報記録層18への記録時より大きくしているので(例えば、20μm程度)、制御部102は、このビームスポット径BSとほぼ同じ長さ分だけ光ピックアップ106を径方向に移動させるように、モータコントローラ168を制御し、ステッピングモータ165を駆動させている。なお、近年のステッピングモータ165は、マイクロステップ技術を利用することで、10μm単位でその移動量を制御することが可能であり、上記のようにステッピングモータ165を用いて光ピックアップ106を20μm単位で径方向に移動させることは十分に実現可能である。
上記のように、光ピックアップ106を径方向に所定量だけ移動させる制御を行うと、制御部102は、レーザ光Lの記録レベルの目標値を変更し、変更後の目標値をレーザパワー制御回路162に対して指示する(図15のステップSa14)。本実施の形態では、可視情報を形成する際の方式として光記録媒体10を角速度を一定に維持して回転させながらレーザ光Lを照射するCAV方式を採用しており、上記のように光ピックアップ106が外周側に移動させられると、線速度が大きくなる。従って、光ピックアップ106を径方向(外周側)に移動させた時には、記録レベルの目標値を、径方向に移動する以前の値よりも大きくなるように変更する。これにより、線速度が変化しても光記録媒体10の可視情報記録層24の反射率が十分に変化できる強度のレーザパワーを照射することができる。
以上のように、光ピックアップ106の径方向への移動制御及び記録レベルの目標値を変更する制御を実行すると、制御部102は可視情報の形成のために未処理の画像データDg、つまり、駆動パルス生成部174に供給されていない画像データDgがあるか否かを判別し、当該画像データDgがない場合には処理を終了する。
一方、駆動パルス生成部174に供給されていない未処理の画像データDgがある場合には、図15のステップSa7に戻り、可視情報の形成のための処理を続行する。
すなわち、制御部102からFIFOメモリ172に画像データDgを転送し(ステップSa7)、レーザ光Lの照射位置が光記録媒体10の基準位置を通過したか否かを判別する(ステップSa8)。そして、基準位置を通過した際には、回転数を示す変数Rに1をインクリメントし(ステップSa9)、インクリメント後の変数Rが奇数であるか否かを判別する(ステップSa10)。ここで、変数Rが奇数である場合には、制御部102は上記のような可視情報を形成するためのレーザ光Lの照射がなされるように装置各部を制御し、変数Rが偶数である場合には、可視情報を形成するためのレーザ光Lの照射を停止し(サーボレベルのレーザ光Lは照射する)、上記のような光ピックアップ106の径方向への移動制御や、記録レベルの目標値の変更といった制御を行う。
すなわち、制御部102は、ある周回中に光記録媒体10に対して画像形成のためのレーザ光Lの照射(記録レベルを含む)を行った場合、その次の周回中には画像形成のためのレーザ光Lの照射が行われないよう制御し、その周回中に光ピックアップ106の径方向への移動制御等を実施するようにしている。
このように、画像形成を行わない周回中に光ピックアップ106を移動させる制御や記録レベル目標値の変更制御等を実施することで、当該制御に伴って照射位置や照射されるレーザ光Lのパワー値等が変動している間に可視情報が形成されるということがなく、照射位置やレーザ光Lの強度が安定してから画像形成のためのレーザ光Lの照射を実行することができる。従って、上記のような光ピックアップ106の径方向の移動制御等に起因して形成される可視情報の品位が低下してしまうことを抑制できる。
上述した情報記録装置100によれば、新たに印刷手段等を設けることなく、デジタル情報記録層18に対して情報記録を行うために用いられる光ピックアップ106等の装置各部を可能な限り利用し、可視情報記録層24が形成された光記録媒体10の当該可視情報記録層24に対してレーザ光Lを照射して画像データDgに対応した可視情報を形成することができる。
また、本実施の形態では、スピンドルモータ104の回転に応じて生成されるFGパルスを用いて生成したクロック信号、すなわち、光記録媒体10の回転量に応じて生成されるクロック信号に基づいてレーザ光Lの照射タイミングを制御しているので、光記録媒体10側から位置情報等を取得することなく、情報記録装置100においてレーザ光Lの照射位置を把握することができる。従って、情報記録装置100によれば、可視情報記録層24にプリグルーブ(案内溝)を形成するといった特別な加工等を施した光記録媒体10を用いなくてはならないといった制限はなく、プリグルーブや位置情報等が予め形成されていない可視情報記録層24に対しても、画像データDgに対応する可視情報を形成することができる。
次に、デジタル情報記録層18への情報(デジタル情報)の記録について説明する。デジタル情報記録層18が色素型の場合、先ず、未記録の前述の光記録媒体10を所定の記録線速度にて回転させながら、光ピックアップ106からレーザ光Lを照射する。この照射されたレーザ光により、デジタル情報記録層18の色素がその光を吸収して局所的に温度上昇し、所望のピットが生成してその光学特性が変わることにより、デジタル情報記録層18に情報が記録される。
レーザ光Lの記録波形は、1つのピットの形成する際には、パルス列でも1パルスでもかまわない。実際に記録しようとする長さ(ピットの長さ)に対する割合が重要である。
レーザ光Lのパルス幅としては、実際に記録しようとする長さに対して20〜95%の範囲が好ましく、30〜90%の範囲がより好ましく、35〜85%の範囲がさらに好ましい。ここで、記録波形がパルス列の場合には、その和が上記の範囲にあることを指す。
レーザ光Lのパワーとしては、記録線速度によって異なるが、記録線速度が3.5m/sの場合、1〜100mWの範囲が好ましく、3〜50mWの範囲がより好ましく、5〜20mWの範囲がさらに好ましい。また、記録線速度が2倍になった場合には、レーザ光Lのパワーの好ましい範囲は、それぞれ21/2倍となる。
また、記録密度を高めるために、光ピックアップ106に使用される対物レンズ192のNA(開口数)は0.55以上が好ましく、0.60以上がより好ましい。
本実施の形態においては、レーザ光Lとして350〜850nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザを用いることができる。
一方、デジタル情報記録層18が相変化型の場合について説明する。相変化型の場合は、前述した材質から構成され、レーザ光Lの照射によって結晶相と非晶相との相変化を繰り返すことができる。
情報記録時は、集中したレーザ光Lのパルスを短時間照射し、相変化記録層を部分的に溶融する。溶融した部分は熱拡散により急冷され、固化し、非晶状態の記録マークが形成される。また、消去時には、記録マーク部分にレーザ光Lを照射し、デジタル情報記録層18の融点以下、結晶化温度以上の温度に加熱し、且つ、除冷することによって、非晶状態の記録マークを結晶化し、もとの未記録状態に戻す。
次に、実施例により本実施の形態をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
この実施例は、実施例1〜16、比較例1〜5について、コントラストの評価をみたものである。図23に、実施例1〜9の内訳及びコントラストの評価を示し、図24に、実施例10〜16の内訳及びコントラストの評価を示し、図25に、比較例1〜5の内訳及びコントラストの評価を示す。
(実施例1)
射出成形にて、ポリカーボネート樹脂から、スパイラル状(螺旋状)のグルーブ(深さ:130nm、幅300nm、トラックピッチ:0.74μm)を有する厚さ0.6mm、直径120mmの第1基板16を成形した。
射出成形にて、ポリカーボネート樹脂から、スパイラル状(螺旋状)のグルーブ(深さ:130nm、幅300nm、トラックピッチ:0.74μm)を有する厚さ0.6mm、直径120mmの第1基板16を成形した。
下記色素を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールに濃度1.5g/100ccで溶解してデジタル情報記録層を形成するための色素塗布液を調製した。
この塗布液をスピンコート法により第1基板16のグルーブが形成された面上に塗布し、デジタル情報記録層を形成した。その後、デジタル情報記録層18上に銀をスパッタして膜厚120nmの第1反射層20を形成し、第1積層体12を作製した。
次に、射出成形にて、ポリカーボネート樹脂から、半径21mmから半径24mmの領域に、スパイラル状のプリピット(深さ:250nm、半径方向の半値幅300nm、トラックピッチ:1.6μm)を有し、半径24mmより外周が鏡面である、直径120mmの第2基板22を作製した。
その後、下記色素A、色素B及び色素Cを混合し(配合率=20:45:35)、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールに濃度1.5g/100ccで溶解して可視情報記録層24を形成するための色素塗布液を調製した。
(色素A)
(色素B)
(色素C)
この塗布液をスピンコート法により第2基板22のプリピット32が形成された面上に塗布し、膜厚120nmの可視情報記録層24を形成した。その後、可視情報記録層24上に銀をスパッタして膜厚60nmの第2反射層を形成し、第2積層体14を作製した。なお、可視情報記録層24の波長=660nmにおける光学濃度(OD:Optical Density)は0.33であった。
次いで、第1積層体12の第1反射層20上に紫外線硬化接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製 ダイキュアクリアSD6830)を塗布し、第2積層体14の第2反射層26と貼り合わせた後、第2積層体14側からフラッシュキセノンランプを照射することで、接着剤(接着層28)を硬化させ、第1積層体12及び第2積層体14とが貼合せられた1枚の光記録媒体10として完成させた。
(実施例2)
可視情報記録層24の膜厚を79nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例2に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.22であった。
可視情報記録層24の膜厚を79nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例2に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.22であった。
(実施例3)
可視情報記録層24の膜厚を91nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例3に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.25であった。
可視情報記録層24の膜厚を91nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例3に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.25であった。
(実施例4)
可視情報記録層24の膜厚を103nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例4に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.28であった。
可視情報記録層24の膜厚を103nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例4に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.28であった。
(実施例5)
可視情報記録層24の膜厚を118nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例5に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.32であった。
可視情報記録層24の膜厚を118nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例5に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.32であった。
(実施例6)
可視情報記録層24の膜厚を131nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例6に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.36であった。
可視情報記録層24の膜厚を131nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例6に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.36であった。
(実施例7)
可視情報記録層24の膜厚を140nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例7に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.38であった。
可視情報記録層24の膜厚を140nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例7に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.38であった。
(実施例8)
上述した色素A、色素B及び色素Cの配合率を35:45:20とし、可視情報記録層24の膜厚を102nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例8に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.489であった。
上述した色素A、色素B及び色素Cの配合率を35:45:20とし、可視情報記録層24の膜厚を102nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例8に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.489であった。
(実施例9)
可視情報記録層24の膜厚を87nmとしたこと以外は、実施例8と全く同等にして、実施例9に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.42であった。
可視情報記録層24の膜厚を87nmとしたこと以外は、実施例8と全く同等にして、実施例9に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.42であった。
(実施例10)
上述した色素A、色素B及び色素Cの配合率を45:20:35とし、可視情報記録層24の膜厚を69nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例10に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.43であった。
上述した色素A、色素B及び色素Cの配合率を45:20:35とし、可視情報記録層24の膜厚を69nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例10に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.43であった。
(実施例11)
上述した色素A、色素B及び色素Cの配合率を45:30:25とし、可視情報記録層24の膜厚を66nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例11に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.41であった。
上述した色素A、色素B及び色素Cの配合率を45:30:25とし、可視情報記録層24の膜厚を66nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例11に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.41であった。
(実施例12)
可視情報記録層24の膜厚を56nmとしたこと以外は、実施例11と全く同等にして、実施例12に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.35であった。
可視情報記録層24の膜厚を56nmとしたこと以外は、実施例11と全く同等にして、実施例12に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.35であった。
(実施例13)
下記色素D及び色素Eを混合(配合率=70:30)して可視情報記録層24を形成するための色素塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により第2基板22のプリピット32が形成された面上に塗布し、膜厚93nmの可視情報記録層24を形成したこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例13に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.32であった。
下記色素D及び色素Eを混合(配合率=70:30)して可視情報記録層24を形成するための色素塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により第2基板22のプリピット32が形成された面上に塗布し、膜厚93nmの可視情報記録層24を形成したこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例13に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.32であった。
(色素D)
(色素E)
(実施例14)
上述した色素D、色素E及び下記色素Fを混合(配合率=70:5:25)して可視情報記録層24を形成するための色素塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により第2基板22のプリピット32が形成された面上に塗布し、膜厚124nmの可視情報記録層24を形成したこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例14に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.34であった。
上述した色素D、色素E及び下記色素Fを混合(配合率=70:5:25)して可視情報記録層24を形成するための色素塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により第2基板22のプリピット32が形成された面上に塗布し、膜厚124nmの可視情報記録層24を形成したこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例14に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.34であった。
(色素F)
(実施例15)
上述した色素D並びに下記色素G及び下記色素Hを混合(配合率=60:20:20)して可視情報記録層24を形成するための色素塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により第2基板22のプリピット32が形成された面上に塗布し、膜厚106nmの可視情報記録層24を形成したこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例15に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.33であった。
上述した色素D並びに下記色素G及び下記色素Hを混合(配合率=60:20:20)して可視情報記録層24を形成するための色素塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により第2基板22のプリピット32が形成された面上に塗布し、膜厚106nmの可視情報記録層24を形成したこと以外は、実施例1と全く同等にして、実施例15に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.33であった。
(色素G)
(色素H)
(実施例16)
可視情報記録層24の膜厚を115nmとしたこと以外は、実施例15と全く同等にして、実施例16に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.357であった。
可視情報記録層24の膜厚を115nmとしたこと以外は、実施例15と全く同等にして、実施例16に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.357であった。
(比較例1)
可視情報記録層24の膜厚を60nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、比較例1に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.17であった。
可視情報記録層24の膜厚を60nmとしたこと以外は、実施例1と全く同等にして、比較例1に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.17であった。
(比較例2)
可視情報記録層24の膜厚を95nmとしたこと以外は、実施例10と全く同等にして、比較例2に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.59であった。
可視情報記録層24の膜厚を95nmとしたこと以外は、実施例10と全く同等にして、比較例2に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.59であった。
(比較例3)
可視情報記録層24の膜厚を85nmとしたこと以外は、実施例10と全く同等にして、比較例3に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.52であった。
可視情報記録層24の膜厚を85nmとしたこと以外は、実施例10と全く同等にして、比較例3に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.52であった。
(比較例4)
可視情報記録層24の膜厚を51nmとしたこと以外は、実施例10と全く同等にして、比較例4に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.31であった。
可視情報記録層24の膜厚を51nmとしたこと以外は、実施例10と全く同等にして、比較例4に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.31であった。
(比較例5)
可視情報記録層24の膜厚を78nmとしたこと以外は、実施例11と全く同等にして、比較例5に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.48であった。
可視情報記録層24の膜厚を78nmとしたこと以外は、実施例11と全く同等にして、比較例5に係る光記録媒体を作製した。なお、可視情報記録層24の光学濃度は0.48であった。
<光記録媒体の評価>
実施例1〜16、比較例1〜5について、可視情報記録層24のレーザ反射率と、可視情報記録層24に評価用画像を描画する前の色座標(L*a*b*表色系)と、評価用画像を描画した後の色座標(L*a*b*表色系)と、コントラストとを求めて評価した。
実施例1〜16、比較例1〜5について、可視情報記録層24のレーザ反射率と、可視情報記録層24に評価用画像を描画する前の色座標(L*a*b*表色系)と、評価用画像を描画した後の色座標(L*a*b*表色系)と、コントラストとを求めて評価した。
レーザ反射率は、ディスクドライブ装置(DDU1000、パルステック社製、レーザ光の波長=660nm、開口率=0.65)を用いた。
可視情報記録層24への評価用画像の描画は、市販のDVDドライブ(IOデータ製DVR−N18GL)を用い、下記表3の条件で行った。評価用画像は、黒ベタ部と白ベタとを有する描画パターンであって、可視情報記録層24全面に描画した。なお、描画に要する時間は約6分間であった。
そして、可視情報記録層24に対して評価用画像を描画した後、下記表4に示す分光光度計による計測条件で、描画された部分(描画部分)と描画されていない部分(未描画部分)の絶対反射スペクトル(絶対反射率)を測定した。
次に、これらの反射スペクトルのデータをもとに、色座標を算出した。ここでの色座標は、CIEが1976年に定めた均等色空間の1つで(CIE1976)、L*a*b*表色系(CIELAB表色系という場合もある)である。
色座標L*、a*、b*は、絶対反射スペクトル(分光光度計での絶対反射率)のデータをJIS規格Z8701に規定されている下記式(1)に当てはめることで、XYZ表色系の値(反射による物体色の三刺激値X、Y、Z)を求め、さらに、三刺激値X、Y、ZをJIS規格Z8729に規定されている下記式(2)に当てはめて、L*a*b*表色系の値(明度指数L*、クロマティクネス指数a*、b*)を算出した。
具体的には、先ず、絶対反射スペクトル(分光光度計での絶対反射率)のデータを下記式(1)に当てはめることで、XYZ表色系の値(反射による物体色の三刺激値X、Y、Z)を求めた。
そして、三刺激値Yを下記式(2)に当てはめて、L*a*b*表色系の明度指数L*を算出した。
但し、L*a*b*表色系において、Y/Ynが0.008856以下の場合は、下記(3)式による。
また、三刺激値X、Y、Zを下記式(4)に当てはめて、L*a*b*表色系のクロマティクネス指数a*、b*を算出した。
但し、X/Xn、Y/Yn又はZ/Znに0.008856以下の値のものがある場合は、上記(4)式の対応する立方根の項を7.787(X/Xn)+(16/116)、7.787(Y/Yn)+(16/116)又は7.787(Z/Zn)+(16/116)に置き換えて計算する。
そして、以下の式(5)で表されるSvを描画後のコントラストの評価指標として用いた。
さらに、前記式(5)にて求めたSvの値から、5段階の評価基準を設けた。評価基準は下記表5のとおりである。
図23及び図24の結果から、実施例1〜16は、いずれもレーザ反射率が、好ましい範囲である8%以上を満足し、且つ、未描画部分の色座標L*a*b*におけるL*が、好ましい範囲である30≦L*≦70を満足している。
そのうち、実施例1、4、5、6、7、8、9及び13のコントラストの評価は、5、5、5、5、4、5、5及び4となっており、コントラストが優良、良好であることがわかる。実施例2、3、10、11、12、13、14、15及び16は、コントラストの評価が2、3、3、2、2、2、2及び2となっており、上述した実施例1、4、5、6、7、8、9及び13よりは評価が低くなっている。これは、レーザ反射率が高くなっていることに起因すると思われる。
一方、比較例1及び4は、レーザ反射率が8%以上を満足しているが、未描画部分の色座標L*a*b*におけるL*が30≦L*≦70から外れていることから、コントラストの評価が1となっており、コントラストが不十分であることがわかる。比較例2、3及び5は、前記L*が30≦L*≦70を満足しているが、レーザ反射率が8%未満であり、そのため、可視情報記録層24に対するレーザ光のフォーカシング制御ができず、評価用画像の描画が不可であった。つまり、コントラストの評価ができない状態であった。
なお、本発明に係る光記録媒体は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10、10a、10b…光記録媒体 12…第1積層体
14…第2積層体 16…第1基板
18…デジタル情報記録層 20…第1反射層
22…第2基板 24…可視情報記録層
26…第2反射層 100…情報記録装置
102…制御部 104…スピンドルモータ
106…光ピックアップ
14…第2積層体 16…第1基板
18…デジタル情報記録層 20…第1反射層
22…第2基板 24…可視情報記録層
26…第2反射層 100…情報記録装置
102…制御部 104…スピンドルモータ
106…光ピックアップ
Claims (28)
- レーザ光の照射によって可視情報が記録される可視情報記録層を具備した光記録媒体において、
前記可視情報記録層は、前記レーザ光の波長での反射率が8%以上であり、
前記可視情報記録層に前記可視情報を記録しない状態での前記可視情報記録層の色座標をL*、a*、b*で表したとき、
30≦L*≦70
を満足することを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層は、前記レーザ光の波長での反射率が10%以上、50%以下であることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層は、前記レーザ光の波長での反射率が12%以上、40%以下であることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1記載の光記録媒体において、
前記a*及びb*は、
0<a*、0<b*
を満足することを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1記載の光記録媒体において、
前記a*及びb*は、
a*≦0、0<b*
を満足することを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1記載の光記録媒体において、
前記a*及びb*は、
0<a*、b*≦0
を満足することを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1記載の光記録媒体において、
前記a*及びb*は、
a*≦0、b*≦0
を満足することを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光記録媒体において、
前記レーザ光の波長が600〜700nmであることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層は、下記一般式(7)で表される色素化合物を有することを特徴とする光記録媒体。
一般式(7):
- 請求項17記載の光記録媒体において、
前記一般式(1)で表される色素化合物の配合率をEa、前記一般式(2)で表される色素化合物の配合率をEb、前記一般式(3)で表される色素化合物の配合率をEcとしたとき、
Ea=20〜45%
Eb=30〜45%
Ec=20〜35%
であることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項17又は18記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層の厚みが55〜150nmであることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項20記載の光記録媒体において、
前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(5)で表される色素化合物の配合率をEeとしたとき、
Ed=60〜80%
Ee=20〜40%
であることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項20又は21記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層の厚みが90〜100nmであることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層は、下記一般式(4)で表される色素化合物と、下記一般式(5)で表される色素化合物と、下記一般式(6)で表される色素化合物とを有することを特徴とする光記録媒体。
一般式(4):
一般式(5):
一般式(6):
- 請求項23記載の光記録媒体において、
前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(5)で表される色素化合物の配合率をEe、前記一般式(6)で表される色素化合物の配合率をEfとしたとき、
Ed=60〜80%
Ee=2〜8%
Ef=20〜30%
であることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項23又は24記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層の厚みが120〜130nmであることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層は、下記一般式(4)で表される色素化合物と、下記一般式(7)で表される色素化合物と、下記一般式(8)で表される色素化合物とを有することを特徴とする光記録媒体。
一般式(4):
一般式(7):
一般式(8):
- 請求項24記載の光記録媒体において、
前記一般式(4)で表される色素化合物の配合率をEd、前記一般式(7)で表される色素化合物の配合率をEg、前記一般式(8)で表される色素化合物の配合率をEhとしたとき、
Ed=50〜70%
Eg=10〜30%
Eh=10〜30%
であることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項26又は27記載の光記録媒体において、
前記可視情報記録層の厚みが100〜120nmであることを特徴とする光記録媒体。
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