JP2008059683A - ヘッドスライダ、ヘッドスライダと磁気記録媒体との組み合わせおよび磁気記録装置 - Google Patents

ヘッドスライダ、ヘッドスライダと磁気記録媒体との組み合わせおよび磁気記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘッドと磁気記録媒体との接触によるドライブ障害を低減することのできるヘッドスライダ、このヘッドスライダと磁気記録媒体との組合せおよびこのヘッドスライダを備えた磁気記録装置を提供する。
【解決手段】本ヘッドスライダは、磁気記録媒体と対向するヘッドスライダ面に、フォスファゼン環を含む化合物が塗布されてなる。
【選択図】図2

Description

本発明は磁気記録装置におけるヘッドスライダに関するものである。
磁気記録装置においては、磁気記録変換素子(本明細書においては、単にヘッドともいう)を備えたヘッドスライダが、磁気記録媒体(たとえばハードディスク)上を浮上しながら情報の読み書きを行う。
ヘッドと、磁気記録媒体上で磁気情報を記録(書き込み)または再生(読み取り)するための磁性層との距離は磁気スペーシングと呼ばれ、磁気スペーシングが狭いほど記録密度が向上する。そのため、ヘッドの浮上高さを低減することで、高記録密度化が図られ、ヘッド浮上高さは現在10nm程度まで減少している。このような、極低浮上環境下では、ヘッドが間欠的に磁気ディスクと接触しやすく、ヘッドクラッシュの原因となる。
ヘッドとディスクとの接触によるドライブ障害を低減するために、ディスク上にフォスファゼン誘導体(文献1参照)を塗布することが提案されている。
特開2002−294266号(特許請求の範囲)
フォスファゼン誘導体等のフォスファゼン環を有する化合物(以下、「フォスファゼン環を含む化合物」を「フォスファゼン化合物」とも呼称する)を磁気記録媒体上に塗布する方法としては、磁気記録媒体に潤滑剤を塗布する工程において、フォスファゼン化合物とフッ素系潤滑剤との混合液に磁気記録媒体を浸漬塗布する方法が知られている。この方法の利点は、潤滑剤とフォスファゼン化合物とを同時に塗布することから、潤滑剤塗布工程における工数が増えないことである。
しかしながら、このやり方では、本来一定に保たれるべきフォスファゼン化合物とフッ素系潤滑剤との混合比が、時間の経過と共に変化し、製造ラインの管理が困難であるという問題がある。これは、浸漬時にフッ素系潤滑剤の方が優先的に磁気記録媒体に付着するためであろうと推測されている。
本発明は上記問題を解決し、ヘッドと磁気記録媒体との接触によるドライブ障害を低減する新規な技術を提供することを目的としている。本発明の更に他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の一態様によれば、磁気記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行うための磁気記録変換素子を備えたヘッドスライダであって、当該磁気記録媒体と対向するヘッドスライダ面に、フォスファゼン環を含む化合物が塗布されてなるヘッドスライダが提供される。
本発明態様により、ヘッドと磁気記録媒体との接触によるドライブ障害を低減することのできるヘッドスライダが得られる。
前記フォスファゼン環を含む化合物が平均2nm以下の膜厚で塗布されていること、前記フォスファゼン環を含む化合物が、前記ヘッドスライダ面上のうち酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは炭化チタン上に塗布されていること、前記フォスファゼン環を含む化合物が、フッ素を含む構造を含むこと、前記フッ素を含む構造が、分岐していてもよいフッ素化炭化水素構造または分岐していてもよいフッ素化ポリエーテル構造またはこれらの混合構造であること、前記ヘッドスライダのフォスファゼン環を含む化合物を塗布した面が活性エネルギー線の照射を受けたものであること、とりわけ、前記活性エネルギー線がキセノンエキシマ光線または電子線であること、および、前記ヘッドスライダが溶媒で洗浄されたものであること、が好ましい。
本発明の他の一態様によれば、上記のヘッドスライダと磁気記録媒体との組合せが提供される。前記磁気記録媒体がフッ素系潤滑剤を塗布させたものであることが好ましい。本発明態様により、ヘッドと磁気記録媒体との接触によるドライブ障害を低減することができる。
本発明の更に他の態様によれば、上記のヘッドスライダを備えた磁気記録装置および、上記のヘッドスライダと磁気記録媒体との組合せを備えた磁気記録装置が提供される。
本発明態様により、耐久性に優れた磁気記録装置が得られる。
なお、本発明の諸態様を採用すれば、フォスファゼン化合物を使用するにも拘わらず、このような耐久性に優れたヘッドスライダや磁気記録装置の製造の管理を容易に行うことができる。
本発明により、ヘッドと磁気記録媒体との接触によるドライブ障害を低減することのできるヘッドスライダ、このヘッドスライダと磁気記録媒体との組合せおよびこのヘッドスライダを備えた磁気記録装置が得られる。本発明を採用すれば、フォスファゼン化合物を使用するにも拘わらず、このような耐久性に優れたヘッドスライダや磁気記録装置の製造の管理を容易に行うことができる。
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明に係るヘッドスライダは、磁気記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行うための磁気記録変換素子を備えたヘッドスライダであって、この磁気記録媒体と対向するヘッドスライダ面に、フォスファゼン化合物が塗布される。
なお、以下、本発明を主としてハードディスク装置について説明するが、本発明に係る「ヘッドスライダ」には、ロード/アンロードタイプの機構で動作するもの、コンタクト・スタート・ストップの機構で動作するもの、完全浮上方式で情報を記録し、再生するもの、気液混合方式で情報を記録し、再生するもの、コンタクト方式で情報を記録し、再生するものなど、ハードディスク装置用のものに限らず、いかなるヘッドスライダも含まれる。また、本発明に係る「磁気記録媒体」は、ハードディスク装置に使用される、面内媒体、SFM(Synthetic Ferrimagnetic MediumまたはAntiferromagnetically Coupled Media)、垂直記録媒体、パターンド媒体など、どのような記録媒体であってもよい。また、本発明に係る「磁気記録装置」には、このようなヘッドスライダや磁気記録媒体を使用するすべての磁気記録装置が含まれる。なお、本発明において磁気記録装置とは、磁気情報の記録または再生またはその両方を行うことのできる装置を意味する。
このような装置を図1,2に例示する。図1はハードディスク装置の内部構造を示す模式的平面図であり、図2は、ヘッド(記録変換素子)と、磁気記録媒体との関係を示す模式的横断面図(磁気記録媒体磁性層に垂直な方向で切断した図)である。
このハードディスク装置は、図1に示すように磁気記録媒体1とヘッドを備えたヘッドスライダ2、磁気記録媒体1の回転制御機構(たとえばスピンドルモータ)3、ヘッドの位置決め機構4および記録再生信号の処理回路(リードライトアンプ等)5を主要構成要素としている。
ヘッドスライダ2は、図2に示すように、サスペンジョン6およびヘッドスライダ2を柔軟に支持するためのジンバル7により、ヘッドの位置決め機構4と連結されており、その先端にヘッド8が設けられている。ヘッドスライダ面にはヘッド保護層9が設けられている。
磁気記録媒体11は、図2の下方から基板12、Cr下地層13,磁性層14,媒体保護層15,媒体潤滑層16等がある。シード層等のその他の層が設けられる場合もあるが本図では省略してある。各層の厚さは、ハードディスクの場合、媒体潤滑層で1〜2nm程度、媒体保護層で3〜5nm程度、磁性層で20nm程度、Cr下地層で10nm程度が一般的である。
磁気ディスク等の磁気記録媒体上の潤滑剤は、ヘッドスライダが接触した時にヘッドスライダ上のルイス酸になり得る物質により分解が促進されることが見出された。フォスファゼン化合物の働きは、ヘッドスライダ上にあるルイス酸になり得る物質を不活性化することにあると考えられ、ヘッドスライダ面にフォスファゼン化合物を塗布させることにより、磁気記録媒体の信頼性が向上する。
なお、ルイス酸になり得る物質としては、ヘッドスライダ上に存在するものであればどのようなものでも該当し得るが、酸化アルミニウムが一般的である。酸化ジルコニウムまたは炭化チタン等の他の物質でもあり得る。これらがフッ素化されている場合もあり得る。本発明は、ルイス酸になり得る物質が、酸化アルミニウムまたはその表面の一部または全部がフッ素化されている場合に特に好ましい効果を与える。
このフォスファゼン化合物は、従来磁気記録媒体上に、潤滑剤と混ぜて塗布されていた。これに対し、本発明では、これまで何も塗布されていなかったヘッドスライダ上(すなわち、磁気記録媒体と対向するヘッドスライダ面)にフォスファゼン化合物を塗布する。このようにすることで、フォスファゼン化合物の働きによりルイス酸になり得る物質を不活性化し、恐らく磁気記録媒体上の潤滑剤の分解が抑制され、そのことにより磁気記録媒体の信頼性が向上することが見出された。ヘッドスライダの大きさは磁気記録媒体の大きさに比べ遙かに小さく、したがって、ヘッドスライダ上へのフォスファゼン化合物の塗布量は磁気記録媒体上に塗布する場合に比べ遙かに小さいが、ルイス酸になり得る物質の不活性化の目的には充分であることが判明した。
本発明に係るフォスファゼン化合物の塗布方法については特に制限はなく、フォスファゼン化合物と溶媒とよりなる溶液中への浸漬、スプレー、印刷等公知の方法を適宜利用することができる。このための溶媒は、公知のものから適宜選択可能であるが、フォスファゼン化合物としてフッ素を含む構造を有するものを使用した場合には、フッ素を含む溶媒(いわゆるフッ素系溶媒)が好ましいことが多い。これはフッ素を含む構造を有する有機物質がフッ素系溶媒に対して良好な溶解性を有するためである。具体的には、Vertrel(2,3−ジヒドロパーフルオロペンタン、三井フルオロデュポン製),HFE7200(エトキシパーフルオロブタン、3M製)を挙げることができる。
ヘッドスライダ上におけるフォスファゼン化合物の層厚についても特に制限はないが、その目的が、ヘッドスライダ面上における、ルイス酸になり得る物質を不活性化することにあると考えられているため、ヘッドスライダ面上のうち、ルイス酸になり得る物質上に塗布されていることが重要であると考えられる。したがって、ヘッドスライダ面上におけるルイス酸になり得る物質以外の部分を含めて塗布することが実用上容易であるが、ダイアモンドライク膜(DLC膜)等が併用されている場合は、その部分を除く等、ヘッドスライダ面上の一部に塗布する方法も考えられる。
なお、本発明に係るフォスファゼン化合物により形成される膜の厚さには特に制限はないが、厚すぎるとフォスファゼン化合物自体の凝集が起こりやすくなるので、平均値としては2nm以下が好ましい。
本発明に使用できるフォスファゼン化合物は、フォスファゼン環を含有すればどのようなものでもよく、潤滑剤として知られる各種の樹脂をその構造に組み入れたものであってもよい。フッ素を含む構造を含んだもの、X1−P{部分的にフッ素化されたヘキサフェノキシシクロトリフォスファジン(Partialy fluorinated hexaphenoxy cyclotriphosphazine)},松村石油製A20−H等を例示することができる。これらは次のように表すことができる。
Figure 2008059683
Figure 2008059683
フッ素を含む構造を含んだものは、たとえば、フッ素を含む潤滑剤として知られる各種の樹脂をフォスファゼンまたはフォスファゼン化合物と何らかの方法で共有結合させることにより得ることができる。
本発明に使用できるフォスファゼン化合物は、特に、フッ素を含む構造を含むと潤滑性にも優れ、フォスファゼン化合物自体の凝集も抑えられるので好ましい。また、後述する活性エネルギー線の照射により、ヘッドスライダ面への固着が改善される点でも好ましい。この固着は恐らくフッ素の脱離が関与していると考えられている。このフッ素を含む構造は、分岐していてもよいフッ素化炭化水素構造または分岐していてもよいフッ素化ポリエーテル構造またはこれらの混合構造であることが好ましい。これらの例としては、下記のようなフッ素化アルキル基やフッ素化ポリエーテルで置換されている構造等を挙げることができる。
Figure 2008059683
Figure 2008059683
なお、ヘッドスライダ上には、本発明に係るフォスファゼン化合物と共に他の化合物を共存させてもよい場合もある。たとえばフッ素を含む潤滑剤を共存させてもよい。共存する他の化合物は本発明に係るフォスファゼン化合物を作製する際の不純物や副生物であってもよい。フォスファゼン化合物とともに当該他の化合物を塗布してもよい。ただし後者の量が多すぎると本発明の効果が得られ難くなる場合が多い。
本発明に係るフォスファゼン化合物を塗布により形成する際には、ヘッドスライダのフォスファゼン化合物を塗布した面が活性エネルギー線の照射を受けたものであることが好ましい。この処理により、フォスファゼン化合物の凝集を抑え、ヘッドスライダの表面に強く固着させることができる。この場合のフォスファゼン化合物が、フッ素を含む構造を有することが好ましいのは、さきに説明したとおりである。
上記活性エネルギー線としては、紫外線、遠紫外線、真空紫外線、極端紫外線、X線および電子線等を挙げることができるが、実用上は、キセノンエキシマ光線または電子線が好ましい。
上記フォスファゼン化合物を塗布した面は、とりわけ活性エネルギー線の照射を受けた後には、ヘッドスライダを溶媒で洗浄することが好ましい。充分に固着していないフォスファゼン化合物や凝集したフォスファゼン化合物を効率よく除去できるからである。このための溶媒としては、公知のものから適宜選択可能であるが、フッ素を含む溶媒(いわゆるフッ素系溶媒)が好ましいことが多い。特に、フォスファゼン化合物としてフッ素を含む構造を有するものを使用した場合にはそうである。理由はフォスファゼン化合物中のフッ素を含む構造とフッ素系溶媒の親和性が高いためフォスファゼン化合物の溶解性を高めることができるからである。具体的には、Vertrel(2,3−ジヒドロパーフルオロペンタン、三井フルオロデュポン製),HFE7200(エトキシパーフルオロブタン、3M製)を挙げることができる。
本発明に係るヘッドスライダは磁気記録媒体と組み合わせて使用する場合に効果を発揮する。この場合、潤滑性能が高く、しかも酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化チタン等ルイス酸になり得る物質による潤滑剤の分解を抑制できる点で、磁気記録媒体としてはフッ素系潤滑剤を塗布させたものであることが好ましいが、それ以外の潤滑剤を使用したものであっても構わない。また、潤滑剤と本発明に係るフォスファゼン化合物との混合物を使用したものであってもよい。潤滑剤と本発明に係るフォスファゼン化合物との混合物を使用した場合には、磁気記録媒体の方にあるフォスファゼン化合物のルイス酸になり得る物質に対する不活性化効果も期待できるので、より長期間に渡る優れた耐久性が期待できる。なお、この場合には、磁気記録媒体のみにフォスファゼン化合物を使用する場合に比べ、磁気記録媒体上に使用するフォスファゼン化合物の量を減少できることおよび、フォスファゼン化合物/潤滑剤の比率の管理もより緩やかで済む等の副次的効果も得られる。
上記のようにして得られたヘッドスライダやヘッドスライダと磁気記録媒体との組合せは、磁気記録装置に効果的に採用することができ、その耐久性を向上させることができる。
更に、本発明によれば、フォスファゼン化合物と潤滑剤との量比の変動の問題を回避できるので、フォスファゼン化合物を使用するにも拘わらず、このような耐久性に優れたヘッドスライダや磁気記録装置の製造の管理を容易に行うことができる。
次に本発明の実施例および比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[比較例1]
水酸基を含有するフッ素系潤滑剤を、溶媒である三井−デュポン社製Vertrel XFに溶解させ、この溶液に磁気ディスクを浸漬塗布し、空気中で乾燥後、ベーク炉を用い130℃で1時間加熱処理した。
最初に浸漬塗布した磁気ディスクと最後に浸漬塗布した磁気ディスクとを、浮上高さが6nm,80℃,25%RHの環境下で100時間ランニング試験を行った。ヘッドスライダの磁気ディスク対向面には、ヘッド保護層としてアルミナ(酸化アルミニウム)膜が使用されていた。その表面はなにも処理されていなかった。
評価の結果、最初に浸漬塗布した磁気ディスクでも、最後に浸漬塗布した磁気ディスクでもクラッシュに至った。
[実施例1]
本発明に係るフォスファゼン化合物の一つである松村石油社のA20Hを、溶媒である三井−デュポン社製Vertrel XFに溶解させたものをヘッドスライダの塗布用に使用した。このフォスファゼン化合物はフッ素を含有した直鎖状のフッ素化ポリエーテルの構造であった。
この溶液にヘッドスライダを浸漬塗布し、空気中で乾燥後172nmの波長を有する紫外線を照射し、さらに三井−デュポン社製Vertrel XFで洗浄処理した。およそ1000本のヘッドスライダを用いた。ヘッドスライダとしては、比較例と同様のものを使用した。
上記1000本のヘッドスライダの内、最初に浸漬塗布したヘッドスライダと最後に浸漬塗布したヘッドスライダについて、比較例1で処理した磁気ディスクとを組合せ、比較例1と同じ条件でランニング試験を行った。評価の結果、特に異常は見られず良好な耐久性を示した。すなわち、比較例1に比し、格段に優れた耐久性が得られた。
[実施例2]
実施例1で作成したヘッドスライダにおいて、信号出力から、フォスファゼン化合物を塗布する前のヘッドスライダと塗布後のヘッドスライダとの信号出力の差である磁気スペーシングロスを測定した結果、フォスファゼン化合物の塗布前後で磁気スペーシングロスの変化はなかった。
耐久性を高めるためには、ヘッド保護膜を厚くする方法が考えられる。しかしながら、ヘッド保護膜を厚くすれば磁気スペーシングロスが生じる。これに対し、上記結果は、磁気スペーシングロスを生ずることなく、耐久性を高められる点で有利であることを示している。
[比較例2]
実施例1と同じフォスファゼン化合物を比較例1と同じ水酸基を含有するフッ素系潤滑剤(フォスファゼン化合物と水酸基を含有するフッ素系潤滑剤との合計に対するフォスファゼン化合物の割合が8重量%)と共に三井−デュポン社製Vertrel XFに溶解させ、この溶液に磁気ディスクを浸漬塗布し、空気中で乾燥後、ベーク炉を用い130℃で1時間加熱処理した。およそ1000枚の磁気ディスクを用いた。
その後、比較例1と同じ条件でランニング試験を行った。評価の結果、最初に浸漬塗布した磁気ディスクでは、良好な耐久性を示したが、最後に浸漬塗布した磁気ディスクではクラッシュに至った。光学顕微鏡による観察では、最後に浸漬塗布した磁気ディスク上では、液体の凝集が観察された。この凝集物質にヘッドが接触しクラッシュに至ったと考えられる。この凝集は、浸漬溶液中におけるフォスファゼン化合物と水酸基を含有するフッ素系潤滑剤の組成ずれが原因と考えられる。
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
(付記1)
磁気記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行うための磁気記録変換素子を備えたヘッドスライダであって、当該磁気記録媒体と対向するヘッドスライダ面に、フォスファゼン環を含む化合物が塗布されてなるヘッドスライダ。
(付記2)
前記フォスファゼン環を含む化合物が平均2nm以下の膜厚で塗布されてなる、付記1に記載のヘッドスライダ。
(付記3)
前記フォスファゼン環を含む化合物が、前記ヘッドスライダ面上のうち酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは炭化チタン上に塗布されている、付記1または2に記載のヘッドスライダ。
(付記4)
前記フォスファゼン環を含む化合物が、フッ素を含む構造を含む、付記1〜3のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記5)
前記フッ素を含む構造が、分岐していてもよいフッ素化炭化水素構造または分岐していてもよいフッ素化ポリエーテル構造またはこれらの混合構造である、付記4に記載のヘッドスライダ。
(付記6)
前記ヘッドスライダのフォスファゼン環を含む化合物を塗布した面が活性エネルギー線の照射を受けたものである、付記1〜5のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記7)
前記活性エネルギー線がキセノンエキシマ光線または電子線である、付記7に記載のヘッドスライダ。
(付記8)
前記ヘッドスライダが溶媒で洗浄されたものである、付記1〜7のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記9)
付記1〜8のいずれかに記載のヘッドスライダと磁気記録媒体との組合せ。
(付記10)
前記磁気記録媒体がフッ素系潤滑剤を塗布させたものである、付記9に記載の組合せ。
(付記11)
付記1〜8のいずれかに記載のヘッドスライダを備えた磁気記録装置。
(付記12)
付記9または10に記載の組合せを備えた磁気記録装置。
ハードディスク装置の内部構造を示す模式的平面図である。 ヘッドと、磁気記録媒体との関係を示す模式的横断面図である。
符号の説明
1 磁気記録媒体
2 ヘッドスライダ
3 回転制御機構
4 ヘッドの位置決め機構
5 記録再生信号の処理回路
6 サスペンジョン
7 ジンバル
8 ヘッド
9 ヘッド保護層
11 磁気記録媒体
12 基板
13 Cr下地層
14 磁性層
15 媒体保護層
16 媒体潤滑層

Claims (5)

  1. 磁気記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行うための磁気記録変換素子を備えたヘッドスライダであって、当該磁気記録媒体と対向するヘッドスライダ面に、フォスファゼン環を含む化合物が塗布されてなるヘッドスライダ。
  2. 前記フォスファゼン環を含む化合物が、前記ヘッドスライダ面上のうち酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは炭化チタン上に塗布されている、請求項1に記載のヘッドスライダ。
  3. 前記ヘッドスライダのフォスファゼン環を含む化合物を塗布した面が活性エネルギー線の照射を受けたものである、請求項1または2に記載のヘッドスライダ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のヘッドスライダと磁気記録媒体との組合せ。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のヘッドスライダを備えた磁気記録装置。
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