JP2008057762A - 玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受運転時、軸受幅方向中心に対する保持器の傾きが生じた場合でも、軌道輪に対する保持器の案内面のエッジ当たりを防止し、耐摩耗性を向上する。
【解決手段】保持器20に転動自在に保持された複数の玉30を、一対の軌道輪11,12間に組み込まれてなる玉軸受10において、前記保持器20には、曲面で構成された凸状の案内面21aを有するフランジ部21が、一方の軌道輪12側に突設されており、該フランジ部21は、前記案内面21aが一方の軌道輪12に案内されることにより、保持器20を一方の軌道輪12に案内させる。
【選択図】図2
【解決手段】保持器20に転動自在に保持された複数の玉30を、一対の軌道輪11,12間に組み込まれてなる玉軸受10において、前記保持器20には、曲面で構成された凸状の案内面21aを有するフランジ部21が、一方の軌道輪12側に突設されており、該フランジ部21は、前記案内面21aが一方の軌道輪12に案内されることにより、保持器20を一方の軌道輪12に案内させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、保持器に転動自在に保持された複数の玉を、一対の軌道輪間に組み込まれてなる玉軸受に関し、詳しくは軌道輪案内の保持器において、軌道輪に対する保持器の案内面のエッジ当たりを防止するための保持器の構造に関する。
一般に広く用いられる玉軸受は、外輪及び内輪間に、保持器に転動自在に保持された複数の玉を組み込まれてなる転がり軸受である。近年、軽量化、低騒音化、高速化等の要求に伴って、転がり軸受の保持器として、合成樹脂製のものが多用されている。
その例として、特許文献1及び特許文献2にはそれぞれ、高速域で有効な軌道輪案内の合成樹脂製保持器を用いた玉軸受が開示されている。
図6は、特許文献1で開示されている玉軸受を示す断面図である。
図6を参照すると、玉軸受100を構成する保持器101は、耐熱性を有する合成樹脂製で冠型に構成されており、外径面を外輪102の内径面に近接され、外輪案内により回転自在に支持されている。保持器101は、玉103を保持する各ポケットが熱膨張により拡がった場合でも、外輪102の内径面に案内されて回転し、ラジアル方向の変位を外輪102の内径面によって阻止される。したがって、高速回転、高温環境下で使用される場合でも、保持器101の振動が増大することはない。
図7は、特許文献2で開示されている玉軸受を示す断面図である。
図7を参照すると、玉軸受110は、内外輪111,112間に環状保持器113を組み込まれるとともに、環状保持器113のポケット114に玉115をそれぞれ収納してなる。環状保持器113は、外輪112に案内されており、外輪112に対する径方向隙間(案内隙間)αを、玉115に対するポケット114の内壁面の軸方向隙間(ポケット隙間)β以下(案内隙間α≦ポケット隙間β)に設定されている。なお、図7中、α1+α2=案内隙間αであり、β1+β2=ポケット隙間βである。これにより、環状保持器113は、偏心回転した場合でも、ポケット114の内壁面と玉115との干渉を抑制され、挙動を安定される。
上述した特許文献1及び特許文献2に記載されたような軌道輪(外輪)案内の保持器101,113を用いた玉軸受100,110では、保持器101,113の外周面と外輪102,112との隙間が小さいため、潤滑油が軸受内から排出され難く、良好な潤滑性が得られないという問題があった。また、軸受運転時、軸受幅方向中心に対する保持器101,113の傾きが生じた場合に、保持器101,113の外周面と外輪102,112の軌道面端部との間でエッジロードが発生し、摩擦が大きくなって保持器振動及び保持器音が増大するという問題があった。
そこで、特許文献3には、図8及び図9に示すように、軌道輪(外輪122)案内の保持器123に被案内面126を形成することにより、潤滑性の向上及び保持器振動の低減を図った転がり軸受120が記載されている。
図8は、特許文献3で開示されている転がり軸受を示す断面図であり、図9は、図8の転がり軸受の保持器の要部平面図である。
図8及び図9を参照すると、転がり軸受120は、内外輪121,122間に保持器123を組み込まれるとともに、保持器123のポケット124に複数の玉125をそれぞれ収容保持してなる。保持器123は、外径側に形成された被案内面126を、外輪122の内周面における幅W1の軌道面122aから外れた案内面122bに近接されて案内される。
保持器123の被案内面126には、外輪122の案内面122bに近接される被案内部127、周方向凹部128及び凹状スキャロップ溝129が設けられる。
周方向凹部128は、軸方向に幅W2を以って周方向に沿って形成されており、周方向凹部128の幅W2は、外輪122の軌道面122aの幅W1より大きい。これにより、被案内部127は、軸受運転時、外輪122の軌道面122aの端部122cとは接触せず、エッジロードの発生が抑制され、磨耗が低減されるとともに、保持器振動が抑制され、保持器音が防止される。
凹状スキャロップ溝129は、被案内部127に周方向に沿って形成され、周方向凹部128を保持器端面123aに連通させる。凹状スキャロップ溝129は、遠心力により外輪122側に移動した余分な油を軸受外部に排出し、短時間で低トルクとするとともに、トルク変動を抑制する。これにより、保持器振動が抑制される。
特開2002―295480号公報(第4頁、第1図)
特開2002―235750号公報(第3頁、第1図)
特開2005―90657号公報(第4〜6頁、第1図)
上述した特許文献3に記載の転がり軸受120では、保持器123の周方向凹部128の幅W2が、外輪122の軌道面122aの幅W1より大きいことにより、軸受運転時、軸受幅方向中心に対する保持器123の傾きが生じた場合でも、保持器123の被案内部127が、外輪122の軌道面122aの端部122cとは接触せず、当該部位におけるエッジロードの発生が抑制される。
しかし、保持器123が軸受幅方向中心に対して傾いた状態では、保持器123の被案内部127は、外輪122の軌道面122aの端部122cとは接触しないものの、外輪122の案内面122bに対してエッジ当たりしてしまうという問題があった。そして、エッジ当たりにより、磨耗が著しく進行してしまい、耐久性が大幅に低下してしまうという問題があった。
また、保持器123の被案内部127は、平面で構成されており、特に潤滑油の供給量が少ない場合には、外輪122の案内面122bとの間で潤滑不足に陥り易く、磨耗を生じてしまうという問題もあった。
また、保持器123の被案内部127は、平面で構成されており、特に潤滑油の供給量が少ない場合には、外輪122の案内面122bとの間で潤滑不足に陥り易く、磨耗を生じてしまうという問題もあった。
ここで、図10及び図11には、上述した特許文献3に記載の保持器123と同一構造の保持器を組み込まれた従来の玉軸受を示す。
すなわち、図10及び図11を参照すると、玉軸受130の保持器131は、軸受幅方向中心に対して傾いた状態(図10に示す状態→図11に示す状態)では、フランジ部132の案内面132aを外輪133の内周面にエッジ当たり(図11中、楕円D内参照)してしまう。
すなわち、図10及び図11を参照すると、玉軸受130の保持器131は、軸受幅方向中心に対して傾いた状態(図10に示す状態→図11に示す状態)では、フランジ部132の案内面132aを外輪133の内周面にエッジ当たり(図11中、楕円D内参照)してしまう。
また、図10及び図11に示す保持器131は、外輪133に対して軸方向両側で案内されるが、図12〜図14には、外輪に対して軸方向片側で案内される保持器の例を示す。
すなわち、図12〜図14を参照すると、玉軸受140の保持器141は、外輪142の内周面に近接される案内面143aを有するフランジ部143を、図12中の右側のみに形成されており、外輪142に軸方向片側(図12中、右側)で案内される。
すなわち、図12〜図14を参照すると、玉軸受140の保持器141は、外輪142の内周面に近接される案内面143aを有するフランジ部143を、図12中の右側のみに形成されており、外輪142に軸方向片側(図12中、右側)で案内される。
このような玉軸受140においても、上述した特許文献3に記載の図8及び図9に示す転がり軸受120の保持器123、図10及び図11に示す玉軸受130の保持器131と同様に、外輪142の内周面に対するフランジ部143の案内面143aのエッジ当たり(図14に示す状態)、及びフランジ部143の案内面143aと外輪142の内周面との間での潤滑不足を生じてしまうという問題があった。
特に、近年の自動車等においては、回転部分の高速化が進んでおり、回転部分に使用される軸受の回転数も高くなっているため、上述した問題が顕在化しつつある。
本発明は、軸受運転時、保持器の公転に伴って軸受幅方向中心に対する保持器の傾きが生じた場合でも、軌道輪に対する保持器のフランジ部の案内面のエッジ当たりを防止することができ、耐摩耗性を向上することができる玉軸受を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 保持器に転動自在に保持された複数の玉を、一対の軌道輪間に組み込まれてなる玉軸受において、
前記保持器には、曲面で構成された凸状の案内面を有するフランジ部が、一方の軌道輪側に突設されており、該フランジ部は、前記案内面が一方の軌道輪に案内されることにより、保持器を一方の軌道輪に案内させることを特徴とする玉軸受。
前記保持器には、曲面で構成された凸状の案内面を有するフランジ部が、一方の軌道輪側に突設されており、該フランジ部は、前記案内面が一方の軌道輪に案内されることにより、保持器を一方の軌道輪に案内させることを特徴とする玉軸受。
(2) 前記保持器は、合成樹脂製であることを特徴とする前記(1)記載の玉軸受。
前記(1)記載の玉軸受では、保持器のフランジ部の案内面が、曲面で構成された凸状であるので、軸受運転時、保持器の公転に伴ってフランジ部の案内面が一方の軌道輪との間に摩擦を生じた際、保持器と玉との間及び保持器と軌道輪との間の隙間に起因して、軸受幅方向中心に対する保持器の傾きが生じた場合でも、一方の軌道輪に対するフランジ部の案内面のエッジ当たりが防止される。また、保持器のフランジ部と一方の軌道輪との隙間が増大され、潤滑油が軸受内部に浸入し易くなる。
前記(2)記載の玉軸受では、保持器の材質が合成樹脂であるので、低摩擦化が図られるとともに、質量が低減され、保持器に調芯作用が生じる。調芯作用により、保持器が振れ回った場合でも、案内面と軌道輪との接触に伴う衝撃力が低減される。また、磨耗進行に伴う熱処理硬化層剥離に起因する破損が防止され、磨耗による2次的損傷が防止される。
合成樹脂材料としては、低摩擦、自己潤滑性、強度、耐熱性を考慮し、例えばポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール、ポリブチレン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エコノールが好適に用いられるが、これらに限定されない。
本発明の玉軸受によれば、軸受運転時、保持器の公転に伴って軸受幅方向中心に対する保持器の傾きが生じた場合でも、軌道輪に対する保持器の案内面のエッジ当たりを防止することができ、耐摩耗性を向上することができる。
本発明により得られる玉軸受は、自動車、産業機械等に用いられ、特に自動車用トランスミッションの回転部分支持用として、高耐久性を要求される場合に好適に用いられる。
本発明により得られる玉軸受は、自動車、産業機械等に用いられ、特に自動車用トランスミッションの回転部分支持用として、高耐久性を要求される場合に好適に用いられる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である玉軸受を示す断面図であリ、図2は、図1の玉軸受の要部拡大断面図である。また、図3は、図2に示す状態から、軸受幅方向中心に対する保持器の傾きが生じた状態を示す要部拡大断面図である。
図1は、本発明の第1実施形態である玉軸受を示す断面図であリ、図2は、図1の玉軸受の要部拡大断面図である。また、図3は、図2に示す状態から、軸受幅方向中心に対する保持器の傾きが生じた状態を示す要部拡大断面図である。
図1〜図3を参照すると、玉軸受10は、内輪11の外周面に形成された内輪軌道面11a及び外輪12の内周面に形成された外輪軌道面12a間に、保持器20に転動自在に保持された複数の玉13を、周方向に所定の間隔をあけて組み込まれてなる。
保持器20は、合成樹脂製であり、軸方向片側(図1中、右側)で軌道輪案内される。すなわち、保持器20の外周面における図1中の右端部には、フランジ部21が、外輪12側に突設される。フランジ部21は、曲面で構成された凸状(本実施形態では半円形断面形状)の案内面21aを、外輪12の内周面12bに案内されることにより、保持器20を外輪12に案内する。
保持器20のフランジ部21の案内面21aは、半円形断面形状であることにより、軸受10運転時、保持器20の公転に伴ってフランジ部21の案内面21aが外輪12の内周面12bとの間に摩擦を生じた際、保持器20と玉13との間及び保持器20と内外輪11,12との間の隙間に起因して、図3に示すように、軸受幅方向中心に対する保持器20の傾きが生じた場合でも、外輪12の内周面12bに対するフランジ部21の案内面21aのエッジ当たりを防止する。
また、保持器20のフランジ部21の半球面形状の案内面21aは、外輪12の内周面12bとの隙間を図2に示すように増大させ、図2中の矢印Aで浸入経路を示すように、潤滑油を軸受10内部に浸入し易くする。
図4は、本発明の第2実施形態である玉軸受を示す断面図である。また、図5は、図4の玉軸受において、軸受幅方向中心に対する保持器の傾きが生じた状態を示す断面図であり、(a)は軸受幅方向中心に対して左側に、(b)は軸受幅方向中心に対して右側にそれぞれ傾きが生じた状態を示す。
図4及び図5を参照すると、玉軸受30において、保持器40は、軸方向両側(図4中、左右両側)で軌道輪案内される。すなわち、保持器40の外周面における図4中の左右両端部にはそれぞれ、フランジ部41が、外輪31側に突設される。各フランジ部41はそれぞれ、半円形断面形状に形成された案内面41aを、外輪31の内周面31aに案内されることにより、保持器40を外輪31に案内する。
各フランジ部41の案内面41aがそれぞれ、半円形断面形状に形成されることにより、軸受幅方向中心に対する保持器40の傾きが生じた場合、すなわち図5(a)に示すように保持器40が軸受幅方向中心に対して左側に傾いた場合、及び図5(b)に示すように保持器40が軸受幅方向中心に対して右側に傾いた場合のいずれでも、外輪31の内周面31aに対するフランジ部41の案内面41aのエッジ当たりが防止される(図5(a)中の楕円B内、図5(b)中の楕円C内参照)。
その他の構成及び作用については、上記第1実施形態と同様である。
その他の構成及び作用については、上記第1実施形態と同様である。
以上のように上記各実施形態によれば、玉軸受10,30において、保持器20,40のフランジ部21,41の案内面21a,41aが、半円形断面状に形成される。
したがって、軸受10,30運転時、保持器20,40の公転に伴ってフランジ部21,41の案内面21a,41aが外輪12,31との間に摩擦を生じた際、保持器20,40と玉13との間及び保持器20,40と内外輪11,12,31との間の隙間に起因して、軸受幅方向中心に対する保持器20,40の傾きが生じた場合でも、外輪12,31の内周面に対する保持器20,40のフランジ部21,41の案内面21a,41aのエッジ当たりを防止することができる。これにより、保持器20,40及び外輪12,31の耐摩耗性を向上することができ、高い軸受耐久性を確保することができる。
したがって、軸受10,30運転時、保持器20,40の公転に伴ってフランジ部21,41の案内面21a,41aが外輪12,31との間に摩擦を生じた際、保持器20,40と玉13との間及び保持器20,40と内外輪11,12,31との間の隙間に起因して、軸受幅方向中心に対する保持器20,40の傾きが生じた場合でも、外輪12,31の内周面に対する保持器20,40のフランジ部21,41の案内面21a,41aのエッジ当たりを防止することができる。これにより、保持器20,40及び外輪12,31の耐摩耗性を向上することができ、高い軸受耐久性を確保することができる。
また、保持器20,40のフランジ部21,41と外輪12,31の内周面12b,31aとの間の隙間を増大させることができ、潤滑油を図2中の矢印Aで示すような経路から軸受10,30内部に浸入し易くすることができる。これにより、軸受10,30内部への潤滑油の供給量を増大することができ、低摩擦化を図ることができる。
なお、上記各実施形態では、保持器20,40のフランジ部21,41の案内面21a,41aが、半円形断面形状に形成されるが、これに限らず、曲面で構成された凸状であればよく、例えば曲率の異なる複数の曲面の組み合わせで案内面を構成することもできる。
10 玉軸受
11 内輪
11a 内輪軌道面
12 外輪
12a 外輪軌道面
12b 内周面
13 玉
20 保持器
21 フランジ部
21a 案内面
11 内輪
11a 内輪軌道面
12 外輪
12a 外輪軌道面
12b 内周面
13 玉
20 保持器
21 フランジ部
21a 案内面
Claims (2)
- 保持器に転動自在に保持された複数の玉を、一対の軌道輪間に組み込まれてなる玉軸受において、
前記保持器には、曲面で構成された凸状の案内面を有するフランジ部が、一方の軌道輪側に突設されており、該フランジ部は、前記案内面が一方の軌道輪に案内されることにより、保持器を一方の軌道輪に案内させることを特徴とする玉軸受。 - 前記保持器は、合成樹脂製であることを特徴とする請求項1記載の玉軸受。
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