JP2008039576A - 振動型ジャイロセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】リフロー実装時におけるセンサ内部の応力変化を原因とする振動素子の出力特性の変動を抑制することができる振動型ジャイロセンサを提供する。
【解決手段】本発明に係る振動型ジャイロセンサ10は、支持基板2を介して振動素子1(1X,1Y)を中継基板4上に実装するように構成することで、はんだ接合により中継基板4上に実装される回路部品7,8の実装面から振動素子1を独立させ、集合基板9へのセンサ10のリフロー実装時における中継基板4の応力分布の変動から振動素子1の振動特性の変化を防ぐようにしている。これにより、集合基板9に対する振動型ジャイロセンサ10の実装前後における振動素子1の振動特性の変化を抑制でき、実装前に設定した振動素子1の電気的特性を安定に維持することが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る振動型ジャイロセンサ10は、支持基板2を介して振動素子1(1X,1Y)を中継基板4上に実装するように構成することで、はんだ接合により中継基板4上に実装される回路部品7,8の実装面から振動素子1を独立させ、集合基板9へのセンサ10のリフロー実装時における中継基板4の応力分布の変動から振動素子1の振動特性の変化を防ぐようにしている。これにより、集合基板9に対する振動型ジャイロセンサ10の実装前後における振動素子1の振動特性の変化を抑制でき、実装前に設定した振動素子1の電気的特性を安定に維持することが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、ビデオカメラの手振れ検知やバーチャルリアリティ装置における動作検知、カーナビゲーションシステムにおける方向検知などに用いられる振動型ジャイロセンサに関する。
従来より、民生用の角速度センサとしては、片持ち梁の振動子を所定の共振周波数で振動させておき、角速度の影響によって生じるコリオリ力を圧電素子などで検出することによって角速度を検出する、いわゆる振動型のジャイロセンサ(以下「振動型ジャイロセンサ」という。)が広く用いられている。
振動型ジャイロセンサは、単純な機構、短い起動時間、安価で製造可能といった利点を有しており、例えば、ビデオカメラ、バーチャルリアリティ装置、カーナビゲーションシステムなどの電子機器に搭載され、それぞれ手振れ検知、動作検知、方向検知などをする際のセンサとして活用されている。
振動型ジャイロセンサは、搭載される電子機器の小型化、高性能化に伴い、小型化、高性能化が要求されている。例えば、電子機器の多機能化のため、他の用途で用いる各種センサと組み合わせて、振動型ジャイロセンサを集合基板上に搭載し小型化を図るといった要請がある。この小型化を図る上で、シリコン(Si)基板を用い、半導体で用いられる薄膜プロセスとフォトリソグラフィ技術を用いて振動素子を形成する、MEMS(Micro-Electro-Mechanical System)と呼ばれる技術を用いることが一般的となってきている(例えば下記特許文献1参照)。
そして、振動型ジャイロセンサは、上記振動素子とともに、この振動素子を駆動する回路部品(ICチップ、受動部品等)を、外部接続端子を備えた基板上に実装することで、一つのセンサモジュールとして構成することができる。上記回路部品は、例えば、はんだ接合により基板上に実装される。
さて、上述した構成の振動型ジャイロセンサは、電子機器に組み込まれる際、他のセンサ部品等とともに集合基板上に一括実装される。実装方法は、リフロー炉を用いたはんだ接合で行うことができる。
このとき、はんだのリフロー温度(例えば250℃前後)の熱がモジュール内部に加えられるため、モジュールの内部の温度もリフロー温度にまで上昇し、モジュール内部の回路部品のはんだ接合部が溶融し再凝固する可能性がある。これら回路部品のはんだ接合部の溶融・再凝固が発生すると、センサモジュールが集合基板上へ実装される前の状態と比較して、振動素子及び回路部品等を支持する基板の面内応力分布に変化を生じさせることになる。この結果、特に振動素子においては、応力変化による歪みの影響を受けて機械的特性あるいは振動特性が変化し、モジュール完成時に個々に設定した電気的特性が大きく変動してしまう可能性がある。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、リフロー実装時におけるセンサ内部の応力変化を原因とする振動素子の出力特性の変動を抑制することができる振動型ジャイロセンサを提供することを課題とする。
以上の課題を解決するに当たり、本発明の振動型ジャイロセンサは、角速度を検出する振動素子と、この振動素子を駆動するための回路部品と、振動素子と電気的に接続され当該振動素子を支持する支持基板と、支持基板と電気的に接続され外部接続端子を有する中継基板とを備え、振動素子は、支持基板に対して、非はんだ接合により実装されており、回路部品の少なくとも一部は、中継基板に対して、はんだ接合により実装されていることを特徴とする。
本発明に係る振動型ジャイロセンサにおいては、支持基板を介して振動素子を中継基板上に実装するように構成することで、はんだ接合により中継基板上に実装される回路部品の実装面から振動素子を独立させ、センサのリフロー実装時における中継基板の応力分布の変動から振動素子の振動特性の変化を防ぐようにしている。これにより、集合基板に対する振動型ジャイロセンサの実装前後における振動素子の振動特性の変化を抑制でき、実装前に設定した振動素子の電気的特性を安定に維持することが可能となる。
本発明において、振動素子は、支持基板に対して金属バンプを介した超音波接合によって実装される。これにより、振動素子の機械的品質係数(Q値)を高くでき、角速度の優れた検出特性を得ることができる。
また、中継基板に対する支持基板の実装形態としては、センサのリフロー実装時における支持基板の応力分布の変動を防ぐため、非はんだ接合であることが好ましい。例えば、支持基板は、中継基板に対して金属バンプを介しての超音波接合により実装することができる。また、支持基板の実装面と中継基板の実装面とを対向配置させ、両者間を比較的剛性の高いセンサ側壁部で接続する構成も採用可能である。センサ側壁部としては、中継基板の周縁に沿って立設させた枠状の支持部材を用いることができ、この支持部材の内壁面に沿って電気配線層を形成することで支持基板と中継基板との電気的接続を図ることができる。
以上述べたように、本発明によれば、集合基板に対する振動型ジャイロセンサの実装前後における振動素子の振動特性の変化を抑制でき、実装前に設定した振動素子の電気的特性を安定に維持することが可能となる。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による振動型ジャイロセンサ10の構成を概略的に示す側断面図である。図2は、振動型ジャイロセンサ10の内部構成を概略的に示す中継基板4の平面図である。
本実施形態の振動型ジャイロセンサ10は、図1に示すように、一対の振動素子1X,1Yと、これらの振動素子1X,1Yを支持する支持基板2と、支持基板2と電気的に接続され外部接続端子3を有する中継基板4とを備えている。
本実施形態の振動型ジャイロセンサ10は、例えばビデオカメラに搭載されて手振れ補正機構を構成する。また、振動型ジャイロセンサ10は、例えばバーチャルリアリティ装置に用いられて動作検知器を構成したり、カーナビゲーションシステムに用いられて方向検知器を構成する。
支持基板2は、例えば、セラミックス基板やガラス基板等で構成されている。支持基板2の一方の主面(図1において下面)は、後述する振動素子1X,1Yが実装される複数個のランドを含む配線パターンが形成された部品実装面2Aとされている。部品実装面2Aには、一対の振動素子1X,1Y(以下、個別に説明する場合を除いて振動素子1と総称する)のみが実装されている。
振動素子1は複数の金属バンプ13を備えており、支持基板2の部品実装面2Aに金属バンプ13を介しての超音波接合により実装されている。これにより、振動素子1の機械的品質係数(Q値)を高くでき、角速度の優れた検出特性を得ることができる。なお、金属バンプ13は、例えば金のスタッドバンプで構成されているが、めっきバンプ等で構成されていてもよい。
中継基板4は、例えば、ガラスエポキシ材料を基板とする有機系多層配線基板で構成されている。中継基板4の一方の面(図1において下面)4Aには複数の外部接続端子3が配列されている。外部接続端子3は、例えば、はんだバンプで構成されている。振動型ジャイロセンサ10は、これら外部接続端子3を介して外部の集合基板(制御基板)9に対して電気的・機械的に接続されている。
ここで、集合基板4は、振動型ジャイロセンサ10に対する入出力配線が形成された配線基板であり、デジタルカメラ等の電子機器に搭載される。この集合基板9には、振動型ジャイロセンサ10だけでなく、図示せずとも他の電気・電子部品が実装されている。集合基板9上の各種部品は、例えばリフロー炉に装填されることで一括的にはんだ付けされる。
中継基板4の他方の面(図1において上面)4Bは、支持基板2を支持するとともに、振動素子1を駆動するためのICチップ7、多数個のセラミックコンデンサ等の適宜の電子部品8からなる回路部品が実装される部品実装面とされている。本実施形態では、すべての回路部品が、中継基板4の部品実装面4Bに対して、はんだ接続により実装されている。
中継基板4には、部品実装面4Bの周囲に沿って立設された枠状の支持部材5が取り付けられており、この支持部材5を介して支持基板2が中継基板4の上に固定されている。支持基板2の部品実装面2Aは、中継基板4の部品実装面4Bと対向配置されており、支持部材5の高さ方向(Z方向)の寸法内において、振動素子1及び回路部品7,8を収容するセンサ内部空間を構成している。
そして、支持部材5の内壁面には、支持基板2の部品実装面2Aと中継基板4の部品実装面4Bとの間を電気的に接続する配線パターン6が形成されており、振動素子1は、この配線パターン6を介して中継基板4の配線層及び外部接続端子3に電気的に接続されている。支持基板2と支持部材5との間および中継基板4と支持部材5との間の各々の電気的接続部は、例えば、導電性接着剤によってそれぞれ接合されている。中継基板4と支持部材5は、互いに独立した部材で構成される場合に限られず、一体的に構成されていてもよい。なお、支持基板2は、支持部材5と共に振動型ジャイロセンサ10の内部を外部から遮蔽するカバーとして機能する。
次に、振動素子1の構成について説明する。
振動素子1は、支持基板2に支持される台座11と、この台座11の一側周部から一体的に突出形成された片持ち梁形状の振動子12とからなる。各振動素子1X,1Yは、互いに同一の構成を有するとともに、その振動子12をそれぞれ異なる方向に向けて実装され、本実施形態では、各々の振動子12が互いに直交するように配置されている。即ち、一方の振動素子1Xは振動子12の軸方向をX軸方向に向けて配置されており、他方の振動素子1Yは振動子12の軸方向をY軸方向に向けて配置されている。
図4は、振動素子1の構成を概略的に示す裏面図である。振動素子1は、シリコン単結晶からなり、一枚のシリコンウェーハから多数個同時に製造された後、図示する素子形状に切り出される。図4に示すように、支持基板2の部品実装面2Aに対向する振動素子1の基板対向面1Aには、基準電極層14、圧電体薄膜層15、駆動電極16、左右の検出電極17L,17R、リード配線部18a,18b,18c,18dなどがそれぞれ形成されている。
基準電極層14は、振動子12のほぼ全領域と台座11の一部領域とに形成されており、例えば、Ti(チタン)とPt(白金)のスパッタ積層膜で構成されている。圧電体薄膜層15は、基準電極層14の形成領域のほぼ全域に形成されており、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)のスパッタ膜で構成されている。駆動電極16及び左右の検出電極17L,17Rは、圧電体薄膜層15の上に形成された例えばPt(白金)スパッタ膜のパターン加工体からなる。
駆動電極16は、振動子12の中央部に軸方向に沿って形成されており、左右の検出電極17L,17Rは駆動電極16を挟むように所定の間隔をあけて形成されている。リード配線部18a〜18dは、それぞれ台座11の上にパターン形成された例えばTiとCu(銅)の積層膜からなるもので、基準電極層14、駆動電極16及び左右の検出電極17L,17Rと各バンプ13との間を電気的に接続している。
基準電極層14には所定の基準電位(例えばグランド電位)に接続され、駆動電極16にはIC回路素子7から所定電圧の駆動交流電圧が印加される。これにより、基準電極層14と駆動電極16との間に挟まれた圧電体薄膜層15の逆圧電効果によって振動子12が振動する。このとき、検出電極17L,17Rは、振動子12の振動に伴って、圧電体薄膜層15の圧電効果によって発生する電圧値を検出しIC回路素子7へ供給する。振動子12のまわりに角速度が生じていない場合、両検出電極17L,17Rからの出力は同等又はほぼ同等である。
一方、振動子12の長手方向のまわりに角速度が生じると、コリオリ力により振動子12の振動方向が変化する。この場合、検出電極17L,17Rの一方の出力は増加し、他方の出力は減少する。何れか一方の出力あるいは両方の出力の変化量をIC回路素子7により検出測定して、振動子12の長手方向のまわりの入力角速度を検出する。本実施形態では、振動素子1X,1Yの各々の振動子12がそれぞれX軸方向及びY軸方向に向けて配置されているので、この振動型ジャイロセンサ10によって、X軸まわりの角速度とY軸まわりの角速度とが同時に検出されることになる。
以上のように構成される本実施形態の振動型ジャイロセンサ10においては、支持基板2を介して振動素子1を中継基板4上に実装するように構成しているので、はんだ接合により中継基板4上に実装される回路部品7,8の実装面から振動素子1を独立させ、この振動型ジャイロセンサ10の集合基板9へのリフロー実装時における中継基板4の応力分布の変動から振動素子1の振動特性の変化を防ぐことができる。これにより、集合基板9に対する振動型ジャイロセンサ10の実装前後における振動素子1の振動特性の変化を抑制でき、実装前に設定した振動素子1の電気的特性を安定に維持することが可能となる。
次に、本実施形態の振動型ジャイロセンサ10の作用効果を、図4に示す構造の振動型ジャイロセンサ10Rと比較して説明する。ここで、図4は、振動素子1を支持する支持基板2を直接、集合基板9へ実装した振動型ジャイロセンサ10Rの構成を示している。なお、図4において図1と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、図4において参照符号19は、センサ内部を覆う金属製のカバー(キャップ)である。
図4に示した構成の振動型ジャイロセンサ10Rにおいては、振動素子1及び回路部品が支持基板2上に共通に実装されており、振動素子1以外の部品がはんだ接合により実装されている。このため、この振動型ジャイロセンサ10Rを集合基板9上へリフロー実装する場合、支持基板2上の回路部品7のはんだ接合部が溶解し再凝固することがあり、支持基板2の応力分布が変化する。その結果、同じ支持基板2上に実装されている振動素子1の振動特性に変化をもたらす可能性が高くなる。
図5Aは、上記構成の振動型ジャイロセンサ10Rについて行ったリフロー処理の回数と振動素子1のオフセット電圧(V0)との関係を示している。オフセット電圧V0は、振動素子1の駆動電極16に印加する駆動電圧であって、基準電極層14に接続される基準電位との電位差を意味する。設定初期のオフセット電圧V0は、1.35Vである。また、このときの左右の検出信号(検出電極17L,17Rからの出力)の差分(Null)を図5Bに示す。
図5Aに示したように、リフロー処理が行われる毎にオフセット電圧が大きく変動し、変動の様子も一様ではないことがわかる。これは、リフロー処理におけるはんだ接合部の溶解・再凝固によって支持基板2に歪みが発生し、この歪みが振動素子1に伝播して振動子12の振動モードを変化させたり、圧電体薄膜層15の変形を誘発して設定オフセット電圧を変動させることが原因であると考えられる。また、はんだ材料の種類にもよるが、一般にリフローはんだ付けでは250℃程度に基板が加熱される。支持基板2が集合基板9上へ直接実装される場合、支持基板2と集合基板9との間の熱膨張率差による影響で支持基板2に歪みが発生し易いことも影響していると考えられる。
また、左右の検出信号差は、ジャイロセンサ製造時に支持基板2上に実装した振動素子1に対して所定の処理を施すことで予め調整される。しかし、図5Bに示すように、左右の検出信号の差分もリフロー処理を行うことによって大きく変動する様子がわかる。
以上より、図4に示した構成の振動型ジャイロセンサ10Rにおいては、集合基板9への実装の前後で振動素子1の振動特性が大きく変化してしまい、目的とする性能が得られなくなるおそれがある。
これに対して、図6A,Bは、図1に示した本実施形態の振動型ジャイロセンサ10について、図5A,Bと同様のリフロー回数−オフセット電圧特性及び左右検出信号差特性の測定結果を示している。図6Aに示すように、本実施形態の振動型ジャイロセンサ10によれば、リフロー回数に関係なく、オフセット電圧V0及び左右検出信号差(Null)の変動はほとんど認められないことが確認できる。
従って、図1に示した構成の本実施形態の振動型ジャイロセンサ10においては、集合基板9に対する振動型ジャイロセンサ10の実装前後における振動素子1の振動特性の変化を抑制でき、実装前に設定した振動素子1の電気的特性を安定に維持することが可能となる。
次に、以上のように構成される本実施形態の振動型ジャイロセンサ10における支持基板2の振動対策について説明する。
図7に示すように、振動素子1は、基台11と、基台11に片持ち梁形式で支持された振動子12とからなり、台座11はバンプ13を介して支持基板2に実装されている。台座11は振動子12の振動を支持する台座として機能するが、振動子12の振動に伴って台座11も振動し、この台座11の振動がバンプ13を介して支持基板2にも伝達される。そして、この振動が集合基板9にまで伝達されると、振動素子1の出力信号に対するノイズという形で問題が顕在化する場合がある。
図8は、図4に示した構成の振動型ジャイロセンサ10Rについて、集合基板9の振動量(振動振幅)と近接ノイズとの関係を測定した一実験結果である。実験に用いた集合基板は、縦5cm、横5cm、厚さ2mmのガラスエポキシ基板である。近接ノイズは、ジャイロセンサの直上1cmの高さでアルミニウム製の板を揺動させ、この板がセンサを遮蔽したときのセンサ出力に含まれるノイズを1000倍に増幅したものである。この実験例に用いたセンサの仕様では、ノイズの許容値が50mV以下である。
図8の結果より、集合基板の振動量が15nmを超えると、急激にノイズ量が増加していることが確認できる。この集合基板の振動とノイズ量の関係に関しての詳細は不明であるが、集合基板自体がスピーカの振動板のような働きをなし、外部に対して発振した空気振動がアルミニウム板にはね返り、それが集合基板へ到達し、最終的に振動素子にまでその振動が伝達され、ノイズとなって現れるものと考えられる。
図9は、上記実験サンプルにおける振動素子の台座の振動量と、集合基板の振動量との関係を示している。図9より、これらの関係は、振動子台座の振動量に対してほぼリニアに集合基板の振動量も増加していることが確認できる。先の図8と組み合わせて考慮すると、近接ノイズを50mV以下に抑えるるためには、振動子台座の振動量を25nm以下にする必要があることがわかる。
本発明者は、台座11の振動の大きさをバンプ13の位置によって制御できることを見出した。図10Aに示すように、まず、振動素子1の台座11の前後方向(振動子12の延在方向)中心部をMとし、この中心部Mから振動子12が位置する側の領域を前部領域11F、その反対側を11Bとそれぞれ規定する。更に、各領域について前後方向(図10Aにおいて上下方向)に等分に3つの小領域を区画し、それぞれの小領域をFF、FM、FB、及びBF、BM、BBとそれぞれ規定した。そして、バンプ13の中心位置が上記各小領域のいずれに位置するかで台座11の振動振幅を測定したところ、図10B及び図10Cに示すような結果が得られた。測定条件は、バンプ13の個数を4つとし、前後(上下)各々の2バンプをそれぞれ同一の小領域に配置した。
図10Bの結果から、前方の2バンプ(上バンプ)については、振動子12に最も近い領域FFへの配置例が台座振動が最も小さく、振動子12から最も離れた領域FBへの配置例が台座振動が最も大きいことがわかった。また、図10Cの結果から、後方の2バンプが最も小さく、振動子12に最も近い領域BFへの配置例が台座振動が最も大きいことがわかった。
なお、図10Bにおいて、領域FF及び領域FBには各々2つのデータプロットが示されているが、これらは下バンプのバンプ位置が領域BFに位置するときと領域BBに位置するときとを示しており、領域FFに関して、台座振動量が大きい方は下バンプが領域BFに位置するとき、台座振動量が小さい方は下バンプが領域BBに位置するときに相当する。同様に、領域FBに関して、台座振動量が大きい方は下バンプが領域BBに位置するとき、台座振動量が小さい方は下バンプが領域BFに位置するときに相当する。
一方、図10Cにおいても同様に、領域BF及び領域BBには各々2つのデータプロットが示されているが、これらは上バンプのバンプ位置が領域FFに位置するときと領域FBに位置するときとを示しており、領域BFに関して、台座振動量が大きい方は上バンプが領域FBに位置するとき、台座振動量が小さい方は上バンプが領域FFに位置するときに相当する。同様に、領域BBに関して、台座振動量が大きい方は上バンプが領域FBに位置するとき、台座振動量が小さい方は上バンプが領域FFに位置するときに相当する。
以上の結果から、台座11に設けられるバンプ13の配置個所としては、前方の2バンプを振動子12にできるだけ接近させて配置するとともに、後方の2バンプを振動子12からできるだけ離間させた位置に配置することで、支持基板2への振動伝達を最小限に抑えられることになる。好適には、台座11の前後方向の全長に対して、台座11の前方端部及び後方端部から30%以内の領域(以下「バンプ配置領域」という。)にそれぞれバンプ13を配置するようにする。上記バンプ配置領域は、台座11を振動子12の延在方向に沿って等分に区画した3つの領域(FFとFMが属する領域、FBとBFが属する領域、BMとBBが属する領域)のうち、振動子12に最も近い領域(FFとFMが属する領域)と、振動子12から最も離れた領域(BMとBBが属する領域)とに該当する。なお、各バンプは前後2つずつ共通のバンプ配置領域に配置される例に限らず、少なくとも1個のバンプ、あるいは別途形成したダミーバンプが、各バンプ配置領域に配置されていればよい。
そして、図11は、振動子の根元近傍の台座の振動量とジャイロセンサのオフセット電圧の変動量との関係を示したもので、特に、基準オフセット電圧(1.35V)からのズレ量を示している。横軸の振動量は、振動子の根元部位と、この根元部位に近いバンプ位置との距離を異ならせて変化させたもので、バンプ位置が振動子根元部位から遠ざかるに従って、根元部位の振動量が増加する関係にある。
図11の結果より、振動子の根元近傍の台座の振動量が増加すると、基準オフセット電圧から離れてしまう。これは、金バンプ(バンプ13)が振動子の根元近傍から遠ざかるに従い、根元近傍の台座の振動量が増加し、振動子の拘束状態が曖昧になり、左右の検出信号のバランスが崩れてしまうために起きている現象である。このようなオフセット電圧のズレの観点から見ても、バンプ位置を適切に設定することによって、振動子台座の不要な振動を抑え、電気的特性の安定化を図ることができるようになる。
以上のようなバンプ13の形成位置の検討結果を踏まえて図1に示した本実施形態の振動型ジャイロセンサ10における振動素子1を構成することにより、振動素子1の振動が支持基板2に伝達されることを効果的に抑制することが可能となる。これにより、近接ノイズの低減とオフセット電圧の変動が抑えられ、かつ電気的特性に優れた振動型ジャイロセンサ10を得ることができる。
(第2の実施形態)
図12及び図13は本発明の第2の実施形態による振動型ジャイロセンサ20の概略構成を示しており、図12は振動型ジャイロセンサ20の側断面図、図13は中継基板4の平面図である。なお、各図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
図12及び図13は本発明の第2の実施形態による振動型ジャイロセンサ20の概略構成を示しており、図12は振動型ジャイロセンサ20の側断面図、図13は中継基板4の平面図である。なお、各図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
本実施形態の振動型ジャイロセンサ20は、振動素子1(1X,1Y)を支持する支持基板22が、中継基板4の部品実装面4Bに対して、バンプ(例えば金のスタッドバンプ等からなる金属バンプ)23を介しての超音波接合により実装されている点で、上述の第1の実施形態における振動型ジャイロセンサ10の構成と異なっている。支持基板22には、一対の振動素子1X,1Yのみが、バンプ13を介しての超音波接合により実装されている。
なお、図12において参照符号21は、中継基板4の周縁に沿って立設された支持部材5の上端部の接合されたカバーであり、センサ20内部を外部から遮蔽する機能を有している。なお、支持部材5とカバー21とは各々別部材で構成される場合に限られず、一体的に構成されていても構わない。
以上のような構成の本実施形態の振動型ジャイロセンサ20においても、第1の実施形態の振動型ジャイロセンサ10と同様に、振動素子1の実装面を回路部品7,8の実装面から独立させることができるので、集合基板9に対するリフローはんだ付け時における回路部品7,8のはんだ接合部の溶融・再凝固に伴う中継基板4の応力分布の変動から、振動素子1の振動特性あるいは電気的特性の変化を防止することが可能となる。
特に、支持基板22が中継基板4に対してバンプ23を介しての超音波接合により実装されているので、当該振動型ジャイロセンサ20の集合基板9へのリフロー実装時において、支持基板22の実装面の応力分布の変動を効果的に抑えることができ、振動素子の振動特性の更なる安定化を図ることが可能となる。
(第3の実施形態)
図14及び図15は本発明の第3の実施形態による振動型ジャイロセンサ30の概略構成を示しており、図14は振動型ジャイロセンサ30の側断面図、図15は中継基板4の平面図である。なお、各図において上述の第2の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
図14及び図15は本発明の第3の実施形態による振動型ジャイロセンサ30の概略構成を示しており、図14は振動型ジャイロセンサ30の側断面図、図15は中継基板4の平面図である。なお、各図において上述の第2の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
本実施形態の振動型ジャイロセンサ30は、振動素子1(1X,1Y)を支持する支持基板32が、中継基板4の部品実装面4Bに対して、バンプ(例えば金のスタッドバンプ等からなる金属バンプ)33を介しての超音波接合により実装されている点で、上述の第2の実施形態における振動型ジャイロセンサ20の構成と共通する。
しかし、本実施形態では、支持基板32には、一対の振動素子1X,1Yのみならず、回路部品を構成するICチップ7もまた支持基板32に実装されている点で、上述の第2の実施形態における振動型ジャイロセンサ20の構成と異なっている。本実施形態において、振動素子1は、バンプ13を介しての超音波接合により支持基板32上に実装されている。また、ICチップ7もまた、バンプ34を介しての超音波接合により支持基板32上に実装されている。
本実施形態においても、上述の第2の実施形態と同様な作用及び効果を得ることができる。特に、振動素子1を駆動するための回路部品のうち、超音波接合等の非はんだ接合による実装形態を採用する部品を有する場合に本実施形態を好適に採用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の実施形態では、支持基板に対する振動素子の非はんだ接合による実装形態として超音波接合方式を採用したが、これに限らず、ワイヤボンディング接合や金バンプと異方性導電フィルム(ACF)とを併用したフリップチップ接合等の他の非はんだ接合方式を採用してもよい。
同様に、以上の第2,第3の実施形態では、振動素子を支持する支持基板の中継基板に対する非はんだ接合による実装形態として超音波接合方式を採用したが、これに限らず、ワイヤボンディングや導電性バネを用いた機械的電気的接合方式等の非はんだ接合方式を採用してもよい。
1,1X,1Y…振動素子、2,22,32…支持基板、3…外部接続端子、4…中継基板、5…支持部材、7…ICチップ(回路部品)、8…コンデンサ部品(回路部品)、9…集合基板、10,20,30…振動型ジャイロセンサ、11…台座、12…振動子、13…バンプ、23,33…バンプ
Claims (7)
- 角速度を検出する振動素子と、
前記振動素子を駆動するための回路部品と、
前記振動素子と電気的に接続され当該振動素子を支持する支持基板と、
前記支持基板と電気的に接続され外部接続端子を有する中継基板とを備え、
前記振動素子は、前記支持基板に対して、非はんだ接合により実装されており、
前記回路部品の少なくとも一部は、前記中継基板に対して、はんだ接合により実装されている
ことを特徴とする振動型ジャイロセンサ。 - 前記振動素子は、前記支持基板に対して金属バンプを介しての超音波接合により実装されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動型ジャイロセンサ。 - 前記支持基板の実装面は、前記中継基板の実装面と対向配置されているとともに、
前記支持基板は、前記中継基板の周縁に沿って立設された枠状の支持部材によって支持されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動型ジャイロセンサ。 - 前記支持基板は、前記中継基板に対して非はんだ接合により実装されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動型ジャイロセンサ。 - 前記支持基板は、前記中継基板に対して金属バンプを介しての超音波接合により実装されている
ことを特徴とする請求項4に記載の振動型ジャイロセンサ。 - 前記支持基板には、前記振動素子のほか、前記回路部品の一部が非はんだ接合により実装されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動型ジャイロセンサ。 - 前記振動素子は、振動子と、この振動子部を支持する台座と、この台座に設けられた実装用の複数の金属バンプとを備えているとともに、
前記台座を前記振動子の延在方向に沿って等分に区画した3つの領域のうち、前記振動子に最も近い領域と、前記振動子から最も離れた領域のそれぞれについて少なくとも1つの金属バンプが配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動型ジャイロセンサ。
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JP2012529011A (ja) * | 2009-06-01 | 2012-11-15 | ザ・ボーイング・カンパニー | ジャイロスコープパッケージングアセンブリ |
JP2016176763A (ja) * | 2015-03-19 | 2016-10-06 | 京セラクリスタルデバイス株式会社 | 角速度センサ |
US10866260B2 (en) | 2017-03-24 | 2020-12-15 | Seiko Epson Corporation | Physical quantity sensor, electronic apparatus, and vehicle |
-
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- 2006-08-07 JP JP2006214010A patent/JP2008039576A/ja active Pending
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