JP2008039002A - 車両用変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】動力の伝達効率や静粛性、車載性などに優れ、しかも無段変速の可能な変速機を提供する。
【解決手段】動力源1から動力が伝達される2本のドライブ軸10,11と、ドライブ軸から動力が伝達されるドリブン軸13と、各ドライブ軸とドリブン軸との間に配置された伝動機構14,15,16,17,18と、その伝動機構を介した動力の伝達を選択的に可能にする切換機構19,20,21,22とを有し、各ドライブ軸が同心円上に互いに相対回転可能に嵌合した状態で配置されるとともに、これらのドライブ軸とドリブン軸とが互いに平行な軸線上に配置され、第1駆動ユニット3がドライブ軸と同一の軸線上に配置され、第2駆動ユニット4がドリブン軸と同一の軸線上に配置され、これら第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとがエネルギ形態を変化させた動力を授受可能に接続されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ギヤ対などの複数の伝動機構を動力伝達系統に備え、トルク伝達に関与する伝動機構を切り替えることにより変速を行うように構成した車両用の変速機に関し、特に歯車機構などの機械的手段による動力伝達と油圧などの圧力流体あるいは電力などの他のエネルギ形態を介した動力伝達とを併用できる変速機に関するものである。
この種の変速機の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された変速機は、遊星歯車機構におけるトルクの伝達経路を複数のクラッチ機構の係合・解放の状態に応じて切り替える機械式トランスミッション(MT)と、油圧ポンプで発生させた圧油を油圧モータに供給して動力を伝達し、その圧油の供給状態に応じて変速を行う静液圧式トランスミッション(HST)とを、入力部材と出力部材との間に並列に配置して構成されている。この特許文献1に記載された変速機では、機械式トランスミッションによってステップ的に変化する変速比が設定されるのに対して、静液圧式トランスミッションで設定される変速比は連続的に変化する変速比となるので、全体としての変速比を連続的に変化させることができ、したがっていわゆる無段変速機として機能させることができる。
また、他の例が特許文献2に記載されている。この特許文献2に記載されたトランスミッションは、動力源が出力した動力を、複数のギヤ対と複数のクラッチ機構とを主体とする多段変速装置と、HST(静液圧式トランスミッション)とに分配して伝達し、これらの多段変速装置とHSTとで変速された動力を遊星歯車機構によって合成した後、出力するように構成されている。したがって、この特許文献2に記載されたトランスミッションでは、多段変速装置とHSTとのそれぞれで伝達する動力の割合をHSTで変化させることにより、全体としての変速比を連続的に変化させることができる。
特開平11−51150号公報 特開2000−320644号公報
上述したように特許文献1に記載されている変速機では、静液圧式トランスミッションを介して動力を伝達し、その伝達割合を変化させることにより、変速比を無段階に変化させることができる。しかしながら、その場合の流体を介した動力の伝達は、ポンプを動力源の動力で直接駆動し、それによって発生した流体圧をモータに送ってこれを駆動し、そのモータが出力した動力をそのまま出力側に伝達するようになっている。そのため、伝達するトルクに応じて流体圧が高くなるなど、動力損失が相対的に多くなって全体としての動力伝達効率が十分には高くならない可能性があった。
このような事情は特許文献2に記載されているトランスミッションにおいても同様であって、特許文献2に記載された構成は、多段変速装置とHSTとを入力部材と出力部材との間に実質的に並列に配置した構成であるから、HSTを介した動力伝達を行う場合に動力損失が多くなるなどの全体としての動力伝達効率が十分には高くならない可能性があった。
さらに、各特許文献1,2に記載されたいずれの変速機であっても、エンジンなどの動力源が出力した動力を変速機に入力し、またその動力を遮断するための機構として多板クラッチなどのクラッチを使用することになり、そのため入力を維持するのに油圧などの動力を消費し、これが全体としての動力損失の増大もしくは動力伝達効率の悪化の要因になる可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、動力の伝達効率や車両の燃費を向上させることができる変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、動力源から選択的に動力が伝達される少なくとも2本のドライブ軸と、それらのドライブ軸から動力が伝達されるドリブン軸と、前記各ドライブ軸と前記ドリブン軸との間に配置された複数の伝動機構と、その伝動機構を介した各ドライブ軸とドリブン軸との間の動力の伝達を選択的に可能にする切換機構とを有する車両用変速機において、前記各ドライブ軸が同心円上に互いに相対回転可能に嵌合した状態で配置されるとともに、これらのドライブ軸と前記ドリブン軸とが互いに平行な軸線上に配置され、前記動力源から伝達された動力の一部を前記いずれか一方のドライブ軸に出力するとともに他の動力をエネルギ形態を変化させて出力し、かつ前記ドライブ軸に出力する動力とエネルギ形態を変化させて出力する動力との割合を変化させることのできる第1駆動ユニットが前記ドライブ軸とドリブン軸との一方と同一の軸線上に配置され、前記動力源から伝達された動力の一部を前記いずれか他方のドライブ軸に出力するとともに他の動力をエネルギ形態を変化させて出力し、かつ前記ドライブ軸に出力する動力とエネルギ形態を変化させて出力する動力との割合を変化させることのできる第2駆動ユニットが前記ドライブ軸とドリブン軸との他方と同一の軸線上に配置され、これら第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとが前記エネルギ形態を変化させた動力を授受可能に接続されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとのそれぞれは、前記動力源から動力を伝達される入力要素と前記いずれかのドライブ軸に動力を出力する出力要素と反力要素との三要素によって差動作用を行う差動機構と、駆動されてエネルギを発生しかつそのエネルギが供給されて動力を出力するとともに前記エネルギの発生容量および動力の出力容量を変更可能なモータとを含み、前記各反力要素に前記モータがそれぞれ連結されていることを特徴とする車両用変速機である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ドリブン軸と同一の軸線上に配置されたいずれかの駆動ユニットにおけるモータと前記ドリブン軸とを選択的に直結する直結切換機構と、前記車両の発進の際にその直結切換機構と他のいずれかの前記切換機構とを係合状態に設定する発進制御手段とを更に備えていることを特徴とする車両用変速機である。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記他のいずれかの切換機構は、前記複数の伝動機構のうち、前進方向で最も大きい変速比を設定する伝動機構を介したトルク伝達を可能にする伝動機構と、後進走行する方向に動力を伝達する伝動機構とのいずれかであることを特徴とする車両用変速機である。
請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記伝動機構は、前記車両が前進方向に発進する際に動力を伝達する第1速伝動機構と、該第1速伝動機構より変速比が小さい他の前進速伝動機構とを含み、前記直結切換機構は、前記ドリブン軸と同一の軸線上に配置されたいずれかの駆動ユニットにおけるモータと前記ドリブン軸との連結を解いた状態で前記他の前進速伝動機構をトルク伝達可能な状態に切り替えられるように構成されていることを特徴とする車両用変速機である。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記他の前進速伝動機構は、前記第1速伝動機構の次に小さい変速比を設定する伝動機構であることを特徴とする車両用変速機である。
請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記他の前進速伝動機構は、前記第1速伝動機構の次に変速比が小さい第2速伝動機構が連結されるいずれかの前記ドライブ軸に連結される他の伝動機構であることを特徴とする車両用変速機である。
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記伝動機構は、前記車両を後進走行させるために動力を伝達する少なくとも一つの後進速伝動機構を含み、前記切換機構は、いずれか一方のドライブ軸と前記ドリブン軸との間に設けられた伝動機構と他方のドライブ軸と前記ドリブン軸との間に設けられた他の伝動機構とを選択的にトルク伝達可能にするとともにこれらいずれの伝動機構もトルク伝達しない状態に設定する機構を含み、該機構でトルク伝達可能な状態に設定される伝動機構は、前記後進速伝動機構を含むことを特徴とする車両用変速機である。
請求項9の発明は、請求項2ないし8のいずれかの発明において、前記モータは、押出容積を変更可能な可変容量型流体圧ポンプモータとを含み、各駆動ユニットにおける該可変容量型流体圧ポンプモータ同士が流体圧を授受可能に連結されていることを特徴とする車両用変速機である。
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記可変容量型流体圧ポンプモータは、押出容積を正負の両方向に変化させることのできる両振り型流体圧ポンプモータを含むことを特徴とする車両用変速機である。
請求項11の発明は、請求項2ないし8の発明において、前記モータは、発電機としての機能と電気モータとしての機能を備えているモータ・ジェネレータを含むことを特徴とする車両用変速機である。
請求項1の発明によれば、動力源が出力した動力が、各駆動ユニットに伝達され、そのいずれかの駆動ユニットからいずれかのドライブ軸に動力が伝達され、さらに切換機構の動作状態に応じたいずれかの伝動機構を介してドリブン軸に動力が伝達される。その場合、いずれか一つの駆動ユニットのみが、入力された動力をそのままドライブ軸に出力する状態になっていれば、その駆動ユニットに連結され、かつ動力を伝達できる状態になっている伝動機構によって決まる変速比が設定される。これに対して、いずれかの駆動ユニットにおいて、入力された動力の一部がそのエネルギ形態を変換させられ、その動力が他の駆動ユニットに伝達されると、該他の駆動ユニットからこれに連結されているドライブ軸に動力が伝達され、さらにそのドライブ軸から、所定の切換機構を介してドリブン軸に動力が伝達される。
すなわち、エネルギ形態の変換を伴う動力の伝達が並行して行われ、そのエネルギ形態の変換を伴って伝達される動力を連続的に変化させることができるので、変速機の全体としての変速比が連続的に変化する。すなわち、無段変速が可能になる。その場合、エネルギ形態の変換を伴う動力の伝達は、動力源から入力された動力を、それぞれのドライブ軸を通る複数の動力伝達系統に分配するためのものであるから、エネルギ形態の変換を伴う動力の伝達で負担するトルクを抑制でき、それに伴って動力損失を防止もしくは抑制して全体としての動力伝達効率を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、各駆動ユニットはモータによって反力を与えることにより、いずれかのドライブ軸に動力を伝達し、またエネルギ形態を変換して出力するから、モータに掛かる負荷が相対的に小さくても大きい動力を駆動ユニットで伝達することができる。そのため、駆動ユニットや変速機の全体の構成を小型化でき、また動力の伝達効率を向上させることができる。
請求項3または4の発明によれば、車両の発進時に、いずれかの切換機構および伝動機構を介した動力の伝達と、モータ同士の間の動力の伝達とによる動力伝達を行うことができるので、発進時の駆動トルクを十分に大きくすることができる。
請求項5の発明によれば、上述した各請求項の発明による効果と同様の効果に加えて、直結切換機構によって発進のための連結状態と、他の前進走行のための連結状態とを切り替えることができるので、シフト操作性を向上させることができる。
特に請求項6または7の発明によれば、発進した後、第1速伝動機構によるトルクの伝達状態から、これより変速比の小さい次の変速段の状態への切り替えを、直結切換機構の一連の動作で行うことが可能になり、迅速なシフトを行うことができるとともに、そのシフト制御が容易になる。
請求項8の発明によれば、後進速伝達機構と前進走行のための他の伝達機構とを一つの切換機構により動力伝達可能な状態に選択的に設定できるので、切換機構もしくはこれを駆動するためのアクチュエータの数を少なくでき、そのため変速機の全体としての構成を小型化することができる。
請求項9の発明によれば、流体圧ポンプモータの押出容積を変化させることにより、駆動ユニットを介して伝達する動力を制御できるので、制御が容易である上に、動力損失を抑制して動力伝達効率や車両の燃費を向上させることができる。
請求項10の発明によれば、いずれか一方の流体圧ポンプモータの押出容積を前進走行時とは反対の容積に設定できるので、後進走行のための構成や制御が容易になる。
請求項11の発明によれば、電気的に変速制御を行うことができるので、制御が容易になる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1に示す例は、伝達するべき動力(エネルギ)の形態を変更せずに設定できるいわゆる固定変速比として四つの前進段および一つの後進段を設定するように構成した例であり、特にエンジンなどの動力源1を車両の前後方向に向けて搭載するFR車(フロントエンジン・リヤドライブ車)に適するように構成した例である。すなわち、動力源1に連結されている入力部材2と同一の軸線上と、これに平行な軸線上とのそれぞれに駆動ユニット3,4が配置されている。ここで、動力源1は、内燃機関や電気モータあるいはこれらを組み合わせた構成など、車両に使用されている一般的な動力源であってよい。なお、以下の説明では、動力源1を仮にエンジン1と記す。また、入力部材2はエンジン1の出力した動力を伝達できる部材であればよく、ドライブプレートや入力軸であってよい。以下の説明では、入力部材2を入力軸2と記す。これらエンジン1と入力軸2と間に、ダンパーやクラッチ、トルクコンバータなどの適宜の伝動手段を介在させることができる。
各駆動ユニット3,4は、入力された動力をそのまま出力し、あるいはその一部をそのまま出力するとともに、他の動力を、エネルギ形態を変換して出力し、さらには空転して動力の伝達を行わないように構成された伝動手段の一種である。図1に示す例では、差動機構とこれに反力を与えかつその反力の可変な反力機構とによって構成されている。差動機構は、要は、三つの回転要素によって差動作用を行うものであればよく、歯車やローラを回転要素とした機構であり、そのうちの歯車式差動機構としてはシングルピニオン型遊星歯車機構やダブルピニオン型遊星歯車機構を使用することができる。また、反力機構は、選択的にトルクを出力できる機構であればよく、油圧などの流体式のポンプモータや電気的に動作するモータ・ジェネレータなどを用いることができる。
図1に示す例では、シングルピニオン型遊星歯車機構と可変容量型油圧ポンプモータとによって各駆動ユニット3,4が構成されている。以下の説明では、エンジン1と同軸上の駆動ユニットを仮に第2駆動ユニット4と記し、これと平行に配置されている駆動ユニットを仮に第1駆動ユニット3と記す。第2駆動ユニット4における遊星歯車機構5は、外歯歯車であるサンギヤS2と、これと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤR2と、これらのサンギヤS2とリングギヤR2とに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤC2とを回転要素とするシングルピニオン型のものである。そのリングギヤR2に入力軸2が連結されており、したがってリングギヤR2が入力要素となっている。またそのサンギヤS2に反力機構としての油圧ポンプモータ6が接続されている。すなわち、サンギヤS2が反力要素となっている。
この油圧ポンプモータ6は、押出容積を変更できる可変容量型であり、特に押出容積をゼロから正負の両方向に変化させることのできるいわゆる両振り型のものであり、前記遊星歯車機構5を挟んで前記入力軸2とは反対側に、これら遊星歯車機構5および入力軸2と同一軸線上に配置されている。この種の油圧ポンプモータ6としては、各種の形式のものを採用することができ、例えば斜板ポンプや斜軸ポンプ、あるいはラジアルピストンポンプなどを用いることができる。
第1駆動ユニット3における遊星歯車機構7は、上記の第2駆動ユニット4における遊星歯車機構5と同様の構成であって、サンギヤS1とリングギヤR1とこれらに噛み合っているピニオンギヤを自転および公転自在に保持しているキャリヤC1とを回転要素とし、これら三つの回転要素によって差動作用を行うシングルピニオン型の遊星歯車機構である。そのリングギヤR1が入力要素となり、またサンギヤS1が反力要素となり、さらにキャリヤC1が出力要素となっている。すなわち、前記入力軸2にカウンタドライブギヤ8Aが取り付けられており、これに噛み合っているカウンタドリブンギヤ8Bが第1駆動ユニット3における遊星歯車機構(以下、第1遊星歯車機構と記す)7のリングギヤR1に連結されている。なお、この第1遊星歯車機構7と前述した第2駆動ユニット4における遊星歯車機構(以下、第2遊星歯車機構と記す)5とは、軸線方向に互いにずれて配置され、半径方向で重ならないようになっている。これらのカウンタドライブギヤ8Aとカウンタドリブンギヤ8Bとからなるカウンタギヤ対(以下、仮に第1カウンタギヤ対と記す)8は、いわゆる入力用伝動機構を構成しており、これは、摩擦車を利用した伝動機構やチェーンもしくはベルトなどを使用した巻き掛け伝動機構に置き換えることができる。
さらに、第1遊星歯車機構7のサンギヤS1に反力機構としての油圧ポンプモータ9が接続されている。この油圧ポンプモータ9は、押出容積を変更できる可変容量型であり、図1に示す例では、押出容積をゼロから正負のいずれか一方向に変化させることのできるいわゆる片振り型のものであり、前記第1遊星歯車機構7に対してエンジン1側(図1の左側)に、これら第1遊星歯車機構7と同一軸線上に配置されている。また、この油圧ポンプモータ9としては、上述した油圧ポンプモータ6と同様に、斜板ポンプや斜軸ポンプ、あるいはラジアルピストンポンプなどを用いることができる。なお、以下の説明では、第1駆動ユニット3における油圧ポンプモータ9を第1ポンプモータ9と記し、これを図にはPM1と記すことがあり、また第2駆動ユニット4における油圧ポンプモータ6を第2ポンプモータ6と記し、図にはこれをPM2と記すことがある。
上記の第1駆動ユニット3を構成している第1遊星歯車機構7および第1ポンプモータ9と同一の軸線上に第1ドライブ軸10と第2ドライブ軸11との二本のドライブ軸が配置されている。これらのうち一方のドライブ軸、例えば第2ドライブ軸11は中空構造であって、第1ドライブ軸10の外周側に相互に回転自在に嵌合している。そして、これらのドライブ軸10,11は第1遊星歯車機構7を挟んで第1ポンプモータ9とは軸線方向で反対側に配置されている。そして、第1ドライブ軸10は第1遊星歯車機構7のサンギヤS1に連結されており、また第2ドライブ軸11は第2遊星歯車機構5のキャリヤC2にトルク伝達可能に連結され、このキャリヤC2が出力要素となっている。すなわち、このキャリヤC2にカウンタドライブギヤ12Aが連結され、そのカウンタドライブギヤ12Aに噛み合っているカウンタドリブンギヤ12Bが第2ドライブ軸11に取り付けられている。これらのカウンタドライブギヤ12Aおよびカウンタドリブンギヤ12Bからなるカウンタギヤ対(以下、仮に第2カウンタギヤ対と記す)12は、いわゆる出力用伝動機構を構成しており、これは、摩擦車を利用した伝動機構やチェーンもしくはベルトなどを使用した巻き掛け伝動機構に置き換えることができる。したがって、互いに平行な二つの軸線上にドライブ軸やドリブン軸、各駆動ユニットを配置した構成であるから、外径を小さくして車載性を向上させることができ、特に車両の前後方向に向けて配置する場合の車載性を向上させることができる。また小型化を図ることができる。
各ドライブ軸10,11から動力が伝達されるドリブン軸13が、各ドライブ軸10,11と平行になるように、前記入力軸2や第2駆動ユニット4と同一軸線上に配置されている。したがって、図1に示す変速機はいわゆる二軸構造になっている。これら各ドライブ軸10とドリブン軸13との間には、異なる変速比を設定するための複数の伝動機構が設けられている。これらの各伝動機構は、トルクの伝達に関与した場合にそれぞれの回転数比に応じて、入力軸2とドリブン軸13との間の変速比を設定するためのものであり、歯車機構や巻き掛け伝動機構、摩擦車を使用した機構などを採用することができる。図1に示す例では、前進走行のための四つのギヤ対14,15,16,17と後進走行のためのギヤ対18とが設けられている。
前記の第1ドライブ軸10は、中空構造の第2ドライブ軸11の端部から突出しており、その突出した部分に第1速駆動ギヤ14Aと第3速駆動ギヤ16Aとリバース駆動ギヤ18Aとが取り付けられている。その配列順序は、第1ドライブ軸10の先端(図1の右端)側から、リバース駆動ギヤ18A、第1速駆動ギヤ14A、第3速駆動ギヤ16Aの順であり、これは、ギヤ比の大きい順(ピット円半径の小さい順、もしくは歯数の少ない順)である。このような配列とすることにより、第1ドライブ軸10の先端部を支持する軸受(図示せず)に掛かる荷重を相対的に低荷重とし、軸受を小型化することができる。また、第2ドライブ軸11には、その先端側(図1の右側)から順に、第2速駆動ギヤ15Aおよび第4速駆動ギヤ17Aが取り付けられている。したがって、第1および第2のドライブ軸10,11の一方には、奇数段の駆動ギヤが取り付けられ、他方には偶数段の駆動ギヤが取り付けられている。言い換えれば、第1ドライブ軸10に第2速および第4速の駆動ギヤを取り付け、第2ドライブ軸11に第1速および第3速の駆動ギヤを取り付けてもよい。
上記の各ギヤ対14,15,16,17,18における従動ギヤ14B,15B,16B,17B,18Bが、ドリブン軸13に回転自在に嵌合して支持されている。すなわち、第1速従動ギヤ14Bは上記の第1速駆動ギヤ14Aに噛み合った状態でドリブン軸13に回転自在に嵌合している。また、第3速従動ギヤ16Bは、第3速駆動ギヤ16Aに噛み合った状態でドリブン軸13に回転自在に嵌合し、かつ第1速従動ギヤ14Bに隣接して配置されている。さらに、第2速従動ギヤ15Bは、第2速駆動ギヤ15Aに噛み合った状態でドリブン軸13に回転自在に嵌合し、かつ第3速従動ギヤ16Bに隣接して配置されている。そして、第4速従動ギヤ17Bは、第4速駆動ギヤ17Aに噛み合った状態でドリブン軸13に回転自在に嵌合し、かつ第2速従動ギヤ15Bに隣接して配置されている。一方、リバース従動ギヤ18Bはドリブン軸13に回転自在に嵌合しており、このリバース従動ギヤ18Bとリバース駆動ギヤ18Aとの間にはアイドルギヤ18Cが配置され、リバース駆動ギヤ18Aの回転方向とリバース駆動ギヤ18の回転方向とが同じになるように構成されている。したがって、第1速ないし第4速のギヤ対14,15,16,17がこの発明の前進速伝動機構に相当し、リバースギヤ対18がこの発明の後進速伝動機構に相当する。
これらのギヤ対14,15,16,17,18を選択的に動力伝達可能な状態にするための切換機構が設けられている。この切換機構は、各ギヤ対14,15,16,17,18をいずれかのドライブ軸10,11とドリブン軸13とに選択的に連結する機構であり、したがって従来の手動変速機などにおける同期連結機構(シンクロナイザー)を使用することができ、あるいは噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)や摩擦式クラッチなどを使用することができる。また、上記の従動ギヤをドリブン軸13に一体的に取り付けた場合には、駆動ギヤをドライブ軸に対して回転自在とし、その駆動ギヤをドライブ軸に対して選択的に連結するようにドライブ軸側に切換機構を設けることができる。
図1に示す例では、切換機構として同期連結機構が使用されており、上記の第1速従動ギヤ14Bと第3速従動ギヤ16Bとの間に第1シンクロ19が配置され、また第2速従動ギヤ15Bと第4速従動ギヤ17Bとの間に第2シンクロ20が配置され、さらにリバース従動ギヤ18Bに隣接してリバースシンクロ(Rシンクロ)21が設けられている。これらのシンクロ19,20,21は、従来の手動変速機で用いられているものと同様に、ドリブン軸13に一体のハブにスリーブがスプライン嵌合され、そのスリーブを軸線方向に移動することにより次第にスプライン嵌合するチャンファーもしくはスプラインが各従動ギヤに一体に設けられ、さらにスリーブの移動に伴って、従動ギヤ側の所定の部材に次第に摩擦接触して回転を同期させるリングが設けられている。
したがって第1シンクロ19は、そのスリーブ19Sを図1の右側に移動させることにより、第1速従動ギヤ14Bをドリブン軸13に連結し、またスリーブ19Sを図1の左側に移動させることにより、第3速従動ギヤ16Bをドリブン軸13に連結し、さらにスリーブ19Sを中央に位置させることにより、いずれの従動ギヤ14B,16Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。また、第2シンクロ20は、そのスリーブ20Sを図1の右側に移動させることにより、第2速従動ギヤ15Bをドリブン軸13に連結し、またスリーブ20Sを図1の左側に移動させることにより、第4速従動ギヤ17Bをドリブン軸13に連結し、さらにスリーブ20Sを中央に位置させることにより、いずれの従動ギヤ15B,17Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。さらに、リバースシンクロ21は、そのスリーブ21Sを図1の左側に移動させることにより、リバース従動ギヤ18Bをドリブン軸13に連結するように構成されている。
さらに、車両の発進の際に第2ポンプモータ6とドリブン軸13とを連結する切換機構が設けられている。この切換機構は、同期連結機構(シンクロナイザー)や噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)もしくは摩擦式クラッチからなるものであって、図1には同期連結機構からなるスタートシンクロ(Sシンクロ)22が記載されている。このスタートシンクロ22は、この発明の直結切換機構に相当し、ドリブン軸13に一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ22Sを備えており、これに対して第2ポンプモータ6のロータ軸は第2ポンプモータ6を貫通し、そのロータ軸の端部に、スリーブ22Sが係合するスプラインが形成されている。したがって、スリーブ22Sを図1の左側に移動させることにより、スリーブ22Sがロータ軸のスプラインに嵌合し、ロータ軸とドリブン軸13とが連結されるようになっている。
上記の各スリーブ19S,20S,21S,22Sは、図示しないリンケージを介して手動操作によって切換動作させるように構成することができ、あるいはそれぞれに個別に設けたアクチュエータ23,24,25,26によって切換動作させるように構成することができる。また、上記の各ポンプモータ6,9の押出容積を電気的に制御し、また各アクチュエータ23,24,25,26を電気的に制御するための電子制御装置(ECU)27が設けられている。この電子制御装置27は、マイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータや予め記憶しているデータおよびプログラムに従って演算を行い、押出容積を設定し、あるいはシンクロ19,20,21,22を動作させるための指令信号を出力するようになっている。
なおここで、各ポンプモータ6,9に関する油圧回路について簡単に説明すると、図2に示すように、これらのポンプモータ6,9と閉回路によって連通されている。すなわち、各ポンプモータ6,9の吸入ポート6S,9S同士が油路28によって連通され、また吐出ポート6D,9D同士が油路29によって連通されている。その吸入ポートとは、前進走行する際に遊星歯車機構に対して反力を与えるように押出容積を設定した場合に、相対的に低圧となるポートであり、相対的に高圧となるポートが吐出ポートである。なお、圧油の不可避的な漏洩が生じるから、圧油の補給を行うチャージポンプ(図示せず)を上記の閉回路に接続してもよい。
つぎに、上述した変速機の作用について説明する。図3は、いずれかのギヤ対14,15,16,17,18のギヤ比で決まる各変速段を設定する際の各油圧ポンプモータ(PM1,PM2)6,9、および各シンクロ19,20,21,22の動作状態をまとめて示す図表であって、この図3における各油圧ポンプモータ6,9についての「0」は、ポンプ容量(押出容積)を実質的にゼロとし、そのロータ軸が回転させられても圧油を発生することがなく、また油圧が供給されても出力軸が回転しない状態(フリー)を示し、「LOCK」はそのロータの回転を止めている状態を示している。さらに「PUMP」は、ポンプ容量を実質的なゼロより大きくするとともに圧油を吐出している状態を示し、したがって該当する油圧ポンプモータ6,9はポンプとして機能している。また、「MOTOR」は、一方の油圧ポンプモータ6(もしくは9)が吐出した圧油が供給されてモータとして機能している状態を示し、したがって該当する油圧ポンプモータ9(もしくは6)は軸トルクを発生している。
そして、各シンクロ19,20,21,22についての「右」、「左」は、それぞれのスリーブ19S,20S,21S,22Sの図1での位置を示すとともに、丸括弧はダウンシフトするための待機状態、カギ括弧はアップシフトするための待機状態を示し、そして「N」は該当するシンクロ19,20,21,22をOFF状態(中立位置)に設定している状態を示し、斜体の「N」は引き摺りを低減するためOFF状態(中立位置)に設定していることを示す。
ニュートラルポジションが選択されてニュートラル状態を設定する際には、各油圧ポンプモータ6,9の押出容積がゼロとされ、また各シンクロ19,20,21,22が「OFF」状態とされる。すなわちそれぞれのスリーブ19S,20S,21S,22Sが中央位置に設定される。したがって、いずれのギヤ対14,15,16,17,18もドリブン軸13に連結されていないニュートラル状態となる。その結果、各ポンプモータ6,9がいわゆる空回り状態となる。従って、各遊星歯車機構5,7のリングギヤR2,R1にエンジン1からトルクが伝達されても、サンギヤS2,S1に反力が作用しないため、出力要素であるキャリヤC2,C1に連結されている各ドライブ軸10,11にはトルクが伝達されない。
シフトポジションがドライブポジションなどの走行ポジションに切り替えられると、第1シンクロ19のスリーブ19Sが図1の右側に移動させられるとともに、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図1の左側に移動させられる。したがって、第1速従動ギヤ14Bがドリブン軸13に連結され、第1ドライブ軸10とドリブン軸13とが第1速ギヤ対14を介して連結される。すなわち、ギヤ対の連結状態としては、第1速を設定する状態となる。また、第2ポンプモータ6のロータ軸(もしくはサンギヤS2)がドリブン軸13に連結される。
この状態では、車両が未だ停止しているので、第2遊星歯車機構5におけるサンギヤS2およびこれに連結されている第2ポンプモータ6が停止しており、また第1遊星歯車機構7におけるキャリヤC1が停止し、それに伴ってサンギヤS1およびこれに連結されている第1ポンプモータ9がリングギヤR1と反対方向に回転している。したがって、それぞれの押出容積を次第にゼロより大きくすると、先ず、第1ポンプモータ9がポンプとして機能し、油圧を発生する。それに伴う反力が第1遊星歯車機構7におけるサンギヤS1に作用するので、キャリヤC1にこれをリングギヤR1と同方向に回転させるトルクが現れる。その結果、第1速ギヤ対14を介してドリブン軸13に動力が伝達される。
上記の第1ポンプモータ9はいわゆる逆回転してポンプとして機能しているから、その吸入ポート9Sから圧油を吐出し、これが第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給される。その結果、第2ポンプモータ6がモータとして機能し、そのロータ軸からいわゆる正回転方向のトルクがドリブン軸13に伝達される。すなわち、第1駆動ユニット3では、エンジン1から入力された動力の一部を第1遊星歯車機構7および第1速ギヤ対14を介してドリブン軸13に伝達し、また他の動力を圧油の流動の形にエネルギ変換し、これを第2駆動ユニット4の第2ポンプモータ6に伝達し、この第2ポンプモータ6からドリブン軸13に動力が伝達される。このように発進時には、いわゆる機械的な動力伝達と流体を介した動力伝達が行われ、ドリブン軸13にはこれらの動力を合算した動力が出力される。したがってドリブン軸13が出力部材もしくは出力軸となっている。
このような動力の伝達状態では、ドリブン軸13に現れるトルクは、第1速ギヤ対14を介した機械的伝達のみの場合のトルクより大きくなり、したがって変速機の全体としての変速比は、第1速ギヤ対14によって決まるいわゆる固定変速比より大きくなる。また、その変速比は、流体を介した動力の伝達割合に応じて変化する。そのため、第1遊星歯車機構7におけるサンギヤS1およびこれに連結されている第1ポンプモータ9の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体を介した動力伝達の割合が低下し、変速機の全体としての変速比は第1速の固定変速比に近づく。そして、第1ポンプモータ9の押出容積が最大まで増大してその回転が停止することにより、固定変速比である第1速となる。
この状態で第2ポンプモータ6の押出容積がゼロに設定されるので、第2ポンプモータ6が空転するとともに、第1ポンプモータ9がロックされてその回転が止められる。すなわち、各ポンプモータ9,6を連通させている閉回路が第2ポンプモータ6によって閉じられることになるので、押出容積が最大になっている第1ポンプモータ9は圧油を供給および吐出できなくなり、その回転が止められる。その結果、第1遊星歯車機構7のサンギヤS1にはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第1遊星歯車機構7ではサンギヤS1を固定した状態でリングギヤR1に動力が入力されるので、出力要素であるキャリヤC1にはこれをリングギヤR1と同方向に回転させるトルクが生じ、これが第1ドライブ軸10および第1速ギヤ対14を介して、出力軸としてのドリブン軸13に伝達される。こうして固定変速比である第1速が設定される。
この第1速の状態でスタートシンクロ22をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ22Sを中立位置に設定すれば、第2ポンプモータ6を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、これと併せて、第2シンクロ20のスリーブ20Sを図1の右側に移動させて第2速従動ギヤ15Bをドリブン軸13に連結すれば、固定変速比である第2速へのアップシフト待機状態となる。一方、スタートシンクロ22のスリーブ22Sを図1の左側に移動させてドリブン軸13を第2ポンプモータ6に連結しておけば、第1速より大きい変速比を設定するダウンシフト待機状態となる。
第1速から第2速へのアップシフト待機状態では第2ポンプモータ6およびこれに連結されているサンギヤS2がリングギヤR2とは反対の方向に回転している。したがって第2ポンプモータ6の押出容積を正の方向に増大させると、第2ポンプモータ6がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤS2に作用する。その結果、リングギヤR2に入力されたトルクとサンギヤS2に作用する反力とを合成したトルクがキャリヤC2に作用し、これが正回転し、かつその回転数が次第に増大する。言い換えれば、エンジン1の回転数が次第に引き下げられる。
第2ポンプモータ6がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート6Sから第1ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給される。そのため、第1ポンプモータ9がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第1遊星歯車機構7のサンギヤS1に作用する。第1遊星歯車機構7のリングギヤR1にはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤS1に作用するトルクとが合成されてキャリヤC1から第1ドライブ軸10に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、ドリブン軸13にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。そして、第2ポンプモータ6の回転数が次第に低下することにより、第2遊星歯車機構5および第2速ギヤ対15を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機の全体としての変速比は、第1速ギヤ対14で決まる変速比から第2速ギヤ対15で決まる変速比に次第に低下する。その変化は、上述した発進後に固定変速比である第1速に変化する場合と同様に、連続的な変化となる。すなわち、無段変速となる。そして、第2ポンプモータ6の押出容積が最大まで増大してその回転が停止することにより、固定変速比である第2速となる。
この状態で第1ポンプモータ9の押出容積がゼロに設定されるので、第1ポンプモータ9が空転するとともに、第2ポンプモータ6がロックされてその回転が止められる。すなわち、各ポンプモータ6,9を連通させている閉回路が第1ポンプモータ9によって閉じられることになるので、押出容積が最大になっている第2ポンプモータ6は圧油を供給および吐出できなくなり、その回転が止められる。その結果、第2遊星歯車機構5のサンギヤS2にはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第2遊星歯車機構5ではサンギヤS2を固定した状態でリングギヤR2に動力が入力されるので、出力要素であるキャリヤC2にはこれをリングギヤR2と同方向に回転させるトルクが生じ、これが第2カウンタギヤ対12および第2ドライブ軸11ならびに第2速ギヤ対15を介して、出力軸としてのドリブン軸13に伝達される。こうして固定変速比である第2速が設定される。
この第2速の状態で第1シンクロ19をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ19Sを中立位置に設定すれば、第1ポンプモータ9を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、第1シンクロ19のスリーブ19Sを図1の左側に移動させて第3速従動ギヤ16Bをドリブン軸13に連結すれば、固定変速比である第3速へのアップシフト待機状態となる。一方、第1シンクロ19のスリーブ19Sを図1の右側に移動させて第1速従動ギヤ14Bをドリブン軸13に連結しておけば、第1速へのダウンシフト待機状態となる。
第2速から第3速へのアップシフト待機状態では第1ポンプモータ9およびこれに連結されているサンギヤS1がリングギヤR1とは反対の方向に回転している。したがって第1ポンプモータ9の押出容積を正の方向に増大させると、第1ポンプモータ9がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤS1に作用する。その結果、リングギヤR1に入力されたトルクとサンギヤS1に作用する反力とを合成したトルクがキャリヤC1に作用してこれが正回転し、そのトルクが第1ドライブ軸10および第3速ギヤ対16を介して出力軸であるドリブン軸13に伝達される。また、変速比の低下に伴ってエンジン1の回転数が次第に引き下げられる。
第1ポンプモータ9がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート9Sから第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給される。そのため、第2ポンプモータ6がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第2遊星歯車機構5のサンギヤS2に作用する。第2遊星歯車機構5のリングギヤR2にはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤS2に作用するトルクとが合成されてキャリヤC2から第2カウンタギヤ対12を介して第2ドライブ軸11に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、ドリブン軸13にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。そして、第1ポンプモータ9の回転数が次第に低下することにより、第1遊星歯車機構7および第3速ギヤ対16を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機の全体としての変速比は、第2速ギヤ対15で決まる変速比から第3速ギヤ対16で決まる変速比に次第に低下する。その変化は、上述した発進後に固定変速比である第1速に変化する場合や第1速から第2速にアップシフトする場合と同様に、連続的な変化となる。すなわち、無段変速となる。そして、第1ポンプモータ9の押出容積が最大まで増大してその回転が停止することにより、固定変速比である第3速となる。
この状態で第2ポンプモータ6の押出容積がゼロに設定されるので、第2ポンプモータ6が空転するとともに、第1ポンプモータ9がロックされてその回転が止められる。すなわち、各ポンプモータ6,9を連通させている閉回路が第2ポンプモータ6によって閉じられることになるので、押出容積が最大になっている第1ポンプモータ9は圧油を供給および吐出できなくなり、その回転が止められる。その結果、第1遊星歯車機構7のサンギヤS1にはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第1遊星歯車機構7ではサンギヤS1を固定した状態でリングギヤR1に動力が入力されるので、出力要素であるキャリヤC1にはこれをリングギヤR1と同方向に回転させるトルクが生じ、これが第1ドライブ軸10および第3速ギヤ対16を介して、出力軸としてのドリブン軸13に伝達される。こうして固定変速比である第3速が設定される。
この第3速の状態で第2シンクロ20をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ20Sを中立位置に設定すれば、第2ポンプモータ6を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、第2シンクロ20のスリーブ20Sを図1の左側に移動させて第4速従動ギヤ17Bをドリブン軸13に連結すれば、固定変速比である第4速へのアップシフト待機状態となる。一方、第2シンクロ20のスリーブ20Sを図1の右側に移動させて第2速従動ギヤ15Bをドリブン軸13に連結しておけば、第2速へのダウンシフト待機状態となる。
第3速から第4速へのアップシフト待機状態では、第2ポンプモータ6およびこれに連結されているサンギヤS2がリングギヤR2とは反対の方向に回転している。したがって第2ポンプモータ6の押出容積を正の方向に増大させると、第2ポンプモータ6がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤS2に作用する。その結果、リングギヤR2に入力されたトルクとサンギヤS2に作用する反力とを合成したトルクがキャリヤC2に作用してこれが正回転し、そのトルクが第2カウンタギヤ対12を介して第2ドライブ軸11に伝達され、さらに第4速ギヤ対17を介して出力軸であるドリブン軸13に伝達される。また、変速比の低下に伴ってエンジン1の回転数が次第に引き下げられる。
第2ポンプモータ6がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート6Sから第1ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給される。そのため、第1ポンプモータ9がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第1遊星歯車機構7のサンギヤS1に作用する。第1遊星歯車機構7のリングギヤR1にはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤS1に作用するトルクとが合成されてキャリヤC1から第1ドライブ軸10に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、ドリブン軸13にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。そして、第2ポンプモータ6の回転数が次第に低下することにより、第2遊星歯車機構5および第4速ギヤ対17を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機の全体としての変速比は、第3速ギヤ対16で決まる変速比から第4速ギヤ対17で決まる変速比に次第に低下する。その変化は、上述した各固定変速比の間での変速と同様に、連続的な変化となる。すなわち、無段変速となる。そして、第2ポンプモータ6の押出容積が最大まで増大してその回転が停止することにより、固定変速比である第4速となる。
この状態で第1ポンプモータ9の押出容積がゼロに設定されるので、第1ポンプモータ9が空転するとともに、第2ポンプモータ6がロックされてその回転が止められる。すなわち、各ポンプモータ6,9を連通させている閉回路が第1ポンプモータ9によって閉じられることになるので、押出容積が最大になっている第2ポンプモータ6は圧油を供給および吐出できなくなり、その回転が止められる。その結果、第2遊星歯車機構5のサンギヤS2にはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第2遊星歯車機構5ではサンギヤS2を固定した状態でリングギヤR2に動力が入力されるので、出力要素であるキャリヤC2にはこれをリングギヤR2と同方向に回転させるトルクが生じ、これが第2カウンタギヤ対12を介して第2ドライブ軸11に伝達され、さらに第4速ギヤ対17を介して、出力軸としてのドリブン軸13に伝達される。こうして固定変速比である第4速が設定される。
この第4速の状態で第1シンクロ19をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ19Sを中立位置に設定すれば、第1ポンプモータ9を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、第1シンクロ19のスリーブ19Sを図1の左側に移動させて第3速従動ギヤ16Bをドリブン軸13に連結しておけば、第3速へのダウンシフト待機状態となる。
つぎに後進段について説明する。シフトポジションがニュートラルポジションからリバースポジションに切り替えられるなどのことによって後進段を設定する指示が行われると、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図1の左側に移動させられて第2ポンプモータ6がドリブン軸13に連結され、またリバースシンクロ21のスリーブ21Sが図1の左側に移動させられてリバース従動ギヤ18Bがドリブン軸13に連結される。この状態で第1ポンプモータ9の押出容積を次第に増大させる。また、第2ポンプモータ6の押出容積を、上述した前進段(前進走行)の場合とは反対の負の方向に次第に増大させる。車両が停止している状態ではドリブン軸13は回転していないから、これに連結された第2ポンプモータ6は停止している。これに対して、第1遊星歯車機構7では第1ドライブ軸10に連結されているキャリヤC1が固定されている状態でリングギヤR1にエンジン1から動力が入力されるから、サンギヤS1およびこれに連結されている第1ポンプモータ9がリングギヤR1とは反対方向に回転している。
したがって、第1ポンプモータ9のトルク容量を次第に増大させると、第1ポンプモータ9がポンプとして機能し、油圧を発生する。それに伴う反力がサンギヤS1に作用するので、出力要素であるキャリヤC1にはこれを前進走行時と同方向に回転させるトルクが生じ、これが第1ドライブ軸10に伝達される。この第1ドライブ軸10とドリブン軸13との間に配置されているリバースギヤ対18は、アイドルギヤ18Cを備えているので、第1ドライブ軸10が前進走行時と同方向に回転すると、ドリブン軸13はこれとは反対に方向に回転し、したがって後進走行することになる。
また、第1ポンプモータ9がポンプとして機能して発生した圧油が、その吸入ポート9Sから第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給される。その第2ポンプモータ6の押出容積は上述したように負側に設定されるから、第2ポンプモータ6は、圧油が吸入ポート6Sに供給されることにより、前進走行時とは反対方向に回転し、そのトルクがドリブン軸13に伝達される。すなわち、ドリブン軸13には、第1遊星歯車機構7およびリバースギヤ対18を介した機械的な動力伝達と、各ポンプモータ6,9の間のいわゆる流体を介した動力伝達とによって動力が伝達される。
そして、第1ポンプモータ9の押出容積を次第に大きくすることによりその回転数が次第に低下し、それに伴って流体を介した動力伝達の割合が次第に低下するので、変速比はリバースギヤ対18のギヤ比によって決まる変速比に次第に低下する。すなわち、変速比が連続的に変化する。そして、各ポンプモータ6,9の押出容積を最大にすることにより、固定変速比としての後進段が設定される。
上述したように図1に示す変速機では、流体伝動を伴わずに設定できるいわゆる固定変速比として前進4段・後進1段の変速比を設定でき、またそれらの固定変速比の間の変速比を連続的に設定でき、したがって全体として変速比幅の広い無段変速を行うことができる。また、各ドライブ軸10,11やドリブン軸13、各駆動ユニット3,4などの回転部材を配置する軸線が二本のいわゆる二軸構成となるので、外径を小さくして全体としての構成を小型化でき、しかもエンジン1の回転中心軸線の延長線上もしくはこれと平行な軸線上で動力を出力できるから、外径の制約が大きくかつ軸長の制約が相対的に小さいFR車に対する車載性に優れた変速機とすることができる。
また、前進方向への発進時および後進方向への発進時に上記のスタートシンクロ22によって第2ポンプモータ6をドリブン軸13に連結することにより、機械的な動力伝達に加えて流体を介した動力伝達によってドリブン軸13に動力を伝達できる。スタートシンクロ22のこのような切り替え動作は、前述した電子制御装置27からの指令信号に基づいて行われ、したがってこの電子制御装置27がこの発明の発進制御手段に相当している。スタートシンクロ22がこのように動作させられるため、発進時の変速比がギヤ比の大きい第1速ギヤ対14やリバースギヤ対18によって決まる変速比より大きくなり、その結果、発進時の駆動トルクを相対的に大きくして発進加速性を良好なものとすることができる。なお、このスタートシンクロ22は発進時における流体伝動による駆動トルクの補助もしくは補完のためのものであるから、各ギヤ対14,18を介したいわゆる機械的動力伝達のみで必要充分な駆動トルクを得られる場合には、スタートシンクロ22を特に設けなくてもよい。
さらに、上記の変速機で前進段としての各固定変速比を設定する場合、いずれかのポンプモータ6,9の押出容積をゼロにし、それに伴って他のポンプモータ9,6をロックするから、これらの固定変速比では流体伝動が行われない。すなわち、エネルギ形態の変換を行うことなく動力を伝達することができ、かつ動力の伝達経路を動力伝達可能な状態に維持するために特にエネルギを必要としないので、動力の伝達効率を従来になく向上させることができる。
ここで、上述した第1および第2のカウンタギヤ対8,12と、各遊星歯車機構7,5の好ましいギヤ比について説明する。第1カウンタギヤ対8のギヤ比をκ1、第2カウンタギヤ対12のギヤ比をκ2、第1遊星歯車機構7のギヤ比(サンギヤS1の歯数とリングギヤR1の歯数との比)をρ1、第2遊星歯車機構5ギヤ比(サンギヤS2の歯数とリングギヤR2の歯数との比)をρ2とすると、これらの各ギヤ比は、
κ1・(1+ρ1)>κ2・(1+ρ2)
となるように設定することが好ましい。このようにすれば、第4速ギヤ対17のギヤ比を「1」に近いギヤ比としても実用に適する第4速変速比を設定することができる。そのため、第4速従動ギヤ17Bの外径を大きくすることができるので、これを支持するドリブン軸13の外径の制約が少なくなる。したがって、変速機の全体としての外径を増大させることなく、ドリブン軸13もしくは出力軸の強度を確保できる。
また、各ギヤ比の関係を上述した不等式で表される関係に加えて、
{κ1・(1+ρ1)}/{κ2・(1+ρ2)}
が固定変速比である第1速の変速比と第2速の変速比との比率(もしくはステップ分)および第3速の変速比と第4速の変速比との比率(もしくはステップ分)となるように設定することが好ましい。このような構成であれば、第1速ギヤ対14と第2速ギヤ対15とが同一の構成で同一諸元であり、また第3速ギヤ対16と第4速ギヤ対17とが同一構成で同一諸元であっても、エンジン1からの動力伝達に関与するカウンタギヤ対が切り替わることにより、各固定変速比を得ることができる。そのため、部品の共通化を促進でき、変速機の全体としてのコストの低廉化を図ることができる。
つぎにこの発明の他の具体例を説明する。図4に示す例は、図1に示す構成を一部変更して、切換機構としてのシンクロを三つにして前進4段・後進1段を設定するように構成した例である。すなわち、図4に示す構成では、ギヤ対はドリブン軸13および第1ドライブ軸10の先端側(図4の右端側)から、第1速ギヤ対14、第3速ギヤ対16、リバースギヤ対18の順に配置されており、また第2ドライブ軸11の先端側から順に、第4速ギヤ対17、第2速ギヤ対15が配置されている。したがって、リバースギヤ対18と第4速ギヤ対17とが隣接して配置されている。
このようなギヤ対の配列の変更に伴って、リバース従動ギヤ18Bと第4速従動ギヤ17Bとの間に第2シンクロ20が配置されている。そして、そのスリーブ20Sを図4の左側に移動させることにより、第4速従動ギヤ17Bがドライブ軸11に連結され、これとは反対にスリーブ20Sを図4の右側に移動させることによりリバース従動ギヤ18Bがドリブン軸13に連結されるようになっている。また、スタートシンクロ22は、そのスリーブ22SをいわゆるOFF状態の中央の位置から左右の両側に移動できるように構成されている。すなわち、スリーブ22Sを図4の左側に移動させることにより、第2ポンプモータ6をドリブン軸13に連結するようになっている。これは、図1に示す構成と同じである。
また、スリーブ22Sを図4の右側に移動させることにより、第2速従動ギヤ15Bをドリブン軸13に連結するようになっている。なお、図4に示す例では、第1カウンタギヤ対8が第1ポンプモータ9と第1遊星歯車機構7との間に配置され、それに伴って第1遊星歯車機構7が第2遊星歯車機構5に軸線方向で接近して配置されている。他の構成は図1に示す構成と同様であるから、図4に図1と同様の符号を付してその説明を省略する。なお、図4ではエンジン1および電子制御装置27ならびに各アクチュエータ23,24,25,26は省略してある。
図4に示すように構成した場合であっても、固定変速比として前進4段・後進1段を設定することができる。それらの固定変速比およびその中間の変速比を設定するための各シンクロ19,20,22の動作状態、および各ポンプモータ9,6の動作状態を図5にまとめて示してある。なお、この図5における各符号の意味は前述した図3における各符号の意味と同じである。各変速状態について簡単に説明すると、ニュートラル状態では、各ポンプモータ9,6の押出容積はゼロに設定され、また各シンクロ19,20,22はそのスリーブ19S,20S,22Sを中央に位置させてトルクを伝達しないOFF状態に設定される。
前進方向への発進の際には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図4の左側に移動させられて第2ポンプモータ6が出力軸としてのドリブン軸13に連結され、また第1シンクロ19のスリーブ19Sが図4の右側に移動させられて第1速従動ギヤ14Bがドリブン軸13に連結される。これは、前述した図1に示す構成の変速機と同様である。したがって第1ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給されて第2ポンプモータ6がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達とが生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第1速より大きく、第1ポンプモータ9の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第1ポンプモータ9が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第1速となり、第2ポンプモータ6の押出容積をゼロにすることにより、第1ポンプモータ9がロックされる。
第2速にアップシフトする場合には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図4の左側から右側に移動させられて、第2速従動ギヤ15Bがドリブン軸13に連結され、また第1シンクロ19のスリーブ19Sは図4の右側に移動させてられて第1速従動ギヤ14Bをドリブン軸13に連結したままの状態に維持される。このギヤ対の連結状態は、図1に示す構成の変速機で第1速から第2速にアップシフトする場合、あるいは第1速と第2速との中間の変速比を設定する場合と同様である。したがって第2ポンプモータ6の押出容積を次第に増大させることにより、第2ポンプモータ6がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第1ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給されて第1ポンプモータ9がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第1速と第2速との間の値となる。そして、第2ポンプモータ6の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第2ポンプモータ6が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第2速となり、第1ポンプモータ9の押出容積をゼロにすることにより、第2ポンプモータ6がロックされる。
第3速にアップシフトする場合には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sは図4の右側に移動させられた状態に維持され、第2速従動ギヤ15Bがドリブン軸13に連結されたままとなる。また第1シンクロ19のスリーブ19Sは図4の左側に移動させてられて第3速従動ギヤ16Bをドリブン軸13に連結する。このギヤ対の連結状態は、図1に示す構成の変速機で第2速から第3速にアップシフトする場合、あるいは第2速と第3速との中間の変速比を設定する場合と同様である。したがって第1ポンプモータ9の押出容積を次第に増大させることにより、第1ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給されて第2ポンプモータ6がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第2速と第3速との間の値となる。そして、第1ポンプモータ9の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第1ポンプモータ9が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第3速となり、第2ポンプモータ6の押出容積をゼロにすることにより、第1ポンプモータ9がロックされる。
第4速にアップシフトする場合には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが中立位置に戻されてスタートシンクロ22がOFF状態になり、また第2シンクロ20のスリーブ20Sが図4の左側に移動させられて第4速従動ギヤ17Bがドリブン軸13に連結される。このギヤ対の連結状態は、図1に示す構成の変速機で第3速から第4速にアップシフトする場合、あるいは第3速と第4速との中間の変速比を設定する場合と同様である。したがって第2ポンプモータ6の押出容積を次第に増大させることにより、第2ポンプモータ6がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第1ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給されて第1ポンプモータ9がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第3速と第4速との間の値となる。そして、第2ポンプモータ6の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第2ポンプモータ6が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第4速となり、第1ポンプモータ9の押出容積をゼロにすることにより、第2ポンプモータ6がロックされる。
そして、後進段を設定する場合には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図4の左側に移動させられて第2ポンプモータ6がドリブン軸13に連結され、また第1シンクロ19がOFF状態とされるとともに、第2シンクロ20のスリーブ20Sが図4の右側に移動させられてリバース従動ギヤ18Bがドリブン軸13に連結される。このギヤ対の連結状態は、図1に示す構成の変速機で後進段を設定する場合と同様である。したがって各ポンプモータ9,6の押出容積を次第に増大させることにより、第1ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給されて第2ポンプモータ6がモータとして機能する。
その場合、第1駆動ユニット3からはリバースギヤ対18を介してドリブン軸13に動力が伝達されるので、ドリブン軸13が前進走行時とは反対方向に回転し、また第2ポンプモータ6の押出容積は前進走行時とは反対方向に設定されているので、第2ポンプモータ6は前進走行時とは反対方向に回転し、そのトルクをドリブン軸13に伝達する。その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達され、後進段となる。そして、各ポンプモータ9,6の押出容積が最大となることにより、固定変速比である後進段が設定される。
したがって、図4に示すように構成すれば、スタートシンクロ22が図1に示すリバースシンクロ21の機能を兼ねるので、三つのシンクロ(切換機構)によって前進4段・後進1段を設定することができる。そのため、図4に示すように構成することにより、全体として必要部品の数を少なくし、変速機を小型・軽量化することができる。また、図4に示す構成の変速機は基本となる構成が図1に示す構成の変速機と同様であるから、図4に示す変速機であっても、図1に示す構成の変速機と同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、図4に示すように構成した場合には、前進方向への発進の後のアップシフト制御が容易になる。すなわち、上述した第1速は、発進の際の大きい駆動力を得るための変速比であり、通常、第1速の後に直ちに第2速や第3速にアップシフトされる。図4に示す構成で第1速から第2速にアップシフトするためのシンクロの切り替えは、図5に示してあるように、スタートシンクロ22の図4での左側の位置から右側の位置への切り替えのみである。これを図に示すと図6のとおりであり、発進から第1速を経て第2速にアップシフトする場合、第1および第2のシンクロ19,20は従前の動作状態を維持させ、これに対してスタートシンクロ22のスリーブ22Sのみを左側から右側に移動させる。したがってシンクロのシフト操作を適宜のアクチュエータを動作させて行うとした場合、動作させるアクチュエータは一つでよく、しかも直線的に動作させればよいので、変速制御が容易になる。言い換えれば、複数のシンクロを協調させて、あるいは切り替え順序を維持して動作させるなどの必要がないので、変速制御が容易になり、特に低速側の変速比を迅速に切り替える制御が容易になる。
この発明の更に他の例を図7を参照して説明する。図7に示す例は、発進から第1速を経て第2速にアップシフトする際の変速応答性を向上させるように構成した例であり、上述した図4に示す構成のうち、第2速ギヤ対15と第4速ギヤ対17との位置を入れ替えたものである。すなわち、第2ドライブ軸11の先端側(図7の右端側)に第2速ギヤ対15が配置されており、したがって第2速従動ギヤ15Bが第2シンクロ20を挟んでリバース従動ギヤ18Bと対向し、また第2速駆動ギヤ15Aが第2ドライブ軸11の先端側に取り付けられている。この第2速ギヤ対15よりもエンジン1側(もしくは駆動ユニット3,4側)に第4速ギヤ対17が配置されている。したがって、第4速従動ギヤ17Bがスタートシンクロ22を挟んで第2ポンプモータ6のロータ軸と対向し、この第4速従動ギヤ17Bに噛み合っている第4速駆動ギヤ17Aが第2ドライブ軸11に取り付けられている。他の構成は、上述した図4に示す構成と同様であるから、図7に図4と同様の符号を付してその説明を省略する。なお、図7ではエンジン1および電子制御装置27ならびに各アクチュエータ23,24,25,26は省略してある。
図7に示すように構成した場合であっても、固定変速比として前進4段・後進1段を設定することができる。それらの固定変速比およびその中間の変速比を設定するための各シンクロ19,20,22の動作状態、および各ポンプモータ9,6の動作状態を図8にまとめて示してある。なお、この図8における各符号の意味は前述した図3あるいは図5における各符号の意味と同じである。また、図7に示す構成と図4に示す構成との相違は、第2速ギヤ対15と第4速ギヤ対17との位置を入れ替えた点にあるから、図8に示す図表のうち第2速および第4速に関係する部分が前述した図5に示す図表と異なり、他の部分は図5と同じである。
図7に示す変速機についての各変速状態を簡単に説明すると、ニュートラル状態では、各ポンプモータ9,6の押出容積はゼロに設定され、また各シンクロ19,20,22はそのスリーブ19S,20S,22Sを中央に位置させてトルクを伝達しないOFF状態に設定される。
前進方向への発進の際には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図7の左側に移動させられて第2ポンプモータ6が出力軸としてのドリブン軸13に連結され、また第1シンクロ19のスリーブ19Sが図7の右側に移動させられて第1速従動ギヤ14Bがドリブン軸13に連結される。これは、前述した図4に示す構成の変速機と同様である。したがって第1ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給されて第2ポンプモータ6がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第1速より大きく、第1ポンプモータ9の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第1ポンプモータ9が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第1速となり、第2ポンプモータ6の押出容積をゼロにすることにより、第1ポンプモータ9がロックされる。
第2速にアップシフトする場合には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図4の左側から中央位置に移動させられて、第2ポンプモータ6のロータ軸とドリブン軸13との連結が解かれ、また第1シンクロ19のスリーブ19Sは図4の右側に移動させてられて第1速従動ギヤ14Bをドリブン軸13に連結したままの状態に維持され、さらに第2シンクロ20のスリーブ20Sが図7の左側に移動させられて第2速従動ギヤ15Bがドリブン軸13に連結される。このギヤ対の連結状態は、図1あるいは図4に示す構成の変速機で第1速から第2速にアップシフトする場合、あるいは第1速と第2速との中間の変速比を設定する場合と同様である。したがって第2ポンプモータ6の押出容積を次第に増大させることにより、第2ポンプモータ6がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第1ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給されて第1ポンプモータ9がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第1速と第2速との間の値となる。そして、第2ポンプモータ6の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第2ポンプモータ6が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第2速となり、第1ポンプモータ9の押出容積をゼロにすることにより、第2ポンプモータ6がロックされる。
第3速にアップシフトする場合には、スタートシンクロ22および第2シンクロ20の動作状態を変えずに、第1シンクロ19のスリーブ19Sが図7の右側に位置から左側の位置に移動させられ、第1速従動ギヤ14Bとドリブン軸13との連結が解かれるとともに第3速従動ギヤ16Bがドリブン軸13に連結される。このギヤ対の連結状態は、図1あるいは図4に示す構成の変速機で第2速から第3速にアップシフトする場合、もしくは第2速と第3速との中間の変速比を設定する場合と同様である。したがって第1ポンプモータ9の押出容積を次第に増大させることにより、第1ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給されて第2ポンプモータ6がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第2速と第3速との間の値となる。そして、第1ポンプモータ9の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第1ポンプモータ9が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第3速となり、第2ポンプモータ6の押出容積をゼロにすることにより、第1ポンプモータ9がロックされる。
第4速にアップシフトする場合には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが中立位置から図7の右側に移動させられて第4速従動ギヤ17Bがドリブン軸13に連結され、また第2シンクロ20のスリーブ20Sが図7の中央位置に移動させられて第2速従動ギヤ15Bとドリブン軸13との連結が解かれる。このギヤ対の連結状態は、図1あるいは図4に示す構成の変速機で第3速から第4速にアップシフトする場合、もしくは第3速と第4速との中間の変速比を設定する場合と同様である。したがって第2ポンプモータ6の押出容積を次第に増大させることにより、第2ポンプモータ6がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第1ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給されて第1ポンプモータ9がモータとして機能する。
その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達される。その変速比は、固定変速比である第3速と第4速との間の値となる。そして、第2ポンプモータ6の回転数が次第にゼロに近づくのに従って流体伝動の割合が少なくなり、ついには第2ポンプモータ6が停止して機械的な動力伝達のみとなる。すなわち、固定変速比である第4速となり、第1ポンプモータ9の押出容積をゼロにすることにより、第2ポンプモータ6がロックされる。
そして、後進段を設定する場合には、スタートシンクロ22のスリーブ22Sが図7の左側に移動させられて第2ポンプモータ6がドリブン軸13に連結され、また第1シンクロ19がOFF状態とされるとともに、第2シンクロ20のスリーブ20Sが図7の右側に移動させられてリバース従動ギヤ18Bがドリブン軸13に連結される。このギヤ対の連結状態は、図1あるいは図4に示す構成の変速機で後進段を設定する場合と同様である。したがって各ポンプモータ9,6の押出容積を次第に増大させることにより、第1ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生し、その圧油が第2ポンプモータ6の吸入ポート6Sに供給されて第2ポンプモータ6がモータとして機能する。
その場合、第1駆動ユニット3からはリバースギヤ対18を介してドリブン軸13に動力が伝達されるので、ドリブン軸13が前進走行時とは反対方向に回転し、また第2ポンプモータ6の押出容積は前進走行時とは反対方向に設定されているので、第2ポンプモータ6は前進走行時とは反対方向に回転し、そのトルクをドリブン軸13に伝達する。その結果、いわゆる機械的な動力の伝達と流体を介した動力の伝達が生じ、これらの動力を合算した動力がドリブン軸13に伝達され、後進段となる。そして、各ポンプモータ9,6の押出容積が最大となることにより、固定変速比である後進段が設定される。
したがって図7に示すように構成した場合であっても、図4に示す構成の変速機と同様に、三つのシンクロ(切換機構)を使用して前進4段・後進1段の変速比を設定することができ、図4に示す構成の変速機と同様の作用・効果を得ることができる。また、図7に示す構成の変速機では、各シンクロ19,20,22がそれぞれのスリーブ19S,20S,22Sを中立位置から左右両側にストロークさせるように構成されているが、固定変速比である第1速を設定する状態と第2速を設定する状態との切り替えは、スタートシンクロ22のスリーブ22Sと第2シンクロ20のスリーブ20Sとを、それぞれの全ストローク範囲の半分だけ移動させることにより達成できる。
これを図に示すと図9のとおりであり、発進から第1速を経て第2速にアップシフトする場合、第1シンクロ19は従前の動作状態を維持させ、これに対してスタートシンクロ22のスリーブ22Sを左側の位置から中央の中立位置まで移動させ、これとほぼ同時に第2シンクロ20のスリーブ20Sを中央の中立位置から右側の位置に移動させる。したがって切り替え動作させるスタートシンクロ22と第2シンクロ20とにおけるスリーブ22S,20Sの移動距離は、それぞれの全ストローク範囲の半分になる。そして、これらのスリーブ22S,20Sの移動をほぼ同時に行うことができるので、切り替えに要する時間がほぼ半減され、変速応答性を向上させることができる。特に発進後のアップシフトの応答性を向上させることができる。
ところで、この発明におけるエネルギ形態の変換は、所定のトルクで回転している機械的エネルギを圧力流体の流動に変換することに限られないのであり、この発明では電気エネルギに変化し、これを再度、機械的エネルギに変化するように構成することもできる。その例を図10に示してある。ここに示す例は、前述した図1に示す構成のうち、第1ポンプモータ9を第1モータ・ジェネレータMG1に置き換え、第2ポンプモータ6を第2モータ・ジェネレータMG2に置き換え、さらにこれらのモータ・ジェネレータMG1,MG2の間で電力を授受できるように接続したものである。なお、モータ・ジェネレータは永久磁石式同期電動機のように、発電機能を備えた電気モータである。
したがって、図10に示す構成では、各モータ・ジェネレータMG1,MG2が、図1に示すポンプモータ9,6がポンプとして機能するのに替わって、発電機として機能し、また図1に示すポンプモータ9,6がモータとして機能すると同様に、モータとして機能して力行し、さらに図1に示すポンプモータ9,6が押出容積をゼロに設定されて空転するのと同様に、通電が遮断されてフリー回転する。なお、各モータ・ジェネレータMG1,MG2のロックは、電気的に行われる。
このように、モータ・ジェネレータMG1,MG2を前述したポンプモータ9,6と同様に機能させることができるので、図10に示す構成であっても、図1に示す構成の変速機と同様に、発進から固定変速比である第4速までの変速比を連続的に設定し、無段変速機として機能させることができる。なお、図10に示す構成の変速機における各変速段およびそれらの中間の変速比を設定するための動作状態は、前述した図3に示す図表における第1ポンプモータ9(PM1)を第1モータ・ジェネレータMG1に、また第2ポンプモータ6を第2モータ・ジェネレータMG2に、さらに押出容積の「0」を「フリー」に、「PUMP」を「発電」に、「MOTOR」を「力行」に置き換えたものとなる。なお、図1に示す構成では、設定する押出容積の方向によって回転方向(トルクの方向)を設定したが、図10に示す構成では、モータ・ジェネレータMG1,MG2の回転方向や出力トルクの方向は電気的に制御することになる。
さらに図11に示す例は、前述した図4に示す構成のうち、第1ポンプモータ9を第1モータ・ジェネレータMG1に置き換え、第2ポンプモータ6を第2モータ・ジェネレータMG2に置き換え、さらにこれらのモータ・ジェネレータMG1,MG2の間で電力を授受できるように接続したものである。
したがって、図11に示す構成であっても、図4に示す構成の変速機と同様に、発進から固定変速比である第4速までの変速比を連続的に設定し、無段変速機として機能させることができる。なお、図11に示す構成の変速機における各変速段およびそれらの中間の変速比を設定するための動作状態は、前述した図5に示す図表における第1ポンプモータ9(PM1)を第1モータ・ジェネレータMG1に、また第2ポンプモータ6を第2モータ・ジェネレータMG2に、さらに押出容積の「0」を「フリー」に、「PUMP」を「発電」に、「MOTOR」を「力行」に置き換えたものとなる。
なお、上述した各具体例では、ドリブン軸13を出力軸として構成したが、この発明では、ドリブン軸13とは別に出力軸を設け、その出力軸にドリブン軸13から動力を伝達して変速機から出力するように構成してもよい。その場合、出力軸は前述したドライブ軸10,11と同一の軸線上に配置してもよい。また、この発明における駆動ユニットは、要は、入力された動力の少なくとも一部をそのまま出力し、また入力された動力の一部をエネルギ形態を変換して出力できるように構成されたものであればよく、遊星歯車機構などの差動機構と可変容量型流体圧ポンプモータもしくはモータ・ジェネレータとを組み合わせたものに限定されない。例えばケーシングとロータとの間で差動作用を行う可変容量型の流体圧ポンプモータ単独で構成したものであってもよい。
さらに、この発明では、第2ポンプモータ6をいわゆる両振り型のものとする構成に替えて、第1ポンプモータ9をいわゆる両振り型のものにして構成することができ、要は、少なくともいずれか一方が両振り型のものであればよい。そして、この発明は、設定可能な固定変速比が4速より多くてもよく、あるいは反対に少なくてもよい。
この発明に係る変速機の一例を模式的に示すスケルトン図である。 そのポンプモータの連通状態を説明するための模式図である。 各変速比を設定する際の各油圧ポンプモータおよび各シンクロの動作状態をまとめて示す図表である。 この発明に係る変速機の他の例を模式的に示すスケルトン図である。 図4に示す構成の変速機で各変速比を設定する際の各油圧ポンプモータおよび各シンクロの動作状態をまとめて示す図表である。 図4に示す構成の変速機で発進から第1速を経て第2速に切り換える際のシンクロの動きを説明するためのタイムチャートである。 この発明に係る変速機の更に他の例を模式的に示すスケルトン図である。 図7に示す構成の変速機で各変速比を設定する際の各油圧ポンプモータおよび各シンクロの動作状態をまとめて示す図表である。 図7に示す構成の変速機で発進から第1速を経て第2速に切り換える際のシンクロの動きを説明するためのタイムチャートである。 駆動ユニットにモータ・ジェネレータを用いて構成したこの発明の一例を示すスケルトン図である。 駆動ユニットにモータ・ジェネレータを用いて構成したこの発明の他の例を示すスケルトン図である。
符号の説明
1…エンジン(動力源)、 2…入力軸(入力部材)、 3,4…駆動ユニット、 5…遊星歯車機構(第2遊星歯車機構)、 S2…サンギヤ、 R2…リングギヤ、 C2…キャリヤ、 6…油圧ポンプモータ(第2ポンプモータ)、 7…遊星歯車機構(第1遊星歯車機構)、 S1…サンギヤ、 R1…リングギヤ、 C1…キャリヤ、 8…カウンタギヤ対、 9…油圧ポンプモータ(第1ポンプモータ)、 10…第1ドライブ軸、 11…第2ドライブ軸、 12…カウンタギヤ対、 13…ドリブン軸、 14…第1速ギヤ対、 16…第3速ギヤ対、 18…リバースギヤ対、 15…第2速ギヤ対、 17…第4速ギヤ対、 19…第1シンクロ、 20…第2シンクロ、 21…リバースシンクロ、 22…スタートシンクロ、 28…油路、 29…油路。

Claims (11)

  1. 動力源から選択的に動力が伝達される少なくとも2本のドライブ軸と、それらのドライブ軸から動力が伝達されるドリブン軸と、前記各ドライブ軸と前記ドリブン軸との間に配置された複数の伝動機構と、その伝動機構を介した各ドライブ軸とドリブン軸との間の動力の伝達を選択的に可能にする切換機構とを有する車両用変速機において、
    前記各ドライブ軸が同心円上に互いに相対回転可能に嵌合した状態で配置されるとともに、これらのドライブ軸と前記ドリブン軸とが互いに平行な軸線上に配置され、
    前記動力源から伝達された動力の一部を前記いずれか一方のドライブ軸に出力するとともに他の動力をエネルギ形態を変化させて出力し、かつ前記ドライブ軸に出力する動力とエネルギ形態を変化させて出力する動力との割合を変化させることのできる第1駆動ユニットが前記ドライブ軸とドリブン軸との一方と同一の軸線上に配置され、前記動力源から伝達された動力の一部を前記いずれか他方のドライブ軸に出力するとともに他の動力をエネルギ形態を変化させて出力し、かつ前記ドライブ軸に出力する動力とエネルギ形態を変化させて出力する動力との割合を変化させることのできる第2駆動ユニットが前記ドライブ軸とドリブン軸との他方と同一の軸線上に配置され、これら第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとが前記エネルギ形態を変化させた動力を授受可能に接続されていることを特徴とする車両用変速機。
  2. 前記第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとのそれぞれは、前記動力源から動力を伝達される入力要素と前記いずれかのドライブ軸に動力を出力する出力要素と反力要素との三要素によって差動作用を行う差動機構と、駆動されてエネルギを発生しかつそのエネルギが供給されて動力を出力するとともに前記エネルギの発生容量および動力の出力容量を変更可能なモータとを含み、前記各反力要素に前記モータがそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速機。
  3. 前記ドリブン軸と同一の軸線上に配置されたいずれかの駆動ユニットにおけるモータと前記ドリブン軸とを選択的に直結する直結切換機構と、前記車両の発進の際にその直結切換機構と他のいずれかの前記切換機構とを係合状態に設定する発進制御手段とを更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用変速機。
  4. 前記他のいずれかの切換機構は、前記複数の伝動機構のうち、前進方向で最も大きい変速比を設定する伝動機構を介したトルク伝達を可能にする伝動機構と、後進走行する方向に動力を伝達する伝動機構とのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の車両用変速機。
  5. 前記伝動機構は、前記車両が前進方向に発進する際に動力を伝達する第1速伝動機構と、該第1速伝動機構より変速比が小さい他の前進速伝動機構とを含み、
    前記直結切換機構は、前記ドリブン軸と同一の軸線上に配置されたいずれかの駆動ユニットにおけるモータと前記ドリブン軸との連結を解いた状態で前記他の前進速伝動機構をトルク伝達可能な状態に切り替えられるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用変速機。
  6. 前記他の前進速伝動機構は、前記第1速伝動機構の次に小さい変速比を設定する伝動機構であることを特徴とする請求項5に記載の車両用変速機。
  7. 前記他の前進速伝動機構は、前記第1速伝動機構の次に変速比が小さい第2速伝動機構が連結されるいずれかの前記ドライブ軸に連結される他の伝動機構であることを特徴とする請求項5に記載の車両用変速機。
  8. 前記伝動機構は、前記車両を後進走行させるために動力を伝達する少なくとも一つの後進速伝動機構を含み、
    前記切換機構は、いずれか一方のドライブ軸と前記ドリブン軸との間に設けられた伝動機構と他方のドライブ軸と前記ドリブン軸との間に設けられた他の伝動機構とを選択的にトルク伝達可能にするとともにこれらいずれの伝動機構もトルク伝達しない状態に設定する機構を含み、
    該機構でトルク伝達可能な状態に設定される伝動機構は、前記後進速伝動機構を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用変速機。
  9. 前記モータは、押出容積を変更可能な可変容量型流体圧ポンプモータとを含み、各駆動ユニットにおける該可変容量型流体圧ポンプモータ同士が流体圧を授受可能に連結されていることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の車両用変速機。
  10. 前記可変容量型流体圧ポンプモータは、押出容積を正負の両方向に変化させることのできる両振り型流体圧ポンプモータを含むことを特徴とする請求項9に記載の車両用変速機。
  11. 前記モータは、発電機としての機能と電気モータとしての機能を備えているモータ・ジェネレータを含むことを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の車両用変速機。
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