JP2008037013A - コンパウンド製造装置、押出機用型およびコンパウンド製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】MFRが0.0g/10minの素材M10を押出機構A3にて混合しながらダイA5の押出口A5aから押し出すコンパウンド製造装置A10に、素材M10が流れる流路F1の断面積を変えることが可能な断面積可変機構A6を設け、該断面積可変機構A6を流れる素材にかかる圧力を調整可能とした。断面積可変機構A6を流路の途中に設け、流路を流れる素材M10にかかる圧力を、断面積可変機構A6が設けられた部分で上昇させ、断面積可変機構A6が設けられた部分から押出口A5aまでの間に下降させるようにしてもよい。
【選択図】図1
Description
すなわち、素材が流れる流路の断面積が上記断面積可変機構により変えられると、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力が調整される。
本発明では、上記断面積可変機構にて流路の断面積を変えることにより該断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整可能であるので、該断面積を変更した部分でコンパウンドの練りの状態を調節可能である。素材の種類等によりコンパウンドの練りの状態を最適にする圧力は異なるが、断面積可変機構により素材に応じた最適な圧力を素材にかけることができ、素材に最適な圧力がかかればコンパウンド中および成形品中で素材の構成成分の分散性を向上させることができる。また、同じ素材、同じ流路断面積であっても熱等の条件によって素材にかかる圧力が変わるが、条件が違っても断面積可変機構により素材にかかる圧力を一定に調節することができ、素材にかかる圧力が一定になればコンパウンド中および成形品中で素材の構成成分の分散性を一定にすることができる。
従って、非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを形成することができる。
請求項2に係る発明では、構成成分の分散性が良好な成形品を得るためのコンパウンドを製造する好適な構成を提供することができる。
請求項4に係る発明では、簡易な構造で断面積可変機構を構成することができる。
請求項5に係る発明では、コンパウンドを円滑に押し出すことができるので、単位時間当たりのコンパウンド製造量を増加させることができる。
(1)コンパウンド製造方法を含む成形品製造方法の説明:
(2)コンパウンド製造装置の説明:
(3)コンパウンド製造装置の動作およびコンパウンド製造方法の作用:
(4)各種変形例:
(5)実施例:
(6)まとめ:
図1は、本発明の一実施形態に係るコンパウンド製造装置を用いてコンパウンドを製造し、該コンパウンドを用いて成形品を製造する成形品製造方法を流れ図により示している。図2は、コンパウンド製造装置の構造の例を一部断面視して示している。
本成形品製造方法では、MFRが0.0g/10minの素材M10を押出機構A3にて混合しながらダイA5の押出口A5aから押し出して流動性の低いコンパウンドM20を生成し、該コンパウンドを少なくとも用いて成形を行って成形品M30を製造する。ここで、本発明に係るコンパウンド製造方法では、流動性の低い素材M10が流れる流路F1の断面積を変更可能な断面積可変機構A6にて該断面積を変える部分F2の素材にかかる圧力を調整してコンパウンドを製造する。
ここで、素材の崩壊性とは、素材の崩れる性質を意味し、いわゆるぼそぼそとした性状を意味する。充填材を含有する樹脂成形材料の場合、樹脂に対する充填材の配合割合が多いと充填材の周りに樹脂が行き渡らないため、素材は、結着性が低く、崩れやすくなる(崩壊性が大きくなる)。崩壊性を有する素材の場合、MFR測定用のシリンダに素材を入れても素材がシリンダ内を流れないので、MFRは0.0g/10minである。また、便宜上、JISによる上記試験方法でシリンダ内を流れない素材をMFR0.0g/10minの素材に含めてもよい。
充填材M1には、木質系材料、無機素材、金属素材、等の他、熱硬化性樹脂成形体等の樹脂成形体の粉砕物や破砕物、FRPの廃材の粉砕物や破砕物、等も用いることができ、形状は微粒状が好ましい。なお、本明細書において、微粒状は、粉末状ないしペレットよりも細かい粒状をいい、粉末状や微細な繊維状を含むものとする。
木質系材料に廃材等のリサイクル品を用いる場合、木質系材料の性状にばらつきがあることから、素材M10の性状にばらつきが生じる。本発明では、上記断面積可変機構により素材の練りを調節することができるので、コンパウンドおよび成形品の木質系材料の分散性を良好にさせることができる。
金属素材には、金、銀、鉄、ステンレス鋼、クロム合金、ニッケル合金、青銅、等を用いることができる。
微粒状の無機素材や金属素材は、ペレットの大きさよりも小さいのが好ましく、粒径としては0.001〜1000μmが好ましく、粒径をより揃えるために0.02〜500μm、0.1〜100μmの粒径としてもよい。素材M10中の充填材の配合割合は、生成される素材のMFRが0.0g/10minとなるようにすればよく、例えば、80〜99.9重量%、85〜99重量%、90〜98重量%とすることができる。
樹脂M2が溶融状態(流動状態)であれば、そのまま充填材M1と混合して軟化した素材とすることができる。なお、同じ条件下でMFRが大きい樹脂であるほどコンパウンドから成形品への成形が容易となるため、素材中の樹脂の配合割合をより少なくさせることができる。
充填材に微粒状の木質系材料を用いる場合、素材M10中の木質系材料の配合比を90重量%以上にすると、通常、素材M10はMFRが0.0g/10minとなる。ここで、試験温度を断面積変更部分F2における素材の温度とし、MFR測定装置のおもり(荷重)を2.16kgとする。
断面積可変機構A6は、コンパウンド製造装置A10内を流れる素材の流路F1の断面積を変えることにより、断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整可能とする。
ここで、素材が流れる流路F1の断面積が断面積可変機構A6により変更されると、断面積を変更した部分の素材にかかる圧力が変わる。
MFRが0.0g/10minである素材M10を用いるとき、素材M10の流動性が非常に低いために、断面積可変機構A6が無ければ、素材の温度や成分など素材の僅かな条件の違いでコンパウンドM20中で充填材M1等の分散性がばらつき、成形品M30中で充填材M1等の分散性がばらついてしまう。本発明では、断面積可変機構A6により流路F1の断面積を変更して該断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整することができるので、該断面積を変更した部分でコンパウンドの練りの状態を調節することができる。例えば、素材の種類や充填材の量の違い等によりコンパウンドの練りの状態を最適にする圧力は異なるが、断面積可変機構A6により素材に応じた最適な圧力を素材にかけることができ、素材に最適な圧力が加わればコンパウンド中および成形品中で充填材等の分散性を向上させることができる。また、同じ素材、同じ流路断面積であっても熱等の条件によって素材にかかる圧力が変わるが、条件が違っても断面積可変機構A6により素材にかかる圧力を一定にすることができ、素材にかかる圧力が一定になればコンパウンド中および成形品中で充填材等の分散性を一定にすることができる。
コンパウンドM20は、ホッパA21に投入されると押出機A22に送り込まれ、押出機構にて混合されながらダイA25に向かって移送され、ダイA25から押し出されて、切断機A23にて所定の長さに切断されて成形される。樹脂M2に熱可塑性樹脂を用いる場合、押出機A22に送り込まれたコンパウンドM20は、加熱機構A24で加熱されて樹脂M2が溶融し、溶融状態の樹脂M2と充填材M1と場合により第三の素材M3,M21とが押出機構にて混合されながらダイA25に向かって移送される。なお、押出成形品を冷却機構にて冷却してもよい。このようにして、成形品M30が製造される。
また、プレス成形装置A40にも、必要に応じてコンパウンドM20を加熱する加熱機構A41が設けられる。樹脂M2に熱可塑性樹脂を用いる場合、コンパウンドM20は、成形品M30の形状のプレス成形型内に充填され、加熱機構A41で加熱されて樹脂M2が溶融し、高い圧力がかけられて成形品M30の形状にプレス成形される。この場合も、プレス成形品を冷却機構にて冷却してもよい。
樹脂M2として熱可塑性樹脂を用いる場合、加熱機構A24,A31,A41にてコンパウンドを加熱すると、含まれる樹脂を溶融させることができるので好適である。
図2に示すように、上記コンパウンドM20を生成するコンパウンド製造装置10は、金属製ホッパ21、コンパウンドの押出方向D1を中心軸とした円筒形状の金属製本体部22、該本体部の中に挿入された金属製スクリュー24、該スクリューを回転駆動するスクリュー軸駆動モータ25、本体部22に併設されて当該本体部内を所定温度に加熱する加熱機(加熱機構)26、本体部22の素材出口側(図の右側)となる下流側端部に取り付けられた金属製の押出機用型30、を備えている。本体部22は、回転するスクリューを挿入させた内部に素材を入れて移送するための筒状のハウジングであり、バレルやシリンダとも呼ばれる。本体部22は、素材の流路F1を形成し、該流路の上流側の上部にホッパ21の原料供給口が取り付けられ、該流路の下流側端部に押出機用型30が取り付けられる。本体部22の内側に形成される流路F1は、上流側から、押出方向D1に対する断面積が略一定で大半スクリュー24が挿入された素材混練部F1aと、この素材混練部に続いて押出方向D1に対する断面積が下流側となるほど大きくなる流路拡大部F1bと、この流路拡大部に続いて押出方向D1に対する断面積が略一定のコンパウンド移送部F1cとを有している。このコンパウンド移送部F1cの先端部にある本体部22には、軸AX1を中心とした径方向外側へ延出したヘッド22aが形成されている。このヘッド22aには、ダイ40をボルト止めするためのボルト止め穴が形成されている。そして、ヘッド22aにダイ40が取り付けられて固定され、本体部22で形成される流路F1内に断面積可変機構50が配置される。
本実施形態の本体部22およびスクリュー24は長手方向を略水平に向けて配置され、素材の押出方向D1は略水平とされている。
加熱機26は、例えば、ヒータにより本体部22を加熱し、該本体部内の素材を加熱する。樹脂に熱可塑性樹脂を用いる場合、ヒータは本体部を介して熱可塑性樹脂を溶融させる温度に上昇させることができればよい。充填材に木質系材料を用いる場合、素材の温度が熱可塑性樹脂の融点よりも高く、木質系材料が炭化しない温度以下となるようにヒータの加熱温度を設定すると、木質系材料を炭化させずに両者を溶融混合することができる。
押出機用型30は、コンパウンドM20を押し出す押出口42を有する金属製ダイ40と、本体部22内で素材が流れる流路F1の断面積を変えることにより該断面積を変更した部分F2の素材にかかる圧力を調整可能な断面積可変機構50とを備えている。
ダイ40は、流路F1の外側および内側からコンパウンドの押出方向D1と平行にみたとき、押出口42を除いて中心軸AX1を中心として点対称の形状とされている。ダイ40は、外側に向かって中心軸AX1を中心とする短い略円柱状の凸部40aが形成され、中心軸AX1を中心とする外周部が内側に向かって延出した延出部40bとされ、中心軸AX1上に押出方向D1へ貫通した雌ねじ部44が形成され、該雌ねじ部を取り巻く形状で凸部40aの位置にて押出方向D1へ貫通した押出口42a〜cが形成され、凸部40aよりも径方向外側かつ延出部40bよりも径方向内側の位置にて押出方向D1へ貫通した複数のボルト止め穴46が形成されている。
延出部40bの内周面は、本体部のヘッド22aの外周をはめ込むことができる位置に形成されている。従って、ダイ40は、ヘッド22aの外周面で位置決めされ、複数のボルトで固定される。
押出口42a〜cは、雌ねじ部44を取り巻く形状に形成され、混合された低流動性素材を不定形の状態で押し出すようにされている。各押出口42a〜cは、略円弧状に形成され、軸AX1を中心とする幅W1がペレットの大きさよりも広くされている。なお、ペレットの径は通常3.0〜5.0mmであり、最大でも1.0〜8.0mmの範囲内であるので、幅W1は、8.0mmより大きく、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上とすればよい。幅W1の上限は、特に制限はないが、例えば流路の素材混練部F1aの半径d1以下とすればよい。押出口42a〜cの周方向の長さW2(円弧の周の長さに相当)も、8.0mmより大きく、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上とすればよい。押出口は、幅W1および周方向の長さW2の条件を満たす限り、一つでも、複数でもよい。
なお、押出口42が凸部40aに設けられているので、押し出されて落下するコンパウンドがボルト止め穴46に付着せず、ダイを交換する際にボルト止め穴からコンパウンドを除去する必要が無い。
以上により、断面積可変機構50が流路F1の途中に設けられ、流路F1を流れる素材にかかる圧力は、断面積可変機構が設けられた部分F2で所定の圧力まで上昇し、断面積可変機構が設けられた部分F2から押出口42までの間に下降する。また、流路拡大部F1bに挿入された可動部材52は、流路の下流側となるほど拡がった形状であるため、流路F1が断面積変更部分F2から下流側に向かって徐々に拡がっている。
固定部材54は、円筒形状に形成され、可動部材の立設方向D2に向けてダイ40の内側に立設されて、可動部材の基部52bの外周を覆っている。可動部材52は、固定部材54の内周面に摺動しながら該固定部材に対して立設方向D2および押出方向D1へ水平移動する。
止めナット57は、例えば六角ナットとされ、ダイ40と操作部56との間で雄ねじ部53と螺合している。この止めナット57をレンチやスパナ等の操作によりダイ40側に向けて締め付けると、コンパウンド製造時の振動等による可動部材の移動を防ぐことができる。
なお、素材M10が流れる流路F1の断面積は、素材M10が流れる方向に対して垂直な断面における流路F1の面積と定義することができる。むろん、便宜上、本体部22やスクリュー24の中心軸AX1に沿った押出方向D1に対して垂直な断面における流路F1の面積を、流路の断面積としてもよい。この定義の断面積を変えることによっても、断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整することが可能であり、本発明が実施されていると言える。
本実施形態では、ダイの押出口の幅W1および周方向の長さW2をペレットの大きさ以上として、素材の排出圧力Peを25.0MPa未満と小さくし、押出口からコンパウンドが円滑に押し出されるようにしている。コンパウンドの排出圧力の観点から、押出口は、素材の排出圧力Peを5.0MPa以下、より好ましくは3.0MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以下にさせる形状とすればよい。例えば、押出口の幅W1と周方向の長さW2の短い方を長くすれば排出圧力を小さくすることができる。すると、単位時間あたり不定形のコンパウンドを大量に押し出すことができるので、コンパウンドを大量生産することができる。また、押出口の幅W1および周方向の長さW2を調節することによって、排出圧力Peを調整することができる。
以下、本コンパウンド製造方法の作用を本コンパウンド製造装置10の動作とともに説明する。
押出機用型30を押出機20に取り付ける際には、以下のようにすればよい。
まず、可動部材52をヘッド22a側から本体部22内に挿入し、ダイの延出部40bの内周面にヘッド22aをはめ込む。このとき、ヘッド22aの各ボルト止め穴にダイの各ボルト止め穴46を合わせて位置決めする。そして、ダイのボルト止め穴46およびヘッド22aのボルト止め穴にボルトを挿入してボルト止めすることにより、押出機用型30が本体部22の下流側端部に取り付けられ、ダイ40がヘッド22aに固定される。
まず、止めナット57をレンチ等の操作により緩める。次に、操作部56をレンチ等で操作し、断面積変更部分F2を所望の断面積にする所望の位置まで可動部材52を進退させるように回転させながら水平移動させる。最後に、止めナット57をレンチ等の操作により締める。これにより、可動部材52は、所望の位置で固定され、断面積変更部分F2が所望の断面積にされる。
まず、MFRが0.0g/10minとなる流動性の低い素材M10が形成されるように、充填材M1と樹脂M2と必要に応じて第三の素材M3を用意する。これらの素材M1〜M3がホッパ21に投入されると、素材M1〜M3は本体部22内に送り込まれ、回転するスクリュー24により混練されて、素材M10となる。樹脂M2が熱可塑性樹脂であれば、加熱機26による加熱により樹脂が溶融し、素材が軟化する。素材は、スクリュー24にて混練されながら断面積可変機構の可動部材52に向かって水平方向に移送される。
また、断面積可変機構が設けられた部分F2から下流側の流路の断面積は、断面積可変機構が設けられた部分F2の流路の断面積よりも大きくされている。これにより、断面積変更部分F2を通り過ぎた素材は、圧力が下降する。なお、流路F1が断面積変更部分F2から下流側に向かって徐々に拡がっているため、流路F1を流れる素材にかかる圧力は、断面積可変機構が設けられた部分F2から徐々に低下する。その結果、素材に十分な練りが与えられ、コンパウンドおよび成形品における充填材の分散性を向上させることができる。
しかし、崩壊性を有するなどMFRが0.0g/10minであったりする素材を用いてコンパウンドを生成し、成形品を形成するとき、素材の流動性が非常に低いために、上記断面積可変機構が無ければ、素材の条件が少し違うだけでコンパウンド中および成形品中で充填材の分散性がばらつき、充填材の分散性が不十分なコンパウンドおよび成形品が得られることがある。これは、押出機構を用いてコンパウンドを生成するときに流動性の低い素材にかかる圧力にばらつきが生じるためと推察される。
本発明では、上記断面積可変機構50にて流路F1の断面積を変えることにより該断面積を変更した部分F2の素材にかかる圧力を調整することができるので、該断面積を変更した部分F2でコンパウンドの練りの状態を調節することが可能になる。例えば、コンパウンドを少量製造したとき目視や顕微鏡観察等によりコンパウンドの練りが少なく充填材の分散が不十分であることが確認されると、操作部56を操作することにより、図5の上段に示すように本体部22の内壁と可動部材52との間隔Lを狭くして素材にかかる圧力を高くさせればよい。すると、コンパウンドの練りが十分となり、充填材が十分に分散するようになる。逆に、コンパウンドを少量製造したとき目視や顕微鏡観察等によりコンパウンドの練りが強すぎコンパウンドが褐変しすぎていることが確認されると、操作部56を操作することにより、図5の上段に示すように本体部22の内壁と可動部材52との間隔Lを広くして素材にかかる圧力を低くさせればよい。すると、コンパウンドの練りが適正となり、コンパウンドの褐変を防ぐことができる。
なお、素材の密度が変化するからこそ、断面積可変機構によって流路の断面積を変えることにより圧力が変化する。充填材の配合割合が樹脂の配合割合よりも少ないフィラー低充填の樹脂成形材料では、密度が変化しないため、素材が流れる流路の断面積を変更したとしても素材の流速が変わるだけであり、素材にかかる圧力は変化しない。
充填材に木質系材料を用い、素材M10中の充填材の配合比を80〜99重量%、樹脂(好ましくは熱可塑性樹脂)の配合比を1〜20重量%とする場合、断面積可変機構が設けられた部分F2で素材の密度が0.95〜1.30g/cm3、より好ましくは1.00〜1.20g/cm3となるように流路の断面積を調整すると、コンパウンド中で樹脂がまんべんなく行き渡り均質で充填材の分散性が良好なコンパウンドが得られる。なお、素材の密度を前記下限以上にするとコンパウンドが十分に均質となり、素材の密度を前記上限以下にすると木質系材料を褐変させすぎないようにすることができる。
成形品を形成するためのコンパウンドは、MFRが0.0g/10minと非常に流動性の低い素材であるにもかかわらず、充填材が十分に分散している。従って、充填材の分散性が良好な成形品が得られる。
また、本体部はダイと比べて高価であるが、断面積可変機構がダイに設けられているので、断面積可変機構を有するコンパウンド製造装置を安価に構成することができる。さらに、流路の外側から流路の断面積を変更することができるので、素材にかかる圧力を調整する操作が容易となる。
さらに、本体部の流路拡大部に可動部材の先端部が挿入され、かつ、該可動部材が流路拡大部に向かって進退するようにされているので、簡易な構造で断面積可変機構が構成される。
さらに、ダイの押出口が流動性の低い素材を不定形の状態で押し出すようにされているので、コンパウンドが円滑に押し出され、単位時間当たりのコンパウンド製造量を増加させることができる。
上述した断面積可変機構は、ダイに設けられると安価に構成される点で好適であるものの、押出機の本体部に設けられてもよいし、本体部やダイとは別に設けられてもよい。上記可動部材は、コンパウンドの押出方向D1と平行に移動可能とされると構造が簡単となる点で好適であるものの、押出方向D1とは異なる方向、例えば、押出方向とは垂直な方向へ移動可能とされてもよい。
また、押出機が素材を押し出す方向は、水平方向以外にも、水平方向からずれた方向、例えば、鉛直方向とされてもよい。
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
本試験例は、素材の流動性の違いによる充填材の分散性の違いをみた予備試験の例である。
充填材として、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を用いた。熱可塑性樹脂の主成分として、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)を用いた。熱可塑性樹脂の副成分として、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)を用いた。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。ただし、この混練押出機の下流側端部には、押出機用型を取り付けなかった。
本実施例は、混練押出機の本体部の内壁と断面積可変機構の可動部材との間隔Lを変更することにより、成形品中の充填材の分散性を調節した実施例である。
充填材として、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を用いた。熱可塑性樹脂の主成分として、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)を用いた。熱可塑性樹脂の副成分として、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)を用いた。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。この混練押出機の下流側端部には、図2〜図5に示す押出機用型を取り付けた。
試験区1 試験区2 試験区3
間隔L 3.0mm 2.0mm 1.0mm
なお、間隔Lが1.0mmと狭いと、木粉の褐変が強くなりすぎるため、本実施例では間隔Lを1.0mmより広く3.0mmより狭くすることが好ましいことが示されている。
以上より、混練押出機の本体部とダイの可動部材との間隔Lが固定されているとコンパウンドの練りが不十分となって成形品の曲げ強度がばらつき、成形品中の充填材の分散性が不十分となる場合があるが、同間隔Lを変えることによりコンパウンドの練りが十分となり、成形品中の充填材の分散性が向上することがわかった。
従って、フィラー高充填の極めて流動性の低い素材を用いてコンパウンドを生成し、成形品を形成する場合でも、本発明の断面積可変機構によって素材が流れる流路の断面積を変えて該断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整することにより、コンパウンドの練りを適度にさせ、充填材の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを製造することが可能になることが確認された。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを製造することが可能になる。
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
20…押出機、22,A2…本体部、
24…スクリュー(押出機構の一部)、25…モータ(押出機構の一部)、
30…押出機用型、
40,A5…ダイ、42…押出口、44…雌ねじ部、46…ボルト止め穴、
50,A6…断面積可変機構、
52…可動部材、53…雄ねじ部、
54…固定部材、
56…操作部、57…止めナット、
D1…押出方向、D2…可動部材の立設方向、
F1…流路、F1b…流路拡大部、
F2…断面積可変機構が設けられた部分、
M10…低流動性の素材、
M20…コンパウンド、
M30…成形品、
Claims (7)
- JIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が0.0g/10minの素材を押出機構にて混合しながらダイの押出口から押し出すコンパウンド製造装置であって、
前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構を備え、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力を調整可能としたことを特徴とするコンパウンド製造装置。
ただし、前記素材は、前記断面積を変える部分における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材とする。 - 前記断面積可変機構を前記流路の途中に設け、前記流路を流れる素材にかかる圧力を、前記断面積可変機構が設けられた部分で所定の圧力まで上昇させ、前記断面積可変機構が設けられた部分から前記押出口までの間に下降させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンパウンド製造装置。
- 前記流路を形成するとともに該流路の下流側端部に前記ダイを取り付けた本体部が設けられ、
前記断面積可変機構は、前記ダイから前記本体部内に向かって立設された可動部材と、前記流路の外側からの操作により前記流路の断面積を変えるように前記可動部材を移動させる操作部とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンパウンド製造装置。 - 前記本体部の流路は、下流側となるほど拡がった流路拡大部を有し、
前記可動部材は、前記流路拡大部の形状に合わせて上流側となるほど細くなった先端部を有し、前記ダイから立設された方向へ進退することにより前記流路拡大部との間隔を変更させる部材とされ、
前記操作部は、前記ダイから前記本体部とは反対側となる位置に設けられ、該位置での操作により前記可動部材を前記ダイから立設された方向へ進退させることを特徴とする請求項3に記載のコンパウンド製造装置。 - 前記可動部材は、前記先端部から前記ダイを貫通して前記操作部に繋がり外周面に雄ねじが形成された雄ねじ部を有し、
前記ダイは、前記雄ねじ部を貫通させながら螺合させる雌ねじ部が形成され、
前記押出口は、前記雌ねじ部を取り巻く形状に形成され、混合された前記素材を不定形の状態で押し出すようにされていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のコンパウンド製造装置。 - JIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が0.0g/10minの素材を押し出す流路の下流側端部に取り付けられる押出機用型であって、
前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構を備え、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力を調整可能としたことを特徴とする押出機用型。
ただし、前記素材は、前記断面積を変える部分における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材とする。 - JIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が0.0g/10minの素材を押出機構にて混合しながらダイの押出口から押し出すコンパウンド製造方法であって、
前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構にて該断面積を変える部分の素材にかかる圧力を調整してコンパウンドを製造することを特徴とするコンパウンド製造方法。
ただし、前記素材は、前記断面積を変える部分における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材とする。
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