JP2008036731A - 切削工具及び切削方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミスト吐出スイッチをオンと同時にオイルミストを加工点に供給でき、切削加工におけるサイクルタイムを短縮できる切削工具を提供する。
【解決手段】回転する工具本体4の外周面4aに固定された切れ刃7、8で被削物を研削する加工点に向かってオイルミストを吹き付けながら研削を行う切削工具1において、工具本体4には、切れ刃7、8の近傍部を開口12、13とし、この開口12、13までオイルの状態のまま切削油を供給する切削油供給路9、10と、切削油供給路9、10の開口12、13に連接し且つ前記外周面4aに噴出口14、15を有するエアー供給路11とが設けられ、工具本体4の回転による遠心力と負圧により、切削油供給路9、10とエアー供給路11の交点で前記切削油と前記エアーとを混合させてオイルミストとする。
【選択図】図2
【解決手段】回転する工具本体4の外周面4aに固定された切れ刃7、8で被削物を研削する加工点に向かってオイルミストを吹き付けながら研削を行う切削工具1において、工具本体4には、切れ刃7、8の近傍部を開口12、13とし、この開口12、13までオイルの状態のまま切削油を供給する切削油供給路9、10と、切削油供給路9、10の開口12、13に連接し且つ前記外周面4aに噴出口14、15を有するエアー供給路11とが設けられ、工具本体4の回転による遠心力と負圧により、切削油供給路9、10とエアー供給路11の交点で前記切削油と前記エアーとを混合させてオイルミストとする。
【選択図】図2
Description
本発明は、切削油をエアーで混合させてミスト状にして吹き付けながら研削を行う切削工具及び切削方法に関する。
シリンダーブロックボアファインボーリング工具(以下、単にボーリング工具と言う)は、シリンダの内壁を切削する装置であり、荒加工用と仕上げ加工用の工具が両端にある。
このボーリング工具では、荒加工用工具がワークと接した状態で回転しながら下降して荒加工を行い、シリンダ下端にて仕上げ加工用工具が突出し、ワークと接した状態で回転しながら上昇し仕上げ加工を行う。
このとき、ボーリング工具内部に形成した配管から加工点にミスト状の極微量の切削油(オイルミスト)を供給しながら加工を行う。オイルミストは、工具の外部で切削油とエアーとをミキシングすることによって生成され、工具内部の配管を通して加工点に供給される。オイルミストを加工点に噴き付けて切削加工する切削工具としては、例えば特許文献1に記載された技術が開示されている。
特開2005−81459号公報
しかし、前記した切削工具では、ボーリング加工を行う回転数にてミスト吐出スイッチをオンすると、ミスト吐出レスポンスが悪く、スイッチオンから2〜3分後にオイルミストが吐出される。そのため、この切削工具では、量産ラインの実用的なサイクルタイムを前提とした場合、サイクルタイムの短縮を実現することはできない。
その原因は、高回転で工具が回転することと、オイルミストを供給するための配管が円筒形状で壁面はストレートであることにより、回転による遠心力によって壁面にオイルミストが衝突、液化して付着し、ミスト吐出スイッチオンと同時にオイルミストが加工点へ供給されない。
そこで、本発明は、ミスト吐出スイッチをオンと同時にオイルミストを加工点に供給でき、切削加工におけるサイクルタイムを短縮できる切削工具及び切削方法を提供する。
本発明は、回転する工具本体の外周面に固定された切れ刃で被削物を研削する加工点に向かってオイルミストを吹き付けながら研削を行う切削工具において、前記工具本体には、前記切れ刃の近傍部を開口とし、この開口までオイルの状態のまま切削油を供給する切削油供給路と、前記切削油供給路の前記開口に連接し且つ前記外周面に噴出口を有するエアー供給路とが設けられ、前記工具本体の回転による遠心力と負圧により、前記切削油供給路と前記エアー供給路の交点で前記切削油と前記エアーとを混合させてオイルミストとすることを特徴とする。
本発明によれば、切削油供給路の開口を切れ刃の近傍部に設け、その切削油供給路とエアー供給路の交点で、オイル状態のままこの開口まで供給される切削油と前記エアー供給路から供給されるエアーとを混合させてオイルミストとしているので、路内壁に付着することなくレスポンス良く加工点にオイルミストを供給することができる。したがって、本発明によれば、切削加工におけるサイクルタイムを短縮することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施の形態の切削工具を示す正面図、図2は本実施の形態の切削工具の断面図、図3は図2のA−A線位置における要部拡大断面図、図4は切削油供給路とエアー供給路の交点部分における該エアー供給路の傾斜角度を決めるための図、図5は従来構造の切削工具でミスト吐出スイッチをオンしたときの吐出時間とオイルミスト吐出量を示す図、図6は路内壁にオイルミストが付着した状態を示す図である。
本実施の形態の切削工具1は、例えば被削物であるシリンダーブロック2のシリンダボア内に設けられたシリンダライナ3の内面3aを研削するもので、シリンダボア内に挿入される工具本体4と、この工具本体4を回転機構部にチャッキングさせる装着部5とを有している。
工具本体4は、軸方向の略中央部分に凹み6を有した円柱体として形成され、その外周面4aの下端寄りの位置に2つの切れ刃7、8が設けられている。これら切れ刃7、8のうち、一方が荒加工用で他方が仕上げ用の切れ刃とされる。
装着部5は、工具本体4よりも大径の高さの低い円柱体として形成されており、当該工具本体4と一体化されている。
そして、この工具本体4には、図2に示すように、各切れ刃7、8にそれぞれ切削油を供給するための切削油供給路9、10と、この切削油供給路9、10に供給された切削油にエアーを供給してオイルミストとするエアー供給路11とが設けられている。
切削油供給路9、10は、装着部5の端面5aから工具本体4の軸芯と平行に下端へと形成される垂直路9A、10Aと、その垂直路9A、10Aの下端より切れ刃7、8に向かって傾斜する傾斜路9B、10Bとからなり、その傾斜路9B、10Bの開口12、13を前記切れ刃7、8の近傍部としている。
前記垂直路9A、10Aは、後述するエアー供給路11の垂直路11Aを挟んでその両側にそれぞれ設けられている。傾斜路9B、10Bは、切削油が重力によって自ずと切れ刃7、8の近傍部まで流れるように工具本体4の外周面4a外側へ向かって下方斜めに形成されている。この切削油供給路9、10は、内部に切削油を流通させる円筒形状の流路管を切削工具1に埋め込むことによって構成されている。
前記流路管16は、図3に示すように、その先端部が後述するエアー供給路11の分岐管11B、11Cの内部に突出している。そして、この分岐管11B、11Cの内部に突出する前記流路管16の側面に、前記開口12、13に向かって切削油を噴出させるオイル噴出口17が形成されている。かかるオイル噴出口17は、分岐管11B、11Cの流路径に対して極小さな孔径とされ、エアーと混合してミスト化するに最適な寸法とされている。
エアー供給路11は、装着部5の端面5aから工具本体4の軸中心に沿って下端へと形成される垂直路11Aと、この垂直路11Aから各切れ刃7、8へと分岐する分岐路11B、11Cとからなり、その分岐路11B、11Cの先端である噴出口14、15を前記工具本体4の外周面4aに開口させている。
分岐路11B、11Cは、前記切削油供給路9、10の開口12、13と連接し、前記工具本体4の軸中心に対して所定の傾斜角度θを持って傾斜されている。この傾斜角度θは、図4に示すように、工具本体4が回転する際の遠心力F1と、エアーを噴き出すエアー噴き出し力F2と、オイルミストOMに働く重力F3と、工具移動速度によりオイルミストに作用する力F4とにより決定される。
すなわち、前記傾斜角度θは、オイルミストOMに作用する遠心力F1とエアー噴き出し力F2との総和力F12と、オイルミストOMに働く重力F3と工具移動速度によりオイルミストOMに作用する力F4との総和F34と、からなる合力Fで決まる。
そして、この切削工具1では、シリンダライナ3の内面3aと切れ刃7、8とが接触した状態で回転しながら下降して荒加工用の切れ刃で荒加工がなされた後、シリンダボア下端で仕上げ用の切れ刃が突出して今度は上昇しながら仕上げ加工が行われる。切削加工時には、ミスト吐出スイッチがオンされ、切れ刃7、8の近傍に設けられた噴出口14、15からオイルミストが加工点に向かって噴出される。
この時、切削工具1の外部で切削油とエアーとを混合してミスト化したオイルミストを工具本体内部に設けた流路を通して供給した場合には、図5に示すように、ミスト吐出スイッチがオンとなっても直ちにはオイルミストが噴出されず、しばらく時間が経ってから(2〜3分後に)吐出される状態になる。これは、図6に示すように、流路18の内壁18aにオイルミストOMが衝突して液化し、液化ミストOM1が内壁18aに付着するためである。
本実施の形態では、オイルミストの状態で切削工具1に形成された流路に供給するのではなく、切削油とエアーとを別々の経路でそれぞれ供給し、噴出口14、15の近傍部でこれら切削油とエアーとを混合させてミスト化し、そのミスト化したオイルミストOMを加工点に噴出させる。具体的には、切削油は、エアー供給路11とは別経路とした切削油供給路9、10に供給する。この切削油供給路9、10に供給された切削油は、オイルの状態を保ったまま垂直路9A、10Aから傾斜路9B、10Bへとそのオイルの自重によって流れ、加工前の回転停止状態では、オイルの表面張力でその開口12、13部分にオイルが保持された状態とされる。
そして、停止状態から切削工具1が回転してエアー供給路11にエアーが供給されると、その垂直路11Aから分岐管11B、11Cへとエアーが流れる。供給されたエアーと工具本体4の回転による遠心力及び負圧とにより、この分岐管11B、11Cの内部に突出した流路管16に形成されたオイル噴出口17から噴き出された切削油はミスト化し、オイルミストOMとなって噴出口14、15から加工点に向かって噴出せしめられる。
このように、本実施の形態によれば、切削油供給路9、10の開口12、13を切れ刃7、8の近傍部に設け、その切削油供給路9、10とエアー供給路11の交点で、オイル状態のままこの開口12、13まで供給される切削油と前記エアー供給路11から供給されるエアーとを混合させてオイルミストOMとしているので、路内壁に付着することなくレスポンス良く加工点にオイルミストOMを供給することができる。したがって、本発明によれば、切削加工におけるサイクルタイムを短縮することができる。
また、本実施の形態によれば、切削油供給路9、10とエアー供給路11の交点における供給路である分岐管11B、11Cを、工具本体4の軸中心に対して傾斜させているので、オイルミストOMを路内壁に衝突することなく加工点に供給することができる。
1…切削工具
2…シリンダーブロック
3…シリンダライナ(被削材)
4…工具本体
5…装着部
7、8…切れ刃
9、10…切削油供給路
11…エアー供給路
11B、11C…分岐路
12、13…開口
14、15…噴出口
17…オイル噴出口
2…シリンダーブロック
3…シリンダライナ(被削材)
4…工具本体
5…装着部
7、8…切れ刃
9、10…切削油供給路
11…エアー供給路
11B、11C…分岐路
12、13…開口
14、15…噴出口
17…オイル噴出口
Claims (5)
- 回転する工具本体の外周面に固定された切れ刃で被削物を研削する加工点に向かってオイルミストを吹き付けながら研削を行う切削工具において、
前記工具本体には、前記切れ刃の近傍部を開口とし、この開口までオイルの状態のまま切削油を供給する切削油供給路と、前記切削油供給路の前記開口に連接し且つ前記外周面に噴出口を有するエアー供給路とが設けられ、
前記工具本体の回転による遠心力と負圧により、前記切削油供給路と前記エアー供給路の交点で前記切削油と前記エアーとを混合させてオイルミストとする
ことを特徴とする切削工具。 - 請求項1に記載の切削工具であって、
前記エアー供給路のうち前記切削油供給路と該エアー供給路の交点における供給路は、前記工具本体の軸中心に対して傾斜されている
ことを特徴とする切削工具。 - 請求項2に記載の切削工具であって、
前記傾斜の角度は、前記工具本体が回転する際の遠心力と、前記エアーを噴き出すエアー噴き出し力と、前記オイルミストに働く重力と、工具移動速度とにより決定される
ことを特徴とする切削工具。 - 請求項1から請求項3の何れか一つに記載の切削工具であって、
前記切れ刃は、前記工具本体に少なくとも2つ設けられており、そのうち一つは荒加工用の切れ刃であり、もう一つは仕上げ加工用の切れ刃である
ことを特徴とする切削工具。 - 回転する工具本体の外周面に固定された切れ刃で被削物を研削する加工点に向かってオイルミストを吹き付けながら研削を行う切削方法において、
前記工具本体の回転による遠心力と負圧により、前記加工点近傍部でオイル状態の切削油をエアーと混合させてミスト化し、そのミスト化したオイルミストを前記加工点に噴出させる
ことを特徴とする切削方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006210881A JP2008036731A (ja) | 2006-08-02 | 2006-08-02 | 切削工具及び切削方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006210881A JP2008036731A (ja) | 2006-08-02 | 2006-08-02 | 切削工具及び切削方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008036731A true JP2008036731A (ja) | 2008-02-21 |
Family
ID=39172337
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006210881A Pending JP2008036731A (ja) | 2006-08-02 | 2006-08-02 | 切削工具及び切削方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008036731A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2501511A (en) * | 2012-04-26 | 2013-10-30 | Airbus Uk Ltd | Cutting tool with internal mql supply |
WO2014183742A3 (de) * | 2013-05-15 | 2014-12-31 | Gühring KG | Systemwerkzeug und werkzeug zur spanabhebenden bearbeitung |
JP2015074043A (ja) * | 2013-10-08 | 2015-04-20 | 富士重工業株式会社 | 切削工具および切削装置 |
CN110587003A (zh) * | 2019-10-08 | 2019-12-20 | 哈尔滨理工大学 | 一种低温微量润滑切削加工混合喷液式盘铣刀 |
-
2006
- 2006-08-02 JP JP2006210881A patent/JP2008036731A/ja active Pending
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JP2015074043A (ja) * | 2013-10-08 | 2015-04-20 | 富士重工業株式会社 | 切削工具および切削装置 |
CN110587003A (zh) * | 2019-10-08 | 2019-12-20 | 哈尔滨理工大学 | 一种低温微量润滑切削加工混合喷液式盘铣刀 |
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