JP2008029102A - 車両交流発電機の回転子及びその製造方法 - Google Patents

車両交流発電機の回転子及びその製造方法 Download PDF

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延広 塩谷
Shigenobu Nakamura
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Abstract

【課題】界磁コイルの樹脂ボビンのフランジ部から爪状磁極部間の谷底部に沿いつつ軸方向へ突出する軸方向突出部のクラックを良好に防止可能な車両交流発電機の回転子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂ボビン5から界磁鉄心2、3のディスク部22の谷底部26の表面に面しつつ軸方向外側へ突出する軸方向突出部55とディスク部22の谷底部26の間の隙間に柔軟性に富み必要な耐熱性を有するスペーサ56が介挿される。これにより、樹脂ボビン5の軸方向突出部55のクラックを防止することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用交流発電機の回転子及びその製造方法に関し、特に、その樹脂ボビンの改良に関する。
車両用交流発電機のランデル型ロータコア(界磁鉄心)は、周方向に隣接する前記爪状磁極の間に位置して径方向最内側に存在する略U字状の谷底部を有している。界磁鉄心は、樹脂ボビンに巻装された界磁コイルを装備している。たとえば下記の特許文献1、2に開示されるように、樹脂ボビンは、界磁コイルが巻回される巻胴部と、巻胴部の両端から径方向外側に伸びるフランジ部と、フランジ部から界磁鉄心の谷底部の表面に沿いつつ軸方向外側へ延在する軸方向突出部とを有している。
更に詳しく説明すると、特許文献1の樹脂ボビンは、各谷底部のうち、2箇所のコイル線引き出し部を除く他の谷底部に面して軸方向突出部をもつ。また、特許文献2は、この2箇所のコイル線引き出し部においても軸方向の突出部をもつ。この軸方向突出部は、界磁コイルと界磁鉄心との沿面放電距離の増大を図ることにより、外部からの水(特にカーシャンプーや融雪塩水などの電解液)の侵入により界磁コイルと界磁鉄心との電気絶縁性能の悪化を防止する機能を有している。
界磁コイルには界磁コイルの電気絶縁性の向上及び機械的強度の向上のために樹脂含浸樹処理がなされる。具体的に説明すると、回転子組み付け完了後、粉体または液状の熱硬化樹脂を加熱した回転子の上方から滴下して硬化させることにより、界磁コイルへの樹脂含浸、及び、界磁コイルと樹脂ボビンとの固着がなされ、その後、回転子が冷却されてこの界磁コイル間及び界磁コイルと樹脂ボビンとの間への樹脂含浸処理工程が終了する。熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂などの耐熱性樹脂を採用するのが通常である。
特開平8−331786号公報 特開2002−335661号公報
本発明者らは、上記した熱硬化樹脂含浸処理を行うと、樹脂ボビンの軸方向突出部にクラックが発生する可能性が存在することに初めて気がついた。この問題について、以下に説明する。
樹脂ボビンに巻装された界磁コイルへの含浸固着処理に用いられるエポキシなどの熱硬化樹脂(含浸樹脂)の重合硬化後の延性(すなわち弾性率)は、ナイロンなどの変形性に優れた比較的軟質の樹脂により成形される樹脂ボビンのそれに較べて格段に小さい。
上記した熱硬化樹脂の含浸処理では、液状の熱硬化樹脂(含浸樹脂)が、爪状磁極部間の谷底部の表面とそれに対面する樹脂ボビンの軸方向突出部との間に浸透し、軸方向突出部が硬化した含浸樹脂部により谷底部の表面に強固に固着されてしまう可能性がある。
硬化した熱硬化樹脂(含浸樹脂)により軸方向突出部が界磁鉄心の谷底部に固着されると、軸方向突出部にクラックが生じる可能性があることがわかった。更に説明すると、加熱状態の回転子の界磁コイルに熱硬化樹脂を滴下し、重合固化した後、冷却する際、熱硬化樹脂の熱膨脹係数は界磁鉄心のそれより格段に大きいため、界磁鉄心の谷底部と軸方向突出部との間にて固化した熱硬化樹脂は谷底部から大きな引っ張り力を与えられ、クラックが生じる可能性がある。この時、樹脂ボビンの軸方向突出部が熱硬化樹脂と固着していると、軸方向突出部にもクラックが生じる可能性を考慮する必要が生じた。
この問題について更に詳しく説明する。
既述したように、樹脂ボビンの軸方向突出部の延性(変形性)は、それに固着している熱硬化樹脂よりも大幅に優れている。しかし、両者が一体化した状態にて熱硬化樹脂にクラックが生じた後、このクラック部分に隣接する軸方向突出部の部分(クラック隣接部分)に、熱硬化樹脂及び軸方向突出部の引っ張り応力が集中することになり、クラック隣接部分にクラックが生じる可能性がある。この状態を図8に示す。軸方向突出部にこのようなクラックが生じると、界磁コイルと界磁鉄心との間の沿面放電距離が短縮され、界磁コイルの電気絶縁性が低下することが懸念される。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、界磁コイルの樹脂ボビンのフランジ部から爪状磁極部間の谷底部に沿いつつ軸方向へ突出する軸方向突出部におけるクラック発生を良好に防止可能な車両交流発電機の回転子及びその製造方法を提供することをその目的としている。
上記課題を解決する各発明は、回転軸に嵌着されるボス部と、放射状に突設される複数の柱部及び前記柱部の間に位置して径方向内側へ凹設される複数の谷部を周方向交互に有して前記ボス部の軸方向外端部から径方向外側に延在するディスク部と、前記柱部の先端から個別に軸方向へ延在する複数の爪状磁極とを有し、前記各谷部の径方向最内側部分は略U字状の谷底部をなす界磁鉄心と、前記界磁鉄心のボス部に嵌着される樹脂ボビンと、前記樹脂ボビンに巻装される界磁コイルと、前記界磁鉄心に嵌め込まれた前記界磁コイル及び樹脂ボビンに被着された後、熱硬化されてなる熱硬化性の含浸樹脂部とを備え、前記樹脂ボビンは、前記界磁コイルが巻回された円筒状の巻胴部と、前記巻胴部の両端から径方向外側へ突設された一対のフランジ部と、前記フランジ部から前記界磁鉄心の前記谷底部の表面に沿いつつ軸方向外側へ延設された軸方向突出部とを有し、熱硬化後の前記含浸樹脂部は、前記樹脂ボビンよりも変形性に劣る特性をもつ車両交流発電機の回転子に適用される。この種の車両交流発電機の回転子の構造は広く量産されており、周知となっている。
第1発明は、前記樹脂ボビンの前記軸方向突出部とこの軸方向突出部に対面する前記界磁鉄心の前記谷底部との間の隙間内における前記含浸樹脂部の形成を抑制する熱硬化樹脂侵入抑制構造を有することを特徴としている。
すなわち、この第1発明によれば、爪状磁極部の間の略U字部(谷底部)に沿いつつ軸方向外側へ突出する樹脂ボビンの軸方向突出部と、谷底部との間の隙間への熱硬化樹脂(含浸樹脂)の侵入を抑止する構造を有するので、上記した軸方向突出部のクラックを良好に防止することができる。
好適な製造方法において、前記熱硬化樹脂侵入抑制構造は、前記樹脂ボビンよりも軟質素材からなるとともに、少なくとも前記含浸樹脂部の前記加熱硬化処理以前に前記隙間に介挿された電気絶縁性のスペーサにより構成される。このようにすれば、軸方向突出部よりも柔軟なスペーサを軸方向突出部と谷底部との間の隙間に配置するため、軸方向突出部が熱硬化樹脂(含浸樹脂)により界磁鉄心の谷底部に固着されてクラックが生じるのを良好に防止することができる。この軟質なスペーサとしては、たとえば耐熱性および可撓性に優れた電気絶縁部材であるシリコンゴムなどが好適である。
好適な製造方法において、前記熱硬化樹脂侵入抑制構造は、少なくとも前記含浸樹脂部の前記被着以前に、前記樹脂ボビンの前記軸方向突出部の表面、及び、前記軸方向突出部に対面する前記界磁鉄心の前記谷底部の表面の少なくとも一方に形成された低摩擦係数の被膜により構成される。このようにすれば、軸方向突出部と熱硬化樹脂からなる含浸樹脂部との結合性を低下できるため、含浸樹脂部にクラックが生じても、含浸樹脂の引っ張り応力がクラック近傍の軸方向突出部に集中した場合に、それにより、軸方向突出部と含浸樹脂との間に滑りが生じて、軸方向突出部のクラック発生を防止することができる。
好適な態様において、前記熱硬化樹脂侵入抑制構造は、前記樹脂ボビンの前記軸方向突出部の周縁部に位置して前記界磁鉄心の前記谷底部に向けて突出して前記谷底部の表面に密着することにより、前記隙間内における前記含浸樹脂部の形成を抑止するリブにより構成されている。このようにすれば、界磁コイルへの熱硬化樹脂液の含浸に際して、熱硬化樹脂液が軸方向突出部と谷底部との間の隙間に侵入するのを良好に防止することができる。なお、リブは、軸方向突出部の周縁部全周に設けても良く、部分的に設けても良い。後者の場合には、含浸樹脂が侵入しやすい部位にリブを配置することが好適であることはもちろんである。
第2発明は、前記樹脂ボビンの前記軸方向突出部が、前記絶縁ボビンの前記ディスク部よりも厚く、かつ、前記谷底部と前記軸方向突出部との間の隙間の3倍以上の厚さに形成されていることを特徴としている。すなわち、この発明によれば、軸方向突出部を従来に較べて格段に厚く、かつ、谷底部と軸方向突出部との間の隙間の3倍以上の厚さに形成されている。これにより、軸方向突出部と谷底部との間の隙間に侵入した熱硬化樹脂からなる含浸樹脂部にクラックが生じても、軸方向突出部は、この含浸樹脂部から軸方向突出部に伝達される引っ張り応力に耐えることができるため、クラック発生を防止することができる。また、この肥厚化は、樹脂ボビンの軸方向突出部のみであるため、樹脂ボビンの樹脂使用量の増加を抑止することができる。
第3発明は、前記樹脂ボビンの前記軸方向突出部は、前記隙間の幅と周期的に変化させる蛇腹形状を有していることを特徴としている。このようにすれば、軸方向突出部に固着された熱硬化樹脂からなる含浸樹脂部にクラックが生じても、軸方向突出部へのクラックの波及を良好に防止することができる。
本発明の車両用交流発電機の回転子の好適な実施形態を以下に説明する。ただし、本発明は下記の実施形態に限定解釈されるべきではなく、本発明の技術思想を他の技術を組み合わせて実現してもよいことはもちろんである。
(第1実施形態)
第1実施形態の車両用交流発電機の回転子を図1〜図3を参照して説明する。図1は、この回転子の軸方向断面図、図2は図1に示す回転子の要部拡大斜視図、図3は界磁コイルが巻装された樹脂ボビンの正面図である。
(回転子構造)
回転子は、図1に示すように、車両用交流発電機のフレーム(図示せず)に回転自在に支持されており、不図示の車載エンジンによって駆動される。回転子は、回転軸1と、互いに軸方向に隣接して回転軸1に嵌着される界磁鉄心2、3と、樹脂ボビン5に巻装されて界磁鉄心2、3に嵌着された界磁コイル4と、界磁鉄心2、3の端面に固定される冷却ファン9、10とを有している。界磁鉄心2、3はそれぞれランデル型ポールコアと通称され、周知であるが形状について簡単に説明する。
界磁鉄心2は、回転軸1に嵌着固定されたボス部21と、ボス部21の軸方向外端部から径方向外側に延在するディスク部22と、ディスク部22の径方向外端部から軸方向へ延在する複数の爪状磁極部23とを有している。界磁鉄心3も界磁鉄心2と同一構造を有している。
ディスク部22は、放射状に突出する複数の柱部24と、各柱部24の間に位置して径方向内側へ凹設される複数の谷部25とを周方向交互に有し、爪状磁極部23は柱部24の径方向外端から軸方向へ延在している。各谷部25の径方向最内側部分は略U字状(又は略V字状)の谷底部26となっている。
良く知られているように、一対の界磁鉄心2、3は、爪状磁極部23を交互に噛み合わせた状態で組み立てられている。界磁鉄心2、3のボス部21とディスク部22と爪状磁極部23とで囲まれた空間には、界磁コイル4が巻装された樹脂ボビン5がボス部21に嵌着されて収容されている。
樹脂ボビン5は、界磁コイル4が巻回された円筒状の巻胴部51と、巻胴部51の軸方向両端から径方向外側へ伸びる一対のフランジ部52とを有している。
一対のフランジ部52の一方が図3に図示されている。フランジ部52は、周方向一定ピッチにて径方向内側へ凹設された合計8個の溝部52Aを有している。フランジ部52のうち、溝部52A以外の部分は、図1に示すように爪状磁極部23の径内側表面により曲げられている。
53は界磁コイル4の巻始め端300が係止される引出線係止部、54は界磁コイル4の巻終り端が係止される引出線係止部であり、これら引出線係止部53、54は、フランジ部52の溝部52Aのうち互いに回転対称位置となる一対の溝部52Aの径方向最内側部分に形成されている。また、フランジ部52の合計8個の溝部52Aのうち残る6個の溝部52Aの径方向最内側部分から軸方向外側へ軸方向突出部55が突設されている。
一対のフランジ部52の他方は、引出線係止部53、54の代わりに軸方向突出部55が設けられている他は、上記した一対のフランジ部52の一方と同一形状を有している。フランジ部52の溝部52Aは、界磁鉄心2、3のディスク部22の谷部25と周方向等位置に配置され、樹脂ボビン5の軸方向突出部55は、谷部25の谷底部26に面しつつ軸方向外側へ突出している。
更にこの実施形態では、図2に示すように、軸方向突出部55と谷部25の谷底部26との間の隙間に略U字状のスペーサ56が介挿されている。スペーサ56は、少なくとも樹脂ボビン5よりも変形性に優れた電気絶縁性の樹脂材料を素材として成形されている。樹脂ボビン5としては、ナイロンなどの樹脂が採用されるため、更に界磁コイル4の発熱などを考慮して、スペーサ56としてはシリコンゴムなどの耐熱ゴムを採用することが好適であるが、それに限定されるものではない。
(製造工程)
次に、回転子製造工程を説明する。
既述したように、界磁コイル4が巻装された樹脂ボビン5をボス部21に嵌着し、爪状磁極部23を交互に噛み合わせた状態にて一対の界磁鉄心2、3を回転軸1に嵌着、固定する。スペーサ56の介挿は次の熱硬化樹脂液の滴下前、好適には樹脂ボビン5の取り付け時に行う。
次に、この回転子を加熱状態(好適には130〜180℃)にてゆっくりと回転させながら界磁コイル4の外周面にたとえば未重合のエポキシ樹脂液(本発明で言う熱硬化樹脂)を滴下させる。エポキシ樹脂液は界磁コイル4の各巻線間及び界磁コイル4と樹脂ボビン5との間に含浸された後、重合硬化し、界磁コイル4を被覆するとともに、界磁コイル4と樹脂ボビン5とを一体化する。その後、回転子を徐冷して、回転子の製造が完了する。
(効果)
上記した実施形態の回転子によれば、樹脂ボビン5の軸方向突出部55と界磁鉄心2、3のディスク部22の谷底部26の表面との間の隙間に、樹脂ボビン5よりも可撓性に優れた耐熱樹脂又は耐熱ゴムからなるスペーサ56が介挿されているため、軸方向突出部55が可撓性特に延性に劣る図略の含浸樹脂部を介して界磁鉄心2、3のディスク部22の谷底部26に強固に固定されてしまい、その結果として含浸樹脂部に生じたクラックが軸方向突出部55に波及するという問題を良好に解決することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の車両用交流発電機の回転子を以下に説明する。この実施形態の回転子は、図1〜図3に示す第1実施形態において、スペーサ56を省略し、その代わりに軸方向突出部55の表面又は谷底部26の表面に低摩擦係数の被膜(図示せず)を被着したものである。なお、この被着は熱硬化樹脂液の滴下前になされる。
この低摩擦係数の被膜は、固体膜の他、液膜あるいは粉末膜でもよい。たとえばシリコン樹脂膜などでもよく、あるいは2硫化モリブデンや潤滑油などを塗布してもよい。このようにすれば、軸方向突出部55と含浸樹脂部との間の結合強度を大幅に低下できるため、含浸樹脂部にクラックが生じて含浸樹脂部の引っ張り応力が低摩擦係数の被膜を介してクラック近傍の軸方向突出部55に集中しようとすると、軸方向突出部55が低摩擦係数の被膜上を滑って変位するため、軸方向突出部55の破断を良好に抑止することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の車両用交流発電機の回転子を図4を参照して説明する。この実施形態の回転子は、図1〜図3に示す第1実施形態において、スペーサ56を省略し、その代わりに図4に示すように軸方向突出部55の周縁部に、谷底部26に向けて(正確には谷底部26に面する柱部24の表面24Aに向けて)突出するリブ56を突設したものである。図4は軸方向突出部55及びディスク部22を回転子の軸方向外側から軸方向に観た図であり、軸方向突出部55は断面図示されている。
この実施形態では、リブ56は、軸方向突出部55の周縁部のうち径方向最外側部分から突出し、その先端は、谷底部26に面するディスク部22の表面22Aに密着している。樹脂ボビン5の素材であるナイロンは、弾性を有するため、この弾性を利用して、リブ56をディスク部22の表面22Aに押しつけることは容易である。これにより、軸方向突出部55とディスク部22の表面22Aとの間の隙間Sへの熱硬化樹脂液の侵入をリブ56が良好に阻止することができる。なお、この実施形態では、図4に示すように軸方向突出部55の周縁部のうち径方向最外側部分にだけリブ56を設けたが、軸方向突出部55の全周縁部にリブ56を設けることができ、これにより、軸方向突出部55とディスク部22の表面22Aとの間の隙間Sへの熱硬化樹脂液の侵入を更に良好に阻止することができる。
なお、好適には、軸方向突出部55とディスク部22の表面22Aとの間の隙間Sの大きさtは、軸方向突出部55の厚さより大きく設定される。このようにすれば、隙間Sの幅が大きいため、もし熱硬化樹脂液が侵入しても、軸方向突出部55とディスク部22の表面22Aとの一体化を抑止することができる。
(変形態様)
第3実施形態で説明したリブ56の変形例を図5に示す。この実施形態のリブ550は、軸方向突出部55の周縁部の径方向最外側部分から柱部24の表面24Aに接しつつ径方向外側へ延在する舌状体となっている。このようにすれば、リブ56と柱部24の表面24Aとの間の密着性が更に高くなり、しかもリブ550が先端に向けて徐々に薄くされて柔軟性が更に向上しているため、上記した隙間Sへの熱硬化樹脂液の侵入を更に良好に防止することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態の車両用交流発電機の回転子を図6を参照して説明する。図4は軸方向突出部55及びディスク部22を回転子の軸方向外側から軸方向に観た図であり、軸方向突出部55は断面図示されている。
この実施形態の回転子は、図1〜図3に示す第1実施形態において、スペーサ56を省略し、その代わりに図6に示すように軸方向突出部55の厚さを樹脂ボビン5のディスク部22の厚さの2倍以上好適には4〜10倍としたものである。
また、軸方向突出部55の厚さは、谷底部(正確にはディスク部22の表面22A)と軸方向突出部55との間の隙間Sの最小値の5倍以上好適には10倍以上とされている。57は、軸方向突出部55の先端部(径方向最外側部分)に位置してディスク部22の表面22Aに面して凹設された熱硬化樹脂液溜溝である。
このようにすれば、樹脂ボビン5の軸方向突出部55は厚肉に形成されているため、耐クラック強度を向上することができ、その結果として、軸方向突出部55とディスク部22の表面22Aとの間に侵入して固化した含浸樹脂部にクラックが生じても、この含浸樹脂部のクラックが軸方向突出部55に波及するのを抑止することができる。
また、熱硬化樹脂液溜溝57は侵入した熱硬化樹脂液を貯留し、軸方向突出部55とディスク部22の表面22Aとが含浸樹脂部により全面的に固着されるのを防止する効果を奏する。
(第5実施形態)
第5実施形態の車両用交流発電機の回転子を図7を参照して説明する。図7は軸方向突出部55及びディスク部22を回転子の軸方向外側から軸方向に観た図であり、軸方向突出部55は断面図示されている。
この実施形態の回転子は、図1〜図3に示す第1実施形態において、スペーサ56を省略し、その代わりに図6に示すように軸方向突出部55を波形(蛇腹状)に形成した点をその特徴としている。
このようにすれば、軸方向突出部55が同時に広い面積にわたって含浸樹脂部を介してディスク部22の表面22Aに固着されることがないため、冷却時にこの含浸樹脂部に生じる引っ張り応力が軸方向突出部55にクラックを生じさせるのを良好に抑止することができるとともに、軸方向突出部55とディスク部22の表面22Aとの間にそれぞれ孤立した熱硬化樹脂液溜溝57を複数設けることができ、クラック防止に有効である。
第1実施形態の回転子を示す軸方向断面図である。 図1に示す回転子の要部拡大斜視図である。 界磁コイルが巻装された樹脂ボビンを示す正面図である。 第3実施形態における軸方向突出部及びディスク部を示す正面図である。 第3実施形態のリブの変形例を示す正面図である。 第4実施形態における軸方向突出部及びディスク部を示す正面図である。 第5実施形態における軸方向突出部及びディスク部を示す正面図である。 従来の軸方向突出部及びディスク部を示す模式斜視図である。
符号の説明
1 回転軸
2 界磁鉄心
3 界磁鉄心
4 界磁コイル
5 樹脂ボビン
9 冷却ファン
21 ボス部
22 ディスク部
22A ディスク部の表面
23 爪状磁極部
24 柱部
24A 柱部の表面
25 谷部
26 谷底部
51 巻胴部
52 フランジ部
52A フランジ部の溝部
53 引出線係止部
55 軸方向突出部
56 スペーサ
56 リブ
57 熱硬化樹脂液溜溝
550 リブ

Claims (6)

  1. 回転軸に嵌着されるボス部と、放射状に突設される複数の柱部及び前記柱部の間に位置して径方向内側へ凹設される複数の谷部を周方向交互に有して前記ボス部の軸方向外端部から径方向外側に延在するディスク部と、前記柱部の先端から個別に軸方向へ延在する複数の爪状磁極とを有し、前記各谷部の径方向最内側部分は略U字状の谷底部をなす界磁鉄心と、
    前記界磁鉄心のボス部に嵌着される樹脂ボビンと、
    前記樹脂ボビンに巻装される界磁コイルと、
    前記界磁鉄心に嵌め込まれた前記界磁コイル及び樹脂ボビンに被着された後、熱硬化されてなる熱硬化性の含浸樹脂部と、
    を備え、
    前記樹脂ボビンは、前記界磁コイルが巻回された円筒状の巻胴部と、
    前記巻胴部の両端から径方向外側へ突設された一対のフランジ部と、前記フランジ部から前記界磁鉄心の前記谷底部の表面に沿いつつ軸方向外側へ延設された軸方向突出部とを有し、
    熱硬化後の前記含浸樹脂部は、前記樹脂ボビンよりも変形性に劣る特性をもつ車両交流発電機の回転子において、
    前記軸方向突出部と前記谷底部との間の隙間への前記含浸樹脂の侵入を抑制する熱硬化樹脂侵入抑制構造を有することを特徴とする車両交流発電機の回転子。
  2. 請求項1記載の車両交流発電機の回転子の製造方法において、
    前記熱硬化樹脂侵入抑制構造は、
    前記樹脂ボビンよりも軟質の素材からなるとともに、少なくとも前記含浸樹脂部の前記加熱硬化処理以前に前記隙間に介挿された電気絶縁性のスペーサを有する車両用交流発電機の製造方法。
  3. 請求項1記載の車両交流発電機の回転子の製造方法において、
    前記熱硬化樹脂侵入抑制構造は、
    前記樹脂ボビンよりも低摩擦係数の素材からなるとともに、少なくとも前記含浸樹脂部の前記被着以前に前記軸方向突出部の表面及び前記谷底部の表面の少なくとも一方に被着された低摩擦被膜を有する車両交流発電機の回転子の製造方法。
  4. 請求項1記載の車両交流発電機の回転子において、
    前記熱硬化樹脂侵入抑制構造は、
    前記軸方向突出部の周縁部から前記谷底部に向けて突出して、前記隙間への前記含浸樹脂の侵入を抑止するリブを有する車両交流発電機の回転子。
  5. 回転軸に嵌着されるボス部と、放射状に突設される複数の柱部及び前記柱部の間に位置して径方向内側へ凹設される複数の谷部を周方向交互に有して前記ボス部の軸方向外端部から径方向外側に延在するディスク部と、前記柱部の先端から個別に軸方向へ延在する複数の爪状磁極とを有し、前記各谷部の径方向最内側部分は略U字状の谷底部をなす界磁鉄心と、
    前記界磁鉄心のボス部に嵌着される樹脂ボビンと、
    前記樹脂ボビンに巻装される界磁コイルと、
    前記界磁鉄心に嵌め込まれた前記界磁コイル及び樹脂ボビンに被着された後、熱硬化されてなる熱硬化性の含浸樹脂部と、
    を備え、
    前記樹脂ボビンは、前記界磁コイルが巻回された円筒状の巻胴部と、
    前記巻胴部の両端から径方向外側へ突設された一対のフランジ部と、前記フランジ部から前記界磁鉄心の前記谷底部の表面に沿いつつ軸方向外側へ延設された軸方向突出部とを有し、
    熱硬化後の前記含浸樹脂部は、前記樹脂ボビンよりも変形性に劣る特性をもつ車両交流発電機の回転子において、
    前記樹脂ボビンの前記軸方向突出部は、前記絶縁ボビンの前記ディスク部よりも厚く、かつ、前記谷底部と前記軸方向突出部との間の隙間の3倍以上の厚さに形成されていることを特徴とする車両用交流発電機の回転子。
  6. 回転軸に嵌着されるボス部と、放射状に突設される複数の柱部及び前記柱部の間に位置して径方向内側へ凹設される複数の谷部を周方向交互に有して前記ボス部の軸方向外端部から径方向外側に延在するディスク部と、前記柱部の先端から個別に軸方向へ延在する複数の爪状磁極とを有し、前記各谷部の径方向最内側部分は略U字状の谷底部をなす界磁鉄心と、
    前記界磁鉄心のボス部に嵌着される樹脂ボビンと、
    前記樹脂ボビンに巻装される界磁コイルと、
    前記界磁鉄心に嵌め込まれた前記界磁コイル及び樹脂ボビンに被着された後、熱硬化されてなる熱硬化性の含浸樹脂部と、
    を備え、
    前記樹脂ボビンは、前記界磁コイルが巻回された円筒状の巻胴部と、
    前記巻胴部の両端から径方向外側へ突設された一対のフランジ部と、前記フランジ部から前記界磁鉄心の前記谷底部の表面に沿いつつ軸方向外側へ延設された軸方向突出部とを有し、
    熱硬化後の前記含浸樹脂部は、前記樹脂ボビンよりも変形性に劣る特性をもつ車両交流発電機の回転子において、
    前記樹脂ボビンの前記軸方向突出部は、前記隙間の幅と周期的に変化させる蛇腹形状を有していることを特徴とする車両交流発電機の回転子。
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