JP2008020898A - 感光性シロキサン組成物、それから形成された硬化膜、および硬化膜を有する素子 - Google Patents

感光性シロキサン組成物、それから形成された硬化膜、および硬化膜を有する素子 Download PDF

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Abstract

【課題】熱硬化工程後において高解像度、高耐熱性、高透明性を有し、さらにアルカリ処理後にすぐれた接着性を有する感光性シロキサン組成物を提供することにある。
【解決手段】a)ポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、(c)溶剤、(d)10時間半減期温度が90℃〜160℃である熱ラジカル発生剤を含有する感光性シロキサン組成物。
【選択図】 なし

Description

近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにおいて、さらなる高精細、高解像度を実現する方法として、表示装置の開口率を上げる方法が知られている(特許文献1参照)。これは、透明な平坦化膜をTFT基板の上部に保護膜として設けることによって、データラインと画素電極をオーバーラップさせ、開口率を上げる方法である。
このようなTFT基板用平坦化膜の材料としては、熱硬化後に高解像度、高耐熱性、高透明性などを有する材料が必要であり、これらの特性を併せ持つものとしてポリシロキサンが知られている。ポリシロキサンにポジ型の感光性を付与するためのキノンジアジド化合物を組み合わせた系としては、直線状ポリシロキサンや(特許文献2参照)、フェノール性水酸基を末端に有するポリシロキサン(特許文献3参照)とキノンジアジド化合物を組み合わせた材料などが知られている。しかしこれらの材料を用いても、熱硬化工程時にパターンの形状がくずれてしまうパターンだれが起こり、解像度が悪化するという問題が生じた。この問題を解決するためには、架橋促進剤を添加することが有効であることが知られている(特許文献4参照)。この場合、ポリシロキサンの架橋促進剤としては、光または熱によって強酸もしくは塩基を発生する化合物が用いられ、発生した強酸または塩基が触媒となってポリシロキサン中の未反応シラノール基が低温で縮合、熱硬化前に架橋を形成し、熱硬化工程時にパターンだれが抑制されて解像度の向上が達成される。
しかしながら、ここで適用される光により強酸もしくは塩基を発生する化合物は、パターンを形成するための露光光源に対する感光性も有するため、露光時、露光部に強酸、または塩基が発生してシロキサンの架橋が起こり、露光部の現像液に対する溶解性を低下させて感度低下を招き、さらに露光後に放置すると架橋反応が進行し、露光部の溶解性が著しく低下しパターン形成不能になる。さらに、光により強酸もしくは塩基を発生する化合物を用いた感光性ポリシロキサンから得られる硬化膜は、アルカリ溶液に浸漬処理した後(アルカリ処理)の基板との接着性も悪い。また、熱により強酸もしくは塩基を発生する化合物を感光性ポリシロキサンに用いると、感度は低下しないものの、上記したように、当該感光性ポリシロキサンから得られる硬化膜のアルカリ処理後の基板との接着性が悪い。
一方、シリコーンゴム粘着剤の架橋促進剤として、ラジカル発生剤である有機過酸化物を用いる方法が知られている(非特許文献1参照)。この場合、有機過酸化物の分解により発生したラジカル種がポリジアルキルシロキサンのアルキル基をラジカル化させ、続くカップリング反応により架橋が促進される。この技術はポリシロキサンを用いた耐熱性の発泡体にも用いられている(特許文献5参照)。この場合、硬化とともに発泡過程で発生する水素を捕捉する微細な泡を形成する必要があるため、用いられるラジカル発生剤は炭酸ガスを発生するジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、およびペルオキシカルボナートに限られており、ポリシロキサンを高温で発泡させている。
特許第2933879号明細書(請求項1) 特開2006−018249号明細書(請求項1) 特開2003−255546号公報(請求項1) 特許平6−145599号明細書(請求項5) 特許2002−188009号明細書(請求項1、3、36段落) 福沢敬司、「粘着製品の最新応用技術II」、第一版、日本、1998年3月31日、P.101〜103
上記のようにTFT基板用平坦化膜の材料には、熱硬化時に硬化膜を着色させることなく、高解像度であり、またアルカリ処理後に優れた接着性を有するシロキサン組成物が求められている。本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、熱硬化中に発生しやすいパターンだれを抑制し、熱硬化工程後において高解像度、高耐熱性、高透明性を有し、さらにアルカリ処理後にすぐれた接着性を有する感光性シロキサン組成物を提供するものである。
また、本発明の別の目的は、上記の感光性シロキサン組成物から形成されたTFT基板用平坦化膜、層間絶縁膜、コアやクラッド材などの硬化膜、およびその硬化膜を有する表示素子、半導体素子、光導波路などの素子を提供することにある。
すなわち本発明は、(a)ポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、(c)溶剤、(d)10時間半減期温度が90℃〜160℃である熱ラジカル発生剤を含有する感光性シロキサン組成物である。
本発明の感光性シロキサン組成物によれば、耐熱性、透明性、解像度のいずれも優れた特性を満足する硬化膜を得ることができ、さらに硬化膜はアルカリ処理後の接着性に優れている。
本発明を以下に詳細に説明する。
本発明で用いる(a)ポリシロキサンの構造は特に制限されないが、好ましい態様としては、一般式(2)で表されるオルガノシランの1種以上を混合、反応させることによって得られるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 2008020898
は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。
一般式(2)のRで挙げられたアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも置換基を有していてもよく、また置換基を有していない無置換体であってもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基が挙げられる。
一般式(2)のRで挙げられたアルキル基、アシル基はいずれも置換基を有していてもよく、また置換基を有していない無置換体であってもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
一般式(2)のnは0から3の整数を表す。n=0の場合は4官能性シラン、n=1の場合は3官能性シラン、n=2の場合は2官能性シラン、n=3の場合は1官能性シランである。
一般式(2)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどの2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。
これらのオルガノシランのうち、硬化膜の耐クラック性と硬度の点から3官能性シランが好ましく用いられる。また、これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の(a)ポリシロキサンは、シリカ粒子が共重合されたポリシロキサンを用いても良い。シリカ粒子の共重合方法としては、前述のオルガノシランから合成されたポリシロキサンとシリカ粒子を反応させる方法、もしくは前述のオルガノシランとシリカ粒子を反応させてポリシロキサンを得る方法が挙げられる。ポリシロキサン中にシリカ粒子が組み込まれ、ポリシロキサンの少なくとも一部に化学的に結合(シリカ粒子と共有結合)していることにより、ポリシロキサンの流動性を低下させ、熱硬化時のパターンだれが抑えられ、熱硬化後のパターン解像度が向上する。
ポリシロキサンとシリカ粒子を反応させる方法においては、シリカ粒子は組成物中独立した成分として含まれているが、プリベークや硬化時加熱によって、ポリシロキサン中に組み込まれていく。
用いられるシリカ粒子の数平均粒子径は、好ましくは2nm〜200nmであり、さらに好ましくは5nm〜70nmである。2nmより小さいとパターン解像度の向上が十分ではなく、200nmより大きいと硬化膜が光散乱し透明性が低下する。ここで、シリカ粒子の数平均粒子径は、比表面積法換算値を用いる場合には、シリカ粒子を乾燥後、焼成し、得られた粒子の比表面積を測定した後に、粒子を球と仮定して比表面積から粒子径を求め、数平均として平均粒子径を求める。用いる機器は特に限定されないが、アサップ2020(Micromeritics社製)などを用いることができる。
シリカ粒子はアルコキシシランの1種または2種以上を水、有機溶媒および塩基(好ましくは、アンモニア)の存在下で加水分解、重縮合させる方法などにより得られる。有機溶媒に分散したシリカ粒子は水性シリカ粒子分散媒である水を有機溶媒で置換することで得られる。分散媒の置換は水性シリカ粒子に有機溶媒を添加し、蒸留などの手段で水を留去させる方法等が挙げられる。溶媒の種類によっては低級アルコールを添加し、シリカ粒子の表面が一部エステル化される場合もある。ポリシロキサンやキノンジアジド化合物との相溶性の点から、有機溶媒に分散したシリカ粒子が好ましい。
シリカ粒子の具体例としては、イソプロパノールを分散媒とした粒子径12nmのIPA−ST、メチルイソブチルケトンを分散媒とした粒子径12nmのMIBK−ST、イソプロパノールを分散媒とした粒子径45nmのIPA−ST−L、イソプロパノールを分散媒とした粒子径100nmのIPA−ST−ZL、プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散媒とした粒子径15nmのPGM−ST(以上商品名、日産化学工業(株)製)、γ−ブチロラクトンを分散媒とした粒子径12nmのオスカル101、γ−ブチロラクトンを分散媒とした粒子径60nmのオスカル105、ジアセトンアルコールを分散媒とした粒子径120nmのオスカル106、分散溶液が水である粒子径5〜80nmのカタロイド−S(以上商品名、触媒化成工業(株)製)、プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散媒とした粒子径16nmのクォートロンPL−2L−PGME、γ−ブチロラクトンを分散媒とした粒子径17nmのクォートロンPL−2L−BL、ジアセトンアルコールを分散媒とした粒子径17nmのクォートロンPL−2L−DAA、分散溶液が水である粒子径18〜20nmのクォートロンPL−2L、GP−2L(以上商品名、扶桑化学工業(株)製)、粒子径が100nmであるシリカ(SiO)SG−SO100(商品名、共立マテリアル(株)製)、粒子径が5〜50nmであるレオロシール(商品名、(株)トクヤマ製)などが挙げられる。また、これらのシリカ粒子は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、用いるシリカ粒子の表面が反応性基を有していると、ポリシロキサンとシリカ粒子の結合を容易にし、膜の強度が高まる点から好ましい。反応性基として、シラノール、アルコール、フェノールなどの水酸基、ビニル基、アクリル基、エチニル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。シリカ粒子と反応性基を有するアルコキシシランと反応させることで、表面に反応性基を有するシリカ粒子が得ることができる。もちろん本発明の効果を損なわない限り、メチル基、フェニル基などの反応性基を持たない置換基を有するシリカ粒子を用いてもよい。
シリカ粒子を用いる場合の混合比率は特に制限されないが、Si原子モル数で、ポリマー全体のSi原子モル数に対して1〜50%が好ましい。シリカ粒子が50%より多いと、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪くなり、硬化膜の透明性が低下する。
なお、ポリマー全体のSi原子モル数に対するシリカ粒子のSi原子モル比はIRにおいてSi−C結合由来のピークとSi−O結合由来のピークの積分比から求めることができる。ピークの重なりが多く求められない場合は、H−NMR、13C−NMR、IR、TOF−MSなどにより粒子以外のモノマーの構造を決定し、さらに元素分析法において発生する気体と残存する灰(すべてSiOと仮定する)の割合から求めることができる。
また、ポリシロキサン中において、膜の耐クラック性と硬度を両立させる点から、ポリシロキサン中にあるフェニル基の含有率はSi原子に対して20〜70モル%が好ましく、さらに好ましくは35〜55モル%である。フェニル基の含有率が70モル%より多いと硬度が低下し、フェニル基含有率が20モル%より少ないと耐クラック性が低下する。フェニル基の含有率は、例えば、ポリシロキサンの29Si−核磁気共鳴スペクトルを測定し、そのフェニル基が結合したSiのピーク面積とフェニル基が結合していないSiのピーク面積の比から求めることができる。
また、本発明で用いるポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、好ましくはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で1000〜100000、さらに好ましくは2000〜50000である。Mwが1000より小さいと塗膜性が悪くなり、100000より大きいとパターン形成時の現像液への溶解性が悪くなる。アルカリ水溶液に可溶のポリシロキサンは好ましくは2000〜50000、ポリシロキサンの重量平均分子量は好ましくは5000〜100000が好ましい。Mwが5000よりも小さいと熱によるパターンだれが発生する温度が低くなってしまう場合がある。
また、シリカ粒子を用いた場合、シリカ粒子がポリシロキサンと均質化していることが好ましい。シリカ粒子が均質化していると硬化膜の硬度が向上し、現像時にプリベーク膜からシリカ粒子の析出を防ぐ。ここでいう「均質化している」とはシリカ粒子のシリカ成分とマトリックスのポリシロキサンが反応し、ポリシロキサン中にシリカ粒子が密度一定で組み込まれていることを指す。その状態は、透過型電子顕微鏡(以下、TEMと記述)でシリカ粒子とポリシロキサンの境界部分を観察することによって確認することができる。均質化している場合、TEM観察にてシリカ粒子とポリシロキサンとの境界線が観察されない。また、均質化した系は、同量のシリカ粒子をポリシロキサンに添加した系より高解像となる点からも均質化することが好ましい。
本発明におけるポリシロキサンは、上述のオルガノシランを加水分解および部分縮合させることにより得られる。加水分解および部分縮合には一般的な方法を用いることができる。例えば、混合物に溶媒、水、必要に応じて触媒を添加し、加熱攪拌する。攪拌中、必要に応じて蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)を留去してもよい。
シリカ粒子を結合させる場合のポリシロキサンの製造方法としては、オルガノシランに溶媒、水、必要に応じて触媒を添加してオルガノシランの加水分解し、シリカ粒子と加水分解されたオルガノシランを部分縮合させることにより得られる。シリカ粒子はオルガノシランとはじめから共存させておいてもよいし、オルガノシランを加水分解、重合させてポリシロキサンとしてからシリカ粒子を加えてさらに加熱してもよいが、好ましくは相溶性の点からオルガノシランの加水分解直後に滴下する方法が挙げられる。
上記の反応溶媒としては特に制限は無いが、通常は後述する(c)溶剤と同様のものが用いられる。溶媒の添加量はオルガノシランもしくはオルガノシランとシリカ粒子の合計量100重量%に対して10〜1000重量%が好ましい。また加水分解反応に用いる水の添加量は、加水分解性基1モルに対して0.5〜2モルが好ましい。
必要に応じて添加される触媒に特に制限はないが、酸触媒、塩基触媒が好ましく用いられる。酸触媒の具体例としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂が挙げられる。塩基触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン、イオン交換樹脂が挙げられる。触媒の添加量はオルガノシランまたは/かつ直鎖状ポリシロキサンの混合物100重量%に対して0.01〜10重量%が好ましい。
また、塗膜性、貯蔵安定性の点から、加水分解、部分縮合後のポリシロキサン溶液には副生成物のアルコールや水、触媒が含まれないことが好ましい。必要に応じてこれらの除去を行ってもよい。除去方法は特に制限されない。好ましくはアルコールや水の除去方法としては、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法を用いることができる。また、触媒の除去方法としては、上記の水洗浄に加えてあるいは単独でイオン交換樹脂で処理する方法を用いることができる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(b)キノンジアジド化合物を含有する。キノンジアジド化合物を含有する感光性シロキサン組成物は、露光部が現像液で除去されるポジ型を形成する。用いるキノンジアジド化合物の添加量は特に制限されないが、好ましくは(a)ポリシロキサンに対して3〜10重量%である。さらに好ましくは4〜10重量%である。キノンジアジド化合物の添加量が3重量%より少ない場合、露光部と未露光部との溶解コントラストが低すぎて、現実的な感光性を有さない。また、さらに良好な溶解コントラストを得るためには4重量%以上が好ましい。一方、キノンジアジド化合物の添加量が10重量%より多い場合、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪くなることによる塗布膜の白化が起こったり、熱硬化時に起こるキノンジアジド化合物の分解による着色が顕著になるために、硬化膜の無色透明性が低下する。
用いるキノンジアジド化合物は特に制限されないが、好ましくはフェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物であり、当該化合物のフェノール性水酸基のオルト位、およびパラ位がそれぞれ独立して水素、もしくは一般式(3)で表される置換基のいずれかである化合物が用いられる。
Figure 2008020898
〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、フェニル基、置換フェニル基のいずれかを表す。また、RとR、RとR、RとRで環を形成してもよい。
一般式(3)で表される置換基において、R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、フェニル基、置換フェニル基のいずれかを表す。アルキル基は置換基を有していてもよく、また置換基を有していない無置換体であってもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、2−カルボキシエチル基が挙げられる。また、フェニル基に置換する置換基としては、水酸基が挙げられる。また、RとR、RとR、RとRで環を形成してもよく、具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、フルオレン環が挙げられる。
フェノール性水酸基のオルト位、およびパラ位が上記以外、例えばメチル基の場合、熱硬化によって酸化分解が起こり、キノイド構造に代表される共役系化合物が形成され、硬化膜が着色して無色透明性が低下する。なお、これらのキノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとの公知のエステル化反応により合成することができる。
フェノール性水酸基を有する化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる(商品名、本州化学工業(株)製)。
Figure 2008020898
Figure 2008020898
ナフトキノンジアジドスルホン酸としては、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸を用いることができる。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物はi線(波長365nm)領域に吸収を持つため、i線露光に適している。また、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は広範囲の波長領域に吸収が存在するため、広範囲の波長での露光に適している。露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を選択することが好ましい。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を混合して用いることもできる。
ナフトキノンジアジド化合物の分子量は、好ましくは300〜1500、さらに好ましくは350〜1200である。ナフトキノンジアジド化合物の分子量が1500より大きいと、4〜10重量%の添加量ではパターン形成ができなくなる可能性がある。一方、ナフトキノンジアジド化合物の分子量が300より小さいと、無色透明性が低下する可能性がある。
本発明の感光性シロキサン組成物は(c)溶剤を含有する。溶剤は特に制限されないが、好ましくはアルコール性水酸基を有する化合物および/またはカルボニル基を有する環状化合物が用いられる。これらの溶剤を用いると、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物とが均一に溶解し、組成物を塗布製膜しても膜は白化することなく、高透明性が達成できる。
アルコール性水酸基を有する化合物は特に制限されないが、好ましくは大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物である。沸点が250℃より高いと膜中の残存溶剤量が多くなり熱硬化時の膜収縮が大きくなり、良好な平坦性が得られなくなる。一方、沸点が110℃より低いと、塗膜時の乾燥が速すぎて膜表面が荒れるなど塗膜性が悪くなる。
アルコール性水酸基を有する化合物の具体例としては、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールが挙げられる。これらの中でも、さらにカルボニル基を有する化合物が好ましく、特にジアセトンアルコールが好ましく用いられる。これらのアルコール性水酸基を有する化合物は、単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カルボニル基を有する環状化合物は特に制限されないが、好ましくは大気圧下の沸点が150〜250℃である化合物である。沸点が250℃より高いと膜中の残存溶剤量が多くなり熱硬化時の膜収縮が大きくなり、良好な平坦性が得られなくなる。一方、沸点が150℃より低いと、塗膜時の乾燥が速すぎて膜表面が荒れるなど塗膜性が悪くなる。
カルボニル基を有する環状化合物の具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンが挙げられる。これらの中でも、特にγ−ブチロラクトンが好ましく用いられる。これらのカルボニル基を有する環状化合物は、単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上述のアルコール性水酸基を有する化合物とカルボニル基を有する環状化合物は、単独でも、あるいは各々混合して用いても良い。混合して用いる場合、その重量比率は特に制限されないが、好ましくはアルコール性水酸基を有する化合物/カルボニル基を有する環状化合物=(99〜50)/(1〜50)、さらに好ましくは(97〜60)/(3〜40)である。アルコール性水酸基を有する化合物が99重量%より多い(カルボニル基を有する環状化合物が1重量%より少ない)と、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪く、硬化膜が白化して透明性が低下する。また、アルコール性水酸基を有する化合物が50重量%より少ない(カルボニル基を有する環状化合物が50重量%より多い)と、ポリシロキサン中の未反応シラノール基の縮合反応が起こり易くなり、貯蔵安定性が悪くなる。
また、本発明の感光性シロキサン組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の溶剤を含有してもよい。その他の溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテートなどのエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられる。
溶剤の添加量は、ポリシロキサンに対して、好ましくは100〜1000重量%の範囲である。
本発明の感光性シロキサン組成物は(d)10時間半減期温度が90℃〜160℃である熱ラジカル発生剤を含有する。10時間半減期温度が90℃〜160℃である熱ラジカル発生剤によって熱硬化時に発生するラジカル種がポリシロキサンのシラノール基や有機基をラジカル化させ、架橋が促進されるため高解像度化すると考えられる。さらに、ポリシロキサンの分子内にビニル基や(メタ)アクリル基のようなラジカル重合性基を有する場合、ポリシロキサンだけではなくラジカル重合性部位の架橋も加わり、解像度がさらに向上する。ラジカル重合性基の含有量に特に制限はないが、好ましくはポリシロキサン中シラン原子にたいして1モル%〜50モル%であり、さらに好ましくは10モル%〜30モル%である。1モルより少ないとラジカル重合性基の架橋が十分でなく、解像度のさらなる向上には繋がらない可能性があり、50モル%より多いとプリベーク時に架橋が進行して感度が著しく低下したり、膜が硬化し過ぎてもろくなりクラックが発生する可能性がある。
また、ポリシロキサンのシラノール基は熱硬化時にガラスやシリコンウェハの表面の水酸基と化学結合するが、そこで形成されたO−Si結合はアルカリにより切断されてしまうためアルカリ処理後に接着性が大きく低下する。しかし、熱ラジカル発生剤を用いた場合、基板表面の一部にO−R結合(Rはポリシロキサンが有する有機基)が形成されるためアルカリ処理後の接着性が向上すると考えられる。
熱ラジカル発生剤の10時間半減期温度とは、熱ラジカル発生剤をラジカルに不活性な溶媒(ベンゼン、トルエンなど)に溶解させ、10時間後にその濃度が半分になる温度のことをいう。具体的には以下の方法によって求められる。熱ラジカル発生剤をラジカルに不活性な溶媒(ベンゼン、トルエンなど)に溶解させ、濃度を0.1mol/Lに調整する。得られた溶液を窒素置換したガラス管のなかに密封し所定温度の恒温槽に浸し、熱分解させる。分解後の熱ラジカル発生剤の濃度をヨード滴定法などにより測定する。分解反応は近似的に1次反応として取り扱うことができ、1次反応における半減期の算出方法に基づき半減期を知ることができる。様々な温度で半減期を算出し、温度と半減期に関するグラフをプロットし、そのグラフより半減期が10時間となる温度を求める。
熱ラジカル発生剤が有する10時間半減期温度を90℃〜160℃にするには種々の方法があるが、なかでも熱ラジカル発生剤が有する熱分解によって分解する部位の種類、分解部位の置換基によって制御できる。たとえば、分解部位は−O−O−結合のほうが−N=N−結合より半減期温度が高い。また、−O−O−結合の置換基は電子供与性置換基のほうが電子吸引性置換基よりも半減期温度が高く、たとえばクミル基(電子供与性基)を有するジクミルペルオキシドはベンゾイル基(電子吸引性基)を有する過酸化ベンゾイルよりも10時間半減期温度が高い。これはO−O結合は電子密度が高いほど安定だからである。また、−N=N−結合の置換基は電吸引性置換基のほうが電子供与性置換基よりも半減期温度が高く、たとえばアミド基(電子吸引性基)を有する2−(カルバモヤルアゾ)イソブチロニトリルはイソブチロニトリル基(電子供与性基)を2つ有する2,2’−アゾビスイソブチロニトリルよりも10時間半減期が高い。これはN−R結合(Rは任意の置換基)の電子密度が大きいと、より安定なN≡N結合(窒素ガス)を形成しやすく、発生したラジカルの安定性も高いからである。
また、本発明で用いる熱ラジカル発生剤は10時間半減期温度が90℃〜160℃であることを満たす必要がある。さらに好ましくは105℃〜120℃である。10時間半減期温度が90℃未満の場合、プリベーク時に膜の硬化が始まり、パターン形成されない。また、160℃を超えるとの場合パターンだれを低減することが困難になる。
本発明においては、前記の熱ラジカル発生剤の添加量は特に制限されないが、好ましくは(a)ポリシロキサンに対して0.1〜8重量%である。さらに好ましくは0.5〜4重量%である。熱ラジカル発生剤の添加量が0.1重量%より少ない場合、発生するラジカルの量が十分ではないため架橋が促進されない場合がある。また8重量%を超えるとプリベーク時にわずかに発生するラジカルにより架橋が促進され、パターンが形成できなかったり、架橋が必要以上に促進されるために硬化膜にクラックが発生することがある。
(d)10時間半減期温度が90℃〜160℃である熱ラジカル発生剤は、当該範囲を満たせば特に制限されないが、好ましくは一般式(1)で表される有機過酸化物が挙げられる。
Figure 2008020898
とRは同じでも異なってもよく、水素、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数の6〜30アリール基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のエステル基を表す。一般式(1)のRとRで挙げられたアルキル基、アリール基、アシル基、エステル基はいずれも置換基を有していてもよく、また置換基を有していない無置換体であってもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−デシル基、1,1−ジメチルブチル基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−メチル1−フェニルエチル基、ベンジル基、1−メチル−1−3−(1−t−ブチルペルオキシ−1−メチルエチル)−フェニルエチル基などが挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基、2,2−ジメチルプロピノイル基、1−エチルペンタノイル基、ベンゾイル基、3メチル−ベンゾイル基などが挙げられる。エステル基の具体例としては、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n−ブチルエステル基、t−ブチルエステル基、s−ブチルエステル基、t−ブチルシクロヘキシルエステル基などが挙げられる。なかでも、分解温度が高く、硬化時に炭酸ガスなどのガスを発生しないことからアルキル基またはアリール基が好ましい。アシル基やエステル基の場合、分解後にさらに熱をかけることで発生する炭酸ガスが膜に残存し膜がもろくなることがある。
一般式(1)で表される有機過酸化物の具体例としては、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ−(4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシ−3,5,5トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ(2−t−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3−ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
さらに、本発明の感光性シロキサン組成物は熱架橋性化合物を含有してもよい。熱架橋性化合物は熱硬化時にポリシロキサンを架橋する化合物であり、架橋によりポリシロキサン骨格中に取り込まれる化合物である。熱架橋性化合物を含有することによって硬化膜の架橋度が高くなる。これによって硬化膜の耐溶剤性が向上する。
熱架橋性化合物は熱硬化時にポリシロキサンを架橋し、ポリシロキサン骨格中に取り込まれる化合物であれば特に制限されないが、好ましくは一般式(4)で表される基、エポキシ構造、オキセタン構造の群から選択される構造を2個以上有する化合物が挙げられる。上記構造の組み合わせは特に限定されないが、選択される構造は同じものであることが好ましい。
Figure 2008020898
は水素、炭素数1〜10のアルキル基のいずれかを表す。なお、化合物中の複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(4)で表される基を2個以上有する化合物において、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル基のいずれかを表す。なお、化合物中の複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基が挙げられる。
一般式(4)で表される基を2個以上有する化合物の具体例としては、以下のようなメラミン誘導体や尿素誘導体(商品名、三和ケミカル(株)製)、およびフェノール性化合物(商品名、本州化学工業(株)製)が挙げられる。
Figure 2008020898
エポキシ構造を2個以上有する化合物の具体例としては、“エポライト”40E、“エポライト”100E、“エポライト”200E、“エポライト”400E、“エポライト”70P、“エポライト”200P、“エポライト”400P、“エポライト”1500NP、“エポライト”80MF、“エポライト”4000、“エポライト”3002(以上商品名、共栄社化学工業(株)製)、“デナコール”EX−212L、“デナコール”EX−214L、“デナコール”EX−216L、“デナコール”EX−850L、“デナコール”EX−321L(以上商品名、ナガセケムテックス(株)製)、GAN、GOT、EPPN502H、NC3000、NC6000(以上商品名、日本化薬(株)製)、“エピコート”828、“エピコート”1002、“エピコート”1750、“エピコート”1007、YX8100−BH30、E1256、E4250、E4275(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”EXA−9583、“エピクロン”HP4032、“エピクロン”N695、“エピクロン”HP7200(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、“テピック”S、“テピック”G、“テピック”P(以上商品名、日産化学工業(株)製)、“エポトート”YH−434L(商品名、東都化成(株)製)などが挙げられる。
オキセタン構造を2個以上有する化合物の具体例としては、OXT−121、OXT−221、OX−SQ−H、OXT−191、PNOX−1009、RSOX(以上商品名、東亜合成(株)製)、“エタナコール”OXBP、“エタナコール”OXTP(以上商品名、宇部興産(株)製)などが挙げられる。
なお、上記の熱架橋性化合物は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱架橋性化合物の添加量は特に制限されないが、好ましくはポリシロキサン100重量%に対して0.1〜10重量%の範囲である。熱架橋性化合物の添加量が0.1重量%より少ない場合、ポリシロキサンの架橋が不十分で効果が少ない。一方、熱架橋性化合物の添加量が10重量%より多い場合、硬化膜の無色透明性が低下したり、組成物の貯蔵安定性が低下する。
本発明の感光性シロキサン組成物は必要に応じて、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、消泡剤などの添加剤を含有することもできる。
本発明の感光性シロキサン組成物を用いた硬化膜の形成方法について説明する。本発明の感光性シロキサン組成物をスピンナー、ディッピング、スリットなどの公知の方法によって下地基板上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークする。プリベークは、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間行い、プリベーク後の膜厚は、0.1〜15μmとするのが好ましい。
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナー(PLA)などの紫外可視露光機を用い、10〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)を所望のマスクを介してパターニング露光する。また、本発明の感光性シロキサン組成物は、PLAによる露光での感度が100〜4000J/mであることが好ましい。感度が4000J/mより低いと、パターン形成時の放射線露光時間が長くなるために生産性が低下したり、放射線露光量が多くなるために下地基板からの反射量が多くなりパターン形状が悪化する。
前記のPLAによるパターニング露光での感度は、例えば以下の方法により求められる。組成物をシリコンウェハにスピンコーターを用いて任意の回転数でスピンコートし、ホットプレートを用いて115℃で2分間プリベークし、膜厚4μmの膜を作製する。作製した膜をPLA(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯を感度測定用のグレースケールマスクを介して露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で任意の時間パドル現像し、次いで水で30秒間リンスする。形成されたパターンにおいて、10μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅で解像する露光量を感度として求める。
パターニング露光後、現像により露光部が溶解し、ポジ型のパターンを得ることができる。現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体的例としてはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリン等の4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液等が挙げられる。
現像後、水でリンスすることが好ましく、つづいて50〜150℃の範囲で乾燥ベークを行うこともできる。
その後、ブリーチング露光を行うことが好ましい。ブリーチング露光を行うことによって、膜中に残存する未反応のキノンジアジド化合物が光分解して、膜の光透明性がさらに向上する。ブリーチング露光の方法としては、PLAなどの紫外可視露光機を用い、100〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)を全面に露光する。
その後、この膜をホットプレート、オーブンなどの加熱装置で150〜450℃の範囲で1時間程度熱硬化する。解像度は、好ましくは10μm以下である。
本発明の感光性シロキサン組成物は、波長400nmでの膜厚3μmあたりの透過率が95%以上である硬化膜が形成可能であり、さらに好ましくは98%以上を有する。光透過率が95%より低いと、液晶表示素子のTFT基板用平坦化膜として用いた場合、バックライトが通過する際に色変化が起こり、白色表示が黄色味を帯びる。
前記の波長400nmでの膜厚3μmあたりの透過率は、以下の方法により求められる。組成物をテンパックスガラス板にスピンコーターを用いて任意の回転数でスピンコートし、ホットプレートを用いて115℃で2分間プリベークする。その後、ブリーチング露光として、PLAを用いて、膜全面に超高圧水銀灯を6000J/m(波長365nm露光量換算)露光し、オーブンを用いて空気中250℃で1時間熱硬化して膜厚3μmの硬化膜を作製する。得られた硬化膜の紫外可視吸収スペクトルを(株)島津製作所製MultiSpec−1500を用いて測定し、波長400nmでの透過率を求める。
この硬化膜は表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子における層間絶縁膜、あるいは光導波路におけるコアやクラッド材等に好適に使用される。
本発明の素子は、表示素子、半導体素子、あるいは光導波路材が挙げられる。また、本発明の素子は、上述の本発明の高解像度、高硬度、高透明性、高耐熱性の硬化膜を有するので、特に、TFT用平坦化膜として用いた液晶ディスプレイや有機EL表示素子は画面の明るさと信頼性に優れている。
以下に本発明をその実施例を用いて説明するが、本発明の様態はこれらの実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
DAA:ジアセトンアルコール
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
合成例1 ポリシロキサン溶液(i)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを74.91g(0.65mol)、フェニルトリメトキシシランを69.41g(0.35mol)、ジアセトンアルコール(DAA)を150.36g仕込み、室温で攪拌しながら水55.8gにリン酸0.338g(仕込みモノマーに対して0.2重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて1時間攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計115g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(i)を得た。Si原子に対するフェニル基含有率は35モル%であった。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ6000(ポリスチレン換算)であった。Si原子に対するフェニル基の含有率をポリシロキサンの29Si−核磁気共鳴スペクトル(NMR)により測定したところ35%であった。含有率はフェニル基が結合したSiのピーク面積とフェニル基が結合していないSiのピーク面積の比から算出した。
合成例2 ポリシロキサン溶液(ii)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを63.39g(0.55mol)、フェニルトリメトキシシランを69.41g(0.35mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、DAAを150.36g仕込み、室温で攪拌しながら水55.8gにリン酸0.338g(仕込みモノマーに対して0.2重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて1時間攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計115g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(ii)を得た。Si原子に対するフェニル基含有率は35モル%であった。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は5000であった。
合成例3 ポリシロキサン溶液(iii)の合成
メチルトリメトキシシラン23.84g(0.175モル)、フェニルトリメトキシシラン99.15g(0.5モル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン12.32g(0.05モル)、シリカ粒子分散液クォートロンPL−2L−DAA(扶桑化学工業(株)製)を62.58g(シラン原子数で27.5モル%)、DAA209.47gを500mLの三口フラスコに仕込み、室温で攪拌しながら水40.05gにリン酸0.181g(仕込みモノマーに対して0.05重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから45分加熱攪拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計89g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(iii)を得た。Si原子に対するフェニル基含有率は50モル%であった。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は5500であった。
合成例4 ポリシロキサン溶液(iv)の合成
メチルトリメトキシシラン54.48g(0.4モル)、フェニルトリメトキシシラン79.32g(0.4モル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン12.32g(0.1モル)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.84g(0.1モル)、DAA122.19gを500mLの三口フラスコに仕込み、室温で攪拌しながら水55.80gにリン酸0.367g(仕込みモノマーに対して0.2重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから45分加熱攪拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計127g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(iv)を得た。Si原子に対するフェニル基含有率は40モル%であった。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は6200であった。
合成例5 ポリシロキサン溶液(v)の合成
メチルトリメトキシシラン13.62g(0.1モル)、フェニルトリメトキシシラン79.32g(0.4モル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン24.64g(0.1モル)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン99.36g(0.4モル)、DAAgを500mLの三口フラスコに仕込み、室温で攪拌しながら水55.80gにリン酸0.434g(仕込みモノマーに対して0.2重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから45分加熱攪拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計127.1g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(v)を得た。Si原子に対するフェニル基含有率は40モル%であった。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は6500であった。
合成例6 キノンジアジド化合物(vi)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、エステル化率93%の下記構造のキノンジアジド化合物(vi)を得た。
Figure 2008020898
合成例7 アクリルポリマー溶液(vii)の合成
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5g、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM)200gを500mLの三口フラスコに仕込んだ。引き続きスチレン25g、メタクリル酸20g、メタクリル酸グリシジル45g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート10gを仕込み、室温でしばらく攪拌した後、フラスコ内を窒素置換した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて、5時間加熱攪拌した。得られたアクリルポリマーのEDM溶液に、ポリマー濃度が30重量%、溶剤組成がEDM(100%)となるようにEDMを加えてアクリルポリマー溶液(vii)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は15000であった。
実施例1
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(vi)0.4654g(8重量部)、ジクミルペルオキシド(10時間半減期温度=116.4℃、日本油脂カタログ値)(日本油脂(株)製、商品名:パークミルD)0.1163g(2重量部)をDAA0.7941g、GBL3.981gに溶解させ、ポリシロキサン(i)溶液14.5432g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(ビックケミージャパン(株)製)のGBL1%溶液を0.1g(濃度50ppmに相当)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物1とする。
作製した組成物をテンパックスガラス板(旭テクノガラス板(株)製)、およびシリコンウェハにスピンコーター(ミカサ(株)製1H−360S)を用いて任意の回転数でスピンコートした後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて115℃で2分間プリベークし、膜厚4μmの膜を作製した。作製した膜をパラレルライトマスクアライナー(以下PLAという)(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯を感度測定用のグレースケールマスクを介して露光した後、自動現像装置(AD−2000、滝沢産業(株)製)を用いて2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であるELM−D(三菱ガス化学(株)製)で80秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、ブリーチング露光として、PLA−501F(キヤノン(株)製)を用いて、膜全面に超高圧水銀灯を6000J/m(波長365nm露光量換算)露光した。その後、ホットプレートを用いて90℃で2分間ソフトベークし、次いでオーブン(エスペック(株)製IHPS−222)を用いて空気中220℃で1時間キュアして硬化膜(以下、220℃硬化膜という)を作製した。
評価結果を表3に示す。なお、表中の評価は以下の方法で行った。なお、下記の(1)、(2)、(3)、(4)の評価は基板にシリコンウェハを用い、(5)の評価はテンパックスガラス板を用いて行った。
(1)膜厚測定
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を用いて、屈折率1.50で測定を行った。
(2)感度
露光、現像後、10μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。露光量はI線照度計で測定した。
(3)解像度
最適露光量におけるキュア後の最小パターン寸法をキュア後解像度とした。
(4)重量減少率
組成物をアルミセルに約100mg入れ、熱重量測定装置TGA−50((株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で300℃まで加熱し、そのまま1時間加熱硬化させ、その後昇温速度10℃/分で400℃までで昇温した時の、重量減少率を測定した。300℃に到達したときの重量を測定し、さらに400℃に到達した時の重量を測定し、300℃時の重量との差を求め、減少した重量分を重量減少率として求めた。
(5)光透過率の測定
MultiSpec−1500((株)島津製作所製)を用いて、まずテンパックスガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次に各キュア膜をテンパックスガラスに形成し、これをサンプルとし、サンプルを用いてシングルビームで測定し、3μmあたりの波長400nmでの光透過率を求め、リファレンスに基づいて硬化膜の透過率を算出した。なお、実施例1〜6で用いた組成物においては、270℃、1時間キュア後の硬化膜(以下、270℃硬化膜という)の光透過率についても算出した。実施例1においては、270℃硬化膜の光透過率は98%であり、220℃硬化膜の光透過率と同じであった。
(6)アルカリ処理後の接着性の評価
テンパックスガラス板に、組成物を塗布、プリベーク、露光、キュア処理し、薄膜を形成し、アルカリ溶液のモノエタノールアミン/ジメチルスルホキシド=70/30(重量比)中に65℃で10分間浸漬した後、5分間純水リンスを行い、水を窒素ブローで除去した。得られた薄膜を、次の要領でJIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目テープ法に準じて測定した。テンパックスガラス板上の薄膜表面に、カッターナイフでガラス板の素地に到達するように、直交する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmのマス目を100個作製した。切られた薄膜表面にセロハン製粘着テ−プ(幅=18mm、粘着力=3.7N/10mm)を張り付け、消しゴム(JISS−6050合格品)で擦って密着させ、テープの一端を持ち、板に直角に保ち瞬間的に剥離した際のマス目の残存数を目視によって評価した。
実施例2
ポリシロキサン溶液(i)をポリシロキサン溶液(ii)に換えた以外は実施例1と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物2とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。なお、270℃硬化膜の光透過率は220℃硬化膜の光透過率とほぼ同じであった。
実施例3
ポリシロキサン溶液(i)をポリシロキサン溶液(iii)に換えた以外は実施例1と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物3とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。なお、270℃硬化膜の光透過率は220℃硬化膜の光透過率とほぼ同じであった。
実施例4
キノンジアジド化合物(vi)0.4654g(8重量部)、ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルD、10時間半減期温度=116.4℃、日本油脂カタログ値)0.1163g(2重量部)をDAA1.981g、GBL2.5117gに溶解させ、ポリシロキサン(ii)溶液12.5653g(86.4重量部)、PL−2L−BL2.2604g(13.6重量部、GBL溶液、固形分濃度35%)シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(ビックケミージャパン(株)製)のGBL1%溶液を0.1g(濃度50ppmに相当)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物4とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。なお、270℃硬化膜の光透過率は220℃硬化膜の光透過率とほぼ同じであった。
実施例5
ポリシロキサン溶液(i)をポリシロキサン溶液(iv)に換えた以外は実施例1と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物5とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。なお、270℃硬化膜の光透過率は220℃硬化膜の光透過率とほぼ同じであった。
実施例6
ポリシロキサン溶液(i)をポリシロキサン溶液(v)に換えた以外は実施例1と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物6とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。なお、270℃硬化膜の光透過率は220℃硬化膜の光透過率とほぼ同じであった。
実施例7
ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製)をt−ブチルペルオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルZ、10時間半減期温度=104.3℃、日本油脂カタログ値)に換えた以外は実施例2と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物7とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。なお、270℃硬化膜の光透過率は220℃硬化膜の光透過率とほぼ同じであった。
実施例8
ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製)をジ(2−t−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルP、10時間半減期温度=119.5℃、日本油脂カタログ値)に換えた以外は実施例2と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物8とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。なお、270℃硬化膜の光透過率は220℃硬化膜の光透過率とほぼ同じであった。
比較例1
ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製)を加えない以外は実施例2と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物8とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例2
ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製)を過酸化ベンゾイル(日本油脂(株)製、商品名:ナイパーBW、10時間半減期温度=73.6℃、日本油脂カタログ値)に換えた以外は実施例2と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物9とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例3
ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製)をt−ブチルヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルH、10時間半減期温度=166.5℃、日本油脂カタログ値)に換えた以外は実施例2と同様に行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物10とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例4
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(vi)0.4718g(8重量部)、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート0.0295g(0.5重量部)を、DAA0.6735g、GBL3.981gに溶解させ、ポリシロキサン(i)溶液14.7442g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(ビックケミージャパン(株)製)のGBL1%溶液を0.1g(濃度50ppmに相当)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物11とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例5
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(vi)1.4543g(30重量部)、ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルD、10時間半減期温度=116.4℃、日本油脂カタログ値)0.097g(2重量部)をEDM2.1896gに溶解させ、合成例5で得られたアクリルポリマー溶液(vii)16.1591g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(ビックケミージャパン(株)製)のEDM1%溶液を0.1g(濃度50ppmに相当)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、組成物12を得た。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
組成物1〜13の各組成比を表1に、実施例1〜8、比較例1〜5の結果を表2に示した。
Figure 2008020898
Figure 2008020898

Claims (6)

  1. (a)ポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、(c)溶剤、(d)10時間半減期温度が90℃〜160℃である熱ラジカル発生剤を含有する感光性シロキサン組成物。
  2. (d)10時間半減期温度が90℃〜160℃である熱ラジカル発生剤が、一般式(1)で表される化合物である請求項1記載の感光性シロキサン組成物。
    Figure 2008020898
    (RとRは同じでも異なってもよく、水素、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のエステル基を表す。また、これらの有機基は置換されていてもされていなくても良い。)
  3. (a)ポリシロキサンが共重合体であり、該ポリシロキサンの少なくとも一部に化学的に結合したシリカ粒子を含んでいる請求項1記載の感光性シロキサン組成物。
  4. (a)ポリシロキサンがラジカル重合性基を有する請求項1記載の感光性ポリシロキサン組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の感光性シロキサン組成物から形成された硬化膜であって、波長400nmにおける膜厚3μmあたりの光透過率が95%以上である硬化膜。
  6. 請求項5記載の硬化膜を具備する素子。
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