JP2008019128A - 単結晶製造装置、単結晶製造方法および単結晶 - Google Patents
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Abstract
【課題】引き上げ時におけるシリコン融液の対流を制御することができ、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくできる単結晶製造装置を実現する。
【解決手段】シリコン融液4の表面4aとルツボの底面との距離とされる深さLaが鉛直方向距離Lbを超えている際に、シリコン融液4において、育成される単結晶3の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が距離Lb以内となるように、ルツボ底面と略平行な板状体である対流制御部材35が、ルツボの底面と固液界面との間に位置可能として設けられる単結晶製造装置30とする。
【選択図】図1
【解決手段】シリコン融液4の表面4aとルツボの底面との距離とされる深さLaが鉛直方向距離Lbを超えている際に、シリコン融液4において、育成される単結晶3の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が距離Lb以内となるように、ルツボ底面と略平行な板状体である対流制御部材35が、ルツボの底面と固液界面との間に位置可能として設けられる単結晶製造装置30とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、引き上げ時における前記シリコン融液の対流を制御することができ、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくすることができる単結晶製造装置およびその単結晶製造装置を用いた単結晶製造方法および単結晶に関する。
シリコン単結晶は、ルツボに収容された多結晶シリコン原料をヒータで加熱してシリコン融液とし、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」と略記する。)によりシリコン融液から引き上げながら成長させることにより製造される。CZ法によって育成されたシリコン単結晶中には、Grown−in欠陥と呼ばれる欠陥が結晶育成時に形成され、結晶育成後に得られたシリコン単結晶を評価した場合に検出される。
引上げ速度を徐々に低下させながら成長させたシリコン単結晶の縦断面には、R-OSF(Ring - Oxidation induced Stacking Fault)が現われる場合があることが知られている。R-OSFが現われる領域は、引上げ速度を小さくしていくと結晶の外周側から内側に収縮していく。R−OSFよりも内側(高速で引き上げられた結晶領域)と外側(低速で引き上げられた結晶領域)とでは、結晶育成後に観察されるGrown−in欠陥が異なる。高速で引き上げられた結晶領域では、COP(crystal originated particle) あるいはFPD(flow pattern defect)ともよばれるボイド欠陥(空孔型欠陥)が検出される。また、低速で引き上げられた結晶領域では、転位を伴う格子間Siの凝集体が発生し、格子間Si欠陥(転位クラスター欠陥)が検出される。
また、R−OSFと格子間Si欠陥領域との間には、Grown−in欠陥が検出されない無欠陥領域がある。シリコン単結晶中のボイド欠陥は、ウェーハの初期の酸化膜耐圧特性の劣化因子である。また、シリコン単結晶中の格子間Si欠陥もデバイス特性を劣化させる。そのため、シリコン単結晶の品質特性上、無欠陥領域での結晶育成が望まれる。
また、R−OSFと格子間Si欠陥領域との間には、Grown−in欠陥が検出されない無欠陥領域がある。シリコン単結晶中のボイド欠陥は、ウェーハの初期の酸化膜耐圧特性の劣化因子である。また、シリコン単結晶中の格子間Si欠陥もデバイス特性を劣化させる。そのため、シリコン単結晶の品質特性上、無欠陥領域での結晶育成が望まれる。
また、従来からシリコン融液の対流を抑制することができ均一なシリコン単結晶が得られる方法として、磁場中引き上げ法(MCZ法)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開昭64−24090号公報
しかしながら、従来の技術では、シリコン融液の残液量に応じて変化するシリコン融液の対流を十分に抑制することができなかった。特に、磁場中引き上げ法を用いてシリコン単結晶を製造する場合、ルツボ内のシリコン融液量が漸次変化(減少)してゆくので、シリコン融液内の位置による磁場の強度差(固液界面位置とルツボ底部位置における磁場強度差)がシリコン融液の残液量が多いときには大きく、残液量が少ないときには小さくなり、シリコン融液の残液量に起因するシリコン融液の対流の変化量が大きくなる。このシリコン融液内での対流は、固液界面付近の温度分布状態や、この温度分布に起因する固液界面形状(上に凸など)へ影響を与えたり、ルツボ壁などの表面に起因するシリコン融液内の酸素濃度やドーパント、気泡など不純物の単結晶への取り込まれ方、および、これらの結果として単結晶中の結晶品質に影響を与えることがわかっている。このため、従来の技術では、引き上げ開始から終了まで同じ引き上げ条件で引き上げても、引き上げ前半に育成された単結晶と引き上げ後半に育成された単結晶とでは、単結晶の欠陥状態、単結晶中の酸素濃度やドーパント濃度などの単結晶の品質が大きく異なってしまい、所望の品質を有する単結晶を得ることができず、著しい歩留まりの低下を招いていた。
具体的には、例えば、カスプ磁場を印加しながら無欠陥領域の結晶を製造する場合、ルツボに収容するシリコン融液の量を多くすると、引き上げ開始直後には無欠陥領域が形成されなくなってしまう。また、カスプ磁場を印加しながら所定の酸素濃度やドーパント濃度の結晶を製造する場合には、残液量によって酸素濃度やドーパント濃度の面内分布(Radial gradient of oxygen, ORG; Radial gradient of resistance,;RRG)等が変化するという問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、引き上げ時における前記シリコン融液の対流を制御することができ、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくすることができる単結晶製造装置およびその単結晶製造装置を用いた単結晶製造方法および単結晶を実現することを目的とする。
本発明の単結晶製造装置は、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置であって、
前記シリコン融液の表面と前記ルツボの底面との距離とされる深さLaが鉛直方向距離Lbを超えている際に、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が前記距離Lb以内となるように、前記ルツボ底面と略平行な板状体である対流制御部材が、前記ルツボの底面と前記固液界面との間に位置可能として設けられることを特徴とする。
また、本発明の前記対流制御部材が、引き上げられる前記シリコン単結晶の中心軸を中心とする平面視円形であることが好ましい。
また、本発明の前記対流制御部材が、平面視して少なくとも前記シリコン単結晶の存在する範囲を含む位置とされることができる。
また、本発明は、前記シリコン融液の対流を制御する磁場印可手段を備えることか可能である。
また、本発明は、前記距離Lbが、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定されてもよい。
前記シリコン融液の表面と前記ルツボの底面との距離とされる深さLaが鉛直方向距離Lbを超えている際に、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が前記距離Lb以内となるように、前記ルツボ底面と略平行な板状体である対流制御部材が、前記ルツボの底面と前記固液界面との間に位置可能として設けられることを特徴とする。
また、本発明の前記対流制御部材が、引き上げられる前記シリコン単結晶の中心軸を中心とする平面視円形であることが好ましい。
また、本発明の前記対流制御部材が、平面視して少なくとも前記シリコン単結晶の存在する範囲を含む位置とされることができる。
また、本発明は、前記シリコン融液の対流を制御する磁場印可手段を備えることか可能である。
また、本発明は、前記距離Lbが、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定されてもよい。
また、本発明の単結晶製造方法は、上記のいずれかに記載の単結晶製造装置を用いてシリコン単結晶を製造する方法であって、
前記ルツボ底面と略平行な板状体である前記対流制御部材を、前記固液界面から前記距離Lbの位置に設置し、
前記シリコン融液の表面と前記ルツボの底面との距離とされる深さLaが前記距離Lbを超える際に、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が前記距離Lb以内となるように制御することを特徴とする。
本発明の単結晶製造方法は、前記ルツボ内でシリコン原料を融解してシリコン融液を製造する工程と、前記シリコン融液内の所定の位置に前記対流制御部材を配置する工程と、前記シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように調温する工程とを順に行なった後、単結晶引き上げ工程を開始することが好ましい。
また、本発明は、前記単結晶引き上げ工程において、前記磁場印可手段により前記シリコン融液に磁場を印可しながら前記シリコン単結晶を引き上げることができる。
また、本発明は、前記距離Lbが、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定される方法とすることができる。
また、上記の単結晶製造方法は、無欠陥領域を有する単結晶を引き上げる方法とすることができる。
前記ルツボ底面と略平行な板状体である前記対流制御部材を、前記固液界面から前記距離Lbの位置に設置し、
前記シリコン融液の表面と前記ルツボの底面との距離とされる深さLaが前記距離Lbを超える際に、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が前記距離Lb以内となるように制御することを特徴とする。
本発明の単結晶製造方法は、前記ルツボ内でシリコン原料を融解してシリコン融液を製造する工程と、前記シリコン融液内の所定の位置に前記対流制御部材を配置する工程と、前記シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように調温する工程とを順に行なった後、単結晶引き上げ工程を開始することが好ましい。
また、本発明は、前記単結晶引き上げ工程において、前記磁場印可手段により前記シリコン融液に磁場を印可しながら前記シリコン単結晶を引き上げることができる。
また、本発明は、前記距離Lbが、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定される方法とすることができる。
また、上記の単結晶製造方法は、無欠陥領域を有する単結晶を引き上げる方法とすることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の単結晶は、上記いずれかに記載の単結晶製造装置、または、上記いずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明の単結晶製造装置によれば、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置であって、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が鉛直方向距離Lb以内となるように、前記ルツボ底面と略平行な板状体である対流制御部材が、前記シリコン融液表面と前記ルツボ底面との距離とされる深さLaが前記距離Lbを超えている際に、前記ルツボ底面と固液界面との間に位置可能として設けられることにより、結晶成長に直接影響のある固液界面付近における対流領域の対流を深さ方向距離Lb以内の範囲に規制して、固液界面に直接影響のある酸素濃度、ドーパント濃度、温度状態等を所定の範囲におさめるように制御することが可能となり、この結果、シリコン融液深さ変化に起因した引き上げる単結晶への悪影響を低減することが可能となる。
シリコン融液内では、融液内の温度差によって、石英ルツボの胴部に沿って上昇し、石英ルツボの中心付近で降下する主対流が生じる。対流制御装置が存在しない従来引き上げ装置では、シリコン融液内に生じる大きな対流は、ほぼこの主対流だけである。一方、本発明のシリコン単結晶引上装置では、対流制御部材を設けることにより、例えば、図1および図3に示すように、シリコン融液内における固液界面付近に、主対流とは逆方向に流れる2次対流を生じさせることが可能になる。
この2次対流により、融液中の原子はよく対流混合・拡散され、有効拡散係数Dは大幅に増加する。また、融液の温度勾配Gmも増加する。従って、組織的過冷却を容易に抑制できる。
この2次対流により、融液中の原子はよく対流混合・拡散され、有効拡散係数Dは大幅に増加する。また、融液の温度勾配Gmも増加する。従って、組織的過冷却を容易に抑制できる。
対流制御部材の平面視形状およびその表面凹凸形状を、シリコン単結晶の直径およびシリコン融液の最大深さLaに応じて、その直径寸法や凸部の高さを設定することにより、シリコン融液内の固液界面付近に2次対流を確実に生じさせることができる。また、少なくとも、固液界面付近のシリコン融液の不純物(ドーパント)濃度が他の部分のシリコン融液に比べて高くなることを防止して、例えシリコン単結晶インゴットが有転位化するまでに至らなくても、シリコン単結晶インゴット内での不純物(ドーパント)の均一化を図り、シリコンウェハに加工した際のウェハ面内の抵抗率分布(RRG)、ウェハの面内酸素分布(ORG)が所望の範囲に入るような形状に設定される。
なお、RRGは下記ように定義される。
RRG=(ウエハ中心抵抗率ρ0 -ウエハサイド抵抗率ρS)/ウエハ中心抵抗率ρ0
一般には、
RRG (IN10) =(ウエハ中心抵抗率ρ0 -ウエハインサイド10mmの抵抗率ρS)/ウエハ中心抵抗率ρ0
RRG (IN5) =(ウエハ中心抵抗率ρ0 -ウエハインサイド5mmの抵抗率ρS)/ウエハ中心抵抗率ρ0
等を用いる。
本発明においては、RRGとしてRRG (IN5)を用いる。
なお、RRGは下記ように定義される。
RRG=(ウエハ中心抵抗率ρ0 -ウエハサイド抵抗率ρS)/ウエハ中心抵抗率ρ0
一般には、
RRG (IN10) =(ウエハ中心抵抗率ρ0 -ウエハインサイド10mmの抵抗率ρS)/ウエハ中心抵抗率ρ0
RRG (IN5) =(ウエハ中心抵抗率ρ0 -ウエハインサイド5mmの抵抗率ρS)/ウエハ中心抵抗率ρ0
等を用いる。
本発明においては、RRGとしてRRG (IN5)を用いる。
また、本発明の単結晶製造装置は、シリコン融液の深さLaが、引き上げ開始時から前記引き上げ開始時における前記対流制御部材の最も下方の部位と融液表面との間の鉛直方向の距離Lb未満までの間の少なくとも所定の範囲内であるときに、前記対流制御部材の融液表面に対する位置が変化しないように制御されることによって、前記シリコン融液の深さLaが前記距離Lbであるときの状態となるように前記シリコン融液の対流が制御されるので、以下に示すように、引き上げ時における前記シリコン融液の対流を制御することができる。
すなわち、本発明の単結晶製造装置を用いて単結晶を製造する場合、シリコン融液の残液量が多くて、ルツボの底面と前記融液表面との間の距離であるシリコン融液の深さLaが、引き上げ開始時における対流制御部材の最も下方の部位と融液表面との間の鉛直方向の距離Lbよりも深いときのシリコン融液の対流を、対流制御部材の融液表面に対する位置を変化しないように制御することによって、シリコン融液の深さLaが距離Lbであるときの状態となるように制御できる。
したがって、本発明の単結晶製造装置を用いて単結晶を製造する場合、引き上げ開始時から引き上げに伴う前記シリコン融液の減少によって前記距離Lb未満となる時点までのシリコン融液の対流の変動が非常に少ないものとなる。その結果、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差及び固液界面形状を小さくすることが可能となり、所望の品質を有する単結晶を歩留まりよく製造できる。
したがって、本発明の単結晶製造装置を用いて単結晶を製造する場合、引き上げ開始時から引き上げに伴う前記シリコン融液の減少によって前記距離Lb未満となる時点までのシリコン融液の対流の変動が非常に少ないものとなる。その結果、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差及び固液界面形状を小さくすることが可能となり、所望の品質を有する単結晶を歩留まりよく製造できる。
また、本発明の単結晶製造装置においては、前記所定の範囲を、シリコン融液の深さLaが、引き上げ開始時から前記距離Lb未満までの間の全ての範囲とすることで、シリコン融液の深さLaが距離Lbよりも深いときの全ての範囲において、シリコン融液の対流をシリコン融液の深さLaが距離Lbであるときの状態となるように制御することができる。この場合、引き上げられた単結晶の大部分が、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差の少ないものとなり、好ましい。
また、本発明において、対流制御部材を、引き上げられるシリコン単結晶の中心軸を中心とする平面視円形とすることで、対流制御部材がルツボ底部に接触した場合に、対流制御部材の全周がほぼ同時にルツボに接触することにより、その衝撃を低減して、シリコン融液の対流を、シリコン融液の深さLaが距離Lbであるときの状態となるように良好に制御することができる。ここで、本発明において、前記対流制御部材がルツボと同期して回転しない場合には、対象とする引き上げ時のルツボ回転は0.1〜10rpm程度とされることが好ましい。また、対流制御部材がルツボと同期して回転する場合には、任意のルツボ回転数を選択することができる。
また、本発明の単結晶引き上げ装置において、対流制御部材をルツボと同期して回転可能とする対流制御部材回転手段を設けることができる。
また、本発明の単結晶引き上げ装置において、対流制御部材をルツボと同期して回転可能とする対流制御部材回転手段を設けることができる。
また、本発明の対流制御部材が、平面視して少なくともシリコン単結晶のある範囲(固液界面の範囲)を含む形状とされ、より詳細には、対流制御部材は平面視略円形を成し、前記シリコン単結晶の直径=Ddとした時に、対流制御部材の最小直径=Dd〜1.8Ddの範囲を少なくとも含むものとされる。さらに、対流制御部材の最大直径としては、ほぼルツボの内径と等しい寸法、つまり、ルツボ壁に接触しない程度に平面視してルツボ内部のほぼ全面に位置する形状とすることができる。これにより、少なくとも、結晶成長に直接影響のある固液界面付近における対流領域の対流を深さ方向距離Lb以内の範囲となるように規制して、引き上げる単結晶への悪影響を低減することが可能となる。
さらに、対流制御部材をルツボ内部のほぼ全面に位置する形状とすることにより、対流制御部材が石英ルツボと接触時の融液自由表面(結晶外側と石英ルツボ内側間の融液面)を最大化し、酸素濃度の急増が防止される。通常、石英から溶解される酸素は90%以上融液自由表面から蒸発されるために、融液自由表面が急減すると、融液内酸素濃度が急増し、引き上げる結晶内の酸素濃度も急増されると予想される。
さらに、対流制御部材をルツボ内部のほぼ全面に位置する形状とすることにより、対流制御部材が石英ルツボと接触時の融液自由表面(結晶外側と石英ルツボ内側間の融液面)を最大化し、酸素濃度の急増が防止される。通常、石英から溶解される酸素は90%以上融液自由表面から蒸発されるために、融液自由表面が急減すると、融液内酸素濃度が急増し、引き上げる結晶内の酸素濃度も急増されると予想される。
また、本発明において、シリコン融液の対流を制御する磁場印可手段を備えた場合、磁場を印可することでシリコン融液の対流を効果的に抑えることができ、しかも、シリコン融液の残液量に起因するシリコン融液の対流の変化量を小さくすることができるので、単結晶の欠陥状態や単結晶中のドーパント濃度など所望の品質を有する単結晶を歩留まりよく製造できる。
また、本発明は、前記距離Lbを、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定することができ、これにより、固液界面直下の単結晶品質に直接影響のある部分の対流を磁場印加によって制御することができ、しかも、シリコン融液表面からの深さの差による磁場強度の差を低減することが可能となるため、引き上げ長による単結晶品質のばらつきを防止することが可能となる。
磁場分布の引き上げ中の変化率は40%以下として設定されることが好ましく、より好ましくは、30%以下、あるいは、20%以下である。
また、本発明は、前記距離Lbを、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定することができ、これにより、固液界面直下の単結晶品質に直接影響のある部分の対流を磁場印加によって制御することができ、しかも、シリコン融液表面からの深さの差による磁場強度の差を低減することが可能となるため、引き上げ長による単結晶品質のばらつきを防止することが可能となる。
磁場分布の引き上げ中の変化率は40%以下として設定されることが好ましく、より好ましくは、30%以下、あるいは、20%以下である。
また、本発明の単結晶製造方法は、上記のいずれかに記載の単結晶製造装置を用いてシリコン単結晶を製造する方法であって、前記ルツボ底面と略平行な板状体である対流制御部材を、固液界面から鉛直方向距離Lb下側に位置して、前記シリコン融液表面と前記ルツボ底面との距離とされる深さLaが前記距離Lbを超えている際に、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が鉛直方向距離Lb以内となるように制御することにより、結晶成長に直接影響のある固液界面付近における対流領域の対流を深さ方向距離Lb以内の範囲に規制して、固液界面に直接影響のある酸素濃度、ドーパント濃度、温度状態等を所定の範囲から変化してしまうことを防止してそれぞれのパラメータを制御することが可能となり、この結果、単結晶引き上げに伴って起こるシリコン融液深さ変化に起因した引き上げる単結晶への悪影響を低減することが可能となる。
また、本発明の単結晶の製造方法では、前記対流制御部材の融液表面に対する位置を、シリコン融液の深さLaが引き上げ開始時から引き上げに伴う前記シリコン融液の減少によって前記距離Lb未満となる時点まで変化しないように制御しながら、前記シリコン単結晶を引き上げるので、シリコン融液の残液量に依存する品質差の小さい単結晶を製造することができる。
また、本発明の単結晶の製造方法では、前記対流制御部材の融液表面に対する位置を、シリコン融液の深さLaが引き上げ開始時から引き上げに伴う前記シリコン融液の減少によって前記距離Lb未満となる時点まで変化しないように制御しながら、前記シリコン単結晶を引き上げるので、シリコン融液の残液量に依存する品質差の小さい単結晶を製造することができる。
また、上記の単結晶の製造方法において、ルツボ内でシリコン原料を融解してシリコン融液を製造する工程と、シリコン融液内の所定の位置に対流制御部材を配置する工程と、シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように調温する工程とを順に行なった後、単結晶引き上げ工程を開始することで、以下に示すように、対流制御部材が、シリコン原料の融解やシリコン融液の引き上げ開始温度の調温に支障を来たすことを防ぐことができ、効率よく単結晶の製造を行なうことができる。
例えば、ルツボ内に対流制御部材を配置してからシリコン原料を融解することは、引き上げ温度に対して溶融温度が高いため、対流制御部材が軟化してしまう可能性があり、好ましくない。事実、石英ルツボが、シリコン原料融解時に軟化することもあり、対流制御部材が石英からなる場合には好ましくない。したがって、少なくとも、シリコン原料を融解終了後に対流制御部材をシリコン融液中に没入するべきである。また、シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように融解温度から降温して調温する工程の後に、シリコン融液内に対流制御部材を配置する場合、対流制御部材を配置することによって引き上げ開始温度が変動してしまう恐れがある。したがって、対流制御部材をシリコン融液に没入後に引き上げ開始温度設定をおこなうことが好ましい。
これに対し、ルツボ内でシリコン原料を融解した後に、シリコン融液内の所定の位置に対流制御部材を配置し、次いで、シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように調温した場合、融解した直後に高温であり、これから引き上げ開始温度まで降温するシリコン原料(融液)の温度が、シリコン融液内に対流制御部材を配置することによって自然に降下し、シリコン原料を融解したときの温度より低い引き上げ開始温度に自然に近づくことになるため、シリコン融液内に対流制御部材を配置しない場合と比較して、短時間で引き上げ開始温度にすることができ、単結晶引き上げにかかる総計の作業時間を短縮し、効率よく単結晶の製造を行なうことができる。
なお、シリコン原料融解温度を低温化することなどで、融解する工程より前に対流制御部材をルツボ内の位置に配置することもできる。
また、引き上げ工程において、ルツボ底部に対流制御部材が接触していない対流制御部材吊り下げ工程と、ルツボ底部に対流制御部材が載置されルツボと一緒に回転する対流制御部材載置工程と、を有することができる。
例えば、ルツボ内に対流制御部材を配置してからシリコン原料を融解することは、引き上げ温度に対して溶融温度が高いため、対流制御部材が軟化してしまう可能性があり、好ましくない。事実、石英ルツボが、シリコン原料融解時に軟化することもあり、対流制御部材が石英からなる場合には好ましくない。したがって、少なくとも、シリコン原料を融解終了後に対流制御部材をシリコン融液中に没入するべきである。また、シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように融解温度から降温して調温する工程の後に、シリコン融液内に対流制御部材を配置する場合、対流制御部材を配置することによって引き上げ開始温度が変動してしまう恐れがある。したがって、対流制御部材をシリコン融液に没入後に引き上げ開始温度設定をおこなうことが好ましい。
これに対し、ルツボ内でシリコン原料を融解した後に、シリコン融液内の所定の位置に対流制御部材を配置し、次いで、シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように調温した場合、融解した直後に高温であり、これから引き上げ開始温度まで降温するシリコン原料(融液)の温度が、シリコン融液内に対流制御部材を配置することによって自然に降下し、シリコン原料を融解したときの温度より低い引き上げ開始温度に自然に近づくことになるため、シリコン融液内に対流制御部材を配置しない場合と比較して、短時間で引き上げ開始温度にすることができ、単結晶引き上げにかかる総計の作業時間を短縮し、効率よく単結晶の製造を行なうことができる。
なお、シリコン原料融解温度を低温化することなどで、融解する工程より前に対流制御部材をルツボ内の位置に配置することもできる。
また、引き上げ工程において、ルツボ底部に対流制御部材が接触していない対流制御部材吊り下げ工程と、ルツボ底部に対流制御部材が載置されルツボと一緒に回転する対流制御部材載置工程と、を有することができる。
なお、位置調整手段をもうけることによって、対流制御部材の高さ位置を細かく制御することが可能なので、2次対流の形成状態をより精密に設定して、融液中の渦の流れに影響される、ドーパント濃度・分布、温度勾配・状態をより精密に制御することが可能となる。その結果、引き上げる単結晶の結晶状態をより精密に制御することが可能となる。
また、上記の単結晶の製造方法において、磁場印可手段により前記シリコン融液に磁場を印可しながら前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする方法とした場合、シリコン融液の対流を効果的に抑えることができ、しかも、シリコン融液の残液量に起因するシリコン融液の対流の変化量を小さくすることができる。
また、本発明は、前記距離Lbを、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定することができ、これにより、固液界面直下の単結晶品質に直接影響のある部分の対流を磁場印加によって制御することができ、しかも、シリコン融液表面からの深さの差による磁場強度の差を低減することが可能となる。
このため、結晶成長に直接影響のある固液界面付近における対流領域の対流を深さ方向距離である距離Lb以内の範囲において、ほぼ均等に磁場制御して、単結晶内での酸素濃度、ドーパント濃度および、影響のある固液界面形状および、付近のシリコン融液中の酸素濃度、ドーパント濃度、温度状態等が、引き上げ長によりシリコン融液深さ(固液界面)が変化することで所定の欠陥分布範囲でなくなってしまうことを防止し、それぞれのパラメータを制御することが可能となる。この結果、単結晶引き上げに伴って起こるシリコン融液深さ変化に起因した引き上げる単結晶への悪影響を低減することが可能となる。
磁場分布の引き上げ中の変化率は40%以下として設定されることが好ましく、より好ましくは、30%以下、あるいは、20%以下である。
また、本発明は、前記距離Lbを、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定することができ、これにより、固液界面直下の単結晶品質に直接影響のある部分の対流を磁場印加によって制御することができ、しかも、シリコン融液表面からの深さの差による磁場強度の差を低減することが可能となる。
このため、結晶成長に直接影響のある固液界面付近における対流領域の対流を深さ方向距離である距離Lb以内の範囲において、ほぼ均等に磁場制御して、単結晶内での酸素濃度、ドーパント濃度および、影響のある固液界面形状および、付近のシリコン融液中の酸素濃度、ドーパント濃度、温度状態等が、引き上げ長によりシリコン融液深さ(固液界面)が変化することで所定の欠陥分布範囲でなくなってしまうことを防止し、それぞれのパラメータを制御することが可能となる。この結果、単結晶引き上げに伴って起こるシリコン融液深さ変化に起因した引き上げる単結晶への悪影響を低減することが可能となる。
磁場分布の引き上げ中の変化率は40%以下として設定されることが好ましく、より好ましくは、30%以下、あるいは、20%以下である。
なお、本発明においては、引き上げようとする単結晶における上記のパラメータを引き上げ長によって変化するように設定することも可能であり、この場合、固液界面からの対流制御部材までの距離Lbを引き上げ長の増加にしたがって変化させ、時間的に距離Lbの設定を制御することによって、固液界面の形状を設定することや、軸方向に酸素濃度、COP濃度、抵抗率等の傾斜あるいは均一でない分布を有する単結晶を引き上げることも可能である。
この際、例えばカスプ磁場印加する場合、Lbを小さくした場合には、
固液界面(下凸→上凸)
酸素濃度(減少)
COP濃度(減少)
ドーパント濃度(増加)
抵抗率(減少)
という変化傾向があり、
また、例えばカスプ磁場印加する場合、Lbを大きくした場合には、
固液界面(上凸→下凸)
酸素濃度(増加・減少)
COP濃度(増加)
ドーパント濃度(減少)
抵抗率(増加)
という変化傾向がある。したがって、これらを勘案して、引き上げ長の増加にしたがって、Lbの値を順次設定することができる。もちろん、これらのパラメータの制御は、温度条件、炉内保温材の構造、ルツボ及び単結晶回転、引き上げ速度、炉内圧、炉内ガス流量、ガス組成、磁場種類及び印加条件等、単結晶引き上げにおける他のパラメータと連動しておこなうことが好ましい。
この際、例えばカスプ磁場印加する場合、Lbを小さくした場合には、
固液界面(下凸→上凸)
酸素濃度(減少)
COP濃度(減少)
ドーパント濃度(増加)
抵抗率(減少)
という変化傾向があり、
また、例えばカスプ磁場印加する場合、Lbを大きくした場合には、
固液界面(上凸→下凸)
酸素濃度(増加・減少)
COP濃度(増加)
ドーパント濃度(減少)
抵抗率(増加)
という変化傾向がある。したがって、これらを勘案して、引き上げ長の増加にしたがって、Lbの値を順次設定することができる。もちろん、これらのパラメータの制御は、温度条件、炉内保温材の構造、ルツボ及び単結晶回転、引き上げ速度、炉内圧、炉内ガス流量、ガス組成、磁場種類及び印加条件等、単結晶引き上げにおける他のパラメータと連動しておこなうことが好ましい。
また、上記の単結晶の製造方法を用いて無欠陥領域を有する単結晶を引き上げる場合、シリコン融液の残液量に依存する品質差の小さい単結晶が得られるため、従来の技術では高い歩留まりを得ることが困難であった無欠陥領域を有する単結晶であっても、歩留まりよく製造できる。あるいは、Lbを制御することで、上記のような単結晶を得ることが可能となる。
本発明の単結晶製造装置および単結晶の製造方法によれば、シリコン融液の残液量に依存する品質差の発生を防止して所望の特性を有する単結晶を製造することが可能となり、所望の品質を有する単結晶を短い作業時間で、歩留まりよく製造できる。
以下、図面を参照して本発明について例を挙げて詳細に説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による単結晶製造装置の概略断面図である。図2は、図1に示す単結晶製造装置が備える対流制御部材を説明するための図であり、図2(a)は対流制御部材を支持片の設けられている部分で直径方向に切断した断面図であり、(b)は対流制御部材の平面図である。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による単結晶製造装置の概略断面図である。図2は、図1に示す単結晶製造装置が備える対流制御部材を説明するための図であり、図2(a)は対流制御部材を支持片の設けられている部分で直径方向に切断した断面図であり、(b)は対流制御部材の平面図である。
図1において符号30は単結晶製造装置を示している。単結晶製造装置30のメインチャンバ1内において、シリコン融液4を収容する石英ルツボ5と、石英ルツボ5を保護する黒鉛ルツボ6とがルツボ駆動機構21によって回転・昇降自在に保持軸13で支持されている。また、加熱ヒータ7と断熱材8とが、石英ルツボ5、黒鉛ルツボ6を取り囲むように配置されている。また、メインチャンバ1の上部には、育成したシリコン単結晶3を収容し、取り出すための引上げチャンバ2が連接されており、引上げチャンバ2の上部には、シリコン単結晶3をワイヤ14で回転させながら引上げる引上げ機構(図1では図示略)が設けられている。
また、メインチャンバ1の内部には、シリコン融液4からシリコン単結晶3への放射を遮断するとともにメインチャンバ1内のガスを整流するためのガス整流筒11が設けられており、このガス整流筒11の下部には、シリコン融液4全面と対向するように遮熱部材12が設置され、シリコン融液4の表面からの輻射をカットするとともにシリコン融液4の表面を保温するようにしている。
また、メインチャンバ1の外側には、メインチャンバ1を取り巻くように、石英ルツボ5内に磁場を与える磁場発生装置(磁場印可手段)17が備えられている。磁場発生装置17は、石英ルツボ5に向けて、例えば水平磁場を生じさせるものであり、電磁コイル等から構成されている。なお、磁場発生装置17は、石英ルツボ5内に水平磁場を与える構成とすることができるが、一対の円形コイルに逆方向の電流を流した時に作られる磁場配位であるカスプ磁場を石英ルツボ5内に与える構成としてもよい。
また、シリコン融液4内には対流制御部材35が配置されている。対流制御部材35は、シリコン融液4の深さLaが対流制御部材35と融液表面4aとの間の距離Lbであるときの状態となるようにシリコン融液4の対流を制御するものである。対流制御部材35の融液表面4aに対する位置は、引き上げ開始から、引き上げに伴うシリコン融液4の減少によってシリコン融液4の深さLaが、引き上げ開始時における対流制御部材35の最も下方の部位と融液表面4aとの間の鉛直方向の距離Lb未満となる時点まで変化しないように、後述する位置制御手段によって制御されるようになっている。本実施形態においては、対流制御部材35の最も下方の部位は、図1に示すように、対流制御部材35の下面におけるシリコン単結晶3の中心軸と交差する中心部分35aである。
また、図2(a)に示すように、対流制御部材35は、石英ルツボ5と同様の素材である石英からなるほぼ板状とされるとともに、シリコン単結晶3の中心軸15を中心とし、下に向かって所定の曲率で湾曲する底部35bと、該底部35bと一体とされ、かつ、底部35bの縁部から底部35bよりも小さい曲率で上へ向かって湾曲して設けられた底面コーナー部35cとからなり、図2(b)に示すように、引き上げられるシリコン単結晶3の中心軸15を中心15とする平面視円形のものであり、上下動した際に石英ルツボ5に接触しない程度に石英ルツボ5の内径より多少小さい径寸法を有する。
対流制御部材35の寸法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す寸法とすることができる。
対流制御部材35の内面直径φは、石英ルツボ5の内面直径をφ0とすると0.1〜1.0φ0とされ、好ましくは0.7〜0.9φ0とされる。対流制御部材35の底部35bの曲率Rは、石英ルツボ5の底部の曲率をR0とすると0.1〜1.8R0とされ、好ましくは0.7〜1.2R0とされ、底部35bの外面形状が石英ルツボ5の底部の内面形状とほぼ一致する形状とされることがより望ましい。対流制御部材35の底面コーナー部35cの曲率rは、石英ルツボ5の底面コーナー部の曲率をr0とすると0.1〜1.8r0、好ましくは0.7〜1.2r0とされる。対流制御部材35の厚みt1は、1〜100mmとされ、5〜30mmとされることが望ましい。対流制御部材35の高さH1は、石英ルツボ5の高さをH0とすると0.1〜1.8H0とされ、好ましくは0.7〜1.2H0とされる。
対流制御部材35の内面直径φは、石英ルツボ5の内面直径をφ0とすると0.1〜1.0φ0とされ、好ましくは0.7〜0.9φ0とされる。対流制御部材35の底部35bの曲率Rは、石英ルツボ5の底部の曲率をR0とすると0.1〜1.8R0とされ、好ましくは0.7〜1.2R0とされ、底部35bの外面形状が石英ルツボ5の底部の内面形状とほぼ一致する形状とされることがより望ましい。対流制御部材35の底面コーナー部35cの曲率rは、石英ルツボ5の底面コーナー部の曲率をr0とすると0.1〜1.8r0、好ましくは0.7〜1.2r0とされる。対流制御部材35の厚みt1は、1〜100mmとされ、5〜30mmとされることが望ましい。対流制御部材35の高さH1は、石英ルツボ5の高さをH0とすると0.1〜1.8H0とされ、好ましくは0.7〜1.2H0とされる。
なお、対流制御部材35の形状は、上記の形状に限定されるものではなく、例えば、対流制御部材35内の底面に円錐面形や放物面形、球面形が形成されていてもよい。このような形状を有する対流制御部材35内の底面とすることで、固液界面直下の対流を所望の状態に制御して、引き上げ時の固液界面の形状を上凸にしたり下凸にしたりさらに凸部の高さを調節することができ、目的とするシリコン単結晶3の欠陥分布や酸素濃度などの品質を適切に制御できる。また、引き上げ条件によっては、このような形状を有する対流制御部材35内の底面とすることで、より一層、引き上げ時におけるシリコン融液の対流を制御することができる。
また、図1および図2(a)に示すように、対流制御部材35は、対流制御部材35と一体化して形成された支持片36に支持されている。支持片36は、対流制御部材35と同様の石英からなり、対流制御部材35の底面コーナー部35cの上端から上に向かって延在して垂設されている。支持片36の上端には、図2(a)に示すように、石英ルツボ5の内側に向かって略直角に折り曲げられてなる継ぎ手36bが形成されている。また、支持片36は、シリコン単結晶3の中心軸15を挟んで対向する2箇所に形成されている。
支持片36の上端から底面コーナー部35cの上端までの長さH2は、特に限定されないが、例えば、引き上げ開始時のシリコン融液4の深さLaをL0とすると0.1〜1.8L0とされ、好ましくは0.2〜1.8L0とされることが好ましい。
また、支持片36の厚みt2は、1〜300mmとされ、対流制御部材35の厚みt1よりも厚くすることが望ましく、具体的には、5〜80mmとされることが望ましい。
なお、図2(a)に示すように、支持片36と対流制御部材35とは、一体化して形成されていてもよいが、各々別々の部材からなるものとし、適切な固定手段を用いて固定してもよい。
支持片36の上端から底面コーナー部35cの上端までの長さH2は、特に限定されないが、例えば、引き上げ開始時のシリコン融液4の深さLaをL0とすると0.1〜1.8L0とされ、好ましくは0.2〜1.8L0とされることが好ましい。
また、支持片36の厚みt2は、1〜300mmとされ、対流制御部材35の厚みt1よりも厚くすることが望ましく、具体的には、5〜80mmとされることが望ましい。
なお、図2(a)に示すように、支持片36と対流制御部材35とは、一体化して形成されていてもよいが、各々別々の部材からなるものとし、適切な固定手段を用いて固定してもよい。
また、図1および図2(a)に示すように、支持片36の継ぎ手36bには、略C字形の取り付け部材36aの下端部を継ぎ手36bの下方から継ぎ手36bを載せるようにして引っ掛けることにより、着脱可能に取り付けられている。また、取り付け部材36aの上端部には、ガス整流筒11とメインチャンバ1を貫通するワイヤ31の下端が取り付けられている。取り付け部材36aは、W(W合金)やMo(Mo合金)などから形成されたものである。また、取り付け部材36aの厚みや大きさは、支持片36が取り付けられた場合に負荷される荷重を支持できるだけの十分な強度が備えられたものであればよく、特に限定されない。
そして、対流制御部材35は、支持片36と、取り付け部材36aと、ワイヤ31と、ガス整流筒11を貫通するワイヤ31をガス整流筒11の上方で平面的に適切な位置に支持するワイヤ支持部材37と、メインチャンバ1の内側でメインチャンバ1を貫通するワイヤ31を支持するとともに所定の方向に送り出す滑車等の支持治具34と、メインチャンバ1の外に設けられて、ワイヤ31が巻回されたギヤ33を回転駆動させるモータ32とを備える2つの位置調整手段によって上下方向に移動可能に支持されている。
なお、本実施形態においては、2つの位置調整手段を備える単結晶引上げ装置30としたが、位置調整手段の数は特に限定されるものではなく、3つ以上としてもよい。位置調整手段の数を3つ以上とした場合、支持片36が石英ルツボ5の中心と一致する対流制御部材35の中心点に対して点対称に3つ以上設けられることで、対流制御部材35を安定して支持することができ好ましいが、位置調整手段の数が多くなるとチャンバ内を汚染する要因が増加し、シリコン融液中に混入する汚染要因が増加するため好ましくない。このため、位置調整手段の数は、2つまたは3つとするのか望ましい。さらに、対流制御部材35をワイヤ31で支持したが、上下方向に延在する矩形断面の棒状部材により対流制御部材35を支持することもできる。この場合には、対流制御部材35と棒状部材とを接続し、回転支持治具のかわりに矩形断面の貫通孔をガス整流筒とメインチャンバに設け、棒状部材を軸とする回転を規制した状態で上下動可能とすることで、位置調整手段を1つとすることもできる。
シリコン融液4の深さLaは、引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって変動する。また、引き上げ開始時のシリコン融液4の深さLaは、引き上げられるシリコン単結晶3の径や長さ、石英ルツボ5の形状などによって決定され、特に限定されないが、例えば、径が200mmのシリコン単結晶3を引き上げる場合には0〜1000mmとされ、好ましくは5〜800mmとされる。
また、引き上げ開始時における対流制御部材35の最も下方の部位と融液表面4aとの間の鉛直方向の距離Lbは、前記育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲の鉛直方向距離として設定され、例えば、引き上げ開始時のシリコン融液4の深さLaをL0とすると0.1〜1.0L0とされ、好ましくは0.3〜1.0L0とされる。また、距離Lbは、磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定されることが好ましい。磁場分布の引き上げ中の変化率は40%以下として設定されることが好ましく、より好ましくは、30%以下、あるいは、20%以下である。
また、引き上げ開始時における対流制御部材35の最も下方の部位と融液表面4aとの間の鉛直方向の距離Lbは、前記育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲の鉛直方向距離として設定され、例えば、引き上げ開始時のシリコン融液4の深さLaをL0とすると0.1〜1.0L0とされ、好ましくは0.3〜1.0L0とされる。また、距離Lbは、磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定されることが好ましい。磁場分布の引き上げ中の変化率は40%以下として設定されることが好ましく、より好ましくは、30%以下、あるいは、20%以下である。
また、引上げチャンバ1の上部に設けられたガス導入口10からはアルゴンガス等の不活性ガスなどを導入でき、引上げ中のシリコン単結晶3とガス整流筒11との間を通過させた後、遮熱部材12とシリコン融液4の融液表面4aとの間を通過させ、ガス流出口9から排出することができる。
このような単結晶引上げ装置30を用いて、CZ法によりシリコン単結晶を育成するには、まず、石英ルツボ5内にシリコン原料を収容・充填し、加熱ヒータ7を用いて石英ルツボ5内でシリコン原料を加熱して融解し、シリコン融液4とする。次いで、支持片36と、取り付け部材36aと、ワイヤ31と、ワイヤ支持部材37と、支持治具34と、モータ32とを備える2つの位置調整手段によって上下方向に移動可能に支持された状態で、対流制御部材35をシリコン融液4内の所定の位置としてシリコン融液4表面から付加さLbの位置に配置する。なお、対流制御部材35の融液表面4aに対する位置は、位置調整手段により調整する。位置調整手段による調整は、モータ32を動作させてギヤ33を正方向または反対方向に回転駆動させることによって行われる。
続いて、磁場発生装置17を動作させて石英ルツボ5内への水平磁場等の磁場印加を開始するとともに、シリコン融液4の温度を引き上げ開始温度となるように調温する。なお、磁場の印加を開始するタイミングは、成長させるシリコン単結晶3の目標とする品質などに応じて適宜選択することができる。また、印加する磁場の強度は、引き上げ時において、その最大強度が水平磁場にあっては1000G以上に設定されるのが好ましい。また、カスプ磁場にあっては、中立面と石英ルツボ内面の交接点(実質は平面円)の磁場強度が50G程度となるように設定されるのが好ましい。また、磁場中心の高さ位置は、引き上げ時において、石英ルツボ5の上端から底部の範囲とすることができ、シリコン融液4の融液表面4a近傍とした場合、シリコン融液の対流を効果的に抑えることができ望ましい。なお、ここで磁場中心の高さ位置とは、水平磁場にあっては磁場発生コイルの中心の高さ位置を意味し、カスプ磁場にあっては、垂直方向および水平方向の磁場成分が0となる位置を意味する。また、磁場の印加状態(開始タイミング、強度、最大強度位置高さ等)引き上げる単結晶の特性や、シリコン原料の充填および融解状態にあわせて、融解完了前あるいは融解完了後など適宜変更可能である。
その後、以下に示すように、単結晶引き上げ工程を開始する。
すなわち、ルツボ駆動機構21によって石英ルツボ5を所定の速度で回転させ、ワイヤ14に固定された種結晶16を石英ルツボ5中のシリコン融液4に浸漬し、回転させながら静かに引上げて種絞りを形成した後、所望の直径まで拡径し、略円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶3を成長させる。結晶回転はルツボ及び引き上げ結晶の特性によって、任意の値に設定することもできる。
本実施形態においては、シリコン単結晶3の引き上げは、まず、石英ルツボ5底部に対流制御部材35が接触していない対流制御部材吊り下げ工程として、磁場発生装置17から石英ルツボ5内へカスプ磁場を印加するとともに、シリコン融液4内に配置された対流制御部材35の融液表面4aに対する位置を、シリコン融液4の深さLaが引き上げ開始時から引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって距離Lb未満となる時点まで変化しないように制御しながら行う。
すなわち、ルツボ駆動機構21によって石英ルツボ5を所定の速度で回転させ、ワイヤ14に固定された種結晶16を石英ルツボ5中のシリコン融液4に浸漬し、回転させながら静かに引上げて種絞りを形成した後、所望の直径まで拡径し、略円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶3を成長させる。結晶回転はルツボ及び引き上げ結晶の特性によって、任意の値に設定することもできる。
本実施形態においては、シリコン単結晶3の引き上げは、まず、石英ルツボ5底部に対流制御部材35が接触していない対流制御部材吊り下げ工程として、磁場発生装置17から石英ルツボ5内へカスプ磁場を印加するとともに、シリコン融液4内に配置された対流制御部材35の融液表面4aに対する位置を、シリコン融液4の深さLaが引き上げ開始時から引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって距離Lb未満となる時点まで変化しないように制御しながら行う。
本実施形態においては、シリコン単結晶3の引き上げ中における融液表面4aの鉛直方向の高さは、ルツボ駆動機構21によって一定となるように制御されている。したがって、シリコン単結晶3の引き上げ中における対流制御部材35の融液表面4aに対する位置は、ルツボ駆動機構21によって、シリコン融液4の深さLaが引き上げ開始時から引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって距離Lb未満となる時点まで変化しないように制御される。ルツボ駆動機構21の制御は、位置制御手段(図示略)を用いて行うことができる。位置制御手段は、例えば、石英ルツボ5の位置、CCDカメラなどで測定した対流制御部材35の位置、シリコン融液4の融液表面4aの位置、シリコン単結晶3の引上げ長さ、チャンバ内温度、シリコン融液4の表面温度、ガス流量等の情報に応じて、石英ルツボ5の上下方向の位置をルツボ駆動機構21によって移動させる。
なお、本実施形態においては、シリコン単結晶3の引き上げ中における対流制御部材35の融液表面4aに対する位置をルツボ駆動機構21によって制御する方法を例に挙げて説明したが、シリコン単結晶3の引き上げ中における対流制御部材35の融液表面4aに対する位置を位置調整手段により調整してもよい。
その後、シリコン単結晶3の育成を継続し、引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって、図3に示すように、シリコン融液4の深さLaが距離Lb未満になった場合に、石英ルツボ5底部に対流制御部材35が載置され石英ルツボ5と一緒に回転する対流制御部材載置工程として、対流制御部材35の底部35bの外面が石英ルツボ5の底部の内面上に載置されることになり、位置調整手段のワイヤ31に負荷されていた対流制御部材35の荷重が石英ルツボ5に移動する。そして、さらにシリコン単結晶3の育成を継続してシリコン融液4が減少すると、位置調整手段のワイヤ31の張力が緩み、支持片36の継ぎ手36bと取り付け部材36aの下端部との間に隙間が生じ、ルツボ駆動機構21による石英ルツボ5の回転により、支持片36が取り付け部材36aから取り外される。支持片36が取り付け部材36aから取り外されると、対流制御部材35および支持片36は、石英ルツボ5に一体化された状態でルツボ駆動機構21の制御によって石英ルツボ5の回転に連動して回転するものとなる。なお、支持片36から取り外された取り付け部材36aは、モータ32によってギヤ33を回転駆動させてワイヤ31の長さを調節することにより、シリコン単結晶3の育成に支障を来たさない高さ位置に移動させることができる。
その後、シリコン単結晶3の育成を継続してシリコン単結晶3の育成が完了した後、加熱ヒータ7で加熱することにより、対流制御部材35を石英ルツボ5の底部の内面上から上昇させ、対流制御部材35と石英ルツボ5とを分離させる。なお、石英ルツボ5と分離された対流制御部材35は、適切な冷却方法によって冷却されることにより、再度利用できる。
本実施形態においては、シリコン単結晶3の引き上げ中のシリコン融液4の残液量が多くて、シリコン融液の深さLaが、引き上げ開始時における対流制御部材35の下面におけるシリコン単結晶3の中心軸と交差する中心部分35aと融液表面4aとの間の鉛直方向の距離をLbよりも深いときのシリコン融液4の対流が、対流制御部材35によって、シリコン融液4の深さLaが距離Lbであるときの状態となるように制御される。
したがって、本実施形態においては、引き上げ開始時から引き上げ中のシリコン融液4の量が距離Lb未満となる時点までのシリコン融液4の対流の変動が非常に少ないものとなる。その結果、シリコン融液4の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくすることが可能となり、所望の品質を有する単結晶を歩留まりよく製造できる。
したがって、本実施形態においては、引き上げ開始時から引き上げ中のシリコン融液4の量が距離Lb未満となる時点までのシリコン融液4の対流の変動が非常に少ないものとなる。その結果、シリコン融液4の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくすることが可能となり、所望の品質を有する単結晶を歩留まりよく製造できる。
(第二実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態による単結晶製造装置の概略断面図である。図5は、図4に示す単結晶製造装置が備える対流制御部材を説明するための図であり、図5(a)は対流制御部材を支持片の設けられている部分で直径方向に切断した断面図であり、(b)は対流制御部材の平面図であり、図5(c)は、図5(a)の斜視図ある。
なお、図4に示す単結晶製造装置において、図1に示す単結晶製造装置と異なるところは、対流制御部材35を支持する位置調整手段に関する点のみであるので、第2実施形態においては位置調整手段について詳細に説明し、図1に示す単結晶製造装置と部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態による単結晶製造装置の概略断面図である。図5は、図4に示す単結晶製造装置が備える対流制御部材を説明するための図であり、図5(a)は対流制御部材を支持片の設けられている部分で直径方向に切断した断面図であり、(b)は対流制御部材の平面図であり、図5(c)は、図5(a)の斜視図ある。
なお、図4に示す単結晶製造装置において、図1に示す単結晶製造装置と異なるところは、対流制御部材35を支持する位置調整手段に関する点のみであるので、第2実施形態においては位置調整手段について詳細に説明し、図1に示す単結晶製造装置と部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態において、図4に示すように、対流制御部材35は、支持片18と、接合部材18bと、支持リング18aと、取り付け部材36aと、ワイヤ31と、引上げチャンバ2の最上部に設けられた回転板38と、回転板38の外面上に設けられてワイヤ31が巻回されたギヤ33を回転駆動させるモータ32とを備える2つの位置調整手段によって上下方向に移動可能に支持されている。
支持片18は、図1に示した構成と同様石英からなり、図5(a)〜図5(c)に示すように、対流制御部材35の底面コーナー部35cの上端から上に向かって延在して形成されている。また、支持片18の上端においてシリコン単結晶3の中心軸15を挟んで対向する2箇所には、棒状の接合部材18bの一端が固定されている。接合部材18bの他端には、支持リング18aが固定されている。
支持片18は、図1に示した構成と同様石英からなり、図5(a)〜図5(c)に示すように、対流制御部材35の底面コーナー部35cの上端から上に向かって延在して形成されている。また、支持片18の上端においてシリコン単結晶3の中心軸15を挟んで対向する2箇所には、棒状の接合部材18bの一端が固定されている。接合部材18bの他端には、支持リング18aが固定されている。
接合部材18bは、石英、黒鉛、Moなどから形成されたものである。接合部材18bの幅や厚みは、取り付け部材36aに支持リング18aが取り付けられた場合に負荷される荷重を支持できるだけの十分な強度が備えられたものであればよく、特に限定されない。
また、支持リング18aは、図4に示すように、対流制御部材35の内径よりも小さい外径を有し、かつ、シリコン単結晶3の外径よりも大きい内径を有する断面矩形のリング状のものである。具体的には、支持リング18aの内径Dは、単結晶3に影響を与えないで取り付け部材36aを着脱可能な大きさとされ、例えば、シリコン単結晶3の外径をD0とすると0.1〜10D0 とされ、好ましくは1〜2D0 とされる。
また、支持リング18aは、石英、黒鉛、Moなどから形成されている。支持リング18aの厚みは、支持片36が取り付けられた場合に負荷される荷重を支持できるだけの十分な強度が備えられたものであればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、支持リング18aの水平方向の厚みt3は、1〜300mmとされ、5〜80mmとされることが望ましい。
また、支持リング18aは、石英、黒鉛、Moなどから形成されている。支持リング18aの厚みは、支持片36が取り付けられた場合に負荷される荷重を支持できるだけの十分な強度が備えられたものであればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、支持リング18aの水平方向の厚みt3は、1〜300mmとされ、5〜80mmとされることが望ましい。
なお、支持リング18aの断面形状は、矩形とすることができるが、矩形に限定されるものではなく、略C字形の取り付け部材36aに引っ掛けることができ、ワイヤ31の張力を緩めることによって取り付け部材36aからと取り外すことができる形状であればいかなるものであってもよく、例えば、断面円形状としてもよい。支持リング18aの断面形状が円形状である場合、支持リング18aの断面における直径φ3は、1〜300mmとされ、5〜80mmとされることが望ましい。
なお、支持片18と接合部材18bとの固定や、支持リング18aと接合部材18bとの固定は、いかなる方法によって行ってもよく特に限定されない。また、対流制御部材35、支持片18、接合部材18b、支持リング18aを各々別々の部材からなるものとし、それらを互いに適切な固定手段を用いて固定してもよいが、それらのうちの2つ以上の部材を一体化して形成した部材を用いてもよい。
また、支持リング18aには、取り付け部材36aが、図5(a)および図5(c)に示すように、略C字形の取り付け部材36aの下端部を支持リング18aの下方から支持リング18aを載せるようにして引っ掛けることにより、着脱可能に取り付けられている。また、取り付け部材36aの上端部には、図4に示すように、回転板38を貫通するワイヤ31の下端が取り付けられている。
図4に示すように、回転板38は、引上げチャンバ2の最上部に設けられたものであり、シリコン単結晶3の中心軸15を中心として回転するものである。また、回転板38は、外周部38aと、外周部38aの内側に設けられた中心部38bとからなり、外周部38aと中心部38bとは個別に回転可能となっている。
回転板38の外周部38aは、石英ルツボ5の回転と同じ方向に同じ速度で同期して回転するように、ルツボ駆動機構21を制御する位置制御手段(図示略)によって制御されている。そして、外周部38aの回転に連動して、対流制御部材35がシリコン単結晶3の中心軸15を中心として回転するようになっている。
また、図4に示すように、中心部38bの外面上には、シリコン単結晶3を吊るすためのワイヤ14が巻回されたギヤ40と、ギヤ40を回転駆動させるモータ41とが備えられている。ワイヤ14はシリコン単結晶3の中心軸15において中心部38bを貫通してシリコン単結晶3を支持するようにされ、中心部38bの回転に連動して中心軸15を中心として回転するようになっている。
回転板38の外周部38aは、石英ルツボ5の回転と同じ方向に同じ速度で同期して回転するように、ルツボ駆動機構21を制御する位置制御手段(図示略)によって制御されている。そして、外周部38aの回転に連動して、対流制御部材35がシリコン単結晶3の中心軸15を中心として回転するようになっている。
また、図4に示すように、中心部38bの外面上には、シリコン単結晶3を吊るすためのワイヤ14が巻回されたギヤ40と、ギヤ40を回転駆動させるモータ41とが備えられている。ワイヤ14はシリコン単結晶3の中心軸15において中心部38bを貫通してシリコン単結晶3を支持するようにされ、中心部38bの回転に連動して中心軸15を中心として回転するようになっている。
図4に示す単結晶引上げ装置30を用いて、CZ法によりシリコン単結晶を育成するには、まず、上述した第1実施形態と同様にしてシリコン原料を融解してシリコン融液4とし、支持片18と、接合部材18bと、支持リング18aと、取り付け部材36aと、ワイヤ31と、回転板38と、モータ32とを備える2つの位置調整手段によって上下方向に移動可能に支持された状態で、対流制御部材35をシリコン融液4内の所定の位置に配置する。
続いて、上述した第1実施形態と同様にして石英ルツボ5内への水平磁場の印加を開始し、シリコン融液4の温度を引き上げ開始温度となるように調温する。
続いて、上述した第1実施形態と同様にして石英ルツボ5内への水平磁場の印加を開始し、シリコン融液4の温度を引き上げ開始温度となるように調温する。
その後、以下に示すように、引き上げを開始する。
すなわち、対流制御部材吊り下げ工程として、ルツボ駆動機構21によって石英ルツボ5を所定の速度で回転させるとともに、回転板38の外周部38aを回転させて石英ルツボ5の回転と同じ方向に同じ速度で同期させて対流制御部材35をシリコン単結晶3の中心軸15を中心として回転させ、ワイヤ14に固定された種結晶16を石英ルツボ5中のシリコン融液4に浸漬し、回転板38の中心部38bを回転させて石英ルツボ5の回転と反対方向に所定の速度でワイヤ14を回転させながら静かに引上げてネック部を絞って形成した後、上述した第1実施形態と同様にしてシリコン単結晶3を成長させる。
本実施形態においても、シリコン単結晶3の引き上げは、磁場発生装置17から石英ルツボ5内へ水平磁場を印加するとともに、シリコン融液4内に配置された対流制御部材35の融液表面4aに対する位置を、シリコン融液4の深さLaが引き上げ開始時から引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって距離Lb未満となる時点まで変化しないように制御しながら行う。
すなわち、対流制御部材吊り下げ工程として、ルツボ駆動機構21によって石英ルツボ5を所定の速度で回転させるとともに、回転板38の外周部38aを回転させて石英ルツボ5の回転と同じ方向に同じ速度で同期させて対流制御部材35をシリコン単結晶3の中心軸15を中心として回転させ、ワイヤ14に固定された種結晶16を石英ルツボ5中のシリコン融液4に浸漬し、回転板38の中心部38bを回転させて石英ルツボ5の回転と反対方向に所定の速度でワイヤ14を回転させながら静かに引上げてネック部を絞って形成した後、上述した第1実施形態と同様にしてシリコン単結晶3を成長させる。
本実施形態においても、シリコン単結晶3の引き上げは、磁場発生装置17から石英ルツボ5内へ水平磁場を印加するとともに、シリコン融液4内に配置された対流制御部材35の融液表面4aに対する位置を、シリコン融液4の深さLaが引き上げ開始時から引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって距離Lb未満となる時点まで変化しないように制御しながら行う。
その後、シリコン単結晶3の育成を継続し、引き上げに伴うシリコン融液4の減少によって、図6に示すように、シリコン融液4の深さLaが距離Lb未満になった場合には、対流制御部材載置工程として、上述した第1実施形態と同様にし、対流制御部材35の底部35bの外面が石英ルツボ5の底部の内面上に載置されることになり、位置調整手段のワイヤ31に負荷されていた対流制御部材35の荷重が石英ルツボ5に移動する。そして、さらにシリコン単結晶3の育成を継続してシリコン融液4が減少すると、位置調整手段のワイヤ31の張力が緩み、支持リング18aと取り付け部材36aの下端部との間に隙間が生じ、支持リング18aが取り付け部材36aから取り外される。支持リング18aが取り付け部材36aから取り外されると、対流制御部材35、支持片18、接合部材18b、支持リング18aは、石英ルツボ5に一体化された状態でルツボ駆動機構21の制御によって石英ルツボ5の回転に連動して回転するものとなる。また、支持リング18aから取り外された取り付け部材36aは、モータ32によってギヤ33を回転駆動させてワイヤ31の長さを調節することにより、シリコン単結晶3の育成に支障を来たさない高さ位置に移動させることができる。
本実施形態においても、シリコン単結晶3の引き上げ中のシリコン融液4の残液量が多くて、シリコン融液の深さLaが、引き上げ開始時における対流制御部材35の下面におけるシリコン単結晶3の中心軸と交差する中心部分35aと融液表面4aとの間の鉛直方向の距離をLbよりも深いときのシリコン融液4の対流が、対流制御部材35によって、シリコン融液4の深さLaが距離Lbであるときの状態となるように制御される。したがって、引き上げ開始時から引き上げ中のシリコン融液4の量が距離Lb未満となる時点までのシリコン融液4の対流の変動が非常に少ないものとなる。
また、本実施形態においては、石英ルツボ5の回転と同じ方向に同じ速度で対流制御部材35をシリコン単結晶3の中心軸15を中心として回転させて引き上げを行なうので、ルツボ回転が1rpm程度に比べて高回転数である条件、例えば、1〜10rpm程度の回転条件である場合にも、対流制御以外のパラメータで、ルツボ回転数によって影響される単結晶3の特性を損なうことなく、対流領域を深さLb以下に制御して引き上げをおこなうことが可能となる。
また、本実施形態では、石英ルツボ5の回転状態と対流制御部材35の回転状態とを同期させて引き上げ工程をおこなったが、引き上げる単結晶3の径寸法制御や、引き上げ速度制御をルツボ回転数によって調整する場合などに、ルツボ回転数だけでなく、対流制御部材35の回転状態を制御することで、より微細は制御をおこなうことが可能となり、後述するV/G(mm2/℃・min)範囲の制御等をより精細におこなうことが可能となる。その結果、無欠陥結晶等、所定の特性を有する単結晶を容易に製造することが可能となる。
さらにまた、本実施形態では、支持片18、接合部材18b、支持リング18a、およびワイヤ31が、遮熱部材12の単結晶3側、すなわち、遮熱部材12の内側でヒータ7から遠く離間した側に位置することにより、同一の温度状態で引き上げをおこなった場合に、これらの部材に係る熱負荷が少なくて済み、耐熱温度に余裕を持たせることが可能となる。
また、本実施形態では、石英ルツボ5の回転状態と対流制御部材35の回転状態とを同期させて引き上げ工程をおこなったが、引き上げる単結晶3の径寸法制御や、引き上げ速度制御をルツボ回転数によって調整する場合などに、ルツボ回転数だけでなく、対流制御部材35の回転状態を制御することで、より微細は制御をおこなうことが可能となり、後述するV/G(mm2/℃・min)範囲の制御等をより精細におこなうことが可能となる。その結果、無欠陥結晶等、所定の特性を有する単結晶を容易に製造することが可能となる。
さらにまた、本実施形態では、支持片18、接合部材18b、支持リング18a、およびワイヤ31が、遮熱部材12の単結晶3側、すなわち、遮熱部材12の内側でヒータ7から遠く離間した側に位置することにより、同一の温度状態で引き上げをおこなった場合に、これらの部材に係る熱負荷が少なくて済み、耐熱温度に余裕を持たせることが可能となる。
「実験例1」
図1に示す単結晶引上げ装置30を用いて、CZ法により直径200mmのシリコン単結晶3を育成した場合の歩留まりと固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。
ここでの歩留まりとは、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度VがV0±0.01(mm/min)の範囲内であるときを合格とした場合における合格率を固化率0.025毎に求めた値をいう。これは、引き上げ速度が上記の範囲に入っている場合には、実際の引き上げにおいて、COP等の結晶欠陥のない無欠陥ウェーハを製造可能な単結晶が引き上げられるからである。
具体的には、例えば、引き上げ速度ランプダンよりテスト時COPが発生しない最大速度をVCOPと定義し、LD(large dislocation)が発生しない最小速度をVLDと定義すれば、引上げ速度V0=( VCOP+ VLD)/2である。
なお、引上げ速度Vを除く引き上げ条件は、以下に示すように引き上げ長(固化率)の全長にわたって無欠陥領域を有するようなシリコン単結晶を育成する条件とした。
すなわち、シリコン単結晶を成長させるときの固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)の径方向の分布差ΔG=−0.03〜0.03G0(ただしG0は結晶中心の温度勾配を示す)、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度V(mm/min)と結晶温度勾配G(℃/mm)との比であるV/G(mm2/℃・min)の径方向の分布差Δ(V/G)=−0.005〜0.005とし、固化率5%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用い、シリコン単結晶の引き上げ中に固化率に応じて引き上げ条件を変化させないものとした。
具体的な条件は、
Lb=180mm
La(初期値)=400mm
La(終了値)=30mm
ルツボ内径寸法=600mm
引き上げ長=3000mm
結晶回転=10rpm
ルツボ回転=1rpm
図1に示す単結晶引上げ装置30を用いて、CZ法により直径200mmのシリコン単結晶3を育成した場合の歩留まりと固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。
ここでの歩留まりとは、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度VがV0±0.01(mm/min)の範囲内であるときを合格とした場合における合格率を固化率0.025毎に求めた値をいう。これは、引き上げ速度が上記の範囲に入っている場合には、実際の引き上げにおいて、COP等の結晶欠陥のない無欠陥ウェーハを製造可能な単結晶が引き上げられるからである。
具体的には、例えば、引き上げ速度ランプダンよりテスト時COPが発生しない最大速度をVCOPと定義し、LD(large dislocation)が発生しない最小速度をVLDと定義すれば、引上げ速度V0=( VCOP+ VLD)/2である。
なお、引上げ速度Vを除く引き上げ条件は、以下に示すように引き上げ長(固化率)の全長にわたって無欠陥領域を有するようなシリコン単結晶を育成する条件とした。
すなわち、シリコン単結晶を成長させるときの固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)の径方向の分布差ΔG=−0.03〜0.03G0(ただしG0は結晶中心の温度勾配を示す)、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度V(mm/min)と結晶温度勾配G(℃/mm)との比であるV/G(mm2/℃・min)の径方向の分布差Δ(V/G)=−0.005〜0.005とし、固化率5%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用い、シリコン単結晶の引き上げ中に固化率に応じて引き上げ条件を変化させないものとした。
具体的な条件は、
Lb=180mm
La(初期値)=400mm
La(終了値)=30mm
ルツボ内径寸法=600mm
引き上げ長=3000mm
結晶回転=10rpm
ルツボ回転=1rpm
「実験例2」
対流制御部材35と位置調整手段とを備えていないこと以外は実験例1と同様の単結晶引上げ装置を用いて、実験例1と同様にしてCZ法によりシリコン単結晶3を育成した場合の歩留まりと固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。なお、ここでの引き上げ条件は、Lb以外は実験例1と同じとした。
対流制御部材35と位置調整手段とを備えていないこと以外は実験例1と同様の単結晶引上げ装置を用いて、実験例1と同様にしてCZ法によりシリコン単結晶3を育成した場合の歩留まりと固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。なお、ここでの引き上げ条件は、Lb以外は実験例1と同じとした。
「実験例3」
対流制御部材35と位置調整手段とを備えていないこと以外は実験例1と同様の単結晶引上げ装置を用いて、実験例1と同様にしてCZ法によりシリコン単結晶3を育成した場合の歩留まりと固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。なお、ここでの引き上げ条件は、固化率95%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用いた。
具体的な条件は、
La(初期値)=400mm
La(終了値)=30mm
ルツボ内径寸法=600mm
引き上げ長=3000mm
結晶回転=10rpm
ルツボ回転=1rpm
対流制御部材35と位置調整手段とを備えていないこと以外は実験例1と同様の単結晶引上げ装置を用いて、実験例1と同様にしてCZ法によりシリコン単結晶3を育成した場合の歩留まりと固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。なお、ここでの引き上げ条件は、固化率95%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用いた。
具体的な条件は、
La(初期値)=400mm
La(終了値)=30mm
ルツボ内径寸法=600mm
引き上げ長=3000mm
結晶回転=10rpm
ルツボ回転=1rpm
実験例1〜実験例3の結果を図7に示す。図7は、実験例1〜実験例3のシリコン単結晶における合格率と固化率との関係を示したグラフである。
図7に示すように、実験例1では、固化率にかかわらず70%以上の高い合格率が得られ、固化率に依存する合格率の差が小さかった。
また、図7より、固化率5%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用いた実験例2では、固化率が大きくなるのにしたがって徐々に合格率が低下しており、実験例1と比較して固化率に依存する合格率の差が非常に大きくなった。また、固化率95%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用いた実験例3では、固化率が大きくなるのにしたがって徐々に合格率が上昇しており、実験例1と比較して固化率に依存する合格率の差が非常に大きくなった。
このように対流制御部材35と位置調整手段を備えた実験例1では、対流制御部材35と位置調整手段を備えない実験例2および実験例3と比較して、固化率に依存する合格率の差が小さくなっていることから、対流制御部材35と位置調整手段を備えることで、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくできることが確認できた。
図7に示すように、実験例1では、固化率にかかわらず70%以上の高い合格率が得られ、固化率に依存する合格率の差が小さかった。
また、図7より、固化率5%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用いた実験例2では、固化率が大きくなるのにしたがって徐々に合格率が低下しており、実験例1と比較して固化率に依存する合格率の差が非常に大きくなった。また、固化率95%のときに最高の合格率が得られるように最適化した条件を用いた実験例3では、固化率が大きくなるのにしたがって徐々に合格率が上昇しており、実験例1と比較して固化率に依存する合格率の差が非常に大きくなった。
このように対流制御部材35と位置調整手段を備えた実験例1では、対流制御部材35と位置調整手段を備えない実験例2および実験例3と比較して、固化率に依存する合格率の差が小さくなっていることから、対流制御部材35と位置調整手段を備えることで、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくできることが確認できた。
「実験例4」
図1に示す単結晶引上げ装置30を用いて、CZ法により直径150mmの砒素ドーパントシリコン単結晶3を育成した場合の比抵抗と固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。
なお、引上げ速度Vを除く引き上げ条件は、シリコン単結晶の引き上げ中に固化率に応じて引き上げ条件を変化させないものとした。
具体的な条件は、
Lb=100mm
La(初期値)=300mm
La(終了値)=30mm
ルツボ内径寸法=450mm
引き上げ長=3000mm
結晶回転=10rpm
ルツボ回転=−10rpm
図1に示す単結晶引上げ装置30を用いて、CZ法により直径150mmの砒素ドーパントシリコン単結晶3を育成した場合の比抵抗と固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。
なお、引上げ速度Vを除く引き上げ条件は、シリコン単結晶の引き上げ中に固化率に応じて引き上げ条件を変化させないものとした。
具体的な条件は、
Lb=100mm
La(初期値)=300mm
La(終了値)=30mm
ルツボ内径寸法=450mm
引き上げ長=3000mm
結晶回転=10rpm
ルツボ回転=−10rpm
「実験例5」
対流制御部材35と位置調整手段とを備えていないこと以外は実験例4と同様の単結晶引上げ装置を用いて、実験例4と同様にしてCZ法によりシリコン単結晶3を育成した場合の比抵抗と固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。なお、ここでの引き上げ条件は、Lb以外は実験例1と同じとした。
対流制御部材35と位置調整手段とを備えていないこと以外は実験例4と同様の単結晶引上げ装置を用いて、実験例4と同様にしてCZ法によりシリコン単結晶3を育成した場合の比抵抗と固化率との関係をシミュレーション解析により求めた。なお、ここでの引き上げ条件は、Lb以外は実験例1と同じとした。
実験例4〜実験例5の結果を図8に示す。図8は、実験例5の比抵抗の最大値を100とした場合における実験例4〜実験例5のシリコン単結晶の比抵抗と固化率との関係を示したグラフである。図8に示すように、対流制御部材35と位置調整手段を備えた実験例4では、対流制御部材35と位置調整手段を備えない実験例5と比較して、固化率に依存する抵抗率の差が小さくなっていることから、対流制御部材35と位置調整手段を備えることで、シリコン融液の残液量に依存する単結晶の品質差を小さくできることが確認できた。
1:メインチャンバ、3:シリコン単結晶、2:引上げチャンバ、4:シリコン融液、4a:融液表面、5:石英ルツボ、6:黒鉛ルツボ、7:加熱ヒータ、11:ガス整流筒、12:遮熱部材、13:保持軸、15:中心軸、17:磁場発生装置(磁場印可手段)、18、36:支持片、18b:接合部材、18a:支持リング、21:ルツボ駆動機構、30:単結晶製造装置、14、31:ワイヤ、32、41:モータ、33、40:ギヤ、34:回転支持治具、35:対流制御部材、36b:継ぎ手、36a:取り付け部材、37:ワイヤ支持部材、38:回転板38、38a:外周部、38b:中心部。
Claims (11)
- ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置であって、
前記シリコン融液の表面と前記ルツボの底面との距離とされる深さLaが鉛直方向距離Lbを超えている際に、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が前記距離Lb以内となるように、前記ルツボ底面と略平行な板状体である対流制御部材が、前記ルツボの底面と前記固液界面との間に位置可能として設けられることを特徴とする単結晶製造装置。 - 前記対流制御部材が、引き上げられる前記シリコン単結晶の中心軸を中心とする平面視円形であることを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
- 前記対流制御部材が、平面視して少なくとも前記シリコン単結晶の存在する範囲を含む位置とされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶製造装置。
- 前記シリコン融液の対流を制御する磁場印可手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の単結晶製造装置。
- 前記距離Lbが、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定されることを特徴とする請求項4に記載の単結晶製造装置。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の単結晶製造装置を用いてシリコン単結晶を製造する方法であって、
前記ルツボ底面と略平行な板状体である前記対流制御部材を、前記固液界面から前記距離Lbの位置に設置し、
前記シリコン融液の表面と前記ルツボの底面との距離とされる深さLaが前記距離Lbを超える際に、前記シリコン融液において、育成される単結晶の品質に影響を及ぼす固液界面直下の対流範囲が前記距離Lb以内となるように制御することを特徴とする単結晶製造方法。 - 前記ルツボ内でシリコン原料を融解してシリコン融液を製造する工程と、
前記シリコン融液内の所定の位置に前記対流制御部材を配置する工程と、
前記シリコン融液の温度を引き上げ開始温度となるように調温する工程とを順に行なった後、単結晶引き上げ工程を開始することを特徴とする請求項6に記載の単結晶製造方法。 - 前記単結晶引き上げ工程において、前記磁場印可手段により前記シリコン融液に磁場を印可しながら前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の単結晶製造方法。
- 前記距離Lbが、前記磁場印加手段によって印加される磁場分布の引き上げ中の変化率が40%以下である範囲として設定されることを特徴とする請求項8に記載の単結晶製造方法。
- 無欠陥領域を有する単結晶を引き上げることを特徴とする請求項6から請求項10のいずれかに記載の単結晶製造方法。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の単結晶製造装置、または、請求項6から請求項10のいずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことを特徴とする単結晶。
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---|---|---|---|
JP2006192777A Withdrawn JP2008019128A (ja) | 2006-07-13 | 2006-07-13 | 単結晶製造装置、単結晶製造方法および単結晶 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008019128A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011068531A (ja) * | 2009-09-28 | 2011-04-07 | Sumco Corp | シリコン単結晶の引上げ方法 |
JP2017031004A (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | Sumco Techxiv株式会社 | シリコン単結晶の製造方法 |
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2006
- 2006-07-13 JP JP2006192777A patent/JP2008019128A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011068531A (ja) * | 2009-09-28 | 2011-04-07 | Sumco Corp | シリコン単結晶の引上げ方法 |
JP2017031004A (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | Sumco Techxiv株式会社 | シリコン単結晶の製造方法 |
US10227710B2 (en) | 2015-07-31 | 2019-03-12 | Sumco Techxiv Corporation | Manufacturing method of silicon monocrystal |
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