JP2008018481A - 切断面の疲労強度向上方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面をシェービングして仕上げる際に、破断面積率を10%未満にする場合のみならず、破断面積率が10%以上になる場合でも鋼材の切断面の疲労強度を簡便に高めることができる方法を提供する。
【解決手段】プレス機で鋼材1をシャー切断した後、シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングすることにより、シェービング後の切断面全体に対する破断面積率を30%未満とすることにより、切断面の疲労強度を向上した。
【選択図】図3
【解決手段】プレス機で鋼材1をシャー切断した後、シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングすることにより、シェービング後の切断面全体に対する破断面積率を30%未満とすることにより、切断面の疲労強度を向上した。
【選択図】図3
Description
本発明は、プレス機で鋼材をシャー切断する技術に関するものであり、例えば、トーションビームをシャー切断する技術に関するものである。
トーションビーム式サスペンション装置が、車両の後輪用サスペンション装置として広く普及している。このサスペンション装置は、左右後輪に対応して設けられるトレーリングアームと、該トレーリングアームを連結するトーションビームを備えている。トレーリングアームは、その前方側で車体に連結され、後端側で車輪を支持している。
トーションビームは、鋼材(圧延材)をシャー切断したのち、プレス加工することによって形成される。そのためトーションビームの切断面は、シャー切断されたままの状態となる。このときシャー切断の末期部分は、引きちぎられた状態となり、切断面に引張残留応力が生じる。切断面に引張残留応力が生じると、トーションビームに外力が加わったときに、外力と引張残留応力が合算され、疲労強度が低くなる。そこでトーションビームの疲労強度を高めて耐久性を向上させるには、シャー切断面に生じる引張残留応力を低減する必要がある。
シャー切断面に生じる引張残留応力を低減する方法について本発明者らが検討したところ、打抜き断面(エッジ部)の剪断面積率を高めてやれば、該エッジ部の残留応力が低減し、それに伴って疲労強度も高くなるのではないかと考えた。その結果として、特許文献1に、トーションビームの解放断面におけるエッジ部の剪断面積率を90%以上(即ち、破断面積率を10%未満)とすることで、エッジ部の疲労強度を高めたトーションビーム式サスペンション装置を先に提案している。この特許文献1には、剪断面積率を高めるための手法として、シェービング加工法を採用すればよいことも提案している。しかしこの技術で、破断面積率を10%未満にするには、シェービング条件を厳密に制御しなければならない。
特開2005−29140号公報
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面をシェービングして仕上げる際に、破断面積率を10%未満にする場合のみならず、破断面積率が10%以上になる場合でも鋼材の切断面の疲労強度を簡便に高めることができる方法を提供することにある。
本発明者らは、鋼材の切断面の疲労強度を簡便な方法で高めるために鋭意検討を重ねてきた。その結果、シャー切断した後の切断面における破断面を剪断面に向けてシェービングすれば、シェービング後の切断面における破断面積率が10%を超えても(例えば、約30%程度迄であれば)切断面の疲労強度を高めることができ、シェービング条件を厳密に制御しなくてもよくなることを見出し、本発明を完成した。
即ち、上記課題を解決することのできた本発明に係る切断面の疲労強度向上方法とは、プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングすることにより、シェービング後の切断面全体に対する破断面積率を30%未満とする点に要旨を有する。前記鋼材としては、例えば、トーションビームを用いることができる。
本発明によれば、プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングしているため、シャー切断によって形成された破断面を確実に剪断面に変えることができる。これによりシャー切断によって形成された破断面を除去できる。なお、シェービングによっても破断面が形成されるが、本発明ではシャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングしているため、シェービングによって形成される破断面は、シャー切断によって形成される剪断面の上に重ねて形成される。その結果、シェービング後の切断面における破断面積率が大きくなっても切断面の疲労強度を高めることができる。従って本発明によれば、シェービング条件を厳密に制御してシェービングで形成される破断面積率を、例えば10%未満に極限まで小さくしなくても切断面の疲労強度を高めることができる。
プレス機で鋼材をシャー切断すると剪断面と破断面が形成される。このことを図1を用いて説明する。
図1は、プレス機で鋼材をシャー切断した後の切断面付近を模式的に示した図である。図1中、1は鋼材、2の矢印はシャー切断した方向、3はメタルフローを示している。
図1に示すように、プレス機で鋼材1をシャー切断すると、シャー切断開始部分には、表面性状が滑らかな剪断面4が形成される。この剪断面4は、触針式あらさ計で測定した算術平均粗さ(Ra)が0.5〜2.0μm程度で、最大高さ(Ry)が5〜10μm程度である。これに対し、シャー切断末期部分には、表面性状が粗い破断面5が形成される。この破断面5は、Raが2.0〜5.0μm程度で、Ryが10〜20μm程度である。
このように剪断面4の表面性状が滑らかになるのに対し、破断面5の表面性状が粗くなるのは、シャー切断末期に鋼材が引きちぎられることに原因がある。その結果、通常、鋼材の圧延方向に沿って平行な(切断面に対してほぼ垂直な)メタルフローが、シャー切断末期には、鋼材が引きちぎられることによって、図1にメタルフロー3で示したように、切断面近傍で曲げられた状態になる(切断面に対するメタルフロー3のなす角度が鋭角または鈍角になる)。
このシャー切断面の残留応力をX線で測定すると、鋼材1が例えば590MPa級の鋼板の場合は、剪断面4の残留応力は、−400〜−250MPa程度の圧縮応力であるが、破断面5の残留応力は+700〜+900MPa程度の引張応力となる。
一方、プレス成形機で鋼材をシャー切断した後、この切断面をシェービングしても剪断面と破断面が形成される。このことを図2を用いて説明する。
図2は、プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断と同じ方向でシェービングした後の切断面付近を模式的に示した図である。図2中、1は鋼材、12の矢印はシェービングした方向、13はメタルフローを示している。図2に示すように、プレス機で鋼材1をシェービングすると、シェービング開始部分には剪断面14が形成されるのに対し、シェービング末期部分には破断面15が形成される。このときシェービングによって形成される剪断面14の表面性状は、上記シャー切断によって形成される剪断面4の表面性状とほぼ同じになり、シェービングによって形成される破断面15の表面性状は、上記シャー切断によって形成される破断面5の表面性状よりも多少滑らかになる。
ところがシェービングの場合は、シャー切断に比べてシェービング代が小さいため、シェービング末期であっても鋼材は殆ど引きちぎられない。その結果、シェービングでは、シェービング面近傍におけるメタルフロー13の乱れも少なくなる。そのためシェービングによって形成された剪断面14の残留応力は、シャー切断によって形成された剪断面4の残留応力の影響も受けたうえで、鋼材1が例えば590MPa級の鋼板の場合は、−700〜−550MPa程度の圧縮応力となり、シャー切断によって形成された剪断面4の残留圧縮応力よりも大きくなる。一方、シェービングによって形成された破断面15の残留応力は、シャー切断によって形成された破断面5の残留応力の影響も受けたうえで、鋼材1が例えば590MPa級の鋼板の場合は、−100〜+500MPa程度となり、シャー切断によって形成された破断面5の残留引張応力を小さくすることができるか、残留圧縮応力に変えることができる。
以上の通り、上記特許文献1に示されているように、鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の剪断面を破断面に向けてシェービングすると(即ち、シャー切断と同じ方向でシェービングすると)、シャー切断で形成された破断面5に重ねて、シェービングによっても破断面を形成することになる。この場合、切断面の疲労強度が悪いことがあった。
そこで本発明では、プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングする。即ち、シャー切断した方向とは逆側からシェービングする。そうするとシャー切断後の破断面の上には、シェービングによって剪断面を形成でき、シャー切断によって破断面に導入された高い残留引張応力を、シェービングによって緩和できる。一方、シェービングによっても破断面が形成されるけれども、シェービングによって形成される破断面は、シャー切断によって形成された剪断面の上に形成され、このシャー切断によって形成された剪断面は、残留圧縮応力を有する上記剪断面4であるから、シェービングによって形成された破断面15の残留応力は、この剪断面4の残留応力の影響も受けて高い残留引張応力になることを防止できる。
このことを図面を用いて説明する。図3(a)は、鋼材をシャー切断した後の切断面を模式的に示した斜視図であり、(b)はシャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングした後の切断面を模式的に示した斜視図である。上記図1や図2と同じ箇所には同一の符合を付すことで重複説明を避ける。
図3(a)に示すように、プレス機で鋼材をシャー切断すると、シャー切断初期部分には剪断面4が形成され、シャー切断末期部分には破断面5が形成される。ところが図3(b)に示すように、シャー切断面の破断面5を剪断面4に向かってシェービングすると、シャー切断面の破断面5は除去され、この破断面5の上に、新たな剪断面14が形成される。一方、シェービングの末期部分には、シャー切断によって形成された剪断面4の上に破断面15が形成される。
このようにシェービングの方向を規定することによって、高い残留引張応力を有するシャー切断面の破断面5を除去できると共に、シェービングによって形成される破断面15は、残留圧縮応力を示すシャー切断面によって形成された剪断面4の上に形成されるため、シェービング後の切断面の疲労強度を高めることができる。
また本発明では、シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングすることによって、シェービング代の許容幅を大きくできるため、シェービング代を厳密に制御しなくても切断面の疲労強度を高めることができる。即ち、シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングすれば、シャー切断面の破断面5を除去できるため、残留引張応力が高い部分を確実に除去できる。また、シェービングによって破断面15が形成されたとしてもこの破断面15の下地は、シャー切断によって形成された残留圧縮応力を有する剪断面4であるから、破断面15の残留応力が、高い残留引張応力になることはない。そのためシェービング代が多少大きくなり、破断面15が広めに形成されたとしても、切断面の疲労強度を高めることができる。
従って本発明によれば、後述する実施例からも明らかなように、シェービング代を厳密に制御せずに、シェービング後の切断面全体に対する破断面積率が10%以上、30%未満(即ち、剪断面積率が70%以上、90%未満)であっても切断面の疲労強度を高めることができる。
但し、シェービング後の切断面全体に対する破断面積率が30%以上(剪断面積率が70%未満)になると、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングしたとしてもシェービング後の切断面における残留引張応力が大きくなり過ぎるため、疲労強度を高めることができない。シェービング後の切断面全体に対する破断面積率は、好ましくは20%以下である。本発明では、シェービング代を厳密に制御してシェービング後の切断面全体に対する破断面積率が10%以下にしてもよい。
シェービング後の切断面全体に対する破断面積率が30%未満(剪断面積率が70%以上)となるようにシェービングするには、シェービング代を適切に制御すればよいが、シェービング代は、鋼材の材質などによって異なるため一律に決めることはできない。
鋼材の材質が、590MPa級の熱延鋼板の場合は、シェービング代を、例えば、0.3〜0.8mm程度に制御すればよい。好ましくは0.33mm以上、より好ましくは0.35mm以上に制御するのがよい。本発明では、シェービング代を厳密に制御せずに、0.4mm以上(例えば、0.5mm以上)に調整したとしても切断面の疲労強度を高めることができる。好ましい上限は0.7mm、より好ましい上限は0.6mmである。なお、シェービング時のクリアランスは0.15〜0.25mm程度に調整すればよい。
シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングするときのシェービング代は、シャー切断の終点位置から破断面に対して略垂直方向における鋼材に沿った長さを指す(図1の矢印6参照)。なお、シャー切断面の剪断面を破断面に向けてシェービングするときのシェービング代は、シャー切断を開始する位置から剪断面に対して略垂直方向における鋼材に沿った長さを指す(図1の矢印7参照)。
シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングする方法は特に限定されず、例えば、シャー切断した鋼材の天地を変えてプレス機にセットしてシェービングする方法や、シャー切断用の刃とは別にシェービング用の刃を用意し、シャー切断の破断面5を剪断面に向けてシェービングできるように、シェービング用の刃を鋼材を挟んでシャー切断用の刃の対面に設けてもよい。
シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングしたかどうかは、鋼材のたわみ方とシェービングによって形成された破断面15の位置を見れば判断できる。即ち、プレス機で鋼材をシャー切断すると、シャー切断を開始する位置付近の鋼材は少したわみ、シャー切断方向に鋼材が少し巻き込まれる。その後、シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングすれば、鋼材のたわみ部分にシェービングによる破断面15が形成されるため、鋼材のたわみ方とシェービングによる破断面15の位置をみれば、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングしたかどうかを判断できる。
また、シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングしたかどうかは、鋼材のメタルフローの乱れ方とシェービングによって形成される剪断面14の位置を見ても判断できる。シャー切断の末期は、上述したように、メタルフロー3が切断面近傍で曲げられた状態になるため、シャー切断面の破断面5を剪断面に向けてシェービングすると、メタルフロー3が曲がっている部分にシェービングによる剪断面14が形成されることになる。
本発明では、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングすればよく、シャー切断面の剪断面はシェービングせずに、破断面のみをシェービングしてもよい。即ち、シャー切断面全体に占める剪断面積率は30〜50%程度であり、破断面積率は50〜70%程度であり、本発明ではシャー切断面全体のうち面積率が50〜70%程度の破断面のみをシェービングしてもよい。シェービングを途中で止めると、鋼材の中央部に段差ができ、この段差に応力が集中して疲労亀裂が発生することがあるため、斜めにシェービングする等の工夫が必要である。好ましくはシャー切断面全体をシェービングするのがよい。
シェービング後の切断面全体に対する破断面積率は、切断面を例えば走査型電子顕微鏡(SEM)で、観察倍率10〜25倍で観察して測定すればよい。
プレス機でシャー切断した後、鋼材の板厚方向にシェービングしたときは、シェービング後の切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で、例えば観察倍率25倍で観察し、板厚方向に板厚全体に亘って任意に5本の線を引き、各線と破断面が交差する線の長さが板厚に対する割合を平均して破断面積率を求めればよい。
本発明でシャー切断およびシェービングする鋼材の形態は特に限定されないが、例えばトーションビームを挙げることができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
引張強度が590MPa級の熱間圧延鋼板(SPH590、フェライトとベイナイトの混合組織、板厚は3.2mm)を試験片に加工し、板面内で繰り返し曲げ/曲げ戻しをかけた時の切断面の疲労強度を測定した。熱間圧延鋼板の機械的特性は、降伏応力(σy)が544MPa、引張強さ(σB)が616MPa、破断伸びが30%であった。上記試験片は、次の条件で作製した。
[条件A]
上記熱間圧延鋼板を、板幅30mm×長さ90mmの短冊状に機械加工し、長手方向の切断面(板厚面)を電解研磨して試験片Aを作製した。
上記熱間圧延鋼板を、板幅30mm×長さ90mmの短冊状に機械加工し、長手方向の切断面(板厚面)を電解研磨して試験片Aを作製した。
[条件B]
上記熱間圧延鋼板を、板幅30mm×長さ90mmの短冊状に機械加工し、これを図4に示す寸法形状になるように、腹部分を円弧状(R30)にシャー切断し、試験片Bを作製した。シャー切断時のクリアランスは0.4mmであり、シャー切断面は、切断ままの状態である。
上記熱間圧延鋼板を、板幅30mm×長さ90mmの短冊状に機械加工し、これを図4に示す寸法形状になるように、腹部分を円弧状(R30)にシャー切断し、試験片Bを作製した。シャー切断時のクリアランスは0.4mmであり、シャー切断面は、切断ままの状態である。
[条件C]
上記条件Bにおいて、シャー切断面の剪断面を破断面に向けて(シャー切断方向と同じ方向で)シェービングし、試験片Cを作製した。シェービング時のクリアランスは0.2mmであり、シェービング代は下記表1に示した。
上記条件Bにおいて、シャー切断面の剪断面を破断面に向けて(シャー切断方向と同じ方向で)シェービングし、試験片Cを作製した。シェービング時のクリアランスは0.2mmであり、シェービング代は下記表1に示した。
[条件D]
上記条件Bにおいて、シャー切断面の破断面を剪断面に向けて(シャー切断方向と逆の方向で)シェービングし、試験片Dを作製した。シェービング時のクリアランスは0.2mmであり、シェービング代は下記表1に示した。
上記条件Bにおいて、シャー切断面の破断面を剪断面に向けて(シャー切断方向と逆の方向で)シェービングし、試験片Dを作製した。シェービング時のクリアランスは0.2mmであり、シェービング代は下記表1に示した。
上記条件CまたはDで得られた試験片について、シェービング後の切断面における破断面積率を測定した。破断面積率は、シェービング後の切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察倍率25倍で観察し、板厚方向に板厚全体に亘って任意に5本の線を引き、各線と破断面が交差する線の長さが板厚に対する割合を平均して破断面積率を求めた。算出結果を下記に示す基準で評価し、評価結果を下記表1に示す。
(評価基準)
○:破断面積率が10%未満(合格)
△;破断面積率が10%以上、30%未満(合格)
×:破断面積率が30%以上(不合格)
(評価基準)
○:破断面積率が10%未満(合格)
△;破断面積率が10%以上、30%未満(合格)
×:破断面積率が30%以上(不合格)
次に、上記試験片A〜Dを用い、図4に示した矢印21の方向に、周波数を30Hzとして繰り返し曲げ/曲げ戻しをかけて切断面の疲労強度を測定した。測定結果を下記表1に示す。
また、試験片Aの疲労強度に対する各試験片の疲労強度比を算出し、結果を下記表1に示す。下記表1には、下記に示す基準で評価した結果も併せて示した。
(評価基準)
○:疲労強度比が0.90以上(合格)
△:疲労強度比が0.80以上、0.90未満(不合格)
×:疲労強度比が0.80未満(不合格)
(評価基準)
○:疲労強度比が0.90以上(合格)
△:疲労強度比が0.80以上、0.90未満(不合格)
×:疲労強度比が0.80未満(不合格)
表1から次のように考察できる。No.3〜6は、プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の剪断面を破断面に向けてシェービングした例である。このうちNo.3は、シェービング代を厳密に制御しているため、シェービング後に形成された破断面積率は10%未満に抑えられている。従ってシェービング後も疲労強度が低下していない。No.4と5は、シェービング代をある程度適正に制御できているため、シェービング後に形成された破断面積率は10%以上、30%未満であったが、疲労強度が低下している。No.6は、シェービング代が大きすぎるため、シェービングによって破断面が多く生成している。従って疲労強度が著しく低下している。
一方、No.7〜9は、プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングした例である。このうちNo.7のシェービング代は、上記No.3と同じであり、シェービング代を厳密に制御しているため、シェービング後に形成された破断面積率は10%未満に抑えられている。そのため疲労強度は全く低下していない。No.8のシェービング代は、上記No.4と同じであり、シェービング代をある程度適正に制御できているため、シェービング後に形成された破断面積率は10%以上、30%未満であった。鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングした場合には、破断面積率が10%以上、30%未満であっても、疲労強度は殆ど低下していない。No.9は、シェービング代が大きすぎるため、破断面積率が30%以上となり、鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングしたとしても疲労強度が低下している。
1 鋼材
2 シャー切断方向
3 メタルフロー
4 シャー切断で形成された剪断面
5 シャー切断で形成された破断面
12 シェービング方向
13 メタルフロー
14 シェービングで形成された剪断面
15 シェービングで形成された破断面
21 曲げ/曲げ戻し方向
2 シャー切断方向
3 メタルフロー
4 シャー切断で形成された剪断面
5 シャー切断で形成された破断面
12 シェービング方向
13 メタルフロー
14 シェービングで形成された剪断面
15 シェービングで形成された破断面
21 曲げ/曲げ戻し方向
Claims (2)
- プレス機で鋼材をシャー切断した後、シャー切断面の破断面を剪断面に向けてシェービングすることにより、シェービング後の切断面全体に対する破断面積率を30%未満とすることを特徴とする切断面の疲労強度向上方法。
- 前記鋼材が、トーションビームである請求項1に記載の疲労強度向上方法。
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