JP2008012972A - 走行装置及び車両姿勢制御装置 - Google Patents

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Naoki Moriguchi
直樹 森口
Takahiro Oshiumi
恭弘 鴛海
Kazuya Okumura
和也 奥村
Kansuke Yoshisue
監介 吉末
Yoshinori Maeda
義紀 前田
Akihiro Hosokawa
明洋 細川
Mitsutaka Tsuchida
充孝 土田
Koji Sugiyama
幸慈 杉山
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Abstract

【課題】車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保すること。
【解決手段】この走行装置100は、左側前輪2l、右側前輪2rの間、及び左側後輪3l及び右側後輪3rをそれぞれ駆動輪として、各駆動輪は、独立に駆動力が制御できる。これによって、左側前輪2l、右側前輪2rの間、及び左側後輪3l、右側後輪3rとの間で駆動力を異ならせることができる。車両1の走行中において旋回等によってロールが発生した場合には、車両1の左側における駆動輪と右側における駆動輪との間で駆動力を調整して、車両の総質量変化に起因する重心高変化を考慮した、駆動反力によるアンチロールモーメントを発生させる。これによって、車両1に発生したロールを抑制する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動輪の駆動力を異ならせることができる走行装置及び車両姿勢制御装置に関する。
乗用車やトラック等の車両が旋回する際には、車両の横方向に向かう加速度(横方向加速度)が車両に作用して、車両にロールが発生する。前記加速度が過大になると車両に発生するロールが大きくなり、前記車両が横転するおそれがある。特許文献1には、車両の横転防止のため、推定された車両の重心高に基づいて車両の横転危険性を判定し、車両が横転するおそれが高いと判定された場合には、車両の横転を回避するために減速制御等の安全措置を講じる技術が開示されている。
特開平11−83534号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術は、減速制御等の安全措置によって車両の横転を回避するため、例えば、障害物を緊急に回避するような場合には、運転者の要求する駆動力や旋回性能を発揮できないおそれがあり、その結果として、緊急回避ができないおそれがある。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保できる走行装置及び車両姿勢制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両姿勢制御装置は、車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができる走行装置を制御するものであり、前記左右の駆動輪のうち少なくとも一方の駆動反力によるロール抑制モーメントを発生させる場合において、前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、前記ロール角よりも小さい基準のロール角となるように、前記ロール抑制モーメントを算出するモーメント算出部と、算出された前記ロール抑制モーメントから、前記左右の駆動輪の駆動力を算出する駆動力演算部と、を含むことを特徴とする。
この車両姿勢制御装置は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの前記駆動輪の駆動力を異ならせることができる走行装置を制御するものであり、車両に発生するロールモーメントとは反対方向のモーメントを駆動反力によって発生させることにより、車両の走行中における前記車両のロール角が、予め定めた基準のロール角となるように制御する。これによって、車両の総質量が変化して重心高が変化しても、車両のロール角は、予め定めたロール角(基準のロール角であり、例えば、空車時におけるロール角)に抑えられるので、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保できる。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、前記基準のロール角は、空車時における前記車両のロール角であることを特徴とする。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができる走行装置を制御するものであり、前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、予め定めたロール角以上となったときには、前記車両のロール角がそれまでのロール角よりも小さくなるように、前記ロール抑制モーメントを算出するモーメント算出部と、算出された前記ロール抑制モーメントから、前記左右の駆動輪の駆動力を算出する駆動力演算部と、を含むことを特徴とする。
この車両姿勢制御装置は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの前記駆動輪の駆動力を異ならせることができる走行装置を制御するものである。そして、車両の走行中における前記車両のロール角が予め定めたロール角以上となったときには、車両に発生するロールモーメントとは反対方向のモーメントを駆動反力によって発生させることにより、前記車両のロール角がそれまでのロール角よりも小さくなるように、制御する。これによって、車両のロール角の増加を抑制できるので、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保できる。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、前記モーメント算出部は、前記車両の総質量に基づいて、前記ロール抑制モーメントを変更することを特徴とする。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、前記車両の総質量を得る手段の異常の有無を判定する異常判定部を備え、前記異常判定部が、前記車両の総質量を得る手段に異常があったと判定した場合には、前記モーメント演算部は、前記車両の総質量を、想定される最大の値とする。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、さらに、前記車両の速度が所定の閾値以下、かつ前記車両の操舵角が所定の閾値以下である場合には、前記車両のロールを抑制する制御を中止する車両姿勢制御制限部を備えることを特徴とする。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、前記モーメント演算部は、前記車両の前後方向における加速度、及び前記車両に対する要求駆動力に基づき、前記車両の総質量を推定することを特徴とする。
次の本発明に係る車両姿勢制御装置は、前記車両姿勢制御装置において、前記駆動力演算部は、前記車両の前後方向におけるロール剛性に基づき、前記車両が備える駆動輪の駆動力を決定することを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができ、かつ、前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、前記ロール角よりも小さい基準のロール角となるように前記左右の駆動輪の駆動力を決定し、決定された駆動力で前記左右の駆動輪を駆動することを特徴とする。
この走行装置は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの前記駆動輪の駆動力を異ならせることができ、車両に発生するロールモーメントとは反対方向のモーメントを駆動反力によって発生させることにより、車両の走行中におけるロール角が予め定めた基準のロール角となるようにする。これによって、車両の総質量が変化して重心高が変化しても、車両のロール角は、予め定めたロール角(例えば、空車時におけるロール角)に抑えられるので、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保できる。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記左右の駆動輪のうち少なくとも一方の駆動反力によるロール抑制モーメントを与えることによって、前記車両の走行中におけるロール角を、前記基準のロール角となるようにすることを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記車両の走行中におけるロール角を前記基準のロール角とするように与えられる、前記ロール抑制モーメントに基づいて、前記左右の駆動輪の駆動力を決定することを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記基準のロール角は、空車時における前記車両のロール角であることを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができ、かつ、前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、予め定めたロール角以上となったときには、前記車両のロール角がそれまでのロール角よりも小さくなるように前記左右の駆動輪の駆動力を決定し、決定された駆動力で前記左右の駆動輪を駆動することを特徴とする。
この走行装置は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの前記駆動輪の駆動力を異ならせることができる。そして、車両の走行中に発生するロールのロール角が、予め定めたロール角以上となったときには、車両に発生するロールモーメントとは反対方向のモーメントを駆動反力によって発生させることにより、車両の走行中におけるロール角をそれまでよりも小さくなるようにする。これによって、車両のロール角の増加を抑制できるので、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保できる。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記左右の駆動輪のうち少なくとも一方の駆動反力によるロール抑制モーメントを与えることによって、前記車両の走行中におけるロール角を、それまでのロール角よりも小さくなるようにすることを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記車両の総質量に基づいて、前記駆動輪の駆動力を変更することを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記車両の総質量を得る手段に異常が合った場合には、前記車両の総質量を、想定される最大の値とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記車両の速度が所定の閾値以下、かつ前記車両の操舵角が所定の閾値以下である場合には、前記車両のロールを抑制する制御を中止することを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記車両の前後方向における加速度、及び前記車両に対する要求駆動力に基づき、前記車両の総質量を推定することを特徴とする。
次の本発明に係る走行装置は、前記走行装置において、前記車両の前後方向におけるロール剛性に基づき、前記車両が備える駆動輪の駆動力を決定することを特徴とする。
この発明に係る走行装置及び車両姿勢制御装置によれば、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下においては、いわゆる電気自動車に本発明を適用した場合を主として説明するが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、少なくとも一対の左右の駆動輪間で駆動力が変更できればよい。少なくとも一対の左右の駆動輪間における駆動力は、少なくとも一対の左右の駆動輪が発生する駆動力を、それぞれ独立に制御してもよいし、少なくとも一対の左右の駆動輪間における駆動力の配分比を制御してもよい。
(実施形態1)
実施形態1は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの前記駆動輪の駆動力を異ならせることができ、かつ、車両に発生するロールモーメントとは反対方向のモーメントを駆動反力(駆動輪の接地面に直交する方向の力)によって発生させることにより、車両の走行中におけるロール角を予め定めた基準のロール角とする点に特徴がある。
図1は、実施形態1に係る走行装置を備える車両の構成を示す概略図である。図2は、実施形態1に係る走行装置が備える前輪用懸架装置の構成例を示す説明図である。図3−1、図3−2は、実施形態1に係る走行装置が備える後輪用懸架装置の構成例を示す説明図である。以下の説明において、左右の区別は、車両1の前進する方向(図1の矢印X方向、以下同様)を基準とする。すなわち、「左」とは、車両1の前進する方向に向かって左側をいい、「右」とは、車両1の前進する方向に向かって右側をいう。また、車両1が前進する方向を前とし、車両1が後進する方向、すなわち前進する方向とは反対の方向を後とする。
実施形態1に係る車両1は、電動機のみを動力発生源とする走行装置100を備える。走行装置100は、動力発生手段である左前側電動機10lと、右前側電動機10rと、左後側電動機11lと、右後側電動機11rとを備える。この実施形態において、左前側電動機10lは左側前輪2lを駆動し、右前側電動機10rは右側前輪2rを駆動し、左後側電動機11lは左側後輪3lを駆動し、右後側電動機11rは右側後輪3rを駆動する。
上述したように、この走行装置100において、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l及び右側後輪3rは、それぞれ異なる電動機で駆動される。このように、車両1は、すべての車輪が駆動輪となる。すなわち、車両1の駆動輪は、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l及び右側後輪3rである。左側前輪2l、右側前輪2rは車両1の駆動輪であるとともに、ハンドル4によって操舵されて車両1の進行方向を変更する操舵輪としても機能する。
また、この走行装置100においては、上述したように、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l及び右側後輪3rは、それぞれ異なる電動機によって直接駆動される。そして、左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11l及び右後側電動機11rは、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l及び右側後輪3rのホイール内に配置される、いわゆるインホイール形式の構成となっている。
なお、電動機と車輪との間に減速機構を設け、左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11l及び右後側電動機11rの回転数を減速して、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l及び右側後輪3rに伝達してもよい。一般に、電動機は小型化するとトルクが低下するが、減速機構を設けることによって電動機のトルクを増加させることができる。その結果、左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11l及び右後側電動機11rを小型化することができる。
左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r及び右後側電動機11rは、ECU(Electronic Control Unit)50によって制御されて、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l、右側後輪3rの駆動力の駆動力が調整される。この実施形態においては、アクセル開度センサ42によって検出されるアクセル5の開度により走行装置100の総駆動力F_all、及び左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l、右側後輪3r各輪の駆動力が制御される。
また、この実施形態に係る車両姿勢制御において、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l、右側後輪3rの駆動力は、ECU50に組み込まれる車両姿勢制御装置30によって変更される。すなわち、この実施形態に係る車両姿勢制御においては、車両姿勢制御装置30が、車両1が備える各駆動輪の駆動力を変更する駆動力変更手段としての機能を発揮する。また、この実施形態においては、上述した構成により、左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l、右側後輪3rそれぞれの駆動力を独立して制御することができる。これによって、この実施形態に係る車両1が備える走行装置100は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動輪の駆動力を異ならせることができるように構成される。
この実施形態に係る車両1が備える走行装置100は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動輪の駆動力を制御することにより、少なくとも一対の左右の駆動輪における駆動反力を異ならせる。これによって、車両1のロール軸の周りに、旋回時における車両1のロールを抑制する、前記駆動反力に起因するモーメント(ロール抑制モーメント)を発生させることができる。これについては後述する。
左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r及び右後側電動機11rは、左前側レゾルバ40l、右前側レゾルバ40r、左後側レゾルバ41l、右後側レゾルバ41rによって回転角度や回転速度が検出される。左前側レゾルバ40l、右前側レゾルバ40r、左後側レゾルバ41l及び右後側レゾルバ41rの出力は、ECU50に取り込まれて、左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r及び右後側電動機11rの制御に用いられる。
左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r及び右後側電動機11rは、インバータ6に接続されている。インバータ6には、例えばニッケル−水素電池や鉛蓄電池等の車載電源7が接続されており、必要に応じてインバータ6を介して左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r及び右後側電動機11rへ供給される。これらの出力は、ECU50からの指令によってインバータ6を制御することで制御される。なお、この実施形態においては、1台のインバータで1台の電動機を制御する。左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r及び右後側電動機11rを制御するため、インバータ6は、それぞれの電動機に対応した4台のインバータで構成される。
左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r及び右後側電動機11rが走行装置100の動力発生源として用いられる場合、車載電源7の電力がインバータ6を介して供給される。また、例えば車両1の減速時には、左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r、右後側電動機11rが発電機として機能して回生発電を行い、これによって回収したエネルギーを車載電源7に蓄える。これは、ブレーキ信号やアクセルオフ等の信号に基づいて、ECU50がインバータ6を制御することにより実現される。なお、この実施形態に係る車両姿勢制御を実行する際にも、必要に応じて左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11r、右後側電動機11rの回生発電を実行する。
図2に示すように、左前側電動機10lは、前輪用懸架装置8に取り付けられる。これによって、左前側電動機10lは、前輪用懸架装置8を介して車両1に取り付けられて、前輪用懸架装置8によって車両1に支持される。なお、右前側電動機10rの支持構造も左前側電動機10lの支持構造と同様の構成である(以下同様)。また、図3−1に示すように、右後側電動機11rは、後輪用懸架装置9に取り付けられる。これによって、右後側電動機11rは、後輪用懸架装置9を介して車両1に取り付けられて、後輪用懸架装置9によって車両1に支持される。なお、左後側電動機11lの支持構造も、右後側電動機11rの支持構造と同様の構成である(以下同様)。次に、図2、図3−1、図3−2を用いて、前輪用懸架装置8及び後輪用懸架装置9の構成をより詳細に説明する。
図2に示すように、この実施形態において、前輪用懸架装置8は、いわゆるストラット形式が用いられている。ダンパー20の一方の端部にはアッパーマウント20Uが設けられ、これを介してダンパー20が車両本体1Bに取り付けられる。ダンパー20の他方の端部には、電動機固定用ブラケット20Bが設けられている。電動機固定用ブラケット20Bは、左前側電動機10lの本体部に設けられる電動機側ブラケット10lbに取り付けられて、ダンパー20と左前側電動機10lとを固定する。ここで、左前側電動機10lの駆動軸(電動機駆動軸)10lsには、電動機駆動軸10lsの回転角度を知るための回転角度検出手段として、左前側レゾルバ40lが取り付けられている。左前側レゾルバ40lによって検出された信号を処理することにより、左前側電動機10lの回転速度を知ることができる。
電動機駆動軸10lsに対して電動機側ブラケット10lbと対称となる位置には、ピボット部10lpが設けられている。ピボット部10lpは、トランスバースリンク(ロワーアーム)22のピボット受け28と組み合わされ、ピン結合される。トランスバースリンク22は、車両取付部27で車両本体1Bに取り付けられている。そして、左前側電動機10lが上下方向(図2中のZ方向、以下同様)に動作することにより、車両取付部27の揺動軸Zsfを中心として揺動運動する。ここで、上下方向とは、重力の作用方向と平行な方向である。
電動機駆動軸10lsには、前輪用ブレーキローター15及び前輪用ホイール13が取り付けられる。そして、前輪用ホイール13にタイヤが取り付けられて、左側前輪2l(図1)となる。路面から左側前輪2lへの入力によって、前輪用ホイール13は上下方向に動作する。前輪用ホイール13は電動機駆動軸10lsに取り付けられているので、前輪用ホイール13が上下方向に動作するとともに、左前側電動機10lも上下方向に動作する。左前側電動機10lが上下方向に動作することによる車両本体1Bへの入力は、前輪用懸架装置8のスプリング20S及びダンパー20で吸収される。
左前側電動機10lとトランスバースリンク22とは、ピボット部10lpとピボット受け28とでピン結合されているので、左前側電動機10lの上下運動とともにトランスバースリンク22は揺動軸Zsfを中心として揺動運動できる。また、左前側電動機10lは、ハンドル4の操作によって前輪用ホイール13及びタイヤとともに操舵されるが、このときピボット部10lpはピボット受け28に支持されながら回転する。
トランスバースリンク22には、前輪用ストロークセンサ46fが取り付けられている。前輪用ストロークセンサ46fの一端は車両本体1Bに取り付けられており、前輪用懸架装置8が上下方向に動作することによりトランスバースリンク22が上下方向に動作すると、前輪用ストロークセンサ46fが上下方向に伸縮する。これによって、前輪用ストロークセンサ46fによって左前側電動機10lの動作距離を検出することができる。前輪用ストロークセンサ46fの検出信号は、車両姿勢制御装置30に取り込まれ、この実施形態に係る車両姿勢制御に用いられる。なお、この実施形態においては、車両1(図1参照)の右前側も左前側と同様に構成されており、左前側電動機10l、右前側電動機10rの動作距離を独立に検出することができる。次に、後輪用懸架装置9について説明する。
図3−1に示すように、この実施形態において、後輪用懸架装置9は、いわゆるトーションビーム形式が用いられている。右後側電動機11rは、トーションビーム24と一体に構成されるアーム25の一端に取り付けられる。右後側電動機11rの取付側とは反対側におけるアーム25の端部には、車両取付部26が設けられている。アーム25は、車両取付部26を介して車両本体1Bに取り付けられる。そして、アーム25は、車両取付部26の揺動軸Zsrを中心として揺動運動する。トーションビーム24には、スプリング・ダンパー受け21が設けられている。そして、後輪用懸架装置9のスプリング及びダンパーは、スプリング・ダンパー受け21と車両本体1Bとの間に取り付けられる。なお、この実施形態において、スプリング及びダンパーは、両者が一体となったスプリング/ダンパー構造体29である。
右後側電動機11rの駆動軸(電動機駆動軸)11rsには、電動機駆動軸11rsの回転角度を知るための回転角度検出手段として、右後側レゾルバ41rが取り付けられている。右後側レゾルバ41rによって検出された信号を処理することにより、右後側電動機11rの回転速度を知ることができる。また、電動機駆動軸11rsには、後輪用ブレーキローター16及び後輪用ホイール14が取り付けられる。そして、後輪用ホイール14にタイヤが取り付けられて、右側後輪3r(図1)となる。
路面から右側後輪3rへの入力によって、後輪用ホイール14は上下方向(図3−2のZ方向、以下同様)に動作する。後輪用ホイール14は電動機駆動軸11rsに取り付けられているので、後輪用ホイール14が上下方向に動作するとともに、右後側電動機11rも上下方向に動作する。右後側電動機11rが上下方向に動作することによる車両本体1Bへの入力は、スプリング・ダンパー受け21を介して後輪用懸架装置9のスプリング/ダンパー構造体29に伝えられ、ここで吸収される。
図3−2に示すように、アーム25には後輪用ストロークセンサ46rが取り付けられている。後輪用ストロークセンサ46rの一端は車両本体1Bに取り付けられており、後輪用懸架装置9が上下方向に動作することによりアーム25が上下方向に動作すると、後輪用ストロークセンサ46rが上下方向に伸縮する。これによって、後輪用ストロークセンサ46rによって右後側電動機11rの動作距離を検出することができる。後輪用ストロークセンサ46rの検出信号は、車両姿勢制御装置30に取り込まれ、この実施形態に係る車両姿勢制御に用いられる。なお、この実施形態においては、車両1(図1参照)の左後側も右後側と同様に構成されており、右後側電動機11r、左後側電動機11lの動作距離を独立に検出することができる。なお、前輪用懸架装置8及び後輪用懸架装置9は上記例に限られず、例えばマルチリンク式、ダブルウィッシュボーン式その他の形式を用いることができる。
この実施形態に係る走行装置100のように、動力発生手段である左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11l及び右後側電動機11rが懸架装置に固定されている方式では、駆動反力、すなわち、各電動機によって生み出される各駆動輪の駆動力の反力成分のうち、駆動輪の接地面と直交する方向(車両1の上下方向)の成分は、ほとんどすべて懸架装置に入力される。このため、左右の駆動輪のうち少なくとも一方における駆動反力によるモーメントを効率よく発生させることができる。次に、この実施形態に係る走行装置の他の例を説明する。
図4−1〜図4−4は、実施形態1に係る走行装置の変形例を示す説明図である。図4−1に示す車両1aが備える走行装置100aは、左前側電動機10lによって左側前輪2lを駆動し、また、右前側電動機10rによって右側前輪2rを駆動する。そして、左側前輪2lと右側前輪2rとは、それぞれ左前側電動機10lと右前側電動機10rとによって独立に駆動力を制御できる。また、左側後輪3lと右側後輪3rとは駆動力を発生しない従動輪である。このような走行装置100aでも、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動輪の駆動力を異ならせることができる。
図4−2に示す車両1bが備える走行装置100bは、左後側電動機11lによって左側後輪3lを駆動し、また、右後側電動機11rによって右側後輪3rを駆動する。そして、左側後輪3lと右側後輪3rとは、それぞれ左後側電動機11lと右後側電動機11rとによって独立に駆動力を制御できる。また、左側前輪2lと右側前輪2rとは駆動力を発生しない操舵輪である。このような走行装置100bでも、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動輪の駆動力を異ならせることができる。
図4−3に示す車両1cが備える走行装置100cは、左前側電動機10lによって左側前輪2lを駆動し、また、右前側電動機10rによって右側前輪2rを駆動する。左側前輪2lと右側前輪2rとは、それぞれ左前側電動機10lと右前側電動機10rとによって独立に駆動力を制御できる。また、左側後輪3lと右側後輪3rとは、動力発生手段を有する駆動装置60によって駆動されるが、左側後輪3lの駆動力と右側後輪3rの駆動力とは独立に制御できず、また左側後輪3lの駆動力と右側後輪3rの駆動力とに差を設けることもできない。このように、走行装置100cは、全輪(4輪)が駆動輪となるが、左側前輪2lと右側前輪2rとの間でのみ、駆動力を異ならせることができる。このような走行装置100cでも、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動輪の駆動力を異ならせることができる。
図4−4に示す車両1dが備える走行装置100dは、左後側電動機11lによって左側後輪3lを駆動し、また、右後側電動機11rによって右側後輪3rを駆動する。左側後輪3lと右側後輪3rとは、それぞれ左後側電動機11lと右後側電動機11rとによって独立に駆動力を制御できる。また、左側前輪2lと右側前輪2rとは、動力発生手段を有する駆動装置60によって駆動されるが、左側前輪2lの駆動力と右側前輪2rの駆動力とは独立に制御できず、また左側前輪2lの駆動力と右側前輪2rの駆動力とに差を設けることもできない。このように、走行装置100dは、全輪(4輪)が駆動輪となるが、左側後輪3lと右側後輪3rとの間でのみ、駆動力を異ならせることができる。このような走行装置100dでも、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動輪の駆動力を異ならせることができる。
この実施形態においては、例えば、緊急回避時等に車両の耐横転性能と旋回性能とを両立させるため、走行装置の応答性が高いこと、すなわち、出力の指令が走行装置に与えられてから実際に走行装置が駆動力を発生するまでの時間が短いことが好ましい。上述した走行装置100のように、インホイールモータ形式を採用する走行装置は、応答性が高いため好ましい。また、動力発生源として油圧モータを利用した走行装置も、応答性が高いため好ましい。なお、クラッチの圧着力を調整することによって左右の駆動輪における駆動力を変更する方式であっても、クラッチを作動させる油圧を高くすることによって応答性を高めたり、あるいは、応答性が要求されないような運転条件であったりする場合には使用することができる。次に、この実施形態に係る車両姿勢制御において各輪の駆動力を決定する手法を説明する。
図5−1、図5−2は、実施形態1に係る車両姿勢制御を説明するための概念図である。図5−3は、駆動反力を説明する概念図である。図5−1、図5−2は同一の車両を示しており、いずれもホイールベース内に懸架装置の瞬間回転中心がある。また、図5−3は、ホイールベース内に懸架装置の瞬間回転中心がある車両である。
図中のGは車両1の重心、X_rollはロール軸、hは車両1の重心高さ、ORfは前輪用懸架装置の瞬間回転中心、ORrは後輪用懸架装置の瞬間回転中心、hfsは前輪用懸架装置の瞬間回転中心高さ、hfrは後輪用懸架装置の瞬間回転中心高さ、Dfは前輪のトレッド幅、Drは後輪のトレッド幅を表す。また、Lは、左側及び右側前輪2l、2rの車軸(前輪側車軸)Zfと、左側及び右側後輪3l、3rの車軸(後輪側車軸)Zrとの距離(前後車軸軸間距離)、Lfは重心Gと前輪側車軸Zfとの水平距離、Lrは重心Gと後輪側車軸Zrとの水平距離を表す。
なお、瞬間回転中心は、懸架装置の側面視、すなわち、車輪側(左側前輪2lや右側後輪3r)から懸架装置(前輪用懸架装置8や後輪用懸架装置9)を見た場合における懸架装置の瞬間回転中心である。これは、車両1の進行方向に対して直交する方向から懸架装置(前輪用懸架装置8や後輪用懸架装置9)を見た場合の瞬間回転中心である。
この実施形態に係る車両1は、車両1の重心高さhよりも前輪用懸架装置の瞬間回転中心高さhfs及び後輪用懸架装置の瞬間回転中心高さhfrが低く、また、前輪用懸架装置の瞬間回転中心ORf及び後輪用懸架装置の瞬間回転中心ORrは、前輪側車軸Zfと後輪側車軸Zrとの間にある。また、この実施形態に係る車両1は、前輪用懸架装置の瞬間回転中心ORf及び後輪用懸架装置の瞬間回転中心ORrが、前輪側車軸Zfと後輪側車軸Zrとの間(すなわち車両1のホイールベース間)にある。なお、前輪用懸架装置の瞬間回転中心ORf及び後輪用懸架装置の瞬間回転中心ORrの位置は、上記位置に限定されるものではない。
この実施形態に係る車両姿勢制御では、車両1の駆動輪が発生する駆動力を制御することによって駆動反力を変化させ、車両1のロール(ロール軸X_roll周りの運動)を抑制する。左側前輪2lの駆動力(左側前輪駆動力)をFfl、右側前輪2rの駆動力(右側前輪駆動力)をFfr、左側後輪3lの駆動力(左側後輪駆動力)をFrl、右側後輪3rの駆動力(右側後輪駆動力)をFrrとする。また、左側前輪2lの駆動反力(左側前輪駆動反力)をFfl1、右側前輪2rの駆動反力(右側前輪駆動反力)をFfr1、左側後輪3lの駆動反力(左側後輪駆動反力)をFrl1、右側後輪3rの駆動反力(右側後輪駆動反力)をFrr1とする。ここで、駆動反力とは、車両1が備える駆動輪における駆動力の反力成分のうち、前記駆動輪の接地面(路面GL)と直交する方向の反力成分であって、車両1に対して、前記駆動輪の接地面と直交する方向に与えられる力である。
車両1の旋回時においては、横方向加速度AyによるロールモーメントM_Ayが車両1のロール軸X_roll周りに発生する(図5−1参照)。図5−1に示す例では、車両1が右旋回をしており、旋回方向外側に向かって車両1を回転させるようなロールモーメント(車両1の前輪側から見て時計回りのロールモーメント)、すなわち、車両1を左側に傾斜させるようなロールモーメントM_Ayが発生している。
一方、車両1の駆動輪が駆動力を発生することにより駆動反力が発生するが、左右の駆動輪において、少なくとも一方の駆動輪における駆動反力の大きさ又は方向の少なくとも一方を、他方の駆動輪に対して異ならせると、車両1のロール軸X_roll周りにモーメント(駆動反力によるモーメント)を発生させることができる。図5−1に示す例では、左側前輪2lの駆動反力Ffl1及び左側後輪3lの駆動反力Frl1が車両1に向かって発生し、右側前輪2rの駆動反力Ffr1及び右側後輪3rの駆動反力Frr1が路面に向かって、すなわち車両1とは反対方向に発生する。
この場合、車両1の左右の駆動輪間における駆動反力の方向が少なくとも異なるので、駆動反力によるモーメントM_rollが発生する。駆動反力によるモーメントM_rollは、車両1の前輪側から見て反時計回りのモーメント、すなわち、車両1を右側に向かって傾斜させるようなモーメントである。この駆動反力によるモーメントM_rollは、横方向加速度AyによるロールモーメントM_Ayを打ち消す方向に発生する。
このように、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、少なくとも一方の駆動輪における駆動反力の大きさ又は方向の少なくとも一方を、他方の駆動輪に対して異ならせることによりモーメントを発生させる。これによって、車両1の旋回時において発生する横方向加速度によるロールモーメントを打ち消すことができる。すなわち、左右の駆動輪のうち少なくとも一方における駆動反力によるモーメントM_rollは、車両1のロールを抑制するロール抑制モーメント(M_roll)として作用する。以下、必要に応じて、左右の駆動輪のうち少なくとも一方における駆動反力によるモーメントを、ロール抑制モーメントという。ここで、ロール抑制モーメントM_rollは、車両1の左側における駆動反力と右側における駆動反力との差を用いて表現できる。
ここで、図5−3を用いて駆動反力について説明する。駆動力をF、駆動反力(路面GLと直交する方向における駆動力Fの成分)をF1、懸架装置の瞬間回転中心をOR、懸架装置の瞬間回転中心ORと駆動輪Wが路面GLに接地する接地部Qとの距離をl、ORとQとを結ぶ直線と路面GLとのなす角度をαとする。ORとQとを結ぶ直線に直交する駆動力Fの成分は、F×sinαとなる。したがって、懸架装置の瞬間回転中心OR周りにおける、駆動力Fによる時計回りのモーメントは、l×F×sinαとなる。一方、懸架装置の瞬間回転中心OR周りにおける、駆動反力F1による反時計回りのモーメントは、F1×l×cosαとなる。
駆動輪Wは路面GLに拘束されており、駆動輪Wは懸架装置の瞬間回転中心ORを中心として回転しないため、l×F×sinα=F1×l×cosαとなる。これをF1について解き、整理すると、駆動反力F1は式(1)で表すことができる。
F1=F×(sinα/cosα)=F×tanα・・(1)
すなわち、駆動反力F1は、駆動力Fにtanαを乗じて求めることができる。ここで、αは懸架装置の設計によって予め定まる値なのでtanαは定数となり、駆動反力F1は駆動力Fの関数となる。
図6−1は、ハンドリング・ロールオーバーが発生する条件を説明するための図である。図6−2は、障害物を回避する際における車両の軌跡を示す概念図である。図6−3は、旋回時における車両のロール角の変化を示す説明図である。ハンドリング・ロールオーバーは、車両1に作用する横方向加速度に起因する車両1の横転現象である。ハンドリング・ロールオーバーが発生する条件は、式(2)となる。
D/(2×h)<Ay/g・・(2)
ここで、Dは車両1のトレッド幅(車両幅方向における左側車輪Wlの中心と右側車輪Wrの中心との距離)、hは車両1の重心高、Ayは横方向加速度、gは重力加速度である。
ハンドリング・ロールオーバーが発生すると車両の横転を招くため、ハンドリング・ロールオーバーの発生限界に近づいた場合には、例えば、駆動輪を制動して横方向加速度を減ずることにより、ロール方向、旋回方向ともに安定化させ、車両の横転を回避する手法がある。しかし、この手法では、車両の横転は回避できるが、緊急回避性能も同時に低下してしまう。
例えば、図6−2に示すように、車両1が進行方向前方にある障害物Cとの衝突を避けようとして急ハンドルのような緊急回避動作をした場合、障害物Cとの衝突を回避するためには、車両1は本来実線のような軌跡を描いて走行する必要がある。しかし、車両1が緊急回避動作をした場合、横方向加速度が急激に増加して車両1の横転を引き起こすおそれがある。この場合に、車両1に作用する横方向加速度を減ずる制御をすると旋回半径が大きくなり、車両1は破線のような軌跡を描いて走行する。その結果として障害物Cとの衝突が回避できないおそれがある。
また、一般に車両は、乗車人数が増加すると、重心高hが高くなる。車両の重心高hが高くなると、式(2)に示すハンドリング・ロールオーバーの発生条件から、ハンドリング・ロールオーバーの発生限界は低くなることがわかる。室内のスペースを有効活用するため、質量の大きい構造物(例えば、燃料電池車両における燃料電池や水素タンク、電気自動車におけるバッテリー等)を床下に配置したような車両は、質量の大きい構造物が低い位置にあるため、車両の重心高が低くなる。このような低重心の車両においては、車両の乗車人数や積載量が増加することによる重心高の増加割合が大きいため、重心高が高い車両と比較して、ハンドリング・ロールオーバーの発生限界の低下割合が大きくなる。すなわち、低重心の車両は、乗車人数や積載量の変化による重心高の変化が大きいため、ハンドリング・ロールオーバーの発生限界の変化も大きくなる。その結果、低重心の車両は、緊急回避のような急激な操舵をした場合において、横転のおそれが高くなる。
この実施形態では、少なくとも一対の左右の駆動輪間における駆動反力を異ならせることによって駆動反力によるモーメント、すなわちロール抑制モーメントM_rollを発生させる。このモーメントM_rollは、乗員や積載物を搭載した車両の走行中に発生するロールとは反対方向のモーメントである。そして、車両の走行中において、ハンドリング・ロールオーバーの発生限界の変化を小さくし、かつハンドリング・ロールオーバーの発生限界が最も高い状態に制御する。これによって、車両の耐横転性能と旋回性能(特に緊急回避性能)との両立を図るものである。
車両1のロール軸X_roll(図5−1、図5−2)周りにおける力の釣り合いを、ロール抑制モーメントM_rollを考慮して表すと、式(3)のようになる。
−m×hs×V×(β'+γ')=(−Kφ+m×g×hs)×φ−M_roll・・(3)
式(3)をロール角φについて解くと、静的なロール角は、式(4)のようになる。
φ=(m×hs×Ay−M_roll)/(Kφ−m×g×hs)・・(4)
ここで、mは車両の総質量(車体総質量)、φはロール角、βは重心周りのスリップ角、β'はスリップ角の微分値(スリップ率)、γはヨー角、γ'はヨー角の微分値(ヨーレート)、hは重心高、hsは重心−ロールセンター間距離であってh−hrollで決定される値、hrollは重心点における車両のロールセンター(ロール軸X_roll)の高さであり、車両の諸元によって決定される値、Kφはロール剛性、Vは車両の速度(車速)、gは重力加速度、Ayは車両の横方向加速度、M_rollはロール抑制モーメントである。
車両1の乗車人数、積載量の増加にともない車体総質量mは増加し、重心高hが増加する。重心高hが増加すると、hsが増加する。したがって、車両1の乗車人数、積載量が増加すると、式(4)の分母が小さくなり、分子が大きくなるので、車両1の旋回時において、同じ横方向加速度Ayにおけるロール角φは大きくなる(図6−3)。
そこで、この実施形態では、車両1の乗車人数、積載量によらず、同一の横方向加速度Ayに対しては、同一のロール角φとなるように、ロール抑制モーメントM_rollを車両1に付与する。式(4)から、車体総質量mが最も小さいとき、すなわち、空車状態(乗員、積載物なし)のときに、同じ横方向加速度Ayにおけるロール角φは最も小さくなる。この実施形態では、基準のロール角を車両1が空車状態のときにおけるロール角とし、車両1が乗員や積載物を搭載した状態で走行する場合において発生するロールのロール角が、前記基準のロール角となるようにロール抑制モーメントM_rollを付与する。
すなわち、車両1の乗車人数、積載量によらず、車両1が空車状態のときにおけるロール角φとなるように、ロール抑制モーメントM_rollを車両1に付与する。例えば、図6―3の最大積載状態であっても、横方向加速度Ayに対するロール角φが、同図における空車状態のように変化するようにロール抑制モーメントM_rollを車両1に付与する。これによって、車両1の走行中に発生するロールのロール角を、そのロール角よりも小さい大きさに抑制することができる。
なお、この実施形態においては、車両1のロールを抑制することから、基準のロール角は、車両1の走行中に発生するロールのロール角が、そのロール角よりも小さくなるように設定される。すなわち、基準のロール角は、車両1の走行中に発生するロールのロール角よりも小さい値となる。また、基準のロール角は、車両1が空車状態のときのロール角に限られず、空車状態よりもさらに軽い状態のときにおけるロール角や、乗車状態と空車状態との間(例えば1名乗車状態と空車状態との間)におけるロール角に設定してもよい。また、車両1の走行状態に応じて、基準のロール角を変更してもよい。例えば、高速走行時や山道の走行時においては、基準のロール角を設定する際の車体総質量をより小さくして(例えば空車状態よりもさらに軽い状態とする)、耐横転性能及び旋回性能をより向上させる。また、例えば、基準のロール角を1名乗車時のときのロール角として、運転者単独乗車における状態で常に運転できるようにして、運転者が受ける違和感を低減するようにしてもよい。
ここで、空車時にはロール抑制モーメントM_rollは付与しないとし、空車時における車体総質量をm'、空車時における重心高をh'、空車時における重心−ロールセンター間距離をhs'とすると、基準のロール角、すなわち空車時におけるロール角φは、式(5)で与えられる。
φ=m'×hs'×Ay/(Kφ−m'×g×hs')・・(5)
車両1の乗車人数、積載量によらず、同一の横方向加速度Ayにおいて車両1のロール角φを空車時のロール角と同一とするためには、式(4)と式(5)とを連立させ、ロール抑制モーメントM_rollについて解く。すると、ロール抑制モーメントM_rollは、式(6)のようになる。
M_roll=(Kφ−m×g×hs)×{(m×hs/(Kφ−m×g×hs))−(m'×hs'/(Kφ−m'×g×hs'))×Ay・・(6)
式(6)において、車体総質量m、重心−ロールセンター間距離hsを求める際に用いる重心高h、及び横方向加速度Ay以外は定数として予め設定することができる。なお、重心高hは、車体総質量mが変化した場合には、変化した車体総質量mに基づいて求めることができる。したがって、車両1の乗車人数、積載量が変化したことにより変更された車体総質量m、及び変化した重心高hから定まる重心−ロールセンター間距離hsを式(6)に与えて得られるロール抑制モーメントM_rollを車両1に付与すれば、同一旋回(すなわち同一の横方向加速度Ay)においては、車両1の乗車人数、積載量によらず、同じハンドル4(図1参照)の操作及び同じ車両1の速度に対して、車両1が空車状態である場合におけるロール角φが得られる。これによって、耐横転性能を確保しつつ、旋回性能(特に緊急回避性能)を向上させることができる。次に、この実施形態に係る車両姿勢制御を実現するための車両姿勢制御装置について説明する。
図7は、実施形態1に係る車両姿勢制御装置の構成例を示す説明図である。図7に示すように、車両姿勢制御装置30は、ECU50に組み込まれて構成されている。ECU50は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)50pと、記憶部50mと、入力ポート55及び出力ポート56と、入力インターフェース57及び出力インターフェース58とから構成される。
なお、ECU50とは別個に、この実施形態に係る車両姿勢制御装置30を用意し、これをECU50に接続してもよい。そして、この実施形態に係る車両姿勢制御を実現するにあたっては、ECU50が備える走行装置100等に対する制御機能を、前記車両姿勢制御装置30が利用できるように構成してもよい。
車両姿勢制御装置30は、モーメント演算部31と、駆動力演算部32と、駆動力制御部33と、センサ異常判定部(異常判定部)34と、車両姿勢制御制限部35とを含んで構成される。これらが、この実施形態に係る車両姿勢制御を実行する部分となる。この実施形態において、車両姿勢制御装置30は、ECU50を構成するCPU50pの一部として構成される。
車両姿勢制御装置30のモーメント演算部31と、駆動力演算部32と、駆動力制御部33と、センサ異常判定部34と、車両姿勢制御制限部35とは、バス541、バス542、及び入力ポート55及び出力ポート56を介して接続される。これにより、車両姿勢制御装置30を構成するモーメント演算部31と、駆動力演算部32と、駆動力制御部33と、センサ異常判定部34と、車両姿勢制御制限部35とは、相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできるように構成される。
また、CPU50pが備える車両姿勢制御装置30と、記憶部50mとは、バス543を介して接続される。これによって、車両姿勢制御装置30は、ECU50が有する走行装置100の運転制御データを取得し、これを利用することができる。また、車両姿勢制御装置30は、この実施形態に係る車両姿勢制御を、ECU50が予め備えている運転制御ルーチンに割り込ませたりすることができる。
入力ポート55には、入力インターフェース57が接続されている。入力インターフェース57には、左前側レゾルバ40l、右前側レゾルバ40r、左後側レゾルバ41l、右後側レゾルバ41r、アクセル開度センサ42、操舵角センサ43、車速センサ44、3方向の加速度が検出できる3軸式の加速度センサ45、前輪用ストロークセンサ46f、後輪用ストロークセンサ46r、イグニッションスイッチ47その他の、走行装置100の運転制御に必要な情報を取得するセンサ類が接続されている。
これらのセンサ類から出力される信号は、入力インターフェース57内のA/Dコンバータ57aやディジタル入力バッファ57dにより、CPU50pが利用できる信号に変換されて入力ポート55へ送られる。これにより、CPU50pは、走行装置100の運転制御や、この実施形態に係る車両姿勢制御に必要な情報を取得することができる。
出力ポート56には、出力インターフェース58が接続されている。出力インターフェース58には、車両姿勢制御に必要な制御対象が接続されている。この実施形態では、左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11l及び右後側電動機11rを制御するためのインバータ6が、この実施形態に係る車両姿勢制御に必要な制御対象である。出力インターフェース58は、制御回路581、582等を備えており、CPU50pで演算された制御信号に基づき、前記制御対象を動作させる。このような構成により、前記センサ類からの出力信号に基づき、ECU50のCPU50pは、左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11l及び右後側電動機11rの駆動力を制御することができる。
記憶部50mには、この実施形態に係る車両姿勢制御の処理手順を含むコンピュータプログラムや制御マップ、あるいはこの実施形態に係る車両姿勢制御に用いるデータマップ等が格納されている。ここで、記憶部50mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、CPU50pへ既に記録されているコンピュータプログラムと組み合わせによって、この実施形態に係る車両姿勢制御の処理手順を実現できるものであってもよい。また、この車両姿勢制御装置30は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、モーメント演算部31、駆動力演算部32、駆動力制御部33、センサ異常判定部34及び車両姿勢制御制限部35の機能を実現するものであってもよい。次に、この実施形態に係る車両姿勢制御を説明する。次の説明では、適宜図1〜図7を参照されたい。
図8、図9は、実施形態1に係る車両姿勢制御の手順を示すフローチャートである。図10−1、図10−2は、実施形態1に係る車両姿勢制御に用いるデータマップを示す説明図である。この実施形態に係る車両姿勢制御を実行するにあたり、車両姿勢制御装置30のモーメント演算部31は、車両1のイグニッションスイッチ47(図1、図7参照)がON、かつ車両1が停止しているか否かを判定する(ステップS101)。イグニッションスイッチ47がOFF、又は車両1が走行中である場合には(ステップS101:No)STARTに戻り、車両姿勢制御装置30は車両1の運転状態を監視する。
イグニッションスイッチ47(図1、図7参照)がON、かつ車両1が停止している場合(ステップS101:Yes)、モーメント演算部31は、車体総質量mを算出する(ステップS102)。この実施形態において、車体総質量mは、前輪用懸架装置8に取り付けられる前輪用ストロークセンサ46f、及び後輪用懸架装置9に取り付けられる後輪用ストロークセンサ46rから検出される前輪用懸架装置8及び後輪用懸架装置9の縮み量に基づいて算出することができる。すなわち、車体総質量mと前輪用懸架装置8及び後輪用懸架装置9の縮み量との間にある相関関係を利用する。このように、前輪用ストロークセンサ46f、及び後輪用懸架装置9は、車両の総質量を得る手段として機能する。
次に、車両姿勢制御装置30のセンサ異常判定部34は、前輪用ストロークセンサ46f又は後輪用ストロークセンサ46rに異常があるか否かを判定する(ステップS103)。前輪用ストロークセンサ46f又は後輪用ストロークセンサ46rに異常がある場合、車体総質量mが正しく推定できないおそれが極めて高いので、この実施形態に係る車両姿勢制御が正しく実行できないおそれがあるからである。
前輪用ストロークセンサ46f又は後輪用ストロークセンサ46rに異常がある場合(ステップS103:Yes)、センサ異常時制御へ移行する(ステップS104)。センサ異常時制御の手順については後述する。前輪用ストロークセンサ46f又は後輪用ストロークセンサ46rが正常である場合(ステップS103:No)、モーメント演算部31は、ステップS102で推定した車体総質量mに基づいて、車両1の重心高hを算出する(ステップS105)。
次に、モーメント演算部31は、ロール抑制モーメントM_rollを算出する(ステップS106)。ロール抑制モーメントM_rollは、所定の横方向加速度Ay(例えば、図10−1に示すデータマップ70におけるAyの値)を設定し、取得した車体総質量m及び重心高hを式(6)に与えることによって、前記所定の横方向加速度Ayにおける値を算出することができる。
次に、モーメント演算部31は、算出したロール抑制モーメントM_rollに基づき、この実施形態に係る車両姿勢制御に用いるデータマップを更新する(ステップS107)。図10−1に示すデータマップ70は、横方向加速度Ayに対応するロール抑制モーメントM_rollが記述されている。車体総質量mが変化し、これにともなって重心高hが変化すると、同じ横方向加速度Ayであっても、車両1のロールを抑制するために付与するロール抑制モーメントM_rollは変化する。このため、乗車人数や積載量の変化によって車体総質量mが変化した場合には、データマップ70の値を、ステップS106で算出したロール抑制モーメントM_rollの値に更新する。なお、車両1の走行前における車体総質量mでデータマップ70を一度更新すれば、車両1の走行中は、車体総質量mはほぼ一定であることから、車両1の走行前に更新したデータマップ70を用いてこの実施形態に係る車両姿勢制御を実行する。
図10−2に示すデータマップ71は、横方向加速度Ayと車体総質量mとに対応するロール抑制モーメントM_rollが記述されている。このデータマップ71は、式(6)に基づいて作成されており、ステップS102で取得した車体総質量m及び車両1の走行時における横方向加速度Ayを与えれば、対応するロール抑制モーメントM_rollが得られるので、車体総質量mが変化した場合でも、データマップ71を更新する必要はない。
ここで、データマップ70、71は、ECU50の記憶部50mに格納されている。また、データマップ70、71は、ロール抑制モーメントM_rollが離散的に記述されているので、データマップ70、71に記述されていないロール抑制モーメントM_rollは、例えば、データマップ70、71に記述されているデータを補間することにより算出する。この実施形態に係る車両姿勢制御においてデータマップ70等を用いれば、CPU50pの負荷を低減できるので、好ましい。
なお、データマップ70等の代わりに、式(6)を関数として記憶部50mやCPU50p(例えばモーメント演算部31)に設定しておき、ステップS102で推定した車体総質量mと、これに基づいて算出した重心高hと、横方向加速度Ayとを逐次式(6)に与えて、ロール抑制モーメントM_rollを算出し、車両姿勢制御に用いてもよい。このように、式(6)を関数として設定しておけば、記憶部50mにデータマップ70等を格納する必要はないので、記憶部50mの使用領域を低減できる。また、車両1の走行中、例えば燃料の減少による車体総質量mの変化(低下)を考慮するような場合には、データマップ70等を更新する機会が増加して、更新処理の負荷が増加する。このため、式(6)を関数としてCPU50p等に設定し、これを用いて逐次ロール抑制モーメントM_rollを求める方が処理速度の観点からは好ましい。
データマップが更新されたら(ステップS107)、モーメント演算部31は、車両1のイグニッションスイッチ47がON、かつ車両1のドアが開いた後閉じられたか否かを判定する(ステップS108)。例えば、ステップS107でデータマップ70を更新した後、車両1に乗り込んだり荷物を積載したりした場合には、ステップS102で推定した車体総質量mが変化する。この車体総質量mの変化を車両姿勢制御に反映させるため、データマップ70の更新後、車両1の走行前に車体総質量mの変化があったと認められる場合には、データマップ70を再度更新する。なお、車両1のドアは、乗員室へ出入りするドアの他、荷室やトランクのドアも含まれる。
車両1のイグニッションスイッチ47がON、かつ車両1のドアが開いた後閉じられた場合は(ステップS108:Yes)、データマップ70の更新後、車両1の走行前に車両1への乗降があり車体総質量mの変化があったと認められる。この場合には、モーメント演算部31は車体総質量mを再度推定し、これに基づいてロール抑制モーメントM_rollを再計算し(ステップS109)、データマップ70を更新する(ステップS110)。以後の車両姿勢制御においては、更新した最新のデータマップ70を用いる。
次に、モーメント演算部31は、車両1の走行中に横方向加速度Ayを検出する(ステップS111)。横方向加速度Ayは、例えば、車両1に搭載される加速度センサ45(図1、図7参照)により検出する。この実施形態において、加速度センサ45は、3軸の加速度センサであり、横方向加速度Ayのみならず、車両1の前後方向における加速度、車両1の上下方向における加速度も検出できる。また、車両1がヨーセンサやヨーレートセンサを搭載する場合には、これらの検出値を用いて横方向加速度Ayを推定してもよい。ここで、横方向加速度Ayは、車両1の横方向(進行方向と直交する方向)の加速度のみを検出する加速度センサを用いて検出してもよい。
次に、モーメント演算部31は、横方向加速度Ayに起因する車両1のロールを抑制するために必要な、ロール抑制モーメントM_rollを算出する(ステップS112)。このロール抑制モーメントM_rollは、最新のデータマップ70にステップS111で検出した横方向加速度Ayを与え、これに対応するロール抑制モーメントM_rollをデータマップ70から取得することによって得られる。
車両1に発生するロールを抑制するために必要なロール抑制モーメントM_rollが算出されたら(ステップS112)、車両姿勢制御装置30の駆動力演算部32は、車両1の各駆動輪の駆動力を算出する(ステップS113)。なお、車両1の各駆動輪の駆動力は、回生の場合もある。ロール抑制モーメントM_rollが決定されると、これを発生させるために必要な、車両1の左右における駆動反力(駆動反力差)が決定できる。駆動反力あるいは駆動反力差が決定されれば、式(1)からロール抑制モーメントM_rollを発生させるために必要な駆動輪の駆動力(ΔFfl、ΔFfr、ΔFrl、ΔFrr)を求めることができる。
なお、ここで算出されるのは、ロール抑制モーメントM_rollを発生させるために必要な駆動力である。各駆動輪が実際に発生する駆動力Ffl、Ffr、Frl、Frr(インバータ6への出力指令値に相当する)は、それまで車両1を走行させていた各駆動輪の駆動力Ffl_b、Ffr_b、Frl_b、Frr_bに、ロール抑制モーメントM_rollを発生させるための駆動力ΔFfl、ΔFfr、ΔFrl、ΔFrrを加算した値となる。したがって、ロール抑制モーメントM_rollを発生させる際における左側前輪駆動力FflはFfl_b+ΔFfl、右側前輪駆動力FfrはFfr_b+ΔFfr、左側後輪駆動力FrlはFrl_b+ΔFrl、右側後輪駆動力FrrはFrr_b+ΔFrrとなる。次に、駆動力演算部32が各駆動輪の駆動力を算出する例を説明する。
駆動力演算部32が各駆動輪の駆動力を算出するにあたって、例えば、図5−1に示すように、車両1が右旋回している場合のロールを抑制する場合を考える。この場合、例えば、車両1の左側における駆動輪からは車両1に向かう駆動反力(車両左側駆動反力)を発生させ、車両1の右側における駆動輪からは路面に向かう駆動反力(車両右側駆動反力)を発生させる。例えば、ロール抑制モーメントM_rollを、車両1の各駆動輪(左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l、右側後輪3r)で均等に発生させると仮定すると、各駆動輪が発生させるモーメントの大きさは、それぞれM_roll/4となる。
左側前輪駆動反力Ffl1によるモーメントをMfl、左側後輪駆動反力Frl1によるモーメントをMrl、右側前輪駆動反力Ffr1によるモーメントをMfr、右側後輪駆動反力Frr1によるモーメントをMrrとすると、Mfl=Mrl=Mfr=Mrr=M_roll/4となる。また、図5−1から、Mfl=Ffl1×Df/2、Mrl=Frl1×Dr/2、Mfr=Ffr1×Df/2、Mrr=Frr1×Dr/2となる。したがって、車両1の各駆動輪(左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l、右側後輪3r)それぞれの駆動反力を求めることができる。そして、車両1の各駆動輪の駆動力(ロール抑制モーメントM_rollを発生させるための駆動力ΔFfl、ΔFfr、ΔFrl、ΔFrr)は、上記手順によって求めた各駆動輪の駆動反力から求めることができる。
なお、駆動力演算部32が各駆動輪の駆動力を算出するにあたっては、ドライバビリティの低下抑制、車両挙動の安定化という観点から、ロール抑制モーメントM_rollを発生させる前における車両1の総駆動力F_all(=Ffl_b+Ffr_b+Frl_b+Frr_b)と、後における車両1の総駆動力F_all(=Ffl+Ffr+Frl+Frr)が一定となるようにすることが好ましい。上記例では、図5−1に示すように、車両1の右側における駆動反力と左側における駆動反力とで方向を反対にすることによってロール抑制モーメントM_rollを発生させる場合には、車両1の右側における駆動力は増加し、左側における駆動力は減少する。これによって、車両1の右側における駆動力の増加分と、左側における駆動力の減少分とが相殺されるので、ロール抑制モーメントM_rollを発生させる前後において、車両1の総駆動力F_allはほぼ一定となる。
車両1の各駆動輪の駆動力が算出されたら(ステップS113)、車両姿勢制御装置30の駆動力制御部33は、車両1の各駆動輪がステップS113で決定された駆動力を発生するように、インバータ6に対して出力指令を発信する(ステップS114)。これによって、車両1の各駆動輪を駆動する左前側電動機10l、右前側電動機10r、左後側電動機11l及び右後側電動機11rは指令された出力を発生し、各駆動輪はステップS113で決定された駆動力で駆動される。
これによって、車体総質量mの変化を考慮したロール抑制モーメントM_rollによって、車両1に発生するロールを打ち消すので、乗車人数や積載量の変化によって車体総質量mが変化した場合でも、車両1のロール角を空車状態と同等のロール角に抑制できる。その結果、車体総質量mの変化によって重心高が変化しても、車両1の横転抑制と、車両1の旋回性能とを両立させることができる。特に、車体総質量mの変化によって重心高の変化割合が大きい低重心の車両に対して効果的である。また、図5−1、図5−3からわかるように、後輪用懸架装置は瞬間回転中心を車両のホイールベース内に配置すると、駆動反力によってロールを抑制すると、旋回を助けるヨーモーメントが増加して車両1の旋回性能が向上するため好ましい。
車両1のイグニッションスイッチ47がOFF、又は車両1のドアが開いた後閉じられていない場合は(ステップS108:No)、データマップ70の更新後、車両1の走行前に車体総質量mの変化はないと判断できる。この場合、車両姿勢制御装置30は、最新のデータマップ70(ステップS107で更新したデータマップ70)を用いて上記ステップS111〜ステップS114を実行する。次に、ステップS103におけるセンサ異常時制御を説明する。センサ異常時制御の説明においては図9を参照されたい。
前輪用ストロークセンサ46f又は後輪用ストロークセンサ46rに異常がある場合(ステップS103:Yes)、モーメント演算部31は、車両1が最大積載状態になった場合における車体総質量(最大車体総質量)m_maxを用いて、データマップ70を更新する(ステップS201)。これによって、最も重心高hが高くなることによって最も耐横転性能が低下する状態でのロールを想定した、最大のロール抑制モーメントを発生させる。その結果、耐横転性能を確保して安全性を向上させることができる。ここで、最大車体総質量m_maxは、ECU50の記憶部50m内に格納されている。
次に、車両姿勢制御装置30の車両姿勢制御制限部35は、車両1の速度(車速)V及び操舵角δを取得し、それぞれを所定の車速閾値Vc及び操舵角閾値δcと比較する(ステップS202)。ここで、車速Vは車速センサ44から、操舵角δは操舵角センサ43から取得する。その結果、V≦Vcかつδ≦δcである場合には(ステップS202:Yes)、ロールモーメントの制御、すなわち、車両1の旋回中にロール抑制モーメントを与えて車両1のロールを抑制する制御を中止する(ステップS203)。
車速Vが低い状態で、かつ操舵角δが小さい場合に前記ロールモーメントの制御を実行すると、ロールを抑制する作用が強く出過ぎるおそれがある。例えば、定員が5名である車両に1名しか乗車しないような場合、車両が必要なロールをしなかったり、あるいは反対側にロールしたりするおそれがある。その結果、運転者に違和感を与えるおそれがある。ここで、車速Vが低い状態で、かつ操舵角δが小さい場合は横方向加速度Ayが小さく、前記ロールモーメントの制御を実行しなくとも車両1が横転するおそれはほとんどない。このため、車速Vが低い状態で、かつ操舵角δが小さい場合には、運転者に与える違和感を抑制することを優先させ、前記ロールモーメントの制御を中止する。これによって、過度のロール抑制モーメントが与えられることによる運転者の違和感を抑制する。
V>Vc又はδ>δcである場合(ステップS202:No)、耐横転性能と旋回性能とを向上させる必要がある。この場合、モーメント演算部31は、車両1が直進状態、かつ車両1の前後方向加速度Axを取得可能であるか否かを判定する(ステップS204)。車両1が直進状態、かつ車両1の前後方向加速度Axを取得可能である場合(ステップS204:Yes)、モーメント演算部31は、加速度センサ45から前後方向加速度Axを取得し、また、駆動力制御部33が各駆動輪に対して発信する出力指令値Pcmdを取得する。そして、モーメント演算部31は、前後方向加速度Axと出力指令値Pcmdとに基づいて、車体総質量mを推定する(ステップS205)。なお、車体総質量mの推定値(推定車体総質量)は、m_gである。
車両1が直進状態であるか否かは、例えば、操舵角センサ43によって検出される操舵角δが、所定の閾値−θから+θの範囲(−θ<δ<+δ)である場合には、車両1は直進状態であると判定する。ここで、θはハンドルの遊びを考慮して設定される閾値である。また、例えば、加速度センサ45で検出される車両1の前後方向加速度Axが所定の前後方向加速度閾値Ax_c以上である場合に、車両1の前後方向加速度Axを取得可能であると判定する。
さらに、出力指令値Pcmdが所定の閾値出力指令閾値Pcmd_cよりも大きい場合に、ステップS205において車体総質量mを推定することが好ましい。これは、出力指令値Pcmdが小さい場合には、出力指令値Pcmdの検出誤差の影響が大きくなって、車体総質量mの推定精度が低下するおそれがあるからである。
ここで、推定車体総質量m_gは、式(7)で求めることができる。
m_g=(3.6×2×π/V)×Pcmd/Gx・・(7)
駆動輪を駆動する駆動軸のトルクをT(Nm)、駆動輪の回転数をN(rpm)とすると、Pcmd=T×N、V=(3600/1000)×2×r×π、T=Pcmd/N=Pcmd×3.6×2×r×π/Vとなる。そして、車両の総駆動力をF(N)、駆動輪の荷重半径をr(m)とすると、F=T/r、かつF=m_g×Gxなので、m_g=F/Gx=T/(Gx×r)となり、式(7)が得られる。
式(7)によって車体総質量を推定したら(ステップS205)、推定車体総質量m_gを車体総質量mとして、データマップ70を更新する(ステップS206)。そして、車両姿勢制御装置30は、更新された最新のデータマップ70を用いて、車両1のロールモーメントを制御する(ステップS207)。車両1が直進状態ではない場合、又は前後方向加速度Axが取得できない場合には(ステップS204:No)、データマップ70を更新せず、その時点において最新のデータマップ70を用いて車両1のロールモーメントを制御する(ステップS207)。
このように、前輪用ストロークセンサ46f等に異常が発生して車体総質量mを求めることができない場合でも、出力指令値Pcmdと車体前後加速度とを用いて推定した推定車体総質量m_gに基づいて車両1のロールを制御する。その結果、運転者の違和感を低減し、かつ耐横転性能を維持しつつ旋回性能を向上させることができる。
上述した手順では、センサ異常時制御において車体総質量mを推定してデータマップ70を更新したり、推定により得られた推定車体総質量m_gを用いて式(6)からロール抑制モーメントM_rollを求めたりした。しかし、車両の総質量を得る手段である前輪用ストロークセンサ46f等が正常に動作している場合にも、車両の走行中に逐次車体総質量mを推定してデータマップ70を更新したり、得られた推定車体総質量m_gを用いてロール抑制モーメントM_rollを求めたりしてもよい。このようにすれば、例えば、燃料の消費による車体総質量mの低下を考慮できるので、ロール抑制モーメントM_rollの精度が向上する。その結果、車両姿勢制御の精度が向上する。
(変形例)
上記実施形態では、車体総質量の変化による重心高の変化を考慮して設定したロール抑制モーメントを付与し、車体総質量の変化によらず、乗員や積載物を搭載した車両の走行時に発生するロール角(量)を、空車時におけるロール角(ロール量)と同等になるように制御する。この他に、次の変形例に示すような車両姿勢制御を用いてもよい。
この変形例に係る車両姿勢制御では、まず、車両姿勢制御装置30のモーメント演算部31が、乗員や積載物を搭載した車両の走行中におけるロール角を上記式(4)から算出し、これを予め定めたロール角の閾値と比較する。なお、前記ロール角は、傾斜角センサを車両に搭載して検出してもよい。そして、モーメント演算部31は、走行中における車両のロール角が、ロール角の閾値φ_c以上となる場合には車両が横転するおそれがあると判断して、走行中における車両のロール角がそれまでのロール角φ_pよりも小さくなるような(すなわち車両のロールを抑制するような)、駆動反力によるモーメントを算出する。そして、車両姿勢制御装置30の駆動力演算部32は、算出した駆動反力によるモーメントに基づいて各駆動輪の駆動反力を算出し、算出した駆動反力から各駆動輪の駆動力を算出して、車両を駆動する。
ここで、走行中における車両のロール角がそれまでのロール角φ_pよりも小さくなるような、駆動反力によるモーメントM_rollは、式(4)から、φ_p>(m×hs×Ay−M_roll)/(Kφ−m×g×hs)を満たすようなM_rollを求めればよい。車両の総質量mと、車両の総質量mに基づいて求める車両の重心高hとは、乗車人数や積載量の変化により車両の総質量mが変化した場合には、変化後の値(すなわち最新の値)を用いる。車両の総質量mは、前輪用懸架装置8に取り付けられる前輪用ストロークセンサ46f、及び後輪用懸架装置9に取り付けられる後輪用ストロークセンサ46rから検出される前輪用懸架装置8及び後輪用懸架装置9の縮み量に基づいて算出することができる(図2、図3−2参照)。また、車両に作用する横方向加速度Ayは、加速度センサ45(図1、図7参照)により検出する。なお、φ_pの代わりに、ロール角の閾値φ_cとしてもよい(φ_p>φ_c)。また、φ_pの代わりに、予め定めた基準のロール角度(例えば、空車状態における車両のロール角)を用いてもよい。
このような手法によっても、車体質量の変化による重心高の変化を考慮して、車両のロール角(ロール量)を抑制することができるので、耐横転性能と旋回性能(特に緊急回避性能)とを両立させることができる。なお、この変形例に係る車両姿勢制御においては、ロール角の変化率(ロール角の加速度)の変化傾向を検出し、これに基づいて車両が横転するおそれがあるか否かを判定してもよい。すなわち、ロール角の変化率が所定の閾値を超える場合には車両が横転するおそれが高いと判定して、車両のロールを抑制するための駆動反力によるモーメントを算出し、付与する。なお、この変形例においても、上記実施形態1の制御が適用でき、例えば、前輪用ストロークセンサ46fや後輪用ストロークセンサ46rに異常があった場合には、上記実施形態1におけるセンサ異常時制御が適用できる。
以上、実施形態1及びその変形例では、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの前記駆動輪の駆動力を異ならせることができ、かつ、車両に発生するロールモーメントとは反対方向のモーメントを駆動反力によって発生させることにより、車両の走行中におけるロール角が予め定めた基準のロール角となるようにする。これによって、車両の総質量が変化しても、車両のロール角は、予め定めたロール角(空車時におけるロール角)に抑えられるので、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能(特に緊急回避性能)を確保できる。
また、アクティブサス等で必要なアクチュエータ等は不要なので、走行装置をコンパクトにすることができるとともに構造の簡略化が図れ、さらに、低コストを実現できる。特に、車内スペースを有効に活用するために質量の大きい構造物を床下に配置した低重心の車両においては、アクティブサス等を用いる必要はないので、車内スペースを犠牲にすることなく、耐横転性能と旋回性能(特に緊急回避性能)とを両立できるため、好ましい。なお、実施形態1で開示した構成を備えるものは、実施形態1と同様の作用、効果を奏する。また、実施形態1の構成は、以下の実施形態においても適宜適用することができる。
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1と同様であるが、車両の設計諸元から決定される、車両の前後方向におけるロール剛性の相違に応じて各駆動輪の駆動力を制御して、ロール抑制モーメントを付与する点が異なる。他の構成は実施形態1と同様である。なお、上記実施形態1の変形例において各駆動輪の駆動力を制御する場合にも、実施形態2の手法を適用することができる。
図11−1は、実施形態2に係る車両姿勢制御を説明するための説明図である。図11−2は、車両が横方向加速度を受けている状態における荷重の左右移動量を説明する概念図である。図12は、車両の旋回時における摩擦円を説明する概念図である。図13は、実施形態2に係る車両姿勢制御に用いるデータマップの一例を示す説明図である。なお、図11中の符号は、実施形態1と同様である。実際の車両1においては、車両1の前後方向における質量配分や懸架装置の相違等に起因して、車両1の前後方向でロール剛性が異なる。実施形態2に係る車両姿勢制御では、ロール抑制モーメントを付与する際には、車両1の前後方向におけるロール剛性の違いを考慮して各駆動輪の駆動力を制御する。
車両1のロール剛性を車両1の前後に分解して、旋回時、すなわち車両1が横方向加速度Ayを受けている状態での前輪における荷重の左右移動量(前輪側左右荷重移動量)ΔWf、及び後輪における荷重の左右移動量(後輪側左右荷重移動量)ΔWrは、それぞれ式(8)、式(9)で示すようになる。なお、荷重の左右移動量ΔWfは、車両1が横方向加速度Ayを受けていないときにおける左側前輪2lの垂直荷重N_l1(あるいは右側前輪2rの垂直荷重N_r1)と、車両1が横方向加速度Ayを受けているときにおける左側前輪2lの垂直荷重N_l2(あるいは右側前輪2rの垂直荷重N_r2)との差である(図11−2)。図11−2は前輪であるが、後輪でも同様である。
ΔWf=(hs/(1+Kφr/Kφf−m×hs/Kφf)+(Lr/L×hrf)}×Ay/Df・・(8)
ΔWf=(hs/(1+Kφf/Kφr−m×hs/Kφr)+(Lf/L×hrr)}×Ay/Dr・・(9)
ここで、Kφrは車両前側ロール剛性、Kφfは車両後側ロール剛性である。
前輪側左右荷重移動量ΔWf及び後輪側左右荷重移動量ΔWrは、hsを除けば車両1の諸元で決定される定数である。また、実施形態1で説明したように、hsは、車両1の乗車人数や積載量によって決定される車体総質量mによって決定される。したがって、前輪側左右荷重移動量ΔWf及び後輪側左右荷重移動量ΔWrは、車体総質量mによって変化することになる。前輪側左右荷重移動量ΔWf及び後輪側左右荷重移動量ΔWrが変化すると、各駆動輪の動荷重も変化するので、この実施形態では、各駆動輪の動荷重変化を考慮して、ロール抑制モーメントを発生させるために各駆動輪に要求される駆動力を決定する。
車両1が加減速している場合の旋回状態における各駆動輪の垂直荷重は、式(10)〜式(13)に示すようになる。このとき、各駆動輪の摩擦円(図12のSfl、Sfr、Srl、Srr)の大きさは、各駆動輪の垂直荷重Nfl、Nfr、Nrl、Nrrに比例する。
Figure 2008012972
Figure 2008012972
Figure 2008012972
Figure 2008012972
ここで、Nxは車両1の前後方向加速度Axに起因する車両1の前後荷重移動量、Nflは左側前輪2lの垂直荷重、Nfrは右側前輪2rの垂直荷重、Nrlは左側後輪3lの垂直荷重、Nrrは右側後輪3rの垂直荷重、Nfl_sは左側前輪2lの垂直静荷重、Nfr_sは右側前輪2rの垂直静荷重、Nrl_sは左側後輪3lの垂直静荷重、Nrr_sは右側後輪3rの垂直静荷重である。
この実施形態では、各駆動輪の駆動力の駆動反力に基づくモーメントを、各駆動輪の垂直荷重の比(Nfl:Nfr:Nrl:Nrr)に応じて発生させることにより、車両1の旋回時におけるロールを抑制するロール抑制モーメントM_rollを生成する。例えば、Nfl:Nfr:Nrl:Nrr=4:3:2:1である場合、左側前輪2lは4×M_roll/10、右側前輪2rは3×M_roll/10、左側後輪3lは2×M_roll/10、右側後輪3rは1×M_roll/10のモーメント(駆動反力によるモーメント)を発生させる。そして、各駆動輪が発生するモーメントに基づいて、各駆動輪の駆動力が決定される。
なお、この駆動力は、ロール抑制モーメントM_rollを発生させるために必要な駆動輪の駆動力(ΔFfl、ΔFfr、ΔFrl、ΔFrr)であり、各駆動輪が実際に発生する駆動力Ffl、Ffr、Frl、Frr(インバータ6への出力指令値に相当する)は、それまで車両1を走行させていた各駆動輪の駆動力Ffl_b、Ffr_b、Frl_b、Frr_bに、ロール抑制モーメントM_rollを発生させるための駆動力ΔFfl、ΔFfr、ΔFrl、ΔFrrを加算した値となる。
ここで、式(10)〜式(13)からわかるように、各駆動輪(左側前輪2l、右側前輪2r、左側後輪3l、右側後輪3r)の垂直荷重は、前後方向加速度Axが一定の条件では、前輪側左右荷重移動量ΔWf及び後輪側左右荷重移動量ΔWrの変化とともに変化する。上述したように、前輪側左右荷重移動量ΔWf及び後輪側左右荷重移動量ΔWrは、車体総質量mによって変化するので、各駆動輪の垂直荷重の比(Nfl:Nfr:Nrl:Nrr)も車体総質量mによって変化する。
したがって、この実施形態では、車両1の乗車人数や積載量が変化することによって車体総質量mが変化した場合には、これを各駆動輪の垂直荷重の比(Nfl:Nfr:Nrl:Nrr)に反映させて、各駆動輪の駆動力の駆動反力に基づくモーメントを決定する。そして、決定された前記モーメントに基づいて、各駆動輪の駆動力を決定する。大きな摩擦円を有する駆動輪にはより大きな駆動力を付与できるので、ロール抑制モーメントM_rollが大きい場合には、大きな摩擦円を有する駆動輪により多くのモーメントを発生させ、小さな摩擦円の駆動輪の負担を小さくする。これによって、各駆動輪が発生可能な駆動力を最大限に利用することができるので、ロール抑制モーメントM_rollが大きい場合でも各駆動輪の横力を確保できる。その結果、耐横転性能及び旋回性能をより高い次元で両立させることができる。
車体総質量mが変化した場合、これを各駆動輪の垂直荷重の比に反映させるにあたっては、例えば、図13に示すデータマップ72から、車体総質量mに対応する前輪側左右荷重移動量ΔWf及び後輪側左右荷重移動量ΔWrを取得する。そして、取得した前輪側左右荷重移動量ΔWf及び後輪側左右荷重移動量ΔWrを、式(10)〜式(13)に与えて各駆動輪の垂直荷重(Nfl、Nfr、Nrl、Nrr)を求め、各駆動輪の垂直荷重の比(Nfl:Nfr:Nrl:Nrr)を変更する。
以上、実施形態2では、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの前記駆動輪の駆動力を異ならせることができ、かつ、車両に発生するロールモーメントとは反対方向のモーメントを駆動反力によって発生させることにより、車両の走行中におけるロール角が予め定めた基準のロール角となるようにする。これによって、車両の総質量が変化しても、車両のロール角は、予め定めたロール角(空車時におけるロール角)に抑えられるので、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能(特に緊急回避性能)を確保できる。また、車両の設計諸元から決定される、車両の前後方向におけるロール剛性の相違に応じて各駆動輪の駆動力を制御して、ロール抑制モーメントを付与する。これによって、これによって、大きな摩擦円を有する駆動輪にはより大きな駆動力を付与できるので、ロールを抑制するために付与する、ロール抑制モーメントが大きい場合でも各駆動輪の横力を確保でき、耐横転性能及び旋回性能をより高い次元で両立させることができる。なお、実施形態2で開示した構成を備えるものは、実施形態2と同様の作用、効果を奏する。
以上のように、本発明に係る走行装置及び車両姿勢制御装置は、少なくとも一対の左右の駆動輪間において、それぞれの駆動力を異ならせることができる走行装置に対して有用であり、特に、車両の横転を抑制しつつ、旋回性能を確保することに適している。
実施形態1に係る走行装置を備える車両の構成を示す概略図である。 実施形態1に係る走行装置が備える前輪用懸架装置の構成例を示す説明図である。 実施形態1に係る走行装置が備える後輪用懸架装置の構成例を示す説明図である。 実施形態1に係る走行装置が備える後輪用懸架装置の構成例を示す説明図である。 実施形態1に係る走行装置の変形例を示す説明図である。 実施形態1に係る走行装置の変形例を示す説明図である。 実施形態1に係る走行装置の変形例を示す説明図である。 実施形態1に係る走行装置の変形例を示す説明図である。 実施形態1に係る車両姿勢制御を説明するための概念図である。 実施形態1に係る車両姿勢制御を説明するための概念図である。 駆動反力を説明する概念図である。 ハンドリング・ロールオーバーが発生する条件を説明するための図である。 障害物を回避する際における車両の軌跡を示す概念図である。 旋回時における車両のロール角の変化を示す説明図である。 実施形態1に係る車両姿勢制御装置の構成例を示す説明図である。 実施形態1に係る車両姿勢制御の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係る車両姿勢制御の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係る車両姿勢制御に用いるデータマップを示す説明図である。 実施形態1に係る車両姿勢制御に用いるデータマップを示す説明図である。 実施形態2に係る車両姿勢制御を説明するための説明図である。 車両が横方向加速度を受けている状態における荷重の左右移動量を説明する概念図である。 車両の旋回時における摩擦円を説明する概念図である。 実施形態2に係る車両姿勢制御に用いるデータマップの一例を示す説明図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d 車両
1B 車両本体
2r 右側前輪
2l 左前前輪
3r 右側後輪
3l 左側後輪
4 ハンドル
5 アクセル
6 インバータ
7 車載電源
8 前輪用懸架装置
9 後輪用懸架装置
10r 右前側電動機
10l 左前側電動機
11r 右後側電動機
11l 左後側電動機
30 車両姿勢制御装置
31 モーメント演算部
32 駆動力演算部
33 駆動力制御部
34 センサ異常判定部
35 車両姿勢制御制限部
42 アクセル開度センサ
43 操舵角センサ
44 車速センサ
45 加速度センサ
46r 後輪用ストロークセンサ
46f 前輪用ストロークセンサ
47 イグニッションスイッチ
60 駆動装置
70、71、72 データマップ
100、100a、100b、100c、100d 走行装置

Claims (23)

  1. 車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができる走行装置を制御するものであり、
    前記左右の駆動輪のうち少なくとも一方の駆動反力によるロール抑制モーメントを発生させる場合において、前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、前記ロール角よりも小さい基準のロール角となるように、前記ロール抑制モーメントを算出するモーメント算出部と、
    算出された前記ロール抑制モーメントから、前記左右の駆動輪の駆動力を算出する駆動力演算部と、
    を含むことを特徴とする車両姿勢制御装置。
  2. 前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする請求項1に記載の車両姿勢制御装置。
  3. 前記基準のロール角は、空車時における前記車両のロール角であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両姿勢制御装置。
  4. 車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができる走行装置を制御するものであり、
    前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、予め定めたロール角以上となったときには、前記車両のロール角がそれまでのロール角よりも小さくなるように、前記ロール抑制モーメントを算出するモーメント算出部と、
    算出された前記ロール抑制モーメントから、前記左右の駆動輪の駆動力を算出する駆動力演算部と、
    を含むことを特徴とする車両姿勢制御装置。
  5. 前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする請求項4に記載の車両姿勢制御装置。
  6. 前記モーメント算出部は、
    前記車両の総質量に基づいて、前記ロール抑制モーメントを変更することを特徴とする請求項2、3、5のいずれか1項に記載の車両姿勢制御装置。
  7. 前記車両の総質量を得る手段の異常の有無を判定する異常判定部を備え、
    前記異常判定部が、前記車両の総質量を得る手段に異常があったと判定した場合には、前記モーメント演算部は、前記車両の総質量を、想定される最大の値とする請求項2、3、5、6のいずれか1項に記載の車両姿勢制御装置。
  8. さらに、前記車両の速度が所定の閾値以下、かつ前記車両の操舵角が所定の閾値以下である場合には、前記車両のロールを抑制する制御を中止する車両姿勢制御制限部を備えることを特徴とする請求項7に記載の車両姿勢制御装置。
  9. 前記モーメント演算部は、
    前記車両の前後方向における加速度、及び前記車両に対する要求駆動力に基づき、前記車両の総質量を推定することを特徴とする請求項2、3、5〜8のいずれか1項に記載の車両姿勢制御装置。
  10. 前記駆動力演算部は、
    前記車両の前後方向におけるロール剛性に基づき、前記車両が備える駆動輪の駆動力を決定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両姿勢制御装置。
  11. 車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができ、
    かつ、前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、前記ロール角よりも小さい基準のロール角となるように前記左右の駆動輪の駆動力を決定し、決定された駆動力で前記左右の駆動輪を駆動することを特徴とする走行装置。
  12. 前記左右の駆動輪のうち少なくとも一方の駆動反力によるロール抑制モーメントを与えることによって、前記車両の走行中におけるロール角を、前記基準のロール角となるようにすることを特徴とする請求項11に記載の走行装置。
  13. 前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする請求項12に記載の走行装置。
  14. 前記車両の走行中におけるロール角を前記基準のロール角とするように与えられる、前記ロール抑制モーメントに基づいて、前記左右の駆動輪の駆動力を決定することを特徴とする請求項13に記載の走行装置。
  15. 前記基準のロール角は、空車時における前記車両のロール角であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の走行装置。
  16. 車両が備える少なくとも一対の左右の駆動輪において、それぞれの前記左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができ、
    かつ、前記車両の走行中に発生するロールのロール角が、予め定めたロール角以上となったときには、前記車両のロール角がそれまでのロール角よりも小さくなるように前記左右の駆動輪の駆動力を決定し、決定された駆動力で前記左右の駆動輪を駆動することを特徴とする走行装置。
  17. 前記左右の駆動輪のうち少なくとも一方の駆動反力によるロール抑制モーメントを与えることによって、前記車両の走行中におけるロール角を、それまでのロール角よりも小さくなるようにすることを特徴とする請求項16に記載の走行装置。
  18. 前記ロール抑制モーメントは、前記車両の総質量と、前記車両の総質量に基づいて求める前記車両の重心高と、前記車両に作用する横方向加速度とから求めることを特徴とする請求項17に記載の走行装置。
  19. 前記車両の総質量に基づいて、前記駆動輪の駆動力を変更することを特徴とする請求項13〜15、18のいずれか1項に記載の走行装置。
  20. 前記車両の総質量を得る手段に異常が合った場合には、前記車両の総質量を、想定される最大の値とする請求項13〜15、18、19のいずれか1項に記載の走行装置。
  21. 前記車両の速度が所定の閾値以下、かつ前記車両の操舵角が所定の閾値以下である場合には、前記車両のロールを抑制する制御を中止することを特徴とする請求項20に記載の走行装置。
  22. 前記車両の前後方向における加速度、及び前記車両に対する要求駆動力に基づき、前記車両の総質量を推定することを特徴とする請求項13〜15、18〜21のいずれか1項に記載の走行装置。
  23. 前記車両の前後方向におけるロール剛性に基づき、前記車両が備える駆動輪の駆動力を決定することを特徴とする請求項11〜22のいずれか1項に記載の走行装置。
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