以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は本発明の実施形態に係る読取装置の一例である複合機1の外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、本複合機1は、下部に設けられたプリンタ2と、上部に設けられたスキャナ3と、スキャナ3の正面側に設けられた操作パネル4とを一体的に備えたMFP(Multi Function Peripheral、もしくはMulti Function Printer)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能を有する。
複合機1は、主に不図示のコンピュータと接続されて、該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録用紙(被記録媒体)に画像や文書を記録するものである。さらに、複合機1は、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録したり、メモリカード等の各種記憶媒体を装填して、該記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することが可能である。なお、言うまでもないが、本複合機1は、記録用紙だけに限らず、OHP用の透明フィルムシートや布などにも画像を記録することが可能である。
更には、本複合機1は、原稿の読み取りを実行し、読み取った原稿の画像データを指定の出力先装置へと出力するように構成されている。また、複合機1では、読み取った画像データは、順次、液晶表示部(LCD:Liquid Crystal Display)41に表示されるが、その表示速度が読取速度よりも遅い速度となるように、即ち、表示速度と読取速度とが非同期となるように構成されている。
また、本複合機1は、かかる原稿の読み取りにおいて、一時停止キー40B1(図2参照)が押下されると、LCD41に順次表示される画像データの表示を現在表示のまま一時停止し、その表示中の画像データを出力範囲として規定することができるようになっている。そして、更に、出力範囲として規定された画像データを動作中のモード(プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能)に応じた出力先の装置へと出力するように構成されている。言い換えれば、複合機1は、原稿の部分的な読み取りと出力とを実行することができるようになっている。
スキャナ3は、原稿の画像を読み取るための装置であり、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿読取台6に対して、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder、以下「ADF」という。)7を備えた原稿カバー8が、背面側の蝶番を介して開閉自在に取り付けられてなる。原稿カバー8の下方には、平面視で横方向に長く且つ所定高さの直方体に形成されると共に、原稿カバー8によって開閉可能に被覆される原稿読取台6が配設されている。尚、原稿カバー8は、平面視で原稿読取台6と略同じ形状に形成されており、スキャナ3は、原稿読取部6と原稿カバー8とが一体で、略直方体の形状をなしている。
原稿読取台6の上面にはプラテンガラスが配設されており、かかるプラテンガラスは、縦幅より横幅が長い平面視で横長の長方形に形成されて、原稿読取台6の上面に組み込まれている。また、平面視での縦幅はレターサイズ用紙の短辺に合う長さにされ、横幅はA4サイズ用紙の長辺に合う長さにされている。そのため、レターサイズ用紙もA4サイズ用紙も、両方とも画像読取ができるようになっている。
原稿読取台6の内部には、図示しない画像読取ユニットが内蔵されており、該画像読取ユニットの移動スペースや、画像読取ユニット或いはそれを支持する部材および駆動させる機構などを配設するスペースが確保されている。このため、原稿読取台6はプラテンガラスよりも大きく形成されている。
このように構成されたスキャナ3をFBSとして使用する場合は、原稿カバー8を開いてプラテンガラス上、即ち、原稿読取台6の上面に原稿を載置し、その後、原稿カバー8を閉じて当該原稿を固定する。そして、読取開始指令が入力されると、上記画像読取ユニットがプラテンガラスの裏面(上面とは反対側)に沿って走査される。これにより、FBSによる原稿の画像読取りが行われる。
上記画像読取ユニットは、複合機1の奥行き方向を主走査方向とするラインイメージセンサを備えたものであり、光源を発光させて原稿に光を照射し、原稿からの反射光をレンズにより光電変換素子に導き、光電変換素子が反射光強度に応じた電気信号を出力することによって画像を読み取る。ラインイメージセンサとしては、密着型のCIS(Contact Image Sensor)、或いは、縮小光学系のCCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)などを適用することができる。なお、画像読取ユニットやスキャナ3の内部構成の構成は本発明に直接関係がないので、ここでは詳細な説明は省略する。
ADF7は、原稿トレイ9から原稿排出トレイ10へ原稿搬送路を通じて原稿を搬送するものである。ADF7による原稿の搬送過程において、原稿が原稿読取台6上のプラテンガラス上の所定位置(読取位置)を通過すると、該読取位置の下方に待機する上記画像読取ユニットによって該原稿の画像が読み取られる。つまり、ADF7を用いて行われる原稿画像の読み取りは、FBSとは逆に、画像読取ユニットを定位置(読取位置)にセットしたまま原稿を移動させることによって行われる。このようなADF7による画像読み取りは、原稿カバー8が原稿読取台6に対して閉じられた状態で行われる。なお、本発明においてADF7は任意の構成である。したがって、ADF7の詳細な説明については省略する。
原稿トレイ9は、複数枚の原稿を収納可能に構成されている。また、原稿トレイ9は、セットされた原稿を装置内部に導入するADF7の動作時に、装置内部に原稿を案内するための1対のガイド9aを備えている。1対のガイド9aは、導入方向に対して直交する方向(複合機1の奥行き方向)にスライド可能に形成されており、導入する原稿の幅(短辺の長さ)に応じて両者の間隔は調整される。かかる1対のガイド9aの間には、原稿トレイ9にセットされた原稿によって被覆される原稿検出センサ30が設けられている。
原稿検出センサ30は、原稿の有無を検出するセンサであって、付勢部材によって上方に向かって付勢され原稿トレイ9において上方に突出すると共に上下方向に可動可能に形成された可動片30aと、可動片30aの下方に設けられた電気的接点とを備えている。1枚以上の原稿が原稿トレイ9にセットされると、原稿の重みによって可動片30aは下方側へ押下されて電気的接点がオンとなる(原稿検出センサ30オン)。一方、原稿が取り除かれると付勢部材の付勢力によって可動片30aは上方へ移動され電気的接点がオフとなる(原稿検出センサ30オフ)。故に、原稿検出センサ30のオンとオフとにより、原稿の有無が検出されることとなる。
また、原稿検出センサ30は、現在読取中の原稿(装置内に導入された原稿)の次の原稿(次原稿)を検出するためのものであり、可動片30は、フィードされて装置内に導入された原稿の後端には接触しない位置に設けられている。つまり、原稿トレイ9に原稿がセットされた初期状態においては、可動片30aは原稿によって押下されるので原稿検出センサ30はオンとなる(次原稿有りの検出)。そして、原稿の読取開始指令が入力されると、ADF7に設けられた非図示のピッキングローラ等の駆動系が動作され、原稿トレイ9に堆積された原稿の1枚が装置内の読取位置まで案内される。読取位置にセットされた原稿の後端は、可動片30aには接触しない位置まで移動されるので、次原稿が無ければ、可動片30aは上方へ移動し、原稿検出センサ30はオフとなる(次原稿無しの検出)。
プリンタ2は、スキャナ3で読み取られた画像データ或いは外部から入力された画像データに基づいて、選択的にインク滴を吐出することによって、記録用紙上に画像を記録する所謂インクジェット方式の画像記録装置(インクジェット記録装置)である。このプリンタ2は、上述したように、スキャナ3の下方に配設されている。スキャナ3とプリンタ2は、それらの背面が同一面となるように位置決めされているため、複合機1の背面は凸凹のない平坦形状となっている。なお、言うまでもないが、上記インクジェット方式はプリンタ2による画像記録方式の単なる一例であり、電子写真方式や熱転写方式などの種々の画像記録方式を採用することができるのはもちろんである。
複合機1の正面側、換言すれば、プリンタ2の正面側には開口5が形成されている。この開口5内に給紙トレイ14及び排紙トレイ15が設けられている。給紙トレイ14と排紙トレイ15は上下二段となるように配設されており、上段に排紙トレイ15が設けられ、その下方に給紙トレイ14が設けられている。給紙トレイ14は、長方形の記録用紙を平面視で縦向きに収容するものである。給紙トレイ14は、レターサイズ用紙とA4サイズ用紙の両方が使用できるように、横幅はレターサイズ用紙の短辺に合わせてあり、縦幅はA4サイズ用紙の長辺に合わせてある。
上述したように原稿読取台6は、横長の直方体に形成されており、スキャナ3の正面側は、原稿読取台6の正面側の端面と原稿カバー8の正面側の端面とにより面一に形成された端面18を備えている。プリンタ2の正面側の端面17は、スキャナ3の正面側の端面18から所定幅だけ正面側に突出しており、複合機1の外形は平面視で略正方形に形成されている。以下、このように正面側に突出したプリンタ2の正面側の端部を突出部16と称する。
上述したように、原稿読取台6はレターサイズの原稿を横向きに載置可能なサイズに形成され、給紙トレイ14は記録用紙を縦向きに載置可能なサイズに形成されているため、上記突出部16の突出幅は、A4サイズの長辺からレターサイズの短辺を差し引いた幅に概ね設定される。従って、突出部16の上方には、プリンタ2の横幅がスキャナ3の横幅に合わせて形成されていることもあって、横長の直方体の空きスペースが生まれる。なお、後段で詳述するが、本複合機1の操作パネル4は当該空きスペースに配設される。
プリンタ2には、給紙トレイ14の奥側から上方へ延びた後に正面側へU字状に湾曲して排紙トレイ15に連結される用紙搬送路が設けられている。給紙トレイ14に収容された記録紙は、その短辺を先頭にして用紙搬送路に送り出され、Uターン搬送されることによって用紙搬送路中に設けられた画像記録位置に案内される。そして、該画像記録位置で、上記インクジェット記録装置によって画像が記録用紙に記録される。画像記録後の記録用紙は排紙トレイ15に排出される。
複合機1の正面側には、操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、突出部16の上方の空きスペースに適合するよう、図1および図2に示す如く横長形状に形成されている。換言すれば、操作パネル4は、その縦幅が、スキャナ3の縦幅からプリンタ2の縦幅を減じた長さ(空きスペースの縦幅)に収まる寸法に形成されている。操作パネル4は、プリンタ2やスキャナ3を操作するためのものであり、各種操作キー40とLCD41とを具備する。
使用者は、操作パネル4を用いて、所望の指令を入力することができる。複合機1に所定の指令が入力されると、その入力された情報に基づいて該複合機1の動作が制御部20(図3参照)によって制御される。操作パネル4の具体的な構成については後段で詳述する。なお、複合機1は、操作パネル4から入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令に基づいて動作するようにシステム構成されている。
プリンタ2の上記開口5の上側には、接続パネル70が設けられている。この接続パネル70には、その左端側にUSB端子71が配設されている。USB端子71は、外部機器とUSB接続することにより該外部機器と本複合機1とを通信可能に接続するコネクタ端子である。また、接続パネル70の右端側にはスロット部72が配設されている。スロット部72はカード型メモリを装填可能な複数のカードスロットが設けられている。カードスロットにカード型メモリが装填され、該装填されたカード側メモリから画像データが後述の制御部20により読み出されると、その読み出された画像データや該画像データに関する情報が制御部20によってLCD41に表示される。或いは、選択された任意の画像がプリンタ2において記録用紙に記録される。
次に、複合機1の操作パネル4について詳細に説明する。
図2は、操作パネル4の構成を示す部分平面図である。図2に示すように、操作パネル4は、プリンタ2の突出部16の上方であって、スキャナ3の正面側に設けられている。この操作パネル4は、各種操作キー40とLCD41とを具備する。同図に示すように、LCD41は、平面視が横長矩形であり、その縦幅(縦寸法)が操作パネル4の奥行き寸法より若干小さいものの、該操作パネル4の奥行き寸法と略同寸法に形成されている。したがって、LCD41の奥側及び手前側には、操作パネル4に操作キー40を配置するためのスペースがない。換言すれば、LCD41は、操作パネル4に配置可能な最大の縦幅に大型化されている。このLCD41は、複合機1を使用状態に設置した場合において、操作者が容易に視認可能な位置に設けられるものであり、本実施形態では、複合機1の上面に配設されている。尚、LCD41は、必ずしも複合機の上面に設けられる必要はなく、操作者が操作パネル4を操作する際に視認可能な位置であれば、例えば、複合機1の正面側であっても良い。また、必ずしも操作パネル4に一体で設けられる必要はなく、着脱可能に構成されても良い。
LCD41は、図2に示すように、操作パネル4の幅方向の中央に配置されている。LCD41の幅寸法は、操作パネル4の幅寸法に比べると十分に小さい。したがって、LCD41の側方には、操作パネル4に操作キー40を配置するためのスペースが確保されている。LCD41を操作パネル4の中央に配置することにより、LCD41の左右両側に操作キー40を配置することができる。これにより、操作キー40の配置に対するLCD41の位置のバランスがよくなる。複合機1は、スキャナ3にて読み取った原稿の画像データを、このLCD41に出力し、操作者が読取状態を確認することができるように構成されている。
更に、LCD41は、複合機1の筐体の外表面側であって、操作キー40に近接して配設されている。このため、操作者は、読取動作を行うための作業(例えば読取装置への原稿のセットを行う作業)と、読み取った画像データの編集(範囲規定)作業とを、同じ場所(複合機1の設置場所)に留まって行うことができる。故に、読み取った画像データを読取装置からパーソナルコンピュータなどに出力し、そのパーソナルコンピュータにおいて出力範囲を規定する一般的な読取装置に比べて、装置間を行き来する操作者の手間や労力を軽減でき、効率的かつ省力的に原稿の読み取りを実現できる。また、LCD41と操作キー40とが近接して配設されることで、LCD41の表示を確認しながら操作キー40を操作する作業が行いやすくなる。
操作キー40は、LCD41の周囲に設けられた操作キー40A、操作パネル4の右端側に設けられた操作キー40B、操作パネル4の左端側に設けられた操作キー40Cの3つに大別される。操作キー40Aは、LCD41の周囲であって、左右の両側方にLCD41の側縁に沿って各々一列に配置されている。このように、LCD41の左右両側に操作キー40Aを配置することにより、LCD41の側方のスペースを有効利用できる。
LCD41の右方に設けられた操作キー40Aは、動作モード選択キー40A1〜40A3を備えている。動作モード選択キー40A1〜40A3は、複合機1の動作モードを指定するキーであり、FAX動作モード選択キー40A1、コピー動作モード選択キー40A2、スキャナ動作モード選択キー40A3で構成されている。複合機1は、通常状態では、ファクシミリデータを受信するファクシミリとして動作させるべく、ファクシミリモード(受信モード)が設定されている。動作モード選択キー40A1〜40A3による入力操作が実行されると、ファクシミリモード(受信モード)から、操作された動作モード選択キー40A1〜40A3に対応する動作モードに一時的に変更され、変更された動作モード(操作者に指定された動作モード)での各処理が実行される。
具体的には、FAX動作モード選択キー40A1は、ファクシミリモード(送信モード)での動作を要求するキーであり、このFAX動作モード選択キー40A1が押下されると、複合機1において、スキャナ3による原稿の読み取りと読み取った画像データの相手先ファクシミリへの送信とが実行可能となる。コピー動作モード選択キー40A2は、コピーモードでの動作を要求するキーであり、このコピー動作モード選択キー40A2が押下されると、複合機1において、スキャナ3による原稿の読み取りと読み取った画像データのプリンタ2への出力とが実行可能となる。スキャナ動作モード選択キー40A3は、スキャナモードでの動作を要求するキーであり、このスキャナ動作モード選択キー40A3が押下されると、複合機1において、スキャナ3による原稿の読み取りと読み取った画像データのPCへの出力とが実行可能となる。
つまり、かかる動作モード選択キー40A1〜40A3は、スキャナ3による読取動作を含む機能、即ち、ファクシミリ機能(画像データ送信)、コピー機能、スキャナ機能において、いずれを実行するかを指定するキーとなっている。
本実施形態の各処理において使用される各キーの役割について、本実施形態の概要と関連付けて説明する。
操作キー40Bは、一時停止キー40B1、確定キー40B2、戻しキー40B3,40B4を備えている。一時停止キー40B1は、LCD41における表示の進行を一時停止するための停止指令(所定の指定)を入力するキーである。操作者にて、一時停止キー40B1が押下されると、そのタイミングで表示動作の進行は停止状態となり、同じ表示が継続される。かかる状態において、表示中の画像データ、即ち、原稿の先端(読取開始端)から表示の後端(最後尾)までの画像データが、出力範囲として規定されることとなる。スキャナ3により読み取られた画像データは、順次LCD41に表示されるので、操作者は、LCD41を視認しつつ一時停止キー40B1を操作することにより、読取対象の1の原稿において、所望の出力範囲を規定することができる。
一般に、スキャナによる原稿の読み取りにはハード回路が用いられており、原稿の画像データを取得する処理は、高速化されている。従って、この読取速度に同期させて、読み取った画像データを読み取りとほぼ同時にLCD41に表示する従来の読取装置では、読み取った画像データがLCD41に表示されても、操作者は、読取動作が実行されたことを認識する程度の確認しかできなかった。つまり、従来の読取装置では、一般的な操作者が、読み取りに並行して表示される画像データの内容を視認して、例えば、読取原稿の順番間違いや、誤った原稿の読み取り等を把握することが困難であった。特に複数の原稿が連続して読み取られる場合には、瞬時に画面表示が切り替わってしまうため、操作者が読み取られた画像データの内容を確認することを、ますます困難としていた。
しかし、本複合機1は、LCD41への画像データの表示速度が読取速度に比べて遅い速度となるように設計されている。従って、LCD41に表示される画像データの視認性を向上させることができ、操作者に的確に、読み取られた原稿の内容を確認させることができる。
確定キー40B2は、出力範囲を確定するためのキーとなっており、また、戻しキー40B3,40B4は、出力範囲を変更するための操作キーである。一時停止キー40B1の入力操作により規定された出力範囲は、確定キー40B2が押下される前においては、この戻しキー40B3,40B4の操作によって、読み取った画像データの範囲内で変更することができる。
複合機1では、スキャナ3による原稿の読み取りは連続的に行われ、また、読み取った画像データのLCD41への表示についても連続的に行われる。このため、一時停止キー40B1の操作により規定される出力範囲は刻々と変化する。ここで、操作者が操作タイミングを誤ると、操作者にとって不本意な位置で出力範囲が確定されてしまい、操作者所望の出力範囲を規定することができないという事態が発生しかねない。そこで、複合機1には、一時停止キー40B1の入力操作に伴って規定された出力範囲を変更することができるように、戻しキー40B3,40B4が設けられている。このため、確定キー40B2が押下される前に、戻しキー40B3,40B4が操作されて出力範囲が変更された場合には、その変更された出力範囲が、実際に出力先装置に出力する範囲となり、また、戻しキー40B3,40B4未操作で確定キーが押下された場合には、一時停止キー40B1の押下に伴って規定された範囲そのままが出力範囲となる。
戻しキー40B3は、出力範囲を縮小するための操作キーである。複合機1では、主走査方向(複合機1の奥行き方向)にラインイメージセンサにて読み取られた1ラインのデータを1単位とし、ライン単位で出力範囲の変更が実行し得るようになっている。戻しキー40B3が1回押下されると、出力範囲の終端位置が現在位置から1ライン分、原稿先端(読取開始端)側へ移動される。
戻しキー40B4は、出力範囲を拡張するための操作キーである。戻しキー40B4が1回押下されると、その終端位置が現在位置から1ライン分、原稿下端側へ移動される。このため、操作者は、縮小した出力範囲を再び拡張したい場合には、この戻しキー40B4を操作することにより所望の位置まで、出力範囲を復元することができる。
尚、本複合機1では、原稿の読取速度は画像データの表示速度に比べて高速であるため、LCD41に表示されている範囲以上の画像データが既に読み取られている。このため、戻しキー40B4の操作により、縮小された出力範囲の復元(一時停止キー40B1の入力にて規定された出力範囲までの拡張)のみならず、一時停止キー40B1の入力にて規定された出力範囲を超えて、読み取られたデータ位置まで、出力範囲を拡張することができる。これによれば、出力範囲の拡大の微調整を行うことができ、出力範囲を規定する際の制約を小さくして使い勝手を向上させることができる。但し、最も出力範囲が拡張された場合であっても、出力範囲の一端は同じ頁の下端とされ、頁を跨いで(別の原稿まで)出力範囲を拡張することはできない。
かかる戻しキー40B3,40B4が操作されると、画像データの出力範囲が変更されることとなり、LCD41の画像データの表示は、変更された出力範囲に応じて更新される。従って、操作者は、LCD41を視認しつつ戻しキー40B3,40B4を操作することにより、画像データの出力範囲を所望の範囲に的確に修正することができる。
操作キー40Cは、「0」から「9」の数字を入力するための各数字キーを備えるテンキーで構成されている。
以下、図3のブロック図を参照しながら、上記複合機1の動作を制御する制御部20の概略構成について説明する。図3は、複合機1の電気的構成を示すブロック図である。制御部20は、プリンタ2、スキャナ3及び操作パネル4を含む複合機1の動作を統括的に制御するものである。制御部20は、図に示すように、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)21、そのCPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶した書き換え不能な不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)22、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM(Random Access Memory)23、書き換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)24を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、これらCPU21、ROM22、RAM23、EEPROM24は、バス25を介して相互に接続されている。またバス25は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)26に接続されている。図4及び図5に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラム22aの一部として、ROM33内に記憶されている。
CPU21は、ROM22に記憶される制御プログラム22aに基づいて、複合機1の各部を制御し、複合機1におけるFAX動作、コピー動作、スキャナ動作を実行する。
RAM23は、画像メモリ23a、表示用メモリ23b、ポインタメモリ23c、動作モードフラグ23d、遅延カウンタ23e、入力頁カウンタ23f、出力頁カウンタ23gを備えている。
画像メモリ23aは、スキャナ3にて読み取った原稿の画像データを記憶するメモリである。スキャナ3からは、1ライン毎にラインイメージセンサにて原稿が読み取られる毎に、逐次、読み取られた画像データ(ラインデータ)が出力され、その出力順に従って、この画像メモリ23aに画像データが記憶される。複数頁の原稿が読み取られた場合には、記憶された画像データは、頁単位で管理される。確定キー40B2のキー入力により1の頁における出力範囲が確定されると、その頁に属する画像データの内、確定された出力範囲外の画像データは、画像メモリ23aから消去される。これにより、規定された出力範囲の画像データのみが画像メモリ23aに保持される。
尚、本実施形態では、消去される画像データは、原稿の下端側としている。規定される出力範囲は、原稿の先端(読取開始端)を起点として原稿の下端方向へと展開される範囲であるからである。かかる出力範囲確定に伴う画像データの消去が行われると、その消去分、次頁以降の画像データは、画像メモリ23aの小さいアドレス側へとシフトされ、次頁の画像データは、先頁に連続して記憶される。
更に、出力範囲として規定された画像データも、指定された出力先装置へ出力されることを契機としてこの画像メモリ23aから消去される。
表示用メモリ23bは、LCD41に表示する画像データを記憶するメモリであり、
読み取られた原稿の頁数に対応する第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnの複数メモリで構成されている。つまり、読み取られた1頁目の原稿の画像データは、第1表示用メモリ23b1に書き込まれ、2頁目の原稿の画像データは、第2表示用メモリ23b2に書き込まれ、・・・、n頁目の原稿の画像データは、第n表示用メモリ23bnに書き込まれて記憶される。
スキャナ3からは、読み取られた画像データが逐次、画像メモリ23aに書き込まれ、画像メモリ23aに書き込まれた画像データは、この表示用メモリ23bに随時書き加えられる。いずれの表示用メモリ23bに画像データを書き込むかは、後述する入力頁カウンタ23fにて示される。表示用メモリ23bに書き込まれた画像データは、この表示用メモリ23bからLCDコントローラ28に出力され、LCD41へと表示される。尚、第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnの内、いずれの表示用メモリ23bから画像データを出力するかは、後述する出力頁カウンタ23gにて示される。
詳細は後に説明するが、出力頁カウンタ23gに指定された1の表示用メモリ23b(第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnのいずれか)に記憶される画像データは、最初の1ラインの画像データが書き込まれた際を除いて、遅延カウンタ23eによる計時が終了する毎に、CPU21により読み出されて、LCD41へと出力される。つまり、画像メモリ23aから書き込まれた画像データは、(最初の1ラインの画像データ書込時を除いて)各表示用メモリ23bから直ちに出力されるのではなく、遅延カウンタ23eによる計時が終了するまで、出力が待機される。そして、遅延カウンタ23eによる計時が終了する毎に、出力する画像データは1ライン分ずつ追加された態様で、LCD41へと出力される。このため、表示用メモリ23bに記憶される画像データは、1ライン分ずつ追加されて、順次、LCD41に表示されると共に、画像メモリ23aからの書込みに対し、遅延して出力される。即ち、画像データの表示(更新)速度は、遅延カウンタ23eの動作によって遅延される分、読取速度に比べ遅くなる。
また、出力範囲が規定された後に上記した戻しキー40B3,40B4が操作されると、その操作に応じて、表示用メモリ23bからLCD41に出力する画像データの範囲が変更される。尚、出力範囲が変更された場合、表示用メモリ23bから出力される画像データの範囲は変更されるが、その出力範囲の変更に応じて、表示用メモリ23bに記憶される画像データが変更されることはない。
ポインタメモリ23cは、LCD41に表示する画像データの終端を示すアドレスを記憶するメモリである。具体的には、このポインタメモリ23cには、LCD41に表示する終端の画像データの表示用メモリ23bにおける記憶位置(アドレス)が記憶されている。読み取った原稿画像は、頁毎でLCD41に表示されるようになっており、表示する頁に対応する第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnのいずれかにおいて、先頭の画像データから、ポインタメモリ23cが示すアドレスまでの画像データが、LCD41に表示する画像データとして指定される。尚、いずれの頁を表示するか、言い換えれば、第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnのいずれから画像データを読み出すかは、出力頁カウンタ23gによって示される。
最初の1ライン分の画像データが表示用メモリ23bに書き込まれると、その1ラインの画像データの最後のデータが記憶されたアドレス(最後のアドレス)が、このポインタメモリ23cに書き込まれる。その後、遅延カウンタ23eの計時が終了する毎に、ポインタメモリ23cに記憶される値に所定数nが加算される。所定数nは、1ライン分の画像データを記憶するための番地の数に対応しているので、所定数nが加算されることにより、1ラインずつ拡張された範囲がLCD41に表示する画像データの領域とされる。画像データをLCD41に表示する際に、CPU21によりこのポインタメモリ23cは参照され、そのアドレスで指定されるデータを終端として、指定された第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnから画像データが読み出される。これにより、スキャナ3により読み取られた画像データが、順次、LCD41に表示される。
本実施形態では、複合機1は、LCD41に表示中の画像データに基づいて画像データの出力範囲を規定するように構成されており、上記したように、一時停止キー40B1が操作されると、その時点で表示中の画像データを出力範囲として規定するものである。表示中の画像データの範囲は、ポインタメモリ23cに記憶される表示用メモリ23bのアドレスにてCPU21に認識されるので、このポインタメモリ23cに記憶されるアドレスに基づいて、1の頁における画像データの出力範囲が規定される。
また、複合機1は、一時停止キー40B1の入力により規定された出力範囲を、戻しキー40B3,40B4の操作で変更可能に構成されている。ここで、出力範囲の変更は、1ラインデータ毎に行われるので、1回の変更によって表示用メモリ23bから削除又は復元されるデータ領域は、1ライン単位、即ち、所定数のビットマップデータ単位である。いいかえれば、所定数のビットマップデータを記憶するアドレス単位n(所定数n)で、画像データの終端が移動する。このため、戻しキー40B3,40B4が操作されるとその操作に応じて、CPU21により、この所定数nがポインタメモリ23cに記憶されるアドレスに加減算されるようになっている。故に、一度規定された出力範囲がその後の操作によって変更されても、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスによって、表示用メモリ23bに記憶される画像データのいずれの範囲がLCD41に表示されているかが的確に示される。その結果、複合機1は、変更後の出力範囲の画像データを確実に出力することができる。
動作モードフラグ23dは、複合機1の動作モードを示すフラグである。言い換えれば、スキャナ3により読み取った画像データを出力する出力先装置を示すためのものであり、出力先装置に対応してFAXフラグ23d1、プリンタフラグ23d2、PCフラグ23d3の3つのフラグを備えている。
複合機1は、複数の機能、即ち、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能を有するものである。スキャナ3により画像データを読み取る処理は、ファクシミリ機能(画像データ送信時)、コピー機能、スキャナ機能に共通の動作であるため、いずれの機能を実行すべきかが示されていなければ、画像データの読み取り後、各機能に応じた処理を実行することができなくなってしまう。
このため、スキャナ3による画像データの読み取りが実行された場合に複合機1において実行する機能が、ファクシミリ機能(画像データの送信)、コピー機能、スキャナ機能のいずれであるかを示すべく、FAXフラグ23d1、プリンタフラグ23d2、PCフラグ23d3が動作モードフラグ23dとして、複合機1には設けられている。
各フラグ23d1〜23d3は、操作者の所定の入力操作に応じて、オンおよびオフされる。具体的には、操作パネル4から、FAX動作モード選択キー40A1が入力されると、操作者が本複合機1をファクシミリとして画像データを送信することを所望していると判断し、FAXフラグ23d1がオンされる一方、プリンタフラグ23d2とPCフラグ23d3とがオフされる。このFAXフラグ23d1のオンにより、複合機1に設定された動作モードがファクシミリモードであって、出力先装置がファクシミリであることが示される。
同様に、操作パネル4から、コピー動作モード選択キー40A2が入力されると、プリンタフラグ23d2がオンされる一方、FAXフラグ23d1とPCフラグ23d3とがオフされる。このプリンタフラグ23d2のオンにより、複合機1に設定された動作モードがコピーモードであり、出力先装置がプリンタ2であることが示される。また、操作パネル4から、スキャナ動作モード選択キー40A3が入力されると、PCフラグ23d3がオンされる一方、FAXフラグ23d1とプリンタフラグ23d2とがオフされる。このPCフラグ23d3のオンにより、複合機1に設定された動作モードがスキャナモードであり、出力先装置がPCであることが示される。
この動作モードフラグ23dは、後述する読取処理(図4参照)において、CPU21によって参照され、動作モードフラグ23dが示す動作モードに応じた機能が実現される。
尚、通常は、複合機1の動作モードは、ファクシミリ受信を実行するためのファクシミリモードとなっている。このため、オンされた動作モードフラグ23dに応じた処理が実行された後は、全ての動作モードフラグ23dはオフされ、ファクシミリを受信する受信モードとなる。また、ファクシミリモード(画像データの受信モード)に設定されている状態において、パラレルI/F29やUSB端子71、スロット72からの画像データの受信や入力があった場合には、複合機1の動作モードは、一時的に、プリンタとして本複合機1を動作させるプリンタモードとなる。
遅延カウンタ23eは、原稿画像の読み取りに対して遅延して画像データを表示させる時間(遅延時間)を計時するものである。1のラインの画像データが表示された後、この遅延カウンタ23eにて計時される遅延時間、次ラインの画像データの表示は待機される。この遅延カウンタ23eには、新たに1ラインの画像データがLCD41に表示されたタイミングで0がセットされる。そして、後述する表示編集処理において、この遅延カウンタ23eのカウント値は、遅延時間に相当する所定数(例えば100など)に到達するまで、1ずつ加算される。この遅延カウンタ23eのカウント値が所定数に達すると、CPU21により、所定時間が経過したと判断され、次のラインの画像データがLCD41に現出される。つまり、この遅延カウンタ23eのカウント値にて画像データの表示タイミングが制御され、画像データの書込に遅れて、画像データが、順次LCD41に表示されることとなる。
入力頁カウンタ23fは、表示用メモリ23bに画像データを書き込む際に、第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnのいずれのメモリに画像データを書き込むかを示すメモリである。言い換えれば、読取中の頁を示すカウンタである。入力頁カウンタ23fのカウント値は、それぞれ、第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnの各1に対応しており、具体的には、入力頁カウンタ23fのカウント値「1」により第1表示用メモリ23b1が示され、入力頁カウンタ23fのカウント値「2」により第2表示用メモリ23b2が示され、・・・入力頁カウンタ23fのカウント値「n」により第n表示用メモリ23bnが示される。
この入力頁カウンタ23fには、原稿の読取が開始されるタイミングで1がセットされる。そして、1頁の原稿読取終了後に次頁があることが検出されると、該カウント値に1加算される。これにより、新たな原稿が読み取られる毎に、入力頁カウンタ23fのカウント値は1ずつ更新(カウントアップ)される。尚、最終頁の読み取り終了後は、新たな読取動作が開始されるまで、最終頁に対応する値が保持される。このため、この入力カウンタ23fのカウント値によって、今回の一連の読取動作によって読み取った原稿の総頁数が示される。
CPU21は、画像メモリ23aから表示用メモリ23bへの画像データの書込に際し、この入力頁カウンタ23fのカウント値を参照し、そのカウント値の示すメモリへと画像データを書き込む。よって、第1表示用メモリ23b1には、1頁目の画像データが記憶され、第2表示用メモリ23b2には2頁目の画像データが記憶され、・・・、第n表示用メモリにはn頁目の画像データが記憶される。
出力頁カウンタ23gは、LCD41に表示する頁を指定するカウンタである。本複合機1は、複数頁の原稿の読み取りを連続的に実行し得るものであり、各頁それぞれの画像データを記憶する表示用メモリ23b(第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bn)が設けられている。出力頁カウンタ23gは、かかる第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnの内、いずれのメモリに記憶される画像データをLCD41に出力するかを指定するものである。
具体的には、この出力頁カウンタ23gのカウント値は、それぞれ、第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnの各1に対応しており、出力頁カウンタ23gのカウント値「1」により第1表示用メモリ23b1が示され、出力頁カウンタ23gのカウント値「2」により第2表示用メモリ23b2が示され、・・・出力頁カウンタ23gのカウント値「n」により第n表示用メモリ23bnが示される。第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bnは、それぞれ、1頁〜n頁の画像データを記憶するものであるので、出力頁カウンタ23gによって、LCD41に表示する頁が指定されることとなる。
この出力頁カウンタ23gには、表示編集処理が起動されるタイミングで、最初の頁を示す1がセットされる。そして、次頁の画像データ(少なくともその一部)が既に読み取られて表示用メモリ23bに記憶されていると、出力頁カウンタ23gにて示される表示用メモリ23bに記憶される全画像データがLCD41に表示された後に、出力頁カウンタ23gのカウント値に1加算され、次の表示用メモリ23bが示される。尚、表示は、読み取り(表示用メモリ23bへの画像データ書込み)に遅れて実行されるので、次頁が存在する場合には先の頁の表示終了時には、表示用メモリ23bには次頁の画像データは既に記憶されている。出力頁カウンタ23gは、LCD41に画像データを表示する際においてCPU21に参照され、この出力頁カウンタ23gのカウント値にて示される表示用メモリ23bから画像データが読み出される。
出力頁カウンタ23gにて指定された頁の画像データを表示することにより、複合機1は、LCD41の画面上に、1頁単位で画像データを表示することができる。複数頁を全て1画面で表示しようとすれば、1頁に対して割り付けられる表示領域が縮小されてしまい視認性を低下させる。その上、頁数に応じていちいち画面の割り付けを変更せねばならず、表示に対する制御が複雑になる。しかし、1頁毎に画像データを表示するので、複数頁を1度に表示するよりも、視認性容易な態様で画像データをLCD41に表示することができる上、表示の制御を簡便にすることができる。
尚、上記のポインタメモリ23c、入力頁カウンタ23f、出力頁カウンタ23gの値は、読取処理の開始に際して、いずれも0クリアされる。
ASIC26は、CPU21からの指令に従い、プリンタ2、スキャナ3、操作パネル4、及びスロット72の動作制御を行う。また、スキャナ3による読取動作の実行時においては、原稿検出センサ30からの検出値に応じて、駆動系のオンとオフとを実行する。プリンタ2、スキャナ3及びスロット72は、詳細な説明は省略するが、制御部20により、プリンタ2を駆動するモータやインクジェット記録ヘッド、スキャナ3のADF7を駆動するモータや画像読取ユニット等の動作が制御される。
また、ASIC26には、コンピュータとパラレルケーブル又はUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース29及びUSB端子71が接続されている。さらに、ASIC26には、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)31やモデム32が接続されている。モデム32は、画情報及び通信データを変調及び復調して伝送すると共に伝送制御用の各種手順信号を送受信するためのものであり、送信データを一時的に記憶する送信バッファ32aを備えている。ファクシミリ送信される画像データは、画像メモリ23aから1ライン分ずつこの送信バッファ32aに書き込まれ、この送信バッファ32aに一端記憶されてから、回線を介して接続される相手側ファクシミリ(出力先装置)へ送信される。
更に、ASIC26には、複合機1に所望の指令を入力する操作キー40を制御するパネルゲートアレイ27が接続されている。パネルゲートアレイ27は、操作キー40の押下を検出して、所定のコード信号を出力する。このキーコードは、複数の操作キー40に対応して割り当てられている。CPU21は、パネルゲートアレイ27から所定のキーコードを受信すると、所定のキー処理テーブルに従って、実行すべき制御処理を行う。キー処理テーブルは、キーコードと制御処理とを対応させてテーブル化したものであり、例えば、ROM22に記憶されている。
また、ASIC26には、LCD41の画面表示を制御するLCDコントローラ28が接続されている。LCDコントローラ28は、CPU21の指令に基づいて、LCD41にプリンタ2又はスキャナ3の動作に関する情報や、スキャナ3による読取画像或いは入力画像を画面に表示させる。LCD41に表示する画像データは、CPU21によってLCDコントローラ28に出力される。LCDコントローラ28は、内蔵するメモリに受信した画像データを記憶すると共に、一定周期で該内蔵メモリを走査して、当該内蔵メモリに記憶される画像データ(ビットマップデータ)に基づいて、LCD41に出力する各画素のRGB信号を生成している。従って、新たな画像データを受信する毎に内蔵メモリの内容が更新され、その更新された内容がLCD41の表示に反映される。つまり、既に表示された画像データ部分の表示は変わらないので、スキャナ3による画像の読み取りが進行するにつれて、新たな画像データがLCD41に現出され、読み取られた画像データが順次表示されることとなる。
LCD41は、RGB3原色それぞれに対応した、図示しないマトリクススイッチを備えている。このマトリクススイッチに電荷が加えられることによりマトリクススイッチの直下の液晶分子が光を透過する方向に揃うため、RGBのいずれかの色がLCD41に表示されることとなる。このマトリクススイッチ一つ一つが、RGBそれぞれの1ドット(1サブドット)に対応する。LCDコントローラ28で生成されるRGB信号は、RGB3原色にそれぞれ対応している。かかる生成されたRGB信号に応じてマトリクススイッチには電圧が印加され、LCD41にはCPU21が作成した情報(スキャナ3にて読み取った画像データを含む)に基づいた表示画面が表示されることになる。
LCDコントローラ28においては、表示用メモリ23bから新たに画像データを受信する毎に、内蔵メモリの内容が更新されることとなり、読み取られた画像データは順次(所定の単位量ずつ、本実施形態では1ライン分ずつ)LCD41に表示される。
尚、本実施形態では、表示用メモリ23bからLCDコントローラ28への画像データの出力は、遅延カウンタ23eの動作に応じて遅延されるので、読取速度とは非同期(低速)で、LCD41に読み取った画像データは表示される。つまり、画像メモリ23a(表示メモリ23b)に対して読み取られた1ラインの画像データが蓄積されるペース(速度)よりも表示メモリ23bから1ラインの画像データが読み出されて表示されるペース(速度)が遅くなるようにタイミングが制御される。
次に、図4から図6のフローチャートと、図7のメモリ動作の概要図とを参照して、上記のように構成された複合機1で実行される各処理を説明する。本複合機1は、図4に示す原稿を読み取るための読取処理と、図5に示す読み取った画像データを表示する表示編集処理とをマルチタスクによって時分割で実行するように構成されている。
図4は、複合機1で実行される読取処理を示したフローチャートである。読取処理は、所定時間毎にCPU21により定期的に読み出されて実行され、動作モード選択キー40A1〜40A3からの入力に応じて原稿画像の読み取りを実行する処理である。この読取処理では、まず、動作モード選択キー40A1〜40A3からの入力があったかを確認する(S1)。ここで動作モード選択キー40A1〜40A3からの入力がなければ(S1:No)、ファクシミリ送信、コピー、スキャナのいずれの機能の使用も要求されていないので、この読取処理を終了する。一方、動作モード選択キー40A1〜40A3からの入力があれば(S1:Yes)、ファクシミリ送信、コピー、スキャナのいずれかの実行要求であるので、入力された動作モード選択キー40A1〜40A3に応じて動作モードフラグの状態を更新する(S2)。
具体的には、入力されたキーがファクシミリ動作モード選択キー40A1であれば、FAXフラグ23d1をオンしてスキャナ3にて読み取られた画像データの出力先装置が相手先のファクシミリであることを示すと共に、ファクシミリモードを設定する。入力されたキーがコピー動作モード選択キー40A2であれば、プリンタフラグ23d2をオンしてスキャナ3にて読み取られた画像データの出力先装置がプリンタ2であることを示すと共に、コピーモードを設定する。入力されたキーがスキャナ動作モード選択キー40A3であれば、PCフラグ23d3をオンしてスキャナ3にて読み取られた画像データの出力先装置がPCであることを示すと共に、スキャナモードを設定する。尚、入力された動作モードキーに対応する動作フラグ以外の他の2の動作フラグは、このS2の処理においてオフされる。
その後、オンされた動作モードフラグ23dが何であるかを確認し(S3)、オンされた動作モードフラグ23dが、FAXフラグ23d1であれば(S3:FAXフラグ)、ファクシミリ動作(ファクシミリ送信動作)を実行するために必要な各種のパラメータの設定を行うFAXパラメータ設定処理を行う(S4)。尚、このFAXパラメータ設定処理にて設定されるパラメータとしては、相手先ファクシミリの電話番号や解像度などが例示される。
次に、入力頁カウンタ23fに1をセットすると共に(S5)、出力頁カウンタ23gに1をセットしてから(S6)、表示編集処理を起動する(S7)。表示編集処理(図5参照)は、読取処理によって読み取られた原稿の画像データのLCD41への表示すると共に、操作者による入力操作に基づいて画像データの出力範囲の規定を行う処理である。表示編集処理は、読取処理によって起動された後、CPU21により、読取処理とマルチタスクで実行される。
S7の処理によって表示編集処理を起動した後は、スキャナ3を駆動して原稿画像を1ライン分読み取る(S8)。そして、読み取った画像データを画像メモリ23aに書き込んでから(S9)、更に、画像メモリ23aに書き込んだ画像データを、入力頁カウンタ23fのカウント値にて示される表示用メモリ23bに書き込む(S10)。
本実施形態では、画像メモリ23aから表示用メモリ23bへの画像データの書込動作を遅延させるのではなく、表示用メモリ23bからLCD41への画像データの出力が、原稿の読み取りに対して遅延されるように構成されている。このため、画像メモリ23aから表示用メモリ23bへの画像データの書き込みは、遅延されることなく実行され、S8の処理によって、画像メモリ23aに書き込まれた画像データは、次いで実行されるS9の処理によって直ちに表示用メモリ23bに書き込まれる。尚、画像メモリ23aから表示用メモリ23bへの画像データの書き込みを遅延させることにより、原稿の読取速度よりも画像データの表示速度を遅くするように、複合機1を構成しても良い。
その後、スキャナ3の読取位置が原稿下端に到達したかを確認する(S11)。その結果、読取位置が原稿下端に到達していなければ(S11:No)、原稿画像の最後のラインまでの読み取りは未完了であって、読み取られていない原稿画像が残存しているので、その処理をS8の処理に移行して、スキャナ3による読み取りが原稿下端に達っするまで、繰り返してS8〜S11の処理を実行する。
また、S11の処理において、スキャナ3の読取位置が原稿下端に到達していれば(S11:Yes)、原稿画像の最後のラインまでスキャン3による画像データの読み取りは完了しているので、次頁(次原稿)があるか否かを、原稿検出センサ30の検出値に基づいて判断する(S12)。ここで、次頁が無いと判断された場合(S12:No)、全ての原稿の読み取りは終了であるので、この読取処理を終了する。尚、スキャナ3による原稿の読取をFBSにて実行している場合には、次原稿は存在しないので、1頁の原稿の読み取りが完了すると、読取処理は終了となる。
一方、S12の処理で確認した結果、次頁があると判断されると(S12:Yes)、入力頁カウンタ23fのカウント値に1加算して(S13)、次頁を指定する状態としてから、その処理をS8の処理に移行して、最終頁の原稿読取が完了するまで、繰り返してS8〜S12の処理を実行する。尚、ADF7を動作させて複数頁の読み取りが(連続して)実行されている場合には、次頁有りと判断されると、S8の処理に移行する前に、非図示のステップにより、読取済の原稿の原稿排出トレイ10への排出と、次原稿(次頁)の読取位置へのセットとが、複合機1の各部を動作させて実行される。
また、S3の処理で確認した結果、オンされた動作モードフラグ23dがプリンタフラグ23d2であれば(S3:プリンタフラグ)、要求された動作はコピーであるので、コピーを行うための各種パラメータを設定するコピーパラメータ設定処理を実行して(S14)、その処理をS5の処理に移行する。更に、S3の処理で確認した結果、オンされた動作モードフラグ23dがPCフラグ23d3であれば(S3:PCフラグ)、要求された動作は読み取った画像データをPCに出力するスキャナ動作であるので、かかるスキャナ動作を行うための各種パラメータを設定するPCスキャナ設定処理を実行して(S15)、その処理をS5の処理に移行する。
図5は、表示編集処理のフローチャートである。ここでは、ファクシミリ送信が選択された場合を例として説明する。表示編集処理は、読み取った画像データを読取速度よりも遅い速度でLCD41に表示すると共に、読み取った画像データの出力範囲をLCD41の表示画面上から決定する処理である。尚、出力先装置として、プリンタ2やPCが指定されている場合においても、この表示編集処理と同様の処理が実行され、FAX送信処理(S30)に代えて、出力先装置に応じた出力処理が実行される。
この表示編集処理では、まず、出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23b(第1表示用メモリ23b1から第n表示用メモリ23bnのいずれか)に、1ライン分の画像データが記憶されているかを確認する(S21)。尚、出力頁カウンタ23gの値は、読取処理が開始されることにより1にセットされているので、まず、第1表示用メモリ23b1、即ち1頁目の画像データが指定されることとなる。
本実施形態では、原稿の各ラインの画像データは、先の1ラインの表示から所定時間経過後にLCD41に表示される。1頁目の先頭ラインの画像データの表示は、遅延カウンタ23eによる所定時間のウェイトを行うことなく、実行される。このため、場合によっては、表示用メモリ23bへの先頭ラインの画像データが未完了であるという事態が生じかねない。本実施形態では、1ライン分の画像データを出力の最小単位としているので、このS21の処理によって、最小単位の出力データが、表示用画像メモリ23bに記憶されているかを確認する。
その結果、1ライン分の画像データが表示用メモリ23bに記憶されていなければ(S21:No)、1ライン分の画像データが、出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23bに記憶されるまで、S22以降の処理を待機する。一方、1ライン分の画像データが表示用メモリ23bに記憶されていれば(S21:Yes)、先頭の1ライン分の画像データの最後のデータが記憶されるアドレス(表示用メモリ23bのアドレス)をポインタメモリ23cに記憶する(S22)。
図7(a)には、左方に画像メモリ23a、右方に表示用メモリ23b、画像メモリ23aと表示用メモリ23bとの中間にポインタメモリ23c、ポインタメモリ23cの下方に出力頁カウンタ23fを模式的に表示している。この図7において、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bは、それぞれ0〜X番地のアドレスを有しており、同じ画像データは、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bとにおいて同じアドレスに保持される。尚、ここで説明する画像メモリ23a及び表示用メモリ23bのアドレスは、メモリの先頭をいずれも0番地として仮想的に付与されたアドレスである。このため、実際の画像データの読み出しや書込の際には、仮想的に付与された上記アドレスには、オフセット値が加算され、実際のRAM23における記憶位置を示す実アドレスに変換される。
また、説明を簡単にするために、図7においては、1ライン分の画像データは、100のアドレス領域に記憶されることとし、1の原稿の全画像データは2000のアドレス領域に記憶されるものとする。従って、原稿の全画像データが読み取られた場合には、1頁目の原稿の画像データは、画像メモリ23aの0番地から1999番地に、2頁目の原稿の画像データは、2000番地から3999番地に記憶される。図7において、各メモリ23a,23bの内、画像データが記憶された領域は斜線にて図示し、表示用メモリ23bにおいてLCD41に出力される領域は網掛け線にて図示している。
この図7(a)に示すように、読取処理により画像メモリ23aから表示用メモリ23bに書き込まれた画像データに対し、S22の処理においては、記憶された画像データの最終(最後)のアドレスが、ポインタメモリ23cに記憶される。
次いで、出力頁カウンタ23gのカウント値にて示される1の表示用メモリ23bに記憶される画像データの内、先頭アドレスからポインタメモリ23cに記憶されるアドレスまでの画像データを、LCD41に表示する(LCDコントローラ28に出力する)(S23)。従って、図7(a)に示すように、先頭の1ライン分の画像データがLCD41に表示される。
尚、表示用メモリ23bからLCDコントローラ28への画像データの出力は、必ずしも1ライン毎に限られるものではなく、予め定めた単位量、例えば、複数のラインの画像データ毎に行っても良い。
この出力頁カウンタ23gのカウント値に従って画像データを出力することにより、LCDコントローラ28に出力する1群の画像データを、頁単位とすることができる。LCDコントローラ28は、受信した画像データを内蔵するバッファに書き込むと共に、そのバッファに記憶される画像データにて、表示画面を形成してLCD41に表示する。これにより、表示画面の最前面に1の頁の表示画面が形成される。尚、次頁の表示が行われる場合には、先頁の画像データは、次頁の背面にて表示されている態様となり、実際には、LCD41には非表示とされる(図8参照)。
その後、遅延カウンタ23eの値を0にセットする(S24)。そして、一時停止キー40B1が押下(入力)されたかを確認し(S25)、一時停止キー40B1が未操作であれば(S25:No)、遅延カウンタ23eのカウント値に1加算してから(S26)、そのカウント値が100未満であるかを確認する(S27)。ここで、遅延カウンタ23eのカウント値が100未満であれば(S27:Yes)、所定の時間(遅延時間、即ち待機時間)は未だ経過していないので、その処理をS25の処理に移行して、一時停止キー40B1の入力または、遅延時間の経過(遅延カウンタ23eの値が100に到達)を待機する。
尚、表示編集処理と、上記した読取処理とはマルチタスクで実行されるため、遅延時間の経過を待機する間であっても、原稿読取に応じて画像メモリ23aに書き込まれた画像データは、順次、表示用メモリ23bに記憶される(図7(b))。
S27の処理において確認した結果、遅延カウンタ23eのカウント値が100以上であれば(S27:No)、ポインタメモリ23cのカウント値が、出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23bにおいて最終アドレスかを調べる(S28)。
ここで、ポインタメモリ23cのカウント値が最終アドレスであれば(S28:Yes)、1頁分の画像データの出力は終了していることとなるので、次頁があるかを確認する(S29)。また、次頁があるか否かの確認は、入力頁カウンタ23fのカウント値と出力頁カウンタ23gのカウント値とを比較して行う。つまり、出力頁カウンタ23gのカウント値が、入力頁カウンタ23fのカウント値よりも小さければ、読み取った原稿頁数に、出力した頁数が達していない。これにより、次頁があるか否かを判断することができる。なお、S29の処理における次頁の有無についての判断は、これに限られるものではなく、例えば、S28の処理で確認したポインタメモリ23cが指定するアドレス以降に、画像データが記憶されているか否かに基づいて次頁の有無を判断しても良い。
S29の処理で確認した結果、次頁がなければ(S29:No)、読み取った画像データを、指定された出力先装置であるファクシミリに送信するFAX送信処理を実行してから(S30)、この表示編集処理を終了し、次頁があれば(S29:Yes)、出力頁カウンタ23gのカウント値に1加算して(S32)、その処理をS21の処理に移行する。かかるS32の処理を経由してS21の処理に移行すると、LCD41の表示画面は、次頁の画像データが最前面に表示される態様となる。
一方、S28の処理で確認した結果、ポインタメモリ23cのカウント値が示すアドレスが、出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23bの最終アドレスでなければ(S28:No)、次ラインの画像データを出力するために、ポインタメモリ23cに記憶されるカウント値に所定数nを加算して(S31)、その処理をS23の処理に移行する。上記したように、所定数nは、1ライン分の画像データを記憶する番地の数に対応しているので、所定数nが加算されることにより、ポインタメモリ23cに記憶されるカウント値が、次の1ラインの画像データの最後のアドレスに書き換えられる。図7に示す例では、所定数nは100とされているので、遅延カウンタ23eによる計時終了後、ポインタメモリ23cのカウント値が、0099から0199に書き換えられている(図7(c))。
また、S25の処理で確認した結果、一時停止キー40B1が押下されていれば(S25:Yes)、LCD41における表示の進行を一時停止するための停止指令の入力である。停止指令の入力によりS25の処理でNoに分岐すると、LCD41の表示を更新するS23,S31へ移行するルートが回避される。故に、新たなラインの画像データはLCD41に表示されず、LCD41に出力中の画像データの表示画面が保持される(停止指令の入力を契機とする表示画面の進行の停止)。
そして、S33以降の処理を行うことにより、この停止指令が入力されたタイミングでLCD41に表示されている画像データが、1の原稿の内の出力する画像データの範囲(出力範囲)として規定される。
これによれば、原稿の画像データの内、必要な範囲が選択されて出力先装置に出力されるので、必要性の高いデータが否であるデータと混在した状態で出力されることを回避できる上、印刷を行う場合において、記録用紙等を節約することができる。
図7(d)には、1頁目の原稿の表示中に一時停止キー40B1が押下された状態を例示している。図7(d)においては、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bには2頁目の原稿の途中までの画像データが記憶されているが、LCD41に表示中の画像データは、1頁目、即ち、第1表示用メモリ23b1の先頭から1699番地に記憶された画像データまでであることが示されている。このため、ポインタメモリ23cには、表示されている最後尾の画像データのアドレスである1699番地が記憶されている。
このように、一時停止キー40B1の押下により、S25の処理においてNoに分岐した場合には、戻しキー40B3,40B4が操作されたかを確認する(S33)。そして、戻しキー40B3,40B4の入力があれば(S33:Yes)、一時停止キー40B1のキー入力によって規定された出力範囲に対する変更要求である。このため、そのキー入力による出力範囲の変更方向が、戻しキー40B3操作による出力範囲を縮小させる戻し方向であるか、戻しキー40B4操作による出力範囲を拡張させる復帰方向であるかを確認する(S34)。
確認の結果、変更方向が戻し方向であると(S34:戻し方向)、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスから所定数nを減算する(S35)。図7の例においては、図7(e)に、戻しキー40B3が4回操作されることにより、ポインタメモリ23cに記憶される表示の最後尾の画像データに対応する表示用メモリ23bのアドレスが、図7(d)の状態から4ライン分(所定数n(100)×4)先頭側にシフトされており、表示する画像データの領域が、0番地から1299番地までの範囲となった状態が示されている。
一方、S34の処理で確認した結果、変更方向が復帰方向であると(S34:復帰方向)、ポインタメモリ23cに記憶されているアドレスに所定数nを加算する(S36)。戻しキー40B4のキー入力は、現在の出力範囲から1ライン分画像データが付加された出力範囲への変更要求である。図7(f)の場合では、表示用メモリ23bにおいて表示する画像データの最後尾のアドレスが1299番地であった図7(e)の状態、即ち、ポインタメモリ23cに1299番地が記憶されていた状態において、戻しキー40B4が2回押下され、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスに所定数nとしての100が2回加算され、記憶されるアドレスが1499番地に更新されている。これにより、第1表示用メモリ23b1において0〜1499番地までの画像データがLCD41に表示する範囲に設定された状態となっている。
つまり、一度、縮小した出力範囲を再度拡張(復帰)させることができる。また、出力頁カウンタ23gにて示される表示用メモリ23bに記憶されている画像データの範囲内であれば、一時停止キー40B1を押下したタイミングで表示されていた画像データの範囲を超えて、表示範囲(出力範囲)を拡張することができる。
S35又はS36の処理の後は、その処理をS37の処理に移行し、出力頁カウンタ23gのカウント値にて指定される表示用メモリ23bにおいて、先頭アドレスからポインタメモリ23cに記憶されるアドレスまでの画像データをLCD41に出力し(S37)、LCD41の表示を更新する。本実施形態では、LCD41に表示されている画像データの範囲が、指定された出力先装置への出力データ(出力範囲)となるため、変更された表示範囲に応じて、LCD41の表示を更新することにより、出力範囲の変更を操作者に認識させることができる。
尚、S36の処理において、画像データ読み出し元の1の表示用メモリ23bにおいて画像データが記憶されている範囲を超えて、アドレスが指定された(ポインタメモリ23cに記憶される値が更新された)場合には、S37の処理において読み出す画像データがないので、記憶されている画像データの最後尾までが表示範囲となってLCD41に出力される。また、S37の処理では、出力頁カウンタ23gの指定する表示用メモリの領域内で画像データを読み出すので、戻しキー40B3,40B4の操作によって画像データ読み出し元の1の表示用メモリ23bの範囲を超えて表示範囲の変更が要求されても、表示中の頁の前後頁の画像データが表示されることはない。
例えば、1頁目の表示状態において、ポインタメモリ23cに記憶される値が、第1表示メモリ23bの記憶領域を超えるアドレスに更新された場合には、該頁の最後尾の画像データまでがLCD41には表示される。
その後、確定キー40B2が押下されたかを確認し(S38)、押下されていると(S38:Yes)、表示用メモリ23b及び画像メモリ23aにおいて、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレス以降に記憶されている画像データを消去する(S39)。確定キー40B2がキー入力された場合には、出力範囲が確定されたこととなるので、画像メモリ23aおよび表示用メモリ23bにおいて、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレス以降に記憶される画像データは不要のデータ(出力範囲外)となる。例えば、図7(g)において示すように、1頁目の画像データについては、0番地から1499番地までの画像データを表示範囲即ち出力範囲とする場合、1500番地から1999番地に記憶される画像データは不要となるので、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bから消去される。
尚、一時停止キー40B1が押下された後に、戻しキー40B3,40B4が操作されることなく、確定キー40B2が入力された場合には、破線にて囲み表示した図7(g’)のように、一時停止キー40B1にて規定された出力範囲が、そのまま確定された出力範囲となる。言い換えれば、図7(d)に示した一時停止キー40B1にて規定された出力範囲で、画像データは出力先装置に出力される。
そして、S39の処理の後はS29の処理に移行する。一方、S33の処理で確認した結果、戻しキー40B3,40B4の入力がなければ(S33:No)、その処理をS38の処理に移行する。また、S38の処理で確認した結果、確定キー40B2が押下(入力)されていなければ(S38:No)、その処理をS33の処理に移行し、戻しキー40B3,40B4または確定キー40B2の入力を待機する。即ち、一時停止キー40B1の押下により画像データの表示の進行を停止させた場合には、その一時停止キー40B1のキー入力によって静止表示となった画面上の画像データが出力範囲が規定されるが、確定キー40B2が押下されなければその原稿の出力範囲は確定されず、規定された出力範囲は、確定キー40B2が入力されるまでの期間において、戻しキー40B3,40B4の操作によって変更することができるようになっている。一時停止キー40B1の入力による出力範囲の規定が出力範囲を規定する唯一の処理であると、所望の出力範囲を規定するための操作子の操作に厳格な操作(タイミング)が要求されることとなり、装置の使い勝手が悪化する。従って、複合機1では、一時停止キー40B1による出力範囲の規定は暫定的なものとし、その規定された出力範囲を変更可能としている。
尚、本実施形態においては、次原稿が存在すると、次原稿から読み取った画像データは、画像メモリ23aおよび表示用メモリ23bにおいて、先の原稿の画像データの終端に連続して記憶される。つまり、S39の処理により、先の原稿について読み取った画像データの一部が消去された場合には、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bに記憶される画像データはシフトされる(図7(h)参照)。
図7(h)の例では、原稿下端まで読み取りが遂行された場合には、1頁目の画像データは1999番地まで記憶されるが、出力範囲が縮小されて、実際には、1499番地までしかデータは記憶されていない。かかる場合に、本実施形態では、次原稿(2頁目)の画像データを2000番地から記憶するのではなく、1500番地から記憶することとしている。
ここで、1頁目の原稿において出力範囲に規定されなかった部分を余白とし、余白データを1頁目の原稿に対して確保された残りのメモリ領域(図7(h)の例においては、1500番地から1999番地)に記憶させることもできる。つまり、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bに記憶させるデータを、画像データ+余白データのデータ構造とすることもできる。しかし、本実施形態では、表示編集処理の非図示のステップにおいて、データシフトを行い、先の原稿の画像データに連続して次原稿の画像データを記憶するようになっている。このため、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bを効率的に使用することができる。
また、上記したように、この表示編集処理では、読み取り原稿が最終原稿である(次頁なし)と判断されると、画像データを出力先装置へ出力する処理が実行される。このため、操作者は、出力実行を指令するための操作をわざわざ行う必要がない。しかも、かかる次原稿有無の判断を行うステップ(S28)は、出力範囲を規定するステップおよび変更するステップの後に設けられているので、操作者所望の出力範囲が確定した後において画像データは出力されることとなり、的確なタイミングで画像データは出力される。
更に、表示編集処理では、S25の処理からS27の処理によって、遅延カウンタ23eによる計時が終了するまで、次ラインの画像データの表示が遅延(待機)される。一方で、原稿読取は、かかる遅延とは無関係に順次進行するため、読取速度よりも遅い速度で、読み取った画像データをLCD41に表示することができる。つまり、ある1ラインの読み取り画像データに着目した場合、その1ラインの画像データは読み取りと連動してLCD41に表示されるのではなく、遅れたタイミングで表示されることになる。従って、原稿の読み取りが行われ、画像メモリ23aに蓄積済みのデータ量と、LCD41に表示済みのデータ量とでは、格差が生じることになる。
従来の読取装置においても原稿読取に並行して読み取った画像データを表示する構成を備えているが、画像データの表示は、スキャナによる原稿の読み取りと同期して実行されるようになっている。ここでスキャナによる原稿読取は高速化されているため、画像データの表示も高速化されてしまい、LCDに順次表示される画像データを操作者が視認することは困難となっていた。しかし、本複合機1では、表示編集処理において、遅延カウンタ23eによる計時の実行中は、次ラインの画像データの表示が待機されるので、読取速度(原稿上の読み取られるラインが切り替わるペース)よりも低速で読み取った画像データを1ラインずつ増加させながらLCD41に表示することができる。従って、LCD41上では、画像がゆっくりとしたペースで順次増加するように表示されるので、画像の視認性を向上させることができるのである。
尚、本実施形態では、ラスタ走査で読み取られた原稿の画像データが画像メモリ23a及び表示用メモリ23bに順次記憶されるが、LCD41への画像データの表示に際しては、LCD41の表示画面上の配置に応じて座標変換が行われ、図8に示すように、読み取った原稿の画像データは、読取方向がLCD41の表示画面の横方向に沿った方向となるように表示される。
図6は、図5の表示編集処理の中で実行されるFAX送信処理(S30)のフローチャートである。尚、FAX送信処理(S30)の実行に先立って、ファクシミリ送信に必要な各処理(例えば、回線の閉結処理)は、予め実行される。
このFAX送信処理(S30)では、まず、画像メモリ23aに記憶される1ライン分の画像データをモデム32に出力する(S41)。モデム32においては入力された画像データが、その内部の送信バッファ32aに記憶される。次に、送信バッファ32aに記憶された画像データをファクシミリ送信(回線へ出力)する(S42)。そして、回線へ出力した画像データを送信バッファ32aと画像メモリ23aとから消去し(S43)、画像メモリ23aに、未だ画像データが記憶されているかを確認する(S44)。確認の結果、画像メモリ23aに記憶されている画像データがなければ(S44:No)、画像データのファクシミリ送信は完了しているので、このFAX処理(S30)を終了する。
また、S44の処理で確認した結果、画像メモリ23aに記憶されている画像データがあれば(S44:Yes)、引き続きファクシミリ送信を行うべく、その処理をS41の処理に移行する。
尚、S43の処理によって、画像データが回線へ出力される(ファクシミリ送信される)ことを契機として、送信バッファ32aから画像データを消去しているので、送信バッファ32aがバッファフルとなって画像データの書込に支障を来すといったことがない。
図8は、上記の表示編集処理が実行された場合にLCD41に表示される表示画面例を示した図である。この図8においては、A4サイズの原稿を用いて読み取りが行われた場合を例示している。
表示画面内には、読み取り原稿の原稿サイズにて規定される枠(図8の例では、A4サイズに対応する枠)が表示されており、その枠内に、表示用メモリ23bから読み出された画像データが、表示される。
また、表示用メモリ23bに記憶される画像データに対し設定される表示範囲は、1ラインずつ変更(拡張)されるので、LCD41には、表示範囲の変更毎に順次更新された画像(1ラインずつ表示範囲が拡大された画像)が表示される。
図8においてLCD41の縦方向に原稿の幅方向(複合機1の奥行き方向)が、LCD41の横方向に原稿の搬送方向が対応しており、枠の左端を原稿上端として、順次、右側方向に読み取られた画像データが表示される。また、図8に示すように、本実施形態では、1頁単位で画像データを表示するように構成されており、表示対象の頁の画像データが画面上において最前面の枠に表示され、先の頁の画像データは、背面側に重ねて表示される態様、即ち非表示になっている。
ここで、読取原稿にはアルファベットが「ABCD・・・」と記録されており、LCD41において最前面の枠内には、読み取られた原稿の画像データ「ABCD・・・」の文字が現出されている。このLCD41の最前面に表示されている画像データがその頁における画像データの出力範囲とされる。また、本実施形態においては、このLCD41に現出された画像データ(背面側の枠内の画像データも含む)が出力先装置に出力される画像データの出力範囲とされる。
また、各頁の表示は、一時停止キー40B1、戻しキー40B3,40B4の操作によって、読み取った原稿画像の一部となるように変更することができる。つまり、表示されている範囲が出力範囲となるので、かかる一時停止キー40B1、戻しキー40B3,40B4の操作によって、出力範囲は、読み取った原稿画像の一部に規定されるのである。出力先装置には、枠内に表示される一連の画像データが、1の原稿(1頁)の画像データとして送信(出力)される。
尚、LCD41に表示される画像データの表示態様は、上記したものに限られるものではない。例えば、スクロール形式で全頁の画像データを表示しても良く、同一画面上に複数頁を表示し(マルチ表示)、画面上から1の頁が指定されることによりその指定頁を拡大表示するなど、各種の表示態様を適宜用いることができる。また、複数の表示態様を、操作者の選択によって切り換えて表示するように構成しても良い。
図8(a)には、一時停止キー40B1の入力により、表示の進行が停止された状態を示している。具体的には、LCD41に表示されれいる最前面の枠において、枠の左端から中央付近の停止位置までは、「ABCD・・・」のアルファベットが表示される一方、中央付近(読取停止位置)から右方(2点鎖線で囲まれた範囲)には、画像データは現出されていない。
上記したように、LCD41には、スキャナ3にて読み取られた画像データが、その読取方向に沿って、順次表示される。このため、操作者は、LCD41の表示を視認して、、所望の位置までの表示が終了すると、そのタイミングで一時停止キー40B1を押下して表示の進行を停止させることができる。言い換えれば、一時停止キー40B1が押下されたタイミングでLCD41に表示されている画像データが、読み取った原稿の出力範囲として規定されることとなる。その後、確定キー40B2、戻しキー40B3,40B4の入力があるまで、一時停止キー40B入力までに読み取られた画像データが、継続してLCD41に表示される。
図8(b)は、一時停止キー40B1の入力後において、戻しキー40B3の入力により、出力範囲が縮小される様子を示した図である。戻しキー40B3が1回入力される毎に1ライン分ずつ画像データの表示が消失し(表示編集処理、S35,S37の処理に対応する表示)、出力範囲の変更が操作者に報知される。
図8(c)は、戻しキー40B3の入力により縮小された出力範囲が、戻しキー40B4の入力により復帰(拡張)される様子を示した図である。戻しキー40B4が1回入力される毎に1ライン分ずつ画像データの表示が現出し(表示編集処理、S36,S37の処理に対応する表示)、出力範囲の変更(復元)が操作者に報知される。このため、操作者は、一時停止キー40B1の入力にて規定した出力範囲を、容易に変更することができ、また、その変更された範囲を的確に把握することができる。
このように、本実施形態では、読み取った画像データの一部分を抽出して出力先装置に出力する画像データの出力範囲とすることができる。また、順次表示される画像データが、所望の範囲となったタイミングで、一時停止キー40B1を操作するだけで、かかる出力範囲を規定することができる。その上、画像データのLCD41への表示は、読取速度に比べて低速で行われるので、LCD41に動的に表示される画像データの視認性を向上させることができる。従って、LCD41に表示される画像データに対し、その範囲が出力を所望する範囲となったことを操作者は的確に判断でき、正確に出力範囲をきていすることができる。
次に、図9を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態の複合機1は、表示対象頁の画像データを、その頁全体を1画面で現出させる態様でLCD41に表示するように構成された。これに代えて、第2実施形態の複合機1は、LCD41の1画面に1度に表示される表示領域は頁の一部分とされ、その表示領域を頁に対する読取方向に沿って順次移動させるスクロールによって、読み取った原稿の画像データをLCD41に表示するように構成されている。尚、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図9は、スクロール表示される画像データの表示画面例を示した図である。原稿の幅方向(複合機1の奥行き方向)がLCD41の横方向に沿って表示され、原稿の搬送方向(読取方向)がLCD41の縦方向に沿って表示されている。図9においては、原稿はA4サイズであって、LCD41よりも大きいものである。LCD41には、この原稿の一部が表示されている。
図9(a)においては、読み取り(画像データ表示)の初期段階であって、原稿先端部分近傍の画像データが表示されている。その後、図9(b)に示すように、表示の進行に伴って、原稿の下方側へと表示領域は移動され、表示画面が更新されている。
このため、第2実施形態では、第1実施形態の表示編集処理のS23の処理において、表示用メモリ23bから読み出す画像データの範囲を、先頭アドレスからではなく、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスよりも所定数小さいアドレスからとする。これにより、画像データの表示開始端の位置は、表示最後尾の画像データに連動する変数となり、表示後端から上流側の所定範囲までが、LCD41に順次表示(スクロール表示)される。
このように、LCD41における画像データの表示をスクロール表示とすることにより、原稿全体を1画面に表示する場合に比べて、原稿の各部分を拡大して表示することができる。その結果、LCD41に表示される画像データに対する操作者の視認性を向上させることができる。
次に図10を参照して、第3実施形態について説明する。上記第1実施形態では、複合機1は、表示編集処理によって、読み取った原稿順に表示データを順次LCD41に表示するように構成された。これに代えて、第3実施形態では、複合機1は、操作者にて頁を指定する指定操作が行われると、指定された頁の画像データをLCD41に表示するように表示編集処理が構成されている。つまり、第3実施形態では、操作者が所望する頁、即ち、出力範囲の規定が必要な頁を、操作者の指定操作に応じて直ちにLCD41に表示するようになっている。また、第3実施形態の複合機1は、第1実施形態の複合機1の構成に加えて、出力範囲を規定する操作が完了したことをCPU21に報知する範囲指定終了ボタン(図示省略)を備えている。尚、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
範囲指定終了ボタンは、操作者にて操作(押下)されるボタンであり、出力範囲を規定する操作が完了したことをCPU21に報知するためのものである。この範囲指定終了ボタンが、操作者により押下されると、CPU21は、出力範囲を規定する操作者の操作が完了したと判断し、読み取った画像データの出力動作を実行する。
出力範囲を規定する操作は、操作者が任意に行う操作である。従って、必ずしも全ての頁に対して表示を行い出力範囲を規定する操作が行われるとは限られない。更には、第3実施形態の複合機1は、操作者による頁指定(テンキーよる数字入力)が行われると、その指定頁をLCD41に表示するので、操作者は、出力範囲を規定する操作を、読み取られた頁順ではなくランダムに選択した頁順に実行し得る。このため、複合機1においては、指定操作が何回行われるか、言い換えれば、複合機1においては、出力範囲を規定する操作が完了たかは、最終頁に対する操作が行われた場合を除いて、未知となる。
そこで、第3実施形態では、操作者によってなされる出力範囲を規定する操作が完了したことをCPU21に報知するために、この範囲指定終了ボタンが設けられている。このため、CPU21は、この範囲指定終了ボタンの入力により、読み取った頁に対してなされるべき(操作者が所望する)出力範囲の規定が完了したことを、的確に把握することができる。
この範囲指定終了ボタンが押下されたか否かは、1の頁の表示終了後の所定期間において判断され、その所定期間において、範囲指定終了ボタンの押下が検出されると、CPU21は、スキャナ3により読み取った画像データの出力動作を開始する。尚、第3実施形態においては、かかる所定期間においてのみ範囲指定終了ボタンの押下を検出するように複合機1を構成したが、これに代えて、範囲指定終了ボタンの状態を常時監視するように複合機1を構成すると共に、その範囲指定終了ボタンの押下が検出されたタイミングで、読み取った画像データの出力動作を開始するようにしても良い。
また、LCD41に表示する頁は、出力頁カウンタ23gの値にて指示されるが、第3実施形態においては、操作者によるテンキー入力により表示する頁を指定するので、出力頁カウンタ23gの値は、テンキーからの入力値によって変更される。
図10は、第3実施形態で実行される表示編集処理のフローチャートである。この第3実施形態の表示編集処理も第1実施形態と同様に、図4に示す読取処理とマルチタスクで実行され、まず、出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23bの先頭アドレスを算出する(S51)。表示用メモリ23bには、頁毎に画像データが書き込まれるが、出力範囲を規定する操作が行われると、非出力範囲となった部分の画像データが消去され、その分、次頁に記憶される画像データは繰り上げて記憶される。言い換えれば、記憶される画像データ量によって、第2表示用メモリ23b2以降の先頭アドレスが変更される。このため、S51の処理において出力頁カウンタ23gにて指定された表示用メモリ23b(第1表示用メモリ23b1〜第n表示用メモリ23bn)の先頭アドレスの算出を行う。尚、表示編集処理は、読取処理におけるスキャナ駆動前であって出力頁カウンタ23gの値を1にセットした後に起動されるので、表示編集処理が起動された直後に実行されるS51の処理においては、参照される出力頁カウンタ23gの値は1となっている。従って、1頁目の画像データがまず、LCD41に出力される。
そして、S51の処理で算出したアドレスに基づき1ライン分の画像データの最後のデータが記憶されるアドレスをポインタメモリ23cに書き込んだ後(S52)、出力頁カウンタ23gのカウント値が示す表示用メモリ23bにおいてポインタメモリ23cが示すアドレスに画像データが記憶されているかを確認して(S53)、記憶されていなければ(S53:No)、読み取られた画像データの1ラインが書き込まれるまでS23以降の処理を待機し、一方、表示用メモリ23bにおいてポインタメモリ23cが示すアドレスに画像データが記憶されていれば(S53:Yes)、その後、第1実施形態と同様に、表示用メモリ23bに記憶される画像データを、その頁の最終ラインに到達するまで、遅延カウンタ23eのカウント値が所定値(本実施形態では「100」)に達する毎に1ラインずつ表示する(S23〜S28,S31)。
また、画像データの表示中に、一時停止キー40B1が入力されると、そのタイミングでLCD41に表示されている画像データを出力範囲として規定する。その後、戻しキー40B3,40B4がキー入力された場合には、規定された出力範囲を戻しキー40B3,40B4の入力操作に応じて変更し、確定キー40B2が入力されることにより、一時停止キー40B1の入力によって規定された出力範囲を(戻しキー40B3,40B4が操作された場合には、変更された範囲を出力範囲として)確定する(S33〜39)。LCD41における画像データの表示が最終ラインに到達した後、または、確定キー40B2が押下された後は、次頁の有無を確認し(S29)、次頁がなければ(S29:No)、画像メモリ23aに記憶される画像データをファクシミリ送信するFAX送信処理(S30)を実行して、この表示編集処理を終了する。
第3実施形態の表示編集処理では、1頁目の表示が完了した後、或いは、1頁目の出力範囲が規定された(確定された)後において、LCD41に表示する2頁目以降の頁を、操作者のテンキー入力操作によって指定し得るように構成されている。これは、読み取り処理は表示処理よりも高速度で先行して進んでいるため、原稿1頁目の低速度による表示が行われている間に、画像メモリ23a(表示用メモリ23b)には、次頁以降の複数頁の画像データが順次記憶されることになる。従って、操作者による次頁以降の頁指定が可能となるのである。S29の処理において、次頁が有りと判断されると(S29:Yes)、ウェイト処理を実行してから(S54)、範囲指定終了ボタンが押下されたかを確認する(S55)。
ここで、範囲指定終了ボタンが押下されていた場合(S55:Yes)、他の頁に対する出力範囲の規定は行われないこと、即ち、本読み取りに対する出力範囲を規定する処理は完了したことが示されている。従って、その処理をFAX送信処理(S30)に移行して、画像メモリ23a内の画像データのファクシミリ送信を実行する。
一方、S55の処理で確認した結果、範囲指定終了ボタンの押下がなければ(S55:No)、テンキー入力がなされたかを確認する(S56)。そして、テンキー入力がなされていた場合(S56:Yes)、テンキーにより入力された数字(入力値)は、操作者が指定した頁として認識され、その入力値が入力頁カウンタ23fの値以下であるかを確認する(S57)。入力頁カウンタ23fは、第1実施形態において説明したように、読取頁をカウントアップするカウンタであるので、そのカウント値により、読取中の頁が示されると共に、現在までに読み取った頁数が示されることとなる。例えば、入力頁カウンタ23fのカウント値が「2」であれば、現在読取中の頁が2頁目であるか、或いは読み取った頁の総数が2頁であることを示している。かかる場合には、LCD41に表示可能な頁は2頁目の読取が完了している部分までとなる。故に、テンキーによる入力値を入力頁カウンタ23fのカウント値と比較することにより、操作者が指定した頁が現在までに読取りが実行されている頁であって表示可能なものであるか否かを判断することができる。尚、指定可能な頁を操作者に認識させるために、入力頁カウンタ23fの値は、非図示のステップにより、LCD41に表示され、読み取られた頁数、即ち、表示可能な頁が操作者に報知されるようになっている。
このS57の処理で確認した結果、テンキーからの入力値が入力頁カウンタ23fの値以下であれば(S57:Yes)、操作者指定の頁は表示可能なものであるので、表示する頁を操作者所望の頁とするために、出力頁カウンタ23gのカウント値を入力値に更新する(S58)。一方、テンキーからの入力値が入力頁カウンタ23fの値を超えていれば(S57:No)、操作者指定の頁は表示不能であるので、表示中の頁の次の頁の表示を指示するために、出力頁カウンタ23gの値に1加算する(S59)。尚、ここで、操作者が指定した頁が無効であるというメッセージを表示するように構成してもよい。また、S56の処理で確認した結果、テンキー入力がなされていなかった場合も(S56:No)、その処理をS59の処理に移行する。
S58またはS59の処理の後は、その処理をS51の処理に移行し、出力頁カウンタ23gのカウント値に応じてS51以降の処理を実行する。このため、指定された頁がLCD41に表示され、操作者の入力操作に応じて、その指定された頁に対する出力範囲を規定する処理が実行される。
上記したように、第3実施形態では、S55の処理において範囲指定終了ボタンの押下が確認されるとFAX送信処理(S30)を実行する。このため、範囲指定終了ボタンが押下されると、例え、未表示の画像データがあってもその表示は実行されずに、FAX送信処理(S30)が開始されることとなる。従って、操作者により範囲指定された頁と範囲指定されていない頁とが混在して送信される。
ここで、このFAX送信処理(S30)で1ライン分の画像データを送信する処理に比して、読取処理における1ライン分の画像データの読み取りは高速で実行されるようになっており、また、表示編集処理と読取処理とは、マルチタスクで実行される。従って、範囲指定終了ボタンが押下されたタイミングで全ての原稿の読み取りが完了していなくても、少なくとも、次の1ラインの画像データの送信タイミングまでには、その1ラインの画像データは読み取られて画像メモリ23aに記憶されている。このため、全原稿の読取完了前に、範囲指定終了ボタンが押下されてFAX送信処理(S30)が開始されても、読取原稿の画像データの全てを相手側のファクシミリ装置に送信することができ、読み取られた原稿の一部が未送信になるといった不具合が生じることはない。
このように、第3実施形態によれば、LCD41に表示される頁を、操作者所望の頁表示に切り替えることができ、操作者は、その表示された所望の頁に対して出力範囲を規定するための操作を行うことができる。従って、複数頁の読取処理が実行された場合に、読み取った順に従って各頁を順次表示する場合に比べて、操作者所望の頁を表示するまでの表示待ち時間を短縮することができる(所望の頁が先頭頁である場合を除く)。言い換えれば、出力範囲の規定が不要な頁についてはその表示を省略することができ、効率的に、読取処理から出力処理に至るまでの一連の動作を効率的に行うことができる。
次に、図11から図13を参照して、第4実施形態について説明する。上記の第1実施形態は、LCD41に表示される画像データ(読み取った原稿の画像データ)そのものによって、出力範囲が規定されるように構成した。つまり、LCD41には1ラインずつ画像データを順次表示し、一時停止キー40B1が入力されると、そのタイミングで表示されている画像データが、(戻しキー40B3,40B4の入力操作にて変更可能としつつも)そのまま出力範囲として規定されるように複合機1を構成した。これに代えて、第4実施形態では、所定単位の画像データとして例えば頁全体の画像データを1度に表示すると共に、表示された1の頁の画像データ上をスライドする選択バーをマーカとして表示し、その選択バーの位置によって画像データの出力範囲を規定するように構成されている。
また、第4実施形態においても、第3実施形態と同様に、複合機1は、操作者の操作に基づいてLCD41に表示する頁(表示画面上において最前面に現出させる頁)を指定できるようになっており、第3実施形態の複合機1に設けられたのと同様の範囲指定終了ボタンが設けられている。更には、第4実施形態においては、2本の選択バーによって、出力範囲の後端のみならず、出力範囲の先端についても規定することができるように複合機1は構成されており、選択バーによる画像データの出力範囲の規定を実現するために、第1実施形態におけるポインタメモリ23cには、第1ポインタメモリ23c1と第2ポインタメモリ23c2とが設けられている。また、退避メモリ23h、後端フラグ23jがRAM23に設けられている(図11参照)。
更には、第4施形態においては、一時停止キー40B1の押下によって静止表示される画像は選択バーの表示であり、また、戻しキー40B3,40B4の操作に応じて変更されるものは、選択バーの表示位置となっている。
第4実施形態においては、画像データの出力範囲は、表示された画像データ上の2本の選択バーの相対位置関係によって規定される。第4実施形態おいては、この画像データ上に表示される2本の選択バーの内、より原稿の読取開始端側に近い方を先端側の選択バー、他方の選択バーを後端側の選択バーと称す。尚、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図11は、第4実施形態の複合機1の電気的構成を示すブロック図である。RAM23には、上記したように第1ポインタメモリ23c1、第2ポインタメモリ23c2、退避メモリ23h、後端フラグ23jが設けられている。
第1ポインタメモリ23c1、第2ポインタメモリ23c2は、選択バーの表示位置を示すアドレスを記憶するためのメモリである。第4実施形態においては、2本の選択バーに挟まれた領域を出力範囲として規定する。このため、2本の選択バーの位置をそれぞれ記憶する第1ポインタメモリ23c1と第2ポインタメモリ23c2とが設けられている。具体的には、第1ポインタメモリ23c1、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレスは、選択バーの画像データを書き込む表示用メモリ23bのアドレスであって、書込位置の先頭アドレスが示されている。
表示用メモリ23bに記憶される画像データは、LCDコントローラ28に設けられた内蔵メモリに書き込まれてLCD41に表示される。かかる内蔵メモリは、LCD41の画面上の各画素の座標に対応させて画像データを記憶する。表示用メモリ23bに記憶される画像データは、LCD41の表示画面において、いずれの位置(座標)に表示させるかは予め定められているので、内蔵メモリにおいてその座標に対応する位置に書き込まれる。
ここで、選択バーをLCD41に表示するには、選択バーの画像データがLCDコントローラ28の内蔵メモリに書き込まれていなくてはならない。つまり、表示用メモリ23bに記憶される読み取った画像データの内、選択バーの表示される部分の画像データを、選択バーの画像データに差し替える必要がある。選択バーは1ピクセルの幅で、画像データの1ライン分、原稿の幅方向にのびる直線で表示される画像である。
先端側の選択バーを表示する場合には第1ポインタメモリ23c1が、後端側の選択バーを表示する場合には第2ポインタメモリ23c2がCPU21に参照され、各ポインタメモリ23c1,23c2に記憶されるアドレスから後方へ所定数n分の番地(1ラインの画像データに相当するアドレス数分)において、画像データの差し替えが実行される。
第4実施形態においては、選択バーは、まず、1ライン目の画像データの表示位置に表示されるので、かかる位置(先頭ライン)に選択バーを表示するべく、表示用メモリ23bにおける1ライン目の画像データの先頭アドレスが初期値として各ポインタメモリ23c1,23c2に書き込まれる。その後、所定数nずつ加算されて各ポインタメモリ23c1,23c2に記憶されるアドレスは更新される。これにより、1ライン目から原稿下端へ向かって1ラインずつ移動させつつ選択バーが表示されることとなる。
退避メモリ23hは、表示用メモリ23bに記憶される画像データを退避させるためのメモリである。上記したように、選択バーの表示に際しては、選択バーの画像データが、表示用メモリ23bの画像データに上書きされる(差し替えの実行)。選択バーの画像データの書込みに先立って、その書込領域となる所定数n分のアドレスに記憶される画像データが、この退避メモリ23hに退避される。このため、選択バーの画像データが表示用メモリ23bに書き込まれても、元の画像データが失われることはない。退避メモリ23hに退避された画像データは、選択バーの表示が次のラインに移動するタイミングで、表示用メモリ23bの元のアドレスに書き込まれる。そして、次のラインの画像データの退避メモリ23hへの退避が実行される。
後端フラグ23jは、表示編集処理において、出力範囲の先端を規定する段階であるか、出力範囲の後端を規定する段階であるかを示すフラグである。この後端フラグ23jは、表示編集処理が開始されるとオンされ、後端側の選択バーによって出力範囲を規定する段階、即ち、出力範囲の後端を規定する段階であることが内部的に示される。
また、オンされた後端フラグ23jは、一時停止キー40B1の入力後に、更に確定キー40B2が入力されるとオフされる。つまり、一時停止キー40B1の入力およびその後の確定キー40B2の入力は、出力範囲の後端が規定(確定)されたことを示している。言い換えれば、出力範囲の後端は既に規定されたので、出力範囲の先端側の規定を行う段階であることを内部的に示すためにこの後端フラグ23jはオフされる。
表示編集処理においては、CPU21はこの後端フラグ23jの状態を参照し、オンであると、出力範囲の後端を規定するための処理が実行される。一方、オフであれば、出力範囲の先端を規定するための処理が実行される。これにより、第4実施形態においては、表示編集処理開始後に直ちに表示される1本目の選択バーは、出力範囲の後端側を規定する後端側の選択バーとなり、その後に表示される2本目の選択バーは、出力範囲の先端側を規定する先端側の選択バーとなる。
図12は、第4実施形態の表示編集処理を示したフローチャートである。第4実施形態の表示編集処理も第1実施形態と同様に、図4に示す読取処理とマルチタスクで実行され、まず、出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23bに記憶される画像データをLCD41に出力する(S60)。このS60の処理において、本実施形態では1頁分の画像データの出力が行われる。対応する表示用メモリ23bに未だ1頁分の画像データが記憶されていなければ、1頁分の画像データが記憶されるまでウェイトした後にこのS60の処理は実行される。尚、表示編集処理の起動直後は、出力頁カウンタ23gの値は「1」にセットされているので、1頁目の画像データが表示される。
その後、第2ポインタメモリ23c2に出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23bの先頭のアドレス、即ち画像データの1ライン目の先頭のデータが記憶されているアドレスをセットする(S61)。次いで、後端フラグ23jをオンして(S62)、退避処理を実行する(S63)。この退避処理(S63)は、後端フラグ23jの状態に対応するポインタメモリ23c1,23c2に記憶されるアドレスから後方側へ所定数n分のアドレスに記憶される画像データを退避メモリ23hに書き込む処理と、その書込処理に先立って、退避メモリ23hに記憶されている画像データを、表示用メモリ23bの前回読み出した位置に書き込む処理とを実行するものである。
尚、第4実施形態においては、後端フラグ23jの状態に対応するポインタメモリとは、後端フラグ23jがオンである場合には、第2ポインタメモリ23c2が該当し、後端フラグ23jがオフである場合には、第1ポインタメモリ23c1が該当する。
そして、表示用メモリ23bに対し、後端フラグ23jの状態に対応するポインタメモリ23c1,23c2に記憶されるアドレスから後方側において所定数nのアドレス(所定数n個分のアドレス)に選択バーの画像データを書込み、表示用メモリ23bの画像データをLCD41に出力する(S64)。その後、遅延カウンタ23eに0をセットしてから(S65)、一時停止キー40B1が押下されたかを確認する(S66)。ここで、一時停止キー40B1が未操作であれば(S66:No)、遅延カウンタ23eのカウント値に1加算してから(S67)、そのカウント値が100未満であるかを確認する(S68)。遅延カウンタ23eのカウント値が100未満であれば(S68:Yes)、所定の時間(遅延時間、即ち待機時間)は未だ経過していないので、その処理をS66処理に移行して、一時停止キー40B1の入力または、遅延時間の経過(遅延カウンタ23eの値が100に到達)を待機する。これにより、順次移動表示する選択バーについて、先のライン位置における表示から直ちに次のライン位置における表示に移行するのではなく、遅延カウンタ23eにおけるカウント分、表示の移動を遅延させることができる。つまり、原稿の読み取りにおいては、先のラインの読み取り後、遅延させることなく直ちに次のラインの読み取りが行われるので、かかる原稿の読取速度に比べて、選択バーの表示速度を遅い速度とすることができる。
一方、遅延カウンタ23eのカウント値が100以上であれば(S68:No)、後端フラグ23jがオンであるかを確認し(S69)、後端フラグ23jがオンであると(S69:Yes)、出力範囲の後端を規定する段階であるので、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値が、その表示用メモリ23bにおける最終アドレスからn減算した値(最終ラインの先頭アドレス)未満かを確認する(S70)。ここで、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値が、最終アドレス−nの値に未満であれば(S70:Yes)、未だ移動可能な領域が残存している。第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値がかかる値に到達していない場合には、操作者が、LCD41の表示画面上において所望の位置に選択バーが到達することを待機している可能性があるので、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値に所定数nを加算した後(S73)、その処理をS63の処理に移行する。これにより、選択バーの表示は1ライン分後端側へ移動されて、次の1ラインに対応する位置に表示される。
また、S70の処理で確認した結果、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値が、最終アドレスからn減算した値未満でなければ(S70:No)、最終ラインの位置まで選択バーが到達しているので、表示中の頁に対して、操作者による範囲規定は行われなかったと判断し、次頁があるかを入力頁カウンタ23fのカウント値と出力頁カウンタ23gのカウント値とを比較して、確認する(S71)。そして、次頁が無い場合には(S71:No)、第1実施形態のFAX送信処理(S30)と同様に構成されるFAX送信処理を実行して(S72)、この表示編集処理を終了する。
また、S66の処理で確認した結果、一時停止キー40B1が入力されていると(S66:Yes)、LCD41における選択バー表示の進行を一時停止するための停止指令の入力である。停止指令の入力によりS66の処理でNoに分岐すると、LCD41の表示を更新するS64,S73へ移行するルートが回避される。故に、選択バーは新たな位置に表示されないので、現在の表示位置に静止表示されることとなる。そして、戻しキーが入力されたかを確認する(S76)。
そして、戻しキー40B3,40B4の入力があれば(S76:Yes)、一時停止キー40B1のキー入力によって規定された出力範囲に対する変更要求である。このため、そのキー入力による出力範囲の変更方向が、戻しキー40B3操作による出力範囲を縮小させる戻し方向であるか、戻しキー40B4操作による出力範囲を拡張させる復帰方向であるかを確認する(S77)。
確認の結果、変更方向が戻し方向であると(S77:戻し方向)、後端フラグ23jの状態に応じたポインタメモリ23c1,23c2に記憶されるアドレス値から所定数nを減算してから(S78)、また、変更方向が復帰方向であると(S77:復帰方向)、後端フラグ23jの状態に応じたポインタメモリ23c1,23c2に記憶されるアドレス値に所定数nを加算してから(S79)、S63と同様に構成される退避処理を実行し(S80)、更に、表示用メモリ23bに対し、後端フラグ23jの状態に対応するポインタメモリ23c1,23c2に記憶されるアドレスから後方側において所定数nのアドレス(所定数n個分のアドレス)に選択バーの画像データを書込み、表示用メモリ23bの画像データをLCD41に出力する(S81)。
これにより、後端フラグ23jがオンであった場合には、1本目の選択バー(後端側の選択バー)の表示位置が変更され、また、後端フラグ23jがオフであった場合には、2本目の選択バー(先端側の選択バー)の表示位置が変更される。
その後、確定キー40B2が押下されたかを確認し(S82)、その結果、確定キー40B2が押下されていると(S82:Yes)、後端フラグ23jがオンかを調べ(S83)、ここで後端フラグ23jがオンであれば(S83:Yes)、上記した処理により出力範囲の後端が規定された(後端の確定)と判断できるので、後端フラグ23jをオフし(S84)、出力頁カウンタ23gが示す表示用メモリ23bの先頭アドレスを第1ポインタメモリ23c1にセットした後(S85)、その処理をS63の処理に移行する。このため、S63の処理に移行した後は、2本目の選択バー(先端側の選択バー)が画像データの1ライン目の位置に表示され、出力範囲の先端を規定する処理が行なわれる。尚、後端側の選択バーの表示は、S63の処理に移行した後も継続される。また、選択バーの表示位置に対応する各画像データは、今回読み取られた一連の画像データが出力されるまで、RAM23の所定領域において保持される。
また、S83の処理で確認した結果、後端フラグ23jがオフであると(S83:No)、実行中の処理は、出力範囲の先端を規定するためのものとなっている。故に、出力頁カウンタが示す表示用メモリ23bと、その対応する画像メモリ23aの領域において、第1ポインタメモリ23c1に記憶されるアドレスから第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレスに(n−1)を加算したアドレス位置まで(即ち、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレスを先頭とするラインの最後のデータまで)の画像データ以外の画像データを消去する(S86)。ここで消去されなかった画像データが、当該頁における画像データの出力範囲となる。このS86の処理により、第4実施形態では、選択バーの表示位置の画像データについても出力範囲として含まれる。そして、その後、その処理をS71の処理に移行する。尚、このS71の処理において画像データを消去した場合には、非図示のステップによって、画像メモリ23a及び表示用メモリ23bのデータシフトが実行される。
一方、S69の処理で確認した結果、後端フラグ23jがオフであれば(S69:No)、先端側の選択バーが後端側の選択バーよりも後端側へ配置されることを禁止するために、先端側の選択バーの現在位置を示す値であって第1ポインタメモリ23c1に記憶されるアドレス値が、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値からnを減算した値未満かを確認する(S74)。第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値は、既に確定された後端側の選択バーの位置を示す値であるので、出力範囲の先端を規定する段階に遷移しているS74の処理の実行時においては、固定値となっている。このS74の処理では、更に、選択バーを1ライン分移動させた場合に、後端側の選択バーに先端側の選択バーとが重なることを避けるために、先端側の選択バーの現在位置が、後端側の選択バーの位置から更に1ライン分を超える距離隔てられた位置にあるかを調べるのである。
その結果、第1ポインタメモリ23c1に記憶されるアドレス値が、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値からnを減算した値未満であれば(S74:Yes)、第1ポインタメモリ23c1に記憶されるアドレス値にn加算してから(S75)、その処理をS63の処理に移行する。これにより、第1ポインタメモリ23c1に記憶されるアドレス値が、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレス値からnを減算した値を超えない範囲において、nずつ更新されて、2本目の選択バーの表示は1ライン分ずつ移動されることとなる。
また、S74の処理で確認した結果、第1ポインタメモリ23c1に記憶されるアドレス値が、第2ポインタメモリ23c2に記憶されるアドレスからnを減算した値以上であれば(S74:No)、次の1ラインの移動により先端側の選択バーが、後端側の選択バーに重なってしまうので、これを回避するために、その処理をS85の処理に移行し、先端側の選択バーの表示位置を1ライン目の位置に復帰させる。これにより、先端側の指定を再度実行可能となる。
更に、S71の処理で確認した結果、次頁があると判断されると(S71:Yes)、第3実施形態と同様に、ウェイト処理を実行してから(S87)、範囲指定終了ボタンが押下されたかを確認する(S88)。ここで、範囲指定終了ボタンが押下されていた場合(S88:Yes)、他の頁に対する出力範囲の規定は行われないこと、即ち、本読み取りに対する出力範囲を規定する処理は完了したことが示されている。従って、その処理をFAX送信処理(S72)に移行して、画像データのファクシミリ送信を実行する。
一方、S88の処理で確認した結果、範囲指定終了ボタンの押下がなければ(S88:No)、テンキー入力がなされたかを確認する(S89)。そして、テンキー入力がなされていた場合(S89:Yes)、その入力値が入力頁カウンタ23fの値以下であるかを確認する(S90)。その結果、テンキーからの入力値が入力頁カウンタ23fの値以下であれば(S90:Yes)、操作者指定の頁は表示可能なものであるので、表示する頁を操作者所望の頁とするために、出力頁カウンタ23gのカウント値を入力値に更新する(S91)。一方、テンキーからの入力値が入力頁カウンタ23fの値を超えていれば(S90:No)、操作者指定の頁は表示不能であるので、表示中の頁の次の頁の表示を指示するために、出力頁カウンタ23gの値に1加算する(S92)。また、S89の処理において確認した結果、テンキー入力がなされていなければ(S89:No)、その処理をS92の処理に移行する。S91またはS92の処理の後は、その処理をS60の処理に移行し、出力頁カウンタ23gのカウント値に応じてS60以降の処理を実行する。このため、指定された頁がLCD41に表示され、操作者の入力操作に応じて、その指定された頁に対する出力範囲を規定する処理が実行される。
更に、S76の処理で確認した結果、戻しキー40B3,40B4の入力がなければ(S76:No)、その処理をS82の処理に移行する。また、S82の処理で確認した結果、確定キー40B2が押下(入力)されていなければ(S82:No)、その処理をS76の処理に移行し、戻しキー40B3,40B4または確定キー40B2の入力を待機する。
即ち、一時停止キー40B1の押下により選択バーの移動表示を停止させた場合には、暫定的に選択バーの位置(即ち出力範囲の先端または後端)が規定された状態であり、確定キー40B2が押下されなければ、選択バーの位置は確定されない。言い換えれば、選択バーによって規定された出力範囲(その先端または後端)は、確定キー40B2が入力されるまでの期間において、戻しキー40B3,40B4の操作によって変更することができるようになっている。
尚、指定可能な頁を操作者に認識させるために、入力頁カウンタ23fの値は、非図示のステップにより、LCD41に表示され、読み取られた頁数、即ち、表示可能な頁が操作者に報知されるようになっている。
図13は、第4実施形態の表示編集処理が実行された場合にLCD41に表示される表示画面例を示した図である。この図13においては、A4サイズの原稿を用いて読み取りが行われた場合を例示している。
表示画面内には、読み取り原稿の原稿サイズにて規定される枠(図13の例では、A4サイズに対応する枠)が表示されており、その枠内に、表示用メモリ23bから読み出された画像データが、頁単位で表示される。図13(a)には、読み取られた1の頁の全画像データが最前面に表示された状態が図示されている。かかる状態において、更に選択バーが表示される。ここで、テンキー入力により頁が指定された場合には、その頁の画像データが頁単位で表示される。また、表示画面内の右上方には、読取ページ数として、入力頁カウンタ23fの値が表示されている。これにより、操作者に、いずれの頁までが指定可能であるかが報知されている。
図13(b)は、2本の選択バーにより、画像データの出力範囲が規定された状態を示している。先端側および後端側のいずれの選択バーも、図面左側から右側、即ち、読取開始端側から読取終端側へと移動される。そして、後端側の選択バーは、一時停止キー40B1の入力操作によって、T2の位置に停止された状態となっている。また、先端側の選択バーは、一時停止キー40B1の入力操作によって、T1の位置に停止された状態となっている。従って、かかる頁においてその出力範囲は、T1とT2とに囲まれた画像データの範囲となる。
このように、第4実施形態の複合機1によれば、選択バーを移動表示させ、また、その移動を一時停止キー40B1の入力操作によって停止させることにより、1頁の画像データに対し、出力範囲を規定することができる。また、出力範囲の先端側と後端側との両方を規定することができる。
尚、第4実施形態では、1の頁全体を1画面で表示する構成としたが、1の頁よりも小さい領域を所定単位として画像データをLCD41に表示するようにしても良い、また、第4実施形態の複合機1を、第3実施形態のスクロールを実行する手段を備えた構成としても良い。
尚、請求項に記載の「記憶部に記憶された画像データを、所定順に従って順次、前記表示器に表示する」とは、画像メモリ23aから表示用メモリ23bに書き込まれた画像データを、このLCDコントローラ28の内蔵メモリへ書き込む書込動作と、かかる内蔵メモリからのLCD41への出力動作とを含む一連の動作によって、LCD41に読取順に従った画像データの表示を行うことが該当する。
以上上記各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施形態の表示編集処理においては、原稿の読み取りが原稿下端に達した場合には、出力範囲の変更は不能とされた。これに代えて、読み取りが原稿下端に達したと判断された後に、所定時間は、戻しキー40B3,40B4の入力を待機し、入力があれば、確定キー40B2の入力によって出力範囲を確定するまで、出力範囲の変更を可能としても良い。
更には、上記各実施形態では、遅延カウンタ23eによって、表示の遅延時間を計時するように構成したが、これに代えて、例えば、内蔵されるタイマ回路等で遅延時間を計時するようにしても良い。また、上記各実施形態においては、表示編集処理において、遅延カウンタ23eのカウント値が例えば100となることにより表示を実行した。つまり、表示を待機(遅延)させるためにカウントする値を100としたが、これに限られるものではなく、100より小さくても、大きくても良い。
加えて、上記各実施形態においては、遅延カウンタ23eにてカウントする値(遅延時間)は、固定の値とした。これに代えて、例えば、表示パネル4からの所定の入力操作によって、遅延カウンタ23eにてカウントさせる値を入力可能に構成し、表示編集処理において遅延カウンタ23eにてカウントする値をその入力された任意の値とする(入力された値までカウントアップする)ように複合機1を構成しても良い。これによれば、画像データが1ライン毎にLCD41に表示される表示速度、又は、選択バーを移動表示する速度を入力値に応じて変更することができ、操作者の作業レベルに応じた適切な速度での表示を実行することができる。尚、表示速度を変更(切替)するためのスイッチを設けると共に、スイッチの状態に対応して定めた異なる値を予め記憶する構成とし、このスイッチの状態に応じて、遅延カウンタ23eにてカウントする値を選択する構成としても良い。つまり、CPU21が、遅延カウンタ23eの値が設定した値に到達したかを判断する際に、毎回、スイッチの状態を参照して、その状態に応じてカウントの終了を判断する構成とする。スイッチの状態に応じて選択された値が大きくなるほど、表示速度は遅くなるので、操作者が、スイッチの切替を実行すれば、出力範囲を規定する一連の操作中において、LCD41における表示速度を変更することができる。これによれば、より低速で表示が進行するLCD41を視認しつつ、操作者は一時停止キー40B1の押下タイミングを的確に判断でき、所望の出力範囲を確実に規定することができる。その上、読み取ったページを順次表示する場合には、出力範囲を規定する必要のない原稿を、出力範囲を規定する際よりも高速で表示でき、処理全体にかかる時間を短縮することができる。
また、上記各実施形態における表示編集処理においては、画像メモリ23a、表示用メモリ23bには、読み取った画像データが操作者の操作によって消去された場合には、データシフトを行って、異なる頁の画像データを連続して記憶させることとした。これに代えて、データシフトは行わず、各頁の画像データの終端のアドレスを管理する管理メモリを設け、LCD41および出力先装置への出力に際しては、かかる管理メモリに記憶されるアドレスに基づいて、画像データを読み出し、その表示および出力が連続的になされるようにしても良い。
加えて、第3及び第4実施形態においては、表示編集処理において次頁の有無を判断するステップを設け、次頁がないと判断された場合にはFAX送信処理S30,S72を実行するように構成された。この次頁の有無の判断にかえて、範囲指定終了ボタンの押下の有無によってFAX送信処理(S30,S72)に移行するように構成しても良い。第3及び第4実施形態では、ランダムに選択される頁に対して出力範囲を規定することができるので、例えば、5頁の読取原稿があった場合には、操作者は、1頁目の原稿の画像データに対して出力範囲を規定した後に、2,3頁を飛ばして、4頁目の原稿の画像データを表示させて出力範囲の規定してから、2頁目の画像データを表示して出力範囲を規定するという手順で操作を進めることができる。ところが、5頁目が表示されてしまった時点で、操作者が4頁目以前に出力範囲を規定するべき頁が残存していることに気付いた場合には、これを行うことができない。そこで、第3及び第4実施形態の表示編集処理において、操作者が出力範囲の規定を終えたことを範囲指定終了ボタンの押下によって判断し、範囲指定終了ボタンの押下されることを契機として、FAX送信処理S30,S72へ移行する構成としてもよい。つまり、最終頁が表示された後でも、先の頁に戻って、出力範囲の規定を実行することができるようしても良い。
加えて、上記の第3及び第4実施形態において、ウェイト処理(S54,S87)の期間において指定頁の入力または範囲指定終了ボタンの入力が可能であることを操作者に容易に認識させるために、ウェイト処理(S54,S87)の期間中、指定頁の入力または範囲指定終了ボタンの入力を要求する表示をLCD41に現出させるようにしてもよい。
また、上記第3及び第4実施形態では、1頁目の表示終了後において、任意の頁指定と範囲指定終了ボタンの押下に基づく動作とを実行可能に構成したが、これに代えて、表示編集処理が起動されると、両者を実行可能としても良い。また、上記第3及び第4実施形態では、テンキー入力による頁指定と範囲指定終了ボタン入力による出力範囲規定完了の報知とを実行し得る期間は、1の頁の表示が終了したタイミング(ウェイト処理(S54,S87)の期間)に限定された。これに代えて、表示編集処理の実行中において、テンキーの入力と範囲指定終了ボタンの入力とを常時監視すると共に、その入力がCPU21に認識されると(その入力がなされたタイミングで)、直ちに、指定頁の表示や、FAX送信処理(S30,S72)への移行を実行するように表示編集処理を構成しても良い。これによれば、1の頁の表示途中であっても、直ちに、他頁の表示やFAX送信処理(S30)への移行を実行することができる。
さらに、上記第4実施形態においては、指定範囲の先端と後端とを指定する構成であったが、例えば、先端は原稿の先端側として、後端のみを選択バーにより指定する構成であってもよく、逆に後端は原稿の後端側であって、先端のみを選択バーにより指定する構成であってもよい。また、選択バーの移動により特定範囲が変更される方式に限らず、表示中の画像の色が特定範囲の変更に伴って変更されるような方式であってもよい。例えば、当初の画像の色が黒であって、不要とする画像部分(非特定範囲)がグレーで徐々に表示されるような方式であってもよく、選択バー以外の別のマークにより表示されてもよい。
また、画像データの特定範囲が更新される例として、上記第1実施形態においては、画像データが徐々に増加する場合を示して説明したが、例えば、一頁目の読み取りが完了してからその一頁の全体の表示を行い、選択される画像データの範囲が徐々に狭くなるように画像データの表示が削減されていくような構成であってもよい。