JP2008009935A - データ処理装置,データ処理方法,作業機械の遠隔診断システム及び作業機械の遠隔診断方法 - Google Patents
データ処理装置,データ処理方法,作業機械の遠隔診断システム及び作業機械の遠隔診断方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】対象体の状態に応じて変動する複数のパラメータからなる複数の実データを検出する実データ検出手段1と、実データ検出手段1で検出された該複数の実データのうち、予め設定された抽出条件を満たす実データを有効実データとして抽出する実データ抽出手段4aと、実データ抽出手段4aで抽出された該有効実データを、ニューラルネットワークの教師なし学習によりニューロンへと圧縮するニューロン圧縮手段6とを備える。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、対象となる機械に取り付けられたセンサにより、機械の稼働状態に応じて変動する複数のパラメータ値からなるデータセットを複数検出する構成や、複数のデータセットをニューロンの座標情報,平均距離情報及びウェイト情報を含むニューロンモデルパラメータへと圧縮する構成、これらのニューロンモデルパラメータを機械から管理センターへと送信し、ニューロンの移動平均やデータセットの密度分布(分布密度)を求めてデータセットを解析する構成等が開示されている。これらのような構成により、圧縮データから元のデータセットの特性をより正確に再現して、機械の診断を行うことができるようになっている。
また、油圧ショベル等の作業機械においては、センサによって得られた情報が必ずしもその作業機械の稼働状態を正しく反映しているとはいえない場合がある。例えば、エンジンを始動させてから暖機するまでの間の暖機運転時には、たとえ稼働状態が変化していなくてもパラメータが不安定に変動することがあり、正確な診断が望めない。
なお、作業機械の稼働状態の判定に係るデータ処理装置の場合、実データ検出手段によって検出される実データを構成するパラメータには、例えば、総稼働時間の情報,稼働位置情報,エンジン・車両のエラー情報,アクセルダイヤル情報,レバー操作量の情報をはじめとして、エンジン回転数,エンジンオイル圧力,ブースト圧力,燃料消費量,排気温度,パワーシフト圧力,油圧ポンプ圧力,ロードファクター(稼働率),エンジンオイル温度,エンジン冷却水温度,作動油温度,外気温度,油圧ポンプケース温度,油圧ポンプドレーン圧等が挙げられる。
また、請求項3記載の本発明のデータ処理装置は、請求項2記載の構成において、該トレーニング条件設定手段が、該トレーニング条件として、学習率,近傍領域関数及び学習回数(すなわち、ニューロン圧縮の学習結果に影響する演算条件)を設定することを特徴としている。
また、請求項5記載の本発明のデータ処理装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の構成において、該実データ検出手段で検出される該複数の実データを記憶しうる複数の記憶手段(第一記憶部,第二記憶部)をさらに備えたことを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明のデータ処理装置は、請求項1〜5の何れか1項に記載の構成において、該ニューロン圧縮手段により得られた該ニューロンに基づいて、該対象体の状態を復元する状態復元手段をさらに備えたことを特徴としている。
なお、作業機械の負荷運転の判定は、レバー操作量の情報や負荷圧力等に基づいて判定することが考えられる。
また、請求項10記載の本発明の作業機械の遠隔診断システムは、請求項7〜9の何れか1項に記載の構成において、該作業機械のエンジン目標回転数として、複数の目標回転数の中から一つの目標回転数を選択して設定する稼働ダイヤルを備え、該実データ抽出手段が、該稼働ダイヤルにおける設定頻度が所定頻度以上である目標回転数が該エンジン目標回転数として設定されているときに検出されたパラメータからなる実データを該有効実データとして抽出することを特徴としている。
また、請求項13記載の本発明のデータ処理方法は、請求項11又は12記載の構成において、該ニューロン圧縮ステップにおいて、該トレーニング条件として、学習率,近傍領域関数及び学習回数を設定することを特徴としている。
また、請求項15記載の本発明のデータ処理方法は、請求項11〜14の何れか1項に記載の構成において、該実データ検出ステップで検出される該複数の実データを記憶しうる複数の記憶ステップをさらに備えたことを特徴としている。
請求項17記載の本発明の作業機械の遠隔診断方法は、請求項16項に記載のデータ処理方法を用いて、作業機械の稼働状態を診断する遠隔診断方法であって、該実データ検出ステップにおいて、該作業機械の稼働状態に応じて変動する該複数のパラメータからなる該複数の実データを検出し、該実データ抽出ステップ及び該ニューロン圧縮ステップにおけるデータ処理を、該作業機械に搭載された第一の情報処理装置上で実施するとともに、該状態復元ステップにおけるデータ処理を、遠隔通信により該ニューロンの情報を該第一の情報処理装置から該作業機械の外部に設けられた第二の情報処理装置へ伝達し、該第二の情報処理装置上で実施することを特徴としている。
また、請求項19記載の本発明の作業機械の遠隔診断方法は、請求項17又は18記載の構成において、該実データ抽出ステップにおいて、該作業機械のエンジン油温又はエンジン冷却水温が予め設定された所定温度以上であるときに検出されたパラメータからなる実データを該有効実データとして抽出することを特徴としている。
また、本発明のデータ処理装置及びデータ処理方法(請求項2,12)によれば、有効実データの数に応じてトレーニング条件を設定することにより、圧縮にかかる時間や精度を任意に調節することができる。
また、本発明のデータ処理装置及びデータ処理方法(請求項4,14)によれば、検出時刻が新しい順に有効実データが用いられるため、データ圧縮の時点における最新の状態に係るデータを圧縮することができる。また、例えば油圧ショベルの場合には、始動後,特に暖機前の有効実データを排除することができ、ニューロン圧縮の信頼性をさらに向上させることができる。
また、本発明の作業機械の遠隔診断システム及び作業機械の遠隔診断方法(請求項7,17)によれば、作業機械に搭載された第一の情報処理装置から作業機械の外部に設けられた第二の情報処理装置へ伝達される情報量を圧縮することができ、遠隔通信の効率を高めることができる。
また、本発明の作業機械の遠隔診断システム及び作業機械の遠隔診断方法(請求項9,19)によれば、作業機械の暖機運転時の過渡的な情報を除外することができ、演算精度をより高めることができる。
図1〜図4は本発明の一実施形態にかかるデータ処理装置を説明するものであり、図1は本データ処理装置の全体構成を示す構成図、図2は本装置におけるデータの記憶に係る制御内容を示すフローチャート、図3は本装置におけるデータの圧縮演算に係る制御内容を示すフローチャート、図4は本装置で復元されたデータの密度分布を示す三次元グラフである。
[1−1]全体構成
図1に示すように、本データ処理装置15は、油圧ショベルの状態(正常,非正常,故障等の状態)を診断の対象とした遠隔診断システムをなすものであり、油圧ショベル上に搭載されたデータ検出装置1及び第一データ処理装置10と、油圧ショベルから離れた場所にあるメンテナンスセンター(第一データ処理装置10が設けられた油圧ショベルの外部であって、例えば、油圧ショベルを所有、あるいは、管理する事業所等のことを意味する)で情報処理を行うための第二データ処理装置14とを備えて構成される。
データ検出装置1とは、油圧ショベルに関する各パラメータ(検出情報,変動要素)に対応する各種のセンサの総称であり、これらのセンサは、油圧ショベルの動作に応じて変動する各パラメータ値を検出するものである。
なお、これらの検出情報は、データ検出装置1で検出された時刻の情報とともに、随時第一データ処理装置10へと入力されるようになっている。
第一データ処理装置10は、処理プログラムを内蔵した記憶装置(ROM,RAM等)や中央処理装置(CPU)を備えた小型のコンピュータである。第一データ処理装置10の内部には、機能部位として、前処理部2,データ収集部3,演算条件設定部(演算条件設定手段)4,演算部5,結果保存部8及び送信部9が備えられている。
前処理部2は、データ検出装置1から入力された検出情報を、第一データ処理装置10の内部で演算しやすいデジタル値の形式に変換するとともに、各情報の有効桁数を揃える演算処理を実施するものである。
つまり、データ検出装置1から入力された各パラメータの情報には、センサの種類に応じてアナログ値の情報やデジタル値の情報が混在している。また、各検出情報の精度に関しても統一されていない。そこで、データ検出装置1から入力される検出情報を、演算しやすいように一旦前処理部2で前処理したのちに、他の演算を実施するようになっている。
図1に示すように、データ収集部3には、第一記憶部3a及び第二記憶部3b(ともに記憶手段の一つ)が設けられている。第一記憶部3a及び第二記憶部3bは、双方とも略同一の記憶容量(メモリ領域)を有しており、第一記憶部3a及び第二記憶部3bのそれぞれが油圧ショベルの一日分の稼働情報を記憶しうる容量を備えている。このように、各記憶部3a,3bを備えることにより、油圧ショベルの稼働日や作業内容に応じて、圧縮処理を行うデータを使い分けることができるようになっている。
なお、フラグF1の切り換えに関して、本実施形態のデータ収集部3は、現在時刻tが予め設定された所定時刻t1であるか否かの判定により、フラグF1をF1=0又はF1=1に切り換えるようになっている。また、所定時刻t1は午前0時に設定されている。
演算条件設定部(演算条件設定手段)4は、データ検出装置1で検出された各パラメータを、第一パラメータ群と第二パラメータ群とに分類するものであり、図1に示すように、その内部に、各パラメータ群の抽出条件を記憶している。
また、この演算条件設定部4には、第一パラメータ群の中からニューロン圧縮の演算に供される情報を抽出する実データ抽出部4aと、第二パラメータ群の中から基本統計量の演算に供される情報を抽出するパラメータ抽出部4bとが設けられている。なお、ここでいうニューロン圧縮とは、データ圧縮の手法の一つであり、後述のニューロン圧縮部6で実施される演算内容を意味している。また、基本統計量の演算とは、後述の基本統計量演算部7での演算内容のことを意味している。
実データ抽出部4aは、上記の抽出条件によって第一パラメータ群に分類されたパラメータのうち、同時に検出されたパラメータ(同一の状態下において検出された各パラメータのことを意味し、ここでは同時刻に検出された各パラメータのことをいう)からなる多次元のベクトルを実データXsとして設定する。そして、この実データXsの中から、ニューロン圧縮制御に供されるものを抽出し、有効実データxsとして設定するようになっている。なお、実データ抽出部4aで抽出される実データXsに含まれるパラメータの種類がK種類であって、且つ、ここで設定される有効実データxsの数がM個であるとすると、有効実データxsは以下の式1のように一般化して記述することができる。以下の数式中においては、ベクトルやマトリックスを意味する記号を太字(Bold)で示し、スカラーを意味する記号を斜体(Italic)で示す。
なお、実データ抽出部4aにおける有効実データxsの実データXsからの抽出条件は、以下に示す通りとなっている。
(1)使用頻度の高い上位3つのアクセルダイヤル位置での稼働時に検出された実データXsであること
(2)作業機械の暖機運転中(アイドリング中)に検出された実データXsでないこと
(3)作業機械が負荷運転中に検出された実データXsであること
なお、上記の条件1におけるアクセルダイヤル位置とは、油圧ショベルのエンジン回転数を設定するための一般的なダイヤル式スイッチの操作位置のことを意味している。また、上記の条件2は、例えば実データXsが、エンジンオイル温度,エンジン冷却水温度,作動油温度,外気温度,油圧ポンプケース温度等の温度情報が予め設定された所定温度以上であるときに検出されたものであるか否かによって判定される。また、上記の条件3は、実データXsが、レバー操作量が予め設定された所定値以上であったときに検出されたものであるか否かによって判定されものであり、本実施形態では、油圧ショベルに設けられた操作レバーによる操作の有無を検出する圧力スイッチの検出値に基づいて判定されるようになっている。
一方、パラメータ抽出部4bは、以下の抽出条件に基づいて、第二パラメータ群に分類された各パラメータPsの中から有効パラメータpsを抽出するものである。
(4)頻度の高い上位3つのアクセルダイヤル位置での稼働時に検出されたパラメータPsであること
(5)作業機械の暖機運転中(アイドリング中)に検出されたパラメータPsでないこと
(6)作業機械が負荷運転中に検出されたパラメータPsであること
これらの抽出条件4〜6に基づいて抽出された有効パラメータpsは、演算部5の基本統計量演算部7へと入力されるようになっている。
図1に示すように、演算部5は、ニューロン圧縮部6と基本統計量演算部7とを備えて構成される。これらの各機能部について以下に説明する。
ニューロン圧縮部6は、実データ抽出部4aで抽出された有効実データxsに基づいて、ニューロン圧縮制御を実施するものである。
また、ニューロン圧縮部6の内部には、トレーニング条件設定部6aが設けられている。トレーニング条件設定部6aは、ニューロン圧縮部6でのニューロン圧縮における学習の条件を設定するものである。ここでは、有効実データxsの数Mに応じて、圧縮するニューロンの数N及び圧縮に係るトレーニング条件が設定されるようになっている。なお、本実施形態におけるトレーニング条件としては、学習率,近傍領域関数,学習回数等が挙げられる。
ニューロン圧縮制御で得られたニューロンセットの各ニューロンについて、ニューロン圧縮部6は、K次元空間内における各ニューロンの位置の情報を、ニューロンセンター[c1,c2,…,cN]として設定する。各ニューロンはK種類のパラメータを備えて構成されているため、ニューロンセンターciはK次元のベクトル量として表現され、その一般式は以下の式2に示す通りとなる。
また、ニューロン圧縮部6は、各ニューロンが代表する有効実データxsの数をニューロンウェイト[g1,g2,…,gN]として演算する。換言すれば、ニューロンウェイトgiとは、そのニューロンがM個の有効実データxsのうちの何個の有効実データxsに対して勝者ニューロンとなっているかを示すものである。つまり、このニューロンウェイトgiは、スカラー量として表現される。なお、ニューロンウェイトgiとは、ニューロンの強さを示す指標といえる。
次にこの情報を用いて、ニューロン圧縮部6は、M個の有効実データxsをN個のサブセットMi(i=1,2,…,N)に分割する。各サブセットMiは、同じi番目のニューロンを勝者ニューロンとしている有効実データxsを有している。各サブセットMiに含まれる有効実データxsの数をmi(i=1,2,…,N)と表すと、以下の式4,式5に示す条件が成立する。
さらに、ニューロン圧縮部6は、それぞれのニューロンについて、サブセットMi内に存在する各有効実データxsまでの平均距離をニューロン幅[w1,w2,…,wN]として演算する。これは、各サブセットMiの領域内には、部分的に有効実データxsの存在しないところがあり、ボロノイ多角形によって囲まれる領域の大きさが必ずしも有効実データxsの分布状態を反映したものとはいえないからである。ここでは、ニューロン幅wi(i=1,2,…,N)を有効実データxsの分布状態を示す指標として扱うこととする。なお、ニューロン幅wiは、K次元のベクトル量として表現され、その一般式は以下の式7,8に示す通りとなる。
一方、基本統計量演算部7は、パラメータ抽出部4bで抽出された有効パラメータpsに基づいて、各有効パラメータpsの基本統計量の演算を行うものである。
この基本統計量演算部7で演算された基本統計量は、ニューロンセットの情報と同様に、結果保存部8へと入力されるようになっている。
結果保存部8は、演算部5で演算されたニューロンセットの情報及び基本統計量を保存する記憶装置である。なおここでは、上記のニューロンセンターci,ニューロンウェイトgi,ニューロン幅wi及び基本統計量等の圧縮された情報とともに、油圧ショベルの総稼働時間(積算稼働時間,アワメータ)の情報,稼働位置情報,エンジン・車両のエラー情報が保存されるようになっている。
第二データ処理装置14は、第一データ処理装置10と同様に、処理プログラムを内蔵した記憶装置(ROM,RAM等)や中央処理装置(CPU)を備えたコンピュータであり、第一データ処理装置10から送信された情報を復元する演算処理を実施するようになっている。第二データ処理装置14の内部には、機能部位として、受信部11,復元部12及びデータ出力装置13が備えられている。まず、受信部11は、第一データ処理装置10の送信部9から送信された情報を受信し、復元部12へと入力するように機能する。
一方、復元部12は、上記のニューロンセットの情報(すなわち、ニューロンセンターci,ニューロンウェイトgi,ニューロン幅wi)に基づく演算を実施して、圧縮されたニューロンセットから元の有効実データxsの構造を復元する演算を行う。
なお、ここでいう情報の復元とは、例えばソフトウェア応用分野におけるデータの展開や解凍(decompression,unzipping)とは異なるアイデアである。主な違いは、オリジナルの情報を完全に復元するのではなく、圧縮した情報に基づいて元のデータのパラメータ間の相関を抽出することや、データの密度分布の概略を復元することを目的としている点である。
なお、復元部12は、上述のように復元されたニューロンの密度分布の情報と、第一データ処理装置10から送信されてきた基本統計量の情報とを、データ出力装置13へ出力してディスプレイ表示するようになっている。
本実施形態に係るデータ処理装置15において実施されるフローチャートを図2,図3に示す。これらのフローチャートはともに、第一データ処理装置10の内部においてオンボードで実行されているフローである。
図2のフローは、データ検出装置1で検出された各パラメータ値の記憶に係る制御内容を示している。
続くステップA20では、前処理部2において、データ検出装置1で検出された各パラメータ値がデジタル値の形式に変換されるとともに、各パラメータの有効桁数を揃える処理が実施されて、ステップA30へ進む。
ステップA40では、データ収集部3において、前処理部2から入力された各パラメータの情報が第一記憶部3aへ記録されてステップA60へ進む。一方、ステップA50では、各パラメータの情報が第二記憶部3bへ記録されてステップA60へ進む。つまり、フラグF1の判定により、記憶部3a,3bのうちどちらの記憶部がデータの記録中でないかが把握されることになる。
ステップA70では、データ収集部3において、現在時刻tが所定時刻t1であるか否かが判定される。このステップにおいてt≠t1である場合、すなわち、時刻が午前0時でない場合には、そのままこのフローを終了し、所定周期でステップA10からの制御が繰り返される。この場合、フラグF1の値が切り換えられないため、ステップA30における判定結果も変わらないことになり、ステップA40又はステップA50の何れかの制御が繰り返し実施されることになる。
上記の通り、データ検出装置1で検出される各パラメータは、日付を跨がない限り(時刻が午前0時にならない限り)、第一記憶部3a又は第二記憶部3bの何れか一方に記録され続ける。そして、日付を跨いだ時(時刻が午前0時になった時)に、各パラメータが記録される記憶部が切り換えられることになる。
図3のフローは、前フローで記憶されている各パラメータ値を用いた具体的な演算処理の内容を示している。
まず、ステップB10では、フラグF1がF1=0であるか否かが判定される。このステップでは、以下のステップで演算を行う情報が記憶されている記憶部を選択するための判定が行われている。つまり、このステップでF1=0であると判定された場合、その時点で前処理部2から入力される情報が第一記憶部3aへ記録されているはずであるから、第二記憶部3bに記憶されている各パラメータが読み込まれて演算対象とされる。逆に、このステップでF1=1であると判定された場合、その時点で前処理部2から入力される情報が第二記憶部3bへ記録されているはずであるから、第一記憶部3aに記憶されている各パラメータが読み込まれて演算対象とされる。
すなわち、読み込まれた各パラメータのうち、時間変動量が比較的大きい、エンジン回転数,エンジンオイル圧力,ブースト圧力,燃料消費量,排気温度,パワーシフト圧力,油圧ポンプ圧力,ロードファクター等のパラメータが、第一パラメータ群に分類される。また、時間変動量の比較的小さい、エンジンオイル温度,エンジン冷却水温度,作動油温度,外気温度,油圧ポンプケース温度,油圧ポンプドレーン圧等のパラメータが、第二パラメータ群に分類される。
一方、続くステップB70では、演算条件設定部4のパラメータ抽出部4bにおいて、第二パラメータ群に分類された各パラメータPsのうち、実際の演算に供されるものが有効パラメータpsとして抽出される。ここで抽出される有効パラメータpsの抽出条件は、ステップB50における有効実データxsの抽出条件と同様であり、(1)使用頻度の高い上位3つのアクセルダイヤル位置での稼働時に検出されたものであること、(2)エンジンオイル温度及びエンジン冷却水温度が、予め設定された所定温度以上である時に検出されたものであること、(3)操作レバーによる操作がなされている時に検出されたものであること、である。このような条件付けにより、油圧ショベルの暖機運転中等の不安定かつ過渡的な状態に検出されたパラメータPsの情報が除外されて、演算に供されるパラメータの信頼性が確保される。
なお、ステップB100では、フラグF2がF2=0に設定されてこのフローが終了され、一方、ステップB110では、フラグF2がF2=1に設定されてこのフローが終了される。つまり、ニューロン及び基本統計量の演算が終了していない場合には、フラグF2がF2=1のままの状態となるため、再び図2に示す記憶フローが実施された時には、ステップA60において演算フローへ進むことになる。また、一旦ニューロン及び基本統計量の演算が終了すると、フラグF2がF2=0に設定されるため、時刻が午前0時になるまでの間、演算フローは実行されない。
一方、第二データ処理装置14の復元部12では、送信されたニューロンの情報に基づいてデータの密度分布が復元される。復元された密度分布及び基本統計量は、例えば図4に示すように、データ出力装置13においてディスプレイ表示される。
本発明の一実施形態に係るデータ処理装置15は、以下のような効果を奏する。
[3−1]ニューロン圧縮の手法による利点
まず、本第一データ処理装置10のニューロン圧縮部6は、第一パラメータ群に分類されたパラメータをニューロンに圧縮する構成を備えている。つまり、例えばエンジン回転数や油圧ポンプ圧力等の時間変化の大きいパラメータ、換言すれば、稼働時間との相関が弱いパラメータがニューロンに圧縮されている。
一方、本第一データ処理装置10の基本統計量演算部7では、第二パラメータ群に分類されたパラメータの基本統計量を演算する構成を備えている。つまり、例えばエンジンオイル温度やエンジン冷却水温度等の時間変化の小さいパラメータ、換言すれば、一旦暖機してしまえば油圧ショベルが正常に稼働している限り略一定の値をとるパラメータの基本統計量が演算されている。
さらに本データ処理装置15は、データ検出装置1で検出された各パラメータを、第一パラメータ群と第二パラメータ群とに分類する演算条件設定部4を備えている。つまり、検出された全ての情報をニューロンへと圧縮するのではなく、検出された情報をニューロン圧縮に供する情報とより簡易的な演算処理に供する情報とに分類し、前者の情報のみをニューロンへと圧縮するようになっている。これにより、各パラメータの特性に応じた演算処理が行われることになり、簡素な構造で、検出情報に内在する構造(油圧ショベルの状態を示す特性)を保ちながら情報量をより小さくすることが可能となる。つまり、油圧ショベルの状態を、正確かつ効率的に解析することができる。
本データ処理装置15は、演算条件設定部4に実データ抽出部4a及びパラメータ抽出部4bを備えて構成されている。つまり、油圧ショベルが負荷運転を行っているときの情報を有効データとして、ニューロン圧縮及び基本統計量の演算に係る情報の抽出がなされるようになっている。これにより、例えば油圧ショベルのアイドリング時の情報を除外することができ、演算部6における演算結果の信頼性を向上させることができる。
本データ処理装置15のトレーニング条件設定部6aでは、有効実データxsの数Mに応じて、圧縮するニューロンの数N及び圧縮に係るトレーニング条件が設定されるようになっている。これにより、ニューロン圧縮にかかる時間や圧縮精度を任意に調節することができる。
なお、ニューロン圧縮に供される有効実データxsの数Mは、450〜6000個程度であることが好ましい。
本データ処理装置15では、データ収集部3に第一記憶部3a及び第二記憶部3bの2つの記憶部が設けられており、データ検出装置1から入力される各パラメータの情報は、これらの記憶部に対して一日毎に交互に記録されるようになっている。これにより、油圧ショベルの稼働日や作業内容に応じて、圧縮処理を行うデータを使い分けることができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、第一データ処理装置10及び第二データ装置14を備えた遠隔診断システムとしてのデータ処理装置15が示されているが、第二データ処理装置14を省略したシステムとすることも可能である。すなわち、第一データ処理装置10で得られたニューロンセットや基本統計量に対して演算処理を施すことなくそのまま用いて稼働状態を診断するような場合には、少なくとも第一データ処理装置10のようなデータ処理装置を備えた構成であればよい。
例えば、油圧ショベルの正常稼働時における実データを正常実データとして予め検出しておくとともに、正常実データをニューロン圧縮して正常ニューロンセットを取得しておき、ニューロン圧縮部6で演算されたニューロンセットと上記の正常ニューロンセットとの比較によって、油圧ショベルの稼働状態を判定するような構成としてもよい。
2 前処理部
3 データ収集部
3a 第一記憶部(記憶手段の一つ)
3b 第二記憶部(記憶手段の一つ)
4 演算条件設定部(演算条件設定手段)
4a 実データ抽出部(実データ抽出手段)
4b パラメータ抽出部(パラメータ抽出手段)
5 演算部
6 ニューロン圧縮部(ニューロン圧縮手段)
6a トレーニング条件設定部(トレーニング条件設定手段)
7 基本統計量演算部(基本統計量演算手段)
8 結果保存部
9 送信部
10 第一データ処理装置
11 受信部
12 復元部(状態復元手段)
13 データ出力装置
14 第二データ処理装置
15 データ処理装置
Claims (20)
- 対象体の状態に応じて変動する複数のパラメータからなる複数の実データを検出する実データ検出手段と、
該実データ検出手段で検出された該複数の実データのうち、予め設定された抽出条件を満たす実データを有効実データとして抽出する実データ抽出手段と、
該実データ抽出手段で抽出された該有効実データを、ニューラルネットワークの教師なし学習によりニューロンへと圧縮するニューロン圧縮手段と
を備えたことを特徴とする、データ処理装置。 - 該有効実データの数に応じて圧縮する該ニューロンの数及び圧縮に係るトレーニング条件を設定するトレーニング条件設定手段
をさらに備えたことを特徴とする、請求項1記載のデータ処理装置。 - 該トレーニング条件設定手段が、該トレーニング条件として、学習率,近傍領域関数及び学習回数を設定する
ことを特徴とする、請求項2記載のデータ処理装置。 - 該ニューロン圧縮手段が、該有効実データをその検出時刻の新しい順に用いて、ニューロンへと圧縮する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のデータ処理装置。 - 該実データ検出手段で検出される該複数の実データを記憶しうる複数の記憶手段
をさらに備えたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のデータ処理装置。 - 該ニューロン圧縮手段により得られた該ニューロンに基づいて、該対象体の状態を復元する状態復元手段
をさらに備えたことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のデータ処理装置。 - 請求項6項に記載のデータ処理装置を備えて、作業機械の稼働状態を診断する遠隔診断システムであって、
該実データ検出手段が、該作業機械に搭載されて、該作業機械の稼働状態に応じて変動する該複数のパラメータからなる該複数の実データを検出し、
該実データ抽出手段及び該ニューロン圧縮手段が、第一の情報処理装置として該作業機械に搭載されるとともに、
該状態復元装置が、第二の情報処理装置として該作業機械の外部に設けられて、該第一の情報処理装置から該ニューロンの情報を遠隔通信により取得する
ことを特徴とする、作業機械の遠隔診断システム。 - 該実データ抽出手段が、該複数の実データのうち、該作業機械の負荷運転状態下において検出された実データを該有効実データとして抽出する
ことを特徴とする、請求項7記載の作業機械の遠隔診断システム。 - 該作業機械のエンジン油温又はエンジン冷却水温を検出する温度センサを備え、
該実データ抽出手段が、該温度センサで検出された該エンジン油温又は該エンジン冷却水温が予め設定された所定温度以上であるときに検出されたパラメータからなる実データを該有効実データとして抽出する
ことを特徴とする、請求項7又は8記載の作業機械の遠隔診断システム。 - 該作業機械のエンジン目標回転数として、複数の目標回転数の中から一つの目標回転数を選択して設定する稼働ダイヤルを備え、
該実データ抽出手段が、該稼働ダイヤルにおける設定頻度が所定頻度以上である目標回転数が該エンジン目標回転数として設定されているときに検出されたパラメータからなる実データを該有効実データとして抽出する
ことを特徴とする、請求項7〜9の何れか1項に記載の作業機械の遠隔診断システム。 - 対象体の状態に応じて変動する複数のパラメータからなる複数の実データを検出する実データ検出ステップと、
該実データ検出ステップで検出された該複数の実データのうち、予め設定された抽出条件を満たす実データを有効実データとして抽出する実データ抽出ステップと、
該実データ抽出ステップで抽出された該有効実データを、ニューラルネットワークの教師なし学習によりニューロンへと圧縮するニューロン圧縮ステップと
を備えたことを特徴とする、データ処理方法。 - 該有効実データの数に応じて圧縮する該ニューロンの数及び圧縮に係るトレーニング条件を設定するトレーニング条件設定ステップ
をさらに備えたことを特徴とする、請求項11記載のデータ処理方法。 - 該ニューロン圧縮ステップにおいて、該トレーニング条件として、学習率,近傍領域関数及び学習回数を設定する
ことを特徴とする、請求項11又は12記載のデータ処理方法。 - 該ニューロン圧縮ステップにおいて、該有効実データをその検出時刻の新しい順に用いて、ニューロンへと圧縮する
ことを特徴とする、請求項11〜13の何れか1項に記載のデータ処理方法。 - 該実データ検出ステップで検出される該複数の実データを記憶しうる複数の記憶ステップ
をさらに備えたことを特徴とする、請求項11〜14の何れか1項に記載のデータ処理方法。 - 該ニューロン圧縮ステップで得られた該ニューロンに基づいて、該対象体の状態を復元する状態復元ステップ
をさらに備えたことを特徴とする、請求項11〜15の何れか1項に記載のデータ処理方法。 - 請求項16項に記載のデータ処理方法を用いて、作業機械の稼働状態を診断する遠隔診断方法であって、
該実データ検出ステップにおいて、該作業機械の稼働状態に応じて変動する該複数のパラメータからなる該複数の実データを検出し、
該実データ抽出ステップ及び該ニューロン圧縮ステップにおけるデータ処理を、該作業機械に搭載された第一の情報処理装置上で実施するとともに、
該状態復元ステップにおけるデータ処理を、遠隔通信により該ニューロンの情報を該第一の情報処理装置から該作業機械の外部に設けられた第二の情報処理装置へ伝達し、該第二の情報処理装置上で実施する
ことを特徴とする、作業機械の遠隔診断方法。 - 該実データ抽出ステップにおいて、該複数の実データのうち、該作業機械の負荷運転状態下において検出された実データを該有効実データとして抽出する
ことを特徴とする、請求項17記載の作業機械の遠隔診断方法。 - 該実データ抽出ステップにおいて、該作業機械のエンジン油温又はエンジン冷却水温が予め設定された所定温度以上であるときに検出されたパラメータからなる実データを該有効実データとして抽出する
ことを特徴とする、請求項17又は18記載の作業機械の遠隔診断方法。 - 該作業機械に設けられた稼働ダイヤルによって、複数の目標回転数の中から一つ選択されて設定されるエンジン目標回転数を検出する目標回転数検出ステップを備えるとともに、
該実データ抽出ステップにおいて、該目標回転数検出ステップにおける検出頻度が所定頻度以上である目標回転数が該エンジン目標回転数として設定されているときに検出されたパラメータからなる実データを該有効実データとして抽出する
ことを特徴とする、請求項17〜19の何れか1項に記載の作業機械の遠隔診断方法。
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