JP2008007881A - 給油用ローラ及びこれを用いた紡糸引取り装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行する合繊繊維の糸条が毛羽立ちやすく、使用する油剤が内部に残存するため、カビの発生や油剤の変更に対応できない。
【解決手段】走行する合成繊維の糸条に油剤を付与するための給油用ローラ1であって、少なくとも前記糸条が走行する走行面1aが、独立気孔のみを有する緻密質のセラミックスからなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、走行する合繊繊維の糸条に対して、油剤を連続的に付与するための給油用ローラおよび、その給油用ローラを用いた紡糸引取り装置に関する。
従来、走行する合繊繊維の糸条に対して、一定量の油剤を連続的に、且つ均一に付与する方法として、油剤の入ったオイル槽に、円筒状の給油用ローラの一部分を浸漬させながら回転させ、上記給油用ローラの表面に形成された走行面に均一な油膜を形成し、この走行面に糸条を接触走行させることで、糸条に油剤を付与するオイリングローラ方式の紡糸引取り装置が用いられている。
このオイリングローラ方式は、紡糸された多数錘(多数本)のマルチフィラメントの糸条に、1個のオイリングローラにより油剤を付与する方式である。
しかし、近年、走行速度が高速化しており、オイリングローラ方式においては、油膜の形成が十分でない場合、糸条の片面にしか油剤が付与されないことがあり、高速に走行する紡糸に対して油剤付与することが困難であった。
また、一部の合繊繊維においては、繊維の機能を向上させるために、各種粒子が添加されたポリマーが多く用いられている。例えば、艶消し剤として酸化チタン粒子をポリマーに添加して溶融紡糸を行うこと、カーボンブラックを予め添加したポリマーを用いて黒原着糸を紡糸すること、または得られた原糸の発色性を高めるために酸化珪素を添加して紡糸する等が行なわれているが、ある特定の粒子径及び硬度を有する微粒子を高濃度で添加する場合、紡糸工程における給油ガイドをはじめとする各種ガイド、ローラ類が早期に摩耗することで糸切れ回数の増加などの工程安定性が悪化するだけでなく、前記ガイドの摩耗に伴い、染色工程時の染めムラが発生しやすい。
これらを解決する方法として、硬度の高いセラミックスからなるガイド類や給油用ローラを用いることにより、耐摩耗性が高く、糸条が高速走行しても、糸条が擦過せずに、染色工程時において、染ムラなどの品質面を悪化させることを防止できることや、また油剤の給油力を高めるために、給油用ローラを多孔質のセラミックスにて形成することで給油用ローラの走行面への油剤の付着を高める技術が多用されている(特許文献1,2参照)。
特開平10−266012号公報 特開2005−281885号公報
しかしながら、上述のようなセラミックスからなる給油用ローラは、油剤を走行面に保持するために多孔質のセラミックスから成る場合、糸条の走行面に開口する気孔はその内部の気孔と連通しており、連通気孔となりやすい。
このように、連通孔を備えた多孔質のセラミックスから成る場合、紡糸引取り装置において、油剤が給油用ローラの前記連通孔に吸着して離脱しにくいため、油剤の交換や、変更を行うと、変更前の油剤が変更後の油剤に混入することがあった。このような場合、油剤の種類に応じて糸条を選択しているにもかかわらず、変更前の油剤の混入が原因で、初期の糸状の性質が変化する問題があった。また、連通孔内に油剤が残存したまま離脱しにくいため、給油用ローラを長期間使用しないと、残存した油剤が腐敗したり、カビが発生しやすいという問題があった。さらに、近年、糸条はマルチフィラメント化した細径のものが増えており、連通孔を備えた多孔質セラミックスから成る場合、気孔により毛羽が立ちやすく、特に、アセテートのように糸強度が弱い繊細な糸条では、毛羽が立つだけでなく糸切れするという問題があった。
特に、高速で給油用ローラを回転させると、給油用ローラと糸条との摩擦力が大きくなって糸切れが発生しやすくなり、給油用ローラの回転速度を速くすることができず、給油用ローラの回転速度が遅いと、給油用ローラの走行面全体に油膜を十分に形成させることができないため、粘度の高い油剤に限定されていた。
また、近年は12エンド(錘)以上となる糸条の錘を同時に紡糸する紡糸引取り装置が増えてきており、このような紡糸引取り装置には、給油用ローラの長手方向(回転軸に併行な方向)が300mm以上の長さとなることがある。給油用ローラの長手方向が長尺化した場合、多孔質のセラミックスからなる給油用ローラでは、緻密質のセラミックスと比較して機械的材料特性が低いため、剛性や強度、硬度が低く、特に、比剛性が低くなることから、自重によって給油用ローラにたわみが生じ、たわんだまま給油用ローラを回転させると、糸条の速度が両端と中央部とで異なることが生じてしまうという不具合もあった。
また、糸条は染色される前まで白色であることが多いが、上記給油用ローラの糸条が走行する面が、白色系のセラミックスから形成されている場合、糸条と給油用ローラとの識別がされ難くかった。このため、上記給油用ローラの表面を糸条が走行しているのか、糸切れなどの不具合が発生しているのかが瞬時に判別できない等の課題があった。
本発明の給油用ローラは、走行する合成繊維の糸条に油剤を付与するための給油用ローラであって、少なくとも前記糸条が走行する走行面が、独立気孔のみを有する緻密質のセラミックスからなることを特徴とする。
また、本発明の給油用ローラは、前記独立気孔は、前記走行面における気孔占有率が4%以下であることを特徴とする。
さらに、本発明の給油用ローラは、その平均気孔径が4μm以下であることを特徴とする。
またさらに、本発明の給油用ローラは、前記走行面は、その算術平均高さ(Ra)が1μm以下であることを特徴とする。
さらにまた、本発明の給油用ローラは、前記セラミックスは、アルミナ質セラミックスであることを特徴とする。
またさらに、給油用ローラは、前記走行面は、CIE1976L色空間における明度指数Lが60以下であることを特徴とする。
そして、本発明の紡糸引取り装置は、上記いずれかに記載の給油用ローラを用いたことを特徴とする。
本発明の給油用ローラによれば、少なくとも前記糸条が走行する走行面が、独立気孔のみを有する緻密質のセラミックスからなることから、高回転時においても糸条の毛羽の発生が少ない給油用ローラを得ることが可能となる。
また、高強度で、比剛性の高い基体を得ることができるので、たわみの小さい給油用ローラとなり、その結果、同軸度や振れの小さい給油用ローラを提供することが可能となり、複数の糸条が走行しても各糸条の周速を均等にすることができる。
また、走行面には内部の気孔と連通しない独立気孔のみを有するため、油剤が内部に残存することがなく、長期間使用しない場合にも、カビが発生することがなくなる。さらには、油剤の種類を交換しても交換前の油剤が混ざることがなくなる。
また、前記独立気孔は、その気孔占有率が4%以下であること、前記独立気孔は、その平均気孔径が4μm以下であること、または前記糸条が走行する表面は、その算術平均高さ(Ra)が1μm以下であることで、高回転時においても糸条の毛羽の発生が少ない給油用ローラを得ることが可能となる。
さらに、前記セラミックスは、アルミナ質セラミックスであるので、耐薬品性に優れ、各種の油剤に対しても浸食されず、糸条の走行に対しても耐摩耗性に優れ、高強度で比剛性の高い供給用ローラを得ることができる。
またさらに、給油用ローラは、前記セラミックスの呈色が、CIE1976L色空間におけるLが60以下であるので、白色系の糸条が走行する場合に、糸条と給油用ローラとの識別が容易にでき、糸条が切れているか、走行しているかの認識がしやすいものとなる。
そして、本発明の紡糸引取り装置は、上記いずれかに記載の給油用ローラを用いたので、毛羽の発生のない良質な糸条の引取りが可能な紡糸引取り装置を提供することができる。
以下、本発明の実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明に係る給油用ローラの一実施例を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の給油用ローラ1は、金属製の芯体1bと、その外周に合成繊維からなる糸条が走行する走行面1aを有するセラミック体が形成されてなる円柱体から成り、走行する合繊繊維の糸条に対して油剤を付与するためのものであり、少なくとも前記走行面1aが独立気孔のみを有する緻密質のセラミックスから形成されることを特徴とするものである。
前記芯体1bは、アルミニウム合金やステンレス製等の金属から成り、例えば、軽量化のために、内部を空洞にし、両端面を金属製のボスで挟み込むような構造であってもよく、外周に設けられるセラミック体との接合は、接着剤や、機械的にボルトとナットで締結して挟み込むような構造であっても、両方を併用した構造であってもよい。また、接着剤を用いる接合の場合は、エポキシ系接着剤が高強度とできるだけ好ましいが、油剤の浸食が影響される場合にはシリコーン系接着剤を使用すればよい。
前記芯体1bの外周に形成される円筒状のセラミック体は、少なくとも前記走行面1aを独立孔のみを有する緻密質のセラミックスから成る。
ここで、緻密質とは、以下の方法に準拠して測定できる吸水率が0.05%以下のセラミックスであり、JIS R 1634にあるファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法に準拠し、乾燥重量W、飽水重量Wとした際に、
吸水率(%)=(W−W)×100/W
の式にて算出される値である。
また、独立気孔とは気孔同士が連通していない気孔を意味し、他の気孔と連通することなく走行面に開口し、独立に存在するものをいう。また、後述するように独立気孔は、その平均気孔径が4μm以下である。なお、連通気孔とは、気孔同士が、連通しており、少なくとも一箇所は開気孔であるものの、本発明では平均気孔径が4μmを超えるものをいう。
このような、独立気孔のみを有する緻密質セラミックスで走行面1aを形成することで、セラミック体の強度が向上し、給油用ローラ1の回転速度が向上しても破損し難く、独立気孔のみを備えるため、セラミック体の内部へ油剤が残存することがなく、長期使用しない場合にも残存した油剤によりカビが発生するのを有効に防止でき、さらに油剤の種類を交換しても前回使用した油剤が混ざることを防止することもできる。また、緻密質なセラミックスからなるため、高回転時においても走行する糸条との摩擦が少なく、毛羽の発生が少ない給油用ローラ1を得ることが可能となる。また、高強度で、比剛性の高い基体を得ることができるので、たわみの小さい給油用ローラ1となり、内周の芯体1bに対する走行面1a(外周面)の振れや、同軸度に優れた給油用ローラ1を得ることが可能となる。
通常、給油用ローラ1の走行面1a上の油膜の厚みは5〜40μmにすることが好ましいが、独立気孔のみを有する緻密質のセラミックスからなるため、上述のように回転速度を調整することで油膜の厚みを調整することが容易にでき、さらには走行面1aが滑らかなため油剤が付着しやすく、走行面1aに均一な油膜を容易に形成することができる。そのため、従来のように油剤のエマルジョンの粘度で油膜の厚さを調整する必要もなく、給油用ローラ1の回転速度により自在に調整することが可能となる。さらには高速回転になっても遠心力にて破損することのない給油用ローラ1を得ることができる。
また、前記独立気孔は、走行面1aにおける気孔占有率が4%以下であることが好ましく、給油用ローラ1が高速で回転し、糸条が走行面1aを高速で走行する場合でも、糸条の毛羽の発生を抑制することができる。気孔占有率が4%を超えると糸条への毛羽の発生を抑制することができないおそれがある。さらには、気孔占有率を2〜3%の範囲とすることがより好ましく、糸条を形成する合成繊維がポリエステル、アセテート、ナイロン、アクリル、レーヨンなどの糸種に適しており、特に乾式紡糸のアセテート等の糸条の断面が円形に近いものではなく、独特な形状を備えているような糸種に用いる際には特に好ましい。
さらに、前記独立気孔は、その平均気孔径が4μm以下であることが好ましく、糸条が走行面1aを高速で走行する場合でも、気孔のエッジ部が糸条にダメージを与えることがないため、糸条の毛羽の発生を抑制することができ、走行面1aの染ムラも有効に防止することができる。平均気孔径が4μmを超えると、糸条が高速で走行する場合に毛羽の発生を抑制できないおそれがあるため好ましくない。また、平均気孔径は、小さくなり過ぎると、油膜形成において、保油力が損なわれるため、給油用ローラ1の走行面1aに油膜を形成し難く、糸条の毛羽の発生の抑制が困難となる。そのため、平均気孔径は2〜4μmの範囲とすることがさらに好ましい。
なお、前記気孔占有率、平均気孔径は、ニレコ社製のLUZEX−FSを用いて、例えば次の条件で測定する。倍率を100倍、1回の測定面積を9.0×10−2mm、測定回数10回とし、測定総面積9.0×10−1mm、ランプ電圧5Vとする。
また、前記走行面1aは、その算術平均高さ(Ra)が1μm以下であることが好ましく、走行面1aを糸条が高速で走行する場合でも、糸条に毛羽を発生させることができるからである。算術平均高さ(Ra)が1μmを超えると走行面1aの凹凸が大きくなるので、糸条が高速で走行する際に、糸条が損傷するおそれがあるため、得られた糸条を染色すると、染め色が部分的に異なるなどの染ムラが発生するおそれがある。また、算術平均高さRaが0.6μm未満であると、走行面1aの油膜の厚さが薄くなり、糸条が走行面1aをスリップしながら走行することがある。したがって、算術平均高さ(Ra)は0.6μm以上、1μm以下とすることが特に好ましい。
なお、算術平均高さ(Ra)はJIS B 0601−2001に準拠して測定すればよい。但し、測定長さおよびカットオフ値を、それぞれ2.5mmおよび0.8mmとする。そして、触針式の表面粗さ計を用いて測定する場合であれば、触針先端半径が2μmの触針を使用し、触針の走査速度は0.5mm/秒とすればよい。算術平均高さ(Ra)の平均値は、この測定で得られた5箇所の算術平均高さ(Ra)から求めればよい。
さらに、前記セラミックスは、アルミナ質セラミックスであることが好ましく、耐薬品性に優れ、各種の油剤に対しても浸食されず、糸条の走行に対しても耐摩耗性に優れ、高強度で比剛性の高い供給用ローラ1を得ることができる。また、アルミナ純度が90%よりも高いものであれば、剛性が高くなり、特に比剛性(ヤング率/比重)が80GPa・cm/gより大きい値とすることができ、その結果、給油用ローラ1が大形化しても給油用ローラの自重によるたわみを小さく維持することができるので、給油用ローラの糸条の速度を両端と中央部とで同じとすることができる。比剛性80GPa・cm/g以上を実現するためには、ヤング率が310GPa以上であることが好ましい。
給油用ローラ1の走行面1aは、CIE1976L色空間における明度指数Lが60以下であることが好ましい。ここで、明度指数Lとは色調の明暗を示す指数であり、明度指数Lの値が大きいと色調は明るく、明度指数Lの値が小さいと色調は暗くなる。明度指数Lの値を60以下としたのは、色相a及びbは走行面1aからの可視光の反射率の大小には大きな影響を及ぼさず、反射率に大きな影響を及ぼすものが明度指数Lである。Lが60以下であれば、糸条と表面1の呈色を肉眼により判別することが容易となる。一方、明度指数がLが60を越えると、白色系の糸条との識別が困難となる。さらには明度指数がL40以下とすることが好ましい。
なお、前記L表色系において、Lは明度指数、即ち明暗知覚の度合いを示すもので、a及びbは、知覚色度指数、即ち色相と飽和度の二つの属性を総合して考えた視知覚の属性を示すものである。
ところで、前記セラミックスとしては、例えば、金属元素としてTi、Co、MnよびFeのうち少なくとも1種を含有する酸化物からなり、かつAl換算の純度が90%以上であるアルミナ質セラミックスからなれば良い。これにより、色立体(L,a,b)におけるLが60以下の呈色を得るようにすれば良い。好ましくは、Ti、Co、MnよびFeのうち少なくとも1種をそれぞれTiO,CoO、MnOおよびFe換算で合計6〜9.5質量%、アルミナ質セラミックスに含有させる。
次に、本発明の給油用ローラの具体的な製造方法について説明する。
まず、原材料として、主原料であるアルミナ(Al)粉末と、焼結助剤として酸化硅素(SiO)粉末および酸化マグネシウム(MgO)粉末と、黒色化剤として、酸化鉄(Fe)粉末、酸化マンガン(MnO)、酸化コバルト(Co)粉末および酸化チタン(TiO)粉末とを、水を用いて湿式混合、粉砕した後、得られたスラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥・造粒して、顆粒を作製する。得られた顆粒を冷間等方加圧成形(CIP)や金型を用いた粉末加圧成形の方法を用いて、80〜100MPaの範囲の圧力にて円筒状の形状に成形して、円筒状成形体を作製する。
次に、焼成の最高温度が1420〜1520℃の範囲となるように酸化雰囲気にて焼成を行うことで円筒状のアルミナ質セラミックスを得る。
ところで、原材料中の各粉末の割合は、具体的には、アルミナ粉末を90質量%以上、SiOを0.8〜2質量%、MgOを0.3〜0.8質量%、Feを0.5〜1質量%、MnOを4〜5.5質量%、Coを1〜2質量%、TiOを0.5〜1質量%とすればよい。これにより、得られるアルミナは黒色のアルミナ質セラミックスとなり、白色系の糸条との識別を可能とすることができる。
原材料中の各粉末の組成を上記の通りとして得られる黒色系セラミックスは、ヤング率が300〜350GPa、ビッカース硬度(Hv1)が12〜14GPa、3点曲げ強度が300〜350MPaとなり、機械的特性に優れたものとなる。
また、気孔占有率が4%以下、平均気孔径が4μm、見掛密度が3.8〜3.9g/cm、平均結晶粒径が3〜8μmとなり、緻密で、表面にある気孔が独立気孔のみからなる円筒状アルミナ質セラミックスを得ることができる。ここで、見掛密度が3.8〜3.9g/cmになるよう製造することが好ましく、3.9g/cmよりも大きくなれば比剛性を低下させることになり、3.8g/cmよりも小さければヤング率の低下を招き、同様に比剛性を低下させることになる。特に気孔占有率を4%以下とすることで、緻密質のセラミックスであっても、表層に油膜を容易に形成できるアルミナ質セラミックスを製造することが可能となる。
そして、上記円筒状のアルミナ質セラミックスの内側に芯体1bを挿通して接着することで、給油用ローラ1を製造することができる。なお、給油ローラ1の形状を円柱状としても差し支えなく、この場合には芯体1bは不要となる。
また、給油用ローラ1は、芯体1bが回転することで回転する駆動ローラであるが、油剤が浸入しないベアリングを用いた構造とする場合には、糸条の走行によって自在回転するような従動ローラであっても構わない。
次に、本発明の紡糸引取り装置に関して説明する。
図2は本発明に係る紡糸引取り装置の一実施例を模式的に示す説明図である。
図2によれば、紡糸引取り装置10は、給油可能な給油用ローラ1を口金3直下に設置して、口金3より紡糸された糸条Yを、冷却装置2を介して冷却し、給油用ローラ1を駆動させて油剤を付与し、交絡処理装置4にて交絡処理を施し、ゴデットローラ5及び6を介して巻取装置7にて糸条Yを巻取るものである。
そして、給油用ローラ1は、上述した本発明の給油用ローラ1を用いたことを特徴とするものである。本発明の給油用ローラ1を使用することで、毛羽の発生のない良質な糸条Yを引取り可能な紡糸引取り装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施例に関して説明する。
本発明の給油用ローラからなる試料を次のようにして作製した。
まず、原材料として、主原料であるアルミナ(Al)粉末90.5質量%と、焼結助剤として酸化硅素(SiO)粉末1質量%および酸化マグネシウム(MgO)粉末0.5質量%と、黒色化剤として、酸化鉄(Fe)粉末0.8質量%、酸化マンガン(MnO)4.7質量%、酸化コバルト(Co)粉末1.7質量%および酸化チタン(TiO)粉末0.8質量%とを、水を用いて湿式混合、粉砕した後、得られたスラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥・造粒して、顆粒を作製した。得られた顆粒を冷間等方加圧成形(CIP)により、80MPaの範囲の圧力にて円筒状の形状に成形して、円筒状成形体を複数個作製した。得られた円筒状成形体を大気中、1420〜1520℃で焼成して円筒状のアルミナ質セラミックスを得た。得られた円筒状のアルミナ質セラミックスを研削して、外径100mm、内径60mm、長さ100mmの形状に加工し、給油用ローラを得た。加工後、円筒の内側に、エポキシ系樹脂からなる接着剤を介してアルミニウム合金製の芯体を挿入、接合し、本発明の試料を得た。
また、得られた円筒状のアルミナ質セラミックスから、直径10mm、厚み5mmの形状のテストピースを切り出した。
得られた本発明の試料および切り出したテストピースを用いて、次のような測定、評価を行った。
給油用ローラの表面の算術平均高さ(Ra)を測定した。なお、算術平均高さ(Ra)はJIS B 0601−2001に準拠して測定すればよい。測定長さおよびカットオフ値をそれぞれ2.5mmおよび0.8mmとし、触針式の表面粗さ計を用いて測定する場合であれば、触針先端半径が2μmの触針を使用し、触針の走査速度は0.5mm/秒とすればよい。算術平均高さ(Ra)の平均値は、この測定で得られた5箇所の算術平均高さ(Ra)から求めればよい。
上述のテストピースの気孔占有率、平均気孔径を、ニレコ社製のLUZEX−FSにて、倍率100倍にて、1回の測定面積9.0×10−2mm、測定回数10回とし、測定総面積9.0×10−1mm、ランプ電圧5Vとしてそれぞれ測定した。
図2に示すような紡糸引取り装置を用いて、アセテートトウ糸条の油分付着を行った。その際の引取り速度は2500m/分と一定とした。油剤はエマルジョンオイルとした。その際の毛羽の有無を、10000mの巻取りした糸条で1個以上であれば「毛羽有り」とした。また、巻き取り途中で糸切れした場合は「糸切れ有り」とした。さらに、糸条を青色に染色し、染ムラが有るかどうか観察した。
結果を表1に示す。
Figure 2008007881
これらの結果から、本発明の試料であるNo.2〜9は、糸切れが発生することはなく、さらに、気孔占有率が4%以下の試料No.3〜9は、毛羽が発生することはなく、平均気孔径が4μm以下の試料No.4〜9は、毛羽や染ムラが発生することもなかった。
これに対し、比較例として、焼成温度を1300℃とした比較例の試料No.1は、毛羽、糸切れが発生することがわかった。
本発明に係る給油用ローラの一実施例を示す斜視図である。 紡糸引取り装置の一実施例を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1・・・給油用ローラ
1a・・走行面
1b・・芯体
2・・・冷却装置
3・・・口金
4・・・交絡処理装置
5・・・ゴデットローラ
6・・・ゴデットローラ
7・・・巻取装置
10・・・紡糸引取り装置
Y・・・糸条

Claims (7)

  1. 走行する合成繊維の糸条に油剤を付与するための給油用ローラであって、少なくとも前記糸条が走行する走行面が、独立気孔のみを有する緻密質のセラミックスからなることを特徴とする給油用ローラ。
  2. 前記独立気孔は、前記走行面における気孔占有率が4%以下であることを特徴とする請求項1に記載の給油用ローラ。
  3. 前記独立気孔は、その平均気孔径が4μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給油用ローラ。
  4. 前記走行面は、その算術平均高さ(Ra)が1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の給油用ローラ。
  5. 前記セラミックスは、アルミナ質セラミックスであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の給油用ローラ。
  6. 前記走行面は、CIE1976L色空間における明度指数Lが60以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の給油用ローラ。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の給油用ローラを用いたことを特徴とする紡糸引取り装置。
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