JP2008001834A - 液体洗浄剤組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ホウ酸および/またはその塩(A)を、酸性成分(B)を含む水溶液に溶解し、前記ホウ酸および/またはその塩(A)の含有量が5〜30質量%であり、かつ25℃のpHが5〜8のプレミックスを予め調製することを特徴とする液体洗浄剤組成物の製造方法である。
【選択図】なし
Description
たとえば、ホウ酸などの酸またはその塩と、非イオン界面活性剤または両性界面活性剤と、特定の1価または多価アルコール類と、水とを含有し、硬質表面が本来有する色彩を鮮やかに回復させることができる液体洗浄剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。
また、ホウ酸、酸化ホウ素またはアルカリ金属ホウ酸塩と、アニオン界面活性剤と、ノニオン界面活性剤と、アルカリ性プロテアーゼとを含有し、酵素保存安定性に優れたpHが8〜11の水溶液からなる酵素含有液体洗浄剤が提案されている(特許文献2参照)。
液体洗浄剤組成物を製造する際、ホウ酸ナトリウムは、主配合槽に直接投入した場合、ホウ酸ナトリウムの溶解に時間を要する等、製造効率が悪く、主配合槽へ直接投入することは困難である。そのため、事前に予め溶解し、ホウ酸ナトリウム溶液(プレミックス)として主配合槽に投入する方法が考えられる。
しかしながら、上述のように、ホウ酸ナトリウムは水への溶解度が小さいため、大量の水で溶解しなければならず、また、大容量の溶解槽が必要となり、設備コストを要する等、製造効率が悪く、製造性に劣る問題がある。
特許文献2に記載の酵素含有液体洗浄剤組成物の製造方法は、上記4つの成分に水を加え、pH調整剤を用いてpHを8〜11に調整する方法であり、ホウ酸および/またはその塩の溶解に時間を要し、製造効率が悪いものである。
たとえば、ホウ酸ナトリウムの場合、ホウ酸ナトリウムを、10質量%のアルカリ水溶液に溶解することにより、ホウ酸ナトリウムの溶解性を、アルカリ無添加の水溶液(この場合のホウ酸ナトリウムの溶解性は、5質量%程度まで溶解するものである。)に比べて5倍大きくすることができる(すなわち、25質量%程度まで溶解する。)、との技術開示がなされている。これにより、小容量の溶解槽での溶解が可能となり、設備コストが削減する等、製造効率が向上し、製造性が向上し得る。
しかしながら、特許文献3に記載の液体洗浄剤組成物の製造方法は、アルカリ水溶液を用いているため、溶解槽のpHが約12以上の強アルカリ性を示す。
また、いったんホウ酸ナトリウム溶液(プレミックス)を調製した後、該プレミックスを溶解槽で何日かに亘って保存する場合、保存経時でホウ酸ナトリウムが析出する場合がある。
すなわち、本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法は、ホウ酸および/またはその塩(A)を、酸性成分(B)を含む水溶液に溶解し、前記ホウ酸および/またはその塩(A)の含有量が5〜30質量%であり、かつ25℃のpHが5〜8のプレミックスを予め調製することを特徴とする。
また、本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法においては、金属イオン捕捉剤を含む前記酸性成分(B)を用いることが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法においては、前記プレミックスと過酸化水素(C)とを混合することが好ましい。
「プレミックス」とは、たとえばホウ酸および/またはその塩を、主配合槽に投入する前に、事前に予め溶媒(好ましくは水など)に溶解させたホウ酸および/またはその塩の溶液を意味する。
本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法は、ホウ酸および/またはその塩(A)(以下、(A)成分ということがある。)を、酸性成分(B)(以下、(B)成分ということがある。)を含む水溶液に溶解したプレミックスを予め調製する方法である。
前記プレミックスを予め調製した後、該プレミックスと、洗浄成分などの任意成分とを混合することにより、本発明に係る液体洗浄剤組成物を製造することができる。
以下、本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法について、その一例として、<プレミックスを予め調製する工程>と、<プレミックスと任意成分とを混合する工程>とに分けて説明する。
本工程においては、(A)成分を、(B)成分を含む水溶液に溶解し、(A)成分の含有量が5〜30質量%であり、かつ25℃のpHが5〜8のプレミックスを予め調製する。
(A)成分としては、たとえばオルトホウ酸(H3BO3);ホウ酸イオンBO3 3−およびBO4 5−のつくる塩、あるいはそれらが縮合した陰イオンの塩(縮合ホウ酸塩)等が挙げられる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
上記(A)成分のなかで好適なものとしては、オルトホウ酸(H3BO3)、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸アンモニウムが挙げられ、四ホウ酸ナトリウムがより好ましい。
本発明においては、洗浄力と溶解性が良好なことから、四ホウ酸ナトリウム・5水塩、四ホウ酸ナトリウム・10水塩を用いることが特に好ましい。
(A)成分は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
なお、たとえば四ホウ酸ナトリウム(無水物)を単独で用いた場合、該四ホウ酸ナトリウムの3質量%水溶液のpHは約9を示す。
本発明において、(B)成分は、プレミックスの25℃のpHを5〜8の範囲に調整するために用いられる。プレミックスのpHを該範囲に調整することにより、本発明の効果が得られる。
(B)成分としては、たとえば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸が挙げられる。
無機酸のなかでは硫酸を用いることが好ましい。有機酸のなかでは、金属イオン捕捉剤としても用いられる有機酸(以下、単に「金属イオン捕捉剤」という。)を用いることが好ましい。
上記のなかでも、有機酸を用いることがより好ましく、金属イオン捕捉剤を用いることが特に好ましい。金属イオン捕捉剤を用いることにより、プレミックスのpHが調整されるとともに、(A)成分として用いられる原料(たとえば、工業用グレードのホウ酸塩など)に含まれる鉄イオン等の金属イオンが捕捉される。これにより、保存経時による該金属イオン由来の沈殿が抑制されて、プレミックスの保存安定性がより向上する。また、洗浄力の向上や、任意に配合される漂白成分の安定化の向上の効果が得られると推測される。
かかる金属イオン捕捉剤の具体例としては、たとえばクエン酸;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体;ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;ジカルボキシメチルグルタミン酸等の有機酸類、ポリアクリル酸等の高分子キレート剤等が挙げられる。なかでも、溶解性が良好で、プレミックスの保存安定性の向上効果が良好な点から、有機ホスホン酸誘導体が好ましく、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が特に好ましい。
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の好適な市販品としては、ローディア社製のBRIQUEST ADPA(商品名)、キレスト社製のキレストPH−210(商品名)、モンサント社製のDEQUEST 2010(商品名)等が挙げられ、いずれを使用しても同様の効果が得られる。
(B)成分は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
該水溶液(X)に含まれる(B)成分は、プレミックス中の(B)成分の含有量が、0.5〜15質量%となるように配合することが好ましく、2〜15質量%となるように配合することがより好ましく、5〜15質量%となるように配合することがさらに好ましい。該範囲とすることにより、プレミックスの25℃のpHを5〜8の範囲に調整することが容易となる。また、該範囲の下限値以上とすることにより、(A)成分の溶解性が向上する。一方、上限値以下とすることにより、プレミックスの保存安定性が向上する。
水溶液(X)は、(B)成分以外に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
たとえば、プレミックスのpHは、前記(B)成分のみで調整してもよく、その他のpH調整剤を併用して調整してもよい。
該pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等が挙げられ、水酸化ナトリウムが好ましい。
(B)成分とpH調整剤とを併用する場合、かかるpH調整剤は、(A)成分を水溶液(X)に溶解する前に、(B)成分とともに水溶液(X)中に含まれていてもよく、(A)成分を水溶液(X)に溶解する前に、(B)成分とともに水溶液(X)中に含まれていることが好ましい。これにより、効率的にプレミックスを調製することができる。
水溶液(X)への(A)成分の溶解は、プレミックス中の(A)成分の含有量が、5〜30質量%となるように配合し、10〜25質量%となるように配合することが好ましく、10〜20質量%となるように配合することがさらに好ましい。該範囲の下限値以上とすることにより、(A)成分を予め溶解(プレ溶解)する際、小容量の溶解槽(配合釜など)での溶解が可能となり、設備コストが削減するなど、経済的に有利となる。一方、上限値以下とすることにより(A)成分の溶解性が向上し、プレミックスの保存安定性も向上する。なお、上記プレミックス中の(A)成分の含有量は、無水塩に換算した値を示す。
水溶液(X)に含まれる成分としては、上記成分以外に、必要に応じて液体洗浄剤組成物に一般的に用いられる洗浄成分などの成分、たとえば、界面活性剤、金属イオン捕捉剤、ラジカルトラップ剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、無機塩類、ソイルリリース剤、シリコーン類、殺菌剤、抗菌剤、蛍光染料、酵素、香料、色素等を適宜、配合することができる。これらの成分としては、後述の任意成分のなかで対応するそれぞれの成分において例示されるものと同様のものを配合することができる。
なお、プレミックスの調製において、各成分の撹拌、混合には、その配合スケール等に合わせて、通常、液体洗浄剤組成物の調製に使用される撹拌機、混合機などを使用することができる。
ここで、プレミックスのpHは、プレミックス(25℃に調整)の原液を、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)により測定される値を示す。
本工程においては、上述の工程で予め調製されたプレミックスと、洗浄成分などの任意成分とを混合することにより、本発明に係る液体洗浄剤組成物が製造される。
かかる任意成分としては、液体洗浄剤組成物に一般的に用いられる洗浄成分などの成分を適宜、配合することができる。たとえば、界面活性剤、漂白成分、金属イオン捕捉剤、ラジカルトラップ剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、無機塩類、ソイルリリース剤、シリコーン類、殺菌剤、抗菌剤、蛍光染料、酵素、香料、色素等を配合することができる。
プレミックスは、液体洗浄剤組成物中、前記(A)成分と前記(B)成分の含有量が、下記となるように配合することが好ましい。
(A)成分は、その含有量が特に限定されるものではなく、液体洗浄剤組成物中、0.01〜10質量%となるように配合することが好ましく、0.1〜6質量%となるように配合することが特に好ましい。該範囲の下限値以上とすることにより、(A)成分の配合による効果がより得られやすくなる。一方、上限値以下とすることにより、製剤設計上、他の成分とのバランスをとることができる。
(B)成分は、その含有量が特に限定されるものではなく、液体洗浄剤組成物中、0.05〜3質量%となるように配合することが好ましく、0.1〜3質量%となるように配合することがより好ましく、0.3〜3質量%となるように配合することが特に好ましい。該範囲の下限値以上とすることにより、液体洗浄剤組成物としての性能(洗浄力など)が向上する。また、液体漂白剤組成物の場合、漂白成分の安定性が向上する。一方、上限値以下とすることにより、液外観がより良好となる。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを用いてもよく、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて併用することもできる。
上記のなかでも、過酸化水素等の漂白成分を含有する液体漂白剤組成物中での安定性等の点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、下記式で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが特に好ましい。
R−O−(AO)n−H
[式中、Rは炭素数8〜16の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり;AOはオキシアルキレン基を示し;nはAOの平均付加モル数を示し、3〜20
の数である。]
なかでも、アルキル基が好ましく、具体的にはオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基が好ましく挙げられ、ドデシル基、テトラデシル基が特に好ましい。
AOとしては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基等が挙げられる。なかでも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましく、オキシエチレン基が好ましい。AOは、1種単独で付加されていてもよく、2種以上が付加されていてもよい。
nは、前記AOの種類にもよるが、たとえばAOがオキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基の場合、3〜15とすることが好ましい。
また、nは、下記一般式(S)で表される、AOの付加モル数が異なるAO付加体の分布の割合を示すナロー率が55質量%以上のAO付加体であるものも好ましい。ナロー率は、55質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、液体洗浄剤組成物の液安定性が向上する。該ナロー率は、液安定性の点から高いほど好ましい。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖炭化水素型第4級アンモニウム塩、ジ長鎖炭化水素型第4級アンモニウム塩等の各種第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
漂白成分としては、たとえば過酸化水素、過酸化水素の活性を高める漂白活性化剤等、いわゆる酸素系漂白剤に通常用いられる成分が挙げられる。
本発明においては、前記プレミックスと、過酸化水素(C)(以下、(C)成分という。)とを混合することが好ましい。(C)成分を含有することにより、液体洗浄剤組成物において漂白効果を有する液体漂白剤組成物を容易に得ることができる。
(C)成分の含有量は、その用途等に応じて設計され、特に制限されるものではないが、液体洗浄剤組成物中、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜6%質量%であることがさらに好ましい。該範囲の下限値以上とすることにより、充分な漂白性が得られやすくなる。一方、該範囲の上限値以下とすることにより、界面活性剤等の他の成分とのバランスをとることができ、保存安定性が向上する。
なかでも、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸が好ましい。
漂白活性化剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
漂白活性化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜5質量%とすることが好ましく、0.1〜2質量%とすることがより好ましい。該範囲の下限値以上とすることにより、良好な漂白力が得られやすくなる。一方、該範囲の上限値以下とすることにより、液安定性が向上する。
本工程において用いることができる金属イオン捕捉剤は、上記(B)成分に例示の金属イオン捕捉剤と同様のものが挙げられ、なかでも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が特に好ましい。
金属イオン捕捉剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
金属イオン捕捉剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜3質量%とすることが好ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物には、任意成分としてラジカルトラップ剤を用いることができ、好ましくはフェノール系ラジカルトラップ剤を用いることができる。
たとえば、過酸化水素を配合した際、製品のpHが特に5以上になると、前記金属イオン捕捉剤のみでは過酸化水素の分解を抑制しきれない場合がある。かかる場合において、フェノール系ラジカルトラップ剤を併用することが好ましい。
また、誤使用などで衣類に塗布後、長時間放置してしまった際、汚れの中の金属や、過酸化水素と反応性の高い成分による過酸化水素の異常分解によって衣類を損傷する場合がある。かかる場合において、フェノール系ラジカルトラップ剤の添加によって、前記のような衣類のダメージを抑制することが可能となる。
本発明においてフェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノールおよびフェノール誘導体であり、該フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が好ましく挙げられる。なお、置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。
なかでも、フェノール性のOH基を有する化合物がより好ましい。
そのなかでも、さらに好ましい化合物は、「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)0が1.25V以下の化合物であり、特に好ましくは0.75V以下の化合物である。
上記化合物のなかでも、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が好ましく挙げられ、4−メトキシフェノールが特に好ましく挙げられる。
ラジカルトラップ剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
ラジカルトラップ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜6質量%とすることが好ましい。
なお、フェノール系ラジカルトラップ剤は、他のラジカルトラップ剤よりラジカルをトラップする効果が高いため、過酸化水素の製剤中での分解や、過酸化水素の汚れ成分との反応時の異常な分解をそれぞれ抑制することができると考えられる。したがって、容器中の液体洗浄剤組成物(液体漂白剤組成物)の安定性を保ち、衣類のダメージを抑制する効果が高いと推測される。
本工程において用いることができるpH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等が挙げられる。
pH調整剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができ、液体洗浄剤組成物のpHを、後述の所望とするpHに調整するために適宜、用いることができる。
本発明の液体洗浄剤組成物においては、ハイドロトロープ剤を用いることにより、香料等の各種成分を安定配合することができる。
ハイドロトロープ剤としては、エタノール、イソプロパノール、フェニルポリオキシエチレンアルコール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等を用いることができる。
ハイドロトロープ剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜10質量%とすることが好ましい。
無機塩類としては、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を用いることができる。
ソイルリリース剤としては、たとえば水溶性ポリマー等が挙げられ、具体的には、ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそのエステル、ポリカルボン酸、ポリアルコール、ポリアルキレングリコール等から構成される重合体等を用いることができる。
ソイルリリース剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
ソイルリリース剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜3質量%とすることが好ましい。
なお、ここでいう「水溶性ポリマー」とは、25℃の温度条件において、イオン交換水に対して高分子を溶解して調製した濃度1質量%(純分換算)の水溶液が、調製直後、濁らず透明であるものをいう。なお、ここで「透明」とは、光路長10mmのガラスセルを使用し、対照側のセルにイオン交換水を入れた場合、波長660nmの光透過率が95%以上であることを意味する。
液体洗剤組成物のpHは、洗浄力と液の保存安定性の点から、pH5〜11とすることが好ましく、pH6〜10とすることが特に好ましい。
また、たとえば液体漂白剤組成物の製造の場合、配合スケールの約90質量部程度の水を投入した後、界面活性剤、漂白活性化剤、ハイドロトロープ剤、ラジカルトッラプ剤を順次、投入して混合する。次いで、予め調製されたプレミックスを投入して混合する。その後、金属イオン捕捉剤、水溶性ポリマー、香料を順次、投入して混合した後、過酸化水素(C)を投入する。その後、pH調整剤を添加し、水で全量が100質量%となるようにバランスすることにより液体漂白剤組成物が得られる。液体漂白剤組成物の製造においては、(C)成分を、pH調整剤以外の成分を混合した後で投入することが特に好ましい。これにより、(C)成分を安定に液体漂白剤組成物中に配合することができる。
液体漂白剤組成物のpHは、(C)成分の安定性がより良好なことから、pH3〜8とすることが好ましく、pH5〜7とすることが特に好ましい。
ここで、液体洗剤組成物、液体漂白剤組成物のpHは、上記プレミックスのpHの測定方法と同様の方法により測定される値を示す。
なお、液体洗浄剤組成物の製造において、プレミックスと各任意成分との撹拌、混合には、その配合スケール等に合わせて、通常、液体洗浄剤組成物の製造に使用される撹拌機、混合機などを使用することができる。
本発明により、水への溶解度の小さいホウ酸および/またはその塩を、効率的で安全に配合することができる。また、本発明により、ホウ酸および/またはその塩を高濃度で溶解できるため、小容量の溶解槽(配合釜など)を使用することができる。また、プレミックスを保存しても析出が起こらず、保存安定性が良好なことから、製品配合に使用する数日分のプレミックスを一度に調製しておくことができ、効率的生産が可能となる。さらに、製造コストを削減することも可能となる。
本発明によれば、プレミックスの25℃のpH5〜8が、最終的に製造される液体洗浄剤組成物のpHに近いため、pH調整が容易となる。また、かかるpH範囲を有することにより、製造設備の腐食の懸念がほとんどない。
本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法によれば、液体洗剤組成物と、液体漂白剤組成物とを提供することができる。
本発明の製造方法により製造される液体洗浄剤組成物(液体漂白剤組成物)は、過酸化水素の保存安定性が良好である。
表1に示す原料(ホウ酸またはその塩(A)、酸性成分(B)、水酸化ナトリウム)を用いて、表2に示す組成のプレミックスを、以下の方法によりそれぞれ調製した。
スリーワンモーター(製品名:TYPE:HEIDON 1200G、新東科学社 製)にパドル2枚羽根(直径7cm)を取り付けた撹拌機を、1Lビーカーにセットした。
次いで、全仕込量(配合スケール)が800gになるように、前記1Lビーカー内に、精製水→酸性成分(B)→水酸化ナトリウム(実施例6、9)の順に添加しながら、撹拌混合した。原料の添加中、パドル2枚羽根の回転数は、180rpmとした。
その後、撹拌混合された溶液に、ホウ酸またはその塩(A)を添加して撹拌混合することによりプレミックスを得た。
なお、表2中の配合量は純分換算量を示す。ただし、ホウ酸またはその塩(A)において、四ホウ酸ナトリウムの水塩を用いた場合の配合量は、四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)換算で算出した濃度を示す(すなわち、Na2B4O7量を示す)。
また、表2中の配合量の単位は質量%であり、総量が100質量%となるように精製水の量を調整した。精製水は、25℃に調整したものを用いた。
上記のプレミックスの調製において、ホウ酸塩(A)を添加して10分間撹拌後のプレミックスのpHと液外観とをそれぞれ評価した。
pHは、プレミックス(25℃に調整)の原液を、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)により測定した。
液外観は、目視により、下記基準に基づいて評価した。
○:均一に溶解した。
×:析出成分が認められた。
各例のプレミックスを、それぞれ100mLのガラス瓶に移して密閉し、10℃の恒温槽に保管し、液外観の変化を、目視により、下記基準に基づいて評価した。
◎:8日後、均一であった。
○〜◎:6日後、均一であった。
○:4日後、均一であった。
△:2日後、析出成分が認められた。
×:1日以内に析出成分が認められた。
また、プレミックスの25℃のpHが5未満の比較例2と比較例4、および25℃のpHが8を超えている比較例3は、いずれもプレミックス調製直後からホウ酸塩が析出することが確認された。
また、ホウ酸塩の含有量が過多の比較例5についても、プレミックス調製直後からホウ酸塩が析出することが確認された。
さらに、実施例1〜9のプレミックスは、ホウ酸塩を高濃度で溶解できるため、小容量の溶解槽(配合釜など)を使用できることにより、コスト削減が可能となる。
また、実施例1〜9は、プレミックス調製後、該プレミックスを保存しても経時でホウ酸塩の析出が起こらないことから、製品配合に使用する数日分のプレミックスを一度に調製しておくことができ、製造効率を高めることができる。
上記で得られた実施例1〜9のプレミックスを用い、表3に示す組成の液体洗浄剤組成物(液体漂白剤組成物:実施例11,13,15〜18/液体洗剤組成物:実施例12,14,19)を、以下の方法によりそれぞれ調製した。
スリーワンモーター(製品名:TYPE:HEIDON 1200G、新東科学社 製)にパドル2枚羽根(直径7cm)を取り付けた撹拌機を、2Lビーカーにセットした。
次いで、全仕込量(配合スケール)が1800gになるように、前記2Lビーカー内に、表3に示す成分を、配合順序に従って添加しながら、撹拌混合して液体洗浄剤組成物を得た。原料の添加中、パドル2枚羽根の回転数は、180rpmとした。
ただし、表3中の配合量は、プレミックス以外の成分は純分換算量を示す。プレミックスは、それ自体(有り姿)の含有量を示す。表3中の配合量の単位は質量%を示す。
また、精製水1は、1700gから、配合順序2〜18までの原料の合計の配合量を差し引いた量(所定量)を設定し、配合した。精製水2の量は、総量が100質量%となるように調整した。精製水1、精製水2は、いずれも25℃に調整したものを用いた。
なお、比較例1〜5のプレミックスは、均一でなかったため、液体洗浄剤組成物の製造に配合することができなかった。
ノニオン界面活性剤−1、ノニオン界面活性剤−2:下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(エチレンオキサイド付加体)であって、前記一般式(S)で表されるナロー率(エチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布の割合)が特定されたエチレンオキサイド付加体、ライオン社製。
R1O−(CH2CH2O)n’−H ・・・(I)。
[式中、R1はアルキル基を表し;nはエチレンオキシド平均付加モル数を表す。]
・ノニオン界面活性剤−2:ナロー率40質量%、アルキル基R1=C12H25−とC14H29−との混合物(混合割合は質量比で7/3)、EO平均付加モル数n’=15。
・LAS−Na:炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ライオン社製。
・AOS−Na:炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(40質量%品)(商品名「リポランLB−440」、ライオン社製)。
・モノアルキル(C16,18)トリメチルアンモニウムクロライド(アルキル基の炭素数16のトリメチルアンモニウムクロライドと、アルキル基の炭素数18のトリメチルアンモニウムクロライドとの混合物):商品名「アーカードT−800」、ライオン社製。
・有機過酸前駆体:ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ライオン合成品;特開平06−316700号公報に記載の漂白活性化剤(I−3)の合成方法に準じて製造されたもの。
・フェニルポリオキシエチレンアルコール:商品名「フェニルジグリコールPhDG」、日本乳化剤社製。
・4−メトキシフェノール:商品名「MQ−F」、川口化学社製。
・HEDP:ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60質量%品)(実施例13、16、17に使用したHEDP:商品名「BRIQUEST ADPA」、ローディア社製;実施例11、15、18に使用したHEDP:商品名「キレストPH−210」、キレスト社製)。
・水溶性ポリマー:ソイルリリース剤(アルキレンテレフタレート単位を有する重合体、重量平均分子量3000)、商品名「SRN−100」、クラリアント社製。
・香料A〜D:特開2003−268398号公報の表7〜14に記載の香料組成物A〜Dと同様のもの。
・過酸化水素:35質量%水溶液、三菱瓦斯化学社製。
・硫酸:商品名「62.5%硫酸」、日産化学工業社製。
・水酸化ナトリウム:商品名「25%水酸化ナトリウム」、旭硝子社製。
各例の液体洗浄剤組成物を、それぞれ100mLのガラス瓶に移して密閉し、40℃の恒温槽に保管し、1ヶ月後の液外観の変化を、目視により、下記基準に基づいて評価した。
○:外観変化は認められなかった。
×:沈殿もしくは相分離が発生した。
各例の液体洗浄剤組成物を、それぞれ100mLのガラス瓶に移して密閉し、10℃の恒温槽に保管し、1ヶ月後の液外観の変化を、目視により、下記基準に基づいて評価した。
○:外観変化は認められなかった。
×:沈殿もしくは相分離が発生した。
Claims (3)
- ホウ酸および/またはその塩(A)を、酸性成分(B)を含む水溶液に溶解し、
前記ホウ酸および/またはその塩(A)の含有量が5〜30質量%であり、かつ25℃のpHが5〜8のプレミックスを予め調製することを特徴とする液体洗浄剤組成物の製造方法。 - 金属イオン捕捉剤を含む前記酸性成分(B)を用いる請求項1記載の液体洗浄剤組成物の製造方法。
- 前記プレミックスと過酸化水素(C)とを混合する請求項1または2に記載の液体洗浄剤組成物の製造方法。
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