JP2007527951A - 鋳鉄材料 - Google Patents

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Abstract

本発明は、個々の合金成分の含有率を変化することによって広い製品範囲について簡単な方法でその最適な特性を調整することを可能にする、グラファイトフレークを有する鉄材料に関する。この目的のために本発明による鋳鉄材料は、重量で3.4〜4.1%のC、0.9〜1.4%のSi、0.4〜0.7%のMn、0.4〜0.6%のCu、0.01〜0.04%のS、0.003〜0.007%のO2、0.04%以下のP、並びに鉄および不可避の不純物を残余として含む。加えて、任意に0.15〜0.45%のMo、0.005〜0.02%のLa、0.0005〜0.01%のSr、0.05〜0.8%のNi、0.005〜0.1%のV、0.05〜0.15%のSn、0.05〜0.08%のN、および0.01〜0.02%のCeを単独でまたは組み合わせて含まれ得る。この場合には、飽和度Sc=C%/4.26−0.3×(Si%+P%)に0.85%≦Sc≦1.05%が当てはまり、量%MEG=2.25%−0.2Si%に1.97%≦MEG≦2.07%が当てはまる。

Description

本発明は、ブレーキディスク、軽量のエンジンブロック、重量のエンジンブロックおよびシリンダーヘッドに特に適したグラファイトフレークを有する鋳鉄材料に関するものである。
グラファイトフレーク(ねずみ鋳鉄)を有する鋳鉄は、隠された欠陥が発生するリスクが低く、且つ良好な機械加工性と非常に有利な鋳造特性を有する、好ましい構造材料である。
その材料の引張強さに関して今日既に求められている要求性能は、従来のねずみ鋳鉄の問題の無い適応性の限界に達している。これは、一方では例えば内燃機関の鋳造において増加した生産能力が求められており、他方では軽量構造が最近の鋳造構造の中心的目標であるという事実によるものである。その状況をさらに難しくしているのは、一般に300MPaよりも高い引張強さのみならず、高い熱伝導性、熱的‐機械的疲労に対する高い抵抗性、および摩擦磨耗と摺動摩擦に対する高い抵抗性のような他の特性の最適化をも使用者が要求しているという事実である。鋳造の成果物の品質は、厳格な試験にもさらされるものである。
高い引張強さに関する要求は、基本的には、炭素および珪素の含有率または飽和度を低減させること、並びに合金することによって添加される元素の全含有率が約2%までのCr、Cu、Ni、MnまたはMoを合金することによって満たされ得るものである。熱的‐機械的疲労に対する抵抗性もまた、このようにして十分に高められ得る。
しかしながら、上記の対応策は、鋳造特性および加工された鋳鉄材料の自給性能(self-feeding capacity)におけるかなりの低下をもたらす。隠された欠陥のリスクと部分的な炭化物系の(carbidic)凝固(エッジ硬さ)の発生が増加する。同時にその材料の機械加工性が大幅に損なわれる。それ故、工業的な生産において、上記の対策で達成される引張強さおよび熱的‐機械的疲労に対する抵抗性における増加のために、30%までの不良品率が受け容れられねばならない。
しかしながら、ねずみ鋳鉄の熱伝導性が、周知のように鋳物中に含有されるグラファイトの量の関数であって、グラファイトの量の減少と共に減少するものであるから、高い熱伝導性に対する要求は、炭素および珪素の含有率または飽和度を低減させること、或いは特定の合金元素で合金することによっては満たされ得ない。合金することによって添加される元素はまた、熱伝導性の減少をももたらす。
有効なブレーキディスクが比較的高い強度を有する好適に合金された材料から鋳造されるべきものであれば、後者が特に顕著である。
これらの元素の凝離挙動のために、CrおよびMoのような炭化物形成性の元素と合金することが、たとえそれらの元素の溶解性に関する理論的な限度内(おおよその目安として、個々の元素の原子半径<1.15×鉄原子半径)でそれが生じる場合であっても、望ましくない複合炭化物の形成に至る。これらの炭化物が機械加工性に関して不利な作用を有する「廃棄物」であるという事実とは別に、これは、もし鋳造操作において製造される鋳造材料が循環再利用されるならば、その回路の全システムのエントロピーが増加されるという基本的な欠点を有する。
循環再利用される材料をリサイクルする場合に、特に炭化物は大雑把に言って完全には破壊されない。それよりむしろ、それらが凝固するときに再び炭化物を形成するクラスターと称されるものとして保持される。個々に規定される量のクロムおよびモリブデンでの更新された合金の結果として、新たな炭化物が形成される。その結果、加工される鋳造材料が炭化物で富化されるこのプロセスは、鋳造材料の特性上クリーピング低下に至る、不使用のクロムおよびモリブデンのゆっくりとした、しかし避けられない増加をもたらす。その凝離した元素がFe‐C‐X系における共融平衡の温度に種々の方式で影響を及ぼし、そしてその溶融物中にも存在する不活性な非金属相がクリーピング増加のプロセスを受けやすいと言う事実の結果として、懸念される「逆の冷却」(inverse chill)の鋳造欠陥が極端な場合に鋳造操作において生じ得る。
上記の先行技術に加えて、(重量%で)3.5〜3.7%のC、0.9〜1.1%のSi、1%までのMnおよび0.02〜0.05%の含有率で硫黄に結合されていないランタンを含み、そして任意に0.3〜0.6%のCr、0.1〜1.0%のCu、0.3〜0.6%のMoおよび0.02〜0.05%のTiをも含むカム軸を製造するための鋳鉄材料が、欧州特許出願公開第1213071号明細書から知られている。ランタンは、その材料の硬度を増加させ、そして摩擦学的な(tribological)挙動を改良する細粒化を引き起こす目的で、既知の材料に添加される。この組成を有する合金の特性は、欧州特許出願公開第1213071号明細書において、(重量%で)3.69%のC、0.95%のSi、0.05%のLa、0.029のS、0.0035%のO、0.29%のMn、0.5%のCr、0.2%のCu、0.51%のMoおよび0.022%のTiを含む実施態様を使用して、詳細に議論されている。
グラファイトフレークを有する鋳鉄材料のさらなる例が、欧州特許出願公開1004789号明細書から知られている。その材料は、増加された実用寿命で特徴付けられているブレーキディスクを製造するために使用される。この目的のため、欧州特許出願公開1004789号明細書で知られた鋳造材料は、重量%で3.9〜4.2%のC、0.7〜1.2%のSi、0.02%までのP、0.02%までのS、および0.05%までのAlを含有する。その公知の材料はまた、Mn、V、CuおよびCrを含有していても良く、そこではそれらの合金元素の全部分が1.6%を超えるべきではない。このタイプの材料から製造されたブレーキディスクが、良好な靭性と組み合わされた特に高い熱伝導性で特徴付けられている。その公知の合金は、重量%で4.1%のC、1.0%のSi、0.02%のP、0.03%のS、0.3%のMn、0.01%のV、0.4%のCu、0.3%のMoおよび0.015%のAlを含有する実施態様の助けをかりて詳細に試験されている。
上記の先行技術から見て、本発明の目的は、個々の合金成分の含有率を変えることによって、個々の最適な特性を広い範囲の製品に簡単に適合させる合金の概念を生み出すことである。
この目的は、本発明に従って、グラファイトフレークを有する鋳鉄材料であって、重量%で
3.4〜4.1%のC、
0.9〜1.4%のSi、
0.4〜0.7%のMn、
0.4〜0.6%のCu、
0.01〜0.04%のS、
0.003〜0.007%のO2
0.04%以下のP、並びに
Feおよび不可避の不純物を含む残余
の組成を有し、
そこでは該組成が、
0.15〜0.45%のMo、
0.005〜0.02%のLa、
0.0005〜0.01%のSr、
0.005〜0.1%のV、
0.05〜0.8%のNi、
0.05〜0.15%のSn、および
0.05〜0.08%のN、
の元素の1種以上を任意に含有することが出来て、そして
飽和度Sc=C%/4.26−0.3×(Si%+P%)(但し、C%はCの含有率、Si%はSiの含有率、P%はPの含有率)に0.85%≦Sc≦1.05%が当てはまり、量%MEG=2.25%−0.2Si%(但し、Si%はSiの含有率)に1.97%≦MEG≦2.07%が当てはまる、
鋳鉄材料によって達成される。
本発明は、特にその強度並びに熱伝導性と注型適性の双方に関して最適化されている特性の組み合わせを有し、その実際の鋳造操作において生じる良好な特性中でクリープ性減少のリスクが最小に低減される、Fe−C−Si−X合金を提供する。
本発明による鋳鉄材料は、望ましくないまたは不必要な元素および副生物がほとんど無い。従って、硫黄および酸素の含有率は、その鉄材料の特性に対して崩壊させるような影響をもはや有さないような程度である。その結果、その鉄格子は、精製されて、必要な外部元素を吸収するための充分な空き容量を含有する。酸素および硫黄の最小含有率はまた、結晶核の形成のためのブロックを構築するようにその二つの元素が供するように規定される。
飽和度および共融グラファイトの量に関して本発明によって特定される調整規定に準拠して、炭素および珪素の含有率は、飽和度Scが比較的広く変化する場合であっても、グラファイトの共融量MEGが高いものである。
本発明による鋳造材料中に存在する共融グラファイトの量MEGは、通常の鋳造鉄の場合をかなり上回る。そのMEG値は、典型的には約1.85重量%程度である。本発明による鋳造材料において、10%〜20%だけ高い体積分率がこのようにして得られる。従来の鉄材料と比較して本発明のよる鋳鉄材料の決定的な利点は、この超過量にある。従って、本発明による材料は、従来の鉄材料と比較して、鉄中の収縮とグラファイトの膨張を均衡させる目的のための非常に優れた自給性能を有する。実際の鋳造操作において、この特性は、高品質の鋳造製品が製造されると言う信頼性に明らかな増加をもたらす。
本発明による鋳造材料を製造するときに、播種による還元溶融処理は、各々のレベルの酸素の含有率および/または硫黄の含有率に強く指向させられるべきである。
合金元素として、本発明は、その原子半径が鉄の半径から大きく異なるものではない元素を提供する。その差は、好ましくは最大2%までである。合金元素は、強力な炭化物形成物であってはならず、そして直接的に凝離すべきではない。それ故、本発明によって、個々の要求特性を調整するために、所望であれば、銅、ニッケル、マンガンまたはモリブデンが鉄材料に合金することによって添加され得る。原子半径が鉄のものよりも50%まで大きい錫も、この目的のために添加され得る。
従って、本発明による鋳鉄材料は、所望の高い黒鉛化度に逆の作用をもたらすことなくパーライトの形成を促進するために、0.4重量%〜0.6重量%の量で銅を含有する。Cuの存在のさらなる正の効果は、凝離方向がこの元素上に形成されると言う事実にある。軽量エンジンブロックのようなより軽量の鋳造部品を製造する場合、それらの効果を達成するために、Cu含有率の範囲が0.45〜0.55に限定されれば有利であることが判明している。
付加の方法によって、本発明による合金は、0.05〜0.8重量%の、好ましくは0.05〜0.7重量%の量のニッケルをも含有し得る。0.05〜0.08重量%の窒素含有率も、Niとの組み合わせで、またはそれら自体で供給され得る。その2種の合金元素は、部分的なパーライト分解の場合であっても、仕上げられた鋳造部品において高い強度が得られることを確実にするものである。それ故、特に好ましくは、それらの形状または質量によって、パーライト分解の危険性を有しながらゆっくり冷える鋳造部品が製造される場合に、NiおよびNが、本発明による鉄材料中に組み合わせでまたは単独で存在する。この場合の基準は、Ni含有率および/またはN含有率が高ければ高いほど、その鋳造部品のモジュラスが大きいことである。
この場合の「モジュラス」(modulus)なる技術的用語は、鋳造部品の体積の放熱面積に対する比率を示しており、そこでは通常「cm」が測定の単位として使用される。
0.4重量%〜0.7重量%の範囲内のMn含有率も同様に、パーライトの形成を助長する。但し、マンガンは、特にマンガンに凝離方向を形成するために添加される。より迅速に冷却する軽量の鋳造部品を製造するために、そのMn含有率はその効果を達成するため0.45〜0.65重量%の範囲に限定され得る。
燐の最大含有率は、その材料に靭性に対して有害であるようなホスフィット共融の形成を最小にするために、0.04重量%までに限定される。
硫黄含有率もまた、この理由による硫化物形成を避けるために、最大0.04重量%までに限定されねばならない。Ceが存在する場合には、本発明によれば少なくとも0.1重量%の含有率で、極めて精巧に分布されるオキシスルフィドに至る核形成のために使用される。それには以下のような基準が適用され得る。即ち、Ceが存在する場合、Ceの含有率は、S含有率が大きくなるほどそれが高いように調整されねばならない。硫黄と共にCeによって形成されたオキシスルフィドは、グラファイトの形成を促進し、その靭性を減少させることなくその材料の強度および硬さの増加を引き起こす。
Moは、0.15重量%〜0.45重量%の量で本発明による鋳鉄材料に添加され得て、熱応力の場合に鉄格子から拡散による置換移動をブロックして、そして結果的にクラックの形成を防ぐ。Moの添加によって達成される、本発明による材料の特性が得られると言う信頼性は、Mo含有率の上限が0.35重量%に限定され、その下限が0.2重量%に上昇される場合に、高められ得る。
0.05重量%〜0.15重量%の錫の含有率は、型中での鋳造備品のより長い滞留時間と共に、グラファイトフレークの周りでの微小な凝離ゾーンの形成をもたらし、そしてグラファイトからのそして基礎マトリックス中への炭素の拡散を防止する。
ストロンチウムの添加は、核形成、および所望の特性に関して有利な構造の形成を助長する。この目的を信頼性高く達成するためには、少なくとも0.0005重量%のSrが要求される。他方、0.01重量%よりも多い含有率では、正の効果がもはや確かめられない。特にその強度がとりわけ重要なより大きな鋳造部品の場合には、Srが0.0005〜0.002重量%の量で存在すれば、特別に正の効果が達成される。
0.005重量%〜0.02重量%の範囲のランタンの含有率は、本発明による鋳造合金の注型適性について有利な効果を奏し、そして細粒化を含むことによって、その材料の硬さおよびその摩擦学的な挙動を助長する。
その材料の硬さおよび引張強さを高めるために、必要に応じて、バナジウムが本発明による合金に添加される。バナジウムは、パーライトのセメンタイトを合金し、グラファイトフレーク中に短くて丸みのついたフレークの形成をもたらし、その結果硬さと靭性が増加する。この目的のためにバナジウムが本発明による合金に添加される場合、所望の成功度合いを信頼性高く達成するために、個々の部材のモジュラスの関数としてその添加がなされ得る。そのVの含有率は、この場合に厚さの増加と共に高められるべきである。それに関する実際の試験では、その鋳造部品のモジュラスが0.25〜0.65cmの場合にVの含有率が0.025〜0.035重量%であり、モジュラスが0.65〜1.2cmの場合にVの含有率が0.035重量%より高く0.065重量%までであり、モジュラスが1.2cmより大きい場合にVの含有率が0.055重量%より高く0.1重量%までであれば、最適の鋳造部品適性が達成されることが示されている。その溶解性の限度は、0.1重量%より高いと言う本発明による含有率で超えられている。
ブレーキディスクの製造に特に適する本発明による種々の合金は、その炭素含有率が3.8〜4.1重量%の範囲内であることを特徴としている。その高い炭素含有率は、150〜200MPaの範囲内の強度をもたらす。同時に、このタイプの組成を有する合金から製造された鋳造部品は、高いレベルの靭性と共に高い熱伝導性を有する。その珪素含有率は、好ましくは同様の目的のために0.9〜1.2重量%の範囲内にある。
良好な熱伝導性と組み合わされた高い強度が前面にある鋳造部品を鋳造するために、本発明の更なる変更が、3.4〜3.8重量%、特に3.4〜3.6重量%の範囲内にある炭素含有率を提供される。
それに関する試験では、このタイプの組成を有する本発明による鋳鉄材料が、鋳造状態で普通に300MPaより高い強度を有することが示されている。
壁の厚い鋳造部品を鋳造する場合、鋳造中の低下されたC含有率での再酸化の危険性に対処するために、その合金のSi含有率が1.15〜1.4重量%、特に1.2〜1.4重量%であっても有利である。
本発明による鋳鉄合金の酸素含有量は、特に重要である。核形成の速度および程度はO2含有量によって制御される。例えば、酸素含有量の増加が急激な粒子成長をもたらし、一方では低い酸素含有量はその成長をあまりもたらさない。それらの効果は、30〜70ppmの範囲内にあるO2含有量で達成される。もしブレーキディスクまたは同様に構成された部品が本発明による合金から製造されれば、その酸素含有量が30〜40ppmに限定されるような酸素含有量によって最適の構造が得られことが可能である。0.1〜0.4cmのモジュラスを有する、軽量エンジンブロック等のような薄い壁の鋳造部品について、50〜70ppmの高いO2含有量は、その短い冷却期間内での迅速な粒子成長を助長するので有利であることが証明されている。0.4〜1cmの範囲内のモジュールを有する厚い壁の部品、例えば重量エンジンブロックの場合には、O2含有量が40〜60ppmであれば、最適な構造特性が達成される。他方、1〜2.5cmの範囲内のモジュラスを有する、シリンダーヘッドのような複雑な形状の鋳造部品を鋳造する場合には、本発明による合金のO2含有量が30〜50ppmの範囲内であれば、それらの部品について要求される特性に関して最適化された粒子成長が達成される。
鋳造状態において本発明による鋳鉄材料中に含有される酸素の50%より多いものが、酸素での還元の開始温度が1,700Kより高いタイプの酸素の形にある場合に、本発明による鋳造材料の高い引張強さが特に信頼性高く確保され得る。
本発明による鋳鉄材料は、改良された強度、熱伝導性、靭性および機械加工性に加えて、良好な耐蝕性をも有する。この特性の特有の組み合わせの結果として、本発明による鋳鉄材料は、ブレーキディスクおよびエンジンブロックまたは内燃機関のためのシリンダーヘッドを製造するのに特に適している。特に、良好な注型適性、機械加工性および高い熱伝導性と組み合わされた高い引張強さは、本発明による材料を、燃焼プロセスの過程において燃焼チャンバー領域内で極端に高い圧力負荷が生じる新式のディーゼルエンジン用のブロックを製造するための材料としての用途に特に適したものにしている。
本発明による鋳鉄材料の特性は、数多くの実施例において実証されている。
例えば、表1aに重量%で示されている組成B1〜B7を有し、表1bに示されているSc値、%MEG値、引張強さRmおよびブリネル硬度HBを有する本発明による鋳鉄材料から、HGVブレーキディスクが鋳造されている。表1bは、各々の場合に得られた製品の構造の評価をも含んでいる。
表1aに示されている合金から鋳造されたHGVブレーキディスクは、160〜230MPaの範囲内の引張強さを有することが見出されている。この場合の硬度の値は147〜220の範囲内にあり、そのためブレーキディスクが高い強度に加えて良好な耐磨耗性を有する。それらはまた、顕著な熱伝導性を有し、そのため高い負荷の場合であってもそれらに作用する力を信頼性高く吸収して放散し得る。
表2aは、本発明による鋳鉄材料の合金D1〜D5に関するC、Si、S、Mn、Cu、V、Mo、SnおよびNiの含有率を示している。尚、それらから0.7〜0.8cmのモジュラスを有する薄壁の自動車エンジンブロックが鋳造されている。関連する合金D1〜D6はまた、各々において重量で60ppmのO2および0.01重量%のLaをも含有した。表2bは、構造の評価と共に、各々の場合における種々の測定点に渡って平均された関連する値、%MEG、Sc、引張強さRmおよびブリネル硬度HBを含んでいる。
表3aは、本発明による鋳鉄材料の合金Z1〜Z6に関するC、Si、S、Mn、Cu、V、Mo、SnおよびNiの含有率を示している。尚、それらから100kg(合金Z1〜Z4)および400kg(合金Z5およびZ6)の重量を有するシリンダーヘッドが鋳造されている。100kgのシリンダーヘッドのモジュラスは2.5cmと3cmの間にあり、一方400kgのシリンダーヘッドのモジュラスは1cmであった。関連する合金Z1〜Z6はまた、重量で40ppmのO2および0.01重量%のLaをも含有した。表3bは、関連する値、%MEG、Sc、引張強さRmおよびブリネル硬度HB、並びに構造の評価を含んでいる。
最後に、重量で3.6%のC、1.35%のSi、0.1%のSn、0.5%のMn、0.5%のCu、0.01%のV、0.2%のMo、重量で40ppmのO2および0.03%のS、並びに鉄および不可避的な不純物である残余からなる、本発明による鋳鉄合金から、重量のクランクケースが鋳造された。その合金のSc値は0.93であり、%MEG値は1.98であった。出来上がったケースは、320MPaの引張強さRmと精巧な構造のパーライトの構成を有していた。
このように本発明は、広範囲で変更され得る優れた特性スペクトルを有する鋳鉄材料を提供する。本発明によるその材料は、特に良好な機械加工性によって特徴付けられる。その高い引張強さは、以前には通常のねずみ鋳鉄からのみ製造されていた既知の鋳造構造が、高価なリストラクチャリングを必要とすることなく高い強度で製造されることを可能にするものである。
Figure 2007527951
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Claims (19)

  1. グラファイトフレークを有する鋳鉄材料であって、重量%で
    3.4〜4.1%のC、
    0.9〜1.4%のSi、
    0.4〜0.7%のMn、
    0.4〜0.6%のCu、
    0.01〜0.04%のS、
    0.003〜0.007%のO2
    0.04%以下のP、並びに
    Feおよび不可避の不純物を含む残余
    の組成を有し、
    そこでは該組成が、
    0.15〜0.45%のMo、
    0.005〜0.02%のLa、
    0.0005〜0.01%のSr、
    0.05〜0.8%のNi、
    0.005〜0.1%のV、
    0.05〜0.15%のSn、
    0.05〜0.08%のN、および
    0.01〜0.02%のCe
    の元素の1種以上を任意に含有し得て、そして
    飽和度Sc=C%/4.26−0.3×(Si%+P%)(但し、C%はCの含有率、Si%はSiの含有率、P%はPの含有率)に0.85%≦Sc≦1.05%が当てはまり、量%MEG=2.25%−0.2Si%(但し、Si%はSiの含有率)に1.97%≦MEG≦2.07%が当てはまる、
    鋳鉄材料。
  2. Cの含有率が3.8〜4.1重量%である、請求項1に記載の鋳鉄材料。
  3. Siの含有率が0.9〜1.2重量%である、請求項2に記載の鋳鉄材料。
  4. 2の含有率が0.003〜0.004重量%である、請求項2または請求項3に記載の鋳鉄材料。
  5. Cの含有率が3.4〜3.6重量%である、請求項1に記載の鋳鉄材料。
  6. Siの含有率が1.15〜1.4重量%である、請求項5に記載の鋳鉄材料。
  7. Srの含有率が0.005〜0.002重量%である、請求項5または請求項6に記載の鋳鉄材料。
  8. Vの含有率が0.025〜0.045重量%である、請求項5〜7のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  9. Snの含有率が0.05〜0.15重量%である、請求項5〜8のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  10. Siの含有率が1.15〜1.25重量%である、請求項5〜9のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  11. 2の含有率が0.003〜0.005重量%である、請求項5〜10のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  12. 2の含有率が0.004〜0.006重量%である、請求項5〜10のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  13. 2の含有率が0.005〜0.007重量%である、請求項5〜10のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  14. Sの含有率が少なくとも0.02重量%である、請求項1〜13のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  15. Moの含有率が0.2〜0.4重量%である、請求項1〜14のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  16. Mnの含有率が0.45〜0.65重量%である、請求項1〜15のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  17. Cuの含有率が0.45〜0.55重量%である、請求項1〜16のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  18. Srの含有率が少なくとも0.05重量%である、請求項1〜17のいずれかに記載の鋳鉄材料。
  19. 鋳造状態においてそこに含有された酸素の50%よりも多くのものが、酸素の還元開始温度が1,700Kより高いタイプの酸化物の形にある、請求項1〜18のいずれかに記載の鋳鉄材料。
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