JP2007505669A

JP2007505669A - 人工関節

Info

Publication number: JP2007505669A
Application number: JP2006526725A
Authority: JP
Inventors: ウォート、クリストファー、ジョン、ハワード
Original assignee: エレメントシックスリミテッド
Priority date: 2003-09-19
Filing date: 2004-09-15
Publication date: 2007-03-15
Also published as: WO2005027799A1; US20070198096A1; EP1663075A1

Abstract

人工関節ボール１０は、人工関節ソケットの中に受け入れられて、人工関節を形成する。該ボールは、概して球状１４であり、ステムの上に取り付けられる。該ボールの丸められた外面には、２０ｎｍ以下のＲ_Ａを有する表面を提供するバフ磨きによって作られている、化学蒸着によるダイヤモンドの層２０が提供されている。該ボールは、炭化ケイ素又は類似の基体で形成されており、丸められた凹部を有している。該凹部には、コバルト−クロム合金又はチタン合金で形成された金属インサート２６が取り付けられている。該金属インサートは、使用中にステム１６のテーパー端部３２を受け入れるように形作られ且つ寸法が調節されているソケット３０を有している。

Description

〔発明の背景〕
本発明は、整形外科用インプラント、とりわけ、人工関節部品に関する。

整形外科用インプラント又は人工関節は、損傷したか又は破損したヒト関節（例えば、股関節及び膝関節を包含する）を置換するのに広く使用されている。人工関節は、寿命が制限されている（典型的には、約１５年以下の寿命）という欠点があるが、人工関節に対する市場の要求は、それら人工関節が遥かに長い期間の間存続できることである。
現行の人工関節は典型的には、コバルト−クロム合金又はチタン合金で形成された概して球状のボール（ｂａｌｌ）であって、「ステム（ｓｔｅｍ）」又は関節蝶番の媒介によって、いわゆる長骨に取り付けられる該ボールと、寛骨臼カップ（ａｃｅｔａｂｕｌａｒｃｕｐ）を置換する半球状のカップ（ｃｕｐ）又はソケット（ｓｏｃｋｅｔ）であって、超高分子量ポリエチレン（ＵＨＭＷＰＥ）で裏打ちされている該カップ又はソケットとから成る。

しかし、そのようなボール及びソケットの配列は、結果として球状ボールと超高分子量ポリエチレンライニングとが常に摩擦磨耗することになり、非常に細かい粒子を放出する。それら微粒子は、これらの粒子を排除しようという、体中での組織球反応（ｈｉｓｔｉｏｃｙｔｉｃａｃｔｉｏｎｓ）を引き起こす。結果として、該組織球反応の結果として放出される作用物が隣接する骨を攻撃するにつれて、骨溶解（ｏｓｔｅｏｌｙｓｉｓ）が起こり、関節の緩み（ｊｏｉｎｔｌｏｏｓｅｎｉｎｇ）を引き起こし、最終的に関節の機能停止を引き起こす。人工関節に関連するこの問題及び他の諸問題に取り組むために、様々な試みが行われてきた。

例えば、金属ボールと、生体適合材料（ｂｉｏｃｏｍｐａｔｉｂｌｅｍａｔｅｒｉａｌｓ）から作られるソケットとを使用する試みが行われてきた。しかし、摩擦の結果として作り出される摩損破片（ｗｅａｒｄｅｂｒｉｓ）の問題は依然として起こり、先に述べた結果と同様の結果が生じる。
もう１つの代案は、生体適合セラミックのボールを形成し、次いで、該セラミックをダイヤモンドのような生体適合性耐磨耗性材料で被覆することである。この代案は、摩損破片に関連する諸問題に取り組んでいるが、人工関節が機能停止する可能性は、他の諸理由に起因し、依然として存在している。

実際には、関節置換において使用されている工業規格ステムである、テーパープロフィル（ｔａｐｅｒｅｄｐｒｏｆｉｌｅ）の端部を有するステムに、前記セラミックボールが取り付けられる。セラミックスに関する問題は、セラミックスは、圧縮下では機械的に強いが、引張り応力下では一般に破壊強度が低いことである。従って、該セラミックボール中でテーパーステムの角に応力が集中することによって、該セラミックの破損が生じ、このようにして人工関節の機能停止が早まる傾向がある。

〔発明の概要〕
本発明の１つの面による人工関節部品は、
前記部品のための軸受面又は耐磨耗性表面を提供する、概して球状の基体であって、該基体の中に伸びている凹部を有する該基体と、
前記凹部の中に固定されている金属インサートであって、ステム又は関節蝶番の端部を受け入れるように寸法が調節され且つ形作られているソケットを有している該金属インサートと
を備えている。

前記基体は、それの外面に、該基体によって提供される前記の軸受面又は耐磨耗性表面を規定する耐磨耗性層又は耐磨耗性コーティング材料を有するのが好ましい。
前記基体、及び／又は、適切な場合には、前記耐磨耗性層若しくは耐磨耗性コーティングは、所望の軸受面又は耐磨耗性表面を提供するように容易に形作ることができる。前記基体は、耐熱性であり且つ機械的に強靭であり、前記の耐磨耗性層又は耐磨耗性表面のために機械的強度と機械的支持とを提供する。該耐磨耗性表面は、更に、滑らかでなければならず、典型的には２０ｎｍ以下のＲ_Ａまで研磨されていなければならない。

前記基体はセラミック基体であるのが好ましい。
前記セラミック基体は典型的には、Ｓｉ_３Ｎ_４、ＳｉＣ、ＳｉＡＬＯＮ（サイアロン）、Ａｌ_２Ｏ_３又はＺｒＯであり、粒度のような特性を制御するための不純物が任意的に添加されている。
本発明の好ましい具体例において、耐磨耗性材料の層は、当該技術分野において知られている如何なる手段によっても、前記基体表面に接合される。可能な耐磨耗性材料には、セラミック材料、ダイヤモンド様炭素（ＤＬＣ）材料等だけでなく、ダイヤモンドも包含される。

前記基体表面に接合されている前記耐磨耗性材料は、ダイヤモンド層であるのが好ましい。ダイヤモンドは、単結晶又は多結晶である場合があり、化学蒸着による多結晶性ダイヤモンドはとりわけ好ましい。
前記耐磨耗性層は、当該技術分野において知られている如何なる手段によっても、別個の物体として前記基体に接合することができる。或いは、該耐磨耗性層は、当該技術分野において報告されている堆積技術（ｄｅｐｏｓｉｔｉｏｎｔｅｃｈｎｉｑｕｅｓ）の如何なるものを用いても、該基体の上に施用するか、又は該基体の上に直接合成することができる。該コーティングが化学蒸着によるダイヤモンドである場合、適切な合成技術には、文献に十分に記載されているようなマイクロ波プラズマ化学蒸着及びホットフィラメント化学蒸着が包含される。
化学蒸着によるダイヤモンド層は、用いられる場合、典型的には、１００〜５００μｍの厚さである。該ダイヤモンド層は、最終形態において、２０ｎｍ以下のＲ_Ａを有する滑面を提供する必要があり、そのために、前記多結晶性ダイヤモンドの粒度を制御するか又は精製する技術を使用することができ、更に、最終の層は、当該技術分野において知られている機械的又は化学的な処理方法のいずれかを用いて研磨することができる。

前記基体に、被覆又は接合によって追加の耐磨耗性層を提供すべき場合、該基体の表面は、コーティングと共に使用されるように最適化することができる。例えば、接着を助成するために、該基体に刻み目を付けるか又は該基体を粗くすることができる。或いは、中間層又は接合材料を使用することができる。或いは、非晶質材料のような、表面粗さが本質的に低い耐磨耗性コーティングを使用する場合、適当に滑らかな表面を提供するために、コーティングの最終表面が最小限の処理を必要とするか又は更なる処理を全く必要としないように、該基体表面を研磨することができる。

前記金属インサートは、例えば（しばしば、ＴｉＣｕＳｉｌと称される）ＴｉＣｕＡｇを用いてろう付けを行うか、又は、例えばＴｉ若しくはＡｕを用いて拡散接合を行うことによって、前記基体の凹部に固定することができる。好ましい具体例において、該金属インサートは、前記基体の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように選ばれる。
前記基体の凹部及び前記金属インサートはそれぞれ、非平面の相補的内面及び外面を有するのが好ましい。該内面及び外面は、接合方法が助成されるか又は適合されるように、それら表面が機械的に完全に相補的であることから僅かに変形している形状（ｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ；相対的配置）を包含する。該凹部及び金属インサートの非平面の相補的表面は、丸められているのが好ましい。

前記金属インサートの前記ソケットは、ステム又は金属蝶番のテーパー端部を受け入れるように寸法が調節され且つ形作られているのが好ましい。
前記金属インサートは、コバルト−クロム合金、チタン、ジルコニウム、タングステン又はステンレス鋼で作られているのが好ましい。とは言え、該金属インサートは、生体適合性である、適切な強靭な金属又は金属合金であれば如何なるものでもよい。

本発明は、上述の人工関節部品と、該人工関節部品の耐磨耗性表面を受け入れるように寸法が調節され且つ形作られているソケット部品とに及ぶ。
前記ソケット部品もまた、それの内面が、上述の耐磨耗性材料、とりわけ、化学蒸着によるダイヤモンドで被覆されているのが好ましい。
次に、本発明は、添付図面を参照しながら、単に一例として、より詳細に説明する。

添付図面に関連し、本発明の人工関節ボール部品１０は、人工関節ソケット部品１２の中に受け入れられて人工関節を形成する。ボール部品１０は、ステム１６の上に取り付けられた概して球状のボール１４を有している。この場合、ボール１４の丸められた外面１８には、２０ｎｍ以下のＲ_Ａを有する表面を提供する機械研磨によって作られている、化学蒸着によるダイヤモンドの層２０が与えられている。ボール１４は、炭化ケイ素の基体又は類似の基体で形成されており、且つ、丸められた表面２４を持つ凹部２２を有している。凹部２２には、コバルト−クロム合金又はチタン合金で形成された金属インサート２６であって、凹部２２の表面２４に丸められた相補的（ｃｏｍｐｌｅｍｅｎｔａｒｙ）外面２８を有する該インサートが取り付けられている。金属インサート２６は、使用中にステム１６のテーパー端部３２を受け入れるように形作られ且つ寸法が調節されているソケット３０を有している。

金属インサート２６は、例えばＴｉＣｕＡｇを用いたろう付けによるか、又は例えばＴｉ若しくはＡｕを用いた拡散接合によって、凹部２２に接合されている。
ボール１０とソケット１２との間の摩擦を減少させ、摩損を減少させ、そうすることによって摩損破片が形成される危険性を減少させるために、ソケット部品１２もまた、２０ｎｍ以下のＲ_Ａを有する表面を提供する機械研磨によって作られている、化学蒸着によるダイヤモンドの層３４で裏打ちされている。

金属インサート２６を与えることによって、前記角３６における高い応力集中は、前記ステムが前記セラミック基体に直接接合された場合のようにひび割れる傾向も破損する傾向もない強靭な金属にかかる。更に、金属インサート２６と該セラミックとの間の接合は、低応力設計であり（即ち、著しい応力集中部分は存在せず、負荷は丸められた表面の全面に広がり）、このようにして、該基体が破損する傾向は大幅に低減される。該セラミック基体の上に磨かれたダイヤモンド層を利用することによって、生体適合性であり且ついっそう低い摩擦特性といっそう低い磨耗性とを有し；結果として、それらを人工関節に用いた場合に破片が生じない；人工関節部品が提供される。

本発明の人工関節部品を組み込んだ人工関節の側断面図である。

Claims

人工関節部品において、
前記部品に軸受面又は耐磨耗性表面を提供する概して球状の基体であって、該基体の中に伸びている凹部を有する該基体と、
前記凹部の中に固定されている金属インサートであって、ステム又は関節蝶番の端部を受け入れるように寸法が調節され且つ形作られているソケットを有している該金属インサートと
を含んでなる、上記人工関節部品。
基体は、それの外面に、該基体によって提供される軸受面又は耐磨耗性表面を規定する耐磨耗性層又は耐磨耗性コーティングを有している、請求項１に記載の人工関節部品。
基体、及び／又は、適切な場合には、耐磨耗性層若しくは耐磨耗性コーティングは、所望の軸受面又は耐磨耗性表面を提供するように形作られている、請求項１又は２に記載の人工関節部品。
軸受面又は耐磨耗性表面は滑らかである、請求項１〜３のいずれか１項に記載の人工関節部品。
軸受面又は耐磨耗性表面は、２０ｎｍ以下のＲ_Ａまで研磨されている、請求項４に記載の人工関節部品。
基体はセラミック基体である、請求項１〜５のいずれか１項に記載の人工関節部品。
セラミック基体は、Ｓｉ_３Ｎ_４、ＳｉＣ、ＳｉＡＬＯＮ、Ａｌ_２Ｏ_３及びＺｒＯを含む群から選ばれており、該セラミック基体の特性を制御するための不純物が任意的に添加されている、請求項６に記載の人工関節部品。
耐磨耗性層は、前記基体表面に接合されている、請求項２〜７のいずれか１項に記載の人工関節部品。
耐磨耗性層は、セラミック材料、ダイヤモンド様炭素（ＤＬＣ）材料又はダイヤモンドから形成されている、請求項２〜８のいずれか１項に記載の人工関節部品。
耐磨耗性層は、化学蒸着による多結晶性ダイヤモンドから形成されている、請求項９に記載の人工関節部品。
耐磨耗性層は、別個の成分として基体に接合されているか、又は、該基体の上に施用されているか、又は該基体の上に直接合成されている、請求項２〜１０のいずれか１項に記載の人工関節部品。
耐磨耗性層は、１００〜５００μｍの厚さである、化学蒸着によるダイヤモンド層である、請求項２〜１１のいずれか１項に記載の人工関節部品。
金属インサートは、ろう付け又は拡散接合によって、基体の凹部に固定されている、請求項１〜１２のいずれか１項に記載の人工関節部品。
金属インサートは、前記基体の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように選ばれている、請求項１〜１３のいずれか１項に記載の人工関節部品。
基体の凹部及び金属インサートはそれぞれ、非平面の相補的内面及び外面を有している、請求項１〜１４のいずれか１項に記載の人工関節部品。
凹部及び金属インサートの非平面の相補的表面は、丸められている、請求項１〜１４のいずれか１項に記載の人工関節部品。
金属インサートの前記ソケットは、ステム又は金属蝶番のテーパー端部を受け入れるように寸法が調節され且つ形作られている、請求項１〜１６のいずれか１項に記載の人工関節部品。
金属インサートは、コバルト−クロム合金、チタン、ジルコニウム、タングステン、ステンレス鋼、又は生体適合性である他の強靭な金属若しくは金属合金で作られている、請求項１〜１７のいずれか１項に記載の人工関節部品。
請求項１〜１８のいずれか１項に規定される人工関節部品と、該人工関節部品の耐磨耗性表面にかみ合うように寸法が調節され且つ形作られているソケット部品とを有する人工関節。
ソケット部品は、それの内面が、請求項９〜１２のいずれか１項に規定される耐磨耗性材料で被覆されている、請求項１９に記載の人工関節。