JP2007501614A - Tssk4:ヒト精巣特異的セリン/トレオニンキナーゼ - Google Patents

Tssk4:ヒト精巣特異的セリン/トレオニンキナーゼ Download PDF

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Abstract

本発明は組織特異的キナーゼのファミリー(tsskファミリー)、それらのキナーゼをコードする核酸配列およびそれらキナーゼに対する抗体に関する。本発明はさらに、tsskキナーゼ活性の特異的な阻害物質またはアンタゴニストを単離するための、tssk4キナーゼおよびtsskキナーゼファミリーの他のメンバーの標的としての使用に関する。図5は、種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk4特異的プライマーを用いて実施されたリアルタイムPCRから得られたデータをグラフで示したものである。そのような阻害物質は避妊剤として使用できることが予想される。

Description

発明の詳細な説明
(米国合衆国政府の権利)
本発明は、国立衛生研究所により付与されたグラント番号HD38082およびU54 29099のもと、アメリカ合衆国政府の支援により成された。米国合衆国政府は本発明の権利の一部を所有する。
(関連出願)
本出願は、2003年8月7日出願の米国仮出願番号第60/493,401号および2004年1月8日出願の米国出願番号第10/754,829号についての35USC§119(e)に基づく優先権を主張し、それらの開示内容は出展明示により本発明の一部とされる。
(従来技術)
***形成、すなわち機能的な***細胞が精巣内で生成される過程には、分化中の生殖細胞とそれらの支持体であるセルトリ細胞との間の特異的相互作用、並びにアンドロゲンを産生するライディッヒ細胞によるホルモン調節が関与する。***形成の一般的機構は、全ての哺乳動物において本質的に同じであり、3つの異なる段階:1)最初の段階は、精原細胞が有糸***し、***細胞のプールを形成する増殖段階または精原段階;2)一倍体の精細胞が生じる減数期段階;および3)それぞれ球形の精細胞が***に分化する***変態段階、に分けることができる。初めの2つの段階を調節する分子機構は比較的よく特徴付けられているが、***変態の分子的な基礎は、ほとんど知られていない。
哺乳類の***変態、すなわち***形成における減数***後の段階は、一倍体精細胞に生じる劇的な形態変化により特徴付けられる。この変化には、アクロソームおよびその内容物の形成、染色質の凝縮および再構成、細胞の伸長および種特異的な再形成、並びに鞭毛の組み立てが含まれる。これらの事象は、発生期間中に生じる遺伝子転写とタンパク質翻訳の両方の変化に起因する。一倍体精細胞中で翻訳されるタンパク質の幾つかは、精巣を出た後の形態的に成熟した***中に残っている。このことを考慮すると、***形成中に合成されるタンパク質は、精細胞分化に、および/または授精時の***機能に必要かもしれない。
本発明の1つの態様は、哺乳動物の***における高度に分化した細胞の機能を調節する信号伝達事象に関する。より詳細には、1つの実施形態において、本発明は***の受精能獲得を調節する信号伝達に関する。***後、***は活発に動くことができるが、受精能力を欠いている。それら***は、女性生殖管中で受精能獲得と称される、時間に依存した過程で受精能を獲得する。受精能獲得は、幾つかのタンパク質のセリン/トレオニンおよびチロシン残基両方のリン酸化に伴って示され、このタンパク質のチロシンのリン酸化は、cAMP/PKA経路により下流調節されており、これら2つの信号伝達経路間の相互干渉が必要とされる。PKAを除いては、受精能獲得の調節に関与する他のキナーゼ(群)は、未だ知られていない。
精巣−特異的キナーゼの具体例として、最近示されたマウス遺伝子、tssk1、2および3(Bielkeら、1994、Gene 139、235-9; Kuengら、1997、J Cell Biol 139、1851-9; Zuercherら、2000、Mech Dev 93、175-7)が挙げられる。酵母ツー・ハイブリッド技術と免疫共沈降法とを組み合わせることで、Kuengら(1997)はマウスtssk1および2が54Kdaのタンパク質と結合しリン酸化することを見出した。この54Kdaのタンパク質はtsskの基質であり、tsksと称される。tsksタンパク質もまた精巣に大量に存在し、この発生的発現により生殖細胞中で減数***後に発現されることが示される。tssk基質のマウスcDNA配列は既に報告されており(Kuengら、1997)、ESTデータベース検索に用いた。ヒトEST相同体AL041339が見出され、ヒト精巣マラソンレディー(marathon ready)cDNA (Clontech, Inc.)を用た5’および3’RACEにより全長クローンを得るためにセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを作製するために使用した。ヒトtsksの全長ヌクレオチド配列は配列番号:7として提供され、予測されるタンパク質配列は配列番号:8として提供される。
tsskキナーゼファミリーの機能は未知である。しかしながら、このファミリーのメンバーは減数***後の***変態段階で発現されるため、それらは生殖細胞分化に、またはその後の***機能に役割を果たす仮定される。従って、このキナーゼファミリーの機能を妨害する化合物は避妊物質として利用可能であると予想される。
各種の避妊方法が利用できるにもかかわらず、世界中および米国合衆国における妊娠の50%以上は意図されたものでない。従って、女性および男性の多様な要求に、より適し、種々の民族、文化および宗教的価値を考慮した避妊法の必要性は大きい。コンドームの使用または精管切除を除いては、男性用避妊方法の利用は非常に限定されている。
1つの実施形態において、tssk4は新規避妊物質の同定を含む新規薬剤の開発の標的として役立つ。最後に、tsskキナーゼが***形成後に***中に残留し、***生理機能に役割を果たす場合、特異的tsskキナーゼ阻害剤の設計は、受精を阻止する目的で男性および女性のいずれもが利用できるであろう。
(本発明の種々の実施形態の要約)
本発明は、***特異的キナーゼ(tssk)ファミリーの遺伝子の、それらにコードされたタンパク質、およびこれらタンパク質に対する抗体に関する。より詳細には、本発明は、ヒトキナーゼ4(tssk4)、およびそのキナーゼのtssk4キナーゼ活性のアゴニストまたはアンタゴニストを同定するための使用に関する。tssk4活性のアンタゴニストは避妊物質として有用であると予想される。本発明はまた、tssk4に特異的な抗体を含み、かかる抗体を治療および診断の手段として用いることを含む。
(図面の簡単な記載)
図1は、ヒトtssk1(配列番号:4)、ヒトtssk2(配列番号:5)、ヒトtssk3(配列番号:6)およびヒトtssk4(配列番号:20)のアミノ酸配列間の比較である。図1において見られるように、4つのタンパク質間のアミノ酸配列の差異はカルボキシ末端付近にある。
図2は、種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk1特異的プライマーを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。
図3は、種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk2特異的プライマーを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。
図4は、種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk3特異的プライマーを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。
図5は、種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk4特異的プライマーとを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。
図6は、tssk4プローブを用いたマウス精巣組織のインシトゥ(in situ)ハイブリダイゼーションである。
図7は、種々の組織から単離され、32P−dCTPを用いたランダムプライミングにより標識化された1.4キロベースのマウスTSSK4cDNAプローブを用いて探索されたマウスのポリ−A mRNAのノーザンブロットである。
(実施形態の詳細な説明)
定義
本発明の明細書および請求の範囲にて、次の用語を以下に示す定義により使用する。
本明細書にて用いる「精製された」なる用語およびその類義語は、天然の環境中でその分子または化合物と通常関連する他の成分と比較してその分子または化合物が豊富であることを表す。「精製された」なる用語は、特定分子の完全な精製が工程を通じて達成されることを必ずしも意味するものではない。本明細書中にて用いる「高度に精製された」化合物とは、純度90%以上の化合物を表す。
本明細書にて用いる「医薬上許容される担体」なる用語は、標準的な医薬担体、例えばリン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水または水/油乳剤などの乳剤、および様々な潤滑剤のいずれをも含む。この用語はまた、ヒトを含む哺乳動物における使用について、アメリカ合衆国連邦政府の規制機関により承認された、またはアメリカ薬局方に列記されているすべての薬剤を包含する。
ポリリンカーは、3つまたはそれ以上の密集した一連の制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含む核酸配列である。
「操作可能に連結された」は、構成要素が通常の機能を果たすように構成された並列を表す。従って、コード配列に操作可能に連結された制御配列またはプロモーターは、コード配列の発現に効果を発揮できる。
本明細書にて用いる「核酸」「DNA」およびその類義語にはまた、核酸類似物、すなわちリン酸ジエステル主鎖以外の主鎖を有する類似物が含まれる。例えば、当分野で既知であり、リン酸ジエステル結合の代わりに主鎖にペプチド結合を有する、いわゆる「ペプチド核酸」が本発明の範囲内にあると考えられる。
「ペプチド」なる用語は、3つまたはそれ以上のアミノ酸から成る配列であって、そのアミノ酸が天然または合成(非天然)アミノ酸である配列を包含する。ペプチドミメティックは、以下に示す1つまたはそれ以上の修飾を有するペプチドを含む:
1.1つまたはそれ以上のペプチジル−C(O)NR−連結(結合)が、非ペプチジル連結、例えば−CH−カルバメート連結(−CHOC(O)NR−)、ホスホナート連結、−CH−スルホンアミド(−CH−S(O)NR−)連結、尿素(−NHC(O)NH−)連結、−CH−第二級アミン連結によって、あるいはアルキル化ペプチジル連結(−C(O)NR−)(ここで、Rは、C−Cアルキルである)で置換されているペプチド;
2.N末端が、−NRR基に、−NRC(O)R基に、−NRC(O)OR基に、−NRS(O)R基に、−NHC(O)NHR基、(ここで、RおよびRは水素であるか、またはRおよびRの両方が水素でない場合にはC−Cアルキルである)に誘導されているペプチド;
3.C末端が、RがC−Cアルコキシからなる群から選択される−C(O)R、並びにRおよびRが水素およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される−NRに誘導されているペプチド。
ペプチドの天然アミノ酸残基は、次のようにIUPAC−IUB 生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)により推奨される以下の略語に略される:フェニルアラニンはPheまたはFであり;ロイシンはLeuまたはLであり;イソロイシンはIleまたはIであり;メチオニンはMetまたはMであり;ノルロイシンはNleであり;バリンはValまたはVであり;セリンはSerまたはSであり;プロリンはProまたはPであり;トレオニンはThrまたはTであり;アラニンはAlaまたはAであり;チロシンはTyrまたはYであり;ヒスチジンはHisまたはHであり;グルタミンはGlnまたはQであり;アスパラギンはAsnまたはNであり;リシンはLysまたはKであり;アスパラギン酸はAspまたはDであり;グルタミン酸はGluまたはEであり;システインはCysまたはCであり;トリプトファンはTrpまたはWであり;アルギニンはArgまたはRであり;グリシンはGlyまたはG、およびXはすべてのアミノ酸である。その他の天然のアミン酸としては、例えば4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリジン、および類似物がある。
合成または非天然アミノ酸は、インビボ(in vivo)天然物ではないが、それでも本明細書中記載のペプチド構造に組み込まれ得るアミノ酸を意味する。得られる「合成ペプチド」は、ペプチド中に1箇所、2箇所またはそれ以上の箇所に、20個の天然の遺伝子にコードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含む。例えば、合成を容易にするためにトリプトファンに代えてナフチルアラニンを用いてもよい。ペプチド中に置換され得る他の合成アミノ酸には、L−ヒドロキシプロピル、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニル、アルファ−アミノ酸、例えばL−アルファ−ヒドロキシリシル(hydroxylysyl)およびD−アルファ−メチルアラニル、L−アルファ.−メチルアラニル、ベータ.−アミノ酸およびイソキノリルが含まれる。Dアミノ酸および非天然合成アミノ酸もまた、ペプチド中に組み込むことができる。他の誘導体には、20個の遺伝子にコードされたアミノ酸(またはすべてのLもしくはDアミノ酸)の天然の側鎖をその他の側鎖で置換されたものが含まれる。
本明細書中にて用いる「保存的アミノ酸置換」は、本明細書中では以下の5つの群のいずれかの範囲内でのアミノ酸置換として定義される:
I. 小さい脂肪族、非極性もしくは僅かに極性のある残基:
Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II. 極性、負電荷の残基およびそのアミド:
Asp、Asn、Glu、Gln;
III. 極性、正電荷の残基:
His、Arg、Lys;
IV. 大きい脂肪族、非極性残基:
Met、Leu、Ile、Val、Cys
V. 大きい芳香族残基:
Phe、Tyr、Trp
本明細書にて用いる「抗体」なる用語は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体もしくはその結合断片、例えばFab、F(ab’)およびFv断片を意味する。
本明細書にて用いる、tsskポリペプチドの「生物活性のある断片」または「生物活性断片」なる用語には、それらの天然リガンドに特異的に結合することのできる全長タンパク質の天然または合成部分を包含する。
本明細書にて用いる「非天然プロモーター」なる用語は、コード配列と操作可能に連結された任意のプロモーターであって、そのコード配列とプロモーターとは天然には関係していないプロモーター(すなわち組換えプロモーター/コード配列構築物)を意味する。
本明細書にて用いるトランスジェニック細胞は、哺乳動物の細胞中に導入された核酸配列を含む任意の細胞であって、導入された核酸配列にコードされた遺伝子を発現し得る細胞である。
本明細書にて用いる「tssk4キナーゼ活性の阻害物質」または「tssk4阻害物質」は、tsskキナーゼ以外の活性に著しい影響を与えることなく、全体としてtsskキナーゼ活性を低下させる任意の化合物、組成物または環境因子を含むものである。従って、阻害物質には、このキナーゼの特異的活性を低下させる因子に加えて、反応に利用される活性キナーゼ分子の数を減少させる因子(すなわち、インビボ状態での転写および翻訳の阻害物質)が含まれる。「tssk4特異的阻害物質」なる用語は、tssk4キナーゼの活性を低下させるが、他のtsskファミリーメンバーまたは他のキナーゼの活性を低下させないtssk4阻害物質を意味する。
実施形態
本発明は、精巣に豊富に存在し、これらに限らないがヒトおよびマウスの雄生殖細胞おいて主として発現するキナーゼのファミリー(tsskキナーゼファミリー)に関する。より詳細には、本発明は、tssk4並びに診断薬や避妊薬として使用できる化合物を調製および単離するための、このタンパク質の使用に関する。
tsskキナーゼの発生時の発現様式ならびに生理的過程におけるキナーゼの一般的な関連性により、出願人は精巣に豊富に存在するこのキナーゼのファミリーが***形成の一端を担うと考える。tsskキナーゼファミリーおよび想定される基質の1つが***形成中の同時期に発現するという知見は、避妊薬の標的としてこれらタンパク質の潜在的な使用に繋がる。従って、本発明の1つの態様は、ヒトtssk相同体の単離、およびtsskキナーゼ活性を阻害する物質を単離するための、それらの使用に関する。次いで、そのような阻害剤は、受精を阻害するための避妊物質として用いることができる。1つの実施形態に関して、tssk1、tssk2、tssk3およびtssk4を含む***特異的tssk遺伝子産物を用いて、tsskキナーゼ活性の特異的阻害剤をスクリーニングし、その阻害剤を単独でもしくは他の避妊物質と併用して意図されたものでない妊娠を防ぐために使用されよう。より詳細には、1つの実施形態において、tssk4は、tssk活性を特異的に阻害することで避妊物質として役立つ化合物を同定するための標的として用られる。tsskキナーゼファミリーのメンバー特有の配列により、非tsskキナーゼ活性を大きく阻害することなく、その活性に対する特異的な阻害剤を見つけ出す可能性を保持することは有利なことである。全てのtsskキナーゼ活性を阻害するtssk特異的阻害剤をスクリーニングすることに加えて、本発明はまた、tsskファミリーメンバーの幾つかを阻害する阻害剤(例えば、tssk1/tssk3/tssk4特異的阻害剤)、または単一のtsskファミリーメンバーの活性だけを阻害する阻害剤(例えばtssk4特異的阻害剤)をスクリーニングすることを包含する。
***は転写的におよび翻訳的に不活性であるため、分子レベルでの候補***プロテインキナーゼのクローニングおよび特徴付けには、雄生殖細胞から単離されるRNAの使用が必要である。雄生殖細胞系列で発現されるRNA転写物は、***機能において絶対的に重要であり得るが、精巣の***形成時にかかる転写物が機能する可能性もある。この方法論を用いることで、特有のcDNAをマウス雄生殖細胞からクローン化し、そのcDNAがser/terプロテインキナーゼサブファミリーの推定プロテインキナーゼをコードすることが決定された。そのキナーゼ(tssk3b)は、マウスの雄生殖細胞において減数***後に特異的に発現する。tssk3bのアミノ酸配列および核酸配列をそれぞれ配列番号:9および配列番号:10として提供する。
tssk3bのヒト相同体もまたクローニングされ(ヒトtssk3と称する)、タンパク質レベルで推定マウスタンパク質と98%の相同性を示した。ヒトtssk3の核酸配列およびアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:3および配列番号:6として提供する。近年、類似のマウスプロテインキナーゼが記載され、精巣特異的セリンキナーゼ3(マウスtssk3)(Zuercherら、2000、Mech Dev 93, 175-7)で、精巣特異的プロテインキナーゼの小ファミリーのメンバーとして同定された(Bielkeら、1994, Gene 139, 235-9; Kuengら、1997、J Cell Biol 139, 1851-9)。この相同性にも拘わらず、本出願にてクローニングおよび記載されたヒトtssk3およびマウスtssk3bのいずれのcDNA、マウスtssk3とアミノ酸のいくつかにおいて相違を示す。
ジーンバンクを検索するために予測されるマウスtssk1および2のアミノ酸配列(Kuengら、1997により記載されている)を用いて、マウスtssk1およびtssk2の両方のゲノム配列を入手した。次いで、これらのゲノムマウス遺伝子をコード領域の3’端および5’端を用いてそれぞれセンスおよびアンチセンスプライマーを設計し、PCR技術を用いてヒト相同体を単離するために使用した(実施例2参照)。増幅されたcDNA断片をTOPO TAクローニングキッド(インビトロジェン)を用いてクローニングし、配列決定した。増幅されたヒトtssk1遺伝子は大きさが約1.3kbであり、単離されたヒトtssk2遺伝子は大きさが約1.2kbであった。ヒトtssk1の核酸配列およびアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:1および配列番号:4として提供する。ヒトtssk2の核酸配列およびアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:2および配列番号:5として提供する。現在ではヒトtsskファミリーの第4のメンバーが発見され、tssk4と称されている。tssk4の核酸配列およびアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:19および配列番号20として提供する。
本発明の1つの実施形態に関して、精製されたポリペプチドは配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:20のアミノ酸配列、あるいは1つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換により配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:20とは異なるアミノ酸配列を含んで提供される。他の実施形態において、精製されたポリペプチドは、5個以下の保存的アミノ酸置換、更なる実施形態においては、2個またはそれ以下の保存的アミノ酸置換により配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:20とは異なるアミノ酸配列を含む。1つの実施形態において、精製されたポリペプチドは、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:20のアミノ酸配列を含む。
本発明のポリペプチドは、組換え技術により生成されるポリペプチドの安定化および/または精製を補助する付加的なアミノ酸配列を含んでいても良い。このような付加的な配列は、当業者に既知の細胞内−または細胞間の標的ペプチドもしくは様々なペプチドタグを含んでいても良い。1つの実施形態において、精製されたポリペプチドは、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6および配列番号:20からなる群から選択されるアミノ酸配列ならびにtsskペプチド配列に連結されたペプチドタグを含む。このようなタンパク質および好適なペプチドタグ融合体を発現するのに好適な発現ベクターは当業者に既知であり、商業的に入手可能である。1つの実施形態において、タグにはHisタグが挙げられる(実施例4を参照)。他の実施形態において、精製されたポリペプチドにはペプチドタグに連結された配列番号:20記載のアミノ酸配列が挙げられる。
他の実施形態において、本発明はtsskポリペプチドのアミノ酸断片を含む精製されたポリペプチドに関する。より詳細にはtsskポリペプチド断片は、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:9および配列番号:20からなる群から選択される全長ポリペプチドの天然または合成タンパク質から成り、それらは、その天然リガンドに特異的に結合できる。1つの実施形態において、ヒトtssk断片はtsksへの結合能を維持している。
本発明はまた、ヒトtsskをコードする核酸配列を包含する。1つの実施形態において、核酸配列は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:10、配列番号:19またはその断片の配列を含んで提供される。他の実施形態において、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3および配列番号:19からなる群から選択される、精製された核酸配列が提供される。
本発明はまた、組換えヒトtssk遺伝子構築物に関する。1つの実施形態において、組換え遺伝子構築物は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:10および配列番号:19からなる群から選択される核酸配列と操作可能に連結された非天然プロモーターを含む。1つの実施形態において、組換え遺伝子構築物は、配列番号:19の酸配列と操作可能に連結された非天然プロモーターを含む。非天然プロモーターは、前決定された宿主細胞での発現を可能にする強力な構成的プロモーターであることが好ましい。これらの組換え遺伝子構築物は、tssk遺伝子産物を合成するトランスジェニック細胞系を作り出すために宿主細胞に導入することができる。宿主細胞は、多種多様な真核生物および原核生物から選択可能であり、2つの好ましい宿主細胞は大腸菌および酵母細胞である。
1つの実施形態に関して、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3および配列番号:19からなる群から選択される核酸配列を、適当な調節配列に操作可能に関連させる形式で真核生物または原核生物発現ベクター中に挿入し、ヒトtsskが適当な真核生物または原核生物細胞宿主細胞において発現される。1つの実施形態において、遺伝子構築物は、真核プロモーターに操作可能に連結された配列番号:19の核酸配列を含む。適当な真核生物宿主細胞およびベクターは当業者に既知である。バキュロウイルス系もまた、本発明のトランスジェニック細胞を作り出すこと、およびtssk遺伝子を合成することに適している。本発明の1つの態様は、組換え遺伝子を含み、ヒトtssk4およびヒトtssk4コード配列の断片を発現するトランスジェニック細胞系に関する。本明細書にて用いるトランスジェニック細胞は、外来から導入された核酸配列を含むすべての細胞である。
1つの実施形態において、導入された核酸は、トランスジェニック細胞中で十分に安定であり(すなわち、細胞のゲノムに組み込まれるか、またはハイコピープラスミドで存在する)、子孫細胞に受け継がれる。細胞は、標準的な細胞培養法を用いたインビトロ(in vitro)増殖させてもよいし、または別の実施形態においては、宿主細胞は真核細胞であり、例えばトランスジェニック動物を含む動物の一部として増殖させてもよい。1つの実施形態において、トランスジェニック細胞はヒト細胞であり、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:7および配列番号:19からなる群から選択される核酸配列を含む。1つの実施形態において、トランスジェニック細胞は、非天然プロモーターと操作可能に連結された配列番号:19またはその断片を含む組換え核酸配列を含む。本発明はまた、ヒト以外のトランスジェニック生物であって、トランスジェニック生物の1つまたはそれ以上の細胞が組換え遺伝子を含み、ヒトtssk産物を発現し、より具体的に1つの実施形態においてはヒトtssk4配列を発現するトランスジェニック生物を含む。
本発明はまた、tssk4を含むヒトtsskを産生する方法を包含する。その方法は、ヒトtsskをコードする配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸配列を宿主細胞に導入する工程、およびヒトtssk遺伝子の発現を可能とする条件下で宿主細胞を培養する工程を含む。1つの実施形態において、プロモーターは条件付きまたは誘導可能なプロモーターであるか、あるいはプロモーターは組織特異的または時間制限的プロモーター(すなわち、操作可能に連結された遺伝子が特定の組織において、または特定の時間でのみ発現する)であってもよい。合成されたtssk(例えばtssk4)は、標準的な技術を用いて精製することができ、これをハイスループット・スクリーニングに用いてtssk活性の阻害剤、より特異的にtssk4の阻害剤を同定することができる。別に、1つの実施形態において、組換え技術により生成されたtssk4ポリペプチドまたはその断片は、tssk4ポリペプチドに対する抗体の産生に使用される。組換え技術により生成されたtssk4タンパク質はまた、結晶構造を得るために用いることができる。その構造を結晶学的分析することにより、tssk4の機能を阻害する特異的な薬剤の設計が可能となろう。
好ましくは、***特異的キナーゼをコードする核酸配列を、予め選択された宿主細胞で発現させるために適当な調節配列と操作可能に連結させる形式で、適当な発現ベクター中に挿入する。好適な宿主細胞、ベクターおよび細胞へのDNA構築物の導入方法は、当業者に既知である。特に、***特異的キナーゼをコードする核酸配列を、リポソーム、ウイルスベクターまたは顕微注射などの運搬機構を用いてインビトロまたはインビボにて細胞または細胞群に加えることができる。
1つの実施形態に関して、組成物は、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6および配列番号:20からなる群から選択される配列、またはそれらの抗原断片を有する精製されたペプチドを含んで供給される。1つの実施形態において、そのペプチドは配列番号:20の配列から成る。組成物は、免疫応答を低下させるために、医薬上許容される担体または補助剤と組み合わせて哺乳類種に投与されてもよい。
本発明の他の実施形態は、tssk4を含む各々のtsskアイソタイプに特異的な抗体に関する。1つの実施形態において、抗体はモノクローナル抗体である。本発明の抗体または抗体断片は、担体または希釈液と組み合わせて組成物を形成させてもよい。1つの実施形態において、担体は医薬上許容される担体である。かかる担体および希釈液には、界面活性剤並びに補助剤、賦形剤または安定剤を含む他の医薬上および生理学上許容される担体をさらに含むことある、水および油などの滅菌液が含まれる。油の例示として、石油性、動物性、植物性、または合成性のもの、例えば落花生油、ダイズ油または鉱物油がある。一般に、水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、ならびにグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが液体担体として好ましく、特に注射可能な溶液として好ましい。
ヒトtssk抗体は、当分野で周知の方法にて産生することができる。1つの実施形態に関して、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:9および配列番号:20からなる群から選択されるポリペプチドと特異的に結合する抗体が提供される。1つの実施形態において、配列番号:20を含むポリペプチドまたはその抗原断片と結合する抗体が提供される。抗体は、修飾有りか修飾無しで用いることができるし、抗体とレポーター分子を共有結合で若しくは非共有結合で連関させて標識化していてもよい。加えて、抗体は、治療上または診断上の組成物を調製するため標準的な担体と共に処方され、場合によっては標識されても良い。
抗体の産生について、限定するものではないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含む様々な宿主動物を、tssk4ポリペプチドまたはそのペプチド断片を注射することにより免疫することできる。免疫応答を増大させるために、様々な補助剤を宿主種に応じて使用してもよく、限定するものではないが、フロインド(Freund's)(完全または不完全)、鉱物ゲル、例えば水酸化アルミニウム、界面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒト補助剤、例えばBCG(カルメット・ゲラン(Calmette-Guerin)桿菌)およびコリネバクテリウム-パルバムが含まれる。
モノクローナル抗体の調製について、培地中の連続継代細胞系による抗体分子の産生を提供するすべての技術を用いることができる。例えば、初めにKohlerおよびMilsteinにより開発されたハイブリドーマ技術(1975、Nature 256:495-497)、並びにトリオーマ(trioma)技術、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技術((Kozborら、1983、Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985、in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、 Alan R. Liss, Inc.、 pp. 77-96)が挙げられる。本発明の付加的な実施形態において、モノクローナル抗体は、最新の技術を利用した無菌動物にて産生することもできる(PCT/US90/02545)。本発明に従って、ヒト抗体を用いることができ、ヒトハイブリドーマを用いることによって(Coteら、1983、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:2026-2030)、またはヒトB細胞をインビトロにてEBVウイルスで形質転換させることによって(Coleら、1985、in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、 pp. 77-96)得ることができる。実際に、本発明に従って、SLLP1、SLLP2またはSLLP3のエピトープに特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子を適当な生物活性を有するヒト抗体分子由来の遺伝子と一緒に連結するとにより「キメラ抗体」を生成するために開発された技術を用いてもよく;そのような抗体は本発明の範囲内にある。
本発明に従って、一本鎖抗体の生成について記載された技術(米国特許第4,946,778号)を、卵の表面タンパク質特異的一本鎖抗体を生成するために適応することができる。本発明の付加的な実施形態では、tsskエピトープに関して所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ容易な同定を可能とするための、Fab発現ライブラリーの構築について記載された技術(Huseら、1989、Science 246:1275-1281)を利用する。
分子のイディオタイプを含む抗体断片を既知技術により生成することができる。例えば、そのような断片には、限定するものではないが:抗体分子のペプシン消化により生成することができるF(ab’)断片;F(ab’)断片のジスルフィド結合を還元することにより生成することができるFab’断片、抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することによって生成することができるFab断片、およびFv断片が挙げられる。
抗体の産生において、所望の抗体のスクリーニングは、当分野で既知の技術、例えばELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)により達成することができる。前記抗体は、本発明のtssk4タンパク質の局在および活性に関して当分野で既知の方法、例えばこれらのタンパク質のイメージング、適当な生理学的試料中でのレベル測定に関する方法、診断方法に用いることができる。本発明に基づいて生成される抗体は、限定するものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ(すなわち「ヒト化された」抗体)一本鎖(組換え)、Fab断片、およびFab発現ライブラリーにより生成される断片が含まれ得る。
本発明はまた、ヒトtsskの存在を検出する方法を提供する。この方法には、試料をヒトtsskと特異的に結合する標識化された抗体と接触させる工程、結合していない物質および非特異的に結合している物質を除去する工程、および標識化された抗体の存在を検出する工程が含まれる。1つの実施形態において、標識された化合物は、直接または間接的に(すなわち、標識化された二次抗体を介して)標識化された抗体を含む。特に、本発明のtssk抗体は、tsskの発現並びに細胞内局在を確認するために用いることができ、または避妊手段としてtssk抑制組成物を受ける患者をモニターするアッセイに用いることができる。
tssk4は、精巣で産生されると限定するものではないが、本明細書において精巣に豊富に存在することが示されている(図5〜7参照)。従って、tssk4キナーゼは、***変態におけるtsskの役割を研究するために、その活性を調整する薬剤を開発するのに最適な標的となる。さらに、tssk4活性の阻害剤は避妊物質として有用であると予想される。本発明の1つの態様に関して、tsskキナーゼファミリーおよび特にtssk4は、新規薬剤の開発のための標的として使用される。ハイスループット・スクリーニングと組み合わされる組合せ化学的方法を用いた小分子ライブラリー形成分野の発展により、理想的な細胞浸透性阻害剤の探索が促進された。さらに、結晶学的方法を用いた構造に基づく設計により、リガンド設計に活用され得るリガンド−タンパク質相互作用部位を詳細に特徴付ける能力が向上している。
1つの実施形態において、本発明はtssk1、tssk2、tssk3、tssk4の配列からなるポリペプチドと相互作用する薬剤、小分子またはタンパク質またはその生物活性断片をスクリーニングする方法を提供する。本明細書中で用いるtssk1、tssk2、tssk3およびtssk4の「生物活性のある断片」または「生物活性断片」なる用語は、tsksを含むそれぞれ天然tssk1、tssk2、tssk3およびtssk4の少なくとも1つの天然リガンドと特異的に結合することのできる天然ペプチドの天然または合成部分を包含する。本発明は、tssk1、tssk2、tssk3およびtssk4と結合するかまたはその活性を調整するために、治療上または診断上の受精能力マーカーとして有用である小分子、化合物、組換えタンパク質、ペプチド、核酸、抗体などをスクリーニングするインビボおよびインビトロアッセイのいずれをも包含する。
本発明の1つの実施形態において、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6および配列番号:20からなる群から選択されるtsskポリペプチドは、生理学的条件下でtsskと結合するリガンドを単離するために使用される。1つの実施形態において、配列番号:20記載の配列またはその生物活性断片は、生理学的条件下でtssk4と結合するリガンドを単離するために使用される。スクリーニング方法には、tsskポリペプチドを生理学的条件下で化合物の混合物と接触させる工程、結合していない物質および非特異的に結合している物質を除去する工程、tsskポリペプチドと結合して残留する化合物を単離する工程が含まれる。一般的に、標準的な技術を用いて、tsskポリペプチドを固体支持体に結合させることで化合物を迅速にスクリーニングできるようになる。固体支持体は、生物学的化合物を固定するのに使用される表面のいずれかから選択することができ、限定するものではないが、ポリスチレン、アガロース、シリカまたはニトロセルロースを含む。1つの実施形態において、固体支持体には、機能化されたシリカまたはアガロースビーズが含まれる。該化合物のスクリーニングは、当業者に既知の医薬製剤のライブラリーおよび標準的な技術を用いて達成することができる。
次いで、tsskポリペプチドと結合するリガンドは、実施例7に記載のように、インビトロ・キナーゼアッセイの使用を通じてアゴニストおよびアンタゴニスト活性をさらに分析することができる。tsskキナーゼ活性の阻害剤は、***の成熟/受精能獲得を妨害する物質として潜在的に使用できる。1つの実施形態に関して、tssk4の阻害剤が潜在的な避妊物質として単離される。そのような阻害剤は、医薬組成物として処方され、***形成を阻害するために患者に投与されることで、避妊法を提供し得る。
1つの実施形態に関して、ヒトtsskキナーゼ活性の特異的阻害剤は、リン酸化事象を検出することができるインビトロ・キナーゼアッセイの使用を通じて同定される。1つの実施形態において、tsskキナーゼ活性の阻害剤を同定する方法は、標識化されたリン酸供給源を、1つまたはそれ以上の潜在的阻害化合物の存在下で1つまたはそれ以上のヒトtsskポリペプチドと組み合わせることを含む。1つの実施形態において、tssk4キナーゼ活性の阻害剤は、1つまたはそれ以上の潜在的阻害化合物の存在下で標識化されたリン酸供給源をヒトtssk4ポリペプチド(またはその生物活性断片)と組み合わせることで同定される。この反応は、潜在的阻害化合物の非存在下で、tssk基質またはtssk酵素それ自体のリン酸化が始まるのに好適な標準的な条件下で実行される。
tssk活性の低下は、時間に対してキナーゼ活性をプロットした標準曲線とアッセイ中のリン酸化されたtssk基質の量とを比較することにより検出することができる。あるいは、キナーゼ活性における阻害低下は、標識化されたリン酸化供給源、tssk基質およびtssk4キナーゼを含むインビトロ・キナーゼアッセイ組成物を試験アッセイ(このアッセイは潜在的な阻害化合物の存在下で実施される)で用いたものと同一の条件を用いたキナーゼ活性が発揮される条件下でインキュベートする、第2のキナーゼ反応を実施することによって検出することもできる。次いで、試験アッセイにより生成されたリン酸化されたtssk基質の量と、第2のキナーゼアッセイ(候補阻害剤の非存在下で実施される)により生成されたリン酸化されたtssk基質の量とを比較し、候補化合物のtssk阻害効果を検出する。
化合物がtssk活性を阻害すると同定されると、tssk活性を特異的に阻害するこれらの化合物を単離するためにさらなる試験を実施することが必要であろう。1つの実施形態に関して、tssk阻害剤を同定する方法には、さらに、候補化合物を、候補化合物、標識化されたリン酸供給源、キナーゼ基質および非tsskキナーゼを含む対照組成物に接触させる第2の反応を実施する工程、および候補化合物が非tsskキナーゼ活性を低下させるかどうかを決定する工程が含まれる。
実施例4に記載のように、tsskタンパク質は、自己リン酸化される性質を有する。そのため、候補阻害化合物の存在下および非存在下で生ずる自己リン酸化の割合を比較することにより、特異的阻害化合物を同定することができる。1つの実施形態において、tssk基質が提供され、そのアッセイは、候補阻害化合物の存在下および非存在下でのその基質のリン酸化の割合を測定することに基づいている。好ましくは、多数の化合物を、tssk特異的阻害化合物を同定するためのハイスループット技術を用いてスクリーニングされる。
1つの実施形態に関して、tsskキナーゼ活性の特異的阻害剤は、インビトロ・キナーゼアッセイ組成物を提供することにより同定され、ここで該組成物は、標識化されたリン酸供給源、tssk基質、および配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:9および配列番号:20からなる群から選択されるtsskキナーゼを含む。tssk基質リン酸化率は、いずれかの阻害化合物の非存在下における制御条件下で決定され、次いで、同一条件を用いて、1つまたはそれ以上の潜在的な阻害化合物の存在下でアッセイを行った場合のtssk基質リン酸化率を測定する。tsskキナーゼの活性を低下させるこれらの化合物を同定し、その阻害効果がtsskキナーゼファミリーに特異的かどうか決定するため試験する。
1つの実施形態において、ヒトtssk阻害剤を同定する方法には、標識化されたリン酸供給源、tssk基質、および配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6および配列番号:20からなる群から選択されるtsskキナーゼを提供する工程、その組成物を1つまたはそれ以上の潜在的な阻害化合物と接触させる工程、およびリン酸化の割合を測定する工程が含まれる。1つの実施形態において、tssk4活性の調節因子はインビトロ・キナーゼアッセイを実施することにより同定され、そのアッセイには、tssk4を標識化されたリン酸供給源(例えば[γ32P]ATP)およびtssk基質と組み合わせる工程が含まれる。1つの実施形態において、tssk基質は、配列番号:8記載のアミノ酸配列を含む。このキナーゼアッセイはまた、tssk1、tssk2、tssk3およびtssk4からなる群から選択される2つまたはそれ以上のヒトtsskキナーゼを用いて実施され、いくつかのtsskキナーゼを抑制する阻害剤を同定する。tsskファミリーの特定のメンバーのみを抑制する阻害剤、例えば、tssk1、tssk2、およびtssk4の活性を低下させるが、tssk3または他の非tsskキナーゼは低下させない阻害剤を同定することもまた有利である。
本発明の1つの実施形態は、雄の哺乳動物の受精能力を低下させることに関し、本方法はtsskキナーゼファミリー(tssk1、tssk2、tssk3およびtssk4を含む)の活性を阻害する工程を含む。1つの実施形態において、雄の哺乳動物の受精能力は、tssk活性を特異的に妨げる物質を含む医薬組成物の投与により低下される。1つの実施形態において、雄の哺乳動物はヒトであり、医薬組成物はtssk4活性の阻害剤を含む。1つの実施形態において、組成物はtssk4特異的阻害剤を含む。
1つの実施形態において、受精能阻害組成物は、実施例7に記載されるキナーゼアッセイにより決定されるように1つまたはそれ以上のtsskキナーゼの酵素活性を特異的に阻害する化学的構成要素を含む。その他の実施形態において、阻害組成物は、1つまたはそれ以上のtsskキナーゼに対する抗体を含んでいても良く、または組成物は哺乳動物においてtsskキナーゼの発現を妨げ若しくは混乱させるアンチセンス若しくは干渉RNAを含んでいても良い。哺乳動物系における干渉RNAには、19〜22ntの二本鎖RNA分子からなる短い干渉RNA(siRNA)、またはループ配列で連結した19〜29ntのパリンドローム配列からなるshRNAの存在が必要とされる。遺伝子発現の下方制御は、相同体siRNAと標識RNAとをペアにする配列特異的様式で達成される。siRNAまたはshRNAの安定した発現系は、トランスジェニック動物を作り出すのに利用され(Hasuwaら、FEBS Lett 532、227-30 (2002)、Rubinsonら、Nat Genet 33、401-6 (2003)およびCarmellら、Nat Struct Biol 10、91-2 (2003))、受精能力を調節することができる哺乳動物を生成するために本発明に従って使用することができる。条件RNAi−に基づくトランスジェニック系は、動物の一生中の所定の段階での遺伝子発現レベルを制御できる付加的な利点を提供するであろう。
実施例1
新規マウス精巣特異的セリン/スレオニンキナーゼの単離
プロテインキナーゼ中に存在する保存領域に対応する変性オリゴヌクレオチドを用いた逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により、精巣特異的セリン/スレオニンキナーゼの新規メンバーを単離した。このPCR断片は、ノーザンブロット分析により雄生殖細胞における1020bp転写物を認識した。プローブとしてこの断片を用いて、全長cDNAをマウス混合生殖細胞cDNAライブラリーからクローニングした。このcDNAは、268アミノ酸のタンパク質をコードする804塩基の読み取り枠を有する。組織発現分析により、このプロテインキナーゼは、マウス精巣生殖細胞中で発生時に発現し、脳、卵巣、腎臓、肝臓または初期胚細胞には存在しないことが示された。
この新規推定セリン/スレオニンプロテインキナーゼ(配列番号:9)は、コード領域のシフトを生ずるいくつかの塩基欠失および22アミノ酸(109から131残基)を除いては、最近記述されたマウス精巣特異的プロテインキナーゼ、tssk3(Zuercherら、2000, Mech Dev 93, 175-7)とほぼ同一である。次いで、この新規プロテインキナーゼのヒト相同体(配列番号:6)がクローニングされ、もっぱら精巣で発現が見られた。ヒトおよびマウスcDNAクローンの両方を用いた蛍光インシトゥ(in situ)ハイブリダイゼーション(FISH)により、それぞれの染色体lp34−35および4Eでシンテニック局在が示された。tssk3との相同性により、この新規プロテインキナーゼはtssk3bと命名された。
材料および方法
精原細胞群の単離
パキテン期染色体、球形精細胞および濃縮精細胞(condensing spermatids)の精製された集団を、コラゲナーゼおよびトリプシン−DNaseIでの連続分離(Bellveら、1977; Romrellら、1976)により、成体マウス(CD-1; Charles Rivers)の被膜剥離精巣から調製した。細胞を、強化クレブスリンゲル重炭酸培地(enriched Krebs Ringer Bicarbonate Medium)(EKRB)(Bellveら、1977; Romrellら、1976)中の2−4%BSA勾配における単位重量の沈降速度により、個別の集団に分離した。パキテン期染色体および球形精細胞群は、各々少なくとも純度85%であったが、濃縮精細胞群は約40〜50%の純度であった(主に無核残留物(anucleated residual bodies)およびいくつかの球形精細胞が混入している)。
RNA単離およびノーザンブロット分析
体細胞組織、特定年齢のマウスの精巣、および成体マウスの単離精原細胞からの全RNAを、5M グアニジウムイソチオシアネート、25mM クエン酸ナトリウム、pH7.2、0.5%サルコシル(Sarkosyl)、および0.1M 2−メルカプトエタノール中で細胞をホモジナイズすることにより単離した(Chirgwinら、1979)。溶菌液を、5.7M CsCl、0.1M EDTAのクッションにて114,000×gで一晩20℃で遠心分離した。ペレットを再懸濁し、フェノール:クロロホルムで抽出し、そのRNAをエタノールで沈殿させた。そのRNAの完全性は、1%アガロースゲルにおけるリボゾームRNAのエチジウムブロミド染色により証明された。等量のRNAを、ホルムアルデヒドを含む1.2%アガロースゲル中で電気泳動させた(Sambrookら、1989)。RNAをニトロセルロース紙に移し、80℃で2時間ベイク(bake)し、50%ホルムアミド、5×Denhartdt’s、0.1%SDS、100μg/ml トルラRNA、5×SSPE中で最低42℃で1時間、プレハイブリダイズした。適当なDNAプローブをPCRで作成し、ランダムプライム法により32p−dCTPで放射標識し、50%ホルムアミド、5×Denhartdt’s、0.1%SDS、100μg/ml トルラRNA、10%硫酸デキストランを含む5×SSPE中のブロット(1×10 cpm/ml)でインキュベートし、42℃で一晩ハイブリダイズした。ブロットを2×SSPE、0.1%SDSで洗浄し、次いで0.1×SSPE、0.1%SDSで洗浄した(いずれも室温で2×10分間)。洗浄後、フィルターを風乾させ、増強スクリーンを伴うフィルムに−70℃で露光させた。ヒト組織のノーザンブロットはClontechから取得し、ハイブリダイゼーションを上記のとおり行った。
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、Gibco−BRLのスパースクリプト(Superscript)IIを用いて使用説明書に従って行い、次いでプロメガ(Promega)のTaqポリメラーゼを使用した。PCR条件は次の通りであった:95℃、2分間を1サイクルし;95℃で1分間、55℃で1分間および72℃で1分間を35サイクルし;72℃、7分間を1サイクルして、このサイクルを終了し、次いで4℃に冷やした。次いで、DNA産物を2%アガロースゲルで分析した。チロシンキナーゼの標的保存領域に対して、以下の変性プライマーを用いた:逆転写工程については、3つの無作為なヌクレオチドに続いてサブクローニング用の5’EcoRI共通部位を付加したチロシンキナーゼのサブファミリーに共通するコード小領域IXに対応する変性アンチセンス20−マー(CGTGGATCCA(A/T)AGGACCA(C/G)AC(A/G)TC;配列番号:11);(2)PCR工程については、同じプライマーをチロシンキナーゼのサブファミリーと共通する小領域VIbに対応する変性センス20−マーと一緒に使用し、さらにEcoRIの共通部位を4つの無作為なヌクレオチドの後ろに導入した(ATTCGGATCCAC(A/C)G(A/C/T/G)GA(C/T)(C/T)T(配列番号:12)。PCR反応が完了し、その産物を分析した後に、そのcDNAを使用説明書に従ってTOPO TAクローニングベクター(In Vitrogen)にサブクローニングしたが、EcoRIサブクローニング用共通部位は使用しなかった。35個の陽性コロニーからキアゲン(Qiagen)キットを用いてミニプレップ調製し、次いでT7プライマーを用いて配列決定した。
マウスtssk3bのクローニング
tssk3bをクローニングするため、RT−PCRにより得られた特有配列を用いて、この新規キナーゼに対する特定プライマーを設計した。プライマーA2(アンチセンス:CATCACCTTTCTTGCTATCATGGG;配列番号:13)およびS2(センス:TGTGAGAACGCCTTGTTGCAG;配列番号:14)を用いて、169塩基のPCR断片を得た。続いて、ランダムプライム法により、このPCR断片を32p−dCTPで放射標識し、プローブとして用いて、前記したようにオリゴ−dTプライム化混合生殖細胞cDNAライブラリーをスクリーニングした。
ヒトtssk3b相同体のクローニング
ヒトESTデータベースを検索するため予測されるマウスtssk3bアミノ酸配列を用いて、BLAST検索において登録AI553938を得た。このEST配列を用いてアンチセンスプライマーA3(GACATCACCTTTTTTGCTATCGT;配列番号:15)を設計した。鋳型としてヒト精巣マラソンレディーcDNA(Clontech, Inc)を用いて、このプライマーおよびアダプタープライマー(CCATCCTAATACGACTCACTATAGGGC;配列番号:16)を5’RACEに使用した。まず、PCR反応混合液を94℃で10分間加熱し、次いでその混合液を次の条件下で40サイクルのPCRを行った:94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で2分間。これらのサイクルに続いて、混合液を72℃で10分間インキュベートした。AmpTaq Gold(Perkin Elmer)を、従来のPCR用Taqポリメラーゼの代わりに用いた。増幅cDNA断片をTOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてクローニングし、配列決定した。5’RACE後に得られたcDNA配列の5’端を用いてセンスプライマーS3(GCAGGTGAGAATGTTCTAACGCTG;配列番号:17)を設計し;アンチセンスプライマーA4(TCTCCCCCTACTTTATTGGAGAGC;配列番号:18)は、AI553938の3’末端に基く。次いで、これら2つのプライマーを用いて、前記条件を用いて同じライブラリーから全長ヒトtssk3b相同体を増幅した。増幅された1.058kb断片を切り出してクローニングし、バージニア大学の配列決定設備を用いて配列決定した。cDNAライブラリー増幅tssk3bヒト相同体のC末端1400bp断片をヒト組織のノーザンブロットに使用した。
DNA配列決定およびコンピューター分析
すべての配列決定は、AmpliTaq、FSダイ・ターミネーターサイクルシーケンシングキット・ケミストリーおよび適当なプライマーで、373A DNAシーケンサー(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて行った。不明瞭な部分は、逆鎖を配列決定することにより解決した。DNAおよびタンパク質配列分析は、Mac Vector MT(Kodak Scientific Imaging Systems、ニューヘブン、コネチカット州)およびSequencher TM(Gene Codes Corp.、アナーバー、ミシガン州)ソフトウェアプログラムを用い行った。
蛍光性インシトゥハイブリダイゼーションおよび染色体マッピング
蛍光性インシトゥハイブリダイゼーション(FISH)および免疫蛍光の検出を、前記のように行った(Bellら、1995、Cytogenet. Cell Genet、70: 263-267)。1kbのマウスcDNAクローンおよび相当する1kbのヒト相同体を、1μg DNA、各20μMのdATP、dCTPおよびdGTP(Perkin Elmer)、1μM dTTP(Perkin Elmer)、25mM トリス−HCl、pH7.5、5mM MgCl2(Sigma)、10mM B−メルカプトエタノール(Sigma)、10μM ビオチン−16−dUTP(Boehringher Mannheim)、2ユニットのDNAポリメラーゼI/DNaseI(GIBCO, BRL)およびHOを含み総容量が50μlの反応液中のニックトランスレーションによりビオチン化した。プローブを変性させ、ヒト末梢リンパ球およびマウス胚線維芽細胞のそれぞれに由来する***中期スプレッド(metaphase spreads)にハイブリダイズさせた。ハイブリダイズプローブを、フルオレセイン標識アビジンを用いて検出し、抗アビジン抗体(Oncor)およびフルオレセイン標識アビジンの第二層を加えることよりシグナルを増幅した。染色体調製物をDAPIで対比染色し、マッキントッシュコンピューターワークステーションにより操作される冷却CCDカメラ(Photometrics、トゥーソン、アリゾナ州)を装着したZeiss Axiophot落射蛍光顕微鏡で観察した。DAPI染色およびFITCシグナルのデジタルイメージを取り込み、擬色化し、Oncor version 1.6ソフトウェアを用いてマージした。
結果
マウス雄生殖細胞からのプロテインキナーゼのクローニング
哺乳類***受精能獲得は、いくつかのタンパク質のタンパク質チロシンリン酸化の増加に随伴している。成熟***はタンパク質を合成できず、これらの細胞中にRNAが存在するかが議論されているため、RT−PCRによりプロテインキナーゼを同定し、最終的にはその機能を推測するために、まず、RNAをマウス混合生殖細胞群から単離した。チロシンキナーゼのサブファミリー中の保存領域を標的とする変性プライマーを用い、TAクローニングに続いて、「方法」に記載したようにして得られた27個の配列をGene Bankの配列と比較し、分析した。殆どの配列が、チロシンキナーゼサブファミリーの既知メンバーと一致したが、得られた配列のいくつかは、ser/thrプロテインキナーゼのサブファミリーのメンバーと一致した。
B−Rafkinaseなどのサブファミリーの既知メンバー間で、***形成に関与するser/thrプロテインキナーゼの新規ファミリーに相同性を有する配列を検出した(Kuengら、1997、J Cell Biol 139、1851-9)。この新規ser/thrキナーゼをクローニングするため、この配列に対応する169塩基の特異的PCR断片を放射標識し、マウス混合生殖細胞cDNAライブラリーを前記の「方法」に記載したようにスクリーニングした。1.02kbのcDNA挿入物を含むクローンが得られ(配列番号:10)、Kuengらの命名法に従ってtssk3bと命名した。配列分析により、266アミノ酸の推定ser/thrプロテインキナーゼをコードする804ヌクレオチドの単一の読み取り枠が示された。開始メチオニンに隣接するヌクレオチドは、コザック共通配列と良く一致する。3’−非翻訳領域は、ポリ(A)テイルの上流の21ヌクレオチドのポリアデニル化シグナルを表わした。この配列は、ser/thrキナーゼに対応する期待される保存ドメインのすべてを含む。
マウスtssk3の発現様式
マウスtssk3bの発現様式を、tssk3bの全長転写産物に相当するtssk3b特異的プローブを用いて異なるマウス組織由来の全RNAのノーザンブロット分析により調査した。このプローブは、前記「方法」に記載のようにして調製された、もっぱら混合マウス生殖細胞群中に存在するおよそ1kbの単一の転写産物を認識した。高露光しても、もっぱら生殖細胞中で1.35kb転写産物を識別することができ、この転写物は、マウス生殖細胞ライブラリーをスクリーニングした場合には観察されなかったことから、tssk3bのスプライシング変化を示すかもしれない。精巣中のtssk3bの発現様式をさらに分析するために、成体精巣の精製された生殖細胞から得られたRNAを用いたノーザンブロットを行った。tssk3b mRNAは、球形および濃縮精細胞中で減数***後に発現されることが見出されたが、減数***パキテン期染色体では発現されなかった。マウス精巣は胚発生の11−12日で分化し、始原生殖細胞が大部分を占める。最初の***形成波は、生後数日で始まり、精原細胞は思春期前に初期精細胞に分化する。成熟***への分化は、テストステロンに依存的であり、思春期後に生ずる。
tssk3bが減数***後に発現するかどうかをさらに調査するため、全精巣RNAを、出生後日数の異なる(1、3、7、10、15、20、24、30日および成体)マウスから調製し、ノーザンブロット分析により分析した。tssk3bの転写は、生後20日と24日の間に始まり、このmRNAの減数***後発現を確認した。
これらの結果は、tssk3bの発現様式がマウスtssk1およびtssk2の発現様式(Kuengら、1997、J Cell Biol 139、1851-9)と類似することを実証し、これにより、tssk3 mRNA発現が発生的に調節されており、その発現が***形成の開始期付近で減数***後に刺激されることを示唆している。
tssk3bの発現パターンを更に分析するため、我々は、卵母細胞、中期II停止卵子および未着床胎児発生の異なる段階において、特定のプライマーを用いたRT−PCRを行った。正確な大きさのtssk3bPCR産物が混合生殖細胞全RNAから増幅され得る条件のもと、いずれの段階においてもPCR産物が観察されなかった。
tssk3bのヒト相同体のクローニングおよび発現
マウスtssk3配列を用いて、生殖細胞腫瘍由来のヒトESTをデータベースのBLAST検索により同定し、3’および5’RACEと組み合わせて使用して「方法」に記載のように適宜ライゲーションされたヒト精巣cDNAライブラリー(Clontech)から全長ヒト相同体(配列番号:3)をクローニングした。
ヒト組織中のtssk3の発現パターンを調査するため、ヒトtssk3 cDNAのC末端400bp断片を用いて組織ノーザンブロット(Clontech)探索を行った。1kbおよび1.35kbRNA転写産物がもっぱら精巣中に発現されていた。マウスの場合と同様に、1.35kb断片が別に連結された転写物を示し得る。これら新規なser/thrキナーゼであるマウスtssk3bとヒト相同体tssk3のいずれも、互いに最も高い相同性(98%)を有し、続いてマウスtssk3(92%)、マウスtssk1およびマウスtssk2(56%)と相同性を有しており、このキナーゼが新規ser/thrキナーゼの同じサブファミリーに属することを示唆している。記載のように、tssk3とtssk3bは非常に高い相同性(92%)を有し、これら2つの配列間の相違は、22アミノ酸(残基109から131)の範囲に限定される。この範囲をヌクレオチドレベルで分析すると、コード領域がシフトし、上記22アミノ酸の変更を引き起こす3つの塩基対欠失がマウスtssk3配列に観察された。現段階ではこれらのフレームシフトの起源は不明であるが、1つの可能性としてマウス精巣に2種類のtssk3が存在することがある。より可能性があるのは、これら2つの配列の1つがその配列中に小さな誤りを有することである。tssk3bヒト相同体はマウスcDNAクローンから独立して得られ、マウス相同体とアミノ酸レベルで100%の相同性を有するため、出願人らはマウス3bとヒトtssk3配列のいずれについても正確であると確信している。
ヒトおよびマウスtssk3の染色体マッピング
tssk3bの染色***置もまた、全長ヒトcDNAプローブを用いた蛍光性インシトゥハイブリダイゼーション(FISH)によりマッピングした。評価した20個の中期スプレッドすべてにおいて第1染色体上で蛍光シグナルが検出された。観察された合計109個のシグナルのうち、49個(45%)が1pにあった。すべての染色体特異的シグナルは1p34.1−34.3に局在していた。これらシグナルの分布は次の通りであった:第1染色分体(6細胞)、第2染色分体(14細胞)および第3染色分体(5細胞)。マウスtssk3b cDNA相同体は、第4染色体のシンテニック領域、バンドEにマッピングされた。
実施例2
tsskキナーゼファミリーのヒト相同体の全長cDNAおよびtssk基質からの部分的なcDNA配列のクローニング
ジーンバンクを検索するために、予想されるマウスtssk1および2アミノ酸配列を用いて、マウスtssk1およびtssk2の両方のゲノム配列が得られた。これらの遺伝子は第5および第22染色体にそれぞれマッピングされており、イントロンはない。コード領域の3’末端および5’末端に相当する配列を用いて、それぞれセンスおよびアンチセンスプライマーを設計した。両方のヒトキナーゼ相同体の全長配列を最終的に得るため、鋳型としてヒト精巣マラソンレディーcDNA(Clontech, Inc.)を用いて、アンチセンスプライマーを5’RACEに使用し、センスプライマーを3’RACEに使用した。増幅されたcDNA断片をTOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてクローニングし、配列決定した。全長ヒトtsskキナーゼcDNAを増幅するため、5’RACE後に得られたcDNA配列の5’端を用いて5’センスプライマーを設計した。3’RACE後に得られたcDNA配列の3’端を用いて、アンチセンスプライマーを設計した。次いで、これらの2対のプライマーを用いて、同じライブラリーからヒトtssk1および2を増幅した。増幅配列1.3kb(tssk1)および1.2kb(tssk2)をサブクローニングし、配列決定した。tsskキナーゼファミリーの3つのメンバーの翻訳されたヒト相同体をそれぞれ配列番号:4〜6として提供する。
発現の特異性を分析するため、いくつかのヒト組織を表す市販のブロットを、ヒトtssk1および2の全長cDNA由来のランダムプライム標識プローブを用いて行った。加えて、部分的な800塩基対配列由来のランダムプライム標識プローブを用いて、tssk基質の組織分布を決定した。ノーザンブロットは、商業的に入手可能なヒト組織ブロット(Clonetech)を用いて行った。
ノーザンブロットにより、tssk1、2およびtssk基質が精巣特異的mRNAであることが示された。これら同一のブロットはtsskプローブに対して分離され、ベータアクチン配列を用いた再探索をすることで、各レーンに等量のRNAが充填されたことを確認した。発現の特異性を更に分析するために、同じプローブを用いて、76種のヒト組織由来の商業的に入手可能なmRNAアレイを使用するドットブロットを行った(Clontech, Cat#7775-1のMultiple Tissue Expression(MTETM)Arrayを用いる)。それぞれ探索されたMTEで得られた唯一のシグナルが、精巣RNAを含むグリッド中にあった。この実験により、これらのメッセージによりヒトでは精巣特異的であることが確認された。さらに、Kuengら (1997)は、tssk1および2がマウス生殖細胞中で減数***後に発現されること、およびこれらのメッセージが他の11の組織には存在しないことを実証した。
実施例3
免疫学的局在決定およびイムノブロッティング実験
tssk1、2および3キナーゼおよびそれらの基質が精巣および/または成熟***中に存在するかどうか決定するため、組換えタンパク質に対する特異的抗体を作製する。別に、各cDNAの予想されるアミノ酸配列から設計される特異ペプチドに対する抗ペプチド抗体を作製する。作製された各抗体の特異性を、組換えtssk1、2および3に対して試験する。各タンパク質の特定のアミノ酸配列に対して設計された抗ペプチド抗体が特異的であると予想される。
tsskキナーゼおよびtssk基質に対して作製された抗体を用いて、他の組織中のこれらキナーゼの存在について分析する。この目的のため、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、卵巣、胎盤、骨格筋および脾臓などの種々の組織のClontech protein MedleysTMを、抗tssk抗体および抗tssk基質抗体を使用するウェスタンブロットにより試験する。tssk1、2および3をコードするmRNAが精巣にのみ存在するため、同様のタンパク質分布が期待される。tsskキナーゼのヒト相同体はそのマウス対応物と比較した場合に80%を超える相同性を有するため、ヒト組換えtsskキナーゼに対する抗血清はマウス相同体を同様に認識することが期待される。従って、ヒトtsskキナーゼに対して作製された抗体もまた、マウス組織で試験する。
精製された組換えタンパク質に対するポリクローナル抗体の作製のために、ラットおよびウサギが用いられる。この目的のために、Mandalら(Biol. Reprod. 61 (1999)、pp. 11841197)により記載されたプロトコルに従う。抗体力価はELISAによりモニターし、抗体の特異性はSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティング分析により確認する。
***調製
免疫学的局在決定およびイムノブロッティング実験を行うため、ヒト***を健常なドナーから採取し、以前に記載されたようにPercoll(Pharmacia Biotech, Upsala, Sweden)密度勾配遠心分離を用い精製する(Naaby-Hansenら、Biol Reprd 1997; 56:771-787)。次いで、***を最終濃度2×10細胞/mlとなるよう再懸濁する。
SDS−PAGEおよびイムノブロッティング
***および異なる組織からの別の細胞型を遠心分離でペレット化し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)1mlで洗浄し、メルカプトエタノールを含まないサンプル緩衝液(Laemmli, 1970)に再懸濁し、5分間煮沸する。遠心分離した後、上清を回収し、2−メルカプトエタノールを最終濃度5%となるように加え、5分間煮沸し、次いで、10%SDS−PAGEにかける。タンパク質濃度は、PierceのABCキットにより決定する。Immobilon Pへのタンパク質の電気泳動転移および免疫検出を、以前に記載されたように行う(Kalabら、Mol Reprod Dev. 1994 May;38(1):91-3)。ゲルを、銀またはクマジーブルーで染色するか、immobilon PVDF(Millipore)へ転移させ、抗組換え抗体で探索する。
免疫蛍光
tssk1、2および3の細胞内の局在を決定するため、可溶性の酵素に対する特異抗体をヒト精巣組織およびヒト***の免疫蛍光実験ならびに免疫電子顕微鏡検査に使用する。さらに、抗体がマウス抗原を認識する場合には、その局在を、マウス生殖細胞および***の免疫蛍光により調査する。
***を適当な実験条件下で処置し、PBS中の3%(w/v)パラホルムアルデヒド−0.05%(v/v)グルタルアルデヒドの溶液を用いて懸濁液中で1時間固定し、PBS中37℃で洗浄し、次いで、PBS中の0.1%(v/v)TritonX−100で37℃10分間の透過処理をする。次いで、***をPBSで洗浄し、以前に記載されたように(Viscontiら、1996)、適当な抗体の希釈系列(5、10、50および100)と共に一晩インキュベートする。PBSで***を洗浄した後、FITC結合ヤギ抗マウスIgGと共にインキュベートし、次いでポリリシン被覆顕微鏡スライドに付着させる。PBSで3回洗浄した後、そのスライドをフルオロモント(fluoromont)を用いてマウントし、蛍光を評価する。精巣生検から得た精巣試料を以前に記載されているように(Westbrookら、Biol Reprod. 2000 Aug;63(2):469-81)処理する。
実施例4
組換えtsskタンパク質の発現
多くのキナーゼが大腸菌内で活性分子として発現されている(Bodenbachら、1994; Letwinら、1992)。大腸菌には比較的単純で容易にスケールアップできるという利点がある。Tssk1、2、3の読み取り枠を増幅し、pET28bベクター(Novagen)中のHisタグと融合させる。そのプラスミドをBL21 DE3または他の適当な宿主株に形質転換する。組換えタンパク質産生は培養培地に最終濃度1mMとなるようIPTGを加えることにより誘導される。組換えタンパク質は、天然の条件下でNi−NTAカラムを用いて大腸菌溶解物から精製される。結晶形成の促進のため、高純度のタンパク質が最適である。上記のタンパク質調製物を精製するため、PrepCell(Bio−RAD)を使用する予備的な電気泳動を用いる。キナーゼアッセイを結晶化させる前に行う。
細菌中で組換え精巣tsskキナーゼおよびtssk基質を産生させるため、tssk1、2および3の、ならびにtssk基質のための発現構成物を作製する。これらタンパク質のそれぞれのコード領域を、pET28b発現ベクター中にサブクローニングし、C末端に6残基のHisタグを付加する。特にこの構成物は、5’末端にNdeI部位および3’末端にXhoI部位を設けるように設計された完全ORFプライマーを用いて作製される。増幅産物を、pET28b発現ベクターのNdeI−XhoI部位中にライゲーションする。組換えタンパク質は発現ベクターの6個のヒスチジン残基と融合されているため、この発現タンパク質はNi−ヒスチジン結合樹脂親和性クロマトグラフィーを用いて精製される。精製するとすぐに、キナーゼ活性をtssk基質を用いて評価し、この酵素が正しく折りたたまれていることを確認する。
tssk2タンパク質は、大腸菌内でうまく発現され精製された。tssk2を発現させるため、読み取り枠を、Hisタグを有するpET28b発現ベクター中にサブクローニングした。組換えタンパク質はIPTGでの誘導後に産生された。細菌で発現され、部分的に精製されたtssk2を、BioradのPrepCellを使用する予備的ゲル電気泳動によりさらに精製した。その画分を回収し、SDS−PAGEにより分析した。tssk基質を同様に発現させ精製した。これらの精製タンパク質を使用して、標準技術を用いてラットポリクローナル抗体を作製した。
複数のキナーゼがインビボおよびインビトロで自己リン酸化される性質を有するため、細菌で発現させた精製組換えtssk2を自己リン酸化についてアッセイした。この実験は、40μM ATP(1μCiの[32P]ATP)、10mM Mg2+、p−ニトロ−フェニルホスフェートおよびグリセロールホスフェートなどのホスファターゼ阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤(ロイペプチンおよびアプロチニン10μg/ml)の存在下で行われ、このアッセイをサンプル緩衝液で停止させ、tssk2を10%PAGEで分離した。乾燥ゲルの自動X線撮影法により、組換えtssk2が32Pを取り込んだことが示されたが、これにより、細菌で発現されたtssk2が生ずるリン酸化に関して正確に折りたたまれており、構造研究に使用できることが示唆される。
細菌で発現される組換えタンパク質のすべてが正確に折りたたまれる訳ではないので、酵母中でtssk1、2および3を発現させる同様のアプローチが行われる。酵母でtsskキナーゼおよび基質を発現させるため、このキナーゼをInvitrogen(Carlsbad, CA)のpPICZαBベクターにサブクローニングし、分泌タンパク質としておよび細胞内タンパク質としてPichia pastoris中で発現させる。これらの構成物はまた、培養培地または細胞抽出物のいずれかからの組換えタンパク質の精製を容易にするC末端Hisタグを有する。
実施例5
酵母ツー・ハイブリッドシステムにおけるtsksとのtssk2相互作用
tssk2とtsksとのタンパク質−タンパク質相互作用を実証するため、ツー・ハイブリッドシステムを用いた。この実験では、ベイト遺伝子(tssk2)を、最初にGAL4 DNA結合ドメイン(DNA−BD)に対する融合体としてレポーター株中に形質転換した。GAL4活性化ドメイン(AD)に対する融合体としてtsksを発現する第2のプラスミドもまたAH109レポーター株中に導入した。ウェスタンブロットを行い、酵母中での融合タンパク質の発現の確認を行った。tssk2とtsksとの相互作用により、ヒスチジン(HIS)遺伝子の転写が促進され、His不含培地で酵母が増殖し得ることが観察された。同様に、GAL4 DNA結合ドメインに融合されたp53を発現する第1の構築物およびGAL4活性化ドメイン(AD)に融合されたSV40ラージT抗原を発現する第2の構築物を酵母細胞に同時トランスフェクトすることにより、p53とSV40ラージT抗原とが相互作用し、His遺伝子活性化が促進されることが示された。この相互作用を陽性対照として使用した。対照的に、tssk2およびp53とDNA−BDとの融合タンパク質は、GAL−ADプラスミドを同時トランスフェクトしても増殖は促進されなかった。GAL−AD単独、またはGAL−ADとTSKSとの融合タンパク質またはGAL−ADとSV40ラージT抗原との融合タンパク質のいずれも、His遺伝子の転写を活性化する能力を有さなかった。この実験により、tssk2および基質tsksが相互作用し得ることが示され、これによりこれらのタンパク質のヒト相同体が、マウス対応物と同様の挙動を示すことが示唆される。
tssk2とtsksとがインビボでも相互作用するかどうかを調査するため、受精能獲得した***および受精能獲得していない***を、タンパク質−タンパク質相互作用を防ぐ条件でトライトンX100を用いて抽出し、次いで、特異抗体を用いて免疫沈降を行う。相互作用は、典型的な交差免疫沈降実験における他の抗体を用いてウェスタンブロットにより分析する。相互作用するタンパク質は共局在するため、二重標識免疫蛍光を行い、共局在を調査する。ヒトtsskに対するウサギ抗体はまだ得られていないが、ラット抗tssk2抗体およびラット抗tsks抗体が既に得られているため、ヒトtsskに対する抗体を得るのが困難であると予想する理由はない。
実施例6
tssk1、2、3およびtssk基質の結晶構造の単離
2つの方針をtssk特異的阻害剤の合理的設計に利用する。第一に、ハイスループット・スクリーニングを両立するインビトロ・キナーゼアッセイを開発する。第二に、tsskキナーゼ単独の結晶構造またはその基質との複合体の結晶構造を得る。
X線結晶を用いる構造研究の場合、およそ5mgの活性キナーゼを得る必要がある。このタンパク量は、一般に最初の結晶化の試行に適当な量である。最初の試行は、組換え完全タンパク質で行われる;これは、いくつかの酵素の構造研究を含み、多くの場合に成功すると証明されている一般的な結晶化技術である。結晶スクリーニングの前に、発現断片は、酵素活性の適当なレベルについて、ならびに純度、均一性および溶解性について確認されよう。懸滴蒸気拡散法(hanging drop vapor diffusion method)と合わせて使用する、いくつかの商業的に入手可能な結晶スクリーニングキットは、結晶成長条件を探索する標準的な最初の工程を提供する。触媒的に要求される金属イオン、基質および/または阻害剤の存在下での断片の結晶スクリーニングは、アポ酵素のスクリーニングと同時に行われる。
結晶は、シッティングドロップを21℃で平衡化することにより得られる。低温回折(cryodiffraction)実験の場合、結晶を、これらの試薬の中間濃度を有する3つの溶液を通じて同様の緩衝溶液に移す。室温および低分解での回折実験の場合、回転陽極X線発生装置(rotating anode X-ray generator)からのCu Kαを用いる。最終的な構造は、予備的な改良、モデルの改善および更なる改善の後に確立される。
tsskキナーゼファミリーの場合には、基質の存在下での結晶化は、キナーゼ活性の分子基盤を確立するために実験される。最初の結晶化条件が得られると、その条件は、少なくとも3.0Å分解能で回折する結晶が得られるように、最適化される。MAD(多波長異常分散法)およびMIR(多重同形置換法)技術による構造の直接の移送整合を同時に行って成功を確かめる。位相構造の半自動モデル構築および改良技術を用いることで迅速に構造結果が得られるであろう。構造が得られると、その結果は、***形成および/または***機能におけるtsskキナーゼファミリー特有の役割を理解する観点で分析される。これらの研究の最終目標は、避妊として役立つ可能性のあるtssk1、2および/または3の特異的阻害剤を設計するための鋳型として、その構造を使用することであろう。
実施例7
tssk特異的キナーゼアッセイの開発
tsskファミリー用の特異的キナーゼアッセイの設計は、別の観点から利点がある。第一に、キナーゼアッセイにより、ATP、二価陽イオンおよび基質に対するKmなどのこれら酵素の動力学的な特徴づけが可能となる。第二に、活性酵素だけが結晶学的研究に適当であるため、キナーゼアッセイにより、組換えタンパク質の折りたたみを確認し得る。第三に、tssk特異的阻害剤のハイスループットスクリーニングに適当なキナーゼアッセイに対する基礎となる研究室規模でのインビトロキナーゼアッセイを開発するのに望ましい。
tsskキナーゼ活性を測定するアッセイの開発は、基質、[γ32P]ATP、Mg2+および/またはMn2+およびホスファターゼ阻害剤の存在など、キナーゼアッセイの一般的特性に従う。しかし、まずtsskキナーゼの起源が提供されるべきである。tsskキナーゼは、これらのタンパク質を組換え技術により発現させ、この発現されたキナーゼを精製することにより作り出される。
哺乳類細胞抽出物でのキナーゼアッセイ
それぞれのヒトtsskキナーゼのORFをpCMV−HAエピトープタグ付き哺乳類発現ベクター(Clontech cat#K6003-1)中にサブクローニングする。同様に、tssk基質のORFをpCMV−Myc哺乳類発現ベクター(Clontech、上記と同じ)にサブクローニングする。それぞれ3つのHA−キナーゼを、ヒトtsskの各3種それぞれについてのCOS細胞系でcMyc−tssk基質と共に共発現させる。共発現は、それぞれの抗タグ抗体を用いた免疫蛍光を行うことによって確認される。HAおよびHycに対する抗体はClontechから入手できる。抗c−Mycはマウスモノクローナルであり、抗HAはウサギポリクローナルであるため、キナーゼと基質の両方が同じ細胞中で共発現されているかどうか分析することができる。
次いで、タンパク質を1%Tritonで抽出し、抗HA−タグ抗体を用いて免疫沈降を行う。他に、抗tssk−キナーゼ/抗−tssk基質抗体を用いて、tsskキナーゼおよびtssk基質を免疫沈降し得る。典型的には抗体は、標的リガンドの単離を促すためにセファロースビーズのような固体支持体に結合されている。プロテインAセファロースによる沈殿の後、そのペレットを、種々の濃度のATP(10μM、100μMおよび1mM)、Mg2+またはMn2+(100μM、1mMおよび10mM)および1μCiの[γ32P]ATPを用いて、キナーゼ活性についてアッセイする。リン酸化タンパク質をSDS−PAGE分離およびオートラジオグラフィーにより評価する。免疫沈降後のキナーゼ活性の評価は、頻繁に用いられる方法であり、1つの特定キナーゼの活性を特異的に測定できる(Cosoら、1995、Cell 81、1137-46; Moosら、1995, Biol Reprod 53、692-9)。Kuengら(1997)が、tssk1および2の免疫沈降後にtssk基質のリン酸化の検出に成功したため、哺乳類系での共発現後のtsskキナーゼのキナーゼ活性を測定できることが期待される。
インビトロ・キナーゼアッセイ
それぞれ精製した酵素を、種々の濃度のATP(10μM、100μMおよび1mM)、Mg2+またはMn2+(100μM、1mMおよび10mM)、1μCiの[γ32P]ATP、および種々の濃度の精製tssk基質(1、10および100ng/アッセイ)と混合する。リン酸化は、SDS−PAGE分離およびオートラジオグラフィーにより評価する。このタンパク質が正確に折りたたまれている場合には、その基質のリン酸化は、この方法で容易に検出されると期待される。
実施例8
tssk抗体の作製
精製tssk2およびtsksを使用し、ラットポリクローナル抗体を作製した。組換えヒトtssk1、2および3ならびにヒトtssk基質に対する抗血清を用いて、タンパク質レベルの組織分布および細胞内局在を決定する。ラット抗tssk抗体および抗tsks抗体は、組換えタンパク質を認識し、***および精巣中で予想されるMWのタンパク質をも認識したことから、tsskファミリーの少なくとも1つのメンバーおよびその基質(tsks)が***中に存在することが示唆される。次いで、これらの抗体を用いて、受精能を獲得したヒト***中のこれらタンパク質の細胞内局在を研究した。Tssk2は、ヒト***の赤道部分に局在することが観察された。tsksもまた赤道部分に局在した。それにも拘わらず、抗tsks抗体は、前頭および尾に存在するタンパク質をも認識する。これら分子の免疫学的局在決定により、tssk2およびtsksがヒト***群の少なくとも1区画で***の類似領域中に存在することが示唆される。対照実験は、各抗体のラット免疫前血清を用いて行った。ウェスタンブロットおよび免疫蛍光の両方は陰性であった。tssk2に対する抗体はtssk2に対して作製されたが、配列に高い相同性があるためこの抗体がtsskファミリーの他のメンバーを認識したことは否定しきれない。しかしながら、3つのtsskイソ酵素間の識別は、tssk1と2の間で相違し、tssk3中には存在しないC末端ドメインに対する抗体を作製することにより可能となり得る。
実施例9
リアルタイムRT−PCR分析
最初のストランドcDNAを、製造業者から提供された反応バッファーを用いた100μl反応液中の1μMオリゴd(T)プライマー(Ambion、オースティン、テキサス州)およびOmniscript逆転写酵素 (Qiagen、アラメダ、カルフォルニア州)を用いてヒト精巣由来の全RNA5μg(Ambion、オースティン、テキサス州)から調製した。リアルタイムRT−PCRをBio−Rad(Hercules、カルフォルニア州) i−サイクラーIQシステムを用いて実施した。プライマー対は、2μlの精巣cDNA、10μlのIQ SYBR Green supermix(BioRad)および各プライマーの10μMストック溶液0.6μl(最終濃度0.3μM)を含む20μlのPCR反応液中にて確認された。サイクルの条件は、95℃で3分間、続いて95℃で10秒間および60℃で30秒間を45サイクルであった。増幅の後、そのPCR産物を95℃で1分間変性させ、72℃で10秒間アニーリングさせる融解曲線分析を行った。次いで、SYBRグリーンの蛍光の消失をモニターしながら温度を0.1℃刻みで上昇させた。各プライマー対は、予想されたPCR産物の推測Tm値と一致した温度で鋭い融解ピークを有する単一の産物を増幅した。アガロースゲル電気泳動により増幅産物は期待されたサイズであることが確認された。逆転写酵素をcDNA合成反応から除いた場合には、産物は得られなかった。
オリゴヌクレオチドプライマーは、すべてQiagen Operon(アラメダ、カルフォルニア州)から購入した。可能な場合には、プライマーはスプライス部位にまたがるように選択される。TSSK1およびTSSK2などのイントロンの無い遺伝子の場合に、これを実施できないことは明らかである。各遺伝子のプライマー対は:TSSK1の場合、GCCCCTAGGTGGATGAGG (フォワード;配列番号:21)およびTCACGCTCTGGGGGAGTA (リバース;配列番号:22);TSSK2の場合、GGGTTCCTACGCAAAAGTCA(フォワード;配列番号:23)およびGTTTTCTTGCGGTCGATGAT(リバース;配列番号:24);TSSK3の場合、GGGGAAGGGACCTACTCAAA(フォワード;配列番号:25)およびGTCCAGGGTACGGACGATTT(リバース;配列番号:26);TSSK4の場合、TACGCGTCACCCGAGTGCT(フォワード;配列番号:27)およびACGCCCATGCTCCACACA(リバース;配列番号:28);TSKSの場合、GCTGAGCGAGAATCTGGAG(配列番号:29)およびTTCAGCATCTTCCACAGACC;(配列番号:30);TSKS−1の場合、GGATTCAAATGAGGCTCCAAC(フォワード;配列番号:31)およびTGGAGGTAGCGCAGCTTCT(リバース;配列番号:32);グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の場合、ATCATCAGCAATGCCTCCTG(フォワード;配列番号:33)およびATGGCATGGACTGTGGTCAT(リバース;配列番号:34)である。
ヒト精巣におけるmRNA発現の相対レベルを、BD Biosciences社(パロアルト、カルフォルニア州)製の多組織cDNA(MTC)を用い、前記したリアルタイムPCR反応にて決定した。固定された閾値以上のPCR産物が最初に検出されるポイント、サイクル閾値(cycle threshold)(Ct値)と称されるポイントを試料ごとに決定した。融解曲線分析により、期待された産物のみの増幅が確認された。精巣に対する各組織cDNA中に存在する遺伝子特異的転写産物の量を決定するために、各々のCt値をGAPDH対照から得られたCt値を差し引くことにより(例えば、――ΔCt値=Ct TSSK3−Ct GAPDH)まず正規化する。次いで、精巣に対する所定組織中の遺伝子特異的mRNAの濃度は、精巣で得られた正規化Ct値から各組織で得られた正規化Ct値を差し引くことで(例えば、――ΔΔCt値=脳のΔCt値−精巣のΔCt値)計算され、相対濃度が決定された(相対濃度=2−ΔΔCt)。図2〜5を参照のこと。
実施例10
Tssk4のインシトゥ局在およびノーザンブロット分析
インシトゥ分析
インシトゥハイブリダイゼーションにて用いるプローブをハツカネズミ(Mus musculus)セリン/トレオニンプロテインキナーゼSSTK(Sstk−保留)、mRNA NM 032004(配列番号:35)から調製した。増幅された領域は(配列番号:36)の320〜714の範囲の394塩基対のコード配列領域である。フォワードプライマーは、配列tcg agt tca tcg aag tgt gc (配列番号:37)であり、リバースプライマーは、配列ggt gac cat gac gta gag ca (配列番号:38)であった。
材料:
鋳型は、マウス精巣cDNAファーストストランドキット(Invitrogen)を含み、成分はPCR反応に用いた成分およびそれらの濃度は以下の通りである:
Figure 2007501614

PCRプログラム:

1 94°C 1分
2 92°C 30秒
3 66°C 30秒
4 72°C 2分
5 2に戻る、33×
6 72°C 10分
7 4°C
アガロースゲル分析により、394断片の増幅が確認され、次いで配列決定するために、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen No.: K4575-01)を用いてpCR 4 TOPOベクターにクローニングした。得られたプラスミドをQiagen Qiaprep Spin(Qiagen No: 27106)を用いて単離した。インシトゥハイブリダイゼーションに用いられるクローン中のマウスTSSK4配列を、プラスミド中の挿入物を配列決定することにより確認した。
プラスミドをNotI(アンチセンス)またはPmeI(センス)のいずれかを用いて線状化した。線状化鋳型をT3−RNAポリメラーゼの存在下(アンチセンスプローブ、NotI線状化)で、またはT7−RNAポリメラーゼを用いて(センスプローブ、PmeI線状化)インキュベートすることにより、標識化センスおよびアンチセンスcRNAを合成した。標識化は、Boehringer(マンハイム、ドイツ)社製のジゴキシゲニン(DIG)−RNA−標識キットに概説される方法を用いて行った。
インシトゥハイブリダイゼーション
6時間のBouin固定およびパラフィン包埋されたマウス精巣を4μmの薄片に切断した。Pro Taqs Clear Intermedium(Quartett GmbH、ベルリン、ドイツ)にて脱パラフィンし、エタノール勾配溶液の系列に通じて再水和させた後に、組織を室温にて0.2N HCl中で20分間インキュベートし、次いで2×SSC中70℃で15分間インキュベートした。このスライドを室温にて5分間PBS中で洗浄した。その後、プロテイナーゼK(2μg/ml最終濃度)で37℃にて10分間部分消化した。0.2%(w/v)グリシン中で4℃にて10分間インキュベートし、4℃で5分間4%パラホルムアルデヒド(PBS中)を用いて後固定した後、この薄片をPBSにて室温で2回洗浄した。
薄片を0.1Mエタノールアミンおよび0.25%(v/v)無水酢酸中で室温にて5分間アセチル化し、その後PBS中で室温にて2回洗浄した。続いて、少なくとも3時間室温でプレハイブリダイゼーション工程を行った。プレハイブリダイゼーション溶液は、50%(w/v)ホルムアミド、5xSSC、5xデンハート(Denhardts:1% w/v)ウシ血清アルブミン、1%(w/v)フィコール、1%(w/v)ポリビニルピロリドン(DEPC水中)、最終濃度400μg/mlのtRNA(ベーカーズイーストトランスファーRNA、Roche)および最終濃度200μg/mlのヘリング***(hering sperm)DNA(Gibco)を含でいた。ハイブリダイゼーションバッファーは、プレハイブリダイゼーションバッファーおよび20〜50ngのDIG標識センスまたはアンチセンスプローブを含む。ハイブリダイゼーションを55℃で一晩実施した。余剰プローブを2xSSCを用いて室温で5分間の連続洗浄工程により取り除いた。10mM Tris/ HCl中の2mg/mlのRNAse A(pH8.0)、0.5M NaCl、5mM EDTA(pH8.0)を用いて37℃にて30分間インキュベートした後、洗浄を3回行った(最初に2xSSCを用いて37℃で5分間、次いで1xSSCを用いて37〜55℃で15分間、その後0.2xSSCを用いて55℃で15分間)。最後に、この薄片を1xTBS中で室温で5分間洗浄した。
ハイブリダイズされたプローブを抗DIGアルカリホスファターゼ(Boehringer)で一時間インキュベートして薄片に局在させ、次いでマレイン酸バッファー中で各10分間の洗浄を3回行い、基質(ニトロブルーテトラゾリウムクロリドおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸溶液[NBT/BCIP])を添加することによって可視化した。インキュベートは暗所で室温にて一晩実施された。次いで、薄片をマイヤーズヘマトキシリンで対比染色し、GVAマウント溶液(Zymed Laboratories、サンフランシスコ、アメリカ合衆国)中にてマウントした。結果を図6に示す。
各レーン中に1マイクログラムのマウスポリ−A mRNAを含むノーザンブロットメンブレン(BD Biosciences)を、ランダムプライミングにより32P−dCTPで標識された1.4キロベースのマウスtssk4 cDNAプローブにハイブリダイズさせた。プレハイブリダイゼーションを、プローブを含まないBD biosciences社から購入したExpressHyb中でまず65℃にて2時間実施した。同じ温度で標識化プローブを加え一晩した後、ExpressHybを新しいバッチで置き換えることにより、続けてハイブリダイゼーションを行った。ブロットを2xSSC、0.1% SDSを用いて室温で2回洗浄し、さらに0.1xSSC、0.1% SDSを用いて60℃で2回洗浄した。シグナルは、ブロットを−80℃で一晩X線フィルムに露光させることにより検出された。ベータアクチン対照のハイブリダイゼーションは、ノーザンブロットメンブレンを煮沸することにより放射性プローブを剥がした後に、上記と同じ条件下で行われた。フィルムを6時間露光した。結果を図7に示し、検出可能なシグナルのみが精巣mRNAに現れた。
ヒトtssk1(配列番号:4)、ヒトtssk2(配列番号:5)、ヒトtssk3(配列番号:6)およびヒトtssk4(配列番号:20)のアミノ酸配列間の比較である。 種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk1特異的プライマーを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。 種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk2特異的プライマーを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。 種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk3特異的プライマーを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。 種々のヒト組織から調製されたcDNAとtssk4特異的プライマーとを用いて行われたリアルタイムPCRから得られたデータを表したグラフである。 tssk4プローブを用いたマウス精巣組織のインシトゥハイブリダイゼーションである。 種々の組織から単離され、32P−dCTPを用いたランダムプライミングにより標識化された1.4キロベースのマウスTSSK4cDNAプローブを用いて探索されたマウスのポリ−A mRNAのノーザンブロットである。

Claims (15)

  1. tsskキナーゼ活性のアンタゴニストを同定する方法であって、標識化されたリン酸供給源、tssk基質およびtssk4キナーゼを含むインビトロ・キナーゼアッセイ組成物を提供し、該組成物を候補阻害化合物と接触させて試験アッセイ組成物を形成させ、その試験アッセイ組成物をキナーゼ活性が発揮される条件のもとでキナーゼ阻害物質の非存在下でインキュベートし;そして、tsskキナーゼ活性を低下させる化合物を同定する方法。
  2. 標識化されたリン酸供給源が[32P]ATPであるところの、請求項1記載の方法。
  3. tssk基質が配列番号:8記載のアミノ酸配列を含むところの、請求項2記載の方法。
  4. キナーゼアッセイ組成物が、tssk1、tssk2およびtssk3から成る群から選択されるtsskキナーゼをさらに含むところの、請求項1記載の方法。
  5. 標識化されたリン酸供給源、tssk基質およびtssk4キナーゼを含むインビトロ・キナーゼアッセイ組成物をキナーゼ活性が発揮される条件の下でインキュベートする第2の反応を実施する工程、および生成された標識化tssk基質の量と試験アッセイ組成物により生成された標識化tssk基質の量とを比較する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  6. 候補化合物を、候補化合物、標識化されたリン酸供給源、キナーゼ基質および非tsskキナーゼを含む対照組成物と接触させる第2の反応を実施する工程、および候補合物が非tsskキナーゼ活性を低下させるかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  7. 雄の哺乳動物種の受精能力を低下させる方法であって、tssk4キナーゼ活性の阻害剤を含む組成物を投与する工程を含む方法。
  8. 配列番号:19記載の核酸配列と操作可能に連結された非天然プロモーターを含む、組換えヒトtssk遺伝子構築物。
  9. 請求項8記載の構築物を含むトランスジェニック細胞。
  10. 配列番号:20記載のポリペプチドと結合する抗体。
  11. 抗体が配列番号:4〜6記載のペプチド配列と結合しないところの、請求項10記載の抗体。
  12. 抗体がモノクローナル抗体であるところの、請求項10記載の抗体。
  13. 潜在的なヒト治療物質をスクリーニングする方法であって、配列番号:20および配列番号:20の生物活性のある断片から成る群から選択されるtsskポリペプチドを生理学的条件下で候補化合物と接触させ;
    結合しなかった物質および非特異的に結合した物質を取り除くためにtsskポリペプチドを洗浄し;そして
    tsskポリペプチドと引き続き結合している化合物を単離することを含む方法。
  14. tsskポリペプチドが固層表面に固定化され、候補物が標識化されているところの、請求項13記載の方法。
  15. 候補化合物が他のキナーゼポリペプチドと比較して、tsskポリペプチドと選択的に結合するかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
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