JP2007329465A - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】青色または紫外発光が可能であって、高出力、高効率、光取り出し面での明るさの均一性が高いフリップチップマウント型の半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)基板上にバッファ層、光均一化層、および薄膜結晶層を成膜する工程と、(c)第二導電型側電極を形成する工程と、(d)第一導電型半導体層の一部を表面に露出させる工程と、(e)、表面から、(i)光均一化層の一部、(ii)バッファ層の一部、または(iii)基板までエッチングを行って装置間分離溝を形成する工程と、(f)全面に絶縁層を形成する工程と、(g)装置間分離溝内の基板面の溝中央領域の絶縁層を除去する工程と、(h)第一導電型半導体層面上に第一電流注入領域を形成する工程と、(i)第二導電型側電極の表面に第二導電型側電極の一部を露出させる工程と、(j)第一電流注入領域に接して第一導電型側電極を形成する工程(j)とを有する発光素子の製造方法。
【選択図】図1A

Description

本発明は化合物半導体発光素子、特にGaN系材料を用いた発光ダイオード(LED)に関する。なお、本明細書中において、発光ダイオードまたはLEDとの表現は、レーザダイオード、スーパールミネッセントダイオード等を含んだ発光素子一般を含む言葉として使用する。
従来よりIII−V族化合物半導体を用いた電子デバイスおよび発光デバイスが知られている。特に発光デバイスとしては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料やAlGaInP系材料による赤色発光、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料による橙色または黄色発光等が実現されてきている。また、InP基板上ではInGaAsP系材料を用いた赤外発光デバイスも知られている。
これらデバイスの形態としては、自然放出光を利用する発光ダイオード(light emitting diode: LED)、さらに誘導放出光を取り出すための光学的帰還機能を内在させたレーザダイオード(laser diode: LD)、および半導体レーザが知られており、これらは表示デバイス、通信用デバイス、高密度光記録用光源デバイス、高精度光加工用デバイス、さらには医療用デバイスなどとして用いられてきている。
1990年代以降において、V族元素として窒素を含有するInAlGa(1−x−y)N系III−V族化合物半導体(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の研究開発が進み、これを用いたデバイスの発光効率が飛躍的に改善され、高効率な青色LED、緑色LEDが実現されている。その後の研究開発によって、紫外領域においても高効率なLEDが実現され、現在では、青色LDも市販されるに至っている。
紫外または青色LEDを励起光源として蛍光体と一体化すると白色LEDが実現できる。白色LEDは、次世代の照明デバイスとしての利用可能性があるために、励起光源となる紫外または青色LEDの高出力化、高効率化の産業的な意義は極めて大きい。現在、照明用途を念頭にした、青色または紫外LEDの高効率化、高出力化の検討が精力的になされている。
素子の高出力化、即ち、全放射束を向上させるためには、素子の大型化と大きな投入電力に対する耐性の確保は必須である。LEDの高出力化、高効率化に有効な構造として、フリップチップマウント構造が知られている。この構造では、サファイア基板上に所定の半導体層を堆積し、基板と反対側に電流注入用のn側電極およびp側電極を形成し、基板側を主たる光取り出し方向とする。このため、発光素子から出る光が遮られず、また電極を光の反射面として使用可能であるために、光の取り出し効率が向上する。
しかし、フリップチップ構造では、p側およびn側の一対の電極が、同じ側に形成されているために、支持体(配線用、放熱用の基板)にハンダによって素子を搭載するときに、p側電極とn側電極の間の短絡、それら電極とp型半導体層またはn型半導体層の間の短絡が生じないように配慮する必要がある。このため、各種の絶縁確保構造などが提案されてきている。
特許第3453238号公報(特許文献1)および特開2001−127348号公報(特許文献2)には、絶縁性基板の表面、n型窒化物半導体層の表面、及びp側窒化物半導体層の表面に、n型窒化物半導体層の端面から電極側の表面にかけて連続した絶縁性被膜が形成されている素子が開示されている。特許文献1の素子構造を図19(a)および(b)に示す。この構造を製造するには、まず、サファイア基板101上にn型窒化物半導体層102とp型窒化物半導体層103とを順に成長させ、n型層102およびp型層103の端部をRIE法を用いてドライエッチングを行い、図19(a)に示すような形状となるように、サファイア基板101表面まで除去する。続いて、p型層103およびn型層102の一部をRIE法を用いてドライエッチングを行い、図19に示すような形状となるように、n型層102を露出させる。エッチング後、n型層102表面に負電極(n側電極)104、p型層103表面に正電極(p側電極)105を各々形成する。エッチングにより除去されたn型層102の端面、および電極側の表面を覆うようにしてSiOよりなる絶縁性被膜106を形成し、図19の発光素子を完成する。この時、負電極104および正電極105の表面は、ボンディング可能なように露出させた箇所を形成する。そして、負電極104および正電極105を、導電性接着剤107を介して配線基板110上の導電部111に接続して、図19(b)に示す実装構造が得られる。
この構造では、半導体端面が絶縁材料で覆われているために、電気的短絡の防止の上では効果が見られるが、絶縁層(絶縁性皮膜)を形成する際に、電極材が劣化しやすい問題がある。p側電極においては、Auが表面に露出する層として多く使用されるために、劣化の影響は少ないが、特にn側電極においては、反射率が高くかつn型GaN系材料と容易にオーム性接触を実現できる材料として、Alなど含む材料がしばしば使用されるため、絶縁層の成膜工程による影響を受け易い。絶縁性皮膜は、SiO、TiO、Al、Siなどが蒸着、スパッタ、CVD等で形成されているが、いずれの場合においても、n側電極材の一部は、たとえ露出部分が適宜マスク材でカバーされていたとしても、材料全体として酸化、窒化等の影響を受けることを免れず、素子の高出力動作のために大電流を注入しようとすると電極材の劣化の影響が顕著になり、ひいては素子の劣化の原因となることが懸念される。さらに、もし、絶縁層の形成後に、電極の露出部分をエッチングによって形成した場合では、露出部分そのものがエッチングプロセスの影響を受け、場合によっては、電極材そのものもエッチングされてしまう可能性もある。たとえば、Alは、HF等の絶縁性皮膜をエッチング可能なエッチャントで容易にエッチングされる。また、この問題は特許文献2の素子においても、全く同様である。
従って、特許文献1および2に記載された構造は、素子を高出力動作させる際に考慮すべきプロセス履歴と、プロセス履歴による素子構成材料へのダメージが考慮された構造とは言えず、高出力化には不適当な構造である。
さらに、特許文献1の構造においては、絶縁性皮膜がn側窒化物半導体層の側壁と基板の素子周辺部全面に形成されているため、ウエハープロセスを完了し、その後、1つ1つのLED素子分離をするためのダイヤモンドを用いたスクライブ(素子用の傷入れ)工程、あるいは高出力レーザを用いたスクライブ工程において、絶縁層の剥離が起こり易い問題がある。絶縁層の剥離は、マウント時の短絡を引き起こし、結果として素子製造の歩留まりが低下する。特許文献2の素子にも、特許文献1と全く同様の構造上の問題がある。
また、小型のLED素子においては、特開2003−17757号公報(特許文献3)には、主としてp側電極、n側電極の面積を増加させるためのフリップチップ型素子構造(図20参照)が提案されている。このフリップチップ型発光素子を製造するには、まず、気相成長又は蒸着によりサファイア基板201上にn型層202を成長させ、その上にp型層203を成長させる。続いて、p型層203の外周部の一部をエッチング等により除去した後、n型層202の周囲に第1の接続層(電極の一部)206を形成すると共に、p型層203上に第2の接続層(電極の一部)207を蒸着等により形成する。その後、酸化膜等の絶縁層208を成長させて全体を絶縁被覆した後、フォトリソグラフィーにより絶縁層208の不要部分を除去する。最後に、第1の電極204及び第2の電極205を形成し、個別にチップ化して、発光素子構造を完成する。
この構造では、良好なオーム性接触を確保すべき電極層(第1、第2の接続層)は、ともに絶縁層形成の履歴を受ける。特に、Al、Agなどを含む電極材料を、半導体材料との良好なオーム性接触を確保すべき電極部分(第1、第2の接続層)に用いた場合には、酸化膜形成の際に酸化され易い。この構造は、プロセス履歴による素子構成材料へのダメージが考慮された構造ではないため、高出力化には不適当である。さらに、絶縁層は電極を有する面全面に渡る形成の後に、不要部分が除去されるため、Al、Agなどを含む電極材料においては、エッチングダメージも無視できない。つまり、このような形状では、高出力動作時の素子の劣化を考慮した作製プロセスが実現不可能である。
また、特許文献3においては、図20に示すように、素子周辺において、第1の半導体層(n型層202)が除去されていないため、素子分離のためのスクライブ工程において、第1の半導体層にダメージが残留する可能性がある。さらに、第1の半導体層(n型層202)が露出したままであるため、フリップチップマウントを実施した際に、第一の半導体層部分が半田等によって短絡する恐れもあり、フリップチップマウントを実施するための絶縁層の配置としては適切な形状ではない。
さらに、特開平11−251633号公報(特許文献4)では、p側電極(正電極)の上に絶縁層を設け、n側電極(負電極)をp側電極(正電極)の一部に絶縁膜を介して重ねた構造が示されている。この構造では、小型のGaN系LEDにおいて、n側電極の面積を実効的に増やすことができる。しかし、素子周辺に、半導体層および電極層が存在しているために、素子分離のためのスクライブ工程において、半導体層にダメージが残留する可能性と共に電極剥離が生じる可能性がある。
同様に、特開2000−114595号公報(特許文献5)においても、n側電極の面積を実効的に増やすために、p側電極(正電極)の上に絶縁層を設け、n側電極(負電極)をp側電極(正電極)の一部に絶縁層を介して重ねた構造が示されている。しかし、この構造でも、素子周辺に、半導体層が存在しているために、素子分離のためのスクライブ工程において、半導体層にダメージが残留する可能性がある。
また、以上のような問題点は別に、素子の光取り出し面を一つの発光面として見たとき、活性層を除いて形成した電極部によって暗部が存在し、さらに活性層での電流注入のムラが発生している場合に、光取り出し面で明るさのムラが生じることがある。ムラは、素子を大きくするほど目立ってくる。次世代の照明デバイスとして利用するには、暗部の存在およびムラの発生は好ましくない。
特許第3453238号公報 特開2001−127348号公報 特開2003−17757号公報 特開平11−251633号公報 特開2000−114595号公報
以上のように、従来の発光ダイオード構造では、製造プロセスの工程において起こりうる各種のダメージを排除できる構造とはなっていないために、大きな投入電力に対する耐性が不十分であり、また絶縁性にも問題があり、LEDの高出力化・高効率化は困難であった。さらに、発光面の均一性の向上も求められていた。
本発明は、青色または紫外発光が可能な発光素子であって、高出力、高効率、さらに光取り出し面での明るさの均一性が高いフリップチップマウント型の半導体発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の事項に関する。
1. (a)基板上に、バッファ層および光均一化層をこの順に成膜する工程(a)と、
(b)少なくとも、第一導電型クラッド層を含む第一導電型半導体層、活性層構造、および第二導電型クラッド層を含む第二導電型半導体層を有する薄膜結晶層を前記基板側からこの順に成膜する工程(b)と、
(c)前記第二導電型半導体層の表面に第二導電型側電極を形成する工程(c)と、
(d)前記第二導電型側電極が形成されていない箇所の一部をエッチングして、前記第一導電型半導体層の一部を露出させる第一エッチング工程(d)と、
(e)隣接する発光素子を分離する装置間分離溝を形成するために、前記第二導電型側電極が形成されていない箇所の一部を、表面から、(i)前記光均一化層の少なくとも一部を除去するまで、(ii)前記バッファ層の少なくとも一部を除去するまで、または(iii)少なくとも前記基板に達するまでの深さでエッチングを行って前記装置間分離溝を形成する第二エッチング工程(e)と、
(f)前記第二導電型側電極、前記第一エッチング工程によって露出した第一導電型半導体層および前記装置間分離溝内を含む全面に絶縁層を形成する工程(f)と、
(g)前記装置間分離溝内の少なくとも溝底面の溝中央を含む領域の絶縁層を除去する工程(g)と、
(h)前記第一導電型半導体層面上に形成された絶縁層の一部を除去し、第一電流注入領域となる開口を形成する工程(h)と、
(i)前記第二導電型側電極の表面に形成された絶縁層の一部を除去し、前記第二導電型側電極の一部を露出させる工程(i)と、
(j)前記工程(h)で開口された第一電流注入領域に接して第一導電型側電極を形成する工程(j)と
を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
2. 前記工程(g)において、前記装置間分離溝の側壁に形成された前記絶縁層を残したまま、前記溝底面上の溝中央を含む領域の絶縁層のみを除去することを特徴とする上記1記載の方法。
3. 前記工程(g)において、前記装置間分離溝内の前記溝底面に形成された絶縁層のすべてと、前記装置間分離溝内の側壁の少なくとも前記溝底面側の部分に形成された絶縁層を除去することを特徴とする上記1記載の方法。
4. 前記絶縁層が除去されて露出する面を構成する層は、アンドープ型であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5. 前記工程(j)の後に、
前記装置間分離溝で、前記基板を素子分離する工程と、
前記第一導電型側電極および第二導電型側電極を、サブマウント上の金属層に接合する工程と
をさらに有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の方法。
6. 前記工程(j)の後に、
前記第一導電型側電極および第二導電型側電極を、支持体上の金属層に接合して支持体に搭載する工程と、
前記基板を除去する工程と、
前記支持体を分割して素子分離する工程と
をさらに有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の方法。
7. 前記バッファ層および光均一化層が、前記薄膜結晶層の一部として、前記第一導電型半導体層の形成に先立って行われることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の方法。
8. 発光波長における前記基板の平均屈折率をnsb、前記光均一化層の平均屈折率をnoc、前記第一導電型半導体層の平均屈折率をnで表したとき、
sb<noc および n<noc
の関係を満たすことを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の方法。
9. 前記発光素子の発光波長をλ(nm)、発光波長における前記基板の平均屈折率をnsb、前記光均一化層の平均屈折率をnoc、前記光均一化層の物理的厚みをtoc(nm)とし、前記光均一化層と前記基板の比屈折率差Δ(oc−sb)
Δ(oc−sb)≡((noc)−(nsb))/(2×(noc)
と定義したときに、
(√(2×Δ(oc−sb))×noc×π×toc)/λ ≧ π/2
を満たすようにtocが選択されていることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の方法。
10. 前記発光素子の発光波長をλ(nm)、前記光均一化層の発光波長における平均屈折率をnoc、第一導電型半導体層の発光波長における平均屈折率をn、前記光均一化層の物理的厚みをtoc(nm)とし、光均一化層と第一導電型半導体層の比屈折率差Δ(oc−1)
Δ(oc−1)≡((noc)−(n))/(2×(noc)
と定義したとき、
(√(2×Δ(oc−1))×noc×π×toc)/λ ≧ π/2
を満たすようにtocを選択することを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の方法。
11. 前記光均一化層全体の比抵抗ρoc(Ω・cm)が、
0.5 ≦ρoc
の関係を満たすことを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の発光素子。
12. 前記光均一化層を複数の層として積層することを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の方法。
13. 前記工程(j)において、前記第一導電型側電極が絶縁層に接している部分の幅の中で、最も狭い部分の幅L1wが5μm以上となるように前記第一導電型側電極を形成することを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の方法。
14. 前記工程(i)において、前記第二導電型側電極が前記絶縁層で覆われている部分の幅の中で、最も狭い部分の幅L2wが15μm以上となるように前記第二導電型側電極の一部を露出させることを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載の方法。
15. 前記L2wが30μm以上であることを特徴とする上記14記載の方法。
16. 前記第一導電型側電極が、Ti、Al、Ag、Moおよびそれらの2種以上の組み合わせからなる群より選ばれる元素を含む材料からなる層を含むことを特徴とする上記1〜15のいずれかに記載の方法。
17. 前記第二導電型側電極が、Ni、Pt、Pd、Mo、Auおよびそれらの2種以上の組み合わせからなる群より選ばれる元素を含む材料からなる層を含むことを特徴とする上記1〜16のいずれかに記載の方法。
18. 前記絶縁層が、SiO、AlO、TiO、TaO、HfO、ZrO、SiN、AlN、AlF、BaF、CaF、SrFおよびMgFからなる群より選ばれる材料の単層であることを特徴とする上記1〜17のいずれかに記載の方法。
19. 前記絶縁層が複数の層からなる誘電体多層膜であることを特徴とする上記1〜18のいずれかに記載の方法。
20. 前記絶縁層を構成する層の少なくとも1つが、フッ化物を含む材料からなることを特徴とする上記19記載の方法。
21. 前記フッ化物が、AlF、BaF、CaF、SrFおよびMgFからなる群より選ばれることを特徴とする上記20記載の方法。
22. 前記第一導電型半導体層側から前記光均一化層へ垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記光均一化層で反射される反射率をR2で表し、前記絶縁層に前記第二導電型半導体層側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記絶縁層で反射される反射率をR12、前記絶縁層に第一導電型半導体層側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記絶縁層で反射される反射率をR11、前記絶縁層に前記活性層構造側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記絶縁層で反射される反射率をR1qでそれぞれ表したとき、
(式1) R2<R12
(式2) R2<R11
(式3) R2<R1q
のすべての条件を満たすように、前記絶縁層が構成されていることを特徴とする上記1〜21のいずれかに記載の方法。
23. 前記薄膜結晶層を、サファイア、SiC、GaN、LiGaO、ZnO、ScAlMgO、NdGaOおよびMgOからなる群より選ばれる基板上に成膜して形成することを特徴とする上記1〜22のいずれかに記載の方法。
24. 前記化合物半導体薄膜結晶層は、V族として窒素原子を含むIII−V族化合物半導体からなり、前記第一導電型クラッド層、前記活性層構造および第二導電型クラッド層中に、In、GaおよびAlからなる群より選ばれる元素が含まれることを特徴とする上記1〜23のいずれかに記載の方法。
25. 前記活性層構造が、量子井戸層とバリア層からなり、バリア層の数をB、量子井戸層の数をWで表したとき、BとWが、
B=W+1
を満たすことを特徴とする上記1〜24のいずれかに記載の方法。
26. 第一導電型がn型であり、第二導電型がp型であることを特徴とする上記1〜25のいずれかに記載の方法。
27. 前記第一導電型側電極および前記第二導電型側電極を、ハンダによって金属層を有するサブマウントに接合することを特徴とする上記5記載の方法。
28. 前記第一導電型側電極および前記第二導電型側電極を、ハンダによって前記金属層を有する支持体に接合することを特徴とする上記6記載の方法。
29. 前記第一導電型側電極および前記第二導電型側電極と、前記サブマウントまたは支持体の金属層との接合を、金属ハンダのみ、または金属ハンダと金属バンプによって行うことを特徴とする上記27または28記載の方法。
30. 前記サブマウントまたは支持体の母材が、金属、AlN、Al、Si、ガラス、SiC、ダイヤモンド、BNおよびCuWからなる群より選ばれることを特徴とする上記27〜29のいずれかに記載の方法。
31. 前記サブマウントまたは支持体の発光素子間の分離部分に、金属層が形成されていないことを特徴とする上記27〜30のいずれかに記載の方法。
32. 前記基板の光取り出し側の表面が平坦でないことを特徴とする上記5記載の方法。
33. 前記バッファ層の光取り出し側の表面が平坦でないことを特徴とする上記6記載の方法。
34. 前記バッファ層から基板側に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が基板で反射される反射率をR3、前記基板から光取り出し側の空間に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が空間との界面で反射される反射率をR4で表したとき、
R4<R3
を満たすように前記基板の光取り出し側に低反射光学膜が設けられることを特徴とする上記5記載の方法。
35. 前記光均一化層からバッファ層側に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光がバッファ層で反射される反射率をR3、前記バッファ層から光取り出し側の空間に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が空間との界面で反射される反射率をR4で表したとき、
R4<R3
を満たすように前記バッファ層の光取り出し側に低反射光学膜が設けられることを特徴とする上記6記載の方法。
36. 前記基板がGaNであり、前記バッファ層のすべてを900℃以上の温度にてGaNで形成することを特徴とする上記1〜35のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、青色または紫外発光が可能な発光素子であって、高出力、高効率、さらに光取り出し面での明るさの均一性が高いフリップチップマウント型の半導体発光素子の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法では、製造プロセスにおける各工程でのプロセスダメージが排除されているために、発光素子の機能が損なわれることなく信頼性の高い素子を製造することができる。
本明細書において、「積層」または「重なる」の表現は、もの同士が直接接触している状態に加え、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、互いに接触していなくても、一方を他方に投影した際に空間的に重なる状態をも指す場合がある。また、「〜の上(〜の下)」の表現も、もの同士が直接接触して一方が他方の上(下)に配置されている状態に加え、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、互いに接触していなくても、一方が他方の上(下)に配置されている状態にも使用する場合がある。さらに、「〜の後(前、先)」との表現は、ある事象が別の事象の直後(前)に発生する場合にも、ある事象が別の事象との間に第三の事象を挟んだ後(前)発生する場合にも、どちらにも使用する。また、「接する」の表現は、「物と物が直接的に接触している場合」に加えて、本発明の趣旨に適合する限りにおいて、「物と物が直接的には接触していなくても、第三の部材を介して間接的に接している場合」、「物と物が直接的に接触している部分と、第三の部材を介して間接的に接している部分が混在している場合」などを指す場合もある。
さらに、本発明において、「薄膜結晶成長」とは、いわゆる、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、プラズマアシストMBE、PLD(Pulsed
Laser Deposition)、PED(Pulsed Electron Deposition)、VPE(Vapor Phase Epitaxy)、LPE(Liquid
Phase Epitaxy)法等の結晶成長装置内における薄膜層、アモルファス層、微結晶、多結晶、単結晶、あるいはそれらの積層構造の形成に加えて、その後の薄膜層の熱処理、プラズマ処理等によるキャリアの活性化処理等も含めて薄膜結晶成長と記載する。
〔本発明の実施形態の説明〕
図1A〜3Dに本発明により製造される代表的な化合物半導体発光素子(以下、単に発光素子という)の態様を示す。本発明の製造方法により製造される発光素子は、その製造方法に従い、少なくとも3つの点、即ち(I)発光素子の端部の段差形状、(II)発光素子端部の絶縁層の形状、(III)基板の有無、の3箇所で異なる形状を取り得る。
(I)発光素子の端部の段差形状については、製造方法の工程(e)において装置間分離溝を形成する際のエッチング深さにより、大きく分けて(i)光均一化層の途中まで、(ii)バッファ層の途中まで、(iii)基板面まで(またはそれより深く)、の3つの選択がある。また、装置間分離溝の壁面は、素子分離後に素子端より後退するので、本発明では装置間分離溝の形成時に側壁面として現れた面を、素子分離後の素子については、「後退側壁面」という。また、素子分離により素子端に現れる側壁面を、「非後退側壁面」という。そして、発光素子の端部には、後退側壁面と非後退側壁面の間で段差面が形成されるので、これを「端部段差面」という。
装置間分離溝の深さ(i)〜(iii)に対応して、(i)では、薄膜結晶層の後退側壁面に対して、光均一化層の一部が共に後退側壁面を構成し、残り(主たる光取り出し方向側)の光均一化層の側壁は、非後退側壁面となり、光均一化層の端に端部段差面が存在する形状となる。同様に(ii)では、バッファ層の端に端部段差面が存在する形状となる。(iii)では、光均一化層およびバッファ層のどちらの側壁も、後退側壁面を構成するので(装置間分離溝の側壁面となるため)、完成素子に基板がある場合には基板が露出した部分が端部段差面となり、基板が存在しない場合に端部段差面は存在しない形状となる。尚、この端部段差面が存在しない場合でも、装置間分離溝の壁面は、装置間分離溝を形成しないで分離したときの素子端面に比べて後退していることになるので、本発明では統一して「後退側壁面」という。
(i)に対応するのは、図1B、図1D、図2B、図3Bである。(ii)に対応する形状は、図1C、図1E、図2C、図2D、図3C、図3Dである。(iii)に対応するのは、図1A、図2A、図3Aである。
(II)発光素子端部の絶縁層の形状については、製造方法の工程(g)において、(i)装置間分離溝の側壁に形成された前記絶縁層を残したまま、溝底面上の中央を含む領域の絶縁層のみを除去するか、(ii)溝底面に形成された絶縁層のすべてに加えて、溝内の側壁の一部までを含めて絶縁層を除去するか、の選択があり、その結果製造される発光素子において、(i)絶縁層が溝底面に付いている形状、(ii)絶縁層が溝底面から離れている形状、の2種類が存在する。(i)に対応するのは、図1A、図1B、図1C、図1D、図1Eである。(ii)に対応するのは、図2A、図2B、図2C、図2D、図3A、図3B、図3C、図3Dである。
(III)基板の有無については、製造プロセス中、主たる光取り出し側に(i)基板を残す場合と、(ii)基板を除去する場合の選択があり、その結果製造される発光素子において、(i)基板を有する形態と、(ii)基板が無い形態の2種類が存在する。基板を有する場合は発光波長に対して透明な基板が用いられる。(i)に対応するのは、図1A、図1B、図1C、図2A、図2B、図2C、図2Dである。(ii)に対応するのは、図1D、図1E、図3A、図3B、図3C、図3Dである。
(I)、(II)および(III)の組み合わせ中、(I):(iii)光均一化層およびバッファ層のどちらにも段差がなく、(II):(i)装置間分離溝の側壁に形成された前記絶縁層を残したまま、溝底面上の中央を含む領域の絶縁層のみを除去し、(III):(ii)基板を除去する、という形態は、基板面に絶縁層が付着している状態から基板を剥離等により除去することになるので、本発明では好ましくない形態である。
その他の点については、図1A〜図3D中のB部、C部において、絶縁層と各電極との位置関係等は、どの態様でも同じである。
本発明は、工程(a)〜工程(j)を有しており、その工程順を図4のフローチャートに示す。本発明では、工程(a)、(b)および(c)は、この順に実施する。工程(d)および(e)は、工程(c)の次に実施されるが、工程(d)および(e)の順番はどちらが先でもよい。その後、工程(f)を実施した後、工程(g)、(h)および(i)はどの順番で行ってもよいが、同時に行うことが好ましい。その後、工程(j)を実施する。その後、基板を除去する。
以下、代表的態様の製造方法を説明する。尚、各構成部材の材料については、まとめて後述する。
<実施形態1>
実施形態1では、図1Aに示す発光素子の製造方法を説明する。
工程(a)および工程(b):
図5に示すように、まず基板21を用意し、その表面にバッファ層22、光均一化層23、第一導電型半導体層として第一導電型クラッド層24、活性層構造25、および第二導電型半導体層として第二導電型クラッド層26を薄膜結晶成長により順次成膜する。これらの薄膜結晶層の形成には、MOCVD法が望ましく用いられる。しかし、MBE法、PLD法、PED法、VPE法、LPE法なども全部の薄膜結晶層、あるいは一部の薄膜結晶層を形成するために用いることが可能である。これらの層構成は、素子の目的等に合わせて適宜変更が可能である。また、薄膜結晶層の形成後には、各種の処理を実施してもかまわない。なお、本明細書では、薄膜結晶層の成長後の熱処理等も含めて、「薄膜結晶成長」と記載している。
工程(c):
薄膜結晶層成長の後、図5に示すように、第二導電型側電極27を形成する。即ち、第二電流注入領域35(図9参照)に対する第二導電型側電極27の形成が、予定されている絶縁層30の形成(図8参照)よりも、また、第一電流注入領域36(図9参照)の形成よりも、さらには、第一導電型側電極28の形成(図10参照)よりも、早く実施される。これは、望ましい形態として第二導電型がp型である場合において、表面に露出しているp型クラッド層の表面に対して各種プロセスを経た後にp側電極を形成すると、GaN系材料では比較的活性化率の劣るp−GaNクラッド層中の正孔濃度をプロセスダメージによって低下させてしまうからである。たとえばp−CVDによる絶縁層の形成工程を第二導電型側電極の形成より前に実施すれば、その表面にプラズマダメージが残存してしまう。このため、本発明では薄膜結晶成長の後には第二導電型側電極の形成が他のプロセス工程(たとえば後述する第一エッチング工程、第二エッチング工程、あるいは絶縁層形成工程、第二導電型側電極露出部分形成工程、第一電流注入領域形成工程や第一導電型側電極形成工程など)よりも先に実施される。
また、本発明においては、第二導電型がp型である場合には、前述のとおり、第二導電型側電極の表面がAuである場合が代表的な例として想定されるが、露出面がAuなどの比較的安定な金属である場合には、その後のプロセスを経ても、プロセスダメージを受ける可能性が低い。この観点からも本発明では薄膜結晶成長の後には第二導電型側電極の形成が他のプロセス工程よりも先に実施されることが望ましい。
なお、本発明では、第二導電型側電極が形成される層が、第二導電型コンタクト層である場合にも同様に、第二導電型半導体層に対してのプロセスダメージを低減することができる。
第二導電型側電極27の形成には、スパッタ、真空蒸着、メッキ等種々の成膜技術を適応可能であり、所望の形状とするためには、フォトリソグラフィー技術を用いたリフトオフ法や、メタルマスク等を用いた場所選択的な蒸着等を適宜使用可能である。
工程(d):
第二導電型側電極27を形成した後、図6に示すように、第一導電型クラッド層24の一部を露出させる。この工程は、第二導電型クラッド層26、活性層構造25、さらには第一導電型クラッド層24の一部をエッチングにより除去することが好ましい(第一エッチング工程)。第一エッチング工程においては、後述する第一導電型側電極が第一導電型のキャリアを注入する半導体層を露出することが目的であるので、薄膜結晶層に他の層、たとえば、クラッド層が2層からなる場合や、あるいはコンタクト層がある場合には、その層を含んでエッチングしてもかまわない。
第一エッチング工程では、エッチング精度があまり要求されないので、SiNのような窒化物やSiO等の酸化物をエッチングマスクとしてCl等を用いたプラズマエッチング法による公知のドライエッチングを使用することができる。しかし、後述する第二エッチング工程で詳細に説明するような金属フッ化物マスクを用いたドライエッチングを実施することも望ましい。特に、SrF、AlF、MgF、BaF、CaFおよびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる金属フッ化物層を含むエッチングマスクを用いて、Cl、SiCl、BCl、SiCl等のガスを用いたプラズマ励起ドライエッチングによりエッチングを行うことが好ましい。さらに、ドライエッチングの方法としては、高密度プラズマを生成可能なICP型のドライエッチングが最適である。
ここで第二導電型側電極27はプラズマCVD等によって形成されるSiNマスクの形成履歴、あるいは第一エッチング工程後に実施される該SiNマスク除去工程を履歴するが、Auなどの安定な金属が表面に形成されている場合には、第二導電型側電極が受けるプロセスダメージは少なくなる。
工程(e):
次に図7に示すように、装置間分離溝13を、第二エッチング工程により形成する。この実施形態では、装置間分離溝13が基板21に到達するように形成される。この場合には、装置を分離するために、スクライブ、ブレーキング等の工程において、薄膜結晶層が形成されている側からダイヤモンドスクライブを実施した際にも、サファイア基板上のGaN系材料の剥離を抑制することが可能である。またレーザスクライブを実施した場合にも、薄膜結晶層にダメージが入らない利点がある。さらに、サファイア基板(GaN等の他の基板でも同じ)の一部までエッチングして装置間分離溝を形成することも同様に好ましい。尚、ここで、図1Aと異なる形態の発光素子を製造するために、装置間分離溝を光均一化層の途中まで形成し、他は実施形態1と同様に製造すると図1Bの発光素子が得られ、装置間分離溝をバッファ層の途中まで形成し、他は実施形態1と同様に製造すると図1Cの発光素子が得られる。この場合、溝底面が、光均一化層とバッファ層を合わせた層の途中に形成され、これが発光素子の端において端部段差面になる。溝底面は、エッチングで得られる程度の凹凸を含む面である。また、絶縁層で被覆されずに側壁から露出する層は、高い絶縁性を有することが好ましい。
第二エッチング工程は、第一エッチング工程と比較して、さらに深くGaN系材料をエッチングすることが必要となる。一般に、第一エッチング工程によってエッチングされる層の総和は、0.5μm程度が普通であるが、第二エッチング工程においては、第一導電型クラッド層24のすべてと、光均一化層23およびバッファ層22をエッチングすることが必要なことから、3μm以上、例えば3μm〜7μm、3〜10μm、さらには5〜10μm、ときには10μmを超えることがある。
一般に、金属マスク、SiN等の窒化物マスク、SiO等の酸化物マスク等は、Cl系プラズマに対するエッチング耐性を示すGaN系材料に対する選択比は5程度であって、膜厚の厚いGaN系材料をエッチングする必要のある第二エッチング工程を実施するには、比較的厚めのSiN膜が必要となってしまう。たとえば第二ドライエッチング工程で10μmのGaN系材料をエッチングする最には、2μmを越えるSiNマスクが必要となってしまう。しかし、この程度の厚みのSiNマスクになると、ドライエッチング実施中にSiNマスクもエッチングされてしまい、その縦方向の厚みのみではなく水平方向の形状も変ってしまい、所望のGaN系材料部分のみを選択的にエッチングすることができなくなってしまう。
そこで、第二エッチング工程において装置間分離溝を形成する際には、金属フッ化物層を含むマスクを用いたドライエッチングが好ましい。金属フッ化物層を構成する材料は、ドライエッチング耐性とウェットエッチング性のバランスを考慮すると、MgF、CaF、SrF、BaF、AlFが好ましく、この中でもSrFが最も好ましい。
金属フッ化物膜は、第一、第二エッチング工程で行うドライエッチングに対しては十分な耐性があり、一方でパターニングのためのエッチング(好ましくはウェットエッチング)に対しては、容易にエッチング可能でかつパターニング形状、特に側壁部分の直線性の良いものが求められる。金属フッ化物層の成膜温度を150℃以上にすることで、下地との密着性に優れ、緻密な膜が形成され、同時にエッチングによってパターニングした後に、マスク側壁の直線性にも優れている。成膜温度は、好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上、最も好ましくは350℃以上である。特に350℃以上で成膜された金属フッ化物層は、あらゆる下地との密着性に優れ、かつ、緻密な膜となり、高いドライエッチング耐性を示しつつ、パターニング形状についても、側壁部分の直線性に非常に優れ、開口部の幅の制御性も確保されるようになり、エッチングマスクとして最も好ましい。
このように、下地との密着性に優れ、かつ、緻密な膜となり、高いドライエッチング耐性を示しつつ、パターニング形状についても、側壁部分の直線性と開口部の幅の制御性に非常に優れたエッチングマスクとするためには、高温で成膜することが好ましいが、一方、成膜温度が高すぎると、金属フッ化物をパターニングする際に好ましく実施される塩酸等に対するウェットエッチングに対する耐性が必要以上になり、その除去が容易でなくなる。特に、SrF等のマスクは半導体層のドライエッチング時に塩素等のプラズマにさらされると、その後に実施するマスク層の除去時のエッチングレートが、塩素等のプラズマにさらされる前に比較して低下する傾向を有している。このため、金属フッ化物の過剰な高温での成膜はそのパターニングと最終除去の観点から好ましくない。
まず半導体層のドライエッチング時のプラズマにさらされる前の金属フッ化物にあっては、低温成膜した層ほど塩酸等のエッチャントに対するエッチングレートが大きくエッチングが速く進行し、成膜温度を高くするほどエッチングレートが低下し、エッチングの進行が遅くなる。成膜温度が300℃以上になると、成膜温度が250℃程度の膜よりエッチングレートの低下が目立ってくるが、350℃から450℃程度では、非常に都合の良いエッチング速度の範囲にある。しかし、成膜温度が480℃を超えるとエッチング速度の絶対値が必要以上に小さくなり、当該金属フッ化物のパターニングに過剰な時間を費やすこととなり、また、レジストマスク層等が剥離しない条件でのパターニングが困難になる事もある。さらに、半導体層のドライエッチング時のプラズマにさらされた後の金属フッ化物にあっては、除去時の塩酸等に対するウエットエッチングレートは低下する性質があり、過剰な高温成長は金属フッ化物の除去を困難にしてしまう。
このような観点から、金属フッ化物層の成膜温度は、好ましくは480℃以下であり、さらに好ましくは470℃以下、特に好ましくは460℃以下である。
このようなことに配慮してパターニングされたマスク(金属フッ化物層が表面層になるようにSiN,SiOなどと積層されていてよい)を用いて、ドライエッチングを行う。ドライエッチングのガス種としては、Cl、BCl、SiCl、CClおよびこれらの組み合わせから選ばれるものが望ましい。ドライエッチングの際に、SrFマスクのGaN系材料に対する選択比は100を越えるため、厚膜GaN系材料のエッチングが容易に、かつ、高精度に行うことができる。さらに、ドライエッチングの方法としては、高密度プラズマを生成可能なICP型のドライエッチングが最適である。
エッチング後に、不要となった金属フッ化物層のマスクを、塩酸等のエッチャントで除去する際に、金属フッ化物マスクの下に酸に弱い材料が存在する場合、例えば電極材料が酸に弱い場合には、金属フッ化物層が表面層になるようにしてSiN、SiOなどとの積層マスクとしてもよい。この場合、SiN、SiO等は、金属フッ化物マスク層の下部の全体に存在していてもよいし、または例えば図21に示すように、SiN、SiO等マスク51は、金属フッ化物マスク層52の下部の全体に存在していなくても、少なくとも酸に弱い材料上に形成されていればよい。
このような第二エッチング工程により、図7に示すように、装置間分離溝13が形成される。
なお、第一エッチング工程と第二エッチング工程は、どちらの工程を先に実施してもかまわない。また、プロセスを簡略にするため、第一エッチング工程を先に実施し、その際のエッチングマスクを除去しないで、第二エッチング工程を実施することも好ましい。図21に示すように、まずSiN、SiO等の酸に強い材料(好ましくはSiN)により第一エッチングマスク51を形成し、第一導電型クラッド層24が現れるようにエッチングし、マスク51を除去しないで、金属フッ化物層による第二エッチングマスク52を形成する。そして、第二エッチング工程を実施した後、マスク52を酸により除去し、その後、マスク51を適宜除去することが好ましい。
形成される装置間分離溝間の最も狭い部分の幅を2LWSPT1とすると、LWSPT1はブレーキングによって素子分離を行う際には、20μm以上、例えば30μm以上であることが望ましい。また、ダイシング等によって実施する際には、LWSPT1は300μm以上であることが望ましい。また、大きすぎても無駄であるので、LWSPT1は通常は2000μm以下である。これは、素子作製プロセスのマージンと、さらには、スクライブ領域の確保のために必要であるからである。
尚、本発明で定義する「後退側壁面」は、第二エッチング工程、即ち、装置間分離溝形成のときに側壁として現れる側壁面であり、第一エッチングのみで現れる壁面ではない。
工程(f):
第二エッチング工程の後には、図8に示すように、絶縁層30を、第二導電型側電極27、前記第一エッチング工程によって露出した第一導電型半導体層(第一導電型クラッド層24)および前記装置間分離溝13内を含む全面に絶縁層を形成する。絶縁層は、電気的に絶縁が確保できる材料であれば、適宜選択することができ、詳細は後述するとおりである。成膜方法は、プラズマCVD法等の公知の方法を用いればよい。
工程(g)、工程(h)、工程(i):
次に、図9に示すように、工程(g)では、装置間分離溝13内の基板上の絶縁層30を除去してスクライブ領域14を形成する。工程(h)では、第一導電型クラッド層24上の絶縁層30の一部を除去し、第一電流注入領域36を形成する。また、工程(i)では、第二導電型側電極27上の絶縁層30の一部を除去して、第二導電型側電極露出部分37を形成する。好ましくは、工程(g)、(h)(i)は同時に実施される。
実施形態1では、工程(g)において、基板21の表面に堆積した絶縁層30を全て除去するのではなく、溝中央部分のみを除去し、薄膜結晶層の側壁面側の基板表面に絶縁層を残したままにする。溝中央部分で絶縁層30が除去された部分は、スクライブ領域14として、素子分割に使用される。図9に示すように、スクライブ領域14の幅を2Lwsとすると、Lwsは、完成した素子においては、0より大きければよいが、通常は10μm以上、好ましくは15μm以上である。従って、工程(g)で形成するスクライブ領域幅2Lwsは、30μm以上が好ましい。また、大きすぎても無駄であるので、2LWSは、通常300μm以下、好ましくは200μm以下である。
分離された後の発光素子では、図1AのA部分に示すように、薄膜結晶層の側壁面が後退して露出した基板面の全面を絶縁層が覆うのではなく、基板21の端からLwsだけ離れた位置より内側の基板面(溝底面=端部段差面)を覆っている(図9に示されたスクライブ領域14の幅の中央から分割された場合)。スクライブ領域を設けることで、後述する素子分割のときに、薄膜結晶層の側面から絶縁層の剥がれがないため、完成した発光素子は、仮にハンダの回り込みがあっても、意図しない短絡が防止される。また、薄膜結晶層にダメージも入っていないため、発光素子の機能が損なわれることなく信頼性の高い素子を形成することができる。
工程(h)では、第一導電型クラッド層24上の絶縁層30の一部を除去し、第一電流注入領域36を形成する。
また、工程(i)における第二導電型側電極27上の絶縁層30の除去は、図9に示すように、第二導電型側電極の周辺部分が絶縁層によって覆われているように実施する。すなわち第二導電型側電極露出部分の表面積は第二電流注入領域の面積よりも小さい。素子作製プロセス、特にフォトリソグラフィー工程のマージン、およびハンダ材による意図しない短絡等の発生を防止するためには、第二導電型側電極の周辺から絶縁層で覆われている幅の中で、最も狭い部分の幅をL2Wとすると、L2Wは15μm以上であることが好ましい。さらに好ましくは30μm以上、特に好ましくは100μm以上である。絶縁層によって第二導電型側電極の面積の多くが覆われることによって、特に、金属ハンダ材によるたとえば第一導電型側電極等の他の部分との意図しない短絡を低減することができる。また、L2wは、通常2000μm以下であり、好ましくは750μm以下である。
工程(g)、(h)、(i)において、絶縁層の除去は、選択された材質によってドライエッチング、ウェットエッチング等のエッチング手法が選択可能である。たとえば、絶縁層がSiN単層である場合には、SF等のガスを用いたドライエッチングも、あるいはフッ酸系のエッチャントを用いたウェットエッチングも可能である。また、絶縁層がSiOとTiOからなる誘電体多層膜である場合には、Arイオンミリングによって所望の部分の多層膜を除去することも可能である。
工程(j):
次に、図10に示すように、第一導電型側電極28を形成する。本発明においては、第一導電型側電極は第一電流注入領域の大きさよりも大きな面積に形成され、かつ、第一導電型側電極と第二導電型側電極は、空間的に重なりを有さないことが特徴である。これは、当該素子をハンダなどでフリップチップマウントした際に、サブマウントなどとの十分な密着性を確保するに十分な面積を確保しつつ、第二導電型側電極と第一導電型側電極との間のハンダ材等による意図しない短絡を防止するのに十分な間隔を確保するために重要である。図10に示すように、第一導電型側電極が絶縁層に接している部分の幅の中で、最も狭い部分の幅をL1wとすると、L1wは7μm以上が好ましく、特に9μm以上が好ましい。また、L1wは、通常500μm以下であり、好ましくは100μm以下である。通常、5μm以上があれば、フォトリソグラフィー工程とリフトオフ法によるプロセスマージンは確保できる。
電極材料としては、後述するが、第一導電型がn型であるとすると、Ti、AlおよびMoのいずれかから選択される材料、またはすべてを構成元素として含むことが望ましい。また、n側電極の主たる光取り出し方向の反対側には、Alが露出するのが普通である。電極材料の成膜には、スパッタ、真空蒸着、メッキ等種々の成膜技術を適応可能であり、電極形状とするためには、フォトリソグラフィー技術を用いたリフトオフ法や、メタルマスク等を用いた場所選択的な蒸着等を適宜使用可能である。
第一導電型側電極は、この例では、第一導電型クラッド層にその一部が接して形成されるが、第一導電型側コンタクト層が形成されるときはそれに接するように形成することができる。
このように、第一導電型側電極が、積層構造形成の最終段階にて製造されるので、プロセスダメージ低減の観点で有利である。第一導電型がn型である場合には、n側電極は、好ましい形態では、Alがその電極材の表面に形成される。この場合に、n側電極が第二導電型側電極のように絶縁層の形成よりも前になされると、n側電極表面、すなわちAl金属は、絶縁層のエッチングプロセスを履歴することになる。絶縁層のエッチングには、前述のとおりフッ酸系のエッチャントを用いたウェットエッチング等が簡便であるが、Alはフッ酸を含めた各種エッチャントに対する耐性が低く、このようなプロセスを実効的に実施すると電極そのものにダメージが入ってしまう。また、ドライエッチングを実施してもAlは比較的反応性が高く酸化を含めたダメージが導入される可能性がある。従って、本発明においては、第一導電型側電極の形成が絶縁層の形成後かつ絶縁層の予定されている不要部分の除去後に行われることは、電極に対するダメージの低減に効果がある。
工程(j)より後の工程:
このようにして、図10の構造が形成された後には、各化合物半導体発光素子を1つ1つ分離するために、装置間分離溝を使用して、基板対してダイヤモンドスクライブによる傷いれ、レーザスクライブによる基板材料の一部のアブレーションが実施される。
素子間分離工程の際に、装置間分離溝に薄膜結晶層がないので、薄膜結晶層へのプロセスダメージの導入がない。また、スクライブ領域に絶縁層も存在しないので、スクライブ時に、絶縁層の剥離等が生じる可能性もない。尚、図1Aとは異なる実施形態で、装置間分離溝が、光学均一化層とバッファ層を合わせた層の途中まで形成されている場合もあるが、この場合にも、装置間分離溝を使用して、基板に対してのダイヤモンドスクライブによる傷いれ、レーザスクライブによる基板材料の一部のアブレーションが実施される。
傷入れ(スクライブ)が終了した後には、化合物半導体発光素子はブレーキング工程において、1素子ずつに分割し、図1Aに示すように、好ましくはハンダ材料42等によってサブマウント40に搭載する。以上のようにして、図1Aに示した化合物半導体発光素子が完成する。
<実施形態2>
実施形態2では、図2Aに示す発光素子の製造方法を説明する。
実施形態2は、工程(a)〜工程(f)までの工程は実施形態1と同一であり、図5〜8に対応する。
工程(g)、工程(h)、工程(i):
図8に示すように、工程(f)において絶縁層30を形成した後、本実施形態でも工程(g)、工程(h)、工程(i)により絶縁層の一部除去を行う。このうち、第一電流注入領域となる開口を形成する工程(h)、および前記第二導電型側電極の一部を露出させる工程(i)は、実施形態1と同様である。尚、本実施形態においても、工程(g)、工程(h)および工程(i)は、別々に行っても同時に行ってもよい。
実施形態2の工程(g)では、図11に示すように、装置間分離溝13内で基板21上(即ち、溝底面)の絶縁層30をすべて除去し、また、溝内の側壁に形成された絶縁層の基板側(即ち、溝底面側)の絶縁層を除去し絶縁層非形成部分15とする。形成方法として、次のようなプロセスが可能である。まず、装置間分離溝13の面積とほぼ同等か少し小さめの開口を有するレジストマスクをフォトリソグラフィーによって形成し、次に、絶縁層をエッチング可能なエッチャントを用いてウェットエッチングを実施すると、装置間分離溝内の基板面上の絶縁層の除去が進む。その後、さらに長時間エッチングを継続するとサイドエッチングが起こり、溝側壁の基板側を覆っていた絶縁層がウエットエッチャントで除去され、図11に示したように基板側の側壁に絶縁層が存在しない形状が得られる。
絶縁層が除去されて露出する側壁は、バッファ層の側壁の少なくとも基板側の部分であり、実施形態によっては、バッファ層22の側壁の全部を露出させてもよく、また光均一化層23の側壁の少なくとも一部まで露出させてもよい。光均一化層23の側壁の一部まで露出させた場合は、図2Aにおいて、バッファ層の側壁が露出し、図2A中の絶縁層非形成部分が、光均一化層23の側壁まで達する。絶縁層が存在しない露出した側壁は、アンドープ層の側壁であることが望ましい。これは、フリップチップマウントを実施する際に、万が一、支持体との接合用ハンダ等が側壁に付着しても、意図しない電気的短絡が発生しないためである。このような絶縁層の除去形状は、特に発光素子の製造工程中に、基板を除去する際には、これに付随して絶縁層の剥離など意図しない不具合が発生しないため、望ましい形状である。また、基板の一部までエッチングして装置間分離溝を形成した場合には、溝の壁面のうち、基板部分のみが露出し、バッファ層が被覆されている場合がある。但し、基板を除去する形態の場合は、絶縁層は基板に接していないことが好ましい。
工程(j):
工程(j)では、図12に示すように、実施形態1と同様にして第一導電型側電極28を形成する。
工程(j)より後の工程:
このようにして、図12の構造が形成された後には、実施形態1と同様にして各化合物半導体発光素子を分離する。素子間分離工程の際に、装置間分離溝に薄膜結晶層がないので、薄膜結晶層へのプロセスダメージの導入がない。また、スクライブ領域に絶縁層も存在しないので、スクライブ時に、絶縁層の剥離等が生じる可能性もない。
傷入れ(スクライブ)が終了した後には、化合物半導体発光素子はブレーキング工程において、1素子ずつに分割し、図2Aに示すように、好ましくはハンダ材料42等によってサブマウント40に搭載する。以上のようにして、図2Aに示した化合物半導体発光素子が完成する。尚、実施形態2の製造方法で、L1w、L2wに関しては、実施形態1と同様に設定することが好ましい。
この実施形態によっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
<実施形態3>
実施形態3では、図3Aに示す発光素子の製造方法を説明する。
実施形態3は、工程(a)〜工程(j)までの工程は実施形態2と同一であり、工程(j)の後の工程が異なる。しかし、実施形態3では基板を除去するので、工程(a)で基板を用意するときに、基板に対して要求される特性が実施形態1および実施形態2とは異なる。この点に関しては材料の項で詳述する。
工程(j)より後の工程:
基板の剥離を行う本実施形態では、図12の構造が形成された後には、基板除去するための前準備をする。通常、図12に示された構造を、ウエハー全体として、あるいはその一部を、先ず、支持体40bに接合する。これは、薄膜結晶層全体としても高々15〜20μm程度の厚みであるので、基板を剥離してしまうと、機械的強度が不十分になりそれだけで自立してその後のプロセスを受けることが困難になるからである。
そこで、図13に示すように、支持体40b上の金属層41(電極配線等)に例えば金属ハンダ42で接続して搭載する。このとき、本発明の発光素子では、第二導電型側電極27と第一導電型側電極28は、お互いが空間的に重ならない配置となっており、かつ、第一導電型側電極が第一電流注入領域よりも大きく、十分な面積も有しているため、意図しない短絡の防止と高い放熱性の確保が両立しており望ましい。また、他の薄膜結晶層の側壁も少なくともバッファ層の一部を除いて、特にアンドープ部分を除いて絶縁層で保護されるため、ハンダの染み出し等があっても薄膜結晶層内、たとえば活性層構造側壁における短絡等も発生することがない。
次に、支持体に素子を接合した後に、基板を剥離する。基板の剥離には、研磨、エッチング、レーザディボンディング等のあらゆる方法を用いる事が可能である。サファイア基板を研磨する場合には、ダイヤモンド等の研磨材を使用して基板を除去することが可能である。また、ドライエッチングによって基板を除去することも可能である。さらには、たとえばサファイアが基板でInAlGaN系材料によって薄膜結晶成長部分が形成されている場合には、サファイア基板側から、サファイア基板は透過し、たとえばバッファ層に使用されるGaNには吸収される248nmの発振波長を有するエキシマレーザを用いて、バッファ層の一部のGaNを金属Gaと窒素に分解し、基板を剥離するレーザディボンディングを実施することも可能である。図14には、レーザディボンディングにより基板21が剥離した様子を模式的に示した。
またZnOおよびScAlMgO等を基板として使用する場合には、HCl等のエッチャントを用いて基板をウェットエッチングで除去することも可能である。
この実施形態3では、絶縁層30が基板21に接していないため、基板剥離の際に、絶縁層の剥がれが生じない。従って、確実な絶縁性を保てることに加え、絶縁層の剥がれの際に生じる引っ張りによって、薄膜結晶層にダメージが入ることもない。
その後、図14に示すように、装置間分離溝が存在する箇所に対応する支持体内の分離領域47において、支持体と共に発光素子を分離して単体の発光素子を得る。ここで、支持体の分離領域に金属配線が存在すると装置間の分離が実施しにくいので、支持体40bの周辺には、金属配線が存在しない分離領域47が存在することが好ましい。
支持体の分離領域部分の切断には、母材によって、ダイシング、スクライビングとブレーキングなど適宜プロセスを選択可能である。また、装置間分離溝は、光学均一化層とバッファ層を合わせた層の途中まで形成されている場合もあるが、この場合にも、装置間分離溝を使用して、支持体に対してのダイヤモンドスクライブによる傷いれ、レーザスクライブによる支持体材料の一部のアブレーションが実施される。
ここで、支持体の分離領域の最も狭い部分の幅を2LWSPT2とすると、LWSPT2は完成した素子においては0より大きければ良いが、スクライビングによって分離する際には、通常は10μm以上、好ましくは15μm以上である。したがって分離領域47としては2LWSPT2を30μm以上とする事が好ましい。また、大きすぎても無駄であるので、2LWSPT2は、通常は、300μm以下、好ましくは、200μm以下である。
また、ダイシングによって分離する際には、LWSPT2は、通常は100μm以上、好ましくは500μm以上である。したがって分離領域47としては2LWSPT2を1000μm以上とする事が好ましい。また、大きすぎても無駄であるので、2LWSPT2は、通常は、2000μm以下、好ましくは、1500μm以下である。
以上のようにして、図3Aに示した実施形態3の発光素子が完成する。
<その他の実施形態>
実施形態1〜3中で説明した工程を組み合わせて、図1B〜図1E、図2B〜図2D、図3B〜図3Dの形態を製造することができる。図1B、図1Cの形態は、実施形態1の説明で、装置間分離溝の形成を、それぞれ光均一化層23の途中まで、バッファ層22の途中まで形成することで製造することができる。この形態にさらに実施形態3で説明した基板除去の工程を組み合わせることで図1Dおよび図1Eの形態を製造することができる。図2B、図2C、図2Dの形態については、実施形態2の説明中で、装置間分離溝の形成を光均一化層23の途中まで行うことで図2Bの形態が製造され、装置間分離溝の形成をバッファ層22の途中までとし、サイドエッチングにより絶縁層非形成部分15をバッファ層22の側壁で止めた形状が図2Cに対応し、光均一化層23の側壁まで渡るようにした形状が図2Dに対応する。図3B、図3C、図3Dの形態については、実施形態3の説明中で、装置間分離溝の形成を光均一化層23の途中まで行うことで図3Bの形態が製造され、装置間分離溝の形成をバッファ層22の途中までとし、サイドエッチングにより絶縁層非形成部分15をバッファ層22の側壁で止めた形状が図3Cに対応し、光均一化層23の側壁まで渡るようにした形状が図3Dに対応する。いずれの場合も、予定した形状に適したフォトリソグラフィによって、適切なエッチングマスク形状を準備すればよい。
どの形態の製造方法においても、素子間分離工程の際に、装置間分離溝に第一導電型半導体層、活性層構造、および第二導電型半導体層がないので、性能に影響を与える薄膜結晶層へのプロセスダメージの導入がない。また、スクライブ領域に絶縁層も存在しないので、スクライブ時、素子分離時に、絶縁層の剥離等が生じる可能性もない。また、絶縁層で被覆されていない側壁に露出する部分の絶縁性を高くすることで、例えばアンドープ層とすることで、フリップチップマウントの際にハンダ等による短絡を防止することができる。
以上の実施形態で説明したように、この製造方法では、薄膜結晶層の形成、第二導電型側電極の形成、エッチング工程(第一エッチング工程および第二エッチング工程)、絶縁層の形成、絶縁層の除去(第二導電型側電極露出部分の形成、第一電流注入領域の形成、スクライブ領域の形成等)、第一導電型側電極の形成は、この順に実施され、この工程順により、第二導電型側電極直下の薄膜結晶層のダメージがなく、また第一導電型側電極にもダメージのない発光素子を得ることができる。そして、完成した素子形状はプロセスフローを反映して、第二導電型側電極、絶縁層、第一導電型側電極がこの順番に積層された構造を内在している。つまり、第二導電型側電極は、第二導電型クラッド層(またはその他の第二導電型薄膜結晶層)に絶縁層を介在しないで接しており、第二導電型側電極の上部周辺には絶縁層で覆われた部分があり、第一導電型側電極と第一導電型クラッド層(またはその他の第一導電型薄膜結晶層)の間には、電極周囲部分に絶縁層が介在している部分が存在している。
さらに本発明で製造される素子は、第一導電型半導体層(各実施形態では第一導電型クラッド層24)より光取り出し方向に、光均一化層23を有している。光均一化層は、詳細は後述するが、適度な光閉じ込め、また場合によっては光を散乱、多重反射、薄膜干渉を引き起こすなどの効果を有し、活性層構造25で発光した光は、局在することなく光均一化層全体に分布する。そのため、基板の光取り出し面50aから見たとき、第一導電型側電極28の取り出しのために活性層がない非発光部に対応する領域にも光が分布し、また活性層での発光にムラがあっても、比較的均一になるように光が分布する。さらに、光均一化層23の周囲は絶縁層30で被覆されているため、絶縁層30の発光波長に対する反射率を高く調節することで(詳細は絶縁層の項で説明する。)、主たる光取り出し方向からの出射を効果的に向上させることが出来、ひいては素子そのものの発光効率の向上が可能である。また、光均一化層内での光閉じ込め効果も上がるので、発光パターンの面内均一性も向上する。
〔材料の説明〕
<基板>
完成した発光素子に基板が残る実施形態1および実施形態2等と、完成した発光素子に基板が残らない実施形態3等とで、基板として使用できる材料に多少異なる点がある。
<実施形態1および実施形態2等の完成した発光素子に基板が残る実施形態に使用される基板>
基板21は、光学的に素子の発光波長に対しておおよそ透明であれば、材料等は特に限定されない。ここでおおよそ透明とは、発光波長に対する吸収が無いか、あるいは、吸収が存在しても、その基板の吸収によって光出力が50%以上低減しないものである。
基板は、電気的には絶縁性基板であることが好ましい。これは、フリップチップマウントをした際に、たとえハンダ材などが基板周辺に付着しても、発光素子への電流注入には影響を与えないからである。具体的な材料としては、例えばInAlGaN系発光材料またはInAlBGaN系材料をその上に薄膜結晶成長させるためは、サファイア、SiC、GaN、LiGaO、ZnO、ScAlMgO、NdGaO、およびMgOから選ばれることが望ましく、特にサファイア、GaN、ZnO基板が好ましい。特にGaN基板を用いる際には、そのSiのドーピング濃度はアンドープ基板を用いる場合には、3×1017cm−3のSi濃度以下が望ましく、さらに望ましくは1×1017cm−3以下である事が、電気抵抗の観点と結晶性の観点からが望ましい。
本発明で使用される基板は、いわゆる面指数によって完全に確定されるジャスト基板だけではなく、薄膜結晶成長の際の結晶性を制御する観点から、いわゆるオフ基板(miss oriented substrate)であることもできる。オフ基板は、ステップフローモードでの良好な結晶成長を促進する効果を有するため、素子のモフォロジ改善にも効果があり、基板として広く使用される。たとえば、サファイアのc+面基板を基板としてInAlGaN系材料の結晶成長用基板として使用する際には、m+方向に0.2度程度傾いた面を使用することが好ましい。オフ基板としては、0.1〜0.2度程度の微傾斜を持つものが広く一般的に用いられるが、サファイア上に形成されたInAlGaN系材料においては、活性層構造内の発光ポイントである量子井戸層にかかる圧電効果による電界を打ち消すために、比較的大きなオフ角度をつけることも可能である。
基板は、MOCVDやMBE等の結晶成長技術を利用して化合物半導体発光素子を製造するために、あらかじめ化学エッチングや熱処理等を施しておいてもよい。また、後述するバッファ層との関係で、意図的に凹凸をつけた基板にしておき、これによって、薄膜結晶層と基板との界面で発生する貫通転移を発光素子の活性層近傍に導入しないようにすることも可能である。
本発明においては、後述する光均一化層に光を閉じ込めて、同時に層内に分布するように導波するために、基板は、化合物半導体発光素子の発光波長における屈折率(nsb)が、光均一化層の平均的屈折率(noc)よりも相対的に小さいことが望ましい。
基板の厚みとしては、1つ実施形態においては、素子作成初期においては、通常250〜700μm程度のものであり、半導体発光素子の結晶成長、素子作製プロセスにおける機械的強度が確保されるようにしておくのが普通である。これを用いて薄膜結晶層を成長した後に、各々の素子に分離しやすくするために、適宜、研磨工程によってプロセス途中で薄くし、最終的に発光素子としては100μm厚程度以下となっていることが望ましい。また、通常30μm以上の厚みである。
さらに異なる実施形態では、基板の厚さは、従来とは異なり厚いものでもよく、350μm程度、さらには400μm、または500μm程度の厚みがあってもよい。
また、後述する光均一化層に光を閉じ込めて導波するために、導波路に対する相対的に低屈折率層となるように基板を選んだ場合には、発光素子の発光波長をλ(nm)、基板の平均的屈折率をnsbで表したとき、基板の物理厚みが、4λ/nsbよりも厚いことが望ましい。
さらに、基板の主たる光取り出し方向の面に、いわゆる低反射コーティング層あるいは低反射光学膜が形成されていることが望ましい。基板−空気界面の屈折率差による反射を抑制し、高出力化、素子の高効率化を図ることができる。ここで、バッファ層から基板側に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が基板で反射される反射率をR3、基板から光取り出し側の空間に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が空間との界面で反射される反射率をR4で表したとき、
R4<R3
を満たすように前記基板の光取り出し側に低反射光学膜が設けられることが好ましい。たとえば基板がサファイアである場合には、低反射コーティング膜としてMgF等を用いることが望ましい。発光波長における基板の屈折率nに対して、低反射コーティング膜の屈折率が、√nに近いことが望ましいので、サファイアの屈折率の平方根に対して、MgFの屈折率が近いからである。
本実施形態においては、基板の主たる光取り出し方向の面が、平坦でない面または粗面であることも好ましい。これにより量子井戸層内で発光した光を高効率で取り出すことが可能になり、素子の高出力化、高効率化の観点で望ましい。また、素子の発光波長をλ(nm)とすると、その粗面の程度は、平均粗さRa(nm)が、
λ/5(nm)<Ra(nm)<10×λ(nm)
を満たすことが望ましく、
λ/2(nm)<Ra(nm)<2×λ(nm)
を満たすことがより望ましい。
<実施形態3等の完成した発光素子に基板が残らない実施形態に使用される基板>
本実施形態では、基板はその上に半導体層を成長させることが可能なものが選ばれ、また最終的に除去できるものが用いられる。基板は、透明である必要はないが、製造工程で、基板を後述するレーザディボンディングにより剥離するときには、その特定の波長のレーザ光を透過することが好ましい。また、電気的には絶縁性基板である事が好ましい。これは、製造工程で、同様にレーザディボンディング法によって基板を剥離する際に、導電性基板ではその自由電子による吸収等によって、このような基板剥離方法を採用できなくなるからである。
上述の実施形態1および実施形態2で使用できる基板材料は、すべて第3の態様でも使用できる。具体的な材料としては、例えばInAlGaN系発光材料またはInAlBGaN系材料をその上に薄膜結晶成長させるためは、サファイア、SiC、GaN、LiGaO、ZnO、ScAlMgO、NdGaO、およびMgOから選ばれることが望ましく、特にサファイア、GaN、ZnO基板が好ましい。特にGaN基板を用いる際には、そのSiのドーピング濃度はアンドープ基板を用いる場合には、3×1017cm−3のSi濃度以下が望ましく、さらに望ましくは1×1017cm−3以下である事が、電気抵抗の観点と結晶性の観点からが望ましい。基板を除去する際にケミカルエッチングを前提とする場合には、塩酸等で容易に除去可能なZnOが好ましい。
また、上述の実施形態1、2で説明したように、オフ基板も使用可能である点、基板にあらかじめ化学エッチングや熱処理等を施しておいてもよい点、また、基板に意図的に凹凸をつけてもよい点等も同様である。
基板の厚みとしては、この実施形態中の1つの実施形態においては、装置作成初期においては、通常250〜700μm程度のものであり、半導体結晶成長、素子作製プロセスにおける機械的強度が確保されるようにしておくのが普通である。基板を用いて必要な半導体層を成長した後に、基板は、例えば研磨、エッチング、またはレーザディボンディング等により除去される。特にレーザディボンディング等の光学的な手法によって剥離される際には、薄膜結晶成長時には両面研磨基板を用いることが望ましい。これは、薄膜結晶成長されていない面から照射されるレーザ等を、片面研磨基板を用いてしまうと、粗面から入射することになり、レーザディボンディング時に不要に大きなレーザ出力が必要となるためである。
<バッファ層>
バッファ層に関して、完成した発光素子に基板が残る実施形態1および2と、完成した発光素子に基板が残らない実施形態3とで多少異なる点がある。
<実施形態1〜3等の全形態に共通するバッファ層の形態>
バッファ層22は、基板上に薄膜結晶成長する上で、転移の抑制、基板結晶の不完全性の緩和、基板結晶と所望の薄膜結晶成長層との各種の相互不整合の軽減など、主に薄膜結晶成長のための目的のために形成される。
バッファ層は、薄膜結晶成長で成膜され、本発明で望ましい形態であるInAlGaN系材料、InAlBGaN系材料、InGaN系材料、AlGaN系材料、AlN系材料、GaN系材料などを異種基板上に薄膜結晶成長する際には、必ずしも基板との格子定数のマッチングが確保されないので、バッファ層は特に重要である。たとえば、薄膜結晶成長層を有機金属気相成長法(MOVPE法)で成長する際には、600℃近傍の低温成長AlN層をバッファ層に用いたり、あるいは500℃近傍で形成した低温成長GaN層を用いたりすることも出来る。また、800℃から1000℃程度の高温で成長したAlN、GaN、AlGaN、InAlGaN、InAlBGaNなども使用可能である。これらの層は一般に薄く5〜40nm程度である。
バッファ層22は必ずしも単一の層である必要はなく、低温で成長したGaNバッファ層の上に、結晶性をより改善するために、ドーピングを施さない1000℃程度の温度で成長したGaN層を数μm程度有するようにしてもかまわない。実際には、このような厚膜バッファ層を有することが普通であって、その厚みは0.5〜7μm程度である。バッファ層は、Si等でドーピングされていてもよいし、バッファ層内にドーピング層とアンドープ層を積層して形成することも可能である。
典型的な実施形態としては、基板に接して350℃〜800℃未満程度の低温で薄膜結晶成長させた低温バッファ層と、800℃〜1050℃程度の高温で薄膜結晶成長させた高温バッファ層の2層構造のものが挙げられる。また、基板がGaNであるときには、バッファ層のすべてを900℃以上の高温にて形成したGaNとすることができる。
また、バッファ層の形成に関しては、いわゆるマイクロチャネルエピタキシーの一種である横方向成長技術(ELO)も使用可能であり、これによってサファイア等の基板とInAlGaN系材料の間で発生する貫通転移の密度を大幅に低減することも可能である。さらに基板の表面に凹凸の加工を施したような加工基板を使用する際にも、横方向成長をさせる際に転位の一部を消滅させることが可能であって、このような基板とバッファ層の組み合わせを本発明に適応する事は好ましい。さらに、この際には基板上に形成された凹凸によって光取り出し効率が向上する効果もあって、好ましい。
完成した素子においては、すでに説明したように、バッファ層の側壁面の少なくとも基板側(バッファ層成膜の際の基板側)の近傍は、絶縁層で被覆されていない。
本発明においては、バッファ層は後述する光均一化層と一体となって、光取り出し面での光強度の均一性を上げるために光閉じ込めを実現するようにしてもかまわない。また、バッファ層の一部または全部が光均一化層を兼ねていてもよい。
また、バッファ層は装置間分離溝の露出部分になってもよい。特にアンドープ部分が露出することは、装置組み立て時のハンダ等による絶縁不良を抑制することができるので好ましい。
<実施形態3等の基板が残らない態様に特有のバッファ層の形態>
実施形態3においては、後述する光均一化層に光を閉じ込めて導波するために、発光素子の発光波長におけるバッファ層の屈折率は、光均一化層の平均屈折率以下であり、好ましくは光均一化層の平均屈折率未満である。バッファの物理厚みは、発光素子の発光波長をλ(nm)、バッファの平均屈折率をnbfで表したとき、4λ/nbfよりも厚いことが望ましい。
また、実施形態3においては、基板を製造工程中に除去するので、バッファ層が主たる光取り出し面になる。前述のとおり基板の剥離の1つ方法として、基板に対して透明で、バッファ層に対して吸収のある光を用いて、バッファ層の一部を光学的に分解して、基板を剥離する方法が挙げられる。そのような方法を採用する場合には、その方法に適合した材料が選択される。たとえば、基板がサファイアで、バッファ層がGaNである場合には、248nmの発振波長を有するエキシマレーザを薄膜結晶成長がされていない基板側から光を照射し、バッファ層のGaNを金属Gaと窒素に分解して、その結果、基板を剥離するレーザディボンディングを実施することも可能である。
本形態では、主たる光取り出し方向に基板が存在しないので、バッファ層の主たる光取り出し方向の面に、いわゆる低反射コーティング層あるいは低反射光学膜が形成されることが望ましい。バッファ層−空気界面での屈折率差による反射を抑制し、高出力化、素子の高効率化を図ることができる。ここで、後述する光均一化層からバッファ層側に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光がバッファ層で反射される反射率をR3、前記バッファ層から光取り出し側の空間に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が空間との界面で反射される反射率をR4で表したとき、
R4<R3
を満たすようにバッファ層の光取り出し側に低反射光学膜が設けられることは望ましい。たとえばバッファ層がGaNである場合には、低反射コーティング膜としてAl等を用いることが望ましい。これは素子の発光波長におけるバッファ層の屈折率nbfに対して、低反射コーティング膜の屈折率が、√nbfに近いことが望ましいので、GaNの屈折率の平方根に対して、Alの屈折率が近いからである。
本実施形態においては、バッファ層の主たる光取り出し方向の面が、平坦でない面あるいは粗面であることも好ましい。これにより量子井戸層内で発光した光を高効率で取り出すことが可能になり、素子の高出力化、高効率化の観点で望ましい。ここで、素子の発光波長をλ(nm)とすると、バッファ層の粗面の程度は、平均粗さRa(nm)が、
λ/5(nm)<Ra(nm)<10×λ(nm)
を満たすことが望ましく、
λ/2(nm)<Ra(nm)<2×λ(nm)
を満たすことがより望ましい。
この形態では、バッファ層の少なくとも一部は、装置端で露出する。従って、少なくとも露出部分をアンドープ部分とすることが、装置組み立て時のハンダ等による絶縁不良を抑制することができるので好ましい。
<光均一化層>
本発明の光均一化層は、活性層構造で発光した光を、一旦、層内に閉じ込めて分布させることで光の一部をリークしながらもゆるやかに導波し、また場合によっては光を散乱、多重反射、薄膜干渉を引き起こすなどの効果を発現し、発光素子の光取り出し面での均一性を向上するための層である。
光均一化層23は、化合物半導体層で形成されることが好ましく、図1A〜3に示すように、バッファ層と第一導電型半導体層(第一導電型クラッド層)の間に存在することが望ましい。また、成膜方法は特に制限はないが、半導体発光素子を簡便に作製するために、他の薄膜結晶層と同時に、薄膜結晶成長技術を用いて作製することが望ましい。
本発明において、光均一化層は、少なくとも層内に光の閉じ込めが生じるように、即ち光の分布密度が高くなるようにその屈折率が選ばれる。従って、光均一化層の平均屈折率(noc)は、第一導電型クラッド層の平均屈折率より大きく、また基板がある態様では基板の平均屈折率(nsb)より大きい。特に光均一化層と活性層構造の間に存在する第一導電型半導体層の平均屈折率(n)より大きくすることが好ましい。またバッファ層の平均屈折率(nbf)以上であり、特にバッファ層の平均屈折率より大きいことが好ましい。また、光均一化層を構成する材料は、量子井戸層から発せられる光に対して透明であることが特に好ましい。InAlGaN系等のIII―V族窒化物に基づく発光素子である場合には、活性層構造から発せられる光が吸収されない程度にInやAlを含有することも望ましく、特に屈折率を高める観点ではInを含むことが好ましい。
また、光均一化層は、単層である必要はなく、複数の層で構成されてもよい。複数の層で構成されるとき、例えば、AlGaN、InGaN、InAlGaN、AlNおよびGaN等の層が複数存在してもよいし、超格子構造であってもよい。また、量子ドットのような構造を内在してもよく、素子の発光波長程度の大きさを有するような場合には、これによって、光の散乱を誘発させたりするも可能である。さらに光均一化層を薄膜結晶成長し、一度結晶成長を中断し、適宜その表面に凹凸をつける等の加工を施し、さらに薄膜結晶成長を実施して適宜光の散乱、多重反射、薄膜干渉等を引き起こすようにすることも可能である。
ここで、各層の平均屈折率(nav)は、その層を構成するn種類の材料それぞれの屈折率(nx)に対して、その材料の物理的な厚み(tx)との積をとり、これを全体の厚みで除した値であり、
nav=(n1×t1+n2×t2+・・・+nn×tn)/(t1+t2+・・・+tn)で計算される。
光均一化層の例としては、たとえば、活性層構造がInGa1−aNの組成の量子井戸層を有し、発光波長が460nm、第一導電型クラッド層がn−GaN、バッファ層がアンドープGaN、基板がサファイアであった場合には、光均一化層として単層のアンドープGaNが使用可能である。なお、一般に、半導体材料の、その材料に透明な波長における屈折率はキャリア濃度が高いほど小さくなる傾向がある。
また、活性層構造がInGa1−aNの組成の量子井戸層を有し、その発光波長が460nm、第一導電型クラッド層がn−GaNとn−AlGaN層からなり、バッファ層がアンドープGaNとSiドープGaNの積層構造、基板がサファイアであった場合には、光均一化層として単層のアンドープGaNが使用可能である。なお、一般に、半導体材料の、その材料に透明な波長における屈折率はキャリア濃度が高いほど小さくなる傾向がある。
また、活性層構造がInGa1−aNの組成の量子井戸層を有し、その発光波長が460nm、第一導電型クラッド層がn−GaNとn−AlGaN層からなり、バッファ層がアンドープGaNとSiドープGaNの積層構造、基板がSiドープGaNであった場合には、光均一化層として厚膜のアンドープGaN中に発光波長に透明な組成のInGa1−bNを所望の厚みで所望の数有する多層構造などが使用可能である。なお、一般に、半導体材料の、その材料に透明な波長における屈折率はキャリア濃度が高いほど小さくなる傾向がある。
これらのような構造において、さらに光均一化層としては、InGa1−bNおよびInAlGa1−c−dN等の材料を含む場合も望ましく、その組成b、c、dと厚み等を適宜選択することにより、460nmで透明で、かつ第一導電型半導体層に含まれることがあるn−GaN、バッファ層に含まれることのあるアンドープGaN、基板として含まれることのあるサファイア、GaN等よりも屈折率を大きくできるので、光均一化層として使用可能であり、それらを単層で、またはそれらとアンドープGaN層とから選ばれる複数の積層構造として使用してもよい。
また、光均一化層が化合物半導体発光素子の発光波長を吸収しないようにIn組成、InGaN層の厚みを設定したInGaN層とGaN層からなる超格子・量子井戸構造を有することも好ましい。
また、光均一化層は、量子井戸層から発せられた光の一部を受けて層内に光を伝播するマルチモード光導波路として機能するように、その厚みが選ばれることも重要である。
光均一化層の物理的厚みをtoc(nm)で表し、発光素子の発光波長をλ(nm)、光均一化層の平均屈折率をnoc、第一導電型半導体層の平均屈折率をn、基板の平均屈折率をnsbで表したとき、光均一化層と第一導電型半導体層の比屈折率差Δ(oc−1)
Δ(oc−1)≡((noc)−(n))/(2×(noc)
と定義する。また、光均一化層と基板の比屈折率差Δ(oc−sb)
Δ(oc−sb)≡((noc)−(nsb))/(2×(noc)
と定義する。そして、光均一化層を第一導電型半導体層の平均屈折率ではさまれた対称スラブ導波路とみなすと、その導波路がマルチモードとなる条件は規格化周波数がπ/2以上であればよいから
(√(2×Δ(oc−1))×noc×π×toc)/λ ≧ π/2
を満たすようにtocが選択されることが望ましい。さらに好ましくは、より厚みのある導波路であればよいから、
(√(2×Δ(oc−1))×noc×π×toc)/λ ≧ 2×π
を満たすようにtocが選択されることが望ましい。
また完成した発光素子に基板が残る実施形態1および2では、仮に光均一化層が基板の平均屈折率ではさまれた対称スラブ導波路とみなした際に、その導波路がマルチモードとなる条件は、規格化周波数がπ/2以上であればよいから、さらに
(√(2×Δ(oc−sb))×noc×π×toc)/λ ≧ π/2
も満たすようにtocが選択されることが望ましい。実施形態3においても、薄膜結晶を成長させる基板にこのような条件を満たすものを使用することは何ら問題がない。
具体的には、たとえば波長460nmにおいて光均一化層の平均屈折率が2.50であって、基板の平均屈折率が1.70であったとすると、光均一化層の厚みとしては、約0.13μm以上であれば、上式を満たすこととなる。また、たとえば波長460nmにおいて光均一化層の平均屈折率が2.50であって、第一導電型半導体層の平均屈折率が2.499であったとすると、光均一化層の厚みとしては、約3.3μm以上であれば、上式を満たすこととなる。このように、光均一化層の厚みは、基板を有する場合には基板の平均屈折率、光均一化層の平均屈折率、第一導電型半導体層の平均屈折率によって適宜選択が可能であるが、総じていえば、1〜7μmが好ましく、さらに3〜5μmがよりこのましい。
このようにして、光の閉じ込めとゆるやかなリークが実現し、構造によっては、同時に光を散乱、多重反射、薄膜干渉を引き起こすなどの効果も発現するマルチモード導波路を実現することによって、発光素子は光取り出し面において均一な発光を実現しやすくなる。
なお、光均一化層に極端に光を閉じ込めると、発光素子は、発光の均一性は向上するものの、光取り出しがしにくくなることから、光均一化層の厚み、材料、構造、構成、屈折率等を適宜選択し、ある程度リーキーでありながら導波が生じるようにすることが好ましい。特にその厚みに関しては、光均一化層の厚みを極端に厚くしてしまい、導波路の光閉じ込めを過剰にすることも望ましくなく、例えば、その上限は30μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより望ましく、5μm以下であることが最も望ましい。
光均一化層の絶縁性/導電性については、光均一化層23の側壁を絶縁層30が覆っているか否かにより許容範囲が異なる。即ち、図1A、2のように、光均一化層23の側壁を絶縁層30が覆っている場合には、導電性であっても絶縁性であってもどちらでもよいが、光均一化層23の側壁の少なくとも一部が絶縁層で覆われていないときは、ハンダ等による短絡を防止するために絶縁性であることが極めて好ましい。例えば層全体の比抵抗ρoc(Ω・cm)が0.5(Ω・cm)以上であることが好ましい。さらに好ましくは、1.0(Ω・cm)以上であり、さらに好ましくは1.5(Ω・cm)以上、最も好ましくは5(Ω・cm)以上である。比抵抗が高いためには、光均一化層はアンドープであることが望ましい。また、光均一化層が複数の層からなる場合などにおいては、一部ドーピングされている層があっても、これがアンドープ層の間にあれば問題はない。この場合、第一導電型半導体層(例えば第一導電型クラッド層)に隣接する層が上記の比抵抗を有していればよい。また、一般的に半導体においては、その材料に対して透明な波長領域では、同一の材料であっても、アンドープ層の屈折率が意図的にドーピングされ多数のキャリアを有する層よりも屈折率が高くなるので、光学的な特性から考えても、また、電気的特性から考えても、アンドープ層は好ましい。特に、光均一化層が装置端の露出部分となる場合には、露出部分はアンドープ部分であることが好ましい。これにより、装置組み立て時のハンダ等による絶縁不良を抑制することができる。
本発明においては、光均一化層は、光を分布・遍在させるのに対し、前述のバッファ層は基板上に結晶成長するときに各種の不整合の軽減を図るものであるので、その機能は異なる。しかし、同一の層が2つの機能を同時に有することがある。また、光均一化層またはバッファ層が複数の層で構成されているとき、一部の層が2つの機能を有する場合もある。さらに組成が同一でも成長方法・条件が異なる場合には、一方の機能しか有さない場合もある。
<第一導電型半導体層および第一導電型クラッド層>
本発明の代表的実施形態では、図1A〜3に示すように光均一化層23に接して、第一導電型クラッド層24が存在する。第一導電型クラッド層24は、後述する活性層構造25に対して、後述する第二導電型クラッド層26と共に機能して、キャリアを効率よく注入し、かつ、活性層構造からのオーバーフローも抑制し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。また、あわせて活性層構造近傍への光の閉じ込めにも寄与し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。第一導電型半導体層は、上記のクラッド機能を有する層に加えて、コンタクト層のように素子の機能向上のため、または製造上の理由により、第一導電型にドープされた層を含むものである。広義には、第一導電型半導体層の全体を第一導電型クラッド層と考えてもよく、その場合にはコンタクト層等は、第一導電型クラッド層の一部と見ることもできる。
一般的に第一導電型クラッド層は、後述する活性層構造の平均的屈折率より小さな屈折率を有する材料で、かつ、後述する活性層構造の平均的なバンドギャップよりも大きな材料で構成されることが好ましい。さらに、第一導電型クラッド層は、活性層構造内の特にバリア層との関係において、いわゆるタイプI型のバンドラインナップとなる材料で構成されるのが一般的である。このような指針の元で、第一導電型クラッド層材料としては、所望の発光波長を実現するために準備される基板、バッファ層、活性層構造等に鑑みて、適宜選択することができる。
例えば、基板としてC+面サファイアを使用し、バッファ層として低温成長したGaNと高温成長したGaNの積層構造を使用する場合には、第一導電型クラッド層としてGaN系材料、AlGaN系材料、AlGaInN系材料、InAlBGaN系材料、もしくはその多層構造を用いることができる。
第一導電型クラッド層のキャリア濃度としては、下限としては1×1017cm−3以上が好ましく、5×1017cm−3以上がより好ましく、1×1018cm−3以上が最も好ましい。上限としては5×1019cm−3以下が好ましく、1×1019cm−3以下がより好ましく、7×1018cm−3以下が最も好ましい。また、ここでは、第一導電型がn型の場合、ドーパントとしては、Siが最も望ましい。
第一導電型クラッド層の構造は、図1Aの一例では単一の層からなる第一導電型クラッド層を示すが、第一導電型クラッド層は、2層以上の層からなるものであってもよい。この場合には、たとえばGaN系材料とAlGaN系材料、InAlGaN系材料、InAlBGaN系材料、AlN系材料を使用することも可能である。また第一導電型クラッド層の全体を異種材料の積層構造として超格子構造とすることもできる。さらに、第一導電型クラッド層内において、前述のキャリア濃度を変化させることも可能である。
第一導電型クラッド層の第一導電型側電極と接触している部分においては、そのキャリア濃度を意図的に高くして、当該電極との接触抵抗を低減することも可能である。
第一導電型クラッド層の一部はエッチングされており、かつ、第一導電型クラッド層の露出した側壁、エッチングされた部分などは、後述する第一導電型側電極との接触を実現する第一電流注入領域を除いて、すべて絶縁層で覆われている構造が望ましい。
第一導電型クラッド層に加えて、必要により、第一導電型半導体層としてさらに異なる層が存在してもよい。例えば、電極との接続部にキャリアの注入を容易にするためのコンタクト層が含まれていてもよい。また、各層を、組成または形成条件等の異なる複数の層に分けて構成してもよい。
<活性層構造>
第一導電型クラッド層24の上には、活性層構造25が形成されている。活性層構造とは、前述の第一導電型クラッド層と、後述する第二導電型クラッド層から注入される、電子と正孔(あるいは正孔と電子)が再結合して発光する層である量子井戸層を含み、かつ、量子井戸層に隣接して配置される、あるいは、量子井戸層とクラッド層間に配置されるバリア層をも含む構造を指す。ここで、本発明のひとつの目的である高出力化、高効率化を実現するためには、活性層構造中の量子井戸層の層数をW、バリア層の層数をBとすると、B=W+1を満たすことが望ましい。すなわち、クラッド層と活性層構造の全体の層の関係は、「第一導電型クラッド層、活性層構造、第二導電型クラッド層」と形成され、活性層構造は、「バリア層、量子井戸層、バリア層」、あるいは、「バリア層、量子井戸層、バリア層、量子井戸層、バリア層」のように形成されることが、高出力化のために望ましい。図15に、5層の量子井戸層と、6層のバリア層が積層された構造を模式的に示す。
ここで、量子井戸層においては量子サイズ効果を発現させて、発光効率を高めるために、その層厚はド・ブロイ波長と同程度にうすい層である。このため、高出力化を実現するためには、単層の量子井戸層のみではなく、複数の量子井戸層を設けてこれを分離して活性層構造とすることが望ましい。この際に各量子井戸層間の結合を制御しつつ分離する層がバリア層である。また、バリア層は、クラッド層と量子井戸層の分離のためにも存在することが望ましい。たとえば、クラッド層がAlGaNからなり、量子井戸層がInGaNからなる場合には、この間にGaNからなるバリア層が存在する形態が望ましい。これは結晶成長の最適温度が異なる場合の変更も容易にできるので、薄膜結晶成長の観点からも望ましい。また、クラッド層が、最もバンドギャップの広いInAlGaNからなり、量子井戸層が最もバンドギャップの狭いInAlGaNからなる場合は、バリア層にその中間のバンドギャップを有するInAlGaNを用いることも可能である。さらに、一般にクラッド層と量子井戸層との間のバンドギャップの差は、バリア層と量子井戸層の間のバンドギャップの差よりも大きく、量子井戸層へのキャリアの注入効率を考えても、量子井戸層はクラッド層に直接隣接しないことが望ましい。
量子井戸層は意図的なドーピングは実施しないほうが望ましい。一方、バリア層には、ドーピングを施して、系全体の抵抗を下げるなどのことを実施するのが望ましい。特に、バリア層にはn型のドーパント、特にSiをドーピングするのが望ましい。これは、p型のドーパントであるMgはデバイス内では拡散しやすく、高出力動作時においては、Mgの拡散を抑制することが重要となる。このために、Siは有効であって、バリア層にはSiがドーピングされていることが望ましい。但し量子井戸層とバリア層との界面においては、ド−ピングを実施しないほうが望ましい。
1つの素子の活性層構造側壁は、図1Aに示される通り、絶縁層30で覆われていることが望ましい。このようにすると、本発明で作製された素子をフリップボンドする際には、活性層構造の側壁におけるハンダ等による短絡が発生しない利点がある。
<第二導電型半導体層および第二導電型クラッド層>
第二導電型クラッド層26は、前述の活性層構造25に対して、前述の第一導電型クラッド層24と共に、キャリアを効率よく注入し、かつ、活性層構造からのオーバーフローも抑制し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。また、あわせて活性層構造近傍への光の閉じ込めにも寄与し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。第二導電型半導体層は、上記のクラッド機能を有する層に加えて、コンタクト層のように装置の機能向上のため、または製造上の理由により、第二導電型にドープされた層を含むものである。広義には、第二導電型半導体層の全体を第二導電型クラッド層と考えてもよく、その場合にはコンタクト層等は、第二導電型クラッド層の一部と見ることもできる。
一般的に第二導電型クラッド層は、前述の活性層構造の平均的屈折率より小さな屈折率を有する材料で、かつ、前述の活性層構造の平均的なバンドギャップよりも大きな材料で構成されることが好ましい。さらに、第二導電型クラッド層は、活性層構造内の特にバリア層との関係において、いわゆるタイプI型のバンドラインナップとなる材料で構成されるのが一般的である。このような指針の元で、第二導電型クラッド層材料としては、所望の発光波長を実現するために準備される基板、バッファ層、活性層構造等に鑑みて、適宜選択することができる。例えば、基板としてC+面サファイアを使用し、バッファ層としてGaNを使用する場合には、第二導電型クラッド層としてGaN系材料、AlN系材料、AlGaN系材料、AlGaInN系材料、AlGaBInN系材料等を用いることができる。また、上記材料の積層構造であってもかまわない。また、第一導電型クラッド層と第二導電型クラッド層は同じ材料で構成することも可能である。
第二導電型クラッド層のキャリア濃度としては、下限としては1×1017cm−3以上が好ましく、4×1017cm−3以上がより好ましく、5×1017cm−3以上がさらに好ましく7×1017cm−3以上が最も好ましい。上限としては7×1018cm−3以下が好ましく、3×1018cm−3以下がより好ましく、2×1018cm−3以下が最も好ましい。また、ここでは、第二導電型がp型の場合ドーパントとしては、Mgが最も望ましい。
第二導電型クラッド層の構造は、図1Aの一例では単一の層で形成された例を示しているが、第二導電型クラッド層は、2層以上の層からなるものであってもよい。この場合には、たとえばGaN系材料とAlGaN系材料を使用することも可能である。また第二導電型クラッド層の全体を異種材料の積層構造からなる超格子構造とすることもできる。さらに、第二導電型クラッド層内において、前述のキャリア濃度を変化させることも可能である。
一般に、GaN系材料においてはn型ドーパントがSiであって、かつ、p型ドーパントがMgである場合には、p型GaN、p型AlGaN、p型AlInGaNの結晶性は、n型GaN、n型AlGaN、n型AlInGaNにはそれぞれ及ばない。このため、素子作製においては、結晶性の劣るp型クラッド層を活性層構造の結晶成長後に実施することが望ましく、この観点で、第一導電型がn型で、第二導電型がp型である場合が望ましい。
また、結晶性の劣るp型クラッド層(これは、望ましい形態をとった場合の第二導電型クラッド層に相当する)の厚みは、ある程度薄いほうが望ましい。これは、フリップチップボンディングを実施する本発明においては、基板側が主たる光の取り出し方向となるため、後述する第二導電型側電極側からの光の取り出しを考慮する必要がなく、大面積の厚膜電極を形成することが可能である。このため、フェイスアップマウントを実施する際のように、第二導電型クラッド層における横方向への電流拡散を期待する必要がなく、第二導電型クラッド層は、ある程度薄くすることが素子構造からも有利である。但し、極端に薄い場合には、キャリアの注入効率が低下してしまうため、最適値が存在する。第二導電型クラッド層の厚みは、適宜選択可能であるが、0.05μmから0.3μmが望ましく、0.1μmから0.2μmが最も望ましい。
第二導電型クラッド層の第二導電型側電極と接触している部分においては、そのキャリア濃度を意図的に高くして、当該電極との接触抵抗を低減することも可能である。
第二導電型クラッド層の露出した側壁は、後述する第二導電型側電極との接触を実現した第二電流注入領域を除いて、すべて絶縁層で覆われている構造であることが望ましい。
さらに、第二導電型クラッド層に加えて、第二導電型半導体層として、必要によりさらに異なる層が存在してもよい。例えば、電極と接する部分にキャリアの注入を容易にするためのコンタクト層が含まれていてもよい。また、各層を、組成または形成条件等の異なる複数の層に分けて構成してもよい。
尚、本発明の要旨に反しない限り、薄膜結晶層として、必要により上述のカテゴリに入らない層を形成してもよい。
<第二導電型側電極>
第二導電型側電極は、第二導電型の窒化物化合物半導体と良好なオーム性接触を実現し、かつ、フリップチップマウントをした際には、良好な発光波長帯域における反射ミラーとなり、また、フリップチップマウントした際に、ハンダ材などによる支持体などとの良好な接着を実現するものである。本目的のためには、適宜材料選択が可能であり、第二導電型側電極は単一の層であっても、複数の層からなる場合でもかまわない。一般には、電極に要請される複数の目的を達するために、複数の層構成をとるのが普通である。
また、第二導電型がp型で第二導電型クラッド層の第二導電型側電極側がGaNである場合には、第二導電型側電極を構成する材料として、Ni、Pt、Pd、Mo、Auのいずれか、またはそれらの2種以上の元素を含む材料が好ましい。この電極は、多層構造であってもよく、少なくとも1層は上記元素を含む材料で形成され、好ましくは各層が上記元素を含み構成成分(種類および/または比率)が異なる材料で構成される。電極構成材料は、好ましくは単体金属または合金である。
特に好ましい実施形態では、第二導電型側電極のp側クラッド層側の第一層目はNiであり、第二導電型側電極のp側クラッド層側と反対側の表面はAuである。これは、Niの仕事関数の絶対値が大きく、p型材料にとって都合がよく、また、Auは、後述するプロセスダメージに対する耐性、マウントの都合などを考えると最表面の材料として好ましい。
第二導電型側電極は、第二導電型のキャリアを注入可能であれば、薄膜結晶層のどの層と接してもよく、例えば第二導電型側コンタクト層が設けられるときは、それに接するように形成される。
<第一導電型側電極>
第一導電型側電極は第一導電型の窒化物化合物半導体と良好なオーム性接触を実現し、かつ、フリップチップマウントをした際には、良好な発光波長帯域における反射ミラーとなり、また、フリップチップマウントした際に、ハンダ材等による支持体などとの良好な接着を実現するものであって、本目的のためには、適宜材料選択が可能である。第一導電型側電極は単一の層であっても、複数の層からなる場合でもかまわない。一般には、電極に要請される複数の目的を達するために、複数の層構成をとるのが普通である。
第一導電型がn型であるとすると、n側電極は、Ti、Al、Moのいずれか、またはそれらの2種以上の元素を含む材料が好ましい。この電極は、多層構造であってもよく、少なくとも1層は上記元素を含む材料で形成され、好ましくは各層が上記元素を含み構成成分(種類および/または比率)が異なる材料で構成される。電極構成材料は、好ましくは単体金属または合金である。これらは、これらの金属の仕事関数の絶対値が小さいためである。また、n側電極の主たる光取り出し方向の反対側には、Alが露出するのが普通である。
本発明においては、第一導電型側電極は第一電流注入領域の大きさよりも大きな面積に形成され、かつ、第一導電型側電極と第二導電型側電極は、空間的に重なりを有さないことが望ましい。これは、発光素子をハンダなどでフリップチップマウントした際に、支持体などとの十分な密着性を確保するに十分な面積を確保しつつ、第二導電型側電極と第一導電型側電極との間のハンダ材等による意図しない短絡を防止するのに十分な間隔を確保するために重要である。
ここで、第一導電型側電極が絶縁層に接している部分の幅の中で、最も狭い部分の幅は15μm以上であることが望ましい。これはフォトリソグラフィー工程とリフトオフ法によって形成することが好ましい第一導電型側電極の形成プロセスにおけるマージンが必要であるからである。
第一導電型側電極は、第一導電型のキャリアを注入可能であれば、薄膜結晶層のどの層と接してもよく、例えば第一導電型側コンタクト層が設けられるときは、それに接するように形成される。
<絶縁層>
絶縁層30は、フリップチップマウントを実施した際に、マウント用のハンダ、導電性ペースト材等が「第二導電型側電極と第一導電型側電極の間」、「活性層構造などの薄膜結晶層の側壁」に回りこんで、意図しない短絡が発生しないようにするためのものである。構造および形状については前述したとおりである。
絶縁層は、電気的に絶縁が確保できる材料であれば、材料は適宜選択することができる。例えば、単層の酸化物、窒化物、フッ化物等が好ましく、具体的には、SiO、AlO、TiO、TaO、HfO、ZrO、SiN、AlN、AlF、BaF、CaF、SrF、MgF等から選ばれることが好ましい。これらは、長期に渡って安定に絶縁性を確保できる。
一方、絶縁層30を絶縁物の多層膜とすることも可能である。これは、誘電体多層膜となるので、絶縁層内の誘電体の屈折率を適宜調整することによって、発光素子内で発生した光に対して光学的に比較的高い反射率を有するいわゆる高反射コーティングの機能もあわせて発現させることが可能である。たとえば、素子の発光波長の中心値がλであった場合には、SiOとTiOをそれぞれ光学厚みでλ/4n(ここでnは波長λにおけるそれぞれの材料の屈折率)に積層することなどで高い反射特性を実現することが可能である。このようにすると、素子をフリップチップボンドした際には、主たる取り出し方向側への光の取り出し効率を上げることが可能となり素子の高出力化、高効率化の観点とハンダ材等による意図しない短絡等を防止することが両立できることとなり非常に望ましい。
具体的には、第一導電型クラッド層を含む第一導電型半導体層側から光均一化層へ垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が光均一化層で反射される反射率をR2で表し、絶縁層に第二導電型クラッド層を含む第二導電型半導体層側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が、絶縁層で反射される反射率をR12、絶縁層に第一導電型クラッド層を含む第一導電型半導体層側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が、絶縁層で反射される反射率をR11、絶縁層に量子井戸層を含む活性層構造側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が、絶縁層で反射される反射率をR1qでそれぞれ表したとき、
(式1) R2<R12
(式2) R2<R11
(式3) R2<R1q
の少なくとも1つの条件、特に式1〜3のすべての条件を満たすように、絶縁層が構成されることが好ましい。
これらは、誘電体多層膜で形成された絶縁層が光学的な反射ミラーとして効率よく機能するために望ましい範囲である。また、その材料の安定性、屈折率の範囲から考えて、誘電体膜中に、フッ化物が含まれることは望ましく、かつ、具体的にはAlF、BaF、CaF、SrF、MgFのいずれかが含まれることが望ましい。
<サブマウントおよび支持体>
完成した発光素子に基板が残る実施形態1および2と、完成した発光素子に基板が残らない実施形態3とで、サブマウントまたは支持体に要求される機能、形状に多少異なる点がある。
<実施形態1および2等の完成した発光素子に基板が残る実施形態に使用されるサブマウント>
本実施形態におけるサブマウント40は、金属層を有し、フリップチップマウントをした素子への電流注入と放熱の機能を併せ持つものである。サブマウントの母材は、金属、AlN、SiC、ダイヤモンド、BN、CuWのいずれかであることが望ましい。これら材料は、放熱性に優れ、高出力の発光素子に不可避である発熱の問題を効率よく抑制できて望ましい。またAl、Si、ガラス等も安価であってサブマウントの母材として利用範囲が広く好ましい。尚、支持体の母材を金属から選択する際には、その周りを耐エッチング性のある誘電体等で覆う事が望ましい。金属の母材としては、発光素子の発光波長における反射率の高い材料が望ましく、Al、Ag等が望ましい。また、誘電体等で覆う際には、各種CVD法で形成したSiNx、SiO等が望ましい。
発光素子は各種ハンダ材、ペースト材によってサブマウントの金属層に接合される。素子の高出力動作と高効率な発光のために放熱性を十分に確保するためには、特に金属ハンダによって接合されることが望ましい。金属ハンダとしては、In、InAg、PbSn、SnAg、AuSn、AuGeおよびAuSi等を挙げることができる。これらハンダは安定であって、使用温度環境等に照らして適宜選択可能である。
また、本態様の化合物半導体発光素子の複数個を1つのサブマウントに搭載することも可能であり、サブマウント上の金属配線を自在に変化させることで、1つのサブマウント上の各発光素子を並列接続にも、直列接続にも、またはこれらを混在させることも可能である。
<実施形態3等の完成した発光素子に基板が残らない実施形態に使用される支持体>
この実施形態で使用される支持体40bは、基板剥離の際の薄膜結晶層の支持体としての役割を果たせることが必須であるが、さらに、本支持体は、素子完成後の電流導入と放熱の機能をあわせ持つことも非常に望ましい。この観点で、支持体の母材は、金属、AlN、SiC、ダイヤモンド、BNおよびCuWからなる群より選ばれることが望ましい。これら材料は、放熱性に優れ、高出力の発光素子に不可避である発熱の問題を効率よく抑制できる点で好ましい。またAl、Si、ガラス等も安価であって支持体として利用範囲が広く好ましい。また、後述する基板除去時にレーザ照射によって薄膜結晶層の一部を金属Gaと窒素に分解した際には、金属Gaを除去する際にウェットエッチングを実施する事が望ましいが、この際も、支持体はエッチングされない材質であることが望ましい。さらに、基板そのものをウェットエッチングすることも可能であって、この際にも支持体はエッチングされない材質であることが望ましい。尚、支持体の母材を金属から選択する際には、その周りを耐エッチング性のある誘電体等で覆う事が望ましい。金属の母材としては、発光素子の発光波長における反射率の高い材料が望ましく、Al、Ag等が望ましい。また、誘電体等で覆う最には、各種CVD法で形成したSiNx、SiO等が望ましい。
支持体は、さらに素子完成後の電流導入と放熱の機能をあわせ持つとの観点では、母材の上に、電流導入用の電極配線を有することが望ましく、また、この電極配線上で装置を搭載する部分には、適宜装置と支持体の接合用の接着層を有することが望ましい。ここで、接着層は、Agを含んだペースト、金属バンプ等を使用することも可能ではあるが、金属ハンダで構成されていることが、放熱性の観点で非常に望ましい。金属ハンダはAgを含んだペースト材、金属バンプなどと比較して圧倒的に放熱性に優れたフリップチップマウントが実現可能である。ここで、金属ハンダとしては、In、InAg、InSn、SnAg、PbSn、AuSn、AuGeおよびAuSi等を挙げることができる。特に、AuSn、AuSi、AuGe等の高融点ハンダがより望ましい。これは、発光素子を超高出力動作させるために大電流を注入すると、素子近傍の温度が200℃程度に上昇するためであって、ハンダ材の融点として駆動時の素子温度よりも高い融点を有する金属ハンダがより好ましい。また、場合によっては、フリップチップマウント時の素子の段差を打ち消すために、バンプを用い、さらに、金属ハンダ材でその周りを埋めながら接合する事も望ましい。また、実施形態3では、前述のとおり、支持体を分割して素子分離を行う。
尚、支持体を分割しない実施形態も可能であり、例えば複数個の発光素子を1つの支持体に搭載することもできる。また、支持体上の金属配線を自在に変化させることで、1つの支持体上の各発光素子を並列接続にも、直列接続にも、またはこれらを混在させることも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。また、以下の実施例において参照している図面は、構造を把握しやすくするために敢えて寸法を変えている部分があるが、実際の寸法は以下の文中に記載されるとおりである。
(実施例1)
図16(図1Aに類似)に示す発光素子を以下の手順で作製した。関連する工程図として、図5〜10を参照する。
厚みが430μmのc+面サファイア基板21を用意し、この上に、まずMOCVD法を用いて、第1のバッファ層22aとして厚み10nmの低温成長したアンドープのGaN層を形成し、この後に厚み1μmの第2のバッファ層22bとして厚み0.5μmのアンドープGaNと厚み0.5μmのSiドープ(Si濃度7×1017cm−3)のGaN層を1040℃で積層した。連続して光均一化層23として厚み3.5μmのアンドープGaN層を1035℃で形成した。
さらに、第一導電型(n型)第二クラッド層24bとしてSiドープ(Si濃度1×1018cm−3)のGaN層を2μm厚に形成し、第一導電型(n型)コンタクト層24cとしてSiドープ(Si濃度3×1018cm−3)のGaN層を0.5μm厚に形成し、さらに第一導電型(n型)第一クラッド層24aとしてSiドープ(Si濃度1.5×1018cm−3)のAl0.15Ga0.85N層を0.1μmの厚さで形成した。さらに活性層構造25として、バリア層として850℃で13nmの厚さに成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として720℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.1Ga0.9N層とを、量子井戸層が全部で5層で両側がバリア層となるように交互に成膜した。さらに成長温度を1025℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層26aとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)Al0.15Ga0.85N層を0.1μmの厚さに形成した。さらに連続して、第二導電型(p型)第二クラッド層26bとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)GaN層を0.07μmの厚さに形成した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層26cとしてMgドープ(Mg濃度1×1020cm−3)GaN層を0.03μmの厚さに形成した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対してp側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてp側電極27をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでp側電極としてNi(20nm厚)/Au(500nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してp側電極を完成させた。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図5に対応する。尚、ここまでの工程では、p側電極直下のp側電流注入領域には、プラズマプロセス等のダメージが入るような工程はなかった。
次いで、第一エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクの形成を実施した。ここでは、p−CVD法を用いて0.4μm厚みのSiNを基板温度400℃で、ウエハー全面に成膜した。ここでp側電極表面にはAuが露出していたため、p−CVDによるSiN成膜プロセスによってもまったく変質しなかった。次に再度フォトリソグフィー工程を実施してSiNマスクをパターニングし、SiNエッチングマスクを作製した。この際には、SiN膜の不要部分のエッチングはRIE法を用いてSFプラズマを用いて実施し、後述する第一エッチング工程において薄膜結晶層のエッチングを行わない部分はマスクを残し、かつ予定されている薄膜結晶層のエッチング部分に相当する部分のSiN膜を除去した。
次いで第一エッチング工程として、p−GaNコンタクト層26c、p−GaN第二クラッド層26b、p−AlGaN第一クラッド層26a、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、n−AlGaN第一クラッド層24aを経てn−GaNコンタクト層24cの途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施し、n型キャリアの注入部分となるn型コンタクト層24cを露出させた。
ICPプラズマエッチング終了後は、SiNマスクをバッファフッ酸を用いてすべて除去した。ここにおいてもp側電極表面にはAuが露出していたため、p−CVDによるSiN成膜プロセスによっても、p側電極はまったく変質しなかった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6に対応する。
次いで、装置間分離溝13を形成する第二エッチング工程を実施するために、真空蒸着法を用いて、SrFマスクをウエハー全面に形成した。次いで、装置間分離溝を形成する領域のSrF膜を除去し、薄膜結晶層の装置間分離溝形成用マスク、すなわち、第二エッチング工程用SrFマスクを形成した。
次いで第二エッチング工程として、装置間分離溝に相当する部分の、p−GaNコンタクト層26c、p−GaN第二クラッド層26b、p−AlGaN第一クラッド層26a、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、n−AlGaN第一クラッド層24a、n−GaNコンタクト層24c、n−GaN第二クラッド層24b、アンドープGaN光均一化層23およびアンドープGaNバッファ層22の薄膜結晶層すべてを、Clガスを用いたICPエッチングした。この第二エッチング工程中には、SrFマスクはほとんどエッチングされなかった。装置間分離溝13の幅は、マスクの幅どおり、150μmで形成できた。
第二エッチング工程によって装置間分離溝13を形成後は、不要となったSrFマスクを除去した。ここにおいてもp側電極表面にはAuが露出していたため、まったく変質しなかった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図7に対応する。
次いで、p−CVD法によってSiNおよびSiOの誘電体多層膜を絶縁層としてウエハー全面に形成した。この際には、SiNとSiOはそれぞれ素子の発光波長に対して光学波長として1/4となるような厚みで1層ずつ形成し、発光波長に対して比較的高い反射率を有するようにした。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図8に対応する。
次いで、Ni−Auからなるp側電極27上のp側電極露出部分の形成、n側コンタクト層24c上のn側電流注入領域(36)の形成、装置間分離溝内のスクライブ領域14の形成を同時に実施するために、まず、フォトリソグラフィー技術を用いてレジストマスクを形成した。次いでフッ酸系のエッチャントでレジストマスクを形成しなかった誘電体多層膜(絶縁層)を除去した。ここでは、p側電極27の周辺はSiNとSiOからなる絶縁層に150μm覆われているようにした。また、スクライブ領域の幅が100μm(分離後の素子中のLWSが50μm)になるように形成した。
この後に、不要となったレジストマスクは、アセトンで除去し、かつ、RIE法による酸素プラズマでアッシングし除去した。この際にも、p側電極表面にはAuが露出していたため、p−CVDによるSiN成膜プロセスによってもまったく変質しなかった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図9に対応する。
次いで、n側電極28を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてn側電極をリフトオフ法でパターニングする準備のために、レジストパターンを形成した。ここでn側電極としてTi(20nm厚)/Al(300nm厚)を真空蒸着法でウエハー全面に形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してn側電極を完成させた。n側電極は、その面積がn側電流注入領域よりも大きくなるように、絶縁層にその周辺が30μmほど接するようにし、かつ、p側電極27との重なりを有さないように形成し、金属ハンダによるフリップチップボンディングが容易で、かつ放熱性等にも配慮した。尚、別の製作例では、10μmほど接するようにして作製し、この実施例と同等の性能の発光素子が得られた。Al電極は、プラズマプロセス等により変質しやすく、かつ、フッ酸等によってもエッチングされるが、素子作製プロセスの最後にn側電極の形成を行ったことから、まったくダメージを受けなかった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図10に対応する。
次いで、サファイア基板の裏面側に、MgFからなる低反射光学膜45を真空蒸着法によって形成した。この際には、MgFは素子の発光波長に対して低反射コーティングとなるように、光学膜厚の1/4を成膜した。
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、レーザスクライバーを用いて薄膜結晶成長側から装置間分離溝13内にスクライブラインを形成した。さらにこのスクライブラインにそってサファイア基板とMgF低反射光学膜のみをブレーキングし、1つ1つの化合物半導体発光素子を完成させた。この際に、薄膜結晶層へのダメージ導入はなく、また、誘電体膜の剥離等も発生しなかった。
次いで、この素子を金属ハンダ42を用いてサブマウント40の金属層41と接合し、図16に示す発光素子を完成させた。この際には、素子の意図しない短絡等は発生しなかった。
(実施例2)
図17(図2Aに類似)に示した発光素子を以下の手順で作製した。
誘電体多層膜を絶縁層としてウエハー全面に形成するところまで(図8に概ね対応する)は、実施例1を繰り返した。
次いで、Ni−Auからなるp側電極27上へのp側電極露出部分の形成、n側コンタクト層24c上へのn側電流注入領域36の形成、装置間分離溝内のアンドープバッファ層の側壁の基板21側に存在する絶縁層の除去を、同時に実施するために、フォトリソグラフィー技術を用いてレジストマスクを形成した。次いでフッ酸系のエッチャントでレジストマスクをで覆われていなかった誘電体多層膜(絶縁層)を除去した。さらに、フッ酸によるサイドエッチングの効果によって、アンドープバッファ層22の側壁の一部の誘電体多層膜(絶縁層)も除去した。ここでは、p側電極27の周辺はSiNとSiOからなる絶縁層に150μm覆われているようにした。
この後に、不要となったレジストマスクは、アセトンで除去し、かつ、RIE法による酸素プラズマでアッシングし除去した。この際にも、p側電極表面にはAuが露出していたため、p−CVDによるSiN成膜プロセスによってもまったく変質しなかった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図11に対応する。
次いで、n側電極28を実施例1同様に形成した。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図12に対応する。
次いで、サファイア基板の裏面側に、MgFからなる低反射光学膜45を真空蒸着法によって形成した。この際には、MgFは素子の発光波長に対して低反射コーティングとなるように、光学膜厚の1/4を成膜した。
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、レーザスクライバーを用いて薄膜結晶成長側から装置間分離溝13内にスクライブラインを形成した。さらにこのスクライブラインにそってサファイア基板とMgF低反射光学膜のみをブレーキングし、1つ1つの発光素子を完成させた。この際に、薄膜結晶層へのダメージ導入はなく、また、誘電体膜の剥離等も発生しなかった。
次いで、この素子を金属ハンダ42を用いてサブマウント40の金属層41と接合し、図17に示す発光素子を完成させた。この際には、素子の意図しない短絡等は発生しなかった。
(実施例3)
図18(図3Aに類似)に示した発光素子を以下の手順で作製した。厚みが430μmのc+面サファイア基板21を用意し、この上に、まずMOCVD法を用いて、第1のバッファ層22aとして20nm厚みの低温成長したアンドープのGaN層を形成し、この後に第2のバッファ層22bとして厚み1μmのアンドープGaN層を1040℃で形成した。
光均一化層23としてアンドープIn0.05Ga0.95N層が3nm厚とアンドープGaN層が12nm厚の各10層の積層構造をその中心に含むアンドープGaN層2μm厚を形成した。ここで、アンドープGaN層は850℃、アンドープIn0.05Ga0.95N層は730℃で成長した。
次いで、第一導電型(n型)第二クラッド層24bとしてSiドープ(Si濃度1×1018cm−3)のGaN層を2μm厚に形成し、第一導電型(n型)コンタクト層24cとしてSiドープ(Si濃度2×1018cm−3)のGaN層を0.5μm厚に形成し、さらに第一導電型(n型)第一クラッド層24aとしてSiドープ(Si濃度1.5×1018cm−3)のAl0.15Ga0.85N層を0.1μmの厚さで形成した。
さらに活性層構造25として、バリア層として850℃で13nm厚に成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として715℃で2nmに成膜したアンドープIn0.13Ga0.87N層を、量子井戸層が全部で3層で両側がバリア層となるように交互に成膜した。
さらに成長温度を1025℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層26aとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)Al0.15Ga0.85N層を0.1μmの厚さに形成した。さらに連続して、第二導電型(p型)第二クラッド層26bとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)GaN層を0.05μmの厚さに形成した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層26cとしてMgドープ(Mg濃度1×1020cm−3)GaN層を0.02μmの厚さに形成した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対してp側電極27を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてp側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでp側電極としてPd(20nm厚)/Au(1000nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してp側電極27を完成させた。尚、ここまでの工程では、p側電極直下のp側電流注入領域には、プラズマプロセス等のダメージが入るような工程はなかった。
次いで、装置間分離溝を形成する第二エッチング工程を実施するために、真空蒸着法を用いて、SrFマスクをウエハー全面に形成した。次いで、装置間分離溝の形成領域にあるSrF膜を除去し、薄膜結晶層の分離エッチングマスク、すなわち、第二エッチング工程を実施するためのエッチングマスクを形成した。
次いで、第二エッチング工程として、装置間分離溝に相当する部分の、p−GaNコンタクト層26c、p−GaN第二クラッド層26b、p−AlGaN第一クラッド層26a、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、n−AlGaN第一クラッド層24a、n−GaNコンタクト層24c、n−GaN第二クラッド層24b、アンドープInGaN/GaN光均一化層23およびアンドープGaNバッファ層22までの薄膜結晶層すべてを、Clガスを用いてICPエッチングした。第二エッチング工程中には、SrFマスクはほとんどエッチングされなかった。
第二エッチング工程により装置間分離溝を形成した後、不要となったSrFマスクを除去した。ここにおいてもp側電極表面にはAuが露出していたためまったく変質しなかった。
次いで、第一導電型側電極を形成する前準備として第一導電型コンタクト層を露出させる第一エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクの形成を実施した。ここでは、p−CVD法を用いて0.4μm厚みのSiNを基板温度400℃で、ウエハー全面に成膜した。ここでp側電極表面にはAuが露出していたため、p−CVDによるSiN成膜プロセスによってもまったく変質しなかった。次に再度フォトリソグフィー工程を実施してSiN層をパターニングし、SiNエッチングマスクを作製した。この際には、SiN膜の不要部分のエッチングはRIE法を用いてSFプラズマを用いて実施し、後述する第一エッチング工程において薄膜結晶層のエッチングを行わない部分は残し、かつ予定されている薄膜結晶層のエッチング部分に相当する部分のSiN膜は除去した。
次いで第一エッチング工程として、p−GaNコンタクト層26c、p−GaN第二クラッド層26b、p−AlGaN第一クラッド層26a、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、n−AlGaN第一クラッド層24aを経てn−GaNコンタクト層24cの途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施し、n型キャリアの注入部分となるn型コンタクト層を露出させた。
ICPプラズマエッチング終了後は、SiNマスクをSFガスを用いたRIE法によりすべて除去した。ここにおいてもp側電極表面にはAuが露出していたため、このプロセスによってもp側電極はまったく変質しなかった。
次いで、p−CVD法によって絶縁層30としてSiNを125nm厚だけウエハー全面に形成した。
次いで、Pd−Auからなるp側電極27上へのp側電極露出部分の形成、n側コンタクト層24c上へのn側電流注入領域36の形成、装置間分離溝内のアンドープバッファ層の側壁の基板側部分に存在する絶縁層の除去を、同時に実施するために、フォトリソグラフィー技術を用いてレジストマスクを形成した。次いでフッ酸系のエッチャントでレジストマスクに覆われていなかった絶縁層を除去した。さらに、フッ酸によるサイドエッチングの効果によって、アンドープバッファ層の側壁の基板側部分の絶縁層も除去した。ここでは、p側電極27の周辺はSiN絶縁層に150μm覆われているようにした。また、n側電流注入領域を除いて薄膜結晶層の側壁なども絶縁層に覆われているようにした。
この後に、不要となったレジストマスクは、アセトンで除去し、かつ、RIE法による酸素プラズマでアッシングし除去した。この際にも、p側電極表面にはAuが露出していたため、まったく変質しなかった。
次いで、n側電極28を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてn側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでn側電極としてTi(20nm厚)/Al(1500nm厚)を真空蒸着法でウエハー全面に形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してn側電極を完成させた。n側電極は、その面積がn側電流注入領域よりも大きく、かつ、p側電極との重なりを有さないように形成し、金属ハンダによるフリップチップボンディングが容易で、かつ放熱性等にも配慮した。Al電極は、プラズマプロセス等により変質しやすく、かつ、フッ酸等によってもエッチングされるが、素子作製プロセスの最後にn側電極の形成を行ったことから、まったくダメージを受けなかった。
次いで、基板剥離を実施する前準備として、支持体40bとして、表面にTi/Pt/Auの積層構造の金属配線(金属層41)が形成されたAlN基板を用意した。この支持体に、発光素子が作りこまれたウエハー(基板21の薄膜結晶成長層、電極、絶縁層等)全体を、AuSnハンダを用いて接合した。接合時には、支持体40bと発光素子が形成されたウエハーを300℃に加熱してp側電極とn側電極が、それぞれ設計された支持体上の金属配線にAuSnハンダで融着されるようにした。この際に、素子の意図しない短絡等は発生しなかった。
次に、基板剥離を実施するために、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を、薄膜結晶成長を実施していない基板21面から照射し、基板を剥離した(レーザディボンディング)。この後に、GaNバッファ層の一部が窒素と金属Gaに分解されることで発生したGa金属をウェットエッチングによって除去した。
最後に、1つ1つの発光素子を分割するために、ダイシングソーを用いて、支持体内の素子分離領域部分をカットした。ここで、支持体内素子分離領域には、金属配線等が存在しなかったことから意図しない配線の剥離等は発生しなかった。このようにして、図18に示す化合物半導体発光素子を完成させた。
(実施例4〜6)
実施例1〜3において、光均一化層23を成膜した後の薄膜結晶層の成膜を次のように行った以外は実施例1〜3を繰り返した。即ち、光均一化層23を形成した後、さらに、第一導電型(n型)第二クラッド層24bとしてSiドープ(Si濃度5×1018cm−3)のGaN層を4μm厚に形成し、第一導電型(n型)コンタクト層24cとしてSiドープ(Si濃度8×1018cm−3)のGaN層を0.5μm厚に形成し、さらに第一導電型(n型)第一クラッド層24aとしてSiドープ(Si濃度5.0×1018cm−3)のAl0.10Ga0.90N層を0.1μmの厚さで形成した。さらに活性層構造25として、バリア層として850℃で13nmの厚さに成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として720℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.1Ga0.9N層とを、量子井戸層が全部で8層で両側がバリア層となるように交互に成膜した。さらに成長温度を1025℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層26aとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)Al0.10Ga0.90Nを0.1μmの厚さに形成した。さらに連続して、第二導電型(p型)第二クラッド層26bとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)GaNを0.07μmの厚さに形成した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層26cとしてMgドープ(Mg濃度1×1020cm−3)GaNを0.03μmの厚さに形成した。その後は、実施例1〜3と同様にして、発光素子を完成させた。この際には、素子の意図しない短絡等は発生しなかった。
尚、実施例1、2、4、5のプロセスでは、第一エッチング工程後にSiNマスクを除去したが、SiNマスクを除去せずに、第二エッチング工程後に除去してもよい。
さらに、第二エッチング工程でのエッチングを、光均一化層またはバッファ層の途中で止めることで、素子端部の光均一化層またはバッファ層に段差のある発光素子を製作することができる(但し、絶縁層は多層誘電体膜)。また、その際に、予定した形状に適したフォトリソグラフィによって、適切なエッチングマスク形状を準備し、かつ、絶縁層のサイドエッチングを進めることで装置分離溝底面から絶縁層を除去した形状も、あるいは、予定した形状に適したフォトリソグラフィによって、適切なエッチングマスク形状を準備し、かつ、絶縁層のサイドエッチングを進めないことで、溝底面の一部に絶縁層を残しながスクライブ領域を形成することことも可能である。
(実施例7)
図1Cに示した発光素子を以下の手順で作製した。厚みが330μmのc+面GaN基板21(Si濃度1×1017cm−3)を用意し、この上に、まずMOCVD法を用いて、バッファ層として厚み1μmのアンドープGaN層を1040℃で形成した。ついで光均一化層23としてアンドープIn0.05Ga0.95Nが3nmとアンドープGaNが12nmの各20層の積層構造をその中心に含むアンドープGaN4μmを形成した。ここで、アンドープIn0.05Ga0.95N層は730℃で、これに隣接するアンドープGaN層は850℃、その他のGaN層は1035℃で成長した。
次いで、第一導電型(n型)第二クラッド層24bとしてSiドープ(Si濃度5×1018cm−3)のGaN層を5μm厚に形成し、第一導電型(n型)コンタクト層24cとしてSiドープ(Si濃度8×1018cm−3)のGaN層を0.5μm厚に形成し、さらに第一導電型(n型)第一クラッド層22aとしてSiドープ(Si濃度5×1018cm−3)のAl0.15Ga0.85N層を0.05μmの厚さで形成した。
さらに活性層構造25として、バリア層として850℃で13nm厚に成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として715℃で2nmに成膜したアンドープIn0.13Ga0.87N層を、量子井戸層が全部で7層で両側がバリア層となるように交互に成膜した。
さらに成長温度を1025℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層26aとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)Al0.15Ga0.85N層を0.05μmの厚さに形成した。さらに連続して、第二導電型(p型)第二クラッド層26bとしてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)GaN層を0.05μmの厚さに形成した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層26cとしてMgドープ(Mg濃度1×1020cm−3)GaN層を0.02μmの厚さに形成した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対してp側電極27を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてp側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでp側電極としてPd(20nm厚)/Au(1000nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してp側電極27を完成させた。尚、ここまでの工程では、p側電極直下のp側電流注入領域には、プラズマプロセス等のダメージが入るような工程はなかった。
次いで、装置間分離溝を形成する第二エッチング工程を実施するために、真空蒸着法を用いて、SrFマスクをウエハー全面に形成した。次いで、装置間分離溝の形成領域にあるSrF膜を除去し、薄膜結晶層の分離エッチングマスク、すなわち、第二エッチング工程を実施するためのエッチングマスクを形成した。
次いで、第二エッチング工程として、装置間分離溝に相当する部分の、p−GaNコンタクト層26c、p−GaN第二クラッド層26b、p−AlGaN第一クラッド層26a、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、n−AlGaN第一クラッド層24a、n−GaNコンタクト層24c、n−GaN第二クラッド層24bをすべてと、アンドープGaNバッファ層22の途中までを、Clガスを用いてICPエッチングした。第二エッチング工程中には、SrFマスクはほとんどエッチングされなかった。
第二エッチング工程により装置間分離溝を形成した後、不要となったSrFマスクを除去した。ここにおいてもp側電極表面にはAuが露出していたためまったく変質しなかった。
次いで、第一導電型側電極を形成する前準備として第一導電型コンタクト層を露出させる第一エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクの形成を実施した。ここでは、p−CVD法を用いて0.4μm厚みのSiNを基板温度400℃で、ウエハー全面に成膜した。ここでp側電極表面にはAuが露出していたため、p−CVDによるSiN成膜プロセスによってもまったく変質しなかった。次に再度フォトリソグフィー工程を実施してSiN層をパターニングし、SiNエッチングマスクを作製した。この際には、SiN膜の不要部分のエッチングはRIE法を用いてSFプラズマを用いて実施し、後述する第一エッチング工程において薄膜結晶層のエッチングを行わない部分は残し、かつ予定されている薄膜結晶層のエッチング部分に相当する部分のSiN膜は除去した。
次いで第一エッチング工程として、p−GaNコンタクト層26c、p−GaN第二クラッド層26b、p−AlGaN第一クラッド層26a、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、n−AlGaN第一クラッド層24aを経てn−GaNコンタクト層24cの途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施し、n型キャリアの注入部分となるn型コンタクト層を露出させた。
ICPプラズマエッチング終了後は、SiNマスクをSFガスを用いたRIE法によりすべて除去した。ここにおいてもp側電極表面にはAuが露出していたため、このプロセスによってもまったく変質しなかった。
次いで、p−CVD法によって絶縁層30としてSiNを125nm厚だけウエハー全面に形成した。次いで、Pd−Auからなるp側電極27の上のp側電極露出部分の形成、n側コンタクト層上のn側電流注入領域の形成、さらに装置間分離溝のスクライブ領域14とを同時に形成するために、まず、フォトリソグラフィー技術を用いてレジストマスクを形成し、次いでSFガスのRIEプラズマを用いてレジストマスクで覆われていない部分の絶縁層を除去した。ここでは、p側電極の周辺はSiN絶縁層に覆われているようにした。また、n側電流注入領域を除いて薄膜結晶層の側壁なども絶縁層に覆われているようにした。
この後に、不要となったレジストマスクは、アセトンで除去し、かつ、RIE法による酸素プラズマでアッシングし除去した。この際にも、p側電極表面にはAuが露出していたため、まったく変質しなかった。
次いで、n側電極28を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてn側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでn側電極としてTi(20nm厚)/Al(1500nm厚)を真空蒸着法でウエハー全面に形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してn側電極を完成させた。n側電極は、その面積がn側電流注入領域よりも大きく、かつ、p側電極との重なりを有さないように形成し、金属ハンダによるフリップチップボンディングが容易で、かつ放熱性等にも配慮した。Al電極は、プラズマプロセス等により変質しやすく、かつ、フッ酸等によってもエッチングされるが、素子作製プロセスの最後にn側電極の形成を行ったことから、まったくダメージを受けなかった。
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、レーザスクライバーを用いて薄膜結晶成長側から装置間分離溝13内にスクライブラインを形成した。さらにこのスクライブラインにそってアンドープバッファ層とGaN基板のみをブレーキングし、1つ1つの化合物半導体発光素子を完成させた。この際に、薄膜結晶層へのダメージ導入はなく、また、誘電体膜の剥離等も発生しなかった。
次いで、この素子を金属ハンダ42を用いてサブマウント40の金属層41と接合し、発光素子を完成させた。この際には、素子の意図しない短絡等は発生しなかった。
実施形態1で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 実施形態2で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 実施形態3で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 その他の実施形態で製造される発光素子の例を示す図である。 製造方法の工程順を示すフローチャートである。 製造方法の1例を説明する工程断面図である。 製造方法の1例を説明する工程断面図である。 製造方法の1例を説明する工程断面図である。 製造方法の1例を説明する工程断面図である。 実施形態1の製造方法の1例を説明する工程断面図である。 実施形態1の製造方法の1例を説明する工程断面図である。 実施形態2の製造方法の1例を説明する工程断面図である。 実施形態2の製造方法の1例を説明する工程断面図である。 実施形態3の製造方法の1例を説明する工程断面図である。 実施形態3の製造方法の1例を説明する工程断面図である。 活性層構造を模式的に示す図である。 実施例1で製造した発光素子を示す図である。 実施例2で製造した発光素子を示す図である。 実施例3で製造した発光素子を示す図である。 従来の発光素子を示す図である。 従来の発光素子を示す図である。 本発明の発光素子の製造方法の1実施形態を説明する工程断面図である。
符号の説明
10 発光素子
13 装置間分離溝
14 スクライブ領域
15 絶縁層非形成部分
21 基板
22 バッファ層
22a 第1のバッファ層
22b 第2のバッファ層
23 光均一化層
24 第一導電型クラッド層
24a 第一導電型第一クラッド層
24b 第一導電型第二クラッド層
24c 第一導電型(n型)コンタクト層
25 活性層構造
26 第二導電型クラッド層
26a 第二導電型第一クラッド層
26b 第二導電型第二クラッド層
26c 第二導電型(p型)コンタクト層
27 第二導電型側電極
28 第一導電型側電極
30 絶縁層
35 第二電流注入領域
36 第一電流注入領域
37 第二導電型側電極露出部分
40 サブマウント
40b 支持体
41 金属層
42 金属ハンダ
45 低反射光学膜
47 分離領域(支持体)
50a、50b 光取り出し面
51 第一エッチングマスク(SiN等)
52 第二エッチングマスク(金属フッ化物マスク)
55 端部段差面

Claims (36)

  1. (a)基板上に、バッファ層および光均一化層をこの順に成膜する工程(a)と、
    (b)少なくとも、第一導電型クラッド層を含む第一導電型半導体層、活性層構造、および第二導電型クラッド層を含む第二導電型半導体層を有する薄膜結晶層を前記基板側からこの順に成膜する工程(b)と、
    (c)前記第二導電型半導体層の表面に第二導電型側電極を形成する工程(c)と、
    (d)前記第二導電型側電極が形成されていない箇所の一部をエッチングして、前記第一導電型半導体層の一部を露出させる第一エッチング工程(d)と、
    (e)隣接する発光素子を分離する装置間分離溝を形成するために、前記第二導電型側電極が形成されていない箇所の一部を、表面から、(i)前記光均一化層の少なくとも一部を除去するまで、(ii)前記バッファ層の少なくとも一部を除去するまで、または(iii)少なくとも前記基板に達するまでの深さでエッチングを行って前記装置間分離溝を形成する第二エッチング工程(e)と、
    (f)前記第二導電型側電極、前記第一エッチング工程によって露出した第一導電型半導体層および前記装置間分離溝内を含む全面に絶縁層を形成する工程(f)と、
    (g)前記装置間分離溝内の少なくとも溝底面の溝中央を含む領域の絶縁層を除去する工程(g)と、
    (h)前記第一導電型半導体層面上に形成された絶縁層の一部を除去し、第一電流注入領域となる開口を形成する工程(h)と、
    (i)前記第二導電型側電極の表面に形成された絶縁層の一部を除去し、前記第二導電型側電極の一部を露出させる工程(i)と、
    (j)前記工程(h)で開口された第一電流注入領域に接して第一導電型側電極を形成する工程(j)と
    を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
  2. 前記工程(g)において、前記装置間分離溝の側壁に形成された前記絶縁層を残したまま、前記溝底面上の溝中央を含む領域の絶縁層のみを除去することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記工程(g)において、前記装置間分離溝内の前記溝底面に形成された絶縁層のすべてと、前記装置間分離溝内の側壁の少なくとも前記溝底面側の部分に形成された絶縁層を除去することを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記絶縁層が除去されて露出する面を構成する層は、アンドープ型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記工程(j)の後に、
    前記装置間分離溝で、前記基板を素子分離する工程と、
    前記第一導電型側電極および第二導電型側電極を、サブマウント上の金属層に接合する工程と
    をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記工程(j)の後に、
    前記第一導電型側電極および第二導電型側電極を、支持体上の金属層に接合して支持体に搭載する工程と、
    前記基板を除去する工程と、
    前記支持体を分割して素子分離する工程と
    をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 前記バッファ層および光均一化層が、前記薄膜結晶層の一部として、前記第一導電型半導体層の形成に先立って行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 発光波長における前記基板の平均屈折率をnsb、前記光均一化層の平均屈折率をnoc、前記第一導電型半導体層の平均屈折率をnで表したとき、
    sb<noc および n<noc
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記発光素子の発光波長をλ(nm)、発光波長における前記基板の平均屈折率をnsb、前記光均一化層の平均屈折率をnoc、前記光均一化層の物理的厚みをtoc(nm)とし、前記光均一化層と前記基板の比屈折率差Δ(oc−sb)
    Δ(oc−sb)≡((noc)−(nsb))/(2×(noc)
    と定義したときに、
    (√(2×Δ(oc−sb))×noc×π×toc)/λ ≧ π/2
    を満たすようにtocが選択されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記発光素子の発光波長をλ(nm)、前記光均一化層の発光波長における平均屈折率をnoc、第一導電型半導体層の発光波長における平均屈折率をn、前記光均一化層の物理的厚みをtoc(nm)とし、光均一化層と第一導電型半導体層の比屈折率差Δ(oc−1)
    Δ(oc−1)≡((noc)−(n))/(2×(noc)
    と定義したとき、
    (√(2×Δ(oc−1))×noc×π×toc)/λ ≧ π/2
    を満たすようにtocを選択することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記光均一化層全体の比抵抗ρoc(Ω・cm)が、
    0.5 ≦ρoc
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子。
  12. 前記光均一化層を複数の層として積層することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記工程(j)において、前記第一導電型側電極が絶縁層に接している部分の幅の中で、最も狭い部分の幅L1wが5μm以上となるように前記第一導電型側電極を形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記工程(i)において、前記第二導電型側電極が前記絶縁層で覆われている部分の幅の中で、最も狭い部分の幅L2wが15μm以上となるように前記第二導電型側電極の一部を露出させることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記L2wが30μm以上であることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 前記第一導電型側電極が、Ti、Al、Ag、Moおよびそれらの2種以上の組み合わせからなる群より選ばれる元素を含む材料からなる層を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記第二導電型側電極が、Ni、Pt、Pd、Mo、Auおよびそれらの2種以上の組み合わせからなる群より選ばれる元素を含む材料からなる層を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記絶縁層が、SiO、AlO、TiO、TaO、HfO、ZrO、SiN、AlN、AlF、BaF、CaF、SrFおよびMgFからなる群より選ばれる材料の単層であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記絶縁層が複数の層からなる誘電体多層膜であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 前記絶縁層を構成する層の少なくとも1つが、フッ化物を含む材料からなることを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 前記フッ化物が、AlF、BaF、CaF、SrFおよびMgFからなる群より選ばれることを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. 前記第一導電型半導体層側から前記光均一化層へ垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記光均一化層で反射される反射率をR2で表し、前記絶縁層に前記第二導電型半導体層側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記絶縁層で反射される反射率をR12、前記絶縁層に第一導電型半導体層側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記絶縁層で反射される反射率をR11、前記絶縁層に前記活性層構造側から垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が前記絶縁層で反射される反射率をR1qでそれぞれ表したとき、
    (式1) R2<R12
    (式2) R2<R11
    (式3) R2<R1q
    のすべての条件を満たすように、前記絶縁層が構成されていることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記薄膜結晶層を、サファイア、SiC、GaN、LiGaO、ZnO、ScAlMgO、NdGaOおよびMgOからなる群より選ばれる基板上に成膜して形成することを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 前記化合物半導体薄膜結晶層は、V族として窒素原子を含むIII−V族化合物半導体からなり、前記第一導電型クラッド層、前記活性層構造および第二導電型クラッド層中に、In、GaおよびAlからなる群より選ばれる元素が含まれることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  25. 前記活性層構造が、量子井戸層とバリア層からなり、バリア層の数をB、量子井戸層の数をWで表したとき、BとWが、
    B=W+1
    を満たすことを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 第一導電型がn型であり、第二導電型がp型であることを特徴とする請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 前記第一導電型側電極および前記第二導電型側電極を、ハンダによって金属層を有するサブマウントに接合することを特徴とする請求項5記載の方法。
  28. 前記第一導電型側電極および前記第二導電型側電極を、ハンダによって前記金属層を有する支持体に接合することを特徴とする請求項6記載の方法。
  29. 前記第一導電型側電極および前記第二導電型側電極と、前記サブマウントまたは支持体の金属層との接合を、金属ハンダのみ、または金属ハンダと金属バンプによって行うことを特徴とする請求項27または28記載の方法。
  30. 前記サブマウントまたは支持体の母材が、金属、AlN、Al、Si、ガラス、SiC、ダイヤモンド、BNおよびCuWからなる群より選ばれることを特徴とする請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 前記サブマウントまたは支持体の発光素子間の分離部分に、金属層が形成されていないことを特徴とする請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 前記基板の光取り出し側の表面が平坦でないことを特徴とする請求項5記載の方法。
  33. 前記バッファ層の光取り出し側の表面が平坦でないことを特徴とする請求項6記載の方法。
  34. 前記バッファ層から基板側に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が基板で反射される反射率をR3、前記基板から光取り出し側の空間に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が空間との界面で反射される反射率をR4で表したとき、
    R4<R3
    を満たすように前記基板の光取り出し側に低反射光学膜が設けられることを特徴とする請求項5記載の方法。
  35. 前記光均一化層からバッファ層側に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光がバッファ層で反射される反射率をR3、前記バッファ層から光取り出し側の空間に垂直入射する当該発光素子の発光波長の光が空間との界面で反射される反射率をR4で表したとき、
    R4<R3
    を満たすように前記バッファ層の光取り出し側に低反射光学膜が設けられることを特徴とする請求項6記載の方法。
  36. 前記基板がGaNであり、前記バッファ層のすべてを900℃以上の温度にてGaNで形成することを特徴とする請求項1〜35のいずれかに記載の方法。
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