JP2007326938A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、剛性および耐擦傷性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】粘度平均分子量が10000〜40000、構造粘度指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部と反可塑剤0.01〜40重量部とから成る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、および、当該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成る樹脂成形体。好ましい態様においては、脂成形体は40℃以上かつ芳香族ポリカ−ボネート樹脂組成物のガラス転移温度未満の温度条件にてアニール処理される。
【選択図】 なし
【解決手段】粘度平均分子量が10000〜40000、構造粘度指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部と反可塑剤0.01〜40重量部とから成る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、および、当該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成る樹脂成形体。好ましい態様においては、脂成形体は40℃以上かつ芳香族ポリカ−ボネート樹脂組成物のガラス転移温度未満の温度条件にてアニール処理される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および樹脂成形体に関し、詳しくは、透明性、高剛性、特に耐擦傷性に優れ、電気・電子機器のハウジング、カバー、キーボード、ボタン、スイッチの製造用に好適な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および樹脂成形体に関する。
従来より、芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性などにも優れることから、電気・電子機器のハウジング類、自動車用部品類、または、光ディスク関連の部品などの精密成形品類の製造用原料樹脂として広く使用されている。特に、電子機器のハウジングやカメラボディ、トイレタリィ製品などにおいては、その美麗な外観を活かし、商品価値の高い商品が得られる。
芳香族ポリカーボネート樹脂単独の成形品類は、金属製やガラス製などの製品類に比べると表面硬度が低いため、耐擦傷性に劣り、布で拭いたり、手荒に扱った場合は、表面に傷が付き易い。例えば携帯電話のボタン等の人の爪が直接触れる様な部品においては特に問題がある。
これに対し、芳香族ポリカーボネート樹脂を使用した製品の表面に、表面硬度の高い塗膜を形成する方法が提案され、膜材料としては、例えば、シリコン系樹脂やアクリル系樹脂のコーティング剤が知られているが、これらは、コーティング膜の密着性に問題があり、複雑な形状の製品にはコーティングが難しく、価格も高価であり、工業的な使用には制限がある。また、製品表面を塗装する方法も知られているが、この方法は、コーティングと同様に、製品形状によっては均一な塗膜を得ることが難しく、有機溶剤を使用するために、ポリカーボネート樹脂の溶剤劣化を招き易く、しかも、塗装膜厚が厚くないと、表面硬度の改良効果が低い。
また、ポリカーボネート樹脂に硬度の高い無機化合物を配合する方法も知られているがこの方法は、表面硬度の改良効果が僅かであり、しかも、無機化合物を添加した場合は、添加物の屈折率と芳香族ポリカーボネート樹脂の屈折率が異なるため、芳香族ポリカーボネート樹脂の大きな特徴である透明性が損なわれるという欠点がある。
一方、透明性および剛性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を得るため、芳香族ポリカーボネート樹脂に、ビフェニル化合物、ターフェニル化合物、ポリカプロラクトンの群から選ばれる少なくとも1種を添加する方法が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。しかし、この方法は、本発明者らの検討の結果によれば、高い耐擦傷性の要求を満足することが出来ず、上述の工業製品に利用するには未だ不十分である。
また、透明性および摺動性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得るため、芳香族ポリカーボネート樹脂に、ポリカプロラクトンと共に、芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が比較的小さいガラスフレークを添加する方法が知られている(例えば特許文献4参照)。しかし、この方法は、意匠面の重視から要求される高い透明性を満足することが出来ない。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、透明性、剛性および耐擦傷性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および樹脂成形体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、構造粘度指数Nが一定以上である芳香族ポリカーボネート樹脂、すなわち、一定以上の分岐度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂に反可塑剤を含有させるならば、透明性、剛性、耐擦傷性が改良されるとの知見を得た。また、この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成る樹脂成形体にアニール処理を施すことにより、耐擦傷性が更に向上するとの知見を得た。
すなわち、本発明の第1の要旨は、粘度平均分子量が10000〜40000、構造粘度指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部と反可塑剤0.01〜40重量部とから成ることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に存する。
本発明の第2の要旨は、上記の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする樹脂成形体に存する。
そして、本発明の好ましい態様においては、上記の樹脂成形体を40℃以上かつ芳香族ポリカ−ボネート樹脂組成物のガラス転移温度未満の温度条件にてアニール処理する。
本発明によれば、透明性、剛性および耐擦傷性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および樹脂成形体が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書では、各種化合物が有する「基」は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していてもよい。
本発明で使用する芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカ−ボネ−ト前駆体とを反応させて得られる。この際、少量のポリヒドロキシ化合物などを併用することが出来る。製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カ−ボネ−ト化合物の開環重合法、プレポリマ−の固相エステル交換法などが挙げられる。
上記の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノ−ルA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名テトラブロモビスフェノ−ルA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノ−ル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等のジヒドロキシジアリ−ルエ−テル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリ−ルスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリ−ルスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリ−ルスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
上記の中では、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、耐衝撃性の点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノ−ルAが特に好ましい。上記の芳香族ジヒドロキシ化合物は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカ−ボネ−ト前駆体としては、カルボニルハライド、カ−ボネ−トエステル、ハロホルメ−ト等が挙げられ、具体的には、ホスゲン;ジフェニルカ−ボネ−ト、ジトリルカ−ボネ−ト等のジアリ−ルカ−ボネ−ト類;ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト等のジアルキルカ−ボネ−ト類;二価フェノ−ルのジハロホルメ−ト等が挙げられる。これらのカ−ボネ−ト前駆体も2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、分岐構造を付与するために使用する三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ−ル)オキシインド−ル(別名イサチンビスフェノ−ル)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。これらの中では、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することが出来、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。
次に、界面重合法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。この製造方法における重合反応は、反応に不活性な有機溶媒中、アルカリ水溶液の存在下、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)及び芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を使用し、ホスゲンと反応させた後、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などの重合触媒を添加して界面重合を行うことによりポリカ−ボネ−トを得る。分子量調節剤の添加は、ホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は、例えば0〜40℃、反応時間は、例えば数分ないし数時間である。
反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液の調製に使用されるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物が挙げられる。具体的には、m−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ル、p−長鎖アルキル置換フェノ−ル等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対し、通常50〜0.5モル、好ましくは30〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類:トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
次に、溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。この製造方法における重合反応は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、ジ−tert−ブチルカ−ボネ−ト等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカ−ボネ−ト、ジトリルカ−ボネ−ト等の置換ジフェニルカ−ボネ−ト等が挙げられる。これらの中では、ジフェニルカ−ボネ−ト又は置換ジフェニルカ−ボネ−トが好ましく、特にジフェニルカ−ボネ−トが好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂においては、その末端水酸基量が製品ポリカーボネートの熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼす。従って、従来公知の任意の方法により、末端水酸基量を適宜に調整してもよい。溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、所望の分子量および末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネートを得ることが出来る。
炭酸ジエステルの使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、通常は等モル量以上であるが、好ましくは1.01〜1.30モルである。そして、末端水酸基量の一層積極的な調整方法としては、反応時に、別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
通常、溶融エステル交換法においてはエステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒の種類は、特に制限されないが、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。
エステル交換反応においては、100〜320℃で、圧力を調節して最終的には2mmHg以下の減圧とし、芳香族ヒドロキシ化合物などの副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行う。反応方式は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことが出来るが、連続式が好ましい。
溶融エステル交換法に使用する触媒失活剤としては、エステル交換反応触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体が挙げられる。触媒失活剤の使用量は、触媒が含有するアルカリ金属に対し、通常0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量であり、ポリカーボネートに対し、通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmの範囲である。
本発明に使用する芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]として、通常10,000〜40,000、好ましくは16,000〜40,000、更に好ましくは20,000〜40,000、特に好ましくは25,000〜40,000、一層好ましくは25,000〜30,000である。粘度平均分子量が10000以上であることにより機械的強度の要求が高い用途に好適となり、粘度平均分子量が40000以下であることにより成形加工が容易となる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
上記の粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計により、温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式(η=1.23×10−4M0.83)から算出される値を意味する。ここで極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、以下の式により算出した値である。
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂であり、これはポリカーボネート樹脂が分岐鎖を有することを意味する。
ポリカーボネート類の溶融特性は、数式:Q=K・PN(式中Qは溶融樹脂の流動量(mL/sec)、Kは定数、Pは圧力(kg/cm2)、Nは構造粘性指数)により表示することが可能である。上記の数式において、N=1のときはニュートン流動性を示し、Nの値が大きくなるほど非ニュートン流動性が大きくなる。つまり、Nの大小により溶融体の流動特性が評価される。そして、従来、上記Nの値を適切に大きくし好適な構造粘性を実現するための手段として、ポリカーボネート分子中に適正量の分岐構造を導入することが試みられ、実施されてきた。構造粘度指数(N)が1.36以上であり、粘度平均分子量が前記の範囲にある芳香族ポリカーボネート樹脂は例えばWO00/63275号公報によって提案されている。
また、例えば、特開2004−2831号公報には、溶融法(エステル交換法)による芳香族ポリカーボネート樹脂に関し、分岐構造を含めた詳細な記載があり、同公報の記載に従って、触媒の条件や製造条件を選択することにより、本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることが出来る。
溶融法(エステル交換法)によって得られた芳香族ポリカーボネート樹脂に含まれる分岐構造には、例えば、以下の一般式(1)〜(4)の構造が挙げられる。
一般式(1)〜(4)中、Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、または、−O−,−S−,−CO−,−SO−,−SO2−で示される2価の基からなる群から選ばれる連結基である。
また、構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂は、常法に従って、ホスゲン法または溶融法(エステル交換法)で製造する際に、分岐剤を使用する方法によって製造することも出来る。
分岐剤の具体例としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物の他、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(別名イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等が挙げられる。分岐剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜3モル%である。
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、更に好ましくは600ppm以下である。また、その下限は、特にエステル交換法で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂では、通常10ppm、好ましくは30ppm、更に好ましくは40ppmである。
末端水酸基濃度を10ppm以上とすることにより、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また、末端基水酸基濃度を1000ppm以下にすることにより、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にある。
なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
また、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500〜9,500、好ましくは2,000〜9,000である。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、通常30重量%以下である。
更に、本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、所謂マテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂を含有していてもよい。
使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防などの車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板などの建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生された芳香族ポリカーボネート樹脂の使用割合は、新規な芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
本発明で使用する反可塑剤とは、一般的に樹脂の添加剤として知られている「可塑剤」とは異なり、樹脂に配合することにより、高温状態(溶融状態)では通常の可塑的な働き、すなわち分子鎖間の潤滑効果を発揮させ、低温状態ではフィラーの様な働きするものの総称であり、具体的には、「JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCE VOL.11,PP.211−226(1967)」、「同PP.227−244」、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,MID−NOVEMBER1994,Vol.34,NO.21,PP1613−1618」に記されているものである。
本発明で使用する反可塑剤は、上記の様な働きをするものであれば、特に制限されず、具体的には、例えば、一般式(5)〜(11)で表わされる化合物が挙げられる。
式(5)中、R11〜R13は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、nは0〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR12、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。
式(5)で表わされる化合物のnは0〜5の間で選ばれる。ここで、nが0の場合、当該化合物はビフェニル化合物に相当し、nが1の場合、当該化合物はターフェニル化合物に相当する。また、nが1以上の場合、ベンゼン環同士の結合は、オルト、メタ、パラの何れであってもよい。更に、nを5以下とすることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が不足するのを防ぐことが出来る。各フェニル基は、置換基R11〜R13を、それぞれ独立に有していてもよい。置換基R11〜R13としては、好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基(例えばメトキシ基)が挙げられる。置換基R11〜R13に相当するものが、複数ある場合、これらは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、置換基を有していてもよい。更に、nが2以上の場合、n個のR12、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。すなわち、各単位は、同じものが連結していてもよいし、異なったものが連結していてもよい。更に、ベンゼン環同士の結合は、オルト、パラ、メタの何れであってもよい。また、式(5)で表わされる化合物の添加量は、芳香族ポリカーボネートに対し、通常0.01〜40重量部、好ましくは2.0〜10.0重量部である。
式(6)中、R21〜R23は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、mおよびnは、それぞれ独立に、1〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR22、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。nおよび/またはmが2以上の場合、それぞれのメチレン基とフェニレン基は、順不同である。
式(6)で表わされる化合物において、mおよびnは1〜5の間で選ばれる。nおよびmを5以下とすることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が不足するのを防止することが出来る。各フェニル基は、置換基R21〜R23を、それぞれ独立に有していてもよい。置換基R21〜R23としては、好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基(例えばメトキシ基)が挙げられる。置換基R21〜R23に相当するものが、複数ある場合、これらは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、置換基を有していてもよい。nが2以上の場合、n個のR22、q2およびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。すなわち、各単位は、同じものが連結していてもよいし、異なったものが連結していてもよい。更に、ベンゼン環同士の結合は、オルト、パラ、メタの何れであってもよい。また、nおよび/またはmが2以上の場合、それぞれの繰り返し単位は順不同である。すなわち、nで括られる単位とmで括られる単位は、順不同に連結していてもよい。例えば、両単位が交互に連結する形態や、nで括られる単位の同士の間に、mで括られる単位が存在する形態であってもよい。更に、これらの連結は、オルト、パラ、メタの何れと結合していてもよい。式(6)で表わされる化合物の添加量は、芳香族ポリカーボネートに対し、通常0.01〜40重量部、好ましくは2.0〜10.0重量部である。
更に、反可塑剤として、例えば工業的に入手可能なビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を採用することが出来る。
ビフェニル化合物は2つのベンゼン環が結合した化合物であり、塩素原子などの置換基を有していてもよく、好ましくは、以下の一般式(7)で表される化合物である。ターフェニル化合物は3つのベンゼン環が結合した化合物であり、塩素原子などの置換基を有していてもよく、好ましくは以下の一般式(8)で表されるオルトターフェニル化合物、以下の一般式(9)で表されるメタターフェニル化合物、以下の一般式(10)で表されるパラターフェニル化合物などが挙げられる。
式(7)中、R31およびR32は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびqは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示す。
式(8)中、R41〜R43は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびqは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、rは、0〜4の整数を示す。
式(9)中、R51〜R53は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。
式(10)中、R61〜R63は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。
なお、式(7)〜(10)において、R31〜R63の置換基としては、それぞれ独立に、例えば、塩素原子を採用することが出来る。また、無置換であってもよい。
前記の中では、ジフェニル化合物およびターフェニル化合物は、パラベンジルビフェニル、オルトターフェニル、メタターフェニルが工業的に入手し易く、しかも、ハロゲンを実質的に含んでいないため環境問題がないので好ましい。特に、メタターフェニルは、特異的な効果を発揮するので更に好ましい。
式(11)で表せられるポリカプロラクトンとしては、ε−カプロラクトンのポリマーを使用することが出来る。ポリカプロラクトンのメチレン鎖の水素原子の一部はハロゲン原子などで置換されていてもよいが、式(11)で示されるポリカプロラクトンを使用することが好ましい。式(11)のポリカプロラクトンの末端は、エステル化などにより末端処理してあってもよい。本発明で使用されるポリカプロラクトンの平均分子量は、通常5,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000、更に好ましくは5,000〜30,000、特に好ましくは16000〜40000、顕著に好ましくは18000〜30000である。
なお、上述のポリカプロラクトンは、本発明の効果を損なわない範囲で、原料成分の異なる2種以上の重合体および/または共重合体の混合物であってもよい。例えば、耐熱性を更に高める目的で、ポリブチレンテレフタラート構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させることが出来る。
前記の一般式(5)〜(11)で表わされる化合物は、2種類以上を併用してもよい。更に、他の可塑剤と併用してもよい。
反可塑剤の添加量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(複数種の使用の場合は全体量として)、通常0.01〜40重量部、好ましくは2.0〜20.0重量部、更に好ましくは2.0〜10重量部である。反可塑剤成分が0.01重量部未満の場合は、剛性、耐擦傷性が十分ではなく、40重量部を超える場合は、機械物性が低下し、成形加工時に発生するガスの量が多くなり、成形性が悪くなる。
本発明の芳香族ポリカーポネート樹脂組成物は、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲において、他の樹脂や各種樹脂添加剤を含有していてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
また、各種樹脂添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な添加剤の一例について具体的に説明する。
熱安定剤としては、リン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウム等の酸性ピロリン酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。これらの中では、以下の一般式(12)で表される有機ホスフェート化合物および/または以下の一般式(13)で表される有機ホスファイト化合物が好ましい。
式(12)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは0〜2の整数である。
式(13)中、R’はアルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(12)中、Rは、炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基であり、好ましくは、炭素原子数2〜25のアルキル基である。また、mは、1又は2である。また、式(13)中、R’は、炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基である。
式(13)で表される亜リン酸エステル具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
前記のリン系化合物の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と反可塑剤の合計100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.7重量部、更に好ましくは0.03〜0.5重量部である。
酸化防止剤としては、ヒンダ−ドフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
上記の中では、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
酸化防止剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と反可塑剤の合計100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。酸化防止剤の含有量が0.001重量部未満の場合は抗酸化剤としての効果が不十分であり、1重量部を超える場合は効果が頭打ちとなり経済的ではない。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和または不飽和の脂肪族1価、2価または3価カルボン酸が挙げられる。ここで、脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中では、炭素数6〜36の1価または2価の脂肪族カルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸が更に好ましい。斯かる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、飽和または不飽和の1価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
上記のアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸および/またはアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であればよい。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と反可塑剤の合計100重量部に対し、通常0.001〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。離型剤の含有量が0.001重量部未満の場合は離型性の効果が十分でない場合があり、2重量部を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などの問題がある。
紫外線吸収剤の具体例としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕[メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
上記の中では、好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕である。
紫外線吸収剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と反可塑剤の合計100重量部に対し、通常0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。紫外線吸収剤の含有量が0.01重量部未満の場合は耐候性の改良効果が不十分の場合があり、3重量部を超える場合はモールドデボジット等の問題が生じる場合がある。
染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロ−等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。
有機顔料および有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
染顔料の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と反可塑剤の合計100重量部に対し、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下、更に好ましくは2重量部以下である。染顔料の含有量が5重量部を超える場合は耐衝撃性が十分でない場合がある。
難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレン等のハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等の有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤などが挙げられるが、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェ−ト、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェ−ト)等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェ−ト)が好ましい。
難燃剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と反可塑剤の合計100重量部に対し、通常1〜30重量部、好ましくは3〜25重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。難燃剤の含有量が1重量部未満の場合は難燃性が十分でない場合があり、30重量部を超える場合は耐熱性が低下する場合がある。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、混合機を使用して前記の各成分を混合した後、溶融混練することによって製造することが出来る。混合機としては、バンバリ−ミキサ−、ロ−ル、ブラベンダ−等が使用され、溶融混練には、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニ−ダ−等が使用される。また、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみ予め混合してフィーダ−で押出機に供給して溶融混練する方法も採用できる。特に、反可塑剤成分を他の成分を混合せずにフィーダーで押出機に供給して溶融混練する方法は、ガスの発生による作業環境の悪化を低減できるので押出作業性の点で好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から樹脂成形体を製造する方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法を採用することも出来る。例えば、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサ−ト成形、IMC(インモールドコ−ティング成形)成形法、押出成形法、シ−ト成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナ−方式を使用した成形法も採用できる。
また、本発明においては、廃棄物低減などの環境負荷低減やコスト低減の観点から、樹脂組成物から樹脂成形体を製造する際に、製品の不適合品、スプルー、ランナー、使用済みの製品などのリサイクル原料をバージン材料と混合してリサイクル化(所謂マテリアルリサイクル化)することが出来る。この際、リサイクル原料を粉砕して使用するならば、成形品を製造する際の不具合を少なく出来るので好ましい。リサイクル原料の含有比率は、リサイクル原料とバージン原料の合計量に対し、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
本発明の好ましい態様においては、樹脂成形体は40℃以上かつ芳香族ポリカ−ボネート樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満の温度条件にてアニール処理される。アニール処理温度は、上記のTg未満であって、好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。アニール処理温度が40℃未満の場合は、表面硬度の改良効果が見込めず、また、Tg以上の場合は、樹脂が溶融するため本質的ではない。処理時間は、通常5minないし200hr、好ましくは1〜100hr、更に好ましくは2〜48hrである。処理時間が5min未満の場合は、アニール処理による表面硬度の改良効果が見込めず、また、200hrを超える場合は芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械物性が低下する。アニール処理の方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂について採用される熱風乾燥機の他、遠赤外線による処理方法も採用することが出来る。アニール処理中、樹脂成形体は静置しておいても、ラインで流してもよく、途中で処理温度を変化させてもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、透明性、高剛性、耐優れているという特長がある。この様な特長を有する本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、幅広い分野に使用することが可能であり、電気・電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などの各種用途に有用であり、特に電気・電子機器やOA機器、情報端末機器、家電製品のハウジング、カバー、キーボード、ボタン、スイッチ部材、車輌内装部品への適用が期待できる。
電気・電子機器やOA機器、情報端末機器のハウジング、カバー、キーボード、ボタン、スイッチ部材としては、パソコン、ゲーム機、テレビ等のディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ、携帯オーディオプレーヤー等のハウジング、カバー、キーボード、ボタン、スイッチ部材が挙げられる。
車輌外装・外板部品としては、へッドランプ、ヘルメットシールド等が挙げられる。車輌内装部品としては、インナードアハンドル、センターパネル、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、ラゲッジフロアボード、カーナビゲーション等のディスプレイハウジング等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において使用した原材料は以下の表1に示す通りである。また、採用した評価方法は以下の(1)〜(7)の通りである。
(1)分子量:
ウベローデ粘度計を使用し、メチレンクロライドを溶液とする溶液の、温度20℃における極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式(η=1.23×10−4M0.83)から算出した。
ウベローデ粘度計を使用し、メチレンクロライドを溶液とする溶液の、温度20℃における極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式(η=1.23×10−4M0.83)から算出した。
(2)構造粘度指数N:
高化式フローテスター(島津製作所社製)シリンダー;ノズル径1mmノズル長10mm)に芳香族ポリカーボネート樹脂のペレットを仕込み、温度280℃に一定にし、加えた圧力P(100〜200kg/cm2)と、それに対する溶融樹脂の留出量Q(mL/sec)を測定し、それぞれの値を両対数グラフにプロットして得られる回帰直線の勾配から求めた。
高化式フローテスター(島津製作所社製)シリンダー;ノズル径1mmノズル長10mm)に芳香族ポリカーボネート樹脂のペレットを仕込み、温度280℃に一定にし、加えた圧力P(100〜200kg/cm2)と、それに対する溶融樹脂の留出量Q(mL/sec)を測定し、それぞれの値を両対数グラフにプロットして得られる回帰直線の勾配から求めた。
(3)ヘイズ測定:
JIS K−7105に準拠し、3mm厚の平板を試験片とし、ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH−2000型」)で測定した。
JIS K−7105に準拠し、3mm厚の平板を試験片とし、ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH−2000型」)で測定した。
(4)曲げ弾性率:
ASTM D−638に準拠して測定した。
ASTM D−638に準拠して測定した。
(5)ビッカース表面硬度:
3mm厚の平板を試験片とし、微小硬さ試験機(Akashi社製「HM−124」)を使用し、試験力:9.807N、時間:10secの条件にて測定した。ビッカース表面硬さは、対面角θが136°の正四角錐のダイヤモンド圧子で試料に試験力Fを加え、生じたくぼみの対角線長さの平均値dから求まるくぼみの表面積Sで試験力を割った値、F/Sで求められ、以下の式(1)にて単位HVで与えられる。
3mm厚の平板を試験片とし、微小硬さ試験機(Akashi社製「HM−124」)を使用し、試験力:9.807N、時間:10secの条件にて測定した。ビッカース表面硬さは、対面角θが136°の正四角錐のダイヤモンド圧子で試料に試験力Fを加え、生じたくぼみの対角線長さの平均値dから求まるくぼみの表面積Sで試験力を割った値、F/Sで求められ、以下の式(1)にて単位HVで与えられる。
式(1)において、HV:ビッカース硬さ、k:定数(k=1/gn=1/9.806650≒0.102)、F:試験力(N)、S:くぼみの表面積(mm2)、d:くぼみの2方向の対角線長さの平均(mm)、θ:ダイヤモンド圧子の対面角(136°)、gn:標準重力加速度、をそれぞれ意味する。
実施例1〜3:
芳香族ポリカーボネート樹脂(1)94.97重量部、反可塑剤5重量部、熱安定剤0.03重量部をそれぞれ秤量し、タンブラーによって20分間混合した後、40mmφ単軸押出機(いすず社製単「SV−40EXT」)によって、シリンダー温度290℃で溶融・混練し、押出機のダイスから吐出されるストランドを冷却し、ペレット化した。得られたペレットを原料とし、射出成形機によって、シリンダー温度を290℃とし、厚さ3.0mmの各種試験片(全光線透過率測定用プレート、表面硬度測定用プレート、規格に従った曲げ弾性率測定用試験片)を成形し、評価した。
芳香族ポリカーボネート樹脂(1)94.97重量部、反可塑剤5重量部、熱安定剤0.03重量部をそれぞれ秤量し、タンブラーによって20分間混合した後、40mmφ単軸押出機(いすず社製単「SV−40EXT」)によって、シリンダー温度290℃で溶融・混練し、押出機のダイスから吐出されるストランドを冷却し、ペレット化した。得られたペレットを原料とし、射出成形機によって、シリンダー温度を290℃とし、厚さ3.0mmの各種試験片(全光線透過率測定用プレート、表面硬度測定用プレート、規格に従った曲げ弾性率測定用試験片)を成形し、評価した。
実施例4及び5:
成形によって得られた表面硬度測定用プレート、曲げ弾性率測定用試験片にアニール処理を施した以外は、実施例1〜3と同様の方法で行った。アニール処理は、熱風オーブンの中で、100℃、24hrの条件で行った。
成形によって得られた表面硬度測定用プレート、曲げ弾性率測定用試験片にアニール処理を施した以外は、実施例1〜3と同様の方法で行った。アニール処理は、熱風オーブンの中で、100℃、24hrの条件で行った。
比較例1:
反可塑剤を添加しなかった以外は、実施例1〜3と同様の方法で行った。
反可塑剤を添加しなかった以外は、実施例1〜3と同様の方法で行った。
比較例2〜3:
芳香族ポリカーボネートとして、芳香族ポリカーボネート(2)を使用した以外は、実施例1〜3と同様の方法で行った。
芳香族ポリカーボネートとして、芳香族ポリカーボネート(2)を使用した以外は、実施例1〜3と同様の方法で行った。
表2より、次のことが明らである。
(1)実施例1〜3で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、比較例1と比較し、高い弾性率を有しており、アニール処理を施した実施例4及び5においては更に弾性率が向上している。
(2)比較例2と3を比較した場合、反可塑剤の添加によって比較例3では表面硬度の向上が認められ、実施例1〜3と比較例1を比較した場合においても、反可塑剤を添加した実施例1〜3では表面硬度の向上が認められるが、構造粘度指数Nが1.2以上の特定の分岐度を有する芳香族ポリカーボネートを使用した、実施例1〜3の方の効果が大きいことが分かる。
(3)実施例4及び5は、実施例2及び3で示される樹脂成形体に対しアニール処理を施したものであるが、何れの場合においても表面硬度が飛躍的に向上していることが分かる。
Claims (7)
- 粘度平均分子量が10000〜40000、構造粘度指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部と反可塑剤0.01〜40重量部とから成ることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 芳香族ポリカーボネート樹脂が、エステル交換により芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重合して得られたものである請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 反可塑剤が、ビフェニル化合物、ターフェニル化合物およびポリカプロラクトンから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする樹脂成形体。
- 厚さ3mmの板状成形体におけるヘイズが10%未満である請求項4に記載の樹脂成形体。
- 40℃以上かつ芳香族ポリカ−ボネート樹脂組成物のガラス転移温度未満の温度条件にてアニール処理して成ることを特徴とする請求項4又は5に記載の樹脂成形体。
- 電気・電子機器用の、キーボード部品、ボタン部品またはスイッチ部品である請求項4〜6の何れかに記載の樹脂成形体。
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