JP2007321933A - 遊星ローラ装置 - Google Patents

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祥宏 水野
Kisaburo Hayakawa
喜三郎 早川
Masanobu Kimura
正信 木村
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Abstract

【課題】ローラ同士の接触部に作用させる法線力をローラのトルクに応じて変化させることができる遊星ローラ装置において動力伝達効率を向上させる。
【解決手段】キャリア34は、ケーシング20に固定されていることでその回転が拘束されており、キャリア24は、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26を介してケーシング20に連結されている。サンローラ21とリングローラ22との間でトルク伝達が行われ、キャリア24にトルクが作用すると、キャリア24がケーシング20に対して相対回転することでキャリア24,34に位相差が発生する。これによって、リングローラ22が各ピニオンローラ23をサンローラ21側へ押圧する力、つまり接触部27,28に作用する法線力が増大する。
【選択図】図1

Description

本発明は、サンローラとリングローラとの間にピニオンローラが挟持された遊星ローラ装置に関する。
遊星ローラ機構は、回転するローラ同士の油膜を介した接触部に押圧力(法線方向の力)を作用させることで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によって動力伝達を行うトラクションドライブ機構である。こうしたトラクションドライブ機構では、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないように、動力伝達に必要な押圧力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。例えば下記特許文献1には、リングローラの断面をU字形状にすることで、リングローラの弾性変形を利用して一定の押圧力を発生させる遊星ローラ機構が開示されている。
しかし、動力伝達を効率よく行うためには必要な法線力は、ローラに作用するトルクに応じて変化する。特許文献1では、ローラに作用するトルクが変化しても接触部に作用する法線力は一定であるため、動力伝達を効率よく行うことが困難である。
そこで、接触部に作用させる法線力をローラのトルクに応じて変化させることができる遊星ローラ機構も提案されている。例えば下記非特許文献1には、たる形状のピニオンローラ(遊星ローラ)と接触する2分割のサンローラをトルクカムによってピニオンローラ側へ押圧する遊星ローラ機構が開示されている。
その他にも、下記特許文献2によるウェッジローラ型の遊星ローラ機構が開示されている。
特開昭58−8857号公報 特開昭52−114851号公報 中村健也他、「ガスタービン・エンジン駆動補助動力源用トラクション・ドライブ減速機の開発」、トヨタ技術、昭和54年9月、第29巻、第2号、p.184−192
非特許文献1においては、トルクカムを利用して接触部に作用させる法線力をローラのトルクに応じて変化させている。しかし、2分割のサンローラをトルクカムによってピニオンローラ側へ押圧するために、サンローラの外周面をテーパ形状にする等、サンローラの外径を不同にする必要がある。そのため、サンローラとピニオンローラとの接触面内で速度分布が生じ、その結果、動力伝達効率の低下を招くことになる。
本発明は、ローラ同士の接触部に作用させる法線力をトルクに応じて変化させることができる遊星ローラ装置において、動力伝達効率を向上させることを目的とする。
本発明に係る遊星ローラ装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る遊星ローラ装置は、リングローラが共通化された第1遊星ローラ機構及び第2遊星ローラ機構を備え、第1遊星ローラ機構は、前記リングローラの内側に配置された第1サンローラと、第1サンローラと前記リングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1キャリアと、を含み、第2遊星ローラ機構は、前記リングローラの内側に配置された第2サンローラと、第2サンローラと前記リングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2キャリアと、を含み、第1キャリアと第2キャリアの位相差を第1キャリアに作用するトルクに応じて変化させるための位相差可変手段が設けられていることを要旨とする。
本発明の一態様では、第2キャリアの回転が拘束部材により拘束されており、前記位相差可変手段として、第1キャリアを拘束部材に連結するための弾性部材であって、前記リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられており、第1サンローラと前記リングローラとの間で動力伝達を行うことが可能であることが好適である。
本発明の一態様では、第1サンローラと第2サンローラとが連結されており、第2キャリアの回転が拘束部材により拘束されており、前記位相差可変手段として、第1キャリアを拘束部材に連結するための弾性部材であって、前記リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられており、第1及び第2サンローラに連結された回転軸と前記リングローラとの間で動力伝達を行うことが可能であることが好適である。
本発明の一態様では、前記位相差可変手段として、第1キャリアと第2キャリアとを連結するための弾性部材であって、前記リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられていることが好適である。
本発明の一態様では、前記リングローラの回転が拘束されており、第1サンローラと第1及び第2キャリアに連結された回転軸との間で動力伝達を行うことが可能であることが好適である。
本発明の一態様では、第1サンローラと第2サンローラとが連結されており、第1ピニオンローラと第2ピニオンローラとで、前記リングローラによる押圧力が異なることが好適である。
本発明の一態様では、第1サンローラ及び第1ピニオンローラが前記リングローラの内側に嵌め込まれた状態での締め代が、第2サンローラ及び第2ピニオンローラが前記リングローラの内側に嵌め込まれた状態での締め代と異なることが好適である。
本発明の一態様では、第1サンローラと第2サンローラとが連結されており、第1サンローラと第1ピニオンローラの接触面積が第2サンローラと第2ピニオンローラの接触面積と異なる条件と、前記リングローラと第1ピニオンローラの接触面積が前記リングローラと第2ピニオンローラの接触面積と異なる条件と、のいずれか1つ以上が成立することが好適である。
本発明の一態様では、前記リングローラの回転が拘束されており、第1及び第2サンローラに連結された回転軸と第1及び第2キャリアに連結された回転軸との間で動力伝達を行うことが可能であることが好適である。
本発明の一態様では、第1サンローラ及び第2サンローラは、前記リングローラの中心軸方向において対向配置されており、第1ピニオンローラ及び第2ピニオンローラは、前記リングローラの中心軸方向において対向配置されていることが好適である。
また、本発明に係る遊星ローラ装置は、リングローラと、リングローラの内側に配置されたサンローラと、サンローラとリングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1キャリアと、サンローラとリングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2キャリアと、を備え、第1キャリアと第2キャリアの位相差を第1キャリアに作用するトルクに応じて変化させるための位相差可変手段が設けられていることを要旨とする。
本発明の一態様では、第2キャリアの回転が拘束部材により拘束されており、前記位相差可変手段として、第1キャリアを拘束部材に連結するための弾性部材であって、リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられており、サンローラとリングローラとの間で動力伝達を行うことが可能であることが好適である。
本発明の一態様では、第1ピニオンローラと第2ピニオンローラとで、リングローラによる押圧力が異なり、前記位相差可変手段として、第1キャリアと第2キャリアとを連結するための弾性部材であって、リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられていることが好適である。
本発明の一態様では、第1ピニオンローラ及び第2ピニオンローラが、リングローラの周方向に沿って間隔を空けて並べられていることが好適である。
本発明によれば、第1キャリアと第2キャリアの位相差を第1キャリアに作用するトルクに応じて変化させることで、遊星ローラ装置に伝達されるトルクに応じた適切な法線力をローラ同士の接触部に作用させることができる。その結果、動力伝達効率を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1,2は、本発明の実施形態1に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図であり、図1は概念図であり、図2はリングローラ22の一部を切断して示した斜視図である。本実施形態に係る遊星ローラ装置は、リングローラ22が共通化(一体化)された複数の遊星ローラ機構12,13を備える。
遊星ローラ機構12は、リングローラ22の径方向内側に配置されたサンローラ21と、サンローラ21とリングローラ22との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数(図2では3つ)のピニオンローラ(遊星ローラ)23と、各ピニオンローラ23を回転自在に支持するキャリア24と、を有する。同様に、遊星ローラ機構13は、リングローラ22の径方向内側に配置されたサンローラ31と、サンローラ31とリングローラ22との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数(図2ではピニオンローラ23と同数の3つ)のピニオンローラ(遊星ローラ)33と、各ピニオンローラ33を回転自在に支持するキャリア34と、を有する。サンローラ31は、リングローラ22の中心軸方向(中心軸と平行方向)においてサンローラ21と間隔を空けて対向配置されており、サンローラ31の中心軸は、サンローラ21の中心軸と一致している。複数のピニオンローラ23は、リングローラ22の周方向に沿って間隔を空けて(等間隔で)並べられており、複数のピニオンローラ33も、リングローラ22の周方向に沿って間隔を空けて(等間隔で)並べられている。なお、図1,2は、遊星ローラ機構12,13がともにシングルピニオン遊星ローラ機構である例を示している。また、図2では、キャリア24,34の図示を省略している。
キャリア34は、ケーシング(拘束部材)20に固定されていることで、その回転が拘束(固定)されている。一方、キャリア24は、ばね要素(弾性部材)26を介してケーシング20に連結されていることで、その回転が拘束(制限)されている。ここでのばね要素26は、リングローラ22の周方向に関して弾性を有する。
遊星ローラ機構12,13は、回転するローラ同士の油膜を介した接触部に押圧力(法線方向の力)を作用させることで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によって動力伝達を行うトラクションドライブ機構である。こうしたトラクションドライブ機構では、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないように、動力伝達に必要な押圧力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。本実施形態では、サンローラ21と各ピニオンローラ23との接触部(接触面)27、及び各ピニオンローラ23とリングローラ22との接触部(接触面)28に押圧力(法線力)を作用させるために、焼き嵌めや締まり嵌め等によってサンローラ21及び各ピニオンローラ23がリングローラ22の内側に嵌め込まれていることで、遊星ローラ機構12に締め代が生じている。この締め代によってリングローラ22が弾性変形することで弾性力が生じ、リングローラ22は、この弾性力(復元力)によって各ピニオンローラ23をサンローラ21側へ押圧することで、接触部27,28に法線力を作用させることができる。これによって、接触部27,28にトラクション力を発生させることができ、ローラ間でトルク伝達を行うことができる。なお、遊星ローラ機構がシングルピニオン遊星ローラ機構である場合は、遊星ローラ機構に生じる締め代は、
(サンローラの外径)+2×(ピニオンローラの外径)−(リングローラの内径)
で表すことができる。
同様に、焼き嵌めや締まり嵌め等によってサンローラ31及び各ピニオンローラ33がリングローラ22の内側に嵌め込まれていることで、遊星ローラ機構13に締め代が生じている。リングローラ22は、この締め代に伴い生じる弾性力(復元力)によって各ピニオンローラ33をサンローラ31側へ押圧することで、サンローラ31と各ピニオンローラ33との接触部(接触面)37、及び各ピニオンローラ33とリングローラ22との接触部(接触面)38に法線力を作用させることができる。なお、図2は、サンローラ21,31の外径、ピニオンローラ23,33の外径、及びリングローラ22の内径がいずれもリングローラ22の中心軸方向に関して一定である例を示している。つまり、リングローラ22の中心軸に対する接触部27,28,37,38の距離が、いずれもリングローラ22の中心軸方向に関して一定である。
本実施形態では、遊星ローラ装置(遊星ローラ機構12)を変速機構として用いることができる。図1,2に示す構成例では、キャリア24の回転が拘束されているため、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。例えば、サンローラ21に連結された原動機(エンジンやモータ等)からリングローラ22に連結された負荷へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、サンローラ21からリングローラ22へ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。一方、リングローラ22に連結された原動機からサンローラ21に連結された負荷へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、リングローラ22からサンローラ21へ動力を増速して伝達する増速機構として機能する。なお、サンローラ21とリングローラ22との間でトルク伝達が行われるときは、遊星ローラ機構12における伝達トルクの反力を回転が拘束されたキャリア24で受けるため、キャリア24にもトルクが作用し、この伝達トルクの増大に対してキャリア24に作用するトルクも増大する。
サンローラ21とリングローラ22との間でトルク伝達が行われていない状態、つまりキャリア24にトルクが作用していない状態では、図2,3に示すように、ピニオンローラ33の各々は、リングローラ22の中心軸方向においてピニオンローラ23の各々と間隔を空けて対向配置されており、ピニオンローラ33の各々の回転中心軸(自転の中心軸)33aは、ピニオンローラ23の各々の回転中心軸(自転の中心軸)23aとそれぞれ一致している。つまり、キャリア24の周方向位置(位相)がキャリア34の周方向位置(位相)と等しく、キャリア24,34の位相差が0°である。なお、キャリア34の位相については、ケーシング20に固定された状態を0°とし、キャリア24の位相については、キャリア24にトルクが作用していない状態を0°とする。
一方、サンローラ21とリングローラ22との間でトルク伝達が行われ、キャリア24にトルクが作用すると、キャリア24がケーシング20に対して相対回転することで、図4に示すように、ピニオンローラ23の回転中心軸23aがピニオンローラ33の回転中心軸33aに対してずれる。つまり、キャリア24,34に位相差が発生する。これによって、キャリア24,34の位相差が0°である場合と比較して、リングローラ22が径方向外側へ押し広げられることでリングローラ22の弾性変形量が増大し、リングローラ22が各ピニオンローラ23をサンローラ21側へ押圧する力(リングローラ22の弾性力)も増大する。つまり、接触部27,28に作用する法線力も増大する。
キャリア24がケーシング20に対して相対回転する際には、ばね要素26の弾性変形により生じる弾性力(リングローラ22の周方向成分)がキャリア24に作用するトルクと釣り合う位置(位相)でキャリア24の回転が拘束される。そのため、キャリア24の位相は、キャリア24に作用するトルクに応じて変化し、キャリア24,34の位相差は、キャリア24に作用するトルクに応じて変化する(キャリア24に作用するトルクの増大に対して増大する)。そして、キャリア24,34の位相差の増大(変化)に対して、リングローラ22の弾性変形量が増大(変化)し、リングローラ22が各ピニオンローラ23をサンローラ21側へ押圧する力、つまり接触部27,28に作用する法線力も増大する。したがって、本実施形態では、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクに応じて接触部27,28に作用させる法線力を変化させることができ、この伝達トルクの増大に対して接触部27,28に作用させる法線力を増大させることができる。
なお、サンローラ21とリングローラ22との間で動力伝達が行われる際には、ピニオンローラ33及びサンローラ31はフリー回転する。そのため、遊星ローラ機構13は、動力伝達を行わず、遊星ローラ機構12に伝達されるトルク(キャリア24のトルク)に応じて接触部27,28に作用させる法線力を変化させるための機構として機能する。ここではサンローラ31の外径をサンローラ21の外径よりも大きく設定することで、サンローラ31がフリー回転するときの回転速度を低減することができる。
キャリア24をケーシング20に連結するためのばね要素(弾性部材)26の構成例を図5〜7に示す。図5は、ばね要素26として、コイルばねを用いた例を示す。コイルばね26の中心軸は、キャリア24の中心軸(リングローラ22の中心軸)と一致している。コイルばね26の一端はキャリア24に連結されており、コイルばね26の他端はケーシング20に連結されている。キャリア24がケーシング20に対して相対回転すると、コイルばね26が捩れることで弾性力(復元力)が生じる。なお、図5に示す例では、ばね要素26として、コイルばねの代わりに、ぜんまいを用いることもできる。
図6は、複数のばね26をキャリア24の周方向(リングローラ22の周方向)に沿って並べた例を示す。キャリア24の外周部には径方向外側へ突出した突出部24aが形成されており、ケーシング20の内周部には径方向内側へ突出した突出部20aが形成されている。各ばね26の一端はキャリア24の突出部24aに連結されており、各ばね26の他端はケーシング20の突出部20aに連結されている。キャリア24がケーシング20に対して相対回転すると、各ばね26が伸長または収縮することで弾性力(復元力)が生じる。
図7は、ばね要素26として板ばね(薄板)26を用い、複数の板ばね26をキャリア24の周方向(リングローラ22の周方向)に沿って並べた例を示す。各板ばね26の長手方向は、キャリア24の径方向(リングローラ22の径方向)と一致している。各板ばね26の一端はキャリア24に連結されており、各板ばね26の他端はケーシング20に連結されている。キャリア24がケーシング20に対して相対回転すると、各板ばね26が撓むことで弾性力(復元力)が生じる。
以上説明した本実施形態では、遊星ローラ機構12,13のリングローラ22を共通化(一体化)し、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26を介してキャリア24をケーシング20に連結することで、キャリア24に作用するトルクに応じてキャリア24,34の位相差を変化させる。これによって、リングローラ22がキャリア24に作用するトルク(キャリア24,34の位相差)に応じた力で各ピニオンローラ23を押圧することができるので、遊星ローラ機構12における伝達トルクに応じた法線力を接触部27,28に作用させることができる。例えば遊星ローラ機構12に伝達されるトルクが小さい場合は、接触部27,28に作用する法線力も小さくなるため、過剰な法線力による損失を低減することができ、動力伝達効率を向上させることができる。一方、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクが大きい場合は、接触部27,28に作用する法線力も大きくなるため、接触部27,28において過大滑り(グロススリップ)が生じるのを適切に防止することができる。さらに、突発的な外乱トルクが遊星ローラ機構12に作用した場合でも、接触部27,28に作用する法線力もこの外乱トルクに応じて変化するため、接触部27,28において過大滑りが生じるのを適切に防止することができる。このように、本実施形態によれば、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクに応じた適切な法線力を接触部27,28に作用させることができるので、過剰な法線力による損失を低減して動力伝達効率を向上させることができるとともに、接触部27,28において過大滑りが生じるのを適切に防止することができる。さらに、遊星ローラ機構12の転動疲労寿命も向上させることができる。
なお、非特許文献1では、トルクカムを利用して接触部に作用させる法線力をローラのトルクに応じて変化させているが、2分割のサンローラをトルクカムによってピニオンローラ側へ押圧するために、サンローラの外周面をテーパ形状にする等、サンローラの外径を不同にする必要がある。そのため、サンローラとピニオンローラとの接触面内で速度分布が生じ、その結果、動力伝達効率の低下を招くことになる。これに対して本実施形態では、サンローラ21の外径、各ピニオンローラ23の外径、及びリングローラ22の内径がいずれもリングローラ22の中心軸方向に関して一定であっても、接触部27,28に作用させる法線力を遊星ローラ機構12における伝達トルクに応じて変化させることができる。そのため、接触部27,28において速度分布が生じることなく、動力伝達効率をさらに向上させることができる。
また、特許文献2には、サンローラの外周面とリングローラの内周面との距離を不同にして、ピニオンローラがこの距離が短くなる方向に移動することで法線力が発生するウェッジローラ型遊星ローラ機構の基本構造が開示されている。しかし、この基本構造において、前述の距離が長くなる方向にピニオンローラが移動する場合は、法線力を発生させることができないため、伝達可能なトルクの方向が一方向に限定される。さらに、特許文献2には、正転方向及び逆転方向の両方向に関してトルク伝達を行うことが可能なウェッジローラ型遊星ローラ機構の改良構造も開示されている。しかし、この改良構造では、正転方向及び逆転方向においてトルク伝達に寄与するピニオンローラの数が基本構造よりも減少するため、トルク伝達容量が低下する。これに対して本実施形態では、キャリア24に作用するトルクの方向に関係なく、キャリア24,34の位相差を変化させることができるので、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクの方向に関係なく、接触部27,28に作用させる法線力を伝達トルクに応じて変化させながら動力伝達を行うことができる。さらに、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクの方向に関係なく、すべてのピニオンローラ23をトルク伝達に寄与させることができるので、トルク伝達容量の低下を招くこともない。
「実施形態2」
図8は、本発明の実施形態2に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、リングローラ22がケーシング20に固定されていることで、その回転が拘束(固定)されている。キャリア24,34は、ケーシング20に回転自在に支持されている。そして、キャリア34がばね要素26を介してキャリア24に連結されている。ここでのばね要素26も、リングローラ22の周方向に関して弾性を有する。そして、キャリア24,34同士を連結するためのばね要素26の構成例としては、図5〜7に示す構成例を適用することができる。その場合は、図5〜7においてケーシング20をキャリア34に置き換えた構成を考えればよい。
本実施形態でも、遊星ローラ装置(遊星ローラ機構12)を変速機構として用いることができる。図8に示す構成例では、リングローラ22の回転が拘束されているため、サンローラ21とキャリア24,34に連結された回転軸35との間で動力を変速して伝達することができる。例えば、サンローラ21に連結された原動機(エンジンやモータ等)から回転軸35に連結された負荷へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、サンローラ21から回転軸35(キャリア24,34)へ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。一方、回転軸35に連結された原動機からサンローラ21に連結された負荷へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、回転軸35からサンローラ21へ動力を増速して伝達する増速機構として機能する。
本実施形態でも、サンローラ21と回転軸35との間でトルク伝達が行われていない状態(キャリア24にトルクが作用していない状態)では、図2,3に示すように、ピニオンローラ33の各々は、リングローラ22の中心軸方向においてピニオンローラ23の各々と間隔を空けて対向配置されており、ピニオンローラ33の各々の回転中心軸(自転の中心軸)33aは、ピニオンローラ23の各々の回転中心軸(自転の中心軸)23aとそれぞれ一致している。つまり、キャリア24,34の位相差が0°である。
一方、サンローラ21と回転軸35との間でトルク伝達が行われ、キャリア24にトルクが作用すると、キャリア24がキャリア34に対して相対回転し、図4に示すように、ピニオンローラ23の回転中心軸23aがピニオンローラ33の回転中心軸33aに対してずれる。つまり、キャリア24,34に位相差が発生する。その際には、ばね要素26の弾性変形により生じる弾性力(リングローラ22の周方向成分)がキャリア24に作用するトルクと釣り合う相対位置(位相差)まで、キャリア24がキャリア34に対して相対回転する。そのため、本実施形態でも、キャリア24,34の位相差は、キャリア24に作用するトルクの増大に対して増大する。したがって、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクの増大に対して、接触部27,28に作用させる法線力を増大させることができる。なお、本実施形態でも、遊星ローラ機構13は、動力伝達を行わず、遊星ローラ機構12に伝達されるトルク(キャリア24のトルク)に応じて接触部27,28に作用させる法線力を変化させるための機構として機能する。
以上説明した本実施形態では、遊星ローラ機構12,13のリングローラ22を共通化(一体化)し、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26を介してキャリア24,34同士を連結することで、キャリア24に作用するトルクに応じてキャリア24,34の位相差を変化させる。これによっても、リングローラ22がキャリア24に作用するトルク(キャリア24,34の位相差)に応じた力で各ピニオンローラ23を押圧することができ、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクに応じた適切な法線力を接触部27,28に作用させることができる。したがって、過剰な法線力による損失を低減して動力伝達効率を向上させることができるとともに、接触部27,28において過大滑りが生じるのを適切に防止することができる。
「実施形態3」
図9は、本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、実施形態2(図8に示す構成例)と比較して、サンローラ21,31同士が連結されており、サンローラ21,31に連結された回転軸36とキャリア24,34に連結された回転軸35との間で動力を変速して伝達することができる。その際には、遊星ローラ機構12だけでなく遊星ローラ機構13も動力伝達を行う。例えば、回転軸36に連結された原動機(エンジンやモータ等)から回転軸35に連結された負荷へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ装置(遊星ローラ機構12,13)は、回転軸36(サンローラ21,31)から回転軸35(キャリア24,34)へ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。一方、回転軸35に連結された原動機からサンローラ21に連結された負荷へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ装置は、回転軸35から回転軸36へ動力を増速して伝達する増速機構として機能する。
さらに、本実施形態では、サンローラ21及びピニオンローラ23がリングローラ22の内側に嵌め込まれた状態での締め代(遊星ローラ機構12に生じる締め代)が、サンローラ31及びピニオンローラ33がリングローラ22の内側に嵌め込まれた状態での締め代(遊星ローラ機構13に生じる締め代)と異なる。これによって、回転軸35,36間でトルク伝達が行われていない状態(キャリア24,34にトルクが作用していない状態)において、ピニオンローラ23がリングローラ22により押圧される力が、ピニオンローラ33がリングローラ22により押圧される力と異なる。つまり、接触部27,28に作用する法線力が接触部37,38に作用する法線力と異なる。
前述のように、遊星ローラ機構がシングルピニオン遊星ローラ機構である場合は、遊星ローラ機構に生じる締め代は、
(サンローラの外径)+2×(ピニオンローラの外径)−(リングローラの内径)
で表すことができる。そのため、例えば図10,11に示すように、ピニオンローラ33の外径をピニオンローラ23の外径と異ならせる(ピニオンローラ23の外径よりも大きく設定する)ことで、遊星ローラ機構13に生じる締め代を遊星ローラ機構12に生じる締め代と異ならせる(遊星ローラ機構12に生じる締め代よりも大きく設定する)ことができる。なお、図10は、サンローラ21,31及びピニオンローラ23,33をリングローラ22の内側に嵌め込む前の状態を示し、図11は、サンローラ21,31及びピニオンローラ23,33をリングローラ22の内側に嵌め込んだ後の状態を示す。
本実施形態でも、回転軸35,36間でトルク伝達が行われていない状態(キャリア24,34にトルクが作用していない状態)では、キャリア24,34の位相差が0°である(図2,3に示す状態)。一方、回転軸35,36間でトルク伝達が行われている状態(キャリア24,34にトルクが作用している状態)では、接触部27,28に作用する法線力が接触部37,38に作用する法線力と異なる(ピニオンローラ23,33においてリングローラ22による押圧力が異なる)ことから、遊星ローラ機構12(接触部27,28)におけるすべり率に対するトラクション係数の特性が、遊星ローラ機構13(接触部37,38)におけるすべり率に対するトラクション係数の特性と異なる。そのため、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクが遊星ローラ機構13に伝達されるトルクと異なり(遊星ローラ機構12,13へのトルク配分が異なり)、キャリア24に作用するトルクがキャリア34に作用するトルクと異なる。その結果、キャリア24がキャリア34に対して相対回転して、キャリア24,34に位相差が発生する(図4に示す状態)。本実施形態でも、ばね要素26の弾性変形によりキャリア24,34の位相差はキャリア24に作用するトルクの増大に対して増大するため、キャリア24に作用するトルクの増大に対してリングローラ22がピニオンローラ23,33を押圧する力を増大させることができる。
以上説明した本実施形態でも、リングローラ22がキャリア24に作用するトルク(キャリア24,34の位相差)に応じた力でピニオンローラ23,33を押圧することができ、遊星ローラ機構12,13に伝達されるトルクに応じた適切な法線力を接触部27,28,37,38に作用させることができる。したがって、過剰な法線力による損失を低減して動力伝達効率を向上させることができるとともに、接触部27,28,37,38において過大滑りが生じるのを適切に防止することができる。さらに、本実施形態では、遊星ローラ機構12だけでなく遊星ローラ機構13もトルク伝達に寄与するため、遊星ローラ装置全体における伝達トルク容量を向上させることができる。
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
本実施形態では、例えば図12に示すように、リングローラ22の中心軸方向に関するピニオンローラ23の厚さt1をこの中心軸方向に関するピニオンローラ33の厚さt2と異ならせることで、この中心軸方向に関する接触部27,28の長さt1をこの中心軸方向に関する接触部37,38の長さt2と異ならせることもできる。これによって、接触部27の面積(サンローラ21とピニオンローラ23との接触面積)が接触部37の面積(サンローラ31とピニオンローラ33との接触面積)と異なる条件、及び接触部28の面積(ピニオンローラ23とリングローラ22との接触面積)が接触部38の面積(ピニオンローラ33とリングローラ22との接触面積)と異なる条件が成立する。そのため、接触部27,28の面圧が、接触部37,38の面圧とそれぞれ異なる。なお、図12は、リングローラ22の中心軸方向に関する接触部37,38の長さt2が、この中心軸方向に関する接触部27,28の長さt1よりも短く設定され、接触部37,38の面積が接触部27,28の面積よりもそれぞれ小さく設定された例を示している。この例では、接触部37,38の面圧が、接触部27,28の面圧よりもそれぞれ高く設定される。
図12に示す構成例でも、接触部27,28の面圧が接触部37,38の面圧とそれぞれ異なることから、遊星ローラ機構12,13においてすべり率に対するトラクション係数の特性が異なる。そのため、回転軸35,36間でトルク伝達が行われるときに、遊星ローラ機構12に伝達されるトルクが遊星ローラ機構13に伝達されるトルクと異なり、キャリア24に作用するトルクがキャリア34に作用するトルクと異なる。その結果、ばね要素26の弾性変形によりキャリア24に作用するトルクに応じた位相差をキャリア24,34に発生させることができ、リングローラ22がキャリア24に作用するトルク(キャリア24,34の位相差)に応じた力でピニオンローラ23,33を押圧することができる。
また、例えば図13に示すように、各ピニオンローラ33の外周面に、リングローラ22の内周面及びサンローラ31の外周面と接触しない窪み部(凹部)46を形成することもできる。これによっても、接触部37,38の面積を接触部27,28の面積とそれぞれ異ならせる(接触部27,28の面積よりもそれぞれ小さく設定する)ことができ、接触部37,38の面圧を接触部27,28の面圧とそれぞれ異ならせる(接触部27,28の面圧よりもそれぞれ高く設定する)ことができる。また、サンローラ31の外周面に、ピニオンローラ33の外周面と接触しない窪み部(凹部)を形成することもできる。これによって、接触部37の面積を接触部27の面積と異ならせる(接触部27の面積よりも小さく設定する)ことができ、接触部37の面圧を接触部27の面圧と異ならせる(接触部27の面圧よりも高く設定する)ことができる。また、リングローラ22の内周面におけるピニオンローラ33の外周面と対向する位置に、ピニオンローラ33の外周面と接触しない窪み部(凹部)を形成することもできる。これによって、接触部38の面積を接触部28の面積と異ならせる(接触部28の面積よりも小さく設定する)ことができ、接触部38の面圧を接触部28の面圧と異ならせる(接触部28の面圧よりも高く設定する)ことができる。これらの構成例によっても、キャリア24に作用するトルクに応じた位相差をキャリア24,34に発生させることができる。
また、本実施形態では、例えば図14に示すように、リングローラ22をケーシング20に固定する代わりに、サンローラ21,31をケーシング20に固定してその回転を拘束(固定)することもできる。図14に示す構成例では、リングローラ22とキャリア24,34に連結された回転軸35との間で動力を変速して伝達することができ、その際には、遊星ローラ機構12,13の両方が動力伝達を行う。
また、本実施形態では、例えば図15に示すように、リングローラ22をケーシング20に固定する代わりに、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26−1を介してキャリア24をケーシング20に連結するとともに、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26−2を介してキャリア34をケーシング20に連結することもできる。図15に示す構成例では、サンローラ21,31に連結された回転軸36とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができ、その際には、遊星ローラ機構12,13の両方が動力伝達を行う。また、図15に示す構成例では、ばね要素26−1とばね要素26−2とでリングローラ22の周方向に関する弾性係数を異ならせることによっても、キャリア24に作用するトルクに応じた位相差をキャリア24,34に発生させることができる。その場合は、遊星ローラ機構12に生じる締め代を遊星ローラ機構13に生じる締め代と異ならせることや、接触部27,28の面積を接触部37,38の面積とそれぞれ異ならせることは、必須ではない。
また、本実施形態では、例えば図16に示すように、リングローラ22をケーシング20に固定する代わりに、キャリア34をケーシング20に固定してその回転を拘束(固定)するとともに、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26を介してキャリア24をケーシング20に連結することもできる。図16に示す構成例でも、サンローラ21,31に連結された回転軸36とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができ、その際には、遊星ローラ機構12,13の両方が動力伝達を行う。なお、図16に示す構成例では、遊星ローラ機構12に生じる締め代を遊星ローラ機構13に生じる締め代と異ならせることや、接触部27,28の面積を接触部37,38の面積とそれぞれ異ならせることは、必須ではない。
「実施形態4」
図17,18は、本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。以下の実施形態4の説明では、実施形態1〜3と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る遊星ローラ装置は、リングローラ22と、リングローラ22の径方向内側に配置されたサンローラ21と、サンローラ21とリングローラ22との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数(図17では2つ)のピニオンローラ(遊星ローラ)23と、各ピニオンローラ23を回転自在に支持するキャリア24と、サンローラ21とリングローラ22との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数(図17ではピニオンローラ23と同数の2つ)のピニオンローラ(遊星ローラ)33と、各ピニオンローラ33を回転自在に支持するキャリア34と、を有する。複数のピニオンローラ23,33は、リングローラ22の周方向に沿って間隔を空けて(等間隔で)並べられており、リングローラ22の周方向に関してピニオンローラ23,33が交互に配置されている。そして、複数(2つ)のピニオンローラ23がサンローラ21を挟んで互いに対向配置され、複数(2つ)のピニオンローラ33がサンローラ21を挟んで互いに対向配置されている。なお、図17,18は、遊星ローラ装置がシングルピニオン遊星ローラ機構である例を示している。
本実施形態では、キャリア34は、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26を介してキャリア24に連結されている。リングローラ22がケーシング20に固定されてその回転が拘束されていることで、サンローラ21とキャリア24,34に連結された回転軸35との間で動力を変速して伝達することができる。
さらに、本実施形態では、ピニオンローラ23の外径がピニオンローラ33の外径と異なることで、サンローラ21及びピニオンローラ23がリングローラ22の内側に嵌め込まれた状態での締め代(ピニオンローラ23側に生じる締め代)が、サンローラ21及びピニオンローラ33がリングローラ22の内側に嵌め込まれた状態での締め代(ピニオンローラ33側に生じる締め代)と異なる。これによって、サンローラ21と回転軸35との間でトルク伝達が行われていない状態(キャリア24,34にトルクが作用していない状態)において、ピニオンローラ23がリングローラ22により押圧される力が、ピニオンローラ33がリングローラ22により押圧される力と異なる。つまり、サンローラ21とピニオンローラ23との接触部27及びピニオンローラ23とリングローラ22との接触部28に作用する法線力が、サンローラ21とピニオンローラ33との接触部37及びピニオンローラ33とリングローラ22との接触部38に作用する法線力と異なる。
サンローラ21と回転軸35との間でトルク伝達が行われていない状態(キャリア24にトルクが作用していない状態)では、図17に示すように、ピニオンローラ23,33の回転中心軸(自転の中心軸)23a,33aは、リングローラ22の周方向に関して等間隔に配置されている。一方、サンローラ21と回転軸35との間でトルク伝達が行われている状態(キャリア24にトルクが作用している状態)では、接触部27,28に作用する法線力が接触部37,38に作用する法線力と異なる(ピニオンローラ23,33においてリングローラ22による押圧力が異なる)ことから、接触部27,28でのすべり率に対するトラクション係数の特性が、接触部37,38でのすべり率に対するトラクション係数の特性と異なる。そのため、キャリア24に作用するトルクがキャリア34に作用するトルクと異なり、図19に示すように、キャリア24がキャリア34に対して相対回転してキャリア24,34の位相差が変化する(ピニオンローラ23,33の回転中心軸23a,33aの間隔が変化する)。本実施形態でも、ばね要素26の弾性変形によりキャリア24,34の位相差はキャリア24に作用するトルクに応じて変化するため、キャリア24に作用するトルクに応じてリングローラ22がピニオンローラ23,33を押圧する力を変化させることができる。したがって、遊星ローラ装置に伝達されるトルクに応じた適切な法線力を接触部27,28,37,38に作用させることができる。
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
本実施形態でも、例えば図20,21に示すように、接触部27の面積(サンローラ21とピニオンローラ23との接触面積)を接触部37の面積(サンローラ21とピニオンローラ33との接触面積)と異ならせるとともに、接触部28の面積(ピニオンローラ23とリングローラ22との接触面積)を接触部38の面積(ピニオンローラ33とリングローラ22との接触面積)と異ならせることもできる。これによって、接触部27,28の面圧を接触部37,38の面圧とそれぞれ異ならせることができるので、キャリア24に作用するトルクをキャリア34に作用するトルクと異ならせることができる。その結果、ばね要素26の弾性変形によりキャリア24に作用するトルクに応じた位相差をキャリア24,34に発生させることができる。なお、図20は、リングローラ22の中心軸方向に関するピニオンローラ33の厚さt2がこの中心軸方向に関するピニオンローラ23の厚さt1よりも薄く設定された例を示す。そして、図21は、各ピニオンローラ33の外周面に、リングローラ22の内周面及びサンローラ21の外周面と接触しない窪み部(凹部)46が形成された例を示す。
また、本実施形態でも、例えば図22に示すように、リングローラ22をケーシング20に固定する代わりに、サンローラ21をケーシング20に固定してその回転を拘束(固定)することもできる。図22に示す構成例では、リングローラ22とキャリア24,34に連結された回転軸35との間で動力を変速して伝達することができる。
また、本実施形態でも、例えば図23に示すように、リングローラ22をケーシング20に固定する代わりに、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26−1を介してキャリア24をケーシング20に連結するとともに、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26−2を介してキャリア34をケーシング20に連結することもできる。図23に示す構成例では、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。なお、図23に示す構成例では、ばね要素26−1とばね要素26−2とでリングローラ22の周方向に関する弾性係数を異ならせることによっても、キャリア24に作用するトルクに応じた位相差をキャリア24,34に発生させることができる。その場合は、ピニオンローラ23側に生じる締め代をピニオンローラ33側に生じる締め代と異ならせることや、接触部27,28の面積を接触部37,38の面積とそれぞれ異ならせることは、必須ではない。
また、本実施形態でも、例えば図24に示すように、リングローラ22をケーシング20に固定する代わりに、キャリア34をケーシング20に固定してその回転を拘束(固定)するとともに、リングローラ22の周方向に関して弾性を有するばね要素26を介してキャリア24をケーシング20に連結することもできる。図24に示す構成例でも、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。なお、図24に示す構成例では、ピニオンローラ23側に生じる締め代をピニオンローラ33側に生じる締め代と異ならせることや、接触部27,28の面積を接触部37,38の面積とそれぞれ異ならせることは、必須ではない。
以上の各実施形態の説明では、遊星ローラ機構12,13(遊星ローラ装置)がシングルピニオン遊星ローラ機構であるものとしたが、各実施形態では、遊星ローラ機構12,13(遊星ローラ装置)がダブルピニオン遊星ローラ機構であってもよい。さらに、各実施形態では、ピニオンローラ23,33の個数についても任意に設定することが可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態1に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ装置の動作を説明する図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ装置の動作を説明する図である。 ばね要素の構成例を示す図である。 ばね要素の構成例を示す図である。 ばね要素の構成例を示す図である。 本発明の実施形態2に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の動作を説明する図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ装置の他の概略構成を示す図である。
符号の説明
12,13 遊星ローラ機構、20 ケーシング、21,31 サンローラ、22 リングローラ、23,33 ピニオンローラ、24,34 キャリア、26(26−1,26−2) ばね要素、27,28,37,38 接触部、35,36 回転軸。

Claims (14)

  1. リングローラが共通化された第1遊星ローラ機構及び第2遊星ローラ機構を備え、
    第1遊星ローラ機構は、前記リングローラの内側に配置された第1サンローラと、第1サンローラと前記リングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1キャリアと、を含み、
    第2遊星ローラ機構は、前記リングローラの内側に配置された第2サンローラと、第2サンローラと前記リングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2キャリアと、を含み、
    第1キャリアと第2キャリアの位相差を第1キャリアに作用するトルクに応じて変化させるための位相差可変手段が設けられている、遊星ローラ装置。
  2. 請求項1に記載の遊星ローラ装置であって、
    第2キャリアの回転が拘束部材により拘束されており、
    前記位相差可変手段として、第1キャリアを拘束部材に連結するための弾性部材であって、前記リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられており、
    第1サンローラと前記リングローラとの間で動力伝達を行うことが可能である、遊星ローラ装置。
  3. 請求項1に記載の遊星ローラ装置であって、
    第1サンローラと第2サンローラとが連結されており、
    第2キャリアの回転が拘束部材により拘束されており、
    前記位相差可変手段として、第1キャリアを拘束部材に連結するための弾性部材であって、前記リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられており、
    第1及び第2サンローラに連結された回転軸と前記リングローラとの間で動力伝達を行うことが可能である、遊星ローラ装置。
  4. 請求項1に記載の遊星ローラ装置であって、
    前記位相差可変手段として、第1キャリアと第2キャリアとを連結するための弾性部材であって、前記リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられている、遊星ローラ装置。
  5. 請求項4に記載の遊星ローラ装置であって、
    前記リングローラの回転が拘束されており、
    第1サンローラと第1及び第2キャリアに連結された回転軸との間で動力伝達を行うことが可能である、遊星ローラ装置。
  6. 請求項4に記載の遊星ローラ装置であって、
    第1サンローラと第2サンローラとが連結されており、
    第1ピニオンローラと第2ピニオンローラとで、前記リングローラによる押圧力が異なる、遊星ローラ装置。
  7. 請求項6に記載の遊星ローラ装置であって、
    第1サンローラ及び第1ピニオンローラが前記リングローラの内側に嵌め込まれた状態での締め代が、第2サンローラ及び第2ピニオンローラが前記リングローラの内側に嵌め込まれた状態での締め代と異なる、遊星ローラ装置。
  8. 請求項4に記載の遊星ローラ装置であって、
    第1サンローラと第2サンローラとが連結されており、
    第1サンローラと第1ピニオンローラの接触面積が第2サンローラと第2ピニオンローラの接触面積と異なる条件と、前記リングローラと第1ピニオンローラの接触面積が前記リングローラと第2ピニオンローラの接触面積と異なる条件と、のいずれか1つ以上が成立する、遊星ローラ装置。
  9. 請求項6〜8のいずれか1に記載の遊星ローラ装置であって、
    前記リングローラの回転が拘束されており、
    第1及び第2サンローラに連結された回転軸と第1及び第2キャリアに連結された回転軸との間で動力伝達を行うことが可能である、遊星ローラ装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1に記載の遊星ローラ装置であって、
    第1サンローラ及び第2サンローラは、前記リングローラの中心軸方向において対向配置されており、
    第1ピニオンローラ及び第2ピニオンローラは、前記リングローラの中心軸方向において対向配置されている、遊星ローラ装置。
  11. リングローラと、
    リングローラの内側に配置されたサンローラと、
    サンローラとリングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、
    第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1キャリアと、
    サンローラとリングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、
    第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2キャリアと、
    を備え、
    第1キャリアと第2キャリアの位相差を第1キャリアに作用するトルクに応じて変化させるための位相差可変手段が設けられている、遊星ローラ装置。
  12. 請求項11に記載の遊星ローラ装置であって、
    第2キャリアの回転が拘束部材により拘束されており、
    前記位相差可変手段として、第1キャリアを拘束部材に連結するための弾性部材であって、リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられており、
    サンローラとリングローラとの間で動力伝達を行うことが可能である、遊星ローラ装置。
  13. 請求項11に記載の遊星ローラ装置であって、
    第1ピニオンローラと第2ピニオンローラとで、リングローラによる押圧力が異なり、
    前記位相差可変手段として、第1キャリアと第2キャリアとを連結するための弾性部材であって、リングローラの周方向に関して弾性を有する弾性部材が設けられている、遊星ローラ装置。
  14. 請求項11〜13のいずれか1に記載の遊星ローラ装置であって、
    第1ピニオンローラ及び第2ピニオンローラが、リングローラの周方向に沿って間隔を空けて並べられている、遊星ローラ装置。
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