JP2007321490A - トンネル掘削方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トンネル天端部10aの周壁から前方に向けてトンネル外方に放射状に注入式長尺先受工2を施工し、全断面掘削領域11を掘削し、この内周に第一支保3を設けると共に、トンネル天端部10aより下方のトンネル両側の側壁部にロックボルト4を密に配設しながら、所定掘進長をなす掘進区画の全断面掘削領域11を施工した後、全断面掘削領域11の下方に位置するインバート12を掘削した後、インバート12に第二支保5を設けることでトンネル10の断面を閉合させるようにした。
【選択図】図1
Description
このミニベンチ方式全断面掘削工法によるトンネル施工は、図6(a)及び(b)に示すように、トンネル10の断面を上半断面部31、下半断面部32とインバート33に三分割して段階掘削している。ここで、下半断面部32の切羽は上半31の切羽より3〜4m程度(これをベンチ長L2とする)離れた位置となる。そして、トンネル掘削では、図6(a)に示すように、上下半断面部31,32を同時に掘削し、トンネル周方向に吹き付けコンクリートや鋼製支保工などの支保を設置し、続いて図6(b)に示すように、インバート33を下半断面部32の切羽と同位置まで掘削する。そして、掘削したインバート33に支保を設置することによりトンネル断面を閉合(トンネル10全周にわたって支保などが施されている状態)させながら掘進するトンネル掘削方法である。
本発明では、長尺先受工を設けることで、掘削する全断面掘削領域の切羽を安定させ、全断面掘削領域の掘削後に第一支保を設置すると共に、トンネル側壁部にロックボルトを例えば高密度で配設して打設することでその周囲地山の破壊進行を抑制した補強ができ、トンネルの脚部の沈下を防止できる。そのため、ロックボルト設置後にインバートの掘削が可能となり、そのインバート掘削後に第二支保を設置することで全断面掘削領域を掘削した切羽直近で早期にトンネル断面を閉合させることができ、トンネル支保構造の力学的安定性を確保することができる。
本発明では、曲面切羽とすることでアーチ構造が形成されることになり、切羽の崩落や破壊を抑制する効果が得られ、垂直面をなす切羽に比べて自立度の向上が図れ、切羽を安定させることができる。
本発明では、全断面掘削領域の掘削前に予め長尺先受工を施工しておくことで、長尺先受工より下方の地山が安定し、天端崩落或いは切羽崩壊などが防止されると共に掘削面が自立することから、安全に掘削することができる。
本発明では、長尺鏡ボルトの周囲地山の弛みを抑制して切羽の安定を図ることができる。
本発明では、全断面掘削領域の切羽より小さな断面積の中央導坑を利用し、全断面掘削領域の掘削を行う前に、中央導坑の内側より適宜な補強工事を実施することで、切羽の安定を図ることができる。
図1は本発明の実施の形態によるトンネル支保構造を示す側面図、図2は図1に示すトンネル支保構造のA−A線断面図、図3(a)〜(c)はトンネル掘削を示す工程説明図である。
なお、以下の説明では、必要に応じて曲面切羽11aを単に切羽11aと呼ぶものとする。
注入式長尺先受工2は、主に切羽天端部の先抜け防止や掘削面の自立を目的として施工され、全断面掘削領域11の掘削を可能とするものである。
そして、第二支保5は、吹付けコンクリート5aと鋼製支保工5bとからなり、これらの構成などは第一支保3と同様であることから説明は省略する。
これら第一支保3と第二支保5とを設置することによって、トンネル10の全周に支保が配置された状態をなす閉合支保構造が構築されることになる。
そして、このロックボルト4は、第一支保3の施工後に打設され、例えばトンネル10の周方向に0.5〜0.6mの離間間隔で、且つ、トンネル10の軸方向に0.75〜1.0mの離間間隔で配置されることから、一般的なロックボルトの配置と比較して高密度な状態で配設されている。このようにロックボルト4によって密に補強することにより、その周囲地山の破壊の進行を抑制した補強ができると共に、トンネル10断面の脚部の沈下を防止でき、全断面掘削領域11における支保構造の力学的安定性を確保することができる。
ここで、変形余裕量9とは、仮に第一支保3がトンネル内空側に変形したときに、トンネル10の建築限界を侵すことがないように、覆工コンクリート7の厚さ(トンネル軸に直交する方向の長さ寸法)に余裕をもたせた余裕代に相当するものである。
本トンネル掘削方法は、図3に示すように、全断面掘削領域11とインバート12における断面閉合を2〜3mの掘進長で交互に施工するものである。
具体的には、予め、所定のトンネル天端部10aに注入式長尺先受工2を施工しておく(図3(a)参照)。
次いで、図3(b)に示すように、1m程度(鋼製支保工3aの施工スパンをなす)を一つの施工サイクルとし、上述した曲面切羽11aを形成して1m程度掘削したら、一次吹付けコンクリート3aを厚さ5cm程度吹き付け、次に鋼製支保工3bを設置し、その後、二次吹付けコンクリート3a´を15cm程度吹き付け、そして、その二次吹付けコンクリート3a´の上から両側の側壁部に所定の打設間隔でロックボルト4を打設する。この施工サイクルを2〜3回繰り返すことで施工される領域が、2〜3m程度の長さを有する第一掘進区画R1(全断面領域掘進区画)とされる。
このときの第一掘進区画R1では、予め施工した注入式長尺先受工2がその下方の地山を安定させる効果を果たし、天端崩落或いは切羽崩壊などが防止され、安全に掘削することができる。
これにより、全断面掘削領域11を掘削した切羽11aの直近で早期にトンネル10断面を閉合させることができ、トンネル支保構造1の力学的安定性を確保することができる。
また、第一掘進区画R1の後方(切羽11aと反対方向)の適宜な位置で埋め戻し材6を撤去してインバートコンクリート8、覆工コンクリート7(図1参照)を打設する。
なお、本実施の形態において、注入式長尺先受工2や曲面切羽11aを行っているが、地山の性状やトンネル断面の大きさによっては、これらの工法の一方又は双方を用いなくてもよい。
図4は実施の形態の第一変形例によるトンネル掘削状態を示し、図1に対応する図である。
図4に示すように、第一変形例によるトンネル掘削方法では、曲面切羽11aに加え、切羽の自立度に応じてその曲面切羽11aから前方に向けて注入式の長尺鏡ボルト20、20、…を施工することで、その長尺鏡ボルト20の周囲地山の弛みを抑制し、さらなる切羽の安定を図るものである。これら長尺鏡ボルト20は、例えば施工長さが9〜12mで、1m2当りに0.5〜1本の割合で配置されて施工される。
なお、この長尺鏡ボルト20の施工のタイミングは、注入式長尺先受工2と同様に、複数の掘進区画ごとに1回の割合で施工することが好ましい。
図5に示すように、第二変形例によるトンネル掘削方法は、曲面切羽11aの略中央に、全断面掘削領域11より断面の小さな中央導坑21(本発明の「導坑」に相当する)をトンネル軸方向前方に全断面掘削領域11の掘削に先行して施工させておくものである。そして、全断面掘削領域11の曲面切羽11aより小さな断面積の中央導坑21を利用し、全断面掘削領域11の掘削を行う前に、中央導坑21の内側より適宜な補強工事を実施することで、切羽の安定を図ることができる。なお、中央導坑21の長さや断面の大きさは、任意であり地質条件などに応じて設定すればよいが、その長さについては本坑掘削幅の5倍程度とすることが考えられる。
例えば、本実施の形態、第一及び第二変形例では全断面掘削領域11とインバート12の1つの掘進区画長を2〜3mとしているが、これに限定されることはなく、トンネル断面の大きさや地質条件などに応じて適宜設定すればよい。また、注入式長尺先受工2、ロックボルト4の範囲や打設長、支保の材質や厚さ(トンネル軸に対して直交する長さ寸法)なども実施の形態に限定されず、適宜設定することができる。
さらに、第一及び第二変形例では、全断面掘削領域11の切羽を安定させるために、曲面切羽11aを形成させているが、これに限定されず、切羽の自立が確認できる場合には曲面切羽11aを形成しなくてもかまわないし、長尺先受工を施工しなくてもよい。
2 注入式長尺先受工(長尺先受工)
3 第一支保
4 ロックボルト
5 第二支保
6 埋め戻し材
10 トンネル
11 全断面掘削領域
11a 曲面切羽
12 インバート
20 長尺鏡ボルト
21 中央導坑
R1 第一掘進区画(全断面領域掘進区画)
Claims (5)
- インバートと、該インバートを除く全断面掘削領域とを交互に掘削するトンネル掘削方法であって、
前記全断面掘削領域を所定長掘削した後、前記掘削区間において前記全断面掘削領域の内周に第一支保を設けると共に、前記トンネル天端部より下方のトンネル両側の側壁部にロックボルトを配設し、
前記掘削から前記ロックボルトまでの施工サイクルを複数回繰り返して全断面掘削領域を施工して全断面領域掘進区画とし、
その後、前記全断面領域掘進区画の下方に位置する前記インバートを掘削した後、該インバートに第二支保を設けることでトンネル断面を閉合させるようにし、以降、前記全断面領域掘進区画と前記インバートを交互に施工することを特徴とするトンネル掘削方法。 - 前記全断面掘削領域の掘削における切羽は、トンネル天端部から下方に向かってトンネル掘削方向に凸曲面が形成されてなる曲面切羽であることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削方法。
- 前記全断面掘削領域の掘削に先立って、トンネル天端部の周壁から前方に向けてトンネル外方に放射状に長尺先受工を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル掘削方法。
- 前記全断面掘削領域の掘削に先立って、前記全断面掘削領域の前記切羽から前方に向けて長尺鏡ボルトを設けるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル掘削方法。
- 前記全断面掘削領域の掘削に先立って、前記全断面掘削領域より断面の小さな導坑を、トンネル軸方向前方に前記全断面掘削領域の掘削に先行させて掘削するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル掘削方法。
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