JP2007318349A - Fm受信機 - Google Patents

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Abstract

【課題】収束の速い等化アルゴリズムによってマルチパス歪みを効果的に低減できる車載用に適したFM受信機を提供する。
【解決手段】FM受信機において、可変係数フィルタによりフィルタリングされたFM受信信号を復調して得られるFMコンポジット信号からパイロット信号帯域内に生じる歪み成分を抽出し、この歪み成分についての評価関数を最小化するように可変係数フィルタのフィルタ係数を制御することによって、マルチパス環境の変化に対して収束性に優れた等化特性を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、マルチパス歪みを等化するための等化器を有するFM受信機に関する。
FM放送波を受信するFM受信機においては、目的の放送波が複数の伝搬経路を経て到来する、いわゆるマルチパス環境においてマルチパス歪みにより受信品質が劣化することが知られている。マルチパス歪みを低減するための等化器のアルゴリズムの一つとして、定包絡アルゴリズム(Constant Modulus Algorithm:CMA)が知られている。特許第3011948号明細書(特許文献1)には、CMAを用いた等化器の例が開示されている。特許文献1によると、FM受信信号は可変係数フィルタに入力され、フィルタ係数(タップ係数)がCMAに基づき制御されることにより、フィルタから等化後の信号、すなわちマルチパス歪みが低減されたFM受信信号が出力される。
CMAは、参照信号を必要としない、いわゆるブラインド等化アルゴリズムの一つである。CMAによると、可変係数フィルタからの等化出力信号は次のように表される。
Figure 2007318349
タップ係数は、CMAに従って次のように更新される。
Figure 2007318349
ここでμはタップ係数の一回当たりの更新量を決定するステップ係数を表し、σは可変係数フィルタからの等化出力信号のターゲット振幅を表す。
本来、FM放送波は定包絡であるが、マルチパスが存在すると定包絡ではなくなる。この点を利用して、CMAではFM受信信号が定包絡となるようにタップ係数を更新することでマルチパス歪みを低減させる。
特許第3011948号明細書
式(2)を見て分かるように、CMAは可変係数フィルタの出力信号振幅(y)のターゲット振幅(ρ)に対する2乗誤差に応じてタップ係数が更新される。従って、可変係数フィルタの出力信号の位相が所望の出力信号の位相と異なっている場合でも、振幅が一定であればタップ係数は更新されないことが分かる。例えば、FM放送波が伝搬距離の大きく異なる多数の経路を経て到来するような劣悪なマルチパス環境においては、可変係数フィルタの出力信号の振幅はターゲット振幅と同じでも、位相が所望の位相から大きく外れている場合がある。このような場合、タップ係数が更新されるべきであるにも関わらず正しく更新がなされないため、マルチパス歪みは低減されない。
このような理由で、CMAは他のアルゴリズムと比較して収束特性が悪い、つまりタップ係数の収束が遅いという問題が指摘されている。タップ係数の収束特性が悪いことは、自動車のように高速で移動する移動体に搭載されるFM受信機において特に問題となる。すなわち、高速の移動体から見るとマルチパス環境が時々刻々と変化する。このため、収束が遅いとマルチパス環境の変化に等化器が追従できなくなり、マルチパス歪みが十分に低減されないという結果となる。
本発明の目的は、収束の速い等化アルゴリズムによってマルチパス歪みを効果的に低減できる車載用に適したFM受信機を提供することである。
本発明の一態様によると、FM放送波を受信して受信信号を出力する受信部と;前記受信信号を可変のフィルタ係数に従ってフィルタリングする第1フィルタと;前記第1フィルタによりフィルタリングされた受信信号を復調して、メイン信号とサブ信号及びパイロット信号を含むコンポジット信号を生成するFM復調器と;前記コンポジット信号から前記メイン信号及びサブ信号が配置された帯域以外の対象帯域内に生じる歪み成分を抽出する第2フィルタと;前記歪み成分についての評価関数を最小化するように前記フィルタ係数を制御する係数制御部と;を具備するFM受信機を提供する。
本発明の第2の態様によると、FM放送波を受信して受信信号を出力する受信部と;前記受信信号を可変のフィルタ係数に従ってフィルタリングする第1フィルタと;前記第1フィルタによりフィルタリングされた受信信号を復調して、メイン信号とサブ信号及びパイロット信号を含むコンポジット信号を生成するFM復調器と;前記コンポジット信号から前記メイン信号及びサブ信号が配置された帯域以外の対象帯域内に生じる歪み成分を抽出する第2フィルタと;前記歪み成分についての第1評価関数と前記第1フィルタによりフィルタリングされた受信信号のターゲット振幅に対する誤差についての第2評価関数との加算値を最小化するように前記フィルタ係数を制御する係数制御部と;を具備するFM受信機を提供する。
本発明によると、FMコンポジット信号に含まれる歪み成分、すなわち振幅情報と位相情報の両方を用いてフィルタ係数の更新を行うため、フィルタ係数の更新に振幅情報しか用いないCMAの欠点である収束速度の低下を改善できることが可能になり、FM受信信号の復調精度が改善される。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1に示される本発明の一実施形態に係るFM受信機は、例えば自動車のような移動体への搭載に適している。図1のFM受信機によると、まずアンテナ10によってFM放送波が受信され、アンテナ10の出力信号(FM受信信号)がフロントエンド11に入力される。フロントエンド11は、FM受信信号を増幅し、所望チャネルの受信信号を中間周波数(IF)に変換して出力するチューナを含む。フロントエンド11から出力される受信信号は、アナログ−ディジタル変換器(ADC)12によりディジタル化される。
ディジタル化された受信信号101は可変係数フィルタ13に入力される。可変係数フィルタ13は、入力される受信信号101に可変のフィルタ係数に従ってフィルタリングを施すことにより、受信信号101に含まれるマルチパス歪みを低減するための等化処理を行い、等化出力信号102を生成する。
可変係数フィルタ13からの等化出力信号102はFM復調器14に入力される。FM復調器14は、この例ではアークタンジェント演算器15と微分器16によって構成される。アークタンジェント演算器15においては、可変係数フィルタ13からの等化出力信号102についてアークタンジェントが演算されることにより、位相情報が求められる。この位相情報が微分器16により微分されることにより、いわゆるFMコンポジット信号103が生成される。
FMコンポジット信号では、日本のFMステレオ放送の場合を例にとると、図2に示されるように15kHzまでの低域に(L+R)信号、すなわちステレオの左(L)信号と右(R)信号との和信号(メイン信号)が配置され、38kHzを中心とした領域に(L−R)信号、すなわちL信号とR信号との差の信号(サブ信号)が配置される。モノラル放送の場合は、メイン信号のみが存在し、サブ信号は存在しない。コンポジット信号には、さらにステレオ放送かモノラル放送かを識別するためのパイロット信号が19kHzに多重されている。
FM復調器14から出力されるFMコンポジット信号103は、ステレオ復調器17により(L+R)+(L−R)と(L+R)−(L−R)の演算(ステレオ復調)が行われることにより、ステレオ信号(L信号とR信号)、またはモノラル信号が再生される。
FMコンポジット信号103は、抽出フィルタ17にも入力される。抽出フィルタ17は、FMコンポジット信号103からメイン信号及びサブ信号が配置された帯域以外の対象領域内に生じる歪み成分104を抽出する。具体的には、例えばFMコンポジット信号103に含まれるパイロット信号が配置される15kHz〜23kHzの帯域(以下、パイロット信号帯域という)内に生じる歪み成分、すなわちパイロット信号帯域に存在する、パイロット信号以外の信号の歪み成分104を抽出する。こうして抽出フィルタ17により抽出された歪み成分104は、係数制御部18に入力される。
係数制御部18は、抽出フィルタ17により抽出された歪み成分104を表す評価関数が最小化されるように可変係数フィルタ13のフィルタ係数(タップ係数)を更新しつつ制御する。すなわち、パイロット信号帯域には本来パイロット信号のみが存在するが、マルチパス歪みがあるとマルチパスによる歪み成分がパイロット信号帯域に混入する。
そこで、このような歪み成分104を抽出フィルタ17によって抽出し、この歪み成分104が最小となるように、言い換えれば歪み成分104を表す評価関数を最小化するように可変係数フィルタ13のフィルタ係数を更新すれば、可変係数フィルタ13からの等化出力信号102においてマルチパス歪みが効果的に低減される。歪み成分104を表す評価関数の計算方法については、後に詳しく説明する。
以下、図1のFM受信機におけるマルチパス歪み低減動作を詳しく説明する。
時刻nでADC12から出力されるディジタル化された受信信号(離散信号)101に対応する可変係数フィルタ13からの等化出力信号102は、次式のy(n)で表される。
Figure 2007318349
FM放送波は周波数に情報が乗っているため、FM復調器14においては可変係数フィルタ13の等化出力信号y(n)の周波数成分を求めることで復調が可能である。等化出力信号y(n)の周波数成分を求めるためには、y(n)の位相変化分を求める必要がある。このためFM復調器14では、まずアークタンジェント演算器15により可変係数フィルタ13からの等化出力信号y(n)の位相成分が抽出される。この位相成分の抽出処理は、アークタンジェント関数を用いて次のように書ける。
Figure 2007318349
アークタンジェント演算器15の出力信号は、微分器16に入力される。微分器16では、アークタンジェント演算器15の出力信号の時刻tにおける位相変化分(時刻t−1から時刻tまでの位相変化分)が求められ、周波数成分が抽出される。この微分器16の処理は、次式のように書ける。
Figure 2007318349
ここで、式(5)のz(n)がFMコンポジット信号103である。
図3の実線は元々のコンポジット信号の周波数特性、点線は多重伝搬路を経たFM受信信号から生成されるコンポジット信号の周波数特性をそれぞれ示す。L信号は1kHzのシングルトーン、R信号は無信号としている。図3の点線では、コンポジット信号の帯域内にマルチパス歪が生じており、これが音声信号の品質を劣化させる。
図2よりコンポジット信号は本来、パイロット信号帯域(15kHz〜23kHz)にはパイロット信号以外の信号を含まないはずであるが、マルチパス歪みを受けたFM放送波をFM復調すると、図3の点線で示されるように歪みが全体に広がり、パイロット信号帯域にも歪み成分が生じることが分かる。
マルチパス歪みの影響によりパイロット信号帯域(15kHz〜23kHz)に歪み成分が生じたのであるから、この歪み成分を低減させるように可変係数フィルタ13によるフィルタリング、すなわち等化処理を行えば、マルチパス歪みを低減することが可能になる。このような本実施形態の手法によりマルチパス歪みを低減する等化処理は、振幅及び位相の両方の情報を使うため、従来のCMAよりも収束が速くなる。
すなわち、振幅のみを使うCMAでは前述したように劣悪なマルチパス環境においてタップ係数の更新が正しくなされないことがあり、これがタップ係数の収束を遅くする原因となっている。これに対して、マルチパス歪みによりパイロット信号帯域内に生じる歪み成分は、振幅と位相の両方の歪みを含んでいるので、このパイロット信号帯域内の歪み成分を低減させるように可変係数フィルタ13の係数を更新すれば、等化器としての収束特性が向上する。
次に、パイロット信号帯域内の歪み成分を抽出し、マルチパス歪みを低減させる具体的な手法について説明する。パイロット信号帯域の歪み成分を抽出する方法はいくつか考えられるが、ここでは抽出フィルタ17にFIR型フィルタを用いる方法を説明する。パイロット信号帯域内の歪み成分を抽出する方法としては、19kHzのパイロット信号と共に歪み成分を抽出する方法、及びパイロット信号を含まずに歪み成分を抽出する方法のいずれも可能であるが、ここでは後者の方法について説明する。抽出フィルタ17により抽出されるパイロット信号帯域内の歪み成分v(n)は、次のように書くことができる。
Figure 2007318349
ただしSj(m)は抽出フィルタ17のフィルタ係数、Mはフィルタ17のフィルタ長をそれぞれ表す。フィルタ係数Sj(m)は、抽出フィルタ17によってパイロット信号帯域内の歪み成分を抽出できれば、どのような係数も使用することが可能であるが、例えば次式に示されるフーリエ係数を用いることができる。
Figure 2007318349
ここで、fjは抽出したい歪み成分の周波数を示す。
FMコンポジット信号の性質より、抽出フィルタ17により抽出される成分は全て不要な歪み成分である。そこで、本実施形態では係数制御部18によって、この歪み成分が低減されるように可変係数フィルタ13のフィルタ係数を更新する。以下、係数制御部18の幾つかの具体例について説明する。
(係数制御部18の第1の具体例)
係数制御部18の第1の具体例では、抽出フィルタ17により抽出される歪み成分v(n)に対して評価関数Jを定義し、この評価関数Jが最小となるように可変係数フィルタ13のフィルタ係数を更新する。次式に、評価関数Jの例を示す。
Figure 2007318349
実際は歪み成分v(n)の電力v(n)v(n)のアンサンブル平均、あるいはv(n)v(n)の瞬時値を評価関数Jとして用いるが、本実施形態では後者のv(n)v(n)の瞬時値を評価関数Jとして用いる手法を例にとって説明する。勿論、アンサンブル平均を評価関数Jに用いる手法をとることも可能である。
また、上記説明ではパイロット信号を含まない、パイロット信号周辺の歪み成分を一つのフィルタ17で抽出し、その歪み成分についての評価関数を用いたが、複数の抽出フィルタを用いて複数の歪み成分を抽出し、それらの歪み成分についての評価関数を用いることも可能である。すなわち、式(8)が複数の抽出フィルタにより抽出される歪み成分の電力v(n)v(n)の和を評価関数として、これを最小化するように可変係数フィルタ13のフィルタリング係数を更新するようにしてもよい。
さらに、抽出フィルタ17によりパイロット信号帯域からパイロット信号と共に歪み成分を抽出する場合、評価関数は抽出フィルタ17の出力信号から歪みを受けていないパイロット信号成分を差し引いた成分の電力を歪み成分についての評価関数とすればよい。
係数制御部18によるフィルタ係数の更新式は、評価関数Jを用いて次式で表すことができる。
Figure 2007318349
ここで、式(6)(7)(8)より
Figure 2007318349
である。
図4は、上述したフィルタ係数の更新動作を行う係数制御部18の構成をブロック図で表している。係数制御部18には、図1中のADC12から出力されるディジタル化された受信信号と可変係数フィルタ13からの出力信号が入力される。ディジタル化された受信信号はベクトルであり、そのベクトル長は可変係数フィルタ13のタップ数と同じである。係数制御部18では、まずα計算部30によって評価関数Jの偏微分値α0(n)〜αL(n)が計算される。偏微分値α0(n)〜αL(n)は、可変係数フィルタ13のフィルタ係数の更新の傾き(方向を含む)を表す。
今、ADC12からのディジタル化された受信信号のベクトル長をLとすると、α計算部30には受信信号ベクトルのL個の要素の信号x0〜xLが入力される。信号x0〜xLは、除算器311〜31Lによって可変係数フィルタ13の出力信号y(n)の2乗と固定値「1」との和である1+y(n)2で除算される。除算器311〜31Lの出力信号は、乗算器321〜32Lに入力される。ここで、乗算器321〜32Lの係数はFMコンポジット信号104中のパイロット信号帯域内の歪み成分を抽出する抽出フィルタ17の最初のタップ係数と同じ構成であり、評価関数Jの偏微分値α0(n)〜αL(n)を出力する。
偏微分値α0(n)〜αL(n)は、乗算器331〜33Lにおいて抽出フィルタ17からの出力信号(歪み成分)v(n)と乗算される。乗算器331〜33Lの出力信号は、さらに乗算器341〜34Lにおいてステップ係数μが乗じられることにより、式(9)の右辺第2項の係数更新量が決定される。乗算器341〜34Lの出力信号は、加算器351〜35Lに入力される。加算器351〜35Lによって乗算器341〜34Lの出力信号がラッチ361〜36Lに保持されている乗算器341〜34Lの出力信号の1時刻前の値から差し引かれることにより、式(9)に従って更新されたフィルタ係数が決定される。
このように係数制御部18においては、ADC12からの受信信号を用いて抽出フィルタ部17により抽出される歪み成分についての評価関数の偏微分値を計算する。この偏微分値に抽出フィルタ部17により抽出される歪み成分とステップ係数を乗じることにより係数更新量を決定し、この係数更新量によってフィルタ係数を更新する。この場合、ステップ係数を適切な値(例えば0.1)に設定することで、マルチパス歪みを効果的に低減することが可能になる。
式(2)に従う従来のCMAでは、可変係数フィルタの出力信号振幅がターゲット振幅と同じであれば、位相が違っても誤差が検出されないため、フィルタ係数の収束が遅いという問題があった。一方、本実施形態ではパイロット信号帯域内の歪み成分の有無を誤差としているため、フィルタ係数を速く収束させることができ、収束特性に優れた等化処理が可能になる。
(係数制御部の第2の具体例)
次に、係数制御部18の第2の具体例について説明する。先に述べたように、FM放送波はマルチパスの影響がなければ定包絡である。そこで、可変係数フィルタ13からの等化の出力信号y(n)が定包絡になっていると仮定し、次のように評価関数Jを近似する。
Figure 2007318349
Figure 2007318349
可変係数フィルタ13がトランスバーサルフィルタの場合を考える。トランスバーサルフィルタは、図5に示されるようにタップ付き遅延デバイスDと、遅延デバイスDの各タップの信号x0〜xLに重み(タップ係数)w0〜wLを乗じる乗算器×、及び乗算後の信号を加算する加算器Σにより構成される。このようなトランスバーサルフィルタでは、一般にxl(n−m)=x0(n−m−l)の関係が成り立つ。すなわち、あるタップの信号値は1段前のタップの1時刻前の信号値と等しい。この関係から、式(12)は
Figure 2007318349
と書くことができ、これは式(11)と等価である。ここで、l=0,1,・・・,Lである。
図6は、可変係数フィルタ13にトランスバーサルフィルタを用いた場合の係数制御部18であり、式(13)のβl(n)を計算するβ計算部40を有する。β計算部40には、ADC12からのディジタル化された受信信号(ベクトル)の最初(0番目)の要素の信号x0が入力される。信号x0は、除算器411によって可変係数フィルタ13の出力信号y(n)の2乗と固定値「1」との和である1+y(n)2で除算される。除算器411の出力信号は乗算器422に入力され、タップ係数の最初の要素β0(n)が計算される。
このように可変係数フィルタ13にトランスバーサルフィルタを用いると、係数制御部18で必要なフィルタとしてはタップ係数の最初の要素β0(n)を求めるための一つの乗算器422のみがあればよい。シフトレジスタ401〜40Lは、フィルタ422の出力信号β0(n)を順次シフトすることによって、タップ係数の他の要素β1(n)〜βL(n)を求める。図6の更新部18は、近似を導入することにより性能のある程度の低下は予想されるが、係数制御部18における乗算器422が1個でよく計算量が削減されるため、処理時間の高速化と低コスト化ができる。
(係数制御部の第3の具体例)
係数制御部18の第3の具体例では、次式で定義される評価関数J3を最小化するように可変係数フィルタ13のフィルタ係数を制御する。
Figure 2007318349
ここで、Jは係数制御部18の第1及び第2の具体例で説明した、FMコンポジット信号104中のパイロット信号帯域から抽出される歪み成分についての評価関数であり、例えば最小平均自乗(Least Mean Square:LMS)アルゴリズムに従い、アンサンブル平均に代えて瞬時平均を用いた場合の評価関数である。JCMAは従来のCMAにおける誤差(可変係数フィルタ13からの等化出力信号の振幅のターゲット振幅に対する誤差)についての評価関数である。式(14)に示されるように、係数制御部18の第3の具体例では第1及び第2の具体例に基づく評価関数Jを低減しつつ、さらにCMAにおける誤差についての評価関数JCMAをも低減させるように、可変係数フィルタ13の係数を制御することができる。式(14)を係数で表すと、次式のようになる。
Figure 2007318349
そして、次式に従って可変係数フィルタ13の係数を更新する。
Figure 2007318349
図7は、第3の具体例に基づく係数制御部18をブロック図で表している。図7の係数制御部18は、β計算部51とCMA計算部52を併用している。係数制御部18の第1及び第2の具体例を示した図4及び図6では、ベクトルの要素毎に各ブロックを記載しているが、図7ではベクトルに対応して一纏めにして記載している。例えば、β計算部51は図6中のβ計算部40と同様であり、その出力信号βはベクトルである。乗算器53は図6中の乗算器431〜43Lに相当し、β計算部51の出力信号β(n)と抽出フィルタ17からの歪み成分v(n)との乗算β(n)v(n)を行う。β計算部51の代わりに、図4中に示したα計算部を用いてもよい。
一方、CMA計算部52では可変係数フィルタ13からの等化出力信号y(n)に対するターゲット振幅σの誤差についての評価関数(以下、簡単にCMAの評価関数という)の偏微分値y(n)x(n)conj(y(n)2−σ2)が計算される。CMA計算部52の計算については公知であるため、詳しい説明は省く。
次に、加算器54により乗算器53からの出力信号とCMA計算部52からの出力信号が加算されることにより、式(15)で表される評価関数J3の偏微分値が生成され、さらに乗算器55によりステップ係数μが乗算される。乗算器55の出力信号に従って、加算器56とラッチ57により式(16)で示されるような可変係数フィルタ13のフィルタ係数の更新が行われる。
このように係数制御部18の第3の具体例によると、可変係数フィルタ13のフィルタリング係数の更新に、FMコンポジット信号のパイロット信号帯域内の歪み成分に基づく第1の更新処理とCMAに基づく第2の更新処理を組み合わせている。第1の更新処理と第2の更新処理のいずれか一方の処理でフィルタ係数の更新が正しくなされず、等化動作が正常に行われないようなマルチパス環境においても、他方の更新処理でフィルタ係数の更新が正常になされる可能性は高いと考えられる。従って、一種のダイバーシチの効果によりフィルタ係数の収束速度が向上する。
なお、式(15)ではFMコンポジット信号を用いた評価関数Jの偏微分値とCMAの評価関数JCMAの偏微分値を加算器54で加算しているが、次式のように両者の重み付けを行って加算することも可能である。
Figure 2007318349
ρはFMコンポジット信号を用いた評価関数Jの偏微分値に対する重み係数であり、ρCMAはCMAを用いた評価関数JCMAの偏微分値に対する重み係数である。これによって、FM放送波の伝搬状況に応じたより細かな制御が可能になり、等化速度をさらに速めることが可能である。
次に、図8を用いて本発明の他の実施形態について説明する。図8のFM受信機は、複数(図の例では2つ)の受信ブランチを備え、時空間等化によりマルチパス歪みを低減する。すなわち、アンテナ10A及び10BによってFM放送波が受信され、アンテナ10A及び10Bの出力信号(FM受信信号)がフロントエンド11A及び11Bにそれぞれ入力される。フロントエンド11A及び11Bから出力される受信信号は、ADC12A及び12Bによりそれぞれディジタル化された後、可変係数フィルタ13A及び13Bに入力される。可変係数フィルタ13は、入力される受信信号にフィルタリングを施すことにより、各々に入力される受信信号に含まれるマルチパス歪みを低減するための等化処理を行う。可変係数フィルタ13からの出力信号が加算器20により合成されることにより等化出力信号が生成され、この等化出力信号がFM復調器14に入力される。FM復調器14により生成されるFMコンポジット信号は抽出フィルタ17に入力され、抽出フィルタ17によってマルチパスに基づくパイロット信号帯域内の歪み成分が抽出される。
係数制御部18は、ADC12A及び12Bの出力信号、可変係数フィルタ13A及び13Bの出力信号、及び抽出フィルタ17から出力されるパイロット信号帯域内の歪み成分の信号を受けて先の実施形態に述べたと同様にフィルタ係数の更新を行う。このように本発明は、時空間等化を用いてマルチパス歪みを低減するFM受信機にも適用が可能である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の一実施形態に従うFM受信機を示すブロック図 FMステレオ放送におけるコンポジット信号の周波数配置を示す図 元のコンポジット信号及びマルチパス歪みの影響を受けた後のコンポジット信号の周波数特性を示す図 図1中の係数制御部の第1の具体例を示すブロック図 トランスバーサルフィルタの基本構成を示すブロック図 図1中の係数制御部の第2の具体例を示すブロック図 図1中の係数制御部の第3の具体例を示すブロック図 本発明の他の実施形態に従うFM受信機を示すブロック図
符号の説明
10,10A,10B・・・アンテナ
11,11A,11B・・・フロントエンド
12,12A,12B・・・A/D変換器
13,13A,13B・・・可変定数フィルタ
14・・・FM復調器
15・・・アークタンジェント演算器
16・・・微分器
17・・・抽出フィルタ
18・・・係数制御部
19・・・ステレオ復調器
20・・・加算器
30・・・α計算部(偏微分値計算部)
40・・・β計算部(偏微分値計算部)
51・・・β計算部(偏微分値計算部)
52・・・CMA計算部(偏微分値計算部)

Claims (13)

  1. FM放送波を受信して受信信号を出力する受信部と;
    前記受信信号を可変のフィルタ係数に従ってフィルタリングする第1フィルタと;
    前記第1フィルタによりフィルタリングされた受信信号を復調して、メイン信号とサブ信号及びパイロット信号を含むコンポジット信号を生成するFM復調器と;
    前記コンポジット信号から前記メイン信号及びサブ信号が配置された帯域以外の対象帯域内に生じる歪み成分を抽出する第2フィルタと;
    前記歪み成分についての評価関数を最小化するように前記フィルタ係数を制御する係数制御部と;を具備するFM受信機。
  2. 前記対象帯域は、前記メイン信号とサブ信号との間の帯域である請求項1記載のFM受信機。
  3. 前記評価関数は、前記歪み成分の電力のアンサンブル平均または瞬時平均である請求項1記載のFM受信機。
  4. 前記係数制御部は、
    前記評価関数の偏微分値を計算する計算部と;
    前記偏微分値に前記歪み成分を乗じる第1乗算器と;
    前記第1乗算器の出力信号にステップ係数を乗じる第2乗算器と;
    前記第2乗算器の出力信号によって前記フィルタ係数を更新する更新部と;を有する請求項1記載のFM受信機。
  5. 前記計算部は、前記受信信号のベクトルの各要素について前記偏微分値を計算するように構成される請求項4記載のFM受信機。
  6. 前記計算部は、前記受信信号のベクトルの一つの要素に対応する第1偏微分値を計算し、前記第1偏微分値を遅延することによって前記ベクトルの他の要素に対応する第2偏微分値を近似するように構成される請求項4記載のFM受信機。
  7. FM放送波を受信して受信信号を出力する受信部と;
    前記受信信号を可変のフィルタ係数に従ってフィルタリングする第1フィルタと;
    前記第1フィルタによりフィルタリングされた受信信号を復調して、メイン信号とサブ信号及びパイロット信号を含むコンポジット信号を生成するFM復調器と;
    前記コンポジット信号から前記メイン信号及びサブ信号が配置された帯域以外の対象帯域内に生じる歪み成分を抽出する第2フィルタと;
    前記歪み成分についての第1評価関数と前記第1フィルタによりフィルタリングされた受信信号のターゲット振幅に対する誤差についての第2評価関数との加算値を最小化するように前記フィルタ係数を制御する係数制御部と;を具備するFM受信機。
  8. 前記対象帯域は、前記メイン信号とサブ信号との間の帯域である請求項7記載のFM受信機。
  9. 前記第1評価関数は、前記歪み成分の電力のアンサンブル平均または瞬時平均である請求項7記載のFM受信機。
  10. 前記係数制御部は、前記歪み成分についての第1評価関数の偏微分値を計算する計算部と;
    前記第1評価関数の偏微分値に前記歪み成分を乗じる第1乗算器と;
    前記第1の乗算器の出力信号と第2評価関数の偏微分値とを加算する加算器と;
    前記第1乗算器の出力信号にステップ係数を乗じる第2乗算器と;
    前記第2乗算器の出力信号によって前記フィルタ係数を更新する更新部と;を有する請求項7記載のFM受信機。
  11. 前記計算部は、前記受信信号のベクトルの各要素について前記偏微分値を計算するように構成される請求項7記載のFM受信機。
  12. 前記計算部は、前記受信信号のベクトルの一つの要素に対応する第1偏微分値を計算し、前記第1偏微分値を遅延することによって前記ベクトルの他の要素に対応する第2偏微分値を近似するように構成される請求項7記載のFM受信機。
  13. 前記加算器は、第2評価関数の偏微分値と前記第1の乗算器の出力信号とを重み付け加算するように構成される請求項7記載のFM受信機。
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