JP2007313767A - ポリマー成形品の製造方法およびポリマー成形品 - Google Patents

ポリマー成形品の製造方法およびポリマー成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】超臨界二酸化炭素等の高圧二酸化炭素を用い、射出成形等からなる形状精度の要求されるポリマー成形品の表面改質方法にあって、成形品の形状寸法精度を維持したまま表面改質する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】機能性材料が表面に偏在したポリマー成形品の製造方法であって、無機成分を20%以上40%以下含む非晶性熱可塑性樹脂を用いて、射出成形により前記ポリマー成形品を成形し、その後、高圧容器内で、前記ポリマー成形品に、機能性材料を溶解させた高圧二酸化炭素を接触させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は機能性材料を高圧二酸化炭素に溶解させ、ポリマーを表面改質するバッチプロセスおよび、それを利用したポリマーのメッキプロセスに関する。
無電解メッキは、プラスチック構造体よりなる電子機器の表面に金属導電膜を形成する手段として広く利用されている。プラスチックの無電解メッキプロセスは材料などにより多少異なるが、一般的に、樹脂成形、成形体の脱脂、エッチング、中和及び湿潤化、触媒付与、触媒活性化、および無電解メッキの各工程を経たプロセスからなる。
エッチングにはクロム酸溶液やアルカリ金属水酸化物溶液などを用いるが、これらエッチング液は中和等の後処理が必要なため、コスト高の要因となっている他、毒性の高いエッチャントを用いることによる取り扱いの問題がある。欧州では、電気・電子製品に含まれる特定有害化学物質を規制するRoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electric equipment)指令が制定され、2006年7月1日以降欧州市場に投入される新しい電気・電子機器には六価クロム等が含まれていないことを材料・部品供給メーカーも保証しなくてはならない。このような状況より、環境負荷が大きい従来のプラスチックの無電解メッキプロセスは代替技術への移行が必須課題となっている。さらに、クロム酸や過マンガンによりエッチングして粗化でき十分なメッキ膜の密着性が得られる材料は限られており、該エッチングにより溶解するABSやその成分を含むポリマー材料およびエラストマー等を含有するポリマー材料に限定される。これら材料で十分な機械的強度、耐熱強度を有するポリマー材料は開示されていない。
こうした、従来におけるプラスチックの無電解メッキ膜の形成技術の問題点を克服すべく、超臨界流体を用いた、新規なプラスチックの無電解メッキ法が提案されている(例えば、非特許文献1)。非特許文献1に記載された方法によれば、有機金属錯体を超臨界二酸化炭素に溶解させ、各種ポリマーに接触させることで、ポリマー表面に金属錯体を注入することができる。そして、加熱や化学還元処理する等によって還元することにより金属微粒子を析出させる。これにより、ポリマー表面全体に無電解メッキ可能になる。このプロセスによれば、廃液処理が不要で、表面粗さが良好なプラスチックの無電解メッキプロセスが達成できる、とされる。
そして、従来にメッキが困難であったポリマー材料に対して良好な密着性を有する金属メッキ膜を形成できることが示唆されている。
また、上記原理を利用したポリマーに対する無電解メッキ前処理のバッチ法として、超臨界流体の圧力や温度を規定した方法が開示されている(特許文献1)。
一方、様々な電子機器部品に使用されるポリマー表面に金属膜を形成することで電磁波シールド効果を得られることが知られている。例えば、携帯電話やデジタルカメラ等におけるカメラレンズモジュールにおいては、レンズにより被写体像をCCDやC−MOS等の撮像素子等のセンサーに結像させるが、携帯電話本体からの電気信号ノイズの該モジュールへの悪影響を抑制する方法として、撮像素子に隣接したモジュールをメッキ等により電磁波シールドする方法が開示されている(特許文献2)。
特開2004-26986号公報 特開2005−303550号公報 堀照夫著「超臨界流体の最新応用技術」株式会社エヌ・ティー・エス出版、p.250-255(2004)
上記非特許文献1および特許文献1は、バッチ処理による超臨界二酸化炭素を用いたポリマーの改質方法であり、金属錯体を用いた無電解メッキの前処理であるが、これら公報によれば超臨界二酸化炭素の圧力および温度条件は示唆されているものの、ポリマー板材の処理条件であり、複雑で形状精度が要求される射出成形等の成形品に対して、工業化レベルで適用するための課題や対策案は開示および示唆されていない。
本発明者らの検討によれば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のガラス転移点を越える温度で塑性変形する非晶性熱可塑性樹脂であるポリマー材料に関しては、超臨界二酸化炭素の浸透により、ポリマー表面が膨潤するので、形状精度を維持するのが困難であった。特にカメラレンズモジュール等、形状精度を要求されるポリマー成形品においては、成形時の形状が変化してしまい、ネジ部の勘合精度が悪化してしまう等の欠点を有することが明らかであった。
さらに、超臨界二酸化炭素に溶解させる金属錯体は高価であり、材料ロスが大きいとコスト高になり、小型電子機器部品等コスト競争が厳しい部品には適用できないという課題を有していた。上記公報においては、形状寸法精度が要求されるポリマー成形品に対し、材料消費を抑制し安価に大量生産する手法は開示および示唆されていない。
一方、前記カメラレンズモジュール等における電磁波シールドを得るための手法として、無電解メッキ膜を採用するためには、高耐熱ポリマー材料に密着性の高いメッキ膜を形成する必要がるが、上述のように従来の無電解メッキ法において、高強度のメッキ膜を形成することは困難であった。そのため、高比重で高価な金属フィラー等の無機材料が含有されたポリマー材料を用いて射出成形品を成形する必要が生じ、安価な部品を提供することに限界が生じた。蒸着やスパッタ等のドライプロセスでは、コスト高である上、複雑形状に金属膜を形成することが困難であった。そして、超臨界流体を用いた無電解メッキ法のバッチ処理では、ポリマー成形品の形状精度とメッキ膜の品質を両立させることが困難であった。
本発明の第一の目的は、超臨界二酸化炭素等の高圧二酸化炭素を用い、射出成形等からなる形状精度の要求されるポリマー成形品の表面改質方法にあって、成形品の形状寸法精度を維持したまま表面改質する方法を提供することにある。さらに、無電解メッキの高密着を有する金属膜を高耐熱、高強度のポリマー成形品に形成することを目的とする。
そして、高い密着性を有し電磁波シールド効果を有する金属膜の形成されたカメラレンズモジュール部品を提供することにある。
本発明における第一の態様においては、機能性材料が表面に偏在したポリマー成形品の製造方法であって、無機成分を20%以上40%以下含む非晶性熱可塑性樹脂を用いて、射出成形により前記ポリマー成形品を成形し、その後、高圧容器内で、前記ポリマー成形品に、機能性材料を溶解させた高圧二酸化炭素を接触させることを特徴とする。本発明に用いることのできる無機成分が混在した非晶性熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルサルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等、任意である。本発明に用いることのできる無機成分はガラス繊維、金属フィラー等任意である。本発明の態様によれば無機物が20%以上含んでいるので、高圧二酸化炭素がポリマー成形品内部に浸透した際の塑性変形が抑制できる。また、ポリマー内部に混在する無機物が高圧二酸化炭素やそれに溶解した機能性材料の深さ方向への浸透を抑制する等の理由により、表面に多くの機能性材料が偏析しやすくなる効果がある。また、40%以上であると流動性が著しく低下し成形困難になるので好ましくない。
本発明においては、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリフタルアミド等の結晶性熱可塑性樹脂においても上記無機成分が混合した非晶性熱可塑性樹脂と同様な効果が得られる。本発明者らの検討によれば、上記のような結晶性材料は、高圧二酸化炭素が浸透することによる塑性変形が起こりにくく、また表面近傍に高圧二酸化炭素に溶解した機能性材料が停滞しやすい。上記結晶性熱可塑性樹脂材料にガラス繊維等の無機材料が混在していてもよい。上記結晶性樹脂材料の機械的強度や耐熱性を向上させる観点からは、ガラス繊維等の無機フィラーが混入していてもよい。
本発明のバッチ処理によるポリマーの表面改質法においては、射出成形品に高い表面形状精度が要求される場合、一般的に成形収縮率が結晶性樹脂よりも小さい非晶性晶熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。
本発明における高圧二酸化炭素を用いたポリマー成形品の表面改質のバッチ処理においては、高圧容器におけるポリマーの占有体積率が50%以上99%以下であることを特徴とする。本態様においては、デットスペースが削減されることにより、高圧容器内における高圧二酸化炭素に溶解する機能性材料の濃度が向上する。そのため、金属錯体等、高価な材料の消費を削減できる。
本発明の更に好ましい態様においては、前記高圧容器が、第一の容器と、それに内蔵される第二の容器からなり、前記第二の容器内に、前記ポリマー成形品および前記機能性材料を設置するステップと、前記第一の容器の加温後に、前記第二の容器を前記第一の容器内部へ挿入するステップと、前記第二の容器内に前記高圧二酸化炭素を導入するステップと、前記高圧容器の温度および圧力を所定時間保持するステップとを含むことを特徴とする製造方法である。本態様によれば、第一の効果としてポリマー成形品が改質可能な温度に昇温される前に、高圧容器内部における改質材料を溶解させ、浴の濃度を十分に安定化させることができるので、容器内に多数個配置された各ポリマーの表面改質ムラを抑制することができる。また、第二の効果として熱的に不安定である金属錯体等の改質材料を早期に二酸化炭素に溶解させることにより、二酸化炭素に金属錯体が保護され熱分解をある程度抑制することができる。
機能性材料の高圧二酸化炭素への溶解速度が十分に速く、高圧容器内部で安定浴を早期に得ることができる場合においては、ポリマー成形品のみを先に高圧容器内に設置しておき、ポリマーの表面温度を一定にすることが望ましい。その後、機能性材料のおよび高圧二酸化炭素を導入することで、金属錯体等耐熱性が低い機能性材料が熱分解する前に高圧二酸化炭素に溶解させる手法をとることができる。
本発明のバッチ処理法においては、上記高圧容器内の温度および圧力を一定時間保持した後、圧力を保持した状態で高圧容器を冷却するステップを含んでいてもよい。本ステップは、特に非晶性熱可塑性樹脂材料の変形を抑制するのに好適である。
本発明に用いることのできる高圧二酸化炭素に溶解する機能性材料は、高圧容器内での処理条件(温度、圧力)における高圧二酸化炭素に対する溶解度が500mg/L以上の金属錯体であることを特徴とする。これにより高濃度に金属錯体が滞留するので触媒核が安定にポリマー表面に浸透する。そして高圧二酸化炭素に対し高溶解性を有する金属錯体を機能性材料に用いることにより、ポリマー成形品表面に金属微粒子を浸透させることができる。
本発明に用いることのできる金属錯体の種類は、エントレーナー等の助剤を用いることなく、単独で高圧二酸化炭素に対し上記高溶解性を有すれば任意である。本発明において、表面改質処理条件における高圧二酸化炭素に対する金属錯体の溶解度の測定方法は任意であり、抽出法、磁気浮遊天秤を用いた測定法等を用いることができる。
特に本発明においてはフッソを含有した金属錯体を用いることが望ましい。例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)錯体、ヘキサフルオロニッケル(II)錯体、ヘキサフルオロアセチルアセトナト銅(II)錯体が500mg/L以上の高い溶解性を有するので望ましい。ジメチルオクタジエンプラチナ(II)錯体は溶解度の面からは好適であるが、高価であり不経済である。溶解性、経済性およびメッキの触媒核としての機能性からいって、10000mg/L以上の非常に高い溶解度を有するパラジウム錯体であるヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)がより望ましい。
これら金属錯体は比較的低温度で熱分解(重量減少)を開始し、特にヘキサフルオロセチルアセトナトパラジウム(II)は70℃程度と100℃以下の低温度で重量減少を開始する。低温度で熱分解してしまう性質を有する金属錯体は、本発明の上記態様により、大気中で高温度に晒される前に速やかに高圧二酸化炭素に溶解させることで、表面改質処理条件となる高温条件下のおいても直ちに熱分解することはない。また熱分解温度が低いので、超臨界流体に溶解した金属錯体はポリマーに浸透した後、ポリマーの成形品内部で熱や圧力分解による金属微粒子化が促進する。無電解メッキ化の触媒核として寄与するためには、有機保護基で修飾させた金属錯体の分解および金属化が必要であるが、上記低温度で熱分解する金属錯体は、表面改質後における熱処理等の後処理が不要となるので、コスト低減につながる。また、高耐熱性を有する金属錯体は、後処理でも分解しにくくよって金属化しにくいので無電解メッキの触媒核として寄与しにくい。本発明に用いる金属錯体の熱分解開始温度は150℃以下であることが望ましい。また常温で安定に取り扱える等の観点より、50℃以上の熱分解開始温度を有する金属錯体であることが望ましい。
さらに、本発明の表面改質方法によれば、前記金属錯体等を由来とする金属微粒子をポリマー成形品の表面に浸透させた後、無電解メッキにより、従来プロセスの前処理なしで金属膜を形成することができる。
本発明の第二の態様においては、表面に無電解メッキ膜が形成されたポリマー成形品であって、前記ポリマー成形品は無機成分を20%以上含む非晶性熱可塑性樹脂からなり、
前記無電解メッキ膜と前記ポリマー成形品の界面、および前記ポリマー成形品の表面近傍には金属微粒子が偏在していることを特徴とするポリマー成形品であることを特徴とする。または、20%以上含む非晶性熱可塑性樹脂の代わりに、結晶性熱可塑性樹脂を用いたポリマー成形品であることを特徴とする。本態様によれば、高剛性を有するポリマー成形品であり、かつ無電解メッキが該成形品に強固に密着した成形体を提供できる。本発明のさらなる態様においては、前記無電解メッキ膜が被覆されたポリマー成形品は、耐熱性が150℃以上であることを特徴とする。本発明において耐熱性は、無負荷で塑性変形しない温度と定義されるが、加重熱変形温度(ISO75−2)が140℃以上であることが望ましい。本態様によれば、カメラレンズモジュール等、高温環境で安定寸法精度が要求される部品に適用できる。より望ましくは、ハンタリフロー耐性が得られるので、200℃以上の耐熱性を有する無電解メッキ膜の形成されたポリマー成形品であることが望ましい。
さらに、本発明の無電解メッキ膜が被覆されたポリマー成形品は、体積が1×10-3cm以上1cm以下であることを特徴とする。射出成形で成形できる大きさである1×10-3cm程度が下限である。また、1cm以上の体積になると、高圧容器内で塑性変形を抑制するのが困難となる。さらに、大量生産に不向きとなる。
本発明の、表面に無電解メッキ膜の形成された前記ポリマー成形品は、カメラ用レンズの保持部材であることを特徴とする。本発明のレンズ部材は、撮像素子とレンズの間に介在する成形部品であれば、部品の種類やメッキ膜の領域は限定されず、レンズを保持する部品および撮像素子と固定される部品が好適である。本態様によれば、レンズ保持部品の側面だけでなく全面に良好な密着性を有する金属膜が容易に形成できるので、電磁波シールド効果が高いカメラレンズモジュール部品となり、好適である。
一方、通常のレンズ保持部材部品は、レンズを通過し入射された光がセンサーに届くまでに、該レンズ保持部材の表面で反射するとゴーストフレアの要因になるので、射出成形品からなる該保持部材は一般的に黒色化している。よって、レンズ保持部材の内壁に反射率の高い金属膜が形成されると、上記問題が顕在化する恐れがあるので、内壁部にはメッキ膜を形成しないか、黒色メッキをすることが望ましい。
また、本発明の異なる態様としては、カメラ用レンズの保持部材であって、レンズが接着され、かつ第一のネジ部を有する第一部材と、前記第一のネジ部と勘合する第二のネジ部を有する第二部材とからなり、前記第一、第二のネジ部の一方または、両方には、無電解メッキ膜が形成されていることを特徴とする。レンズが接着された第一部材と背面に撮像素子等のセンサーを固定化できる第二部材はネジで勘合され、ネジの勘合深さにより撮像素子とレンズの焦点を調整する。従来の製造方法では、これら部材のネジ部に密着性の高い金属膜を形成することは不可能であった。前記本発明における第一の態様の製造方法を用いると、これらの部品のネジ部に密着性の高いメッキ膜を形成することができ、ネジ部の摩擦係数が低下し、両部品の勘合調整が容易になる。
本発明によれば、安価な高圧装置にて、形状精度の要求されるポリマー成形品を大量に表面改質できる。環境負荷の大きい溶媒を使わずに、高強度および高耐熱ポリマーの表面に対して無電解メッキ前処理を施すことができる。
[実施例1]
本実施例において用いた高圧二酸化炭素を用いた表面改質用バッチ式高圧装置の概略図を図3に示す。
本発明における高圧装置の構成は任意であるが、本実施例においては、液体二酸化炭素ボンベ33、シリンジポンプ11、高圧容器10からなる構成とした。
本発明のポリマーの表面改質方法においては、高圧容器として、第一の容器7とそれに内蔵される内臓容器(第二の容器)5からなる高圧容器を用いた。予め処理温度近傍に第一の容器7を温度調整しておき、別の容器もしくは治具に固定しておいたポリマーや機能性材料を該独立した別の内蔵容器(第二の容器)5とともに第一の容器内部に挿入し、次いで内蔵容器(第二の容器)内部のポリマー等が十分に昇温する前に、超臨界状態等の高圧二酸化炭素を導入することが望ましい。それにより、ポリマーが改質可能な温度まで昇温され、高圧二酸化炭素に晒され膨潤する前に高圧容器内部における改質材料の濃度を十分に安定化させることができるので、容器内に多数配置された各ポリマーの表面改質ムラを抑制することができる。また、熱的に不安定である金属錯体等の改質材料を早期に二酸化炭素に溶解させることにより、熱分解をある程度抑制することができる。これは、二酸化炭素により金属錯体が保護されるためと考えられる。容器内部のポリマーの各温度が安定化する前に機能性材料の濃度が安定化するので、改質むらを抑制できる。
本実施例においては、蓋20を開放した状態で、予め内蔵容器(第二の容器)にポリマー4および機能性材料を設置した。本発明におけるポリマーを固定化する容器の形態や方法は任意あるが、本実施例における容器の形態および方法を図4〜図6を用いて説明する。図4は内蔵容器(第二の容器)5の模式図、図5は図4のA-A’ラインの断面上面図、図6は各ポリマー4およびその固定治具27の構造図である。まず、ポリマー成形品4を固定治具27に載せた。固定治具27は網目状シート26の表裏面に格子状にアルミの支持体13、25が固定化されたものである。網目シート26の表における支持体13は各ポリマー成形品4を区分する役割、両支持体13,25は各固定治具27を積層した際に互いに密接することで、ポリマー4が接触するのを抑制する役割を有する。また、ポリマー成形品4が搭載された各固定治具は、釣り治具24を掴むことで移動可能であり、図6で模式的に示すように内蔵容器本体9の内部にて積層される。
内蔵容器本体9の断面上面図である図5に示すように、本実施例においては、最大10×10=100個のポリマー成形品4が搭載できる固定治具を用いた。図4に示す通り、所定数のポリマー成形品4を搭載した各固定治具27を内蔵容器本体9に最大10段まで積層した。つまり、本実施例における装置でのポリマー成形品4の最大処理数は1000個である。予め内蔵容器およびポリマーに余熱を与えておいてもよい。
内蔵容器本体9下部には、攪拌子21を設置した。本発明の高圧容器内部においては、機能性材料を溶解させた高圧二酸化炭素を攪拌することが望ましい。超臨界状態の高圧二酸化炭素は密度が高く、溶媒として液体と同様に振舞うので、重力の影響を受けて高圧容器の下部ほど濃度が高くなりやすいからである。攪拌の方法としては任意であるが、機械攪拌機を用いるとデットスペースが大きくなる、シールの安定化が課題となる、等のリスクが生じるので、高圧容器のコストが安価にできる攪拌子を用いる手法を採用することが望ましい。本実施例においては、高圧容器本体(第一の容器)7をSUS304、内蔵容器本体をアルミと非磁性材料で作製し、攪拌子21を磁場攪拌できるようにした。
さらに、本実施例においては固定治具27を積層した内蔵容器本体9上に、図4に示す通り内蔵用器用蓋30を設置し、次いで、機能性材料8の仕込まれた溶解容器6を該内蔵容器蓋30上に設置した。溶解容器は上下にフィルター16を蓋34A、34Bで挟んだ構造を有しており、該蓋の中央に開設された孔を介して、高圧二酸化炭素およびそれに溶解して機能性材料が流通する。
本発明において、機能性材料の種類は任意であるが、本実施例においては金属錯体を用いた。金属錯体の種類は任意であるが改質処理する温度および圧力条件における二酸化炭素に対し500mg/L、更に好ましくは1000mg/L以上の溶解度を示す金属錯体が望ましい。高圧容器内部の濃度が高濃度になり、高品質な改質が得られる。本実施例における処理条件である温度110℃、圧力15MPaの二酸化炭素に対する各種金属錯体の溶解度を表3に示す。本実施例においては、10000mg/L以上の溶解度を有するヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)を用いた。
表3に各種金属錯体の熱重量測定法による熱分解開始温度を併記した。本金属錯体は特異的に高い溶解度を示す半面、低温で熱分解してしまうという欠点を有する。本発明者らが本金属錯体の熱的特性を上記方法で測定した結果、大気中もしくは窒素雰囲気中においては73℃程度で分解が始まり、150℃で完全分解することがわかった。さらに、高圧二酸化炭素に溶解した状態においては分解速度が緩和されることが判明した。そのため、上記方法により、大気中で高温になる前に、高圧二酸化炭素に溶解させることで、高温二酸化炭素雰囲気において、ある一定時間は安定に存在させることができる。
また、本発明に用いる金属錯体の熱分解開始温度は150℃以下であることが望ましい。低温度で熱分解する金属錯体は、表面改質後におけるポリマーの熱処理等の後処理が不要になるので、コスト低減につながる。また、高耐熱性を有する金属錯体は、後処理でも分解しにくくよって金属化しにくいので無電解メッキの触媒核として寄与しにくい。また本発明に用いる金属錯体の常温で安定に取り扱える等の観点より、50℃以上の熱分解開始温度を有する金属錯体であることが望ましい。
本発明において金属錯体等の機能性材料の仕込み量は任意であり、安定品質が得られる最小量であることが望ましい。上記高溶解度材料を用いることで、仕込み量を削減できる。本実施例においては、前記金属錯体の溶解容器6内部における仕込量を100mgより2000mgまで変化させた。
上記方法にて、常温で、内蔵容器(第二の容器)5にポリマー4および機能性材料8を設置する以前に、図示しないカートリッジヒーターにて110℃で第一の容器7を温調しておいた。そして、温調された第一の容器7に内蔵容器(第二の容器)5を設置した後、1分間以内でバネ内蔵のポリイミド製シール材36を有する高圧容器蓋20で高圧容器を密閉し、次いで、直ちに高圧二酸化炭素を高圧容器10内の導入路18より導入した。
本発明における高圧二酸化炭素の圧力は任意であり、液体の密度に近くなる臨界点を越えた7.38MPa以上、シールが比較的容易な25MPa以下が望ましい。温度はポリマーにより最適化されるが、臨界点の31℃以上、シールが比較的容易な150℃以下が望ましい。本実施例においては110℃、15MPaの超臨界二酸化炭素を用いた。高圧二酸化炭素の高圧容器への供給方法は任意であるが、本実施例においては排出バルブ23を閉鎖した後、以下のように行った。まず、液体二酸化炭素ボンベ33より供給した10℃の液体二酸化炭素をシリンジポンプ11にて15MPaに昇圧し、図示しない110℃に温調したバッファータンクに供給した。さらに、導入バルブ12を開放し、高圧容器10内に高圧二酸化炭素を導入した。排出流路17より接続された圧力計15が15MPaを表示した。また背圧弁14を予め15MPa制御に設定してあるので、圧力が過上昇した際にも背圧弁14より、余剰な二酸化炭素は排気される。
次に、マグネチックスターラー19を駆動させ、攪拌子21を回転させた。高圧二酸化炭素に短時間で溶解した金属錯体8は内蔵容器空間22に高速で拡散していく。本発明においては、内蔵容器空間22におけるデットスペースを極力縮小することが望ましい。本発明においては、高圧二酸化炭素が滞留する内容積Vは固定治具や内蔵容器等、無機物の体積は含まないものとし、改質を施すポリマー4の総体積をV2とした場合のポリマー占有率はV2/V(%)と定義する。本実施例においては、ポリマーの処理数を調整し、高圧容器内容積に対するポリマー占有率を50〜92%と変化させた。つまり、ポリマー体積占有率が92%のときに、ポリマーの処理数は最大の1000個となる。
本発明において用いることのポリマーは射出成形等による成形加工品であることが望ましい。またポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルサルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等、非晶性熱可塑性樹脂材料である場合、ガラス繊維、金属フィラー等の無機物が20%以上含む材料を用いることが好適である。無機物が20%以上であると、高圧二酸化炭素が内部に浸透した際の塑性変形が抑制できる。また、ポリマー内部に混在する無機物が高圧二酸化炭素やそれに溶解した機能性材料の深さ方向への浸透を抑制する等の理由により、表面に多くの機能性材料が偏析しやすくなる効果がある。
また、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリフタルアミド等の結晶性樹脂材料に関しては、高圧二酸化炭素の浸透による変形の弊害が少ないため、無機物が混合されていなくてもよい。一般的に結晶性材料の成形収縮率は大きく、金型形状を成形品が正確にトレースしにくいので、高精度の形状制度が要求される場合は、無機物が混合された非晶性熱可塑性樹脂を採用することが望ましい。
本実施例においては、ガラス繊維が30%入った加圧熱変形温度(ISO75−2)が148℃のポリカーボネート非晶性樹脂材料を用いた。
本発明における成形品の形状および用途は任意であるが、本実施例においては、カメラレンズモジュールのレンズ保持部材とした。図1にカメラレンズモジュールの部品構成を示すが、レンズ32が接着された第一のレンズ保持部材31と背面に撮像素子等のセンサーを固定化できる第二の保持部材4からなる部品である。各保持部材はネジで勘合され、ネジの勘合深さにより図示しない撮像素子とレンズ32の焦点を調整する。外部からの電磁波ノイズを遮断するためにメッキ膜等の金属膜を撮像素子に隣接する第二の保持部材4表面に形成することが望ましい。
本発明においては、特に熱可塑性樹脂を用いた場合、ポリマー成形品の形状精度維持のため、成形品の体積が1cm以下であることが望ましい。1cm以下の体積を有する小型部品のほうが、より形状精度を維持しやすい。本発明に採用できる成形品の体積の下限値は、射出成形品における小型化の限界である1×10−3cmである。本実施例における成形品の体積は0.8cmとした。
上記高圧二酸化炭素の高圧容器内に導入後30分間保持した。本発明においては、高圧保持後、特に熱可塑性樹脂材料の場合は、圧力保持した状態で冷却することが望ましい。本実施例においては、圧力保持状態にて、図示しない冷却回路を循環する冷却水により高圧容器10を50℃まで冷却した。その後、排気バルブ23を開放し、高圧容器内部の高圧二酸化炭素を排気した。高圧二酸化炭素の排気後、成形品を取り出したところ、すべての成形品において表面に金属微粒子2が偏在していることが確認でき、かつメスネジ部の変形はなく、オスネジ部品である第一のレンズ保持部材31との勘合は良好であった。
本実施例における、ポリマー体積占有率と金属錯体の仕込み量を変化させた各ポリマーサンプルをアルコールで洗浄し、乾燥させた後、無電解メッキ化処理した。無電解メッキ液は奥野製薬製の無電解ニッケルリンメッキ液であるニコロンDKを用い、約75℃に温調されたメッキ液に15分間成形品を浸漬し、約1μmのニッケルリン無電解メッキ膜1を形成した。メッキを施した本実施例品の写真を図2に示す。
各条件における本実施例の成形品のメッキは90%以上の歩留まりで膨れなく良好にメッキされていた。さらに本実施例のポリマー成形品の耐熱評価を行った。メッキ品を150℃の恒温槽に500hr保持した後のメッキ膜の剥離評価を行い、トータルの歩留まりにおいて90%以上を○、70%以上を△、70%以下を×とした。
本実施例における、ポリマー体積占有率と金属錯体の仕込み量を変化させた際における、メッキ密着性の上記評価結果を表1に示す。なお、ポリマーの体積占有率が本実施例における最大値である92%(1000個成形品一括処理)であり、金属錯体仕込み量が100mgの際における、成形品1個あたりの金属錯体の単価を1とした場合の、各条件における単価比を併記した。本実施例においては、コスト比が上記基準条件に対し、20倍以上となった場合、コスト的に不適当であると判断した。
本実施例における、ポリマーの体積占有率が50%以上の範囲においては、金属錯体の仕込み量に係らず全条件でメッキ密着性は△あるいは○となり、良好であった。ただし、金属錯体の仕込み量が2000mgにおいて、ポリマーの体積占有率が92%以下では、材料コストが不適当となった。
[ポリマーの体積占有率50%以下での実験]
次に、高圧容器内のポリマーの体積占有率を50%以下となる13%から45%の条件に変化させた以外は、金属錯体の仕込み量を同様に変化させ同様にポリマー成形品を改質した。ポリマー成形品表面に金属微粒子が偏在し、かつメスネジ部の変形はなくネジ勘合は良好であることを確認し、その後、さらに無電解メッキ化した。ポリマー成形品のメッキ密着性を評価した結果をコスト比とあわせ表1に示す。これより、高圧容器内部におけるポリマーの体積占有率が低くなると、メッキ密着性が低下することが明らかである。金属錯体の仕込み量を、コストを無視して2000mgと多くすると上記課題は改善されるが工業化には適さないことがわかった。
以上より、ポリマーの高圧容器内における体積占有率が50%以上で金属錯体の機能性材料の仕込み量を低減でき、低コストで良好な密着性を有するメッキ膜が得られることが判明した。
Figure 2007313767


[実施例2]
本実施例においては、ポリマー成形品の樹脂材料およびガラス繊維の混合比を下記のように変化させて、実施例1と同様な表面改質を施し、メッキ処理およびメッキ膜の密着性評価を行った。ポリマーの体積占有率は92%、金属錯体の仕込み量は100mgとした。PMMAのガラス繊維入り材料は押し出し成形でペレットより試作した。
ポリカーボネート:ガラス繊維入り 20,30%
PMMA(ポリメチルメタクリレート):ガラス繊維入り20,30%
液晶ポリマー ガラス繊維0、10%
ポリアミド(PA6)ガラス繊維0、13、33%
本実施例における各成形品の表面改質後の変形およびメッキ密着性の評価結果を表2に示す。本実施例における非晶性熱可塑性樹脂であるポリカーボネート、PMMAのガラス繊維が20%以上入った材料、結晶性熱可塑性樹脂である液晶ポリマー、ポリアミドに関しては、ポリマーの変形、密着性ともに良好であった。
[比較例1]
非晶性材料であるポリカーボネートおよびPMMAのガラス繊維が混合されていないポリマー成形品、およびガラス繊維が10%混合された成形品それぞれを実施例2と同様に表面改質および無電解メッキ化処理し、実施例2と同様に成形品の変形およびメッキ密着性を評価した結果を表2に示した。
本比較例のポリマー成形品は変形が著しく、オスネジが勘合しなかった。またメッキ膜に膨れが発生し、密着性が不良となった。
また、ポリカーボネートのガラス繊維40%、50%混合材料を押し出し成形でペレットより試作し、上記同様に実験を行ったところ、流動性が悪く成形困難であった。
これより、本発明のポリマー成形品の表面改質バッチ処理法においては、無機物が20%以上40%以下混合された非晶性熱可塑性樹脂、もしくは結晶性熱可塑性樹脂を用いることが有効であることが明らかとなった。
Figure 2007313767
[実施例3]
金属錯体の種類として、ヘキサフルオロアセチルアセトナトニッケル(II)、ジメチルオクタジエンプラチナ(II)をそれぞれ用いて実施例1と同様な表面改質を施し、メッキ処理およびメッキ膜の密着性評価を行った。ポリマーの体積占有率は92%、金属錯体の仕込み量は1000mgとした。それぞれの金属錯体の溶解度は500mg/L以上を有し、耐熱は150℃以下である。
本実施例におけるポリマー成形品におけるメッキ密着性の評価結果を表3に示す。参考に、実施例1の用いたヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)を用いた実験結果も併記した。ヘキサフルオロアセチルアセトナトニッケル(II)はメッキ密着性△(歩留まりで評価)でやや落ちたが、材料コストは安価である。またジメチルオクタジエンプラチナ(II)は、メッキ密着性は良好○であったが、材料コストは実施例1の約5倍であった。
[溶解度500mg/L以下の金属錯体を用いた実験]
金属錯体の種類として、アセチルアセトナトパラジウム(II)、ニッケロセン、アセチルアセトナトプラチナ(II)をそれぞれ用いて上記と同様な表面改質を施し、メッキ処理およびメッキ膜の密着性評価を行った。
本実験におけるポリマー成形品におけるメッキ密着性の評価結果を表3に示す。表面改質後、成形品の変形がないことは確認できたが、溶解度が低く耐熱性の高いこれら材料ではメッキ密着性が不良であった。
Figure 2007313767
[実施例4]
本実施例においては、ポリマー成形品の樹脂材料をガラス繊維30%入りの液晶ポリマーとし、ポリマーの体積占有率は92%、金属錯体の仕込み量は100mgとして実施例1と同様な方法で金属錯体の触媒核を成形品表面全体に含浸させた。
液晶ポリマーは結晶性樹脂であり、ガラス繊維がなくとも表面改質処理によって変形しないが、射出充填時の液晶高分子の配向性に起因した機械的強度の異方性を抑制するため、あるいはハンダリフロー耐性を向上させるために、ガラス繊維を含有させることが望ましい。
実施例の成形品表面のメッキ方法においては、レンズ保持部品の内壁3をメッキ膜が形成されないようにした。まず、図8に示すように、シリコン樹脂からなる部材41、44とポリカーボネート樹脂シート部材42、43のサンドイッチ構造からなる押さえ部材40,45でポリマー成形品4の上下面を図示しないボルトを用い、図9に示すように押さえこんだ。下の押さえ部材40のシリコン樹脂部材41表面にはポリマー成形品の内径が嵌まりこむ挿入部46が形成されている。表面が柔軟な押さえ部材40,45でポリマー成形品4を密着性よく押さえ込み、成形品の内周部3にはメッキ液が接触しないようにした。また、ポリマー成形品4の外周部は、貫通穴47を通じてメッキ液が流通するようにした。
次いで、ポリマー成形品4と押さえ部材40,45を図10に示すように、メッキ液に含浸させ、振動させながら、外周部にのみ選択的にメッキ液を成長させた。
本実施例においては、まず実施例1と同様、P濃度が8%程度と低いNi−Pメッキ膜を1μm形成(メッキ液:奥野製薬製ニコロンDK)した。一般的に、P濃度が低いと密着性は高くなるが耐蝕性は低下する。本実施例においては、密着性を維持したまま、Ni−Pメッキ膜の耐蝕性を向上させるため、表層にP濃度が10〜12%程度と高いNi−Pメッキ膜を5μm形成(メッキ液:奥野製薬製トップニコロンSA−98)した。本実施例の成形品は特に高温多湿環境下におけるNi−Pメッキ膜の耐蝕性が改善される。
80℃90%RHの高温多湿環境にて300hr試験したところ、膜の膨れ、変質は認められなかった。
本実施例における成形品の断面構造模式図を図7に示す。本実施例の成形品は内周部に金属膜が形成されていないので、ゴーストフレアが抑制できる。
[実施例5]
本実施例においては、実施例4と同様な方法で第一のレンズ保持部材31と背面に撮像素子等のセンサーを固定化できる第二の保持部材4両方の成形部品を表面改質処理および無電開Ni−Pメッキを行った。図11に示すように両部品ともに表面全体に触媒核を付与した後、内周部を実施例3と同様な方法でマスキングしてメッキ膜を形成した。本実施例のカメラレンズモジュール部品は、レンズとセンサーが接する底面との間の内周部は黒色であり、ゴーストフレアの問題がない上、ネジ部の片側に密着性の高い金属膜が形成されているので、摩擦係数が低下している。よって、両部品の勘合調整が容易である。
[実施例6]
本実施例においては、実施例4と同様な方法で第一のレンズ保持部材31と背面に撮像素子等のセンサーを固定化できる第二の保持部材4両方の成形部品に表面改質処理を行った。その後、奥野製薬工業製OPC−750無電解銅メッキ液を用い、無電解銅メッキを1μm形成した。Ni−Pよりも銅(Cu)のほうが、電磁波シールド効果が高いため好適である。さらに、銅の腐食を抑制するため、Cu上に従来法を用いて触媒付与を行い、耐食性の高い無電解Ni-Pメッキ(メッキ液:奥野製薬工業製トップニコロンSA−98)を施した。両部品ともに、内周部を実施例3と同様な方法でマスキングしメッキ膜を形成した。本実施例のカメラレンズモジュール部品は、電磁波シールド性能の高い銅メッキ膜が下地に形成されているので好適である。
[実施例7]
本実施例においては、実施例1と同様なポリマー成形品を用い同様な条件にて表面改質処理を行い、同様な条件にてNi−Pメッキ膜を成形品4表面全体に形成した。その後、黒色ニッケルメッキを施した。10μmの膜厚の黒色Niメッキ膜(メッキ液:奥野製薬製ニコブラックM)を形成後、黒色化処理をエッチング液(奥野製薬製ニコブラックBL)を用いて行った。本実施例の成形品は表面が黒色であるため、上記ゴーストフレアが抑制され、導電性を有するため好適である。
本発明のレンズ保持部材(模式図 その1) 本発明のレンズ保持部材(写真) 表面改質用バッチ式高圧装置の概略図 内蔵容器(第二の容器)5の模式図 図4のA-A’ラインの断面上面図 各ポリマー4およびその固定治具27の構造図 本発明のレンズ保持部材(模式図 その2) 本発明であるレンズ保持部材の鍍金方法を説明する図(その1) 本発明であるレンズ保持部材の鍍金方法を説明する図(その2) 本発明であるレンズ保持部材の鍍金方法を説明する図(その3) 本発明のレンズ保持部材(模式図 その3)
符号の説明
1 無電解メッキ膜
2 金属微粒子
3 レンズ保持部品の内壁
4 ポリマー成形品(背面に撮像素子等のセンサーを固定化できる第二の保持部材)
5 高圧容器を構成する第二の容器(内臓容器)
6 溶解容器
7 高圧容器を構成する第一の容器(高圧容器本体)
8 機能性材料
9 内蔵容器本体
10 高圧容器
11 シリンジポンプ
12 導入バルブ
13 固定治具27を構成するアルミの支持体(その1)
14 背圧弁
15 圧力計
16 フィルタ
17 排出流路
18 高圧二酸化炭素の導入路
19 マグネチックスターラー
20 高圧容器蓋
21 攪拌子
22 内蔵容器空間
23 排気バルブ
24 固定治具27を構成する釣り治具
25 固定治具27を構成するアルミの支持体(その2)
26 固定治具27を構成する網目状シート
27 ポリマー4の固定治具
30 内蔵用器用蓋
31 第一のレンズ保持部材
32 レンズ
33 液体二酸化炭素ボンベ
34 溶解容器の蓋
36 バネ内蔵のポリイミド製シール材
40 押さえ部材(その1)
41 押さえ部材を形成するシリコン樹脂からなる部材(その1)
42 押さえ部材を形成するポリカーボネート樹脂シート部材(その1)
43 押さえ部材を形成するポリカーボネート樹脂シート部材(その2)
44 押さえ部材を形成するシリコン樹脂からなる部材(その2)
45 押さえ部材(その2)

Claims (15)

  1. 機能性材料が表面に偏在したポリマー成形品の製造方法であって、
    無機成分を20%以上40%以下含む非晶性熱可塑性樹脂を用いて、射出成形により前記ポリマー成形品を成形し、
    その後、高圧容器内で、前記ポリマー成形品に、機能性材料を溶解させた高圧二酸化炭素を接触させることを特徴とする製造方法。
  2. 機能性材料が表面に偏在したポリマー成形品の製造方法であって、
    結晶性熱可塑性樹脂を用いて射出成形により前記ポリマー成形品を成形し、
    その後、高圧容器内で、前記ポリマー成形品に、機能性材料を溶解させた高圧二酸化炭素を接触させることを特徴とする製造方法。
  3. 前記高圧容器の内容積におけるポリマー成形品の占有体積率が50%以上99%以下であることを特徴とする請求項1乃至2記載の製造方法。
  4. 前記高圧容器が、第一の容器と、それに内蔵される第二の容器からなり、
    前記第二の容器内に、前記ポリマー成形品および前記機能性材料を設置するステップと、
    前記第一の容器の加温後に、前記第二の容器を前記第一の容器内部へ挿入するステップと、
    前記第二の容器内に前記高圧二酸化炭素を導入するステップと、
    前記高圧容器の温度および圧力を所定時間保持するステップとを含むことを特徴とする
    請求項1乃至3記載の製造方法。
  5. 前記高圧容器内の温度および圧力を所定時間保持するステップの後、
    前記圧力を保持した状態で高圧容器を冷却するステップを更に含むことを特徴とする請求項4記載の製造方法。
  6. 前記機能性材料が、
    前記高圧容器内の温度および圧力を所定時間保持するステップにおける
    前記温度、前記圧力での高圧二酸化炭素に対する溶解度500mg/L以上の金属錯体であることを特徴とする請求項4乃至5記載の製造方法。
  7. 更に、前記ポリマー成形品表面に、
    前記金属錯体由来の金属を触媒として無電解メッキにより金属膜を形成するステップを有する請求項6記載の製造方法。
  8. 高圧容器内で、
    ポリマー成形品に、機能性材料を溶解させた高圧二酸化炭素を接触させることにより、
    前記ポリマー成形品の表面に前記機能性材料を偏在させる方法であって、
    前記ポリマー成形品が、無機成分を20%以上40%以下含む非晶性熱可塑性樹脂からなることを特徴とする方法。
  9. 高圧容器内で、
    ポリマー成形品に、機能性材料を溶解させた高圧二酸化炭素を接触させることにより、
    前記ポリマー成形品の表面に前記機能性材料を偏在させる方法であって、
    前記ポリマー成形品が、結晶性熱可塑性樹脂からなることを特徴とする方法。
  10. 表面に無電解メッキ膜が形成されたポリマー成形品であって、
    前記ポリマー成形品は無機成分を20%以上含む非晶性熱可塑性樹脂からなり、
    前記無電解メッキ膜と前記ポリマー成形品の界面、および前記ポリマー成形品の表面近傍には金属微粒子が偏在していることを特徴とするポリマー成形品。
  11. 表面に無電解メッキ膜が被覆されたポリマー成形品であって、
    前記ポリマー成形品は結晶性熱可塑性樹脂からなり、
    前記無電解メッキ膜と前記ポリマー成形品の界面、および前記ポリマー成形品の表面近傍には金属微粒子が偏在していることを特徴とするポリマー成形品。
  12. 前記無電解メッキ膜が形成されたポリマー成形品は、耐熱性が150℃以上であることを特徴とする請求項10又は11記載のポリマー成形品
  13. 前記無電解メッキ膜が形成されたポリマー成形品は、体積が1×10-3cm以上1cm以下であることを特徴とする請求項10乃至12記載のポリマー成形品
  14. 前記ポリマー成形品は、カメラ用レンズの保持部材であることを特徴とする請求項10乃至13記載のポリマー成形品
  15. カメラ用レンズの保持部材であって、
    レンズが接着され、かつ第一のネジ部を有する第一部材と、
    前記第一のネジ部と勘合する第二のネジ部を有する第二部材とからなり、
    前記第一、第二のネジ部の一方または、両方には、
    無電解メッキ膜が形成されていることを特徴とするカメラ用レンズの保持部材。
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