JP2006239961A - 金属樹脂複合体および、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属部品と同等の強度、硬度等を有する金属樹脂複合体を提供する。
【解決手段】 樹脂と該樹脂の架橋助剤を含む樹脂組成物を成形し、該樹脂成型品の所要の表面を表面処理した後、表面の少なくとも一部に金属層を形成し、ついで、放射線照射により前記樹脂を架橋させて架橋樹脂成型品とし、その後、加熱処理してアニールして金属樹脂複合体を製造している。該金属樹脂複合体は引張強度が200MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上、表面金属層の硬度がビッカース硬度で100Hv以上であるものとしている。
【選択図】 図1
【解決手段】 樹脂と該樹脂の架橋助剤を含む樹脂組成物を成形し、該樹脂成型品の所要の表面を表面処理した後、表面の少なくとも一部に金属層を形成し、ついで、放射線照射により前記樹脂を架橋させて架橋樹脂成型品とし、その後、加熱処理してアニールして金属樹脂複合体を製造している。該金属樹脂複合体は引張強度が200MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上、表面金属層の硬度がビッカース硬度で100Hv以上であるものとしている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、金属樹脂複合体および、その製造方法に関し、詳しくは、金属と同等の強度、および硬度を有するが、軽量で耐熱性、耐摩耗性に優れ、電子・電気部品等に好適に用いられる金属樹脂複合体に関するものである。
電子・電気分野等においては、軽量化、小型化、薄肉化、さらに複雑な形状でプレス加工が困難な場合に加工容易化を図る等の観点から、金属に代えて、樹脂成形品の表面に金属層を設けた金属樹脂複合体の適用範囲の拡大が要望されている。即ち、樹脂成形品の表面に金属層を形成することにより金属部品を樹脂化して軽量化し、複雑な形状を金型で加工可能とすることが要望されている。
この種の金属樹脂複合体においては、(1)樹脂成形品が金属と同様な強度、硬度、耐摩耗性を有することと、(2)樹脂成形品の表面と金属層との接着強度が十分であることが重要な条件となる。
前記金属樹脂複合体に関して、従来、特開平8−25409号公報(特許文献1)において、インサート用金属部品と樹脂とを射出成形により一体成形する際に、金属部品に予めトリアジンチオール類の化合物による表面処理を施す、あるいは樹脂にトリアジンチオール類を添加することによって、金属部品との接着強度を向上させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された金属−樹脂複合体の製造方法では、インモールド成形するときの成形性を良好に保ち、かつ、金属と樹脂との接着強度と、耐半田性(半田による金属接合時の熱変形に対する耐性)とを十分なものとする要求を満たすことは困難である。
例えば、インモールド成形による成形性を良好に保つには、流動性が良好でバリの発生が少ない樹脂を使用する必要があるものの、成形性を満足し得るポリアミド樹脂(例えばナイロン−6等)やポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂では、半田に対する耐熱性が不十分であるために、金属部品の接合時に熱変形が生じる問題がある。かつ、ポリアミド樹脂やPBT樹脂を使用した場合でも、通常の射出成型用の金型温度(90℃前後)では十分な金属との接着強度が得られないため、金型温度を非常に高くしたり、成形後に熱処理を行う必要があるが、前者の場合は成形サイクルが長くなるという問題が、後者の場合は熱処理時に変形が生じるという問題が生じる。
一方、耐熱性の高い液晶ポリマーでは、様々な樹脂改質の試みがなされたにも関わらず、金属と樹脂との接着強度を高くすることができない問題がある。
例えば、インモールド成形による成形性を良好に保つには、流動性が良好でバリの発生が少ない樹脂を使用する必要があるものの、成形性を満足し得るポリアミド樹脂(例えばナイロン−6等)やポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂では、半田に対する耐熱性が不十分であるために、金属部品の接合時に熱変形が生じる問題がある。かつ、ポリアミド樹脂やPBT樹脂を使用した場合でも、通常の射出成型用の金型温度(90℃前後)では十分な金属との接着強度が得られないため、金型温度を非常に高くしたり、成形後に熱処理を行う必要があるが、前者の場合は成形サイクルが長くなるという問題が、後者の場合は熱処理時に変形が生じるという問題が生じる。
一方、耐熱性の高い液晶ポリマーでは、様々な樹脂改質の試みがなされたにも関わらず、金属と樹脂との接着強度を高くすることができない問題がある。
前記特許文献1の問題を解消するものとして、本出願人は先に特開2001−47462号(特許文献2)で、「トリアジンチオール類によって表面処理が施された、および/または表面粗さRaが1〜10μmとなるように粗面化処理が施された金属部品と、多官能性モノマーを含有するポリアミド樹脂とが一体成形され、放射線の照射による前記ナイロン樹脂の架橋と100℃以上での熱処理とが施された金属−樹脂複合体」を提供している。
特許文献2では、トリアジンチオール類を介して金属を結合したポリアミド樹脂からなる樹脂成形品に放射線を照射することにより、ポリアミド樹脂を架橋させ、さらに所定の温度以上で熱処理を施してポリアミド樹脂の優れた成形性を維持しつつ、金属と樹脂との接着強度を高め、耐半田性が良好で、製造工程時における熱変形等のおそれのない金属−樹脂複合体を得るものである。
前記特許文献2の金属樹脂複合体は前記(2)の樹脂成形品の表面と金属層との接着強度が十分であることの要望を満たしているが、前記(1)の樹脂成形品が金属と同様な強度を有するものとする点で改善の余地がある。
本発明は、金属部品の樹脂化を達成する観点から重要な要件となる樹脂成形品の強度、硬度、耐摩耗性、耐熱性を金属と略同等とした金属樹脂複合体を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、樹脂成形品の少なくとも表面の一部が金属層で被覆されており、
引張強度が200MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上で、
かつ、前記表面の金属層の硬度がビッカース硬度で100Hv以上であることを特徴とする金属樹脂複合体を提供している。
引張強度が200MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上で、
かつ、前記表面の金属層の硬度がビッカース硬度で100Hv以上であることを特徴とする金属樹脂複合体を提供している。
前記本発明の金属樹脂複合体の製造方法は、
樹脂と、該樹脂の架橋助剤を含む樹脂組成物を成形し、ついで、
前記樹脂成型品の所要の表面を表面処理し、ついで、
前記表面処理した表面の少なくとも一部に金属層を形成し、ついで、
放射線照射により前記樹脂を架橋させて、架橋樹脂成型品とし、ついで、
200〜300℃以上で加熱処理して、前記金属層の金属をアニールしている方法からなる。
前記樹脂組成物の成形方法としては射出成形が好適に用いられるが、押出成形でもよい。
樹脂と、該樹脂の架橋助剤を含む樹脂組成物を成形し、ついで、
前記樹脂成型品の所要の表面を表面処理し、ついで、
前記表面処理した表面の少なくとも一部に金属層を形成し、ついで、
放射線照射により前記樹脂を架橋させて、架橋樹脂成型品とし、ついで、
200〜300℃以上で加熱処理して、前記金属層の金属をアニールしている方法からなる。
前記樹脂組成物の成形方法としては射出成形が好適に用いられるが、押出成形でもよい。
本発明の樹脂成形品とする樹脂は、耐熱性を有する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は架橋樹脂から成形している。
前記樹脂成形品を構成する樹脂は、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の極性基を含む樹脂から選択され、かつ、これら樹脂の架橋助剤が含有されている
前記樹脂成形品は、その表面に金属層を形成するため、電気抵抗値を10+4Ω以下となるようにすることが好ましい。
前記樹脂成形品を構成する樹脂は、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の極性基を含む樹脂から選択され、かつ、これら樹脂の架橋助剤が含有されている
前記樹脂成形品は、その表面に金属層を形成するため、電気抵抗値を10+4Ω以下となるようにすることが好ましい。
前記した樹脂中で、融点が200℃以上のポリアミド樹脂と、架橋型多官能モノマーが含有されていることが好ましい。
即ち、ポリアミド樹脂は、一般にそのままでは放射線架橋を行うことが困難であるが、多官能性モノマーを添加することによって、容易に放射線架橋を行うことができ、架橋することによって金属−樹脂複合体の耐半田性、耐クリープ性を向上させることができる。
本発明の金属樹脂複合体に用いられるナイロン樹脂としては、従来公知の種々のナイロン樹脂を用いることができる。例えば、ナイロンー6(ポリアミドー6 融点215〜225℃)、ナイロン−66(ポリアミドー66 融点255〜265℃)、ナイロン−610(ポリアミドー610 融点215〜225℃)、ナイロン−612(ポリアミドー612 融点210〜220℃)、ナイロン−4,6、芳香族ポリアミド(6Tナイロン、9Tナイロン、MCXナイロン等)が好適に用いられる。
即ち、ポリアミド樹脂は、一般にそのままでは放射線架橋を行うことが困難であるが、多官能性モノマーを添加することによって、容易に放射線架橋を行うことができ、架橋することによって金属−樹脂複合体の耐半田性、耐クリープ性を向上させることができる。
本発明の金属樹脂複合体に用いられるナイロン樹脂としては、従来公知の種々のナイロン樹脂を用いることができる。例えば、ナイロンー6(ポリアミドー6 融点215〜225℃)、ナイロン−66(ポリアミドー66 融点255〜265℃)、ナイロン−610(ポリアミドー610 融点215〜225℃)、ナイロン−612(ポリアミドー612 融点210〜220℃)、ナイロン−4,6、芳香族ポリアミド(6Tナイロン、9Tナイロン、MCXナイロン等)が好適に用いられる。
前記ポリアミド樹脂に配合される多官能性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、下式(1)の構造を有する、シアヌル酸誘導体(例えば、トリアリルシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸等);トリアリルイソシアヌレート等のイソシアヌル酸誘導体;ジアリルフタレート類;アクリル酸またはメタクリル酸のジまたはトリエステル類等が好適に用いられる。
さらに、無水マレイン酸変性ポリオレフィン等の反応性ポリマーも好適に用いられる。
さらに、無水マレイン酸変性ポリオレフィン等の反応性ポリマーも好適に用いられる。
本発明に係る金属樹脂複合体は、樹脂成形品の金属層を設ける表面を表面処理または粗面化処理が施して金属層を設けた後に、加熱処理および放射線の照射を行うことで、金属層と樹脂成形品との接着強度を十分なものとしている。即ち、樹脂成形品と金属層との剥離強度が1kg以上となるようにしている。該剥離強度は、垂直ピール試験:φ1.5mmの金属線をφ4mm、高さ2mmで半田付けし、10mm/minで垂直に引っ張る条件下で測定したものである。
前記樹脂成形品の表面処理の第1の方法は、下式(2)によって表されるトリアジンチオール類を付着して処理することからなる。
(式中、R1 は−SR2、−OR2または−NHR2を示し、R2は水素原子、アルキル基、フェニル基またはアルケニル基を示す。M1およびM2は同一または異なって、水素原子、アルカリ金属または1/2(アルカリ土類金属)を示す。
前記一般式(2) で表されるトリアジンチオール類において、基R1で表される基:−SR2、基:−OR2または基:−NHR2中の基R2のうち、アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。また、アルケニル基としては、ビニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、1,3−ブタンジエニル等が挙げられる。
前記基M1およびM2で表されるアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
前記トリアジンチオール類の具体例としては、例えば2−オクチルアミノ−4,6−ジチオール−1,3,5−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジチオール−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリチオール−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−ソジウムメルカプチド−1,3,5−トリアジン、2−メルカプト−4,6−ビスポタジウムメルカプチド−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
前記一般式(2) で表されるトリアジンチオール類において、基R1で表される基:−SR2、基:−OR2または基:−NHR2中の基R2のうち、アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。また、アルケニル基としては、ビニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、1,3−ブタンジエニル等が挙げられる。
前記基M1およびM2で表されるアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
前記トリアジンチオール類の具体例としては、例えば2−オクチルアミノ−4,6−ジチオール−1,3,5−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジチオール−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリチオール−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−ソジウムメルカプチド−1,3,5−トリアジン、2−メルカプト−4,6−ビスポタジウムメルカプチド−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
表面処理の第2の方法は樹脂成形品の表面をエッチング処理で、表面粗さRaが1〜10μmとなるように粗面化処理することからなる。前記表面粗さとは、JIS B 0601「表面粗さの定義と表示」に規定される「中心線平均粗さ(Ra)」をさす。
前記エッチング処理して表面を粗面化した後、トリアジンチオール類で表面処理をしてもよい。
前記エッチング処理して表面を粗面化した後、トリアジンチオール類で表面処理をしてもよい。
このように、トリアジンチオール類による表面処理あるいは/およびエッチング処理して樹脂成形品を表面処理し、この表面処理した樹脂成形品の表面に、所要の金属をメッキ、スパッタリング、蒸着、イオンプレーテイング、溶融金属のディップコーテングあるいは溶融金属の溶射法で金属層を形成している。
前記樹脂成形品の表面の1〜100%が前記金属層で被覆され、該金属層の厚さが0.1〜100μmとしていることが好ましい。
該金属層を形成する金属としては銅、ニッケル、スズ、金、銀、アルミニウム、鉄、およびこれらの合金等が挙げられる。中でもニッケルメッキ、ニッケルリンメッキの層を含むことが、表面の硬度を高くできると共に、メッキの接着強度も高くでき、かつ、コスト的に有利であることから好ましい。
これら金属により一層または複数層からなる金属層が設を、その全体厚さを前記した1〜10μmとしていることが好ましい。
また、更に、ダイヤモンドやセラミックス等をコーティングして、硬度や耐摩耗性を上げてもよい。
前記樹脂成形品の表面の1〜100%が前記金属層で被覆され、該金属層の厚さが0.1〜100μmとしていることが好ましい。
該金属層を形成する金属としては銅、ニッケル、スズ、金、銀、アルミニウム、鉄、およびこれらの合金等が挙げられる。中でもニッケルメッキ、ニッケルリンメッキの層を含むことが、表面の硬度を高くできると共に、メッキの接着強度も高くでき、かつ、コスト的に有利であることから好ましい。
これら金属により一層または複数層からなる金属層が設を、その全体厚さを前記した1〜10μmとしていることが好ましい。
また、更に、ダイヤモンドやセラミックス等をコーティングして、硬度や耐摩耗性を上げてもよい。
前記金属層を設けた樹脂成形品は、放射線を照射し、樹脂を架橋している。
前記放射線としては、電子線、γ線、X線等が挙げられる。該放射線の照射でポリアミド樹脂を架橋する場合、放射線の照射線量は10〜900kGyのレベルに設定することが好ましい。
樹脂としてポリアミド樹脂を用いる場合、前記したように、そのままでは放射線架橋を行うことが困難であるため、多官能性モノマーを添加して、放射線架橋が容易に行えるようにしている。
前記放射線としては、電子線、γ線、X線等が挙げられる。該放射線の照射でポリアミド樹脂を架橋する場合、放射線の照射線量は10〜900kGyのレベルに設定することが好ましい。
樹脂としてポリアミド樹脂を用いる場合、前記したように、そのままでは放射線架橋を行うことが困難であるため、多官能性モノマーを添加して、放射線架橋が容易に行えるようにしている。
前記放射線を照射して樹脂成形品を硬化させた後に、さらに、100〜400℃で熱処理して、金属層を構成する金属をアニールすると共に、金属層と樹脂成形品との接着強度を一層高めている。
この加熱処理は放射線による架橋がなされた表面金属層を備えた樹脂成形品を、例えばオーブン等に入れて、100〜400℃の雰囲気に5〜60分程度、好ましくは10分程度保持することによって行われる。
前記熱処理を施すことにより、通常の金型温度で一体成形された金属樹脂複合体の金属層と樹脂層との接着強度を、成形品を変形させることなく高めることができる。
前記熱処理の温度が100℃を下回ると接着強度の向上がなく、接着強度をより高めるためには、400℃近くの高温で行うことが好ましい。
この加熱処理は放射線による架橋がなされた表面金属層を備えた樹脂成形品を、例えばオーブン等に入れて、100〜400℃の雰囲気に5〜60分程度、好ましくは10分程度保持することによって行われる。
前記熱処理を施すことにより、通常の金型温度で一体成形された金属樹脂複合体の金属層と樹脂層との接着強度を、成形品を変形させることなく高めることができる。
前記熱処理の温度が100℃を下回ると接着強度の向上がなく、接着強度をより高めるためには、400℃近くの高温で行うことが好ましい。
また、本発明の金属樹脂複合体では、樹脂成形品の比重を、例えば、3以下として、強度を保持しながら軽量化を図っている。
このように、強度を保持しながら軽量化を図るために、樹脂成形品の樹脂中に、フィラー、メッシュ等の補強用充填材が含有されていることが好ましい。
該充填材は、金属、セラミック、ガラス、炭素繊維等の短繊維の強化繊維類でもよく、含有させる充填材の種類に応じて、導電性、半導電性、絶縁性を樹脂成形品に付与することができる。
このように、強度を保持しながら軽量化を図るために、樹脂成形品の樹脂中に、フィラー、メッシュ等の補強用充填材が含有されていることが好ましい。
該充填材は、金属、セラミック、ガラス、炭素繊維等の短繊維の強化繊維類でもよく、含有させる充填材の種類に応じて、導電性、半導電性、絶縁性を樹脂成形品に付与することができる。
本発明の金属樹脂複合体では樹脂成形品の表面に金属を付着して金属層を設けるため、樹脂成形品には金属フィラーを配合して電気抵抗率を前記したように10+4Ω以下とすることが好ましい。
軽量化の点からは、特に、中空金属フィラーあるいは/および金属膜に樹脂に被覆されたフィラーを用い、これら金属フィラーを樹脂中に均一に分散されて添加することが好ましい。
其の際、金属フィラーの添加量は、重量比で、樹脂の重量を100重量部とすると、架橋助剤が0.1〜30重量部、金属フィラーが0.1〜200重量部とすることが好ましい。
軽量化の点からは、特に、中空金属フィラーあるいは/および金属膜に樹脂に被覆されたフィラーを用い、これら金属フィラーを樹脂中に均一に分散されて添加することが好ましい。
其の際、金属フィラーの添加量は、重量比で、樹脂の重量を100重量部とすると、架橋助剤が0.1〜30重量部、金属フィラーが0.1〜200重量部とすることが好ましい。
前記金属フィラーは球状、針状、鱗片状、短繊維状として樹脂中に分散される。これらフィラーをシランカップリング処理したり、前記トリアジンチオール類で表面処理しておいてもよい。
また、金属フィラーとしては、銅、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、金、銀、これらの合金から選択される1種または複数種が用いられる。その中でも、特に、300〜400℃の低融点金属が好適に用いられる。
かつ、前記金属フィラーは比重が3以下、このましくは比重が1以下、特に、0.5程度のものが好適に用いられる。また、金属フィラーの平均径は0.01〜400μmが好ましい。さらに、中空ガラスも好適に用いられる。
また、金属フィラーとしては、銅、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、金、銀、これらの合金から選択される1種または複数種が用いられる。その中でも、特に、300〜400℃の低融点金属が好適に用いられる。
かつ、前記金属フィラーは比重が3以下、このましくは比重が1以下、特に、0.5程度のものが好適に用いられる。また、金属フィラーの平均径は0.01〜400μmが好ましい。さらに、中空ガラスも好適に用いられる。
前記した方法で製造される本発明の金属樹脂複合体は、樹脂成形品に放射線を照射して樹脂を架橋しているため強度、硬度および耐熱性を高められ、金属と同等な物性を付与することができる。 よって、本発明の金属層が表面に形成された金属樹脂複合体は、前記したように、引張強度が200MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上、表面金属層の硬度がビッカース硬度で100以上とすることができる。
具体的には、金属製ギア、カム、ピンのように硬度の高い金属部品と、従来の樹脂製品とが接触すると、樹脂製品のビッカーズ硬度が100Hv未満であったため、樹脂製品に傷が付いたり、凹んだり、摩耗するため、樹脂製品を使用できなかった。これに対して、本発明の金属樹脂複合体はビッカーズ硬度で100Hv以上としているため、相手部品が金属部品からなり、該金属部品と接触する部品としても用いることができる。相手部品がSUS等の硬度が高い部品に対しては、ビッカーズ硬度200Hv以上が必要で、好ましくは500Hv以上である。なお、金属部品のダイキャスト材料として汎用されている亜鉛のビッカース硬度Hvは50Hv以下である。
具体的には、金属製ギア、カム、ピンのように硬度の高い金属部品と、従来の樹脂製品とが接触すると、樹脂製品のビッカーズ硬度が100Hv未満であったため、樹脂製品に傷が付いたり、凹んだり、摩耗するため、樹脂製品を使用できなかった。これに対して、本発明の金属樹脂複合体はビッカーズ硬度で100Hv以上としているため、相手部品が金属部品からなり、該金属部品と接触する部品としても用いることができる。相手部品がSUS等の硬度が高い部品に対しては、ビッカーズ硬度200Hv以上が必要で、好ましくは500Hv以上である。なお、金属部品のダイキャスト材料として汎用されている亜鉛のビッカース硬度Hvは50Hv以下である。
前記樹脂成形品の引張強度を100MPa以上としているのは、メッキの接着強度を上げるためにはベースとなる樹脂成形品の強度が必要であることによる。
このように、樹脂成形品自体の強度を大きくすると共に、該樹脂成形品の表面に金属層を備えた状態で全体の強度が前記200MPaと大きくしているため、金属製品との置き換えが可能となる。
該樹脂成形品の強度は、金属層と同等な強度とすることが好ましく、引張強度は大きい程好ましい。
前記曲げ弾性率は10GPa以上で、好ましくは20GPa以上であり、マグネシウム、亜鉛等と同等の20〜30GPa程度とすることが好ましい。
また、前記樹脂成形品の溶融温度は200℃以上としていることが好ましい。これは、メッキして形成する金属層の硬度を上げると共にメッキ金属層と樹脂成形品との接着強度を上げるためには、アニール処理をすることが好く、該アニール温度に耐える耐熱性を持たせる必要があるためである。好ましくは300℃以上であり、溶融温度は高い程良い。
このように、樹脂成形品自体の強度を大きくすると共に、該樹脂成形品の表面に金属層を備えた状態で全体の強度が前記200MPaと大きくしているため、金属製品との置き換えが可能となる。
該樹脂成形品の強度は、金属層と同等な強度とすることが好ましく、引張強度は大きい程好ましい。
前記曲げ弾性率は10GPa以上で、好ましくは20GPa以上であり、マグネシウム、亜鉛等と同等の20〜30GPa程度とすることが好ましい。
また、前記樹脂成形品の溶融温度は200℃以上としていることが好ましい。これは、メッキして形成する金属層の硬度を上げると共にメッキ金属層と樹脂成形品との接着強度を上げるためには、アニール処理をすることが好く、該アニール温度に耐える耐熱性を持たせる必要があるためである。好ましくは300℃以上であり、溶融温度は高い程良い。
前記樹脂成形品の全面を金属層で被覆すると、強度、硬度、耐傷性、耐摩耗性の点でも金属部品と同等なものとすることができる。よって、従来、金属加工で形成されていた電気製品、例えば携帯電話の本体や蓋や、画像表示装置のフレーム、自動車のフレーム、ドアパネル、インストルメントパネル等の各種パネル、複雑な形状のカム、ギヤ、ブッシュ、スライダー、ネジ等を本発明の金属樹脂複合体で形成すると、軽量化が図れると共に、複雑な形状も金型で成形することにより製造可能となる。
かつ、これら金属樹脂複合体で形成される金属類似部品の表面への金属部品の半田付けも、耐熱性が高いことより容易に行うことができる。
一方、前記樹脂成形品の一部に金属層を設けて電気回路を形成すると、狭ピッチ回路の基板や立体回路を備えたコネクタ等の電気部品等を設けることができる。また、該基板上に電子部品を半田接続する際も、該半田付け面に金属層を設けておくことで鉛フリー半田実装が可能となる。
かつ、これら金属樹脂複合体で形成される金属類似部品の表面への金属部品の半田付けも、耐熱性が高いことより容易に行うことができる。
一方、前記樹脂成形品の一部に金属層を設けて電気回路を形成すると、狭ピッチ回路の基板や立体回路を備えたコネクタ等の電気部品等を設けることができる。また、該基板上に電子部品を半田接続する際も、該半田付け面に金属層を設けておくことで鉛フリー半田実装が可能となる。
上述したように、本発明の金属樹脂複合体の樹脂成形品は、金属と同程度の引張強度、曲げ弾性率、表面硬度、耐熱性を備えたものであるため、金属の代替品として用いることができる。かつ、該樹脂成形層の表面に形成される金属層は、放射線の照射後にさらに高温で加熱処理してアニールしているため、その硬度が高められるため、さらに、本発明の金属樹脂複合体の硬度および強度が高めれている。
また、樹脂成形した後に、その表面にメッキ等により金属層を形成するため、金属加工では形成出来なかった複雑な形状の金属製品代替品を得ることができ、しかも、金属製品と比較して大幅な軽量化も図ることができる。
また、樹脂成形した後に、その表面にメッキ等により金属層を形成するため、金属加工では形成出来なかった複雑な形状の金属製品代替品を得ることができ、しかも、金属製品と比較して大幅な軽量化も図ることができる。
以下、本発明に係る金属樹脂複合体について、詳細に説明する。
第1実施形態の本発明の金属樹脂複合体1は、図1に示すように樹脂成形品2の全面を金属層3で被覆し、金属加工部品と同等としている。
第1実施形態の本発明の金属樹脂複合体1は、図1に示すように樹脂成形品2の全面を金属層3で被覆し、金属加工部品と同等としている。
前記樹脂成形品2は、その引張強度が200MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上、表面硬度がビッカース硬度で100以上、溶融温度200℃以上、比重が3以下、樹脂と金属との剥離強度が1kg以上とした架橋樹脂成形品からなる。
剥離強度は、前記したように、垂直ピール試験:φ1.5mmの金属線をφ4mm、高さ2mmで半田付けし、10mm/minで垂直に引っ張る垂直ピール試験で測定したものである。
剥離強度は、前記したように、垂直ピール試験:φ1.5mmの金属線をφ4mm、高さ2mmで半田付けし、10mm/minで垂直に引っ張る垂直ピール試験で測定したものである。
該樹脂成形品2は、融点が200℃以上のポリアミド樹脂(ナイロンー6、ナイロンー66、芳香族ポリアミド等)に多官能反応性モノマー(トリアリルイソシアネート等)を配合した樹脂組成物を射出成形して成形している。
前記ポリアミド樹脂100重量部に対して、例えば、エポキシ基含有の多官能反応性モノマーは0.01〜30重量部配合している。
また、本実施形態では、図1に示すように、携帯電話の蓋10の形状の射出成形している。
前記ポリアミド樹脂100重量部に対して、例えば、エポキシ基含有の多官能反応性モノマーは0.01〜30重量部配合している。
また、本実施形態では、図1に示すように、携帯電話の蓋10の形状の射出成形している。
前記射出成形された樹脂成形品の全面を、前記式(1)の構造を有するトリアジンチオール類によって表面処理を施すか、あるいは/および1〜10μmとなるように粗面化処理を施している。
前記トリアジンチオール類の水溶液や有機溶媒の溶液を樹脂成形品の表面に塗布することによって行っている。トリアジンチオール類の水溶液や有機溶媒の溶液に浸漬する場合、液温を10〜40℃に調整して、浸漬時間を1〜30分、好ましくは5〜10分に設定するのが好適である。前記有機溶媒も限定されないが、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類などが挙げられる。
前記トリアジンチオール類の水溶液や有機溶媒の溶液を樹脂成形品の表面に塗布することによって行っている。トリアジンチオール類の水溶液や有機溶媒の溶液に浸漬する場合、液温を10〜40℃に調整して、浸漬時間を1〜30分、好ましくは5〜10分に設定するのが好適である。前記有機溶媒も限定されないが、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類などが挙げられる。
前記粗面化処理処理する場合は、ポリスチレン環状オレフィン等の無極性ポリマーの場合にはキシレン等の無極性溶媒に、ナイロン等の極性ポリマーの場合には酸等の極性溶媒に、樹脂成形品の表面を浸漬して行うことが好ましい。
PBTの場合は、KOH等のアルカリ液によるエッチング、HCl等による酸エッチングをしてもよい。樹脂成形品がPPS樹脂の場合はフッ酸エッチングでもよい。
該粗面化処理の程度は、樹脂成形品の表面粗度(Ra)が1〜10μmとなるように設定される。表面粗度(Ra)が1μm未満であると金属層3との接着強度を向上させる効果が得られなくなる。一方、10μmを超えると逆に接着性が低下するおそれがある。表面粗度(Ra)は、前記範囲の中でも特に3〜5μmであるのが好ましい。
PBTの場合は、KOH等のアルカリ液によるエッチング、HCl等による酸エッチングをしてもよい。樹脂成形品がPPS樹脂の場合はフッ酸エッチングでもよい。
該粗面化処理の程度は、樹脂成形品の表面粗度(Ra)が1〜10μmとなるように設定される。表面粗度(Ra)が1μm未満であると金属層3との接着強度を向上させる効果が得られなくなる。一方、10μmを超えると逆に接着性が低下するおそれがある。表面粗度(Ra)は、前記範囲の中でも特に3〜5μmであるのが好ましい。
前記表面処理した樹脂成形品の表面に所要の金属が無電解メッキしている。
該メッキとしては、任意の金属を用いることが可能であるが、電解ニッケルメッキあるいは、無電解ニッケルリンメッキをメッキ層を含むことが好ましい。
該メッキ厚さは1〜30μmとしている。
なお、メッキに代えて前記したように、スパッタリング、蒸着、イオンプレーテイング、溶融金属のディップコーテング、溶融金属の溶射法で金属層3を形成してもよい。
該メッキとしては、任意の金属を用いることが可能であるが、電解ニッケルメッキあるいは、無電解ニッケルリンメッキをメッキ層を含むことが好ましい。
該メッキ厚さは1〜30μmとしている。
なお、メッキに代えて前記したように、スパッタリング、蒸着、イオンプレーテイング、溶融金属のディップコーテング、溶融金属の溶射法で金属層3を形成してもよい。
前記金属層3で表面を被覆した樹脂成形品2に放射線を照射して樹脂を架橋し、架橋樹脂成形品としている。放射線照射した後、樹脂成形品2が硬化した後、約300℃で加熱して金属層3をアニールしている。なお、金属層を被覆後、放射線照射を行ってもよい。
図2は第2実施形態を示し、第2実施形態は本発明の金属樹脂複合体により立体回路20を備えた電子部品21を形成している。
第1実施形態との相違点は、樹脂成形品の表面には、三次面に連続した立体回路20を設けるように部分的に金属層3をメッキにより形成している。金属層3を形成しない樹脂成形品の表面は前記した表面処理を施しておらず、かつ、メッキ時には非メッキ表面はマスキングしている。
他の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第1実施形態との相違点は、樹脂成形品の表面には、三次面に連続した立体回路20を設けるように部分的に金属層3をメッキにより形成している。金属層3を形成しない樹脂成形品の表面は前記した表面処理を施しておらず、かつ、メッキ時には非メッキ表面はマスキングしている。
他の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図3は第3実施形態を示し、第3実施形態では本発明の金属樹脂複合体により自動車部品のパネル30を形成している。
第1実施形態との相違点は、樹脂成形品2を構成する樹脂組成物中に中空状の金属フィラー5を分散させて充填している点である。該金属フィラーは、樹脂(ポリアミド樹脂)を100重量部とすると、0.1〜200重量部配合している。
これら樹脂、架橋助剤と金属フィラーとを混練して、金属フィラーを均一に分散させた後、射出成形用金型にて射出成形している。
成形後は第1実施形態と同様に、全面を表面処理し、ついで、金属をメッキし、その後、放射線で照射し、最後に金属層をアニールしている。
第1実施形態との相違点は、樹脂成形品2を構成する樹脂組成物中に中空状の金属フィラー5を分散させて充填している点である。該金属フィラーは、樹脂(ポリアミド樹脂)を100重量部とすると、0.1〜200重量部配合している。
これら樹脂、架橋助剤と金属フィラーとを混練して、金属フィラーを均一に分散させた後、射出成形用金型にて射出成形している。
成形後は第1実施形態と同様に、全面を表面処理し、ついで、金属をメッキし、その後、放射線で照射し、最後に金属層をアニールしている。
「実施例」
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
実施例1の金属樹脂複合体は、融点265℃のナイロンー66を100重量部に、無水マレイン酸変性オレフィン(住化アトフィナ製)を5重量部、トリアリルシアヌレートを5重量部、ガラス繊維を100重量部合して、混練りした。
前記混練物を射出成形機に充填し、温度280℃で射出成形した。この射出成形品の引張強度は200MPa、曲げ弾性率は13GPaであった。
前記成形した射出成形品を酸でエッチングして表面粗度をRa3.5μmとした。ついで、ジスネットDB(2−ジブチルアミノー4.6−ジメチルカブトーs−トリアジン)の1%DMF溶液で処理した。
ついで、前記射出成形品の全面に無電解銅メッキを施して厚さ4μmの金属層を形成した。さらに、無電解ニッケルメッキを厚さ6μmで施した。
ついで、全面を前記金属層で被覆した樹脂成形品に対して電子線を照射量60kGyで照射した。
樹脂成形品の硬化後に、300℃の恒温槽に10分間放置して、熱処理を施した。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
実施例1の金属樹脂複合体は、融点265℃のナイロンー66を100重量部に、無水マレイン酸変性オレフィン(住化アトフィナ製)を5重量部、トリアリルシアヌレートを5重量部、ガラス繊維を100重量部合して、混練りした。
前記混練物を射出成形機に充填し、温度280℃で射出成形した。この射出成形品の引張強度は200MPa、曲げ弾性率は13GPaであった。
前記成形した射出成形品を酸でエッチングして表面粗度をRa3.5μmとした。ついで、ジスネットDB(2−ジブチルアミノー4.6−ジメチルカブトーs−トリアジン)の1%DMF溶液で処理した。
ついで、前記射出成形品の全面に無電解銅メッキを施して厚さ4μmの金属層を形成した。さらに、無電解ニッケルメッキを厚さ6μmで施した。
ついで、全面を前記金属層で被覆した樹脂成形品に対して電子線を照射量60kGyで照射した。
樹脂成形品の硬化後に、300℃の恒温槽に10分間放置して、熱処理を施した。
前記のように作成した金属樹脂複合体(サンプル)の寸法は、長さ8cm、幅1cm、厚さ0.2cmとした。
実施例2は、実施例1との相違点は、樹脂成形品の表面に電解ニッケルメッキを施して厚さ20μmの金属層を形成した点であり、他は実施例1と同様とした。
実施例3は、実施例1との相違点は、金属層をメッキではなくスパッタリングして形成し、厚さ4μmの銅層を形成し、さらに、該銅層の表面にスパッタリングで厚さ6μmのニッケル層を形成した。他の点は実施例1と同様とした。
実施例4は、トリアジンによる表面処理は行っていない点と、無電解ニッケルメッキを20μm施す点が実施例1と相違し、他は実施例1と同様とした。
実施例3は、実施例1との相違点は、金属層をメッキではなくスパッタリングして形成し、厚さ4μmの銅層を形成し、さらに、該銅層の表面にスパッタリングで厚さ6μmのニッケル層を形成した。他の点は実施例1と同様とした。
実施例4は、トリアジンによる表面処理は行っていない点と、無電解ニッケルメッキを20μm施す点が実施例1と相違し、他は実施例1と同様とした。
比較例1は、金属層を設けていない点が実施例1と相違し、射出成形した樹脂成形品に前記表面処理を施さずに、実施例と同様に電子線を照射した。照射後の加熱処理も行わなかった。
比較例2は、実施例1の樹脂にガラス繊維を混合しない材料を作製し、他は実施例1と同様にして、成形、照射を行った。その樹脂成形品の引張強度は80MPa、曲げ弾性率は8GPaであった。メッキは実施例1と同様にして厚さ10μmで形成した。
比較例2は、実施例1の樹脂にガラス繊維を混合しない材料を作製し、他は実施例1と同様にして、成形、照射を行った。その樹脂成形品の引張強度は80MPa、曲げ弾性率は8GPaであった。メッキは実施例1と同様にして厚さ10μmで形成した。
実施例1〜4、比較例1、2の表面を、鉄(545C)製のピン(φ2mm)で耐傷性試験を行った。試験は長さ10mmの往復を速度100mm/minで10往復した後、表面を目視観察し、傷(凹み)の有無を確認した。
耐傷性試験(1)ではピンに荷重1kgを負荷した。耐傷性試験(2)ではピンに5kgの荷重を負荷した。
さらに、比較例3として亜鉛(ビッカース硬度Hv45〜50)からなる金属製品を作製して、前記耐傷性試験(1)(2)をおこなった。
その結果を下記の表2に示す。○は凹み、傷、剥離が無かった場合を示し、×は凹み、傷、剥離があった場合を示す。
耐傷性試験(1)ではピンに荷重1kgを負荷した。耐傷性試験(2)ではピンに5kgの荷重を負荷した。
さらに、比較例3として亜鉛(ビッカース硬度Hv45〜50)からなる金属製品を作製して、前記耐傷性試験(1)(2)をおこなった。
その結果を下記の表2に示す。○は凹み、傷、剥離が無かった場合を示し、×は凹み、傷、剥離があった場合を示す。
前記表1に示すように、比較例1はビッカース硬度が5Hv、比較例2では30Hvと低く、よって、耐傷性試験(1)(2)でも凹みが発生していた。また、ビッカース硬度が45〜50Hvの亜鉛単体からなる金属部品も耐傷性試験(1)(2)で凹みが生じた。
これに対して、実施例1〜4の金属−樹脂複合体は、いずれも強度、硬度が本発明の範囲内に入り、亜鉛よりも高硬度であった。
ビッカース硬度が110〜140Hvの実施例1、3、4は、ビッカース硬度が125〜130Hvの銅と同様の硬度を備え、200Hvの実施例2はステンレス(SUS304 Hv200以下)と同等の硬度を備えていた。よって、耐傷性試験(1)(2)において凹みが発生しなかった。
これに対して、実施例1〜4の金属−樹脂複合体は、いずれも強度、硬度が本発明の範囲内に入り、亜鉛よりも高硬度であった。
ビッカース硬度が110〜140Hvの実施例1、3、4は、ビッカース硬度が125〜130Hvの銅と同様の硬度を備え、200Hvの実施例2はステンレス(SUS304 Hv200以下)と同等の硬度を備えていた。よって、耐傷性試験(1)(2)において凹みが発生しなかった。
実施例1〜4の金属樹脂複合体を用いて電気部品を半田つけした際、耐半田性も良好で熱処理時の変形は生じなかった。また、複雑な形状に成形した場合も、その成形性は良好であった。
このように、本発明の金属樹脂複合体は金属製品と同等の物性を備えるため、金属製品と置換することができる。かつ 軽量で、所要形状を金型で形成できる点は、金属製品より優れている。
このように、本発明の金属樹脂複合体は金属製品と同等の物性を備えるため、金属製品と置換することができる。かつ 軽量で、所要形状を金型で形成できる点は、金属製品より優れている。
1 金属樹脂複合体
2 樹脂成形品
3 金属層
5 金属フィラー
2 樹脂成形品
3 金属層
5 金属フィラー
Claims (12)
- 樹脂成形品の少なくとも表面の一部が金属層で被覆されており、
引張強度が200MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上で、
かつ、前記表面の金属層の硬度がビッカース硬度で100Hv以上であることを特徴とする金属樹脂複合体。 - 前記樹脂の引張強度が100MPa以上である請求項1に記載の金属樹脂複合体。
- 前記樹脂成形品と前記金属層との剥離強度が1kg以上であり、かつ、
比重が3以下である請求項1または請求項2に記載の金属樹脂複合体。 - 前記樹脂成形品は、樹脂中にフィラー、メッシュ等の補強用充填材が含有されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
- 前記補強用充填材として、強化繊維、中空金属フィラー、金属膜に樹脂に被覆されたフィラーが用いられ、樹脂中に均一に分散されて充填されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
- 前記金属層で被覆される前記樹脂成形品の表面が、トリアジンチオール類によって表面処理が施され、あるいは/および1〜10μmとなるように粗面化処理が施されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
- 前記樹脂成形品を構成する樹脂は、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の極性基を含む樹脂から選択され、かつ、これら樹脂の架橋助剤が含有されている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
- 前記樹脂としてポリアミド樹脂が用いられ、架橋型多官能モノマーが含有されている請求項7に記載の金属樹脂複合体。
- 前記樹脂成形品の表面の1〜100%が前記金属層で被覆され、該金属層は銅、ニッケル、スズ、金、銀、アルミニウム、鉄、これらの合金から選択された一種または複数種からなり、該金属層は一層または複数層からなり、該金属層の全体厚さが0.1〜100μmである請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
- 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体の製造方法であって、
樹脂と、該樹脂の架橋助剤を含む樹脂組成物を成形し、ついで、
前記樹脂成型品の所要の表面を表面処理し、ついで、
前記表面処理した表面の少なくとも一部に金属層を形成し、ついで、
放射線照射により前記樹脂を架橋させて、架橋樹脂成型品とし、ついで、
200〜300℃以上で加熱処理して、前記金属層の金属をアニールしていることを特徴とする金属樹脂複合体の製造方法。 - 樹脂中に強化繊維あるいは/および金属フィラーを分散させて充填し、前記金属フィラーは、中空状金属フィラーあるいは樹脂に金属をメッキをしたフィラーからなる請求項10に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
- 前記表面処理として、トリアジンチオール類を付着あるいは/およびエッチング処理を行い、
前記金属層はメッキ、スパッタリング、蒸着、イオンプレーテイング、溶融金属のディップコーテング、溶融金属の溶射法で形成している請求項10または請求項11に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
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JP2005056587A JP2006239961A (ja) | 2005-03-01 | 2005-03-01 | 金属樹脂複合体および、その製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009226329A (ja) * | 2008-03-24 | 2009-10-08 | Iwate Industrial Research Center | 樹脂皮膜の形成方法及び樹脂皮膜を有する固体 |
WO2012074083A1 (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | 帝人株式会社 | 炭素繊維複合材料の接合部材の製造方法 |
EP2461357A3 (en) * | 2010-12-01 | 2012-11-28 | Hitachi, Ltd. | Metal-resin composite, method for producing the same, busbar, module case, and resinous connector part |
-
2005
- 2005-03-01 JP JP2005056587A patent/JP2006239961A/ja not_active Withdrawn
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