JP2007309285A - サイクル可変ストロークエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が簡素であり且つ必要トルク低減に好適なピストンストローク特性変更手段を備えるサイクル可変ストロークエンジンを提供する。
【解決手段】往復動するピストン22によりクランク軸9を回転させ、1サイクル中のピストン22の排気上死点位置と圧縮上死点位置とで異なるピストンストローク特性とするサイクル可変ストローク機構を備えるとともに、給排気弁の作動時期をクランク回転角度にして360度前後切換え可能な可変動弁機構30により構成したピストンストローク特性変更手段と、点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換え可能な制御手段47を備え、前記制御手段47および可変動弁機構30により給排気弁の作動時期および点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換えることにより、1サイクル中の排気上死点と圧縮上死点とを切換えてピストンストローク特性を変更するようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、往復動するピストンによりクランク軸を回転させ、1サイクル中のピストンの排気上死点位置(TDC)と圧縮上死点位置(TDC)とが異なるピストンストローク特性を持つサイクル可変ストロークエンジンに関し、特に、ピストンストローク特性の変更に好適なサイクル可変ストロークエンジンに関するものである。
従来から機関圧縮比を変更可能とするために、排気上死点におけるピストン位置と圧縮上死点におけるピストン位置とを異ならせるサイクル可変ストロークエンジンが提案されている(特許文献1参照)。
これは、ピストンのピストンピンに連結するアッパーリンクと、クランク軸のクランクピンに連結するロアリンクとを互いに連結すると共に、ロアリンクにこれらアッパーリンクおよびロアリンクの自由度を規制するコントロールリンクの一端を連結し、このコントロールリンクの他端を、回転シャフトの偏心軸部に揺動中心まわりに回転可能に外嵌し、この回転シャフトの回転角速度を、クランク軸の回転角速度の1/2に設定して構成している。さらに、クランクシャフトの回転位相に対する回転シャフトの回転位相を変更することで、ピストンストローク特性を変更可能としている。これにより、排気上死点におけるピストン位置を、圧縮上死点におけるピストン位置よりも低く設定して、排気上死点近傍でのピストンと吸排気弁の干渉を回避しつつ、高圧縮比化が図れるようにしている。
特開2003−13764号公報
しかしながら、上記従来例では、ピストンストローク特性の変更手段として、クランクシャフトの回転位相に対する回転シャフトの回転位相を変更するものであるため、位相変化させるために必要なトルクが大きく且つ構造が複雑・大型化し、燃費低下やコスト増となる課題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、構造が簡素であり且つ必要トルクを低減可能なピストンストローク特性変更手段を備えるサイクル可変ストロークエンジンを提供することを目的とする。
本発明は、往復動するピストンによりクランク軸を回転させ、1サイクル中のピストンの排気上死点位置と圧縮上死点位置とで異なるピストンストローク特性とするサイクル可変ストローク機構を備えるとともに、給排気弁の作動時期をクランク回転角度にして360度前後切換え可能な可変動弁機構と、前記可変動弁機構を切換え作動させると共に点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換える制御手段と、を備え、前記制御手段により前記可変動弁機構における給排気弁の作動時期および点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換えることにより、1サイクル中の排気上死点と圧縮上死点とを切換えてピストンストローク特性を変更することを特徴とする。
したがって、本発明では、往復動するピストンによりクランク軸を回転させ、1サイクル中のピストンの排気上死点位置と圧縮上死点位置とで異なるピストンストローク特性とするサイクル可変ストローク機構を備えるサイクル可変ストロークエンジンのピストンストローク特性を、可変動弁機構における給排気弁の作動時期および点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換えることにより、1サイクル中の排気上死点と圧縮上死点とを切換えてピストンストローク特性を変更することにより、サイクル可変ストローク機構の位相切換え手段によりピストンストローク特性を変更する場合に比較して、特性変更に必要となるトルクが小さく、構造が簡素となり、コスト的にも燃費的にも有利となる。
以下、本発明のサイクル可変ストロークエンジンを各実施形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図9は、本発明を適用したサイクル可変ストロークエンジンの第1実施形態を示し、図1はサイクル可変ストロークエンジンの断面図、図2はサイクル可変ストローク機構の概略構成図、図3はサイクル可変ストロークエンジンのピストンストローク特性を示す特性図、図4〜図6はストローク特性変更手段の構成図、図7はストローク特性変更に係る制御フローチャート、図8はストローク特性変更に係るタイムチャート、図9はストローク特性変更手段の別の実施例を示す概略図である。
本実施形態におけるサイクル可変ストロークエンジンは、図1、2に示すサイクル可変ストローク機構と、図4〜6に示すストローク特性変更手段と、により構成されている。
図1、2により、先ず、サイクル可変ストロークエンジンのサイクル可変ストローク機構について説明する。機関本体の一部を構成するシリンダブロック20には複数のシリンダ21が気筒列に沿って形成され、各シリンダ21内にはピストン22が昇降可能に配設されている。各ピストン22のピストンピン1は、複数のリンク、具体的にはアッパーリンク3及びロアリンク4により、クランク軸9のクランクピン2に機械的に連携されている。アッパーリンク3の一端はピストンピン1に回転可能に連結され、ロアリンク4はクランクピン2に回転可能に連結され、アッパーリンク3の他端とロアリンク4とは第1連結ピン24を介して互いに回転可能に連結されている。クランク軸9にはカウンターウエイト9aが設けられている。
前記ロアリンク4には、第2連結ピン25を介してコントロールリンク5の一端5aが回転可能に連結され、このコントロールリンク5の他端5bは、シリンダブロック20に設けた揺動中心5c回りに揺動可能に支持されている。ロアリンク4に連結するクランクピン2、第1連結ピン24、及び第2連結ピン25の連結位置は、同一直線上ではなく、ほぼ三角形状をなすように配置されている。
前記シリンダブロック20に対するコントロールリンク5の揺動中心5cは、クランク軸9の回転に連動して回転する回転シャフト6により、その支持位置が変更されるよう構成している。即ち、回転シャフト6は、気筒列方向に延在し、複数のジャーナル部8で軸受ブラケット26を介してシリンダブロック20側に回転可能に支持されている。この回転シャフト6には、回転シャフト6自身の回転中心6aであるジャーナル部8の軸心に対して偏心する円筒形又は円柱形の偏心軸部(偏心部)7が各気筒毎に固定又は一体形成されており、各偏心軸部7の外周面に、コントロールリンク5の他端5bが回転可能に外嵌している。即ち、コントロールリンク5の他端5bが偏心軸部7に回転可能に支持されており、この偏心軸部7の軸心が、機関本体に対するコントロールリンク5の揺動中心5cとなる。
また、クランク軸9の一端に固定される駆動プーリ12Aと、回転シャフト6の一端に固定される従動プーリ12Bと、両プーリ12A、12Bに架け渡されるプーリベルト13と、により、クランク軸9から回転シャフト6へ回転動力を伝達する回転動力伝達機構を構成している。前記従動プーリ12Bの半径は駆動プーリ12Aの半径の2倍に設定して、クランク軸9に対する回転シャフト6の回転速度が1/2となるようにしている。クランク軸9から回転シャフト6へ伝達される回転運動の減速比が2分の1に設定されているため、機関の1回のサイクル中に回転シャフト6が1回転することになる。
従って、クランク軸9に連動して回転シャフト6が回転すると、各サイクル単位で、偏心軸部7を介してコントロールリンク5の揺動中心5cの支持位置が移動するため、1サイクル中の2回のピストン往復運動のピストンストローク特性が互いに異なるものとできる。つまり、排気−吸気行程と圧縮−膨張行程とでピストンストローク特性が互いに異なるものとできる。
図3(A)はクランク軸9を上死点から回転シャフト6より離れる方向に回転させ、且つ偏心軸部7を介してコントロールリンク5の揺動中心5cの支持位置を、図中左側の半サイクルで回転シャフト6の回転中心6aより下降した位置とし、図中右側の半サイクルで回転シャフト6の回転中心6aより上昇した位置となるよう回転シャフト6を回転させた場合におけるピストンストローク特性を示している。
前記コントロールリンク5の揺動中心5cは、図中左側の半サイクルでの上死点において最も下降した位置、即ち、ロアリンク4を介在させてピストン位置を上昇させ、また、図中右側の半サイクルでの上死点において最も上昇した位置、即ち、ロアリンク4を介在させてピストン位置を下降させて、排気上死点におけるピストン高さ位置を圧縮上死点におけるピストン高さ位置より高くなるようにしている。
また、ピストン22の排気上死点での上下方向位置が上昇されたことに付随して、排気行程における下死点位置から上死点へのピストン速度がそのストローク増加により相対的に増加され、また、排気上死点から始まる吸気行程においても吸気下死点へのピストン速度が相対的に増加される。逆に、ピストン22の圧縮上死点での上下方向位置を下降されたことに付随して、圧縮行程における下死点位置から上死点へのピストン速度がそのストローク減少により相対的に減少され、また、圧縮上死点から始まる膨張行程においても膨張下死点へのピストン速度が相対的に減少される。
次に、本実施形態のサイクル可変ストロークエンジンに適用する、ストローク特性変更手段について、図4〜図6に基づいて説明する。このストローク特性変更手段は、吸気バルブおよび排気バルブを開閉駆動するカムを切換えるバリアブルバルブリフト機構(VVL)により構成されている。基本的な構成は、本出願人が先に提案したものであるが、例えば特開平8−49514号公報等によって公知となっている。したがって、その概要のみを、吸気バルブに対するものについて説明するが、排気バルブに対するものも同様に構成されている。
前記ストローク特性変更手段を構成するバリアブルバルブリフト機構30は、図4、5に示すように、各気筒毎にカムシャフト31に、高速カム(高リフト、作動角大)32と、その両側にプロフィールの異なる低速カム33(低リフト、作動角小)とを形成している。前記高速カム32と低速カム33とは、その位相が180度反転させて配置している。前記高速カム32は、エンジン出力の増大を目的とした大作動角・大リフトのカムプロフィールを備える一方、前記低速カム33は、燃費低減を目的とした小作動角・小リフトのカムプロフィールを備える。
ロッカシャフト34には、バルブ35、35を夫々開閉駆動する一対のロッカアーム36が揺動自在に設けられ、これらの間に高速カム32に対応する高速サブロッカ37をロッカアーム36、36の基部に揺動自由に取付け、これらロッカアーム36、36の夫々の外側に低速カム33に対応する低速サブロッカ38、38をロッカアーム36、36の基部に揺動自由に取付けている。図5は低速サブロッカ38を含むA−A断面図であり、図6は高速サブロッカ37を含むB−B断面図である。
前記ロッカアーム36、36は、図6に示すように、高速サブロッカ37の下方にてアーム36間に挿通された軸39にプロップ40Aが取付けられ、ロッカアーム36、36の基部に設けたプランジャ41Aが後退位置(実線位置)にあるとき図示しないリターンスプリングによりプロップ40Aの先端が高速サブロッカ37に係合されており、この状態では高速カム32による高速サブロッカ37の揺動移動がプロップ40Aを介してロッカアーム36、36を駆動し、バルブ35、35を開閉駆動する。ロッカアーム36、36の基部に設けたプランジャ41Aを前進させると、図示しないリターンスプリングに抗してプロップ40Aの先端を高速サブロッカ37への係合から離脱させる。前記プランジャ41Aの油圧室42Aには、ロッカシャフト34内に形成された油通路43を介して、オイルポンプ44からの油圧を導入するオイルギャラリが接続され、オイルギャラリの途中に制御弁45を設置している。
また、前記ロッカアーム36の各外側には、図5に示すように、低速サブロッカ38の下方にてアーム36間に挿通された軸39にプロップ40Bが取付けられ、ロッカアーム36、36の基部に設けたプランジャ41Bが後退位置(実線位置)にあるとき図示しないリターンスプリングによりプロップ40Bの先端が低速サブロッカ38への係合が離脱されており、この状態では低速カム33による低速サブロッカ38の揺動移動がロッカアーム36、36へは伝達されない状態となっている。ロッカアーム36、36の基部に設けたプランジャ41Bを前進させると、図示しないリターンスプリングに抗してプロップ40Bの先端を低速サブロッカ38へ係合させ、この状態では低速カム33による低速サブロッカ38の揺動移動がプロップ40Bを介してロッカアーム36、36を駆動し、バルブ35、35を開閉駆動する。
低速サブロッカ38および高速サブロッカ37に低速カム33若しくは高速カム32を常に転接させるように、低速サブロッカ38および高速サブロッカ37とロッカアーム36、36の基部との間にロストモーション機構46が設けられる。47はバリアブルバルブリフト機構30の制御装置で、制御装置47にはエンジン回転数信号、エンジン負荷信号等が入力され、これらの信号に基づいて制御装置47により制御弁45が制御される。また、制御装置47は、燃料噴射装置および点火時期制御装置への駆動指令信号を出力するようにしている。
したがって、前記制御弁45が閉じられているときは、オイルポンプ44から油圧室42A、42Bへの油圧が遮断(もしくは減圧)されて、図5、6の実線に示すように、プロップ40A、40Bの先端が高速サブロッカ37に係合され且つ低速サブロッカ37に係合されない状態に維持され、この状態では高速カム32により高速サブロッカ37、ロッカアーム36、36を介してバルブ35、35が開閉駆動される。この場合におけるバルブ35、35の開閉タイミングは、高速カム32の位相に応じた角度位置であり、図3(B)に示すように、排気バルブ(EXH.V)および吸気バルブ(INT.V)は開閉される。したがって、排気上死点におけるピストン位置が圧縮上死点におけるピストン位置より高いストローク特性を備えたサイクル可変ストロークエンジンを構成する。この場合における点火時期は、図中右側の圧縮上死点の直前に設定される。
前記排気上死点(排気TDC)高さが圧縮上死点(圧縮TDC)高さより高く設定していることにより、筒内残留ガスが低減され、吸気下死点以降の圧縮行程が開始される時点に吸気弁35、35が閉弁するような有効圧縮比が低い条件であっても燃焼を安定させることができる。
また、排気上死点(排気TDC)〜吸気下死点(吸気BDC)のクランク角度が、吸気下死点(吸気BDC)〜圧縮上死点(圧縮TDC)のクランク角度より小さい角度であるため、吸気行程のピストンスピードの増加による筒内ガスの流動を強化させて燃焼を改善させることができる。
しかも、排気上死点(排気TDC)高さが圧縮上死点(圧縮TDC)高さより高く設定していることにより、圧縮上死点近傍でのピストンスピードは、一般的な単リンク式ピストンクランク機構に比べて20[%]前後緩やかになるため、燃焼速度の遅い冷機時でも、初期の火炎核の生成、成長を助けて燃焼を安定させることができる。
制御弁45が開かれると、油圧室42A、42Bに所定の油圧が供給されて、図5、6の点線に示すように、プロップ40A、40Bの先端が低速サブロッカ38に係合され且つ高速サブロッカ37から離脱され、低速サブロッカ38とロッカアーム36、36とが連結され、この状態では低速カム33により低速サブロッカ38、ロッカアーム36、36を介してバルブ35、35が開閉駆動される。この場合におけるバルブ35の開閉タイミングは、低速カム33の位相に応じた角度位置であり、図3(C)に示すように、排気バルブ(EXH.V)および吸気バルブ(INT.V)は開閉され、切換え前の排気・吸気・圧縮・膨張行程が、切換え後はそれぞれ圧縮・膨張・排気・吸気行程になる。したがって、排気上死点におけるピストン位置が圧縮上死点におけるピストン位置より低いストローク特性を備えたサイクル可変ストロークエンジンを構成する。この場合における点火時期は、図中左側の圧縮上死点の直前に設定される。
前記排気上死点(排気TDC)高さが圧縮上死点(圧縮TDC)高さより低く設定していることにより、筒内残留ガスが増加されてピストンの往復動に対するポンプロスが低減され、高圧縮比によって燃費を改善することができる。
なお、図示しないが、これらの給排バルブのカムシャフト31の回転位相をエンジンの運転状態に応じて変化させて、バルブ35の開閉タイミングを変更するバリアブルバルブタイミング機構(VTC)を設けることにより、エンジンの運転状態をより木目細かく制御することができる。
次に、本実施形態におけるサイクル可変ストロークエンジンのストローク特性変更手段によるストローク特性の変更方法について、図7に基づいて説明する。図7はピストンストローク特性変更制御のフローチャートであり、前記制御装置により予め設定した時間毎に実行される。
先ず、ステップS1において、要求負荷・エンジン回転数からピストンストローク特性が演算され、次いで、ステップS2において、演算されたピストンストローク特性が変更されたか否かが判定される。ピストンストローク特性の変更がない場合には今回の処理を終了する。ピストンストローク特性の変更がある場合にはステップS3へ進み、ステップS3において、変更後の圧縮比が読込まれ、ステップS4へ進む。
ステップS4では、変更後の圧縮比が低圧縮比側か否かが判定され、低圧縮比側である場合にはステップS5のピストンストローク特性変更の処理を開始する。低圧縮比側である場合においては、筒内残留ガスが低減され、ノック限界が拡大され、吸気ストローク増大され、出力向上される側であり、そのまま実行される。
ステップS4での判定が、低圧縮比側でない場合には、ステップS6へ進み、エンジン油・水温が読込まれ、ステップS7において冷機時か否かが判定され、冷機時においては、ストローク特性の変更処理は中断され、冷機時でない場合にステップS5へ進んで、ピストンストローク特性変更の処理が開始される。このように、高圧縮比側である場合には、エンジンが冷機時か否かを判定し、冷機時でない場合にのみピストンストローク特性変更の処理を開始させる。即ち、冷機時に高圧縮比側へストローク特性を変更すると、高効率による排温低下を招いて触媒の早期活性化を妨げるため、ピストンストローク特性を変更しないようにしている。
ステップS5のストローク特性の変更処理は、燃料噴射・点火停止、バルブ作動時期の変更、燃料噴射時期・点火時期の変更・再開の順序で実行される。図8はピストンストローク特性変更制御のタイムチャートであり、以下では、図8のタイムチャートに基づいて、ピストンストローク特性の変更制御を説明する。
図8において、Nが変更指令時のエンジン回転、N+1〜N+2が変更途中、N+3が変更直後のエンジン回転である。ピストンストローク特性の変更においては、カム切換え時に、カム32、33が各サブロッカ37、38に衝突しないよう、また、大量の高温・高圧ガスを吸気側へ吹き返さないよう、排気行程もしくは圧縮行程前半段階において全てのカムがベースサークルとなっている時点に切換えを開始する。ここでは、高速カム32から低速カム33への切換えについて説明するが、低速カム33から高速カム32への変更においても同様の順序で作動される。
ピストンストローク特性の変更指令が発せられる(圧縮行程が開始される時点t0)と、先ず、切換え前の最後の燃焼のためのイグニッション点火が実行され(圧縮行程の上死点付近の時点t1)、切換え前の最後の燃焼排気ガスを排出する必要があるため、排気行程中、排気カムはそのまま作動させて排気バルブEXH.Vを開閉させる(時点t2−t3)。また、最後のイグニッション点火後に、燃料噴射およびイグニッション点火を停止させる。したがって、排気行程の終了時点t3では燃料噴射は開始されない。これにより、未燃ガスの排出が防止できる。
前記切換え前の最後の燃焼排気ガスを排出のための排気行程中において、吸気カム側の制御弁45を切換え、作動油圧をプランジャ41A、41Bに加えてプロップ40A、40Bを低速側(図5、6の破線状態)に切換えて吸気作動時期を変更する(時点t2−t3)。この変更により、排気バルブEXH.Vが閉じられた上死点近傍の時点t3から吸気側の高速カム32が高速ロッカ37を押下げ作動する(時点t3−t4)が、プロップ40Aは低速側に切換えられているため、高速ロッカ37はロストモーション(空運動)するのみでロッカアーム36は押下げされず、吸気バルブ35は閉じた状態を維持する。このピストン下降行程(時点t3−t4)およびそれに続くピストン上昇行程(時点t4−t5)においては、吸気弁35は閉じられたままであり、空気の導入及び圧縮は行われない。
前記吸気カム側が低速側に切換えられたことに伴ない、続くピストン下降行程では、低速カム33が低速ロッカ38を押下げ、プロップ40Bを介してロッカアーム36を押下げて吸気弁35を開閉させて(時点t5−t6)、低速カム33による吸気行程が実行される。この吸気行程中において、排気カム側の制御弁を切換え、作動油圧をプランジャに加えてプロップを低速側に切換えて排気作動時期を変更する(時点t5−t6)。この変更により、吸気バルブ35が閉じられた下死点近傍の時点t6から排気側の高速カムが高速ロッカを押下げ作動する(時点t6−t7)が、プロップは低速側に切換えられているため、高速ロッカはロストモーション(空運動)するのみでロッカアームは押下げされず、排気バルブは閉じた状態を維持する。このピストン上昇行程(時点t6−t7)およびそれに続くピストン下降行程(時点t7−t8)においては、排気弁EXH.Vは閉じられたままであり、空気の排出及び導入は行われない。
前記排気カム側が低速側に切換えられたことに伴ない、続くピストン上昇行程では、排気カム側の低速カムが低速ロッカを押下げ、プロップを介してロッカアームを押下げて排気弁を開閉させて(時点t8−t9)、低速カムによる排気行程が実行される。この排気行程(時点t8−t9)中において、燃料噴射装置から低速用の燃料噴射時期による燃料噴射が再開される。
引続くピストン下降工程(時点t9−t10)においては、低速側に切換えられた吸気カム側の低速カム33により低速ロッカ38が押下げられてプロップ40B・ロッカアーム36を介して吸気弁35が開閉されて燃料を含む吸気が導入され、続くピストン上昇行程(時点t10−t11)で吸気が圧縮され、低速用に切換えられた点火時期によりイグニッション点火が再開され、以後では、吸気カム側および排気カム側とも低速モードで開閉される。
以上の給排気弁の開閉時期の切換えはシリンダ毎に実行され、その間においてはその気筒に対する燃料噴射が停止されるため、燃料噴射を停止したシリンダが存在する間は、残りの各シリンダ当りの負荷を上げることによって、エンジントルクの変動を抑制する。
以上のように、吸排バルブの作動時期と点火時期を、運転条件に応じて燃費低減・出力向上を両立させるピストンストローク特性となるように、概略360°CA(クランクアングル)だけ切換えるピストンストローク特性変更手段とすることにより、サイクル可変ストローク機構の位相切換え手段によりピストンストローク特性を変更する場合に比較して、特性変更に必要となるトルクが小さく、構造が簡素となり、コスト的にも燃費的にも有利となる。
なお、上記実施形態において、吸排気弁閉時期を可変とするピストンストローク特性変更手段として、吸排気弁の開閉時期を変化させる作動角可変機構(VVL)を用いるものについて説明したが、図9に示すように、吸気弁INT.Vおよび排気弁EXH.Vを、電気信号によって開閉する電磁式の構成とするものであってもよい。なお、この可変動弁機構は、本出願人が先に提案したものであるが、例えば特開2001−173470号公報等によって公知となっているので、その概要のみを説明する。
前記吸気弁35および排気弁の電磁駆動装置(可変動弁装置)は、弁体80の弁軸81にプレート状の可動子82を取付け、この可動子82をスプリング83、84により中立位置に付勢している。そして、この可動子82の下側に開弁用電磁コイル85を配置し、上側に閉弁用電磁コイル86を配置している。
そして、開弁させる際は、上側の閉弁用電磁コイル86への通電を停止した後、下側の開弁用電磁コイル85に通電して、可動子82を下側へ吸着することにより、弁体80をリフトさせて開弁させる。逆に、閉弁させる際は、下側の開弁用電磁コイル85への通電を停止した後、上側の閉弁用電磁コイル86に通電して、可動子82を上側へ吸着することにより、弁体80をシート部に着座させて閉弁させる。このような構成の可変動弁機構により、吸排気弁の閉時期の可変制御によって吸排気時期を負荷に応じて制御することもできる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)往復動するピストン22によりクランク軸9を回転させ、1サイクル中のピストン22の排気上死点位置と圧縮上死点位置とで異なるピストンストローク特性とするサイクル可変ストローク機構を備えるとともに、給排気弁の作動時期をクランク回転角度にして360度前後切換え可能な可変動弁機構30と、前記可変動弁機構30を切換え作動させると共に点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換える制御手段47と、を備え、前記制御手段47により前記可変動弁機構30における給排気弁の作動時期および点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換えることにより、1サイクル中の排気上死点と圧縮上死点とを切換えてピストンストローク特性を変更するようにしている。
即ち、排気TDCと圧縮TDCが異なるサイクル可変ストロークでは、適切なピストンストローク特性の設定によって燃費低減もしくは出力向上を実現することができる。例えば排気上死点におけるピストン位置を圧縮上死点におけるピストン位置よりも低くすると、筒内残留ガス増大によるポンプロス低減および高膨張比によって燃費を低減することができる。また、排気上死点におけるピストン位置を圧縮上死点におけるピストン位置より高くすると、残留ガス低減によるノック限界拡大および吸気ストローク量増大によって出力が向上する。したがって、運転条件に応じたピストンストローク特性に変更すれば燃費低減・出力向上を両立させることができる。
そして、上記切換え方法によれば、サイクル可変ストローク機構の位相切換え手段によりピストンストローク特性を変更する場合に比較して、特性変更に必要となるトルクが小さく、構造が簡素となり、コスト的にも燃費的にも有利となる。
(イ)可変動弁機構30として、それぞれ180度位相が異なる複数のカム32、33を形成した吸気側カムシャフト31および排気側カムシャフトと、吸気バルブ35を開閉駆動するカムを切換可能な油圧作動式の吸気側バリアブルバルブリフト機構と、排気バルブを開閉駆動するカムを切換可能な油圧作動式の排気側バリアブルバルブリフト機構と、これらの機構への油圧の供給を制御する制御手段47とにより構成することにより、180度位相の相違する複数のカムのいずれかを選択作動させるのみであるため、変更時の応答性に優れる。
(ウ)制御手段47により、ピストンストローク特性の切換え時において、切換えが完了するまで燃料噴射を停止させることにより、未燃ガスの排出や圧縮された高温混合気ガスの吸気側への逆流を防ぐことができる。
(エ)制御手段47により、エンジン冷機時においては排気上死点位置が圧縮上死点位置より高いピストンストローク特性に固定することにより、低圧縮比化による熱効率低下に加え、残留ガスが低減して燃焼が安定し、点火時期リタードが可能となり、排気温度を昇温させて触媒の早期活性化を図ることができる。
(第2実施形態)
図10〜図12は、本発明を適用したサイクル可変ストロークエンジンの第2実施形態を示し、図10はストローク特性変更手段のシステム構成図、図11はストローク特性変更手段の位相可変機構の概略図、図12はストローク特性変更に伴なうタイムチャートである。本実施形態においては、給排気弁の開閉位相を切換えることによりストローク特性を変更する構成を第1実施形態に追加したものである。なお、図1〜図8と同一装置には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
本実施形態のサイクル可変ストロークエンジンにおいては、第1実施形態におけるサイクル可変ストローク機構の使用を前提とし、図10、11に示す給排気弁のバルブタイミング機構(VTC)を用いることにより、ピストンストローク特性変更手段を構成している。
前記給排気弁のバルブタイミング機構(VTC)によるピストンストローク特性変更手段は、図10に示すように、内燃機関の吸排気弁可変動弁機構は、吸排気弁のリフト・作動角を変化させるリフト・作動角可変機構51と、そのリフトの中心角の位相(図示しないクランク軸に対する位相)を進角もしくは遅角させる位相可変機構71と、を組合せて構成している。なお、このリフト・作動角可変機構51は、本出願人が先に提案したものであるが、例えば特開平11−107725号公報等によって公知となっているので、その概要のみを説明する。
先ず、前記リフト・作動角可変機構51について、説明する。リフト・作動角可変機構51は、シリンダヘッド上部のカムブラケット(図示せず)に回転自在に支持された駆動軸52と、この駆動軸52に、圧入等により固定された偏心カム53と、上記駆動軸52の上方位置に同じカムブラケットによって回転自在に支持されるとともに駆動軸52と平行に配置された制御軸62と、この制御軸62の偏心カム部68に揺動自在に支持されたロッカアーム56と、各吸気弁35の上端部に配置されたタペット35Aに当接する揺動カム59と、を備える。
前記偏心カム53とロッカアーム56とはリンクアーム54によって連係され、ロッカアーム56と揺動カム59とはリンク部材58によって連係されている。前記駆動軸52は、タイミングチェーンないしはタイミングベルトを介して機関のクランク軸によって駆動される。前記偏心カム53は、駆動軸52の軸心から所定量だけオフセットした点を中心とした円形外周面を有し、この外周面には、リンクアーム54の環状部が回転可能に嵌合している。
前記ロッカアーム56は、略中央部が上記偏心カム部68によって揺動可能に支持され、その一端部に、連結ピン55を介して前記リンクアーム54のアーム部が連係しているとともに、他端部に、連結ピン57を介して上記リンク部材58の上端部が連係している。前記偏心カム部68は、制御軸62の軸心から偏心しており、制御軸62の角度位置に応じてロッカアーム56の揺動中心は変化する。
前記揺動カム59は、駆動軸52の外周に嵌合して回転自在に支持され、側方へ延びた端部に、連結ピン67を介して前記リンク部材58の下端部が連係している。この揺動カム59の下面には、駆動軸52と同心状の円弧をなす基円面と、該基円面から所定の曲線を描いて延びるカム面と、が連続して形成され、これらの基円面ならびにカム面が、揺動カム59の揺動位置に応じてタペット35Aの上面に当接するようになっている。即ち、前記基円面はベースサークル区間として、リフト量が0となる区間であり、揺動カム59が揺動してカム面がタペット35Aに接触すると、徐々にリフトしていくことになる。なお、ベースサークル区間とリフト区間との間には若干のラップ区間が設けられている。
前記制御軸62は、一端部に設けられたリフト・作動角制御用アクチュエータ63によって所定角度範囲内で回転するように構成されている。このリフト・作動角制御用アクチュエータ63は、例えばウォームギア65を介して制御軸62を駆動するサーボモータ等からなり、エンジンコントロールユニット69からの制御信号によって制御される。制御軸62の回転角度は、制御軸センサ64によって検出される。
以上のように構成されたリフト・作動角可変機構51は、駆動軸52が回転すると、偏心カム53のカム作用によってリンクアーム4を上下動させ、これに伴ってロッカアーム56が揺動する。このロッカアーム56の揺動は、リンク部材58を介して揺動カム59へ伝達され、該揺動カム59を揺動させる。この揺動カム59のカム作用によって、タペット60が押圧され、吸気弁35をリフトさせるよう作用する。
前記リフト・作動角制御用アクチュエータ63を介して制御軸62の角度を変化させると、ロッカアーム56の初期位置が変化し、揺動カム59の初期揺動位置が変化する。例えば偏心カム部68が図の上方へ位置しているとすると、ロッカアーム56は全体として上方へ位置し、揺動カム59の連結ピン67側の端部が相対的に上方へ引き上げられた状態となる。つまり、揺動カム59の初期位置は、そのカム面がタペット35Aから離れる方向に傾く。従って、駆動軸52の回転に伴って揺動カム59が揺動した際に、基円面が長くタペット35Aに接触し続け、カム面がタペット35Aに接触する期間は短い。従って、リフト量が全体として小さくなり、且つその開時期から閉時期までの角度範囲つまり作動角も縮小する。
逆に、偏心カム部68が図の下方へ位置しているとすると、ロッカアーム56は全体として下方へ位置し、揺動カム59の連結ピン67側の端部が相対的に下方へ押し下げられた状態となる。つまり、揺動カム59の初期位置は、そのカム面がタペット60に近付く方向に傾く。従って、駆動軸52の回転に伴って揺動カム59が揺動した際に、タペット60と接触する部位が基円面からカム面へと直ちに移行する。従って、リフト量が全体として大きくなり、且つその作動角も拡大する。
前記偏心カム部68の初期位置は連続的に変化させ得るので、これに伴って、バルブリフト特性は、連続的に変化する。つまり、リフトならびに作動角を、両者同時に、連続的に拡大、縮小させることができる。各部のレイアウトによるが、例えば、リフト・作動角の大小変化に伴い、吸気弁61の開時期と閉時期とがほぼ対称に変化する。
前記位相可変機構71は、前記駆動軸52の前端部に設けられたスプロケット72と、このスプロケット72と上記駆動軸52とを、所定の角度範囲内において相対的に回転させる位相制御用アクチュエータ73と、から構成されている。前記スプロケット72は、図示しないタイミングチェーンもしくはタイミングベルトを介して、クランク軸9に連動している。前記位相制御用アクチュエータ73は、図11に示すように、油圧式の回転型アクチュエータからなり、エンジンコントロールユニット69からの制御信号によって切換え制御される切換え弁74を介して、進角側のシリンダ室75Aに圧油を導入することにより、回転ピストン(ベーン)76およびカム駆動軸52を(180度)進角させ、遅角側のシリンダ室75Bに圧油を導入することにより回転ピストン(ベーン)76およびカム駆動軸52を(180度)遅角させるよう作動される。この位相制御用アクチュエータ73の作用によって、スプロケット72と駆動軸52とが相対的に回転し、バルブリフトにおけるリフト中心角がカム駆動軸52において180度(クランク角では360度)遅進する。
つまり、リフト特性の曲線自体は変わらずに、全体が進角もしくは遅角する。また、この変化も、連続的に得ることができる。この位相可変機構71の制御状態は、駆動軸52の回転位置に応答する駆動軸センサ66によって検出される。なお、リフト・作動角可変機構51ならびに位相可変機構71の制御は、エンジン運転条件と合わせ、ECUにより最適に制御される。
次に、本実施形態におけるサイクル可変ストロークエンジンのストローク特性変更手段によるストローク特性の変更方法について、説明する。ピストンストローク特性変更制御のフローチャートは、第1実施形態(図7)と同様である。以下では、ステップS5のストローク特性の変更処理である、燃料噴射・点火停止、バルブ作動時期の変更、燃料噴射時期・点火時期の変更・再開の順序を。図12のピストンストローク特性変更制御のタイムチャートに基づいて、ピストンストローク特性の変更制御を説明する。
図12おいて、Nが変更指令時のエンジン回転、N+n〜N+mが変更途中、N+(m+1)が変更直後のエンジン回転である。ここでは、低圧縮比(高速モード)から高圧縮比(低速モード)への切換えについて説明するが、高圧縮比(低速モード)から低圧縮比(高速モード)への変更においても同様の順序で作動される。
ピストンストローク特性の変更指令が発せられる(圧縮行程が開始される時点t0)と、先ず、切換え前の吸気行程終了後に、吸気バルブリフトをほぼゼロにして(時点t0−t1)、バルブタイミングの変更途中でのピストン冠面と吸気バルブINT.Vとの干渉を防止する。
また、切換え前の最後の燃焼のためのイグニッション点火が実行され(圧縮行程の上死点付近の時点t1)、切換え前の最後の燃焼排気ガスを排出する必要があるため、排気行程中、排気カムはそのまま作動させて排気バルブEXH.Vを開閉させる(時点t2−t3)。
また、最後のイグニッション点火後に、燃料噴射およびイグニッション点火を停止させる。したがって、排気行程の終了時点t3では燃料噴射は開始されない。これにより、未燃ガスの排出が防止できる。
前記切換え前の最後の燃焼排気ガスを排出のための排気行程の終了後(時点t3後)において、吸気側の位相可変機構71への切換え弁74を切換え、作動油圧を遅角側のシリンダ室75Bに供給して、吸気バルブ35の開閉位相を180度(クランク角360度(時点t5から開弁される))遅角させる。また、この時点での吸気のバルブタイミングの変更は、切換え前の最後の燃焼排気ガス排出後に実行されることにより、吸気バルブタイミング変更途中において排気弁と大オーバーラップとなって大量の高温・高圧ガスが吸気側へ吹き返さないようにしている。同時に、排気バルブEXH.Vのリフト量をほぼゼロにして(時点t3−t4)、バルブタイミングの変更途中でのピストン冠面と排気バルブEXH.Vとの干渉を防止する。
吸気側の位相可変機構71の遅角側への切換えにより、時点t5以降のピストン下降行程において、吸気バルブINT.Vの開閉が実行されるが、バルブリフト量がゼロに維持されているため、吸気バルブINT.Vは閉じた状態を維持し、空気の導入及び圧縮は行われない。
この吸気行程中(時点t5−t6)において、排気側の切換え制御弁を遅角側に切換え、作動油圧を遅角側のシリンダ室に供給して、排気バルブEXH.Vの開閉位相を180度(クランク角360度(時点t5から開弁される))遅角させる。また、吸気バルブINT.Vが閉じられた下死点近傍の時点t6から吸気側のバルブリフト量を目標リフト量に変更する(時点t6−t7)。前記排気バルブEXH.Vの開閉タイミングの遅角側への変更により、続くピストン上昇行程(時点t6−t7)においては、排気バルブEXH.Vは開閉されない。
時点t6−t8間のピストン上昇行程およびピストン下降行程は、切換え後の圧縮行程および膨張行程に相当し、給排気バルブは開閉されず、空気の排出及び導入は行われない。
前記排気側が遅角側に切換えられたことに伴ない、続くピストン上昇行程(時点t8−t9)では、排気バルブEXH.Vを開閉させて(時点t8−t9)排気行程が実行される。この排気行程(時点t8−t9)中において、燃料噴射装置から遅角用の燃料噴射時期による燃料噴射が再開される。同時に、排気バルブEXH.Vのバルブリフト量を目標リフト量に変更する。
引続くピストン下降工程(時点t9−t10)においては、遅角側に切換えられた吸気カムにより吸気バルブINT.Vが開閉されて燃料を含む吸気が導入され、続くピストン上昇行程(時点t10−t11)で吸気が圧縮され、低速用に切換えられた点火時期によりイグニッション点火が再開され、以後では、吸気カム側および排気カム側とも遅角モードで開閉される。
以上の給排気弁の開閉時期の切換えはシリンダ毎に実行され、その間においてはその気筒に対する燃料噴射が停止されるため、燃料噴射を停止したシリンダが存在する間は、残りの各シリンダ当りの負荷を上げることによって、エンジントルクの変動を抑制する。
以上のように、吸排気バルブの作動時期と点火時期を、運転条件に応じて燃費低減・出力向上を両立させるピストンストローク特性となるように、概略360°CA(クランクアングル)切換えるピストンストローク特性変更手段とすることにより、サイクル可変ストローク機構の位相切換え手段によりピストンストローク特性を変更する場合に比較して、特性変更に必要となるトルクが小さく、構造が簡素となり、コスト的にも燃費的にも有利となる。
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)、(ウ)、(エ)に加えて以下に記載した効果を奏することができる。
(オ)可変動弁機構として、吸気側カムシャフト(52)および排気側カムシャフトの回転位相を夫々180度切換可能な油圧作動式のバリアブルバルブタイミング機構71により構成したことにより、既に実用化されている吸排気弁のバルブタイミング機構により実現でき、コスト上昇を抑制できる。
(カ)可変動弁機構として、クランク軸9によって回転駆動し、外周に駆動カム53が固定された駆動軸52と、一端部に連係した前記駆動カム53の回転により揺動するロッカアーム56と、前記ロッカアーム56の他端部に連係して給排気弁を開作動させる揺動カム59と、前記ロッカアーム56の揺動支点を変化させるアクチュエータ63と、該アクチュエータ63を機関運転状態に応じて駆動制御する制御手段69とを備え、前記駆動カム53を、軸心が前記駆動軸52の軸心からオフセットした偏心リング状に形成すると共に、前記駆動カム53とロッカアーム56の一端部とをリンクアーム54を介して回転自在に連係し、該リンクアーム54の基部に有する嵌合孔を駆動カム53の外周面に回転自在に嵌合して、駆動カム53の偏心回転力を直線運動に変換してロッカアーム56に伝達するようにした可変動弁装置で構成し、前記制御手段69は、ピストンストローク特性の変更時には、目標とするバルブタイミングに到達するまで給排気弁のバルブリフト量をゼロとすることにより、ピストン冠面と給排気バルブとの干渉を確実に避けることができる。
本発明の一実施形態を示すサイクル可変ストロークエンジンの断面図。 同じくサイクル可変ストローク機構の概略構成図。 サイクル可変ストロークエンジンのピストンストローク特性(A)、および点火時期・バルブ開閉タイミング(B、C)を示す特性図。 ストローク特性変更手段の概略構成図。 図4のA−A線に沿うストローク特性変更手段の断面図。 図4のB−B線に沿うストローク特性変更手段の断面図。 ストローク特性変更に係る制御フローチャート。 ストローク特性変更に係るタイムチャート。 ストローク特性変更手段の別の実施例を示す概略図。 本発明の第2実施形態を示すストローク特性変更手段のシステム構成図。 ストローク特性変更手段の位相可変機構の概略図。 ストローク特性変更に伴なうタイムチャート。
符号の説明
1 ピストンピン
2 クランクピン
3 アッパーリンク
4 ロアリンク
5 コントロールリンク
5C 揺動中心
6 回転シャフト
7 偏心軸部
9 クランク軸
30 バリアブルバルブリフト機構
31 カムシャフト
32、33 カム
34 ロッカシャフト
35 吸気バルブ
36、56 ロッカアーム
37、38 サブロッカ
40A、40B プロップ
51 リフト・作動角可変機構
52…駆動軸
53…偏心カム
58…リンク部材
59…揺動カム
61…吸気弁
62…制御軸
69…エンジンコントロールユニット
71…位相可変機構

Claims (6)

  1. 往復動するピストンによりクランク軸を回転させ、1サイクル中のピストンの排気上死点位置と圧縮上死点位置とで異なるピストンストローク特性とするサイクル可変ストローク機構を備えるとともに、給排気弁の作動時期をクランク回転角度にして360度前後切換え可能な可変動弁機構と、前記可変動弁機構を切換え作動させると共に点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換える制御手段と、を備え、
    前記制御手段により前記可変動弁機構における給排気弁の作動時期および点火時期をクランク回転角度にして360度前後切換えることにより、1サイクル中の排気上死点と圧縮上死点とを切換えてピストンストローク特性を変更することを特徴とするサイクル可変ストロークエンジン。
  2. 前記可変動弁機構は、それぞれ180度位相が異なる複数のカムを形成した吸気側カムシャフトおよび排気側カムシャフトと、
    吸気バルブを開閉駆動するカムを切換可能な油圧作動式の吸気側バリアブルバルブリフト機構と、
    排気バルブを開閉駆動するカムを切換可能な油圧作動式の排気側バリアブルバルブリフト機構と、
    これらの機構への油圧の供給を制御する制御手段とにより構成したことを特徴とする請求項1に記載のサイクル可変ストロークエンジン。
  3. 前記可変動弁機構は、吸気側カムシャフトおよび排気側カムシャフトの回転位相を夫々180度切換可能な油圧作動式のバリアブルバルブタイミング機構により構成したことを特徴とする請求項1に記載のサイクル可変ストロークエンジン。
  4. 前記可変動弁機構は、クランク軸によって回転駆動し、外周に駆動カムが固定された駆動軸と、
    一端部に連係した前記駆動カムの回転により揺動するロッカアームと、
    前記ロッカアームの他端部に連係して給排気弁を開作動させる揺動カムと、
    前記ロッカアームの揺動支点を変化させるアクチュエータと、
    該アクチュエータを機関運転状態に応じて駆動制御する制御手段とを備え、
    前記駆動カムを、軸心が前記ドライブシャフトの軸心からオフセットした偏心リング状に形成すると共に、
    前記駆動カムとロッカアームの一端部とをリンクアームを介して回転自在に連係し、該リンクアームの基部に有する嵌合孔を駆動カムの外周面に回転自在に嵌合して、駆動カムの偏心回転力を直線運動に変換してロッカアームに伝達するようにした可変動弁装置で構成し、
    前記制御手段は、ピストンストローク特性の変更時には、目標とするバルブタイミングに到達するまで給排気弁のバルブリフト量をゼロとすることを特徴とする請求項3に記載のサイクル可変ストロークエンジン。
  5. 前記制御手段は、ピストンストローク特性の切換え時において、切換えが完了するまで燃料噴射を停止させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のサイクル可変ストロークエンジン。
  6. 前記制御手段は、エンジン冷機時においては排気上死点位置が圧縮上死点位置より高いピストンストローク特性に固定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のサイクル可変ストロークエンジン。
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