JP2007303624A - 自動変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】多板クラッチ機構(LowクラッチC1)を備えた自動変速機において、多板クラッチ機構のクラッチプレート23,24同士を所定のスリップ率で相互に滑らすような制御をエンジン始動後早期に行えかつクラッチプレートの過熱を確実に抑制する。
【解決手段】クラッチドラム21の周壁21aの外周側表面へ潤滑油を噴射する噴射ユニット30が、クラッチプレート23,24の温度が第1所定温度よりも低いときには、潤滑油の噴射範囲を、上記外周側表面においてクラッチプレート列設領域に対応する部分におけるクラッチドラム回転軸方向の全範囲に設定して、該潤滑油を加熱媒体として噴射する一方、クラッチプレートの温度が、上記第1所定温度以上に設定された第2所定温度以上であるときには、上記潤滑油の噴射範囲を、上記対応部分における上記回転軸方向の略中央部に設定して、該潤滑油を冷却媒体として噴射するように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多板クラッチ機構を備えた自動変速機に関する技術分野に属する。
一般に、車両の自動変速機においては、変速歯車機構の複数の回転要素間で動力の伝達状態と遮断状態とを切り換えるために、多板クラッチ機構が用いられている(例えば特許文献1参照)。この多板クラッチ機構では、クラッチドラムに設けた複数のクラッチプレートと、このクラッチドラムの内周側に配設されたクラッチハブに設けた複数のクラッチプレートとが、クラッチドラムの周壁とクラッチハブの周壁との間において交互に並んでいて、相隣接するクラッチプレート同士が互いに圧接及び圧接解除されることで、動力の伝達状態(クラッチ締結状態)と遮断状態(クラッチ解放状態)とが切り換えられるようになっている。
このような多板クラッチ機構では、通常、上記特許文献1に示されているように、上記クラッチプレート間の摩擦熱による過熱を抑制するために、変速歯車機構の入力軸の内部に潤滑油の油路を形成しておき、入力軸の回転による遠心力でもって、その潤滑油を入力軸の径方向外側へ流出させて、多板クラッチ機構を含む変速機全体の各部へ供給するようにしている。
一方、エンジン始動初期のようなエンジン及び変速機の冷機時には、上記多板クラッチ機構を含む変速機全体の摩擦損失が増大して燃費が悪化するという問題がある。そこで、例えば特許文献2に示されているように、エンジン冷却水と変速機の作動油(潤滑油)との熱交換を行うオイルウォーマを設けて、エンジン及び変速機の冷機時に、このオイルウォーマにより変速機の作動油(潤滑油)を早期に昇温することで、エンジン及び変速機をバランス良く暖機するようにすることが提案されている。このオイルウォーマは、変速機が暖機された後は、作動油(潤滑油)をエンジン冷却水との熱交換により冷却するオイルクーラとして機能し、この冷却された潤滑油の供給により、上記多板クラッチ機構のクラッチプレート等の過熱を抑制することができるようになる。
特許第2837565号公報 特開2005−3134号公報
ところで、上記のような多板クラッチ機構は、前進レンジ1速段時に締結されるようになっていることが多い。そして、シフトレバーが前進レンジにあるときにおいて、車両の停車中でかつブレーキペダル踏み込み状態(エンジンのアイドル状態)では、前進レンジ1速段時に締結される多板クラッチ機構を締結状態(完全な締結状態ではない)にしつつも、相隣接するクラッチプレート同士を所定のスリップ率で相互に滑らせる制御を行うようにしている。この制御は、ニュートラルアイドル制御と呼ばれ、このような制御を行うことで、多板クラッチ機構が完全な締結状態にある(トルクコンバータで滑る)場合に比べて、エンジンの負荷を低減してアイドル時の燃費を向上しつつ、多板クラッチ機構が解放状態にある場合に比べて、応答性良く車両を発進させることができ、しかも、車両発進時のクラッチ締結によるショックの発生を防止することができるという効果が得られる。
しかし、変速機の冷機時においては、上記のようなニュートラルアイドル制御を行うことが困難となる。これは、変速機冷機時にクラッチプレート同士を相互に滑らせようとすると、多板クラッチ機構(クラッチプレート)の温度が、その滑りが最も安定する温度(通常、80℃程度)よりも低いために、安定して滑ることができずに振動が生じるとともに、所定のスリップ率に制御する油圧駆動部を作動させるための作動油の温度も適正な温度に達していないために、制御性も劣るという問題があるからである。このため、変速機冷機時においては、車両発進時の応答性を優先して、多板クラッチ機構を完全な締結状態にしている。この結果、変速機が暖機されるまでの時間(多板クラッチ機構の温度が最適な温度に達するまでの時間)が長いと、その分だけ、車両停車中でのニュートラルアイドル制御による燃費向上効果が得られなくなる。
そこで、上記特許文献2の考え方を利用して、エンジンの冷却水と変速機の作動油(潤滑油)との熱交換を行うことで、変速機冷機時に、変速機の作動油(潤滑油)を昇温し、その昇温した潤滑油を、変速歯車機構の入力軸内の油路から、入力軸の回転による遠心力でもって多板クラッチ機構を含む変速機全体へ供給し、これにより、変速機が暖機されるまでの時間を短縮するようにすることが考えれる。
しかしながら、上記のような多板クラッチ機構(特にクラッチプレート)は、通常、変速歯車機構の外周側で該変速歯車機構の入力軸からは遠い位置、つまり変速機ケースの近傍にあり、このため、変速歯車機構の入力軸内の油路から、入力軸の回転による遠心力でもって潤滑油を多板クラッチ機構へ供給する方法では、たとえ潤滑油を昇温しても、多板クラッチ機構の温度が最適な温度に達するまでにはかなりの時間がかかる。また、たとえ多板クラッチ機構を入力軸の近傍に設けたとしても、変速歯車機構の配置の関係等から、潤滑油を多板クラッチ機構に対してピンポイントで供給することは困難になる。さらに、変速歯車機構の入力軸から変速機全体への潤滑油の供給量を増大させて上記時間を短縮するようにすることも考えられるが、こうすると、多量の潤滑油の供給を受けて不具合(例えば回転要素の抵抗増加)が生じる場合があり、多量の潤滑油の変速機全体への供給は問題がある。
さらにまた、上記多板クラッチ機構において相隣接するクラッチプレート同士を所定のスリップ率で相互に滑らすような制御を長時間行った場合等においては、クラッチプレートが過熱する可能性があるが、変速歯車機構の入力軸内の油路から潤滑油を多板クラッチ機構へ供給する方法では、上記過熱を確実に抑制することが困難となる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記のような多板クラッチ機構を備えた自動変速機において、変速機冷機時に、多板クラッチ機構の温度を出来る限り早期に最適な温度に昇温して、多板クラッチ機構の相隣接するクラッチプレート同士を所定のスリップ率で相互に滑らすような制御をエンジン始動後早期に行えるようにするとともに、変速機暖機後に、そのような制御が長時間行われる等してクラッチプレートが過熱するような状況になっても、その過熱を確実に抑制しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、変速機ケースにおいてクラッチドラムの周壁の外周側表面に対峙する部分に、該外周側表面へ潤滑油を噴射する噴射手段を設けるとともに、クラッチプレートの温度を検出するプレート温度検出手段を設け、上記噴射手段が、上記潤滑油を、上記クラッチドラムの周壁の外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分におけるクラッチドラム及びクラッチハブの回転軸方向の全範囲である第1範囲と、上記外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の略中央部である第2範囲とに選択的に噴射可能となるように構成し、上記クラッチプレートの温度が第1所定温度よりも低いときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第1範囲に設定して、該潤滑油をクラッチプレート加熱媒体として噴射する一方、上記クラッチプレートの温度が、上記第1所定温度以上に設定された第2所定温度以上であるときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第2範囲に設定して、該潤滑油をクラッチプレート冷却媒体として噴射するようにした。
具体的には、請求項1の発明では、変速機ケース内に収容されたクラッチドラムと、該クラッチドラムの内周側に設けられたクラッチハブと、上記クラッチドラムの周壁の内周側表面及び上記クラッチハブの周壁の外周側表面に、該両表面間で該クラッチドラム及びクラッチハブの回転軸方向に交互に並ぶようにそれぞれ列設された複数のクラッチプレートとを有する多板クラッチ機構を備えた自動変速機を対象とする。
そして、上記変速機ケースにおいて上記クラッチドラムの周壁の外周側表面に対峙する部分に設けられ、該外周側表面へ潤滑油を噴射する噴射手段と、上記クラッチプレートの温度を検出するプレート温度検出手段と、上記潤滑油の該噴射手段への供給油路に設けられ、該噴射手段へ供給される潤滑油を、エンジン冷却水と熱交換させることで加熱及び冷却する熱交換器とを備え、上記噴射手段は、上記潤滑油を、上記クラッチドラムの周壁の外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の全範囲である第1範囲と、上記外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の略中央部である第2範囲とに選択的に噴射可能に構成されていて、プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が第1所定温度よりも低いときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第1範囲に設定して、上記熱交換器を通った潤滑油をクラッチプレート加熱媒体として噴射する一方、上記プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が、上記第1所定温度以上に設定された第2所定温度以上であるときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第2範囲に設定して、上記熱交換器を通った潤滑油をクラッチプレート冷却媒体として噴射するように構成されているものとする。
上記の構成により、プレート温度検出手段(クラッチプレートの温度を直接検出する温度センサ等や、クラッチプレート同士のすべり等から推定される発熱量から間接に検出するものを含む)により検出されたクラッチプレートの温度が第1所定温度(通常、変速機冷機時とされるときの最大温度)よりも低いときには、潤滑油は、通常、熱交換器で加熱昇温される。すなわち、エンジン始動直後(エンジン冷却水の熱交換器への供給開始直後)においては、エンジン冷却水の温度が潤滑油と同じ程度の低い温度であるが、エンジン冷却水は、ラジエータを通さずにエンジンと熱交換器との間で循環流動させることで、エンジンの熱により素早く昇温する。この結果、潤滑油はエンジン冷却水との熱交換により加熱される。この加熱された潤滑油が、クラッチドラムの周壁の外周側表面へ噴射されるので、潤滑油が、変速歯車機構の入力軸からではなく、噴射手段から直に多板クラッチ機構に供給される。しかも、昇温された潤滑油がピンポイントで多板クラッチ機構に供給されるので、多板クラッチ機構の温度を早期にかつ確実に最適な温度に昇温することができる。したがって、多板クラッチ機構の相隣接するクラッチプレート同士を所定のスリップ率で相互に滑らすような制御をエンジン始動後早期に行うことができるようになる。これにより、この多板クラッチ機構が、前進レンジ1速段時に締結される場合に、ニュートラルアイドル制御をエンジン始動後早期に行うことができるようになり、車両停車中での燃費を効果的に向上させることができる。また、クラッチプレートの温度が第1所定温度よりも低いときには、潤滑油の噴射範囲が第1範囲に設定されるので、多板クラッチ機構の全てのクラッチプレートに対して略均一に熱付与することができ、多板クラッチ機構全体のクラッチプレート間で安定した滑りが得られるようになる。
一方、クラッチプレートの温度が第2所定温度(第1所定温度以上であって、通常、過熱状態とされる温度の中での最小温度)以上であるときには、潤滑油は、通常、熱交換器で冷却される。すなわち、変速機が暖機された後(温間時)は、エンジン冷却水はラジエータに供給されて、このラジエータで冷却されるので、潤滑油の温度がエンジン冷却水の温度よりも高くて、潤滑油はエンジン冷却水との熱交換により冷却される。この冷却された潤滑油が、クラッチドラムの周壁の外周側表面へ噴射されるので、変速機の温間時にクラッチプレート同士を所定のスリップ率で相互に滑らすような制御が長時間行われる場合等においても、クラッチプレートの過熱を確実に抑制することができる。しかも、クラッチプレートの温度が第2所定温度以上であるときには、潤滑油の噴射範囲が第2範囲に設定されるので、効果的な冷却が可能になる。つまり、クラッチプレート列の中央側に位置するクラッチプレートの方が、端部側に位置するクラッチプレートよりも、熱が籠もって放熱し難いために高温になり易いが、潤滑油の噴射範囲を第2範囲に設定することで、中央側に位置するクラッチプレートに対して効果的に冷却することができる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記潤滑油の上記噴射手段への供給油路に設けられ、該潤滑油を加熱する電気的発熱素子を更に備え、上記プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が上記第1所定温度よりも低いときには、上記電気的発熱素子により上記潤滑油を加熱するように構成されているものとする。
すなわち、特にエンジン始動直後においては、上記のように、エンジン冷却水の温度が潤滑油と同じ程度の低い温度であるため、潤滑油が熱交換器で十分に加熱昇温されないことになる。しかし、この発明では、電気的発熱素子により潤滑油を加熱するので、エンジン始動直後であっても、加熱された潤滑油を噴射手段へ供給することができ、多板クラッチ機構の温度をより一層早期にかつ確実に最適な温度に昇温することができる。尚、電気的発熱素子による潤滑油の加熱は、エンジン始動(つまり潤滑油の噴射手段への供給開始)から所定時間が経過するまでの間のみに行うようにしてもよく、この所定時間が経過すれば、エンジン冷却水がエンジンの熱により昇温することとなり、潤滑油を熱交換器で十分に加熱昇温することができるようになる。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記電気的発熱素子により上記潤滑油を加熱する際には、上記エンジン冷却水の上記熱交換器への供給を停止するように構成されているものとする。
すなわち、エンジン始動(潤滑油の噴射手段への供給開始)から所定時間が経過するまでの間は、エンジン冷却水を熱交換器へ供給しても、潤滑油が熱交換器で十分に加熱昇温されず、特に電気的発熱素子が熱交換器の上流側に配置されている場合等においては、電気的発熱素子により加熱された潤滑油が却って冷却されてしまう可能性もある。しかし、この発明では、電気的発熱素子により潤滑油を加熱する際には、エンジン冷却水の熱交換器への供給を停止するので、電気的発熱素子により潤滑油を効果的に加熱することができる。
請求項4の発明では、請求項2又は3の発明において、上記電気的発熱素子は、上記潤滑油の加熱に加えて、該潤滑油を冷却することが可能に構成され、上記プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が上記第2所定温度以上であるときには、上記電気的発熱素子により上記潤滑油を冷却するように構成されているものとする。
このことで、電気的発熱素子により潤滑油の冷却も可能になるので、クラッチプレートの過熱をより一層確実に抑制することができる。
請求項5の発明では、請求項2〜4のいずれか1つの発明において、上記電気的発熱素子は、上記潤滑油の上記噴射手段への供給油路における上記熱交換器の下流側に配設されているものとする。
このことにより、電気的発熱素子を熱交換器の上流側に配設する場合に比べて、電気的発熱素子による潤滑油の加熱及び冷却を効率良く行うことができる。
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1つの発明において、上記多板クラッチ機構は、少なくとも前進レンジ1速段時に締結されるように構成されているものとする。
このことで、ニュートラルアイドル制御をエンジン始動後早期に行うことができるようになり、車両停車中での燃費向上効果が確実に得られる。また、変速機の温間時にニュートラルアイドル制御を長時間行った場合等においても、クラッチプレートの過熱を確実に抑制することができる。
以上説明したように、本発明の自動変速機によると、クラッチドラムの周壁の外周側表面へ潤滑油を噴射する噴射手段が、上記潤滑油を、クラッチドラムの周壁の外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分におけるクラッチドラム及びクラッチハブの回転軸方向の全範囲である第1範囲と、上記外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の略中央部である第2範囲とに選択的に噴射可能となるように構成するとともに、上記クラッチプレートの温度が第1所定温度よりも低いときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第1範囲に設定して、該潤滑油をクラッチプレート加熱媒体として噴射する一方、上記クラッチプレートの温度が、上記第1所定温度以上に設定された第2所定温度以上であるときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第2範囲に設定して、該潤滑油をクラッチプレート冷却媒体として噴射するように構成したことにより、変速機冷機時においては、多板クラッチ機構のクラッチプレートの温度を素早く昇温して、相隣接するクラッチプレート同士を所定のスリップ率で相互に滑らすような制御をエンジン始動後早期に行うことができるようになるとともに、変速機の暖機後においては、クラッチプレートの冷却を良好に行って過熱を確実に抑制することができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る自動変速機ATの要部を示す。この自動変速機ATは、自動車等の車両に搭載されていて、主たる構成要素として、トルクコンバータ2(図1では、トルクコンバータ2のポンプインペラ2aのみを示す)と、変速歯車機構7(図1では、一部のみ示す)とを備えている。このトルクコンバータ2は、当該車両のエンジン65(図7参照)の出力軸から出力される回転駆動力を、変速歯車機構7の入力軸4に伝達する。つまり、トルクコンバータ2のポンプインペラ2aにエンジン65の出力が入力され、ポンプインペラ2aに対峙するタービンの回転が、変速歯車機構7の入力軸4(タービンシャフトと一体のもの)に出力される。尚、図1において線L1は入力軸4の軸線を示しており、入力軸4の上半分の部分が図示されている。
上記変速歯車機構7は、上記入力軸4に伝達された回転駆動力を変速して入力軸4と同軸配置された出力ギヤ8(図2参照)から出力する。
上記トルクコンバータ2は、トルクコンバータハウジング5内に収容され、変速歯車機構7は、変速機ケース1内に収容されている。トルクコンバータハウジング5は、変速機ケース1の一端側(トルクコンバータ2側(図1の右側))を塞ぐように配設されている。
上記トルクコンバータ2のポンプインペラ2aにはオイルポンプ3が連結されており、このオイルポンプ3は、ポンプインペラ2aの回転力により潤滑油を圧送するようになっている。そして、上記入力軸4内には、潤滑油の油路4aが形成されており、上記オイルポンプ3から圧送される潤滑油が、入力軸4の回転による遠心力によって、油路4aから入力軸4の径方向外側の変速機ケース1内へ流出させるようになっている。
上記変速歯車機構7は、図2に示すように、第1〜第4の4組のプラネタリギヤセットGS1,GS2,GS3,GS4と、第1〜第3の3つの湿式多板クラッチ機構C1,C2,C3と、第1及び第2の2つの湿式多板ブレーキ機構B1,B2とを備えている。
上記第1のプラネタリギヤセットGS1は、図1及び図2に示すように、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1の外歯及び第1リングギヤR1の内歯に噛み合う第1ピニオンP1を支持する第1キャリアPC1とを有するシングルピニオンタイプのプラネタリギヤセットである。
上記第2のプラネタリギヤセットGS2も、第1のプラネタリギヤセットGS1と同様に、図2に示すように、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2の外歯及び第2リングギヤR2の内歯に噛み合う第2ピニオンP2を支持する第2キャリアPC2とを有するシングルピニオンタイプのプラネタリギヤセットである。
上記第1のプラネタリギヤセットGS1の第1サンギヤS1は、変速機ケース1に対し固定(常時固定)されており、上記第2のプラネタリギヤセットGS2の第2サンギヤS2も、変速機ケース1に対して固定(常時固定)されている。
一方、上記第1のプラネタリギヤセットGS1の第1リングギヤR1は、上記入力軸4に溶接等により固定された第1連結メンバM1(図1及び図2参照)によって該入力軸4に連結(常時連結)されていて、入力軸4と共に入力軸4の軸線L1周りに回転する。また、上記第2のプラネタリギヤセットGS2の第2リングギヤR2は、入力軸4にスプライン嵌合等により固定された第2連結メンバM2(図2参照)によって該入力軸4に連結(常時連結)されていて、入力軸4と共に入力軸4の軸線L1周りに回転する。
このような構成により、上記入力軸4の回転は、第1及び第2のプラネタリギヤセットGS1,GS2においてそれぞれ常時減速されて、第1及び第2キャリアPC1,PC2から出力される。
上記第3のプラネタリギヤセットGS3は、図2に示すように、第3サンギヤS3と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3の外歯及び第3リングギヤR3の内歯に噛み合う第3ピニオンP3を支持する第3キャリアPC3とを有するシングルピニオンタイプのプラネタリギヤセットである。また、第4のプラネタリギヤセットGS4も、第4サンギヤS4と、第4リングギヤR4と、第4サンギヤS4の外歯及び第4リングギヤR4の内歯に噛み合う第4ピニオンP4を支持する第4キャリアPC4とを有するシングルピニオンタイプのプラネタリギヤセットである。
そして、上記第3リングギヤR3と第4キャリアPC4とは、第3連結メンバM3により連結(常時連結)されており、これによって、該第3リングギヤR3及び第4キャリアPC4は一体回転するようになっている。また、上記第3キャリアPC3と第4リングギヤR4とは、第4連結メンバM4により連結(常時連結)されており、これによって、上記第3キャリアPC3及び第4リングギヤR4は互いに一体的に回転するようになっている。
つまり、第3及び第4のプラネタリギヤセットGS3,GS4は、第3及び第4連結メンバM3,M4によって互いに連結されることにより、合わせて4つの回転要素(第3サンギヤS3、第3キャリアPC3=第4リングギヤR4、第3リングギヤR3=第4キャリアPC4、第4サンギヤS4)を有するようになっており、これにより互いのキャリアとリングギヤとを連結したCR−CR型連結遊星歯車列を構成している。
上記出力ギヤ8は、上記第4のプラネタリギヤセットGS4の第4キャリアPC4に連結されており、これによって、該第4キャリアPC4と一体回転するようになっている。
上記変速歯車機構7は、上記第1〜第3の3つのクラッチ機構C1〜C3と、第1及び第2の2つのブレーキ機構B1,B2とを選択的に作動させて入力軸4から出力ギヤ8までの駆動力の伝達経路を切り換えることにより、前進6速及び後退速が得られるようになっている。すなわち、上記第1〜第3のクラッチ機構C1〜C3並びに第1及び第2のブレーキ機構B1,B2には変速油圧制御装置がそれぞれ接続されており、この各変速油圧制御装置が、図3に示すように、各変速段にて締結圧(●印)や解放圧(無印)を作り出すようになっている。このような変速油圧制御装置としては、油圧制御タイプ、電子制御タイプ、油圧+電子制御タイプ等が考えられる。尚、詳しくは後述するが、本実施形態では第2のブレーキ機構B2と並列にワンウエイクラッチOWCが配置されており、この場合、前進レンジ1速段時には第2のブレーキ機構B2は締結されず、例えばマニュアルモードやホールドモード等、エンジンブレーキの必要な場合にのみ、第2のブレーキ機構B2は締結される(図3においては括弧を付して示す)。但し、ワンウエイクラッチOWCはなくてもよく、その場合は、前進レンジ1速段時に第2のブレーキ機構B2は締結されることになる。
上記第1のクラッチ機構C1は、第4サンギヤS4と第1キャリアPC1とを選択的に断接するためのクラッチであって、図3に示すように、前進レンジ(Dレンジ)1速〜4速段時に締結されるように構成されている(以下、第1のクラッチをLowクラッチと呼ぶ)。特に前進レンジ1速段時には、マニュアルモード等を除けば、この第1のクラッチ機構C1のみが締結される。
上記LowクラッチC1は、本発明の多板クラッチ機構に相当するものであって、図1に示すように、第1のプラネタリギヤセットGS1の外周側位置に配置されている。そして、LowクラッチC1は、変速機ケース1内に収容されかつ第1キャリアPC1に連結されたクラッチドラム21と、このクラッチドラム21の内周側にクラッチドラム21と同軸に設けられた筒状のクラッチハブ22と、複数のクラッチプレート23,24とを有している。これらクラッチドラム21及びクラッチハブ22は、上記入力軸4(入力軸4の軸線L1)の周りに回転自在に配設されており、このことで、軸線L1は、クラッチドラム21及びクラッチハブ22の回転軸であり、軸線L1が延びる方向(図1の左右方向)が、クラッチドラム21及びクラッチハブ22の回転軸方向である(以下、単に回転軸方向という)。
上記クラッチドラム21の周壁21aは、変速機ケース1の内周面近傍に位置していて、クラッチハブ22の周壁22aの外周側表面を囲むように配置されている。そして、クラッチドラム21の周壁21aの内周側表面と、クラッチハブ22の周壁22aの外周側表面とは互いに離間していて、その間に上記クラッチプレート23,24が設けられている。すなわち、クラッチドラム21の周壁21aの内周側表面には、複数(図1では、4つ)のクラッチプレート23がクラッチドラム21の内周側に延びるように設けられ、クラッチハブ22の周壁22aの外周側表面には、複数(図1では、4つ)のクラッチプレート24がクラッチハブ22の外周側に延びるように設けられて、これらクラッチプレート23,24が、上記回転軸方向に交互に並ぶようになされている。このように、クラッチプレート23,24は、クラッチドラム21の周壁21aの内周側表面及びクラッチハブ22の周壁22aの外周側表面に、該両表面間で上記回転軸方向に交互に並ぶように列設されている。
上記複数のクラッチプレート23のうちトルクコンバータ2に最も近い側(図1の右側)に位置するクラッチプレート23のトルクコンバータ2側の側方には、皿バネ25が設けられている。一方、トルクコンバータ2に対して最も遠い側に位置するクラッチプレート23の反トルクコンバータ2側の側方には、後述の皿バネ25側からの押圧力を受け止めるためのリテーニングプレート26及びリテーナ27が配設されている。
上記皿バネ25のトルクコンバータ2側の面には、ピストン部材28の一部が当接している。このピストン部材28は上記回転軸方向に摺動可能に設けられており、上記入力軸4から供給される潤滑油を作動油として、該作動油の油圧が、LowクラッチC1の変速油圧制御装置により締結圧とされることで、スプリング28aの付勢力に抗して反トルクコンバータ2側へ移動可能に構成されている。一方、上記作動油が解放圧とされたときには、ピストン部材28がスプリング28aの付勢力によりトルクコンバータ2側へ移動するようになっている。
そして、ピストン部材28が反トルクコンバータ2側へ移動すると、ピストン部材28によって皿バネ25を介してクラッチプレート23,24が反トルクコンバータ2側へ押圧され、これにより、クラッチプレート23,24がピストン部材28及びリテーニングプレート26間で挟持され、このことで、相隣接するクラッチプレート23,24同士が互いに圧接されてクラッチ締結状態となる。一方、ピストン部材28がトルクコンバータ2側へ移動すると、上記圧接が解除されて、クラッチ解放状態となる。こうしてクラッチ締結状態と解放状態とが切り換えられる。また、上記作動油の油圧は、締結圧及び解放圧以外にも、上記変速油圧制御装置によって木目細かく調整制御することが可能になっており、シフトレバーが前進レンジにあるときにおいて、車両の停車中でかつブレーキペダル踏み込み状態(つまりエンジン65はアイドル状態にある)では、LowクラッチC1を締結状態(完全な締結状態ではない)にしつつも、相隣接するクラッチプレート23,24同士を所定のスリップ率で相互に滑らせる制御(ニュートラルアイドル制御)を行うことができる。但し、このニュートラルアイドル制御は、自動変速機ATの冷機時(エンジン65の始動初期でエンジン冷却水が例えば80℃よりも低いとき)には、相隣接するクラッチプレート23,24同士の滑りが安定しない等の理由により、行われない。
上記クラッチハブ52は、上記回転軸方向の反トルクコンバータ2側に向かって延びており、その先端部(反トルクコンバータ側の端部)には、上記第4のプラネタリギヤセットGS4のサンギヤS4に連結された回転力伝達部材M5(図2参照)が結合されている。
上記第2のクラッチ機構C2は、上記第3のプラネタリギヤセットGS3の第3キャリアPC3と第1のプラネタリギヤセットGS1の第1リングギヤR1(つまり入力軸4)とを選択的に断接するためのクラッチであって、図3に示すように、前進レンジ4速〜6速段時に締結されるように構成されている(以下、第2のクラッチをHighクラッチと呼ぶ)。このHighクラッチC2も、LowクラッチC1と同様の構成であり、その詳細な説明は省略する(第3のクラッチ機構C3並びに第1及び第2のブレーキ機構B1,B2も基本的な構成はLowクラッチC1と同様である)。尚、図2中、M6は、上記回転力伝達部材M5と同様に、HighクラッチC2のクラッチハブと第3のプラネタリギヤセットGS3の第3キャリアPC3とを連結する回転力伝達部材である。
上記第3のクラッチ機構C3は、第2のプラネタリギヤセットGS2の第2キャリアPC2と第3のプラネタリギヤセットGS3の第3サンギヤS3とを選択的に断接するためのクラッチであって、図3に示すように、前進レンジ3速段時及び5速段時並びに後退レンジの後退速段時に締結されるように構成されている(以下、第3のクラッチを3/5/Rクラッチと呼ぶ)。
上記第1のブレーキ機構B1は、第3のプラネタリギヤセットGS3の第3サンギヤS3を選択的に変速機ケース1に断接して、該第3サンギヤS3の回転を選択的に停止させるためのブレーキであり、図3に示すように、前進レンジ2速段時及び6速段時に締結されるように構成されている(以下、この第1のブレーキを2/6ブレーキと呼ぶ)。
上記第2のブレーキ機構B2は、第3のプラネタリギヤセットGS3の第3キャリアPC3と第4のプラネタリギヤセットGS4の第4リングギヤR4とを連結する第4連結メンバM4を、選択的に変速機ケース1に断接して、該第4連結メンバM4の回転を選択的に停止させるためのブレーキであって、図3に示すように、前進レンジ1速段時及び後退レンジの後退速段時に締結されるように構成されている(以下、第2のブレーキをL/Rブレーキと呼ぶ)。但し、上述したように、このL/RブレーキB2はマニュアルモードやホールドモード等、エンジンブレーキを必要とする時にのみ締結される。
上記L/RブレーキB2の近傍には、ワンウエイクラッチOWCが配設されている。このワンウエイクラッチOWCは、変速機ケース1と第4連結メンバM4との間で、該第4連結メンバM4の一方向のみの回転を阻止するようになっている。
図1に示すように、上記変速機ケース1において上記LowクラッチC1のクラッチドラム21の周壁21aの外周側表面に対峙する部分1aには、該外周側表面へ潤滑油を噴射する噴射手段としての噴射ユニット30が設けられている。この噴射ユニット30は、変速機ケース1を貫通するように設けられていて、潤滑油の噴射口31a,31b(図4及び図5参照)を有する先端部がクラッチドラム21の周壁21aの外周側表面に対峙している。そして、入力軸4内の油路4aとは別系統の供給油路(後述の噴射ユニット専用の供給油路63)を介して潤滑油が噴射ユニット30に直接供給され、この潤滑油が噴射ユニット30の噴射口から上記周壁21aの外周側表面へ噴射されるようになっている。
上記噴射ユニットは、図4及び図5に示すように、先端部(下端部)に噴射口31a,31bが形成された筒状のケース部材31と、このケース部材31内に上下方向に移動可能に設けられた可動部材32とを有している。上記噴射口31aは、ケース部材31の先端部中央に形成されている一方、噴射口31bは、噴射口31aの径方向外側の周囲において周方向に所定間隔をあけて並ぶように複数(図5では、4つ)形成されており、これら噴射口31a,31bはケース部材31の内部空間と連通している。
上記可動部材32の中心部には油路32aが形成されており、可動部材32の上端部には凹状に形成され、この凹状部に、噴射ユニット専用の供給油路63(配管)と接続される接続部材35が挿入されている。これにより、上記油路32aには、噴射ユニット専用の供給油路63及び接続部材35を介して潤滑油が供給されるようになっている。
上記ケース部材31内には、可動部材32の周囲を囲むようにコイル33が収容されており、可動部材32とコイル33とは、該可動部材32を可動鉄心とする電磁ソレノイドを構成している。このことで、可動部材32は、コイル33への非通電時には、圧縮コイルスプリング34の付勢力により上側位置に位置しているが、コイル33への通電により、圧縮コイルスプリング34の付勢力に抗して下側位置へ移動するようになっている(図6参照)。このようにして可動部材32が下側位置に位置しているときには、該可動部材32の下端部が上記噴射口31bを閉塞し、上記油路32aは、噴射口31aのみと連通した状態となる。一方、可動部材32が上側位置に位置しているときには、上記油路32aは、噴射口31a及び噴射口31bの双方と連通した状態となる。
上記可動部材32の油路32aに供給された潤滑油は、上記可動部材32が上側位置に位置しているときには、上記噴射口31a及び噴射口31bの双方から噴射される一方、可動部材32が下側位置に位置しているときには、噴射口31aのみから噴射される。潤滑油が噴射口31a及び噴射口31bの双方から噴射されるときには、噴射口31aのみから噴射されるときよりも、潤滑油の噴射範囲が広くなる。ここでは、潤滑油が噴射口31a及び噴射口31bの双方から噴射されるときの噴射範囲を広角範囲といい、噴射口31aのみから噴射されるときの噴射範囲を狭角範囲という。このように、噴射ユニット30は、潤滑油の噴射範囲を、広角範囲と狭角範囲とに選択的に切り換えることが可能に構成されている。
上記噴射ユニット30は、上記潤滑油の噴射範囲を広角範囲に設定したときには、該潤滑油を、上記クラッチドラム21の周壁21aの外周側表面において上記クラッチプレート23,24の列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の全範囲である第1範囲に噴射する一方、狭角範囲に設定したときには、潤滑油を、上記周壁21aの外周側表面において上記クラッチプレート23,24の列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の略中央部である第2範囲に噴射するようになされている。図1において、噴射ユニット30により噴射されている潤滑油O1の噴射範囲は上記広角範囲(周壁21aの外周側表面における第1範囲)であり、潤滑油O2の噴射範囲は上記狭角範囲(周壁21aの外周側表面における第2範囲)である。したがって、噴射ユニット30は、潤滑油を、第1範囲と第2範囲とに選択的に噴射可能に構成されていることとなる。
上記クラッチドラム21の周壁21aの外周側表面において上記クラッチプレート23,24の列設領域に対応する部分には、該周壁21aを貫通する貫通孔21bが複数箇所に開口しており、このため、上記周壁21aの外周側表面へ噴射された潤滑油は、上記貫通孔21bを通ってクラッチプレート23,24に直接接触するようになされている。
ここで、上記自動変速機ATの潤滑油の経路について、エンジン冷却水の経路と共に図7を参照しながら説明する。
オイルタンク51に貯溜された潤滑油は、オイルポンプ3及びプレッシャーレギュレータバルブ53(P.R.V )を経て、所定のライン圧で作動油として上記各摩擦締結要素(LowクラッチC1、HighクラッチC2、3/5/RクラッチC3、2/6ブレーキB1及びL/RブレーキB2)へ供給され、上記変速油圧制御装置(図4では、制御ソレノイド55)によって、各摩擦締結要素の制御圧(締結圧や解放圧等)とされる。
一方、上記オイルポンプ3より吐出された潤滑油のうち上記作動油以外の残りの潤滑油は、リリーフバルブ56を介して潤滑元圧とされて、噴射ユニット30、入力軸4内の油路4a、トルクコンバータ2等へ供給するための共通の供給油路62を経た後に、分岐した噴射ユニット専用の供給油路63を通って噴射ユニット30へ供給されるとともに、分岐した各専用の供給油路64を通って各オリフィス61を経て入力軸4内の油路4aやトルクコンバータ2等へ供給される。入力軸4内の油路4aに供給された潤滑油は、入力軸4の回転による遠心力でもって、自動変速機AT全体の各部へ供給される。こうして各部へ供給された潤滑油は、再びオイルタンク51へ戻される。
上記潤滑油の上記噴射ユニット30への供給油路(本実施形態では、分岐前の共通の供給油路62)には、熱交換器60が配設されており、この熱交換器60は、噴射ユニット30等へ供給される潤滑油を、エンジン冷却水と熱交換させることで加熱及び冷却するものである。尚、熱交換器60は、噴射ユニット専用の供給油路63に配設してもよい。
上記エンジン冷却水の経路は、以下のようになっている。尚、図7に示すエンジン冷却水の経路は、自動変速機ATの潤滑油の加熱及び冷却用のものであって、エンジン65自体やその他の冷却用のものは別途に設けてある。
すなわち、エンジン65によって駆動されるウォータポンプ66(エンジン65等の冷却用のものと共用してもよく別途のものであってもよい)によって、エンジン冷却水がエンジン65内のウォータジャケットに導入され、このウォータジャケットを通った後に上記熱交換器60へ供給される。この熱交換器60において上記潤滑油と熱交換を行ったエンジン冷却水は、2つの第1及び第2ON/OFFバルブ67,68(一方がONのときには、他方がOFFとされる)によって、ラジエータ69に供給された後にウォータポンプ66に戻るか、ラジエータ69に供給されないで直接ウォータポンプ66に戻るかのいずれかの経路を辿る。
自動変速機ATの冷機時(エンジン65の冷機時でもある)においては、上記第1ON/OFFバルブ67はOFFとされる一方、第2ON/OFFバルブ68はONとされて、熱交換器60からのエンジン冷却水は、ラジエータ69に供給されない。これにより、エンジン冷却水は素早く昇温する。このとき、噴射ユニット30等へ供給される潤滑油の温度はエンジン冷却水の温度よりも低くて、熱交換器60は、噴射ユニット30等へ供給される潤滑油をエンジン冷却水と熱交換させることで加熱昇温するオイルウォーマとして機能する。
一方、自動変速機ATが暖機された後は、上記第1ON/OFFバルブ67はONとされる一方、第2ON/OFFバルブ68はOFFとされて、熱交換器60からのエンジン冷却水は、ラジエータ69に供給されて、このラジエータ69で冷却される。このとき、噴射ユニット30等へ供給される潤滑油の温度はエンジン冷却水の温度よりも高くて、熱交換器60は、噴射ユニット30等へ供給される潤滑油をエンジン冷却水と熱交換させることで冷却するオイルクーラとして機能する。
上記第1及び第2ON/OFFバルブ67,68のON及びOFFの切換えは、後述のの制御ユニット80(図8参照)によって、エンジン冷却水の温度を検出する水温検出センサにより検出された該エンジン冷却水の温度が、所定温度(例えば70〜80℃)よりも低いか否かで行う。つまり、上記検出されたエンジン冷却水の温度が所定温度よりも低いときには、自動変速機ATの冷機時(冷間時)であると判断して、第1ON/OFFバルブ67をOFFとする一方、第2ON/OFFバルブ68をONとする。一方、上記エンジン冷却水の温度が上記所定温度以上であるときには、自動変速機ATが暖機された(温間時である)と判断して、第1ON/OFFバルブ67をONとする一方、第2ON/OFFバルブ68をOFFとする。尚、第1及び第2ON/OFFバルブ67,68のON及びOFFの切換えは、エンジン冷却水の温度以外にも、上記オイルタンク51とオイルポンプ3との間の潤滑油経路に設けられている油温センサにより検出された潤滑油の温度が所定温度(例えば70〜80℃)よりも低いか否かで行うようにしてもよい。
次に、上記噴射ユニット30による潤滑油の噴射制御について説明する。
図8は自動変速機ATの制御ユニット80の構成を示すブロック図である。この制御ユニット80は、CPU81と、該CPU81が実行する制御プログラムを記憶したEEPROM82と、CPU81の演算結果等を一時的に記憶するRAM83と、外部デバイスに対するインターフェースとして機能する入出力インターフェース(I/OIF)84と、エンジン65を制御するエンジン制御ユニット(ECU)91に対する通信インターフェース(通信IF)85とを有している。
上記入出力インターフェース84には、当該車両に設けられている各種のセンサや、自動変速機ATの油圧系統を制御する各種の制御弁(変速油圧制御装置)、上記噴射ユニット30のコイル33へ通電するためのコイル通電回路92等が接続されている。上記制御弁には、噴射ユニット30による潤滑油の噴射・停止を切り換えるための制御弁、及び、上記第1及び第2ON/OFFバルブ67,68も含まれている。そして、CPU81は、入出力インターフェース84を介して得られる各種のセンサの検知結果及びエンジン制御ユニット91からのエンジン制御状態等の情報に基づいて、噴射ユニット30による潤滑油の噴射・停止を切り換えるとともに、潤滑油の噴射範囲(コイル33への通電・遮断)を切り換える。
本実施形態では、上記制御ユニット80のCPU81は、上記検出されたエンジン冷却水の温度が上記所定温度よりも低いときには、上記LowクラッチC1のクラッチプレート23,24の温度が第1所定温度(変速機冷機時とされるときの最大温度であり、本実施形態では、エンジン冷却水の温度に関する上記所定温度と同じ)よりも低いと判断して、上記潤滑油の噴射範囲を広角範囲(第1範囲)に設定するとともに、噴射ユニット30により潤滑油を噴射する状態にする。これにより、噴射ユニット30は、潤滑油の噴射範囲を上記第1範囲に設定して、上記熱交換器60を通った潤滑油(熱交換器60により加熱された潤滑油)をクラッチプレート加熱媒体として噴射する。尚、第1及び第2ON/OFFバルブ67,68のON及びOFFの切換えを、上記油温センサにより検出された潤滑油の温度が所定温度よりも低いか否かで行う場合には、その油温センサにより検出された潤滑油の温度が上記所定温度よりも低いときに、クラッチプレート23,24の温度が第1所定温度よりも低いと判断してもよい。
一方、上記制御ユニット80のCPU81は、上記クラッチプレート23,24の温度が、第2所定温度(本実施形態では、上記第1所定温度よりも高くて、過熱状態とされる温度の中での最小温度)以上であると判断したときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第2範囲に設定して、上記熱交換器60を通った潤滑油(熱交換器60により冷却された潤滑油)をクラッチプレート冷却媒体として噴射する。
本実施形態では、クラッチプレート23,24の温度が、上記第2所定温度以上であるか否かは、クラッチプレート23,24のすべり等から推定される発熱量が所定閾値以上であるか否かで判定する。すなわち、エンジン65の出力トルク、トルクコンバータ2の速度比、及び、クラッチドラム21とクラッチハブ22との回転数差から上記発熱量を推定し、その発熱量が所定閾値以上であれば、クラッチプレート23,24の温度が、上記第2所定温度以上であるとする。尚、エンジン65の出力トルクは、例えば、スロットル開度及びエンジン回転数から演算して求め、クラッチドラム21とクラッチハブ22との回転数差は、それぞれの回転数を検出(実測)する回転数検出センサを設けて、これら両回転数検出センサの検出値の差を演算して求めればよい。尚、クラッチプレート23,24の温度が、上記第2所定温度以上であるか否かを、車両の運転状態が予め定めた状態(EEPROM82に記憶しておく)に至ったか否かで推定するようにしてもよい。例えば、エンジン65の回転数が高回転状態にあるときにおいてシフトチェンジが連続して行われた場合や、ニュートラルアイドル制御を所定時間以上行った場合には、クラッチプレート23,24の温度が、上記第2所定温度以上であるとしてもよい。
このように、本実施形態では、クラッチプレート23,24の温度を間接的に検出している(水温検出センサや回転数検出センサ等が、クラッチプレート23,24の温度を検出するプレート温度検出手段を構成する)が、クラッチプレート23,24の温度を検出する温度センサを設けることで、その温度を直接検出することも可能である。
上記クラッチプレート23,24の温度が、第1所定温度以上でありかつ第2所定温度よりも低いと判断されたときには、本実施形態では、噴射ユニット30より潤滑油を噴射しないで、停止状態とする。尚、クラッチプレート23,24の温度が第1所定温度以上であれば、第2所定温度以上である場合と同様に、潤滑油の噴射範囲を上記第2範囲に設定して、上記熱交換器60を通った潤滑油(熱交換器60により冷却された潤滑油)をクラッチプレート冷却媒体として噴射するようにしてもよい。この場合は、第2所定温度を第1所定温度と同じ値に設定したのと同じことになる。或いは、クラッチプレート23,24の温度が、第1所定温度以上でありかつ第2所定温度(第1所定温度よりも高い)よりも低いと判断されたときには、潤滑油の噴射範囲を上記第1範囲に設定して、上記熱交換器60を通った潤滑油(熱交換器60により冷却された潤滑油)をクラッチプレート冷却媒体として噴射するようにしてもよい。
以上の構成により、本実施形態では、自動変速機ATの冷機時(クラッチプレート23,24の温度が第1所定温度よりも低いとき)には、熱交換器60によって潤滑油が昇温され、この昇温された潤滑油が噴射ユニット30や入力軸4内の油路4a等に供給される。そして、噴射ユニット30は、その昇温された潤滑油をLowクラッチC1へ直接供給するので、LowクラッチC1のクラッチプレート23,24の温度を早期にかつ確実に最適な温度に昇温することができる。すなわち、潤滑油を入力軸4内の油路4aから、入力軸4の回転による遠心力を利用してLowクラッチC1へ供給する方法では、LowクラッチC1が入力軸4から遠い位置に配設されているとともに、途中に第1のプラネタリギヤセットGS1の構成部材等が存在するので、LowクラッチC1の温度が最適な温度に達するまでにはかなりの時間がかかる。しかし、噴射ユニット30は、その昇温された潤滑油をピンポイントでLowクラッチC1へ直接供給するので、LowクラッチC1のクラッチプレート23,24温度が最適な温度に達するまでの時間が大幅に短縮される。したがって、LowクラッチC1においてニュートラルアイドル制御をエンジン65の始動後早期に行うことができるようになり、車両停車中での燃費を向上させることができる。また、潤滑油の噴射範囲が広角範囲(クラッチドラム21の周壁21aの外周側表面における第1範囲)に設定されるので、LowクラッチC1の全てのクラッチプレート23,24に対して略均一に熱付与することができ、LowクラッチC1全体のクラッチプレート23,24間で安定した滑りが得られるようになる。
一方、自動変速機ATが暖機された後(温間時)は、熱交換器60によって潤滑油が最適な温度に冷却され、この冷却された潤滑油が入力軸4内の油路4aからLowクラッチC1等へ供給される(噴射ユニット30からLowクラッチC1へは潤滑油は供給されない)。このとき、LowクラッチC1等において発熱しても、入力軸4内の油路4aから供給された潤滑油でもって適切に冷却される。
但し、過熱状態とされるような発熱が生じて、クラッチプレート23,24の温度が第2所定温度以上であると判断されたときには、噴射ユニット30からLowクラッチC1へ、熱交換器60により冷却された潤滑油が直接供給される。これにより、ニュートラルアイドル制御を長時間行った場合等においても、クラッチプレート23,24の過熱を確実に抑制することができる。このとき、潤滑油の噴射範囲が狭角範囲(クラッチドラム21の周壁21aの外周側表面における第2範囲)に設定されるので、効果的な冷却が可能になる。つまり、クラッチプレート列の中央側に位置するクラッチプレート23,24の方が、端部側に位置するクラッチプレート23,24よりも、熱が籠もって放熱し難いために高温になり易いが、潤滑油の噴射範囲を第2範囲に設定することで、中央側に位置するクラッチプレート23,24に対して効果的に冷却することができる。
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2を示し(尚、図7と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、電気的発熱素子としてのペルチェ素子73を用いて、噴射ユニット30へ供給される潤滑油を加熱するようにしたものである。
すなわち、本実施形態では、噴射ユニット専用の供給油路63(潤滑油の噴射ユニット30への供給油路における熱交換器60の下流側)に、ペルチェ素子73が配設されている。このペルチェ素子73への通電回路が、上記実施形態1で説明した制御ユニット80の入出力インターフェース84に接続されており、CPU81の制御には、このペルチェ素子73への通電の制御も含まれる。尚、ペルチェ素子73の配設位置は、噴射ユニット専用の供給油路63に限らず、共通の供給油路62における熱交換器60の上流側又は下流側であってもよい。
上記ペルチェ素子73は、LowクラッチC1のクラッチプレート23,24の温度が第1所定温度よりも低いと判断されたときに、噴射ユニット30へ供給される潤滑油を加熱するようになされている。但し、本実施形態では、上記ペルチェ素子73による潤滑油の加熱は、エンジン65の始動(つまり潤滑油の噴射ユニット30への供給開始)から所定時間が経過するまでの間に限られる。すなわち、エンジン65の始動から所定時間が経過するまでの間は、エンジン冷却水の温度が潤滑油と同じ程度の低い温度であるため、潤滑油が熱交換器60で十分に加熱昇温されない。そこで、この間は、ペルチェ素子73により潤滑油を加熱して、この加熱された潤滑油を噴射ユニット30へ供給するようにする。そして、上記所定時間が経過した後は、エンジン冷却水がエンジンの熱により昇温するので、潤滑油を熱交換器60で加熱する。これにより、エンジン65の始動直後から継続的に、昇温された潤滑油を噴射ユニット30へ供給して、LowクラッチC1の温度を早期にかつ確実に最適な温度に昇温することができる。尚、エンジン65の始動から所定時間が経過しても、ペルチェ素子73により潤滑油の加熱を継続してもよい。
上記ペルチェ素子73により潤滑油を加熱する際には、エンジン冷却水の熱交換器60への供給を停止することが好ましい。エンジン冷却水を熱交換器60へ供給しても、エンジン65の始動から所定時間が経過するまでの間は、上記の如く、潤滑油が熱交換器60で十分に加熱昇温されないからである。特に、ペルチェ素子73を共通の供給油路62における熱交換器60の上流側に配置した場合には、ペルチェ素子73により加熱された潤滑油が却って冷却される可能もあるので、エンジン冷却水の熱交換器60への供給を停止するのがよい。このようにエンジン冷却水の熱交換器60への供給を停止する場合には、上記第1及び第2ON/OFFバルブ67,68の両方をOFFとすればよく、ウォータポンプ66が、エンジン65等の冷却用のものとは別途のものである場合には、ウォータポンプ66を停止させてもよい。
また、本実施形態では、電気的発熱素子としてペルチェ素子73を使用しているので、ペルチェ素子73へ流す電流の方向を逆にすることで、ペルチェ素子73により潤滑油を冷却することも可能になる。そこで、クラッチプレート23,24の温度が第2所定温度以上であるときには、熱交換器60とペルチェ素子73とにより、噴射ユニット30へ供給される潤滑油を冷却することができ、クラッチプレート23,24の過熱をより一層確実に抑制することができる。
尚、上記実施形態2では、電気的発熱素子としてペルチェ素子73を使用したが、これに限らず、通電により発熱させることが可能な素子であれば、どのようなものであってもよく、潤滑油を冷却する機能は必ずしも有している必要はない。
また、上記実施形態1及び2では、1つの噴射ユニット30を、広角範囲と狭角範囲とに選択的に切換え可能に構成して、潤滑油をクラッチドラム21の周壁21aの外周側表面における第1範囲と第2範囲とに選択的に噴射可能に構成したが、図10に示すように、2つの噴射ユニット30a,30bを用いても、潤滑油をクラッチドラム21の周壁21aの外周側表面における第1範囲と第2範囲とに選択的に噴射可能に構成することができる。すなわち、変速機ケース1においてLowクラッチC1のクラッチドラム21の周壁21aの外周側表面に対峙する部分1aに、2つの噴射ユニット30a,30bを互いに周方向に離間して設ける。噴射ユニット30aは、広角噴射用であって、上記実施形態1で説明した噴射ユニット30の広角範囲と同じ噴射範囲で潤滑油O1を噴射する一方、噴射ユニット30bは、狭角噴射用であって、上記噴射ユニット30の狭角範囲と同じ噴射範囲で潤滑油O2を噴射する。そして、上記噴射ユニット30が広角範囲で潤滑油を噴射する場合と同様の条件で、噴射ユニット30aが潤滑油を噴射し、噴射ユニット30が狭角範囲で潤滑油を噴射する場合と同様の条件で、噴射ユニット30bが潤滑油を噴射するように制御する。この構成では、2つの噴射ユニット30a,30bから同時に潤滑油を噴射することも可能であるので、例えばクラッチプレート23,24の温度が第2所定温度よりも高い第3所定温度以上であるときには、2つの噴射ユニット30a,30bから同時に潤滑油を噴射するようにすれば、クラッチプレート23,24の冷却をより一層効果的に行うことができる。
さらに、上記実施形態1及び2では、前進レンジ1速段時に締結されかつニュートラルアイドル制御を行うLowクラッチC1に対して、本発明を適用したが、LowクラッチC1におけるニュートラルアイドル制御のように、HighクラッチC2や3/5/RクラッチC3においても、相隣接するクラッチプレート同士を所定のスリップ率で相互に滑らすような制御を行う場合には、HighクラッチC2や3/5/RクラッチC3対しても、本発明を適用することができる。
本発明は、多板クラッチ機構を備えた自動変速機に有用であり、特に前進レンジ1速段時に締結されかつニュートラルアイドル制御を行う多板クラッチ機構を備えた自動変速機に有用である。
本発明の実施形態1に係る自動変速機の要部を示す断面図である。 上記自動変速機の全体構成を示すスケルトン図である。 上記自動変速機でのクラッチ等の締結状態と変速段との関係を示す図である。 噴射ユニットの可動部材が上側位置に位置している状態を示す噴射ユニットの縦断面図である。 上記噴射ユニットを先端側(下側)から見た図である。 上記噴射ユニットの可動部材が下側位置に位置している状態を示す図4相当図である。 上記自動変速機の潤滑油及びエンジン冷却水の経路を示す図である。 上記自動変速機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。 実施形態2を示す図7相当図である。 噴射ユニットの別の形態を示す説明図である。
符号の説明
1 変速機ケース
21 クラッチドラム
22 クラッチハブ
23 クラッチプレート
24 クラッチプレート
30 噴射ユニット(噴射手段)
60 熱交換器
62 共通の供給油路(潤滑油の噴射手段への供給油路)
63 噴射ユニット専用の供給油路(潤滑油の噴射手段への供給油路)
73 ペルチェ素子(電気的発熱素子)

Claims (6)

  1. 変速機ケース内に収容されたクラッチドラムと、該クラッチドラムの内周側に設けられたクラッチハブと、上記クラッチドラムの周壁の内周側表面及び上記クラッチハブの周壁の外周側表面に、該両表面間で該クラッチドラム及びクラッチハブの回転軸方向に交互に並ぶようにそれぞれ列設された複数のクラッチプレートとを有する多板クラッチ機構を備えた自動変速機であって、
    上記変速機ケースにおいて上記クラッチドラムの周壁の外周側表面に対峙する部分に設けられ、該外周側表面へ潤滑油を噴射する噴射手段と、
    上記クラッチプレートの温度を検出するプレート温度検出手段と、
    上記潤滑油の該噴射手段への供給油路に設けられ、該噴射手段へ供給される潤滑油を、エンジン冷却水と熱交換させることで加熱及び冷却する熱交換器とを備え、
    上記噴射手段は、上記潤滑油を、上記クラッチドラムの周壁の外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の全範囲である第1範囲と、上記外周側表面において上記クラッチプレートの列設領域に対応する部分における上記回転軸方向の略中央部である第2範囲とに選択的に噴射可能に構成されていて、プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が第1所定温度よりも低いときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第1範囲に設定して、上記熱交換器を通った潤滑油をクラッチプレート加熱媒体として噴射する一方、上記プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が、上記第1所定温度以上に設定された第2所定温度以上であるときには、上記潤滑油の噴射範囲を上記第2範囲に設定して、上記熱交換器を通った潤滑油をクラッチプレート冷却媒体として噴射するように構成されていることを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1記載の自動変速機において、
    上記潤滑油の上記噴射手段への供給油路に設けられ、該潤滑油を加熱する電気的発熱素子を更に備え、
    上記プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が上記第1所定温度よりも低いときには、上記電気的発熱素子により上記潤滑油を加熱するように構成されていることを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項2記載の自動変速機において、
    上記電気的発熱素子により上記潤滑油を加熱する際には、上記エンジン冷却水の上記熱交換器への供給を停止するように構成されていることを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項2又は3記載の自動変速機において、
    上記電気的発熱素子は、上記潤滑油の加熱に加えて、該潤滑油を冷却することが可能に構成され、
    上記プレート温度検出手段により検出されたクラッチプレートの温度が上記第2所定温度以上であるときには、上記電気的発熱素子により上記潤滑油を冷却するように構成されていることを特徴とする自動変速機。
  5. 請求項2〜4のいずれか1つに記載の自動変速機において、
    上記電気的発熱素子は、上記潤滑油の上記噴射手段への供給油路における上記熱交換器の下流側に配設されていることを特徴とする自動変速機。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動変速機において、
    上記多板クラッチ機構は、少なくとも前進レンジ1速段時に締結されるように構成されていることを特徴とする自動変速機。
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