JP2007294237A - 固体高分子型燃料電池用電極電解質、電極ペースト、電極および膜−電極接合体 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極電解質は、
下記一般式(2−2)で表わされる構成単位(S)および下記一般式(2−3)で表わされる構成単位(T)を有し、該構成単位(S)の割合sが95〜50モル%であり、該構成単位(T)の割合tが5〜50モル%であるポリアリーレン(ここで、s+t=10
0モル%である。)を含むことを特徴とする。
、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基またはアリール基を表す。)
上記ポリアリーレンは、下記一般式(3−2)で表される構成単位(U)をさらに有することが好ましい。
選ばれる少なくとも1種の2価の連結基を表し、Zは、それぞれ独立に直接結合、または−(CH2)p−(ここで、pは1〜10の整数を示す。)、−C(CH3)2−、−O−および−S−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の連結基を表し、Arは、スルホン酸基を有する芳香族基を表す。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
本発明に係る電極ペーストは、上記本発明の電極電解質、触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする。
本発明に係る膜−電極接合体は、上記本発明の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備えることを特徴とする。
〔電極電解質〕
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質は、下記一般式(2−2)で表わされる構成単位(S)および下記一般式(2−3)で表わされる構成単位(T)とを有するポリアリーレンを含む。また、上記ポリアリーレンとしては、スルホン酸基を含む構成単位を有するポリアリーレン(以下「スルホン化ポリアリーレン」ともいう)が好ましく、下記一般式(3−2)で表わされる構成単位(U)を有するポリアリーレンがより好ましい。
<構成単位(S)および構成単位(T)>
表される2価の連結基を表す。これらのうちで、Aとしては、得られる重合体の加工性の観点から−CO−が好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。これらのうちで、R1〜R4としては、優れたメタノール耐性および耐水性と、強度、靭性などの機械的特性とが両立できるため、水素原子、メチル基、フェニル基が好ましい。
、好ましくは90〜60モル%であり、上記構成単位(T)の割合tが5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%である(ここで、s+t=100モル%である。)。tが5
未満であると、メタノール耐性や耐水性が劣る傾向にあり、tが50を超えると、機械的特性や加工性が劣る傾向がある。すなわち、sおよびtが上記範囲にあると、上記スルホン化ポリアリーレンは、優れたメタノール耐性および疎水性とともに、優れた靭性等の機械的強度、優れた加工性などを有する。
上記スルホン酸基を含む構成単位としては、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報、特開2001−342241号公報および特開2002−293889号公報に記載されているスルホン酸基を有する構成単位が好ましい。これらのうちで、下記一般式(3−2)で表される構成単位(U)は、得られるポリアリーレンにおいて、優れたプロトン伝導性と優れたメタノール耐性とが両立できるためより好ましい。したがって、構成単位(S)、(T)および(U)を含むスルホン化ポリアリーレンは、ダイレクトメタノール型燃料電池に好適に用いられる。
、−(CF2)p−(ここで、pは1〜10の整数を示す。)および−C(CF3)2−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の連結基を表す。これらのうちで、Yとしては、−CO−、−SO2−が好ましい。
芳香族基として、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらのうちで、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
である場合には、2個以上の−SO3Hを有していることが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが−SO3Hを少なくとも1個
有するフェニル基である場合、(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが−SO3Hを少なくとも1個有するフェニル基である場合
、(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが−SO3Hを2個有するナフチル基である場合が挙げられる。
上記スルホン化ポリアリーレンの製造には、例えば下記に示す方法(特開2004−137444号公報参照)が用いられる。この方法では、まず、後述する化合物(1)とスルホン酸エステル基を含む単量体とを重合し、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン(本明細書において、このポリアリーレンを「前駆体ポリマー(A)」ともいう。)を製造して、次いで、前駆体ポリマー(A)中のスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換する。これにより、構成単位(S)および構成単位(T)とともに、スルホン酸基を含む構成単位を有するスルホン化ポリアリーレンが得られる。
化合物(1)は、両末端がそれぞれ下記一般式(1−1)で表わされるとともに、下記一般式(1−2)で表わされる構成単位(S)および下記一般式(1−3)で表わされる構成単位(T)を含む。この化合物(1)から導かれる構成単位を含むスルホン化ポリアリーレンでは、フルオレン骨格を含む疎水性の構成単位(T)によってメタノール耐性が発現されるとともに、屈曲性の構成単位(S)によって重合体の靭性、その他の機械的強度、加工性などが向上する。
これらのうちで、Aとしては、得られる重合体の加工性の観点から−CO−が好ましく、R1〜R4としては、優れたメタノール耐性および耐水性と、強度、靭性などの機械的特性とが両立できるため、水素原子、メチル基、フェニル基が好ましい。
化合物(1)では、上記構成単位(S)の割合sが95〜50モル%、好ましくは90〜60モル%であり、上記構成単位(T)の割合tが5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%である(ここで、s+t=100モル%である。)。tが5未満であると、化
合物(1)から得られるスルホン化ポリアリーレンにおいて、メタノール耐性や耐水性が劣る傾向にあり、tが50を超えると、該化合物(1)から得られるスルホン化ポリアリーレンを用いて膜を製造する場合に、膜の機械的特性や加工性が劣る傾向がある。すなわち、sおよびtが上記範囲にあると、化合物(1)から得られるスルホン化ポリアリーレンは、優れたメタノール耐性および疎水性とともに、優れた靭性等の機械的強度、優れた加工性などを有する。
化合物(1)は、例えば、ジヒドロキシベンゼン類およびフルオレン類で連結されたビスフェノール(本明細書において、これらをまとめて「ビスフェノール類」ともいう。)を、4,4’−ジハロベンゾフェノンおよび/または4,4’―ジハロジフェニルスルホン(本明細書において、これらをまとめて「ジハロゲン化物」ともいう。)とともに重合して合成される。
られる。これらのうちで、化合物(1)から得られるスルホン化ポリアリーレンにおいて、優れた靭性、その他の機械的強度、加工性が得られるため、ヒドロキノン、レゾルシノールが好ましく、レゾルシノールがより好ましい。上記ジヒドロキシベンゼン類は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
反応に用いられる上記ジハロゲン化物の量(上記4,4’−ジハロベンゾフェノンおよ
び/または4,4’―ジハロジフェニルスルホンの総量)は、上記ビスフェノール類の量(上記ジヒドロキシベンゼン類および上記フルオレン類で連結されたビスフェノールの総量)に対し1.0001〜3倍モル、好ましくは1.001〜2倍モルである。
得られた化合物(1)は、ポリマーの一般的な精製方法、例えば、溶解−沈殿の操作によって精製してもよい。なお、化合物(1)の分子量の調整は、上記ジハロゲン化物と上記フェノール類との反応モル比によって行うことができる。
(S)は、6.8〜6.9ppm付近のシグナルの存在によって、構成単位(T)は、7.25〜7.35ppm付近のシグナルの存在によってそれぞれ確認される。化合物(1)中の構成単位(S)の割合sおよび構成単位(T)の割合tは、上記のシグナルの強度比によって求められる。
<スルホン酸エステル基を含む単量体>
上記スルホン酸エステル基を有する単量体としては、具体的には、特開2004−137444号公報、特願2003−143903および特願2003−143904に記載されているスルホン酸エステル類が挙げられる。
Xは、フッ素を除くハロゲン原子、すなわち、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。
Rは上記と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同じである。)を有する芳香族基を表す。上記芳香族基として、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらのうちで、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
である場合には、2個以上の−SO3Rを有していることが好ましい。
<前駆体ポリマー(A)の製造>
前駆体ポリマー(A)の製造の際には、全単量体に対して、化合物(1)を0.5〜99.999モル%、好ましくは10〜99.999モル%の量で、スルホン酸エステル基を含む単量体を99.5〜0.001モル%、好ましくは90〜0.001モル%の量で用いることが望ましい。
された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために「塩」を添加してもよい。これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合としては、特開2001−342241号公報に記載のものが挙げられる。
<脱エステル化>
次いで、前駆体ポリマー(A)を特開2004−137444号公報に記載の方法で脱エステル化すれば、上記スルホン化ポリアリーレンが得られる。
上記のような方法により製造される、スルホン化ポリアリーレンのイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低くなる傾向にあり、5meq/gを超えると、耐水性およびメタノール耐性が大幅に低下する傾向にある。
本発明の電極電解質は、上記スルホン化ポリマー以外に、酸化防止剤、硫酸、リン酸などの無機酸、リン酸ガラス、タングステン酸、リン酸塩水和物、β-アルミナプロトン置
換体、プロトン導入酸化物等の無機プロトン伝導体粒子、カルボン酸を含む有機酸、スルホン酸を含む有機酸、ホスホン酸を含む有機酸、適量の水などを添加されていてもよい。
い。このような酸化防止剤を含有することにより、電解質としての耐久性をより向上させることができる。
ドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2
−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−
ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]
ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などを挙げることができる。
本発明の電極ペーストは、上記電極電解質、触媒粒子および溶媒を含み、必要に応じて分散剤、炭素繊維などの他の成分を含んでいてもよい。
触媒粒子は、触媒が、カーボン、金属酸化物の担体に担持されたもの、または、触媒の単体からなる。
上記触媒を担持する担体としては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。また、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
本発明の電極ペーストに用いられる溶媒としては、上記電極電解質を溶解または分散する溶媒であればよく、特に限定されるものではない。また、1種類単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタールなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノンなどのケトン類
;γーブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類;ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テ
トラメチル尿素などの非プロトン性極性溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系溶媒などが挙げられる。
本発明の電極ペーストには、必要に応じてさらに分散剤を添加してもよい。このような分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。
ルリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。
,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムク
ロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物などが挙げられる。
チルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベ
タインなどが挙げられる。
<炭素繊維>
本発明の電極ペーストには、必要に応じてさらに炭素繊維を添加することができる。このような炭素繊維しては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、好ましくは、気相
成長炭素繊維である。
本発明の電極ペーストには、必要に応じてさらに他の成分を添加することができる。たとえば、フッ素系ポリマーやシリコン系ポリマーなどの撥水剤を添加してもよい。撥水剤は生成する水を効率よく排出する効果を奏し、発電性能の向上に寄与する。
本発明の電極ペースト全量に対して、触媒粒子の含有量は1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%であり、電極電解質の含有量は0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%であり、溶媒の含有量は50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%である。また、必要に応じて用いられる分散剤の含有量は0〜10重量%、好ましくは0〜2重量%であり、炭素繊維の含有量は0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。なお、上記成分の含有量の合計が、100重量%を超えることはない。
上記分散剤の含有量が、上記範囲内にあると保存安定性に優れた電極ペーストが得られる。また、上記炭素繊維の含有量が、上記範囲未満であると、電極中の細孔容積の増加効果が低くなり、上記範囲を超えると、電極反応率が低下することがある。
本発明の電極ペーストは、たとえば、上記各成分を上記含有量となるように混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極は、上記電極ペーストを転写基材上に塗布し、溶媒を除去することにより得られる。すなわち、本発明の電極は、上記本発明の電極電解質および上記触媒粒子を含む。
本発明の膜−電極接合体(以下「MEA」ともいう)では、上記電極が固体高分子電解質膜の少なくとも片面に備えられており、上記転写基材上に形成された電極層を、該電解質膜の少なくとも片面、好ましくは両面に転写することにより得られる。
たとえば、Nafion(DuPont社製)、Flemion(旭硝子製)、Aciplex(旭化成製)などのパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる電解質膜;パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーに、ポリテトラフルオロエチレンの繊維や多孔質膜と複合化した補強型電解質膜;ポリテトラフルオロエチレングラフトスルホン化ポリスチレンなどの部分フッ素化スルホン化ポリマーからなる電解質膜;スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルニトリル、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリベンズオキサゾール、スルホン化ポリベンズチアゾールなどの芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜;スルホン化ポリスチレン、スルホン酸含有アクリル系ポリマーなどの脂肪族スルホン化ポリマーからなる電解質膜;これらを多孔質膜と複合化した細孔フィリング型電解質膜;
ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールなどのポリマーにリン酸や硫酸などを含浸させた酸含浸型ポリマーからなる電解質膜などが挙げられる。これらの中では、芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜が好ましい。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
化合物(1)の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル・パーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)法によって、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として40℃で測定し、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
化合物(1)および上記スルホン化ポリアリーレンの構造は以下の方法によって確認した。1H−NMRにより、6.8〜6.9ppm付近のシグナルから構成単位(S)を有
することを、7.25〜7.35ppm付近のシグナルの存在から構成単位(T)を有することをそれぞれ確認し、それぞれのピーク強度比から、構成単位(S)の割合sおよび構成単位(T)の割合tを求めた。
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリアリーレンの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去して十分に洗浄し、乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
64重量%の60℃メタノール水溶液に、上記電解質膜を6時間浸漬した。浸漬前後の面積を測定し、面積変化率(%)を計算した。
面積変化率(%)=(浸漬後の面積/浸漬前の面積)×100(%)
(メタノール透過性)
浸透気化測定法(パーベーパレーション法)により測定した。所定のセルに上記電解質膜をセットし、表面側から30重量%のメタノール水溶液を供給し、裏面から減圧し、透過液を液体窒素でトラップした。メタノール透過量は下記の式から計算した。
メタノール透過量(g/m2/h)=[透過液重量(g)/回収時間(h)/試料面積(m2)]×透過液のメタノール濃度
(膜抵抗の測定)
上記電解質膜を濃度1mol/Lの硫酸を介して上下から導電性カーボン板ではさみ、室温でカーボン板間の交流抵抗を測定した。膜抵抗は下記の式で求めた。
膜抵抗(Ω・cm2)=[膜をはさんだカーボン間の抵抗値(Ω)−ブランク値(Ω)]×
接触面積(cm2)
(電極接合性)
市販のカーボン電極および上記電解質膜を140℃で5分間75kg/cm2でプレス
した。これを10wt%メタノール水溶液に24時間浸漬し、電極の接着状態を目視で観察した。
(発電特性)
作製した触媒付電解質膜をカーボンペーパーに挟んで、圧力100kg/cm2下で、
160℃×15minの条件でホットプレス成形して、膜−電極接合体(MEA)を作製した。このMEAを2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の燃料電池を組み立てた。
A/cm2のときの端子間電圧を測定した。
撹拌羽根、温度計、窒素導入管、Dean-Stark管および冷却管を取り付けた3
Lセパラブル4口フラスコに9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL
)92.76g(265mmol)、レゾルシノール(Res)87.44g(794mmol)、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン(DFBP)205.36g(941m
mol)、4-クロロ-4'-フルオロベンゾフェノン(CFBP)52.45g(224mmol)、炭酸カリウム175.61g(1271mmol)を加えた。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1250mL、トルエン500mLを加えた。155℃まで昇温し、反応によって生成する水をトルエンとの共沸により、Dean-Sta
rk管から取り除いた。水の生成が認められなくなるまで、3時間反応した後、トルエンを系外に取り除きながら165℃まで昇温し、その後160〜165℃で5時間撹拌した。次に、CFBP30.37g(129mmol)を加え、再度160〜165℃で3時間撹拌した。
物(1−1)は、下記式で表される構成単位(S−1)および(T−1)を含み、構成単
位(S−1)の割合s1が75モル%であり、(T−1)の割合t1が25モル%であった。
3Lセパラブル4口フラスコにBPFL36.71g(105mmol)、Res103.82g(943mmol)、DFBP207.81g(952mmol)、CFBP42.46g(181mmol)、炭酸カリウム173.75g(1257mmol)を加え、次いで、DMAc1250mL、トルエン500mLを加えた点を変更した他は、160〜165℃での5時間の撹拌までは、合成例1と同様の条件で反応を行った。次に、CFBP24.58g(105mmol)を加え、再度160〜165℃で3時間撹拌した。
化合物(1−2)の数平均分子量は4600、重量平均分子量は6900であった。また、1H−NMRスペクトルを図3に示す。この化合物(1−2)は、下記式で表される
構成単位(S−2)および(T−2)を含み、構成単位(S−2)の割合s2が90モル%であり、構成単位(T−2)の割合t2が10モル%であった。
3Lセパラブル4口フラスコにBPFL37.40g(107mmol)、Res21.83g(198mmol)、DFBP59.15g(271mmol)、CFBP15.11g(64.4mmol)、炭酸カリウム50.57g(366mmol)を加え、次いで、DMAc360mL、トルエン145mLを加えた点を変更した他は、160〜165℃での5時間の撹拌までは、合成例1と同様の条件で反応を行った。次に、CFBP8.75g(37.3mmol)を加え、再度160〜165℃で3時間撹拌した。
化合物(1−3)の数平均分子量は4300、重量平均分子量は6800であった。また、1H−NMRスペクトルを図5に示す。この化合物(1−3)は、下記式で表される
構成単位(S−3)および(T−3)を含み、構成単位(S−3)の割合s3が65モル%であり、構成単位(T−3)の割合t2が35モル%であった。
3Lセパラブル4口フラスコにBPFL0g(0mmol)、Res16.15g(147mmol)、DFBP29.09g(133mmol)、CFBP5.94g(25mmol)、炭酸カリウム24.32g(176mmol)を加え、次いで、DMAc175mL、トルエン70mLを加えた点を変更した他は、160〜165℃での5時間の撹拌までは、合成例1と同様の条件で反応を行った。次に、CFBP3.44g(15mmol)を加え、再度160〜165℃で3時間撹拌した。
化合物(1−4)の数平均分子量は5500、重量平均分子量は8250であった。また、この化合物(1−4)は、下記式で表される構成単位(S−4)を含む。
3Lセパラブル4口フラスコにBPFL51.39g(147mmol)、Res0g(0mmol)、DFBP29.09g(133mmol)、CFBP5.94g(25mmol)、炭酸カリウム24.32g(176mmol)を加え、次いで、DMAc175mL、トルエン70mLを加えた点を変更した他は、160〜165℃での5時間の撹拌までは、合成例1と同様の条件で反応を行った。次に、CFBP3.44g(15mmol)を加え、再度160〜165℃で3時間撹拌した。
化合物(1−5)の数平均分子量は3500、重量平均分子量は5250であった。また、この化合物(1−5)は、下記式で表される構成単位(T−5)を含む。
<電極電解質の調製>
攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付けた0.5Lのフラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル18.2g(45.3mmol)、合成例1で得られた化合物(1−1)22.5g(5.5mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.00g(1.5mmol)、ヨウ化ナトリウム0.23g(1.52mmol)、トリフェニルホスフィン5.33g(20.3mmol)、亜鉛7.97g(122mmol)を加え、該フラスコ内を乾燥窒素で置換した。次いで、上記フラスコにDMAc100mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら、3時間攪拌を続けた後、DMAc100mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
れる構成単位(S−1)〜(U−1)を含み、構成単位(S−1)および(T−1)の全量に対して、構成単位(S−1)の割合s1が75モル%であり、構成単位(T−1)の
割合t1が25モル%であると推定される。また、全構成単位に対して、構成単位(S−1)および(T−1)の合計量の割合が11モル%であり、構成単位(U−1)の割合が89モル%であると推定される。イオン交換容量は1.3meq/gであった。
50mLのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、上記スルホン化ポリマ
ー(1)の15wt%水−1,2ジメトキシエタン溶液(重量比10:90)3.23g、1,2−ジメトキシエタン13.97g、気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.1gおよび分散剤(楠本化成株式会社製「DA234」)0.028gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度50cp(25℃)の電極ペーストAを得た。
離型剤処理したPETフィルム上に、上記電極ペーストAを白金塗布量が0.5mg/cm2になるようにドクターブレードを用いて塗布した。これを95℃で10分間加熱乾
燥して電極層Aを形成した。
上記スルホン化ポリマー(1)からなる電解質膜(40μm)を1枚用意し、上記電極層Aを2枚用いて、該電解質膜の両面を該電極層A側で挟み、圧力100kg/cm2下
で、160℃×15minの条件でホットプレス成形し、基材のPETフィルムを剥離して触媒付電解質膜を作製した。
<電極ペーストの調製>
50mLのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、実施例1と同じ白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担
持)1.51g、蒸留水0.88g、実施例1で得られたスルホン化ポリマー(1)の15wt%水−N−メチル−2−ピロリドン溶液(重量比10:90)3.23g、N−メチル−2−ピロリドン(bp.202、δ11.17 )13.97g、気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.1gおよび分散剤(楠本化成株式会社製「DA234」)0.028gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度65cp(25℃)の電極ペーストBを得た。
上記電極ペーストBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極層Bを形成した。
<触媒付電解質膜の作製>
上記電極層Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして触媒付電解質膜を作製した。
<電極電解質の調製>
合成例2で得られた化合物(1−2)25.3g(5.51mmol)を用いた点を変更した他は、実施例1と同様の方法でスルホン化ポリマー(2)26gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は、115,000であった。1H−NMRスペクトル
を図4に示す。得られた重合体は、下記式で表される構成単位(S−2)〜(U−2)を含み、構成単位(S−2)および(T−2)の全量に対して、構成単位(S−2)の割合s2が90モル%であり、構成単位(T−2)の割合t2が10モル%であると推定される。また、全構成単位に対して、構成単位(S−2)および(T−2)の合計量の割合が11モル%であり、構成単位(U−2)の割合が89モル%であると推定される。イオン交換容量は1.2meq/gであった。
上記スルホン化ポリマー(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極ペーストCを調製した。
上記電極ペーストCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極層Cを形成した。
<触媒付電解質膜の作製>
上記スルホン化ポリマー(2)からなる電解質膜および上記電極層Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして触媒付電解質膜を作製した。
<電極電解質の調製>
合成例3で得られた化合物(1−3)20.2g(4.7mmol)を用いた点を変更した他は、実施例1と同様の方法でスルホン化ポリマー(3)26gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は、115,000であった。1H−NMRスペクトルを
図6に示す。得られた重合体は、下記式で表される構成単位(S−3)〜(U−3)を含み、構成単位(S−3)および(T−3)の全量に対して、構成単位(S−3)の割合s3が65モル%であり、構成単位(T−3)の割合t3が35モル%であると推定される。また、全構成単位に対して、構成単位(S−3)および(T−3)の合計量の割合が9モル%であり、構成単位(U−3)の割合が91モル%であると推定される。イオン交換容量は1.4meq/gであった。
上記スルホン化ポリマー(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極ペーストDを調製した。
上記電極ペーストDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極層Dを形成した。
<触媒付電解質膜の作製>
上記スルホン化ポリマー(3)からなる電解質膜および上記電極層Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして触媒付電解質膜を作製した。
<電極電解質の調製>
合成例4で得られた化合物(1−4)25.7g(4.7mmol)を用いた点を変更した他は、実施例1と同様の方法でスルホン化ポリマー(4)32gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は、135,000であった。得られた重合体は、下記式で表される構成単位(S−4)および(U−4)を含み、全構成単位に対して、構成単位(S−4)の割合が9モル%であり、構成単位(U−4)の割合が91モル%であると推定される。イオン交換容量は1.2meq/gであった。
上記スルホン化ポリマー(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極ペーストEを調製した。
上記電極ペーストEを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極層Eを形成した。
<触媒付電解質膜の作製>
上記スルホン化ポリマー(4)からなる電解質膜および上記電極層Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして触媒付電解質膜を作製した。
<電極電解質の調製>
合成例5で得られた化合物(1−5)16.2g(4.6mmol)を用いた点を変更した他は、実施例1と同様の方法でスルホン化ポリマー(5)25gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は、105,000であった。得られた重合体は、下記式で表される構成単位(T−5)および(U−5)を含み、全構成単位に対して、構成単位(T−5)の割合が9モル%であり、構成単位(U−5)の割合が91モル%であると推定される。イオン交換容量は1.6meq/gであった。
上記スルホン化ポリマー(5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極ペーストFを調製した。
上記電極ペーストFを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電極層Fを形成した。
<触媒付電解質膜の作製>
上記スルホン化ポリマー(5)からなる電解質膜および上記電極層Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして触媒付電解質膜を作製した。
上記実施例および比較例で得られた電解質(膜)のメタノール水溶液浸漬試験、メタノール透過性、膜抵抗、Tgおよび電極接合性の評価結果を表1に示す。また、上記実施例および比較例で得られた触媒付電解質膜を用いて測定した発電特性の評価結果を表2に示す。
表2より、本発明の電解質を用いて作製した燃料電池は、各電流密度で高い端子電圧を示し、発電性能に優れていることがわかる。
Claims (5)
- 前記ポリアリーレンが、下記一般式(3−2)で表される構成単位(U)をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
選ばれる少なくとも1種の2価の連結基を表し、Zは、それぞれ独立に直接結合、または−(CH2)p−(ここで、pは1〜10の整数を示す。)、−C(CH3)2−、−O−および−S−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の連結基を表し、Arは、スルホン酸基を有する芳香族基を表す。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示
し、kは1〜4の整数を示す。) - 請求項1または2に記載の電極電解質、触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
- 請求項1または2に記載の電極電解質および触媒粒子を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
- 請求項4に記載の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備えることを特徴とする膜−電極接合体。
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